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のがたじゅん @nogajun
Debian JP Project/関西Debian勉強会にて活動
毎月第4日曜日、大阪福島区民センターで「関
西Debian勉強会」を開催しています。
兵庫県姫路市で毎月第3土曜日「姫路IT系勉強
会」を主催
オープンソース・自由ソフトウェアとフリーカ
ルチャー大好き!
たまにtwitterでJamendoのおすすめアルバム呟い
てます。
毎月第4日曜日Barどん底で開催されてるロック
DJイベント「Theme Park」を手伝ってます
US/UKインディロック、パワーポップ、Brian Wilson
が好きな人友達になりましょう
3. 注意
●
著作権関係の話をしますが、
野方は法律の専門家ではない
ので具体的な事例の判断はで
きません。
●
わからない事や間違っている
ことは、どんどん指摘してく
ださい。
●
ツッコミ大歓迎。みんなで知
識を深めましょう。
7. 今回取り上げる範囲
●
ライセンスの基礎知識
– 著作権と知的財産権
– ライセンスとは
– オープンソースソフトウェアとは
●
GPLライセンスとWordPress
GPLライセンスとWordPress
– 「WordPressとGPL」Q&A
WordPressとGPL」
9. 著作権とは
●
著作権とは「文芸、学術、美術又は音楽の範囲
に属するものを思想又は感情を創作的に表現し
た物(著作物)」に対し、創作した人(著作者)が独
た物(著作物)」に対し、創作した人(著作者)
占かつ排他的に利用できる権利。(無形財産権)
占かつ排他的に利用できる権利。(無形財産権)
●
著作権は創作した時点で自動的に発生する。
著作権は創作した時点で自動的に発生する。
●
著作権は著作者の死後50年まで存続する。
著作権は著作者の死後50年まで存続する。
11. 知的財産権
著作権
著作権
著作権・著作者隣接権
著作権・著作者隣接権
知的財産権 産業財産権
産業財産権
知的財産権 特許権・実用新案権・意匠権・商標権
特許権・実用新案権・意匠権・商標権
その他
その他
回路配置利用権・育成者権(種苗法)・営業秘密など(不正競争防止法)
回路配置利用権・育成者権(種苗法)・営業秘密など(不正競争防止法)
文化庁 | 著作権 | 著作権制度に関する情報 | 著作権制度の解説資料 | 知的財産権について:
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/chitekizaisanken.html
13. 著作権の中にも権利
著作権
著作権
著作者人格権
著作者人格権 著作財産権
著作財産権
著作者としての権利
著作者としての権利 財産権としての権利
財産権としての権利
譲渡不可
譲渡不可 譲渡可
譲渡可
公表権, 氏名表示権, 同一性保持権 複製権, 貸与権, 翻訳・翻案権など
15. ライセンスとは
●
許可なしでは違法となることに許可を与えること
●
著作権でいうと
– 著作物の権利を持った人(ライセンサー)が、使用し
著作物の権利を持った人(ライセンサー)
たい人(ライセンシー)に使用方法や金額などの条件
たい人(ライセンシー)
を定め使用を許諾する契約を結ぶこと。またはその
書面。
16. ソフトウェアでいうと
●
プロプライエタリ(独占的)ソフトウェア
プロプライエタリ(独占的)
– 使用のみ。実行する許可を与える。改変、再配布は
使用のみ。実行する許可を与える。改変、再配布は
禁止している。
– 配布形態は主にバイナリのみ。
●
オープンソース/フリー(自由)ソフトウェア
オープンソース/フリー(自由)
– 利用できる。実行だけでなく、改良したり再配布が
利用できる。実行だけでなく、改良したり再配布が
できる。
– 配布形態はソースコードとバイナリ。
配布形態はソースコードとバイナリ。
17. オープンソースソフトウェアとは
●
Initiative(OSI)が定めた「オープ
Open Source Initiative(OSI)が定めた「オープ
ンソースの定義」に合致し認定したライセンス
を適用したソフトウェアの総称。
– 「オープンソースの定義」はDebian Free Software Guideline(DFSG)
「オープンソースの定義」はDebian
を元に作成
– 「オープンソース」という言葉は1998年Netscape社が自社ブラウザ
「オープンソース」という言葉は1998年Netscape社が自社ブラウザ
のソースコードを公開する際に作られた造語
のソースコードを公開する際に作られた造語
– 「オープンソース」はOSI の商標
「オープンソース」はOSI
ソースコードを公開しただけでは「オープンソース」と呼びません!
