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韓国における使用済み燃料・再処理問題
- 1. 5 August 2014 イ・ヨンヒ Young Hee Lee 社会学教授 韓国カソリック大学 韓国における 使用済み燃料・再処理問題
- 2. 概容 • 原子力発電所の現状 • 低・中レベル廃棄物 • 使用済み燃料管理 • 使用済み燃料再処理に関する論争 • 結論 1
- 3. 韓国の原子力発電所 • 1978年、最初の原子力発電所の運転開始 • 現在23基が稼働中、5基が建設中 • 電力の約３２％が原子力発電所から • 世界5位の原子力発電容量 2
- 4. ㅕ Ulchin蔚珍（ウルチン） : 6 Wo Wolsong月城（ウォルソン） : 5 Kori古里（コリ） : 6 Yonggwang霊光（ヨングァン） : 6 3
- 5. 廃棄物処分地を探して • 韓国政府と原発に責任を持つ公社「韓国水 力原子力発電(KHNP)」は核廃棄物処分場の 場所を1986年以来、20年近く探していた • 透明でなく、民主的でもなく、強圧的でさえあ るアプローチ • 1980年代末以来の韓国社会の民主化の流 れの中で、地元住民から強烈な反対に遭う 4
- 6. 社会的紛争のホットスポット • 20年にわたって社会紛争の主要原因のひと つになっていた • その最たるものは2003年扶安 (プアン) 蜂起 －－韓国政府と扶安郡政府が、郡民には相 談のないまま、同郡の蝟島(ウィド)に核廃棄 物処分場を誘致を試みたため • 何千もの地域住民が反対運動 5
- 8. やっと成功した・・・が、しかし、 • この事件の後、韓国政府は処分地選定政策を 変更した: - 経済的補償に重点（約3億米ドル), - 低・中レベル廃棄物処分場と高レベル廃棄物 処分場を別にするとの公式宣言, - 公式な投票による公式な地域住民参加の制度 化 • 2005年、ついに、低・中レベル廃棄物処分場の 場所が決定。4つの候補地で、競争的住民投票 を実施。 7
- 9. 高レベル核廃棄物問題 • しかし、政府は高レベル廃棄物 (主として使 用済み燃料) の管理というずっと難しい問題 を抱えている • 人と自然環境にとって極めて有害で、少なくと も10万年は安全に管理しなければならない • 再処理による核拡散リスクのためずっと複雑 • 政府は使用済み燃料の最終的管理政策につ いては決めていないが、中間貯蔵施設を早 期に作りたい考え 9
- 10. 使用済み燃料の蓄積 (2013年12月現在) Reactors’ name Storage capacity(ton) Stored(ton) Saturation rate (%) Saturation year Kori(6) 2,691 2,081 77 2016 -> 2028 Yeongkwang(6) 3,318 2,146 65 2019-> 2024 Ulchin(6) 2,960 1,848 62 2021-> 2026 Wolseong(5) 9,660 7,179 74 2018-> 2026 Total(23) 18,629 13,254 71 10
- 11. 使用済み燃料蓄積の予測 11
- 12. 熱い論点:使用済み燃料の再処理 • 最近、政府と原子力村、とりわけ韓國原子力硏究院 (KAERI) は、使用済み燃料の再処理について発言し ている • 彼らの公式な立場は「平和」目的の再処理の権利の 確立 • 一方、右翼の一部は、再処理を通じての核兵器開発 をおおっぴらに主張している • 社会的紛争の新たなホットスポット？ 12
- 13. 背景: 再処理に関する韓米協定 • 韓米原子力協力協定（1972年に調印、1973 年3月19日発効）の規定： - 米国は、原子力の平和利用に必要な核技 術・物質を提供する - 韓国は、使用済み燃料再処理やウラン濃縮 のような核拡散に関連した活動をしてはなら ない 13
- 14. 交渉延長 • 1972年の条約は、2014年3月に失効し、更 新をしなければならないと定められていた • 両国は今年、3月までに新たな協定に合意す ることができず、条約は2016年3月まで2年間 延長された • この膠着状態は、韓国政府が元の協定を変 更して使用済み燃料の再処理に関して日本 と同じ地位を獲得したいと望んでいるが、米 国は変更に反対していることから来ている。 14
- 15. 15
