東日本大震災において,東北地方では深刻なガソリン不足問題が発生しました.本研究は,その「本質的な原因」を明らかにし「今後の震災対策」を提案するものです.以下が主な主張です.
・ガソリン不足の原因は「一部の消費者の買い溜め」などではなく,供給サイドにあった.
・2011年3月17日の海江田大臣の「1日に2万kLの石油製品を西日本から転送」発言は,その10分1しか実現しなかった.
・ガソリン不足問題の本質は「ガソリンを購入できない人」が日々増えて行くことにある.そのため,「1日あたりの供給量(フロー)」だけでは,その本質が見えず,根本的な解決も不可能.
・日本海側港湾(青森,秋田,酒田)では,3/15 (震災から4日後)からガソリン移入が再開されている
・上記3港湾では 3/22 (震災から11日後)に,約 8, 600 kL のガソリンを受け入れている
・もし,上記の 8,600kL のガソリンを,3/15 の移入再開時から1〜2週間つづけて受け入れていればガソリン不足は大幅に軽減できた.
・このガソリン不足軽減による経済効果は数千億円と推計できる.
※ 一部,数値が違っていたのを修正しました.