2006/08/05 私立大学情報教育協会 平成18年度(2006年度) 大学情報セキュリティ研究講習会 B-2 ネットワーク運用管理コース http://www.juce.jp/sec2006/

1. 社団法人私立大学情報教育協会
P2P対策
東海大学総合情報センター
横田 秀和

2. 社団法人私立大学情報教育協会
P2P(Peer-to-Peer)とは?
 ネットワークの形態の一種
⇔クライアント・サーバモデル
 構成するコンピュータは、
他のコンピュータに対して対等な機能を持つ
 通信が必要なコンピュータ間のみ通信を行う
 特定のコンピュータにリソースが集中しない
 「ハイブリッドP2P」と「ピュアP2P」

3. 社団法人私立大学情報教育協会
ハイブリッドP2P
 (例)Napster  クライアント・サーバ型を
一部の処理で利用
 原理
 Peerは保持するコンテンツを
サーバに登録
 欲しいコンテンツを保持する
Peerをサーバで検索
 Peer間でファイルを転送
 特徴
 検索のレスポンスがよい
 コンテンツの制御が可能
 サービスがサーバに依存
C D
A
E
B
F
②ファイルYは
どこ?
③PC-Bにあります
コンテンツのリスト ①ファイルXあります
④ファイルYを
ダウンロード

4. 社団法人私立大学情報教育協会
ピュアP2P
 全ての処理をP2Pで行う
 原理
 コンテンツの検索要求を
リンクされているPeerに流す
 検索要求はリンクをたどって
転送
 見つかったら
Peer間でファイルを転送
 特徴
 検索のレスポンスは遅い
 耐障害性が高い
 匿名性
 (例)Gnutella, Winny
C D
A
E
B
F
G
①ファイルXは
どこ?
①ファイルXは
どこ?
①ファイルXは
どこ?
①ファイルXは
どこ?
③ファイルXを
ダウンロード
②PC-Eにあります
②PC-Eにあります

5. 社団法人私立大学情報教育協会
代表的なP2Pソフト その1
 インスタントメッセージング
ICQ
Windows Messenger
 インターネット電話
Skype
 ビデオチャット(TV電話)
NetMeeting
 グループウェア
Office Groove
目的
コミュニケーションを取ること

6. 社団法人私立大学情報教育協会
代表的なP2Pソフト その2
 ファイル共有
Napster
WinMX
Gnutella
Winny
Share
BitTorrent
目的
コンテンツを入手すること
価値のあるコンテンツ
≒
再配布が認められていない
コンテンツ
≒
著作権で保護されている
コンテンツ

7. 社団法人私立大学情報教育協会
P2Pファイル共有ソフトの歴史 その1
 1999年 Napster
MP3などのファイルを交換可能
著作権により保護されているコンテンツの交換が
爆発的に広がってしまう
全米レコード協会などから提訴され敗訴
2001年にサービスは終了へ

8. 社団法人私立大学情報教育協会
P2Pファイル共有ソフトの歴史 その2
 2001年 WinMX
Napsterと異なりMP3以外のファイルにも対応
日本で人気が高い
2001年11月
著作者に無断でビジネスソフトを送信した疑いで
2人の大学生が京都府警に逮捕されている

9. 社団法人私立大学情報教育協会
P2Pファイル共有ソフトの歴史 その3
 2002年 Winny
2ちゃんねるから発祥
通信の暗号化・ファイル転送機能で高い匿名性
クラスタ化による検索・ダウンロードの効率化
通信先のポート番号はランダム
2003年11月
Winnyを利用した著作権法違反容疑で逮捕者が出る
2004年5月
著作権法違反幇助の容疑でWinny開発者が逮捕される