18. オープンソースの定義 ( 要約 )
1. 自由に再配布ができること
2. ソースコードが入手できること
3. 派生物が存在でき、派生物に同じライセンスが適用できること
4. 差分情報の配布を認める場合、同一性の保持を要求してもかまわない
5. 個人やグループを差別しないこと
6. 適用領域に基づいた差別をしないこと
7. 再配布において追加ライセンスを必要としないこと
8. 特定製品に依存しないこと
9. 同じ媒体で配布される他のソフトウェアを制限しないこと
10.技術的な中立を保っていること
技術的な中立を保っていること
The Open Source Initiative: オープンソースの定義(日本語):
http://www.opensource.jp/osd/osd-japanese.html
The Open Source Definition | Open Source Initiative: http://opensource.org/osd を参照
19. オープンソースの中に
GPL ライセンスも入ってます
オープンソースソフトウェア
GPLライセンス
GPLライセンス Mozilla Public License 2.0 (MPL-2.0)
MIT license (MIT)
GNU General Public License version 2.0 (GPL 2.0)
GNU General Public License version 3.0 (GPL 3.0)
BSD 3-Clause (BSD-3-Clause)
GNU Lesser General Public License version 2.1 (LGPL 2.1) BSD 2-Clause (BSD-2-Clause)
GNU Lesser General Public License version 3.0 (LGPL 3.0)
GNU Affero General Public License v3 (AGPL 3.0)
その他いろいろ
http://opensource.org/licenses/category
21. フリー(自由)ソフトウェアとは
●
利用者に4つの自由が保証されたソフトウェア
0. いかなる目的に対しても、プログラムを実行する自由。
1. プログラムがいかに動作しているか研究し必要に応じて改造する自由。ソース
コードへのアクセスは、この前提条件となります。
2. 身近な人々を助けられるようコピーを再配布する自由。
3. プログラムを改良し改良点を公開し、それによってコミュニティ全体が恩恵を
受けられるようにする自由。ソースコードへのアクセスは、この前提条件
の一つです。
●
フリーソフトウェアの「フリー」は「自由」
– 「ビール飲み放題(free beer)」の「フリー」ではなく「言論の自由(free speech)」
「ビール飲み放題(free beer)」の「フリー」ではなく「言論の自由(free speech)」
の「フリー」
– 値段は関係ありません
22. GNU General Public License
(GNU 一般公衆利用許諾契約書 ) とは
●
リチャード・ストールマン氏がフリー(自由)ソフトウェアのために考案
リチャード・ストールマン氏がフリー(自由)
したソフトウェアライセンス
●
コピーレフト(Copyleft)である
コピーレフト(Copyleft)である
– 利用、改変、再配布が自由にできる/制限してはいけない
利用、改変、再配布が自由にできる/
– 再配布をする場合には元の情報も含める
– 派生物に同じライセンスが適用される
●
バージョンがあり最新バージョンはGPLv3
バージョンがあり最新バージョンはGPLv3
– GPLv2とGPLv3に互換性はない
GPLv2とGPLv3に互換性はない
– WordPressは laterでライセンスされている
WordPressはGPL v2 or laterでライセンスされている
23. GPL 派生物の適用範囲
●
派生物と認められる
– GPLソフトウェアを修正、改造、追加
GPLソフトウェアを修正、改造、追加
– GPLソフトウェアとリンクして実行される
GPLソフトウェアとリンクして実行される
●
派生物と認められない
– GPLソフトウェアを使用してデータを作成
GPLソフトウェアを使用してデータを作成
– GPLソフトウェア上でexec,forkの形でプログラ
GPLソフトウェア上でexec,forkの形でプログラ
ムを実行
27. GNU GPL FAQ を読むと
GPLの下で公開されていたプログラムがプラグインを使うとして、プラグインのライ
センスにはどのような条件がありますか?
それはプログラムがどのようにプラグインを呼び出すかに依ります。プログラムがforkやexecでプラグ
インを呼び出すならば、プラグインは別のプログラムであり、メインプログラムのライセンスはそれらにはな
んの条件も課しません。
もしプログラムがプ ラ グ イ ン と 動 的 に リ ン ク さ れ て お り 、 お 互 い に フ ァ ン ク シ ョ ン コ ー ル を 使 っ て
データ構造を共有している場合、それらは単一のプログラムを形成していると見なされますので、
プ ラ グ イ ン は メ イ ン プ ロ グ ラ ム の 拡 張 部 分 と し て 扱 わ れ な け れ ば な り ま せ ん 。 すなわち、それらは
GPLかGPLと矛盾しないフリーソフトウェアライセンスの下で公開されなければならないということ です。
プログラムがプラグインと動的にリンクされているが、それらの間のコミュニケーションはいくつかのオプ
ションとともにプラグインの「main」関数を呼び 出して返値を待つだけという場合は、境界線上で微妙な
ケースとなります。
GNU GPLに関して良く聞かれる質問 - GNU プロジェクト - フリーソフトウェア財団 (FSF):
http://www.gnu.org/licenses/gpl-faq.ja.html#GPLAndPlugins
28. こういう事例もありました
●
衝突は不可避? WordPress、Thesisの創始者を訴える | ブログヘラルド:
WordPress、Thesisの創始者を訴える ブログヘラルド:
http://jp.blogherald.com/2010/07/16/inevitable-wordpress-to-sue-thesis-founder/
●
危機を回避: Thesis、WordPressのGPLを受け入れる | ブログヘラルド:
危機を回避: Thesis、WordPressのGPLを受け入れる ブログヘラルド:
http://jp.blogherald.com/2010/07/26/crisis-averted-thesis-submits-to-wordpress-gpl/
2010年、WordPressとAutomattic社創始者のMatt Mullenweg氏と
WordPressテーマ「Thesis」制作者Chris Pearson氏との間でテーマのライセ
ンスをめぐり激しい論争が起こりました。
この論争は今までの中で特に激しく訴訟直前までになりましたが、最終的には
Chris Pearson氏がGPLを適用するという形で幕が降ろされました。
30. GPL の及ぶ範囲
この部分は内部での利用範囲内
社内 なのでGPLは不適用
WordPressテーマを作成
WordPressテーマを作成
自社内で利用
サーバーで利用
テーマを配布(販売含む)
テーマを配布(販売含む)
ネットワークを
配布
通じてアクセス
GPL GPL
適用 不適用
他のユーザー ブラウザ
派生物となるPHPコードの再
派生物となるPHPコードの再 実行結果を受け取っているだ
配布となるのでGPLが適用さ
配布となるのでGPLが適用さ けで配布にはあたらないので
れる。 GPL適用外(ASPループホール)
GPL適用外(ASPループホール)
33. A: 可能です。
GPLを適用しても販売できます。GNU GPL FAQから引用します。
GPLは金銭目的でプログラムの複製を販売することを許可していますか?
