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カーネル VM懇親会LT
- 2. 自己紹介
●
コスモ
● Twitter:@cosmo__
● Blog(Wordpress):cosmo0920
●
Pixiv、SoundCloudにも生息しています
●
ソフトウェアエンジニア見習い
●
この間までラボ畜。専攻は化学でした
(分子の計算をしていました)
- 5. 低レイヤーの定義
●
低レイヤーはどこから低レイヤー?
ユーザランド
↓
カーネル 下に行く程レ
ハードウェア イヤーが低い
(はず?)
・
・
・
- 6. ●
半導体の性質はその上で動くカーネルからみ
ると低レイヤー
↓ 一段降りてみる
半導体の性質を決めるもの is
何
A.分子(の中の電子)
- 7. 分子の中の電子の話をしよう。
●
分子の中の電子は…
●
分子の中の電子は物質の性
質を決める最小単位
●
分子の大きさは周りを回る
電子の動ける空間の大き
さ
- 8. 分子の概念
●
分子の概念が西洋科学で検証され始めたのは
それ程古くない
→1920年代に提唱された量子力学の貢献
ニールス・ボーア ポール・ディラック
出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Niels_Bohr.jpg
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Dirac_4.jpg
- 13. Hartree-Fock法
●
シュレディンガー方程式
→厳密…でも解けない
●
ハートリー・フォック方程式
→厳密ではない…しかし解く方
法が存在する(近似解)
- 14. 問題を読み替える
●
よろしい、解けない部分を解
けるように変えてしまえ
→とりあえず相互作用しないものとして計算
●
ハートリー・フォック方程式
- 17. SCF(Self Consistent Field)
原子軌道関数ρ(r,0)、一電子のルーチン
n-1回目電子密度 ρ(r,n-1) 、二電子のルーチン
電子密度からポテンシャルを計算
波動方程式を解く Hψ=Eψ → ρ(r,n)が求まる
違った場合は戻る
ρ(r,n) = ρ(r,n-1)なら終了
- 18. 計算量の話
●
ハートリーフォックのSCF計算ではO(N^4)の
ルーチン(二電子のルーチン)があります
●
しかもそのルーチンはSCFのサイクル毎に呼
ばれます
計算コストが高い!!
HPC!!
- 19. 最小のプログラム(C++版)
cosmo SCF% wc -l *.h
9 collect.h
9 hfcalc.h
9 integral.h
10 one_integral.h
30 param.h
9 scf.h
水素分子を計算するだけでも…
>787行<
8 two_integral.h
15 util.h
99 total
cosmo SCF% wc -l *.cpp
68 collect.cpp
20 hfcalc.cpp
140 integral.cpp
19 main.cpp
56 one_integral.cpp
30 param.cpp
127 scf.cpp
24 two_integral.cpp
160 util.cpp
644 total
cosmo SCF% wc -l **/*.hpp
44 include/FixMatrix.hpp
- 21. 流石に実装するのはきつかった…
●
第一原理計算でどんな性質がわかる?
●
分子構造
●
イオン化ポテンシャル
●
双極子モーメント
●
振動エネルギー
●
反応性、溶媒効果
等々…の分子の性質が計算出来る
- 22. 第一原理計算のソフトウェア
―特に分子軌道計算が出来るもの
●
多くはプロプラのソフトウェア
● Gaussian
● Jager
● GAMESS-UK
●
学術使用は自由
● GAMESS-US
● SIESTA
●
中にはオープンソースも
● PSI3(PSI4が開発中)
● NWChem(North West Chem)
- 23. フリーな第一原理計算ソフトウェア
● NWChem
NWChem: Delivering High-Performance Computational
Chemistry to Science
http://www.nwchem-sw.org/index.php/Main_Page
●
PSI4(まだβ版)
PSI4: ab initio quantum chemistry
https://github.com/psi4
お家でab initio計算ができる時代
- 26. 今どの程度まで計算が可能か
●
第一原理計算は最低O(N^4)なので数百原子が
限界
●
微細な構造も含めて半定量的な議論まではで
きる
●
磁性はまぁまぁ予測できる
●
反応経路もまぁまぁ予測できる
●
半導体のバンドも計算により再現出来ます
→が、まだまだ定量性に欠ける
- 27. まとめ
●
ここで解説したものはまだ基本的な第一原理
計算の理論のさわりです
→なので実際の計算に入るにはまだ知識不足
●
ハートリーフォック法は電子の相互作用を無
視している部分があるので…
正しく間違った計算をする
ことができます!!