10. 社団法人私立大学情報教育協会
一つめの問題
 著作権で保護されているコンテンツの流通
 トラフィックの増加により通常の通信を圧迫
 大学における利用
 米主要大学の34%がNapsterを禁止――倫理基準の策定が急務
(INTERNET Watch, 2000/08/31)
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2000/0831/gartner.htm
 学内ネット経由の違法アップロード防止を レコ協が全国の大学/短大に要請
(MYCOMジャーナル, 2003/11/26)
http://journal.mycom.co.jp/news/2003/11/26/17.html

11. 社団法人私立大学情報教育協会
事例紹介
 2003/02/25
 教学課に、本件について報告するとともに学生への対応
を依頼。
 日本レコード協会への対応について学内で調整。
 日本レコード協会へ調査結果の連絡とお詫びの電話。
 報告書の提出を求められたため、これを後日提出。
 著作権違反防止について、学内への啓発活動を
依頼された。
 2003/02/26
 教学課にて学生を呼び出し、厳重注意処分とした。
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12. 社団法人私立大学情報教育協会
Winnyについて更なる問題
 2003年8月 Antinnyの登場
 Winnyを介して感染活動を行うワーム
 Winnyのキャッシュファイルを削除
 2004年3月 亜種が暴露ウィルスに進化
 感染PCの様々なファイル、メールの内容を
Winnyのネットワークに流す
 暴露ウィルスが猛威を振るう
 Winnyを介さず、感染PC自身がWebサーバとして機能
 山田ウィルス・山田オルタナティブ
 昨今の情報漏洩問題に大きく発展

13. 社団法人私立大学情報教育協会
二つめの問題
 Winnyを媒介した情報流出
 Winnyを経由して感染するウイルス「Antinny」特集
(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2004/04/09/antinny.htm
 Winnyネットワークに流出すると回収不可能
 危険なのはWinnyだけではなく
Shareに感染するAntinnyの亜種もあり

14. 社団法人私立大学情報教育協会
P2Pファイル共有ソフトの対策
 使わないように
 ⇒PC・ネットワーク利用のルール・ポリシーを整備
 使えないように
 ⇒ネットワーク機器で通信を制御
 安定したネットワーク運用の確保
 ⇒ネットワーク機器で帯域を制御
 情報の取り扱いを厳密に管理
 ⇒情報の持ち出しを制限

15. 社団法人私立大学情報教育協会
PC・ネットワーク利用の
ルール・ポリシーを整備
 利用規程・セキュリティポリシー等に盛り込む
 学内に対して注意を喚起
 Winnyを介して感染するコンピュータウイルスによる情報流出対策に
ついて(内閣官房)
http://www.nisc.go.jp/press/inf_msrk.html
 Winnyによる情報漏えいを防止するために
(情報処理推進機構セキュリティセンター)
http://www.ipa.go.jp/security/topics/20060310_winny.html

16. 社団法人私立大学情報教育協会
ネットワーク機器で通信を制御
 ファイアウォール・ルータで通信を遮断
ポート番号が特定できるものは簡単
Winnyなどポート番号がランダムなものは難しい
ガチガチに遮断してしまうと大学運営にも影響
Napster
ﾌｧｲｱｳｫｰﾙ
BLOCK
Port:8875
学内
BLOCK
Port:6699
WinMX
Winny
インターネット
Port:????
Winny

17. 社団法人私立大学情報教育協会
One Point Wall
ネットワーク機器で通信を制御
 アプリケーションレベルで通信を遮断
One Point Wall (ネットエージェント)
http://www.onepointwall.jp/
 「従来のファイアウォールでは防げない脅威」に対応
 P2P,VPN,BBS,ｱｯﾌﾟﾛｰﾄﾞ,SMTP,IM,ﾁｬｯﾄ,MMORPG
学内
WinMXの
通信
インターネット
Winnyの
通信
ﾌｧｲｱｳｫｰﾙ
WinMX
Winny

