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たねとりのたのしみ(1)F1と固定種
- 1. たねのうた http://tanenouta.com
第1回 F1 と固定種
◆◇先祖伝来の「手種」を探そう◇◆
「たねはどうしていますか?」
畑で作業しているおばぁちゃん、道端で雑草を積んでいるおばぁちゃんを見ると、ついこう話し
かけてしまいます。
京都の山間部では、自家採種の種のことを「手種(てだね)」と呼んでいます。
米作りは代々男が、そして、野菜作りは嫁の仕事でした。手種は、母から娘へ故郷の味を忘れな
いよう嫁入り道具として持たせたものだったのです。
こうして、各地で代々守り継がれてきた昔野菜の種は姿を消しています。
手種を採っている農家さんはほとんどなく、山間部の村で自給用にひっそりと受け継がれている
ばかりです。野菜の種の自給率は10%以下なのだそうです。
「手種を探しているんです。」
おばぁちゃんに話しかけると、どこどこの誰が昔から何を作ってたよ、と教えてくれます。その
種はもうなかったり、最後の1軒に残っていたり。どこかの畑の片隅で今も受け継がれる種は、
もしかしたら、あなたが見つけてくれるのを待っているかもしれません。
◆◇F1 のメリット、固定種のメリット◇◆
「F1(一代交配種)」とは、異なる親を交配させて、いいとこどりしたもの。種袋には、「〇〇交
配」とか「一代交配」と書かれています。両親に比べてより生育が旺盛で、抵抗力が強く、収量
も高くなります。これを「雑種強勢」と呼んでいます。雑種強勢は一代かぎりで、F1 から種を採
るとばらつきがでてしまいます(図1)。「固定種」は、代々形質が変わらず固定されてきたもの
で、その株から種を採っても両親とそっくりな子が生えてきます。
- 2. たねのうた http://tanenouta.com
図1 F1 はすべて同じ形質にそろうがF2ではばらつきがでる
F1 は種を毎年購入する必要がありますが、それでも、F1 の種は揃いがよく、収量が高いので、
手種を採るよりも買った方がずっと効率がいいのです。子 F1 は、日本の農業を大きく前進させ
た技術でもあります。一方で、F1 技術の普及は、非効率でお金にならない在来野菜を駆逐してし
まいました。
昔は、今のように簡単に種を買うことができませんでしたから、栽培される野菜の種類も少なく、
1つの村では、みんながおなじ品種の野菜を作っていました。長い年月を経て、その地になじん
だ特徴のある在来野菜が生まれてきたのです。多様なご当地野菜ならではのお料理方法があった
り、保存食があったり、豊かな文化の一部となっていました。全国一律のものにはない、その地
のストーリー、味が売りとなり、個性的なご当地野菜の魅力をもう一度見直そうという動きが今、
全国でおこっています。
◆◇F1 はどうやって作られる?◇◆
F1 のたねとりを見たことがありますか?ちょっと興味ありますよね。
採種農家さんを訪ねると、ビニールハウスにキャベツやハクサイなど1種類の作物がずら~っと
並んでいます(図2)。苗は種苗会社の職員が配達し、雄株と、雌株が交互に植えられます。どっ
ちを雄株にするか、雌株にするかで結果に違いがでるようです。
F1 の種は、だいたい交雑の危険が少ない山間部で作られています。山間部は不審者が入ってくる
と目立ちやすく、企業秘密を守る上でも都合がいいのです。ハウスに並ぶ野菜の札は番号で書か
れ、育てている農家さん自身もどの銘柄になるのか知らないのだそう。
「たねとり用栽培には農薬の制限がないんです。」
某種苗メーカーの契約農家さんが話してくれました。種苗会社から普通の栽培作物の規定を超え
た農薬を使うように指導されているといいます。有機JASの認定を受けるには、有機農法で育
った種、苗の使用が奨励されていますが、必要条件ではありません。普通栽培よりも長期間かか
るたねとりを有機農法で行うことは大変難しいことなのです。