- 16. 韓国政府の立場 • 再処理・ウラン濃縮の禁止条項の撤廃を望ん でいる - 蓄積する使用済み燃料の削減の必要性 - ウランの輸入を削減することにより、国内の エネルギー需要の増加のための燃料供給を 確実なものにするため - 世界的な原子力発電所輸出国（例：アラブ 首長国連邦への輸出）としての役割：2030年 までに80基の原子炉を輸出する 16
- 17. 再処理 Ｖs. リサイクリング • 韓国政府及びKAERI（韓原研）は、KAERIが研 究しているパイロプロセシング（乾式処理）技 術は、核拡散抵抗性の高い方法であり、再処 理としてではなく、リサイクリングと見なすべき だと主張 - 民生用原子力の目標達成に寄与：完全な 核燃料サイクル能力 17
- 18. パイロプロセシング • パイロプロセシングは、米アルゴンヌ国立研究所（ANL)で 1960年代に開発。溶媒による抽出ではなく、電解精製を 基礎とする高温冶金プロセスにより、ウランとプルトニウム、 それに他のアクチニド（超ウラン元素）を回収 • この操作の最初のステップは、燃料集合体を分解して、燃 料被覆を取り除くこと。第2のステップは、溶融ハロゲン化 物塩に燃料を溶かすこと。第3ステップは、この混合溶融 物の電気精製。 • 商業的ナトリウム冷却高速炉の展開が必要 18
- 20. なぜ パイロプロセシングをすべきか? • 現在の再処理技術PUREX（ピューレックス）法では使用済み燃 料からウランと核兵器に使えるプルトニウムを取り出し、核拡散 リスクを伴うが、パイロプロセシング（乾式処理）は、プルトニウ ムが他の物質と混ざった形で取り出されるので核拡散抵抗性 が高いし、廃棄物の量を減らすと推進派は言う。 KAERIは、 パイロプロセシング技術は、使用済み燃料の量と熱 をそれぞれ20分の１、100分の1にまで削減することができると 主張 • 韓国政府と一部の保守的な政治家及びジャーナリストがパイロ プロセシング推進派を支持 20
- 21. なぜ パイロプロセシングをすべきでないか? • しかし、内外の専門家の多くは、核不拡散リスクの面でパイロプロ セシングと現在の再処理技術の間に大差はないという • 韓国の反原発運動活動家はまた、パイロプロセシングによるリサ イクリングの可能性と利点に関する主張はひどく誇張されていると 批判する - 予見できる将来に高速炉が開発される可能性は極めて低い - 高速炉の開発がなければ実際のリサイクル率は２％以下 • 米国政府、韓国NGO、一部の進歩的な学者・ジャーナリストがパ イロプロセシングに反対している 21
- 22. 日本の再処理政策が韓国に与える影響 • 韓国で再処理の権利を唱える推進派が使う 重要な正当化の論理の一つは、日本が1988 年に日米原子力協力協定の改訂によって再 処理の権利を与えられたというもの。 • 「それなら、なぜ韓国は日本と同じ権利を持っ てはならないのか。不公平だ。」 • 六ヶ所再処理工場の運転開始は、このような 不快な感情を韓国人の間でさらに高める 22
- 23. 「核主権」 • 再処理推進派は、「核主権」という議論を持ち出すことに よって韓国人のナショナリズム、愛国主義をかき立てる • とりわけ2009年5月の北朝鮮の核実験の後、一部の政 治家・ジャーナリストが「平和目的の核主権」を呼びかけ、 使用済み燃料の再処理に関して日本と同じ権利を要求 した。 - 与党による公式な平和目的の核主権回復の要求：再 処理の権利 23
- 24. 「核兵器を開発しよう！」 • さらに、一部の強硬な右翼ナショナリストは、韓国は 核兵器計画を持つべきだとさえ論じている - 2011年1月11日：朝鮮日報の著名な右翼ジャーナ リスト金大中（キム・デジュン） - 2012年6月3日：鄭夢準（チョン・モンジュン）、2012 年の大統領選挙候補になる可能性のあった人物 • 1970年代の朴正煕（パク・チョンヒ）大統領による核 兵器開発計画を高く評価する民衆の感情を利用 24
- 26. 核兵器抑止は核武装あるのみ 26
- 27. 27
- 28. 結論 • 1970年代、韓国のプルトニウムに対する関心は主として核 開発関連だった • 最近の韓国の再処理に対す関心はエネルギー・セキュリ ティーや使用済み燃料管理についての懸念から来ている • その一方、日本の再処理政策が、韓国政府の再処理の意志 を刺激し、多くの韓国人の間で不公平間を喚起している • しかし、韓国の市民社会は、一般に、再処理・リサイクルは、 コスト、技術的可能性、核拡散リスクなどの点から好ましくな いと考えている 28