18. 社団法人私立大学情報教育協会
One Point Wall
設定画面その1
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19. 社団法人私立大学情報教育協会
One Point Wall
設定画面その2
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20. 社団法人私立大学情報教育協会
ネットワーク機器で通信を制御
 ネットワーク型IPSの機能
不正侵入などを検出しリアルタイムに通信を遮断
 シグネチャを基に不正アクセスの検出
 統計的・経験的に異常アクセスの検出
 P2Pソフトに対応可能なものも
 SecureSoft Absolute IPS (セキュアソフト)
http://www.securesoft.co.jp/pdf/ips_2004.pdf
 TippingPoint IPS (テリロジー)
http://www.terilogy.com/product/security/tippingpoint/index.html

21. 社団法人私立大学情報教育協会
ネットワーク機器で帯域を制御
 IPをインフラとして利用する場面は増加
拠点間VPN, IP電話, TV会議
 ﾌﾟﾛﾄｺﾙ/ｱﾌﾟﾘｹｰｼｮﾝで使用帯域を制御
 PacketShaper (パケッティア)
http://www.packeteer.co.jp/products/packetshaper.html
帯
域
制
御
装
置
ﾈｯﾄﾜｰｸ
ﾄﾗﾌｨｯｸ
Mail
DNS
WWW
FTP
VoIP
ﾈｯﾄﾜｰｸ
ﾄﾗﾌｨｯｸ
VoIP
Mail
DNS
WWW
FTP

22. 社団法人私立大学情報教育協会
情報の持ち出しを制限
 学内ネットワークはコントロールできるが・・・
 情報漏洩の多くは自宅PCやノートPCから
 本誌記事に見る“Winny流出”(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2006/03/10/
 情報漏洩対策ソリューション
 漏洩しては困る情報は持ち出せないように
(または持ち出しについて履歴を管理)
 ファイルサーバのアクセス権を厳重に管理
 FDD,USBポート,CD/DVDへのコピーを制限
 持ち出す場合は暗号化
 離席時にコンピュータをロック

23. 社団法人私立大学情報教育協会
まとめ
 本来は、
 P2P ≠ 悪しきもの
 技術としては注目すべき
 負荷分散・耐障害性
 個と個を結ぶコミュニケーション
 ただし現状は、
 P2Pファイル共有≒著作権侵害＋情報漏洩のリスク
 大学の信用・情報を守るための対策
 コンプライアンス
 情報漏洩対策

24. 社団法人私立大学情報教育協会
おわり

25. 社団法人私立大学情報教育協会
ある日のネットワークトラフィック
通常のパターン
INとOUTが同程度 OUTが多い

26. 社団法人私立大学情報教育協会
ハイブリッドP2PとピュアP2P
 ハイブリッドP2P
 (例)Napster
 ピュアP2P
 (例)Gnutella, Winny
C D
A
E
B
F
②ファイルYは
どこ?
③PC-Bにあります
コンテンツのリスト ①ファイルXあります
④ファイルYを
ダウンロード
C D
A
E
B
F
G
①ファイルXは
どこ?
①ファイルXは
どこ?
①ファイルXは
どこ?
①ファイルXは
どこ?
②PC-Eに
あります
②PC-Eに
あります

27. 社団法人私立大学情報教育協会
大学におけるP2Pソフトの利用
 コミュニケーションが目的のP2Pソフト
知人とインスタントメッセージングで連絡を取る
他大学・研究所などとTV会議を行う
留学生が自国の家族・知人と連絡を取る
 ファイル入手が目的のP2Pソフト
オープンソースソフトウェアを入手する
著作権を侵してコンテンツを入手/公開する
違法行為は許されない

28. 社団法人私立大学情報教育協会
P2Pファイル共有ソフトの問題点
 著作権で保護されているコンテンツの流通
関係者が事件に巻き込まれてしまう
 トラフィックの増加により通常の通信を圧迫
基幹業務を脅かすかもしれない
 Winnyを媒介した情報流出
信用失墜・訴訟に発展する可能性あり