はい。GPLは、誰もが販売することを許可しています。複製を販売する権利はフリーソフトウェアの定義の一部です。
GPLは、私のサイトからプログラムをダウンロードする人に料金を課すことを許可していますか?
はい。あなたはプログラムの複製を頒布するにあたり、望むだけの手数料を課すことができます。ただし、もしあなたがバイナリ
をダウンロードによって頒布するならば、あなたはソースのダウンロードに関しても「同等のアクセス」 を提供しなければなりませ
んので、ソースのダウンロードに課す手数料はバイ ナリをダウンロードするための手数料よりも高くなってはならないということ
になります。
GNU GPLに関して良く聞かれる質問 - GNU プロジェクト - フリーソフトウェア財団 (FSF):
http://www.gnu.org/licenses/gpl-faq.ja.html#DoesTheGPLAllowMoney
36. Q: テーマに含まれる PHP ファイル
だけを GPL 、それ以外の CSS 、
JavaScript 、 画像ファイルを独占的
なライセンスで配布できますか ?
37. A: 可能です。
しかしよく考えて適用しましょう。
CSS, JavaScript, 画像ファイルはGPL適用範囲外ですので独自ライセンスを設
定できます。しかし、wordpress.orgのTheme Directoryでは、GPLもしくは
GPLと互換性のあるライセンス(とはいえGPL2 or laterなので選択肢は限られ
ますが)のテーマしか公開できません。
独自ライセンスを設定したいなら公開場所、公開方法をよく考えてライセンス
を設定しましょう。
39. A: PHP ファイルは難しいが、
それ以外については可能。
テーマに含まれるPHPファイルについては、GPLが適用されるので再配布を止
めることは難しいですが、CSS, JavaScript, 画像データについては独自ライセ
ンスの設定が可能ですので、その部分については著作権侵害を申し立てること
はできます。
43. 言い残したこと
●
GPLライセンスは著作権の上に作られています
GPLライセンスは著作権の上に作られています
– テーマを作れば著作権者はあなたです!
テーマを作れば著作権者はあなたです!
●
ライセンス違反は当事者間の問題
– きちんと謝れば済む話です。
– 外野が何を言おうと気にしない。
●
「フリー」は「自由」
「フリー」は「自由」
– GPLは「商用可」です(キリッ
GPLは「商用可」です(
●
ライセンスを必要以上に怖がる必要はありません
45. 参考資料
●
WordPress | 日本語 » テーマも GPL ライセンス: ライセンス:
http://ja.wordpress.org/2009/07/03/themes-are-gpl-too/
●
WordPressのテーマ(テンプレート)のライセンスは、本体と共通なのか | オープンソー
WordPressのテーマ(テンプレート)
ス・ライセンスの談話室:
ス・ライセンスの談話室:
http://www.catch.jp/oss-license/2012/03/04/wordpres_theme/
●
WordPress を使うなら知っておきたい GPL ライセンスの知識【基本編】 | WP-D:
http://wp-d.org/2012/11/07/1046/
●
GNU GPLに関して良く聞かれる質問 - GNU プロジェクト - フリーソフトウェア財団
GPLに関して良く聞かれる質問
(FSF): http://www.gnu.org/licenses/gpl-faq.ja.html
●
知る、読む、使う! オープンソースライセンス / 可知豊 - 達人出版会: 達人出版会:
http://tatsu-zine.com/books/osslicense
●
オープンソースライセンス - Open Source Group Japan Wiki - SourceForge.JP:
http://sourceforge.jp/projects/opensource/wiki/licenses
●
オープンソースソフトウェアの育て方: http://producingoss.com/ja/
オープンソースソフトウェアの育て方:
46. 使用した写真 Attribution 2.0 Generic (CC BY 2.0)
● This rock is Copyrighted. (But the photo is Creative Commons) | Flickr - Photo Sharing!:
http://www.flickr.com/photos/brian-fitzgerald/229296257/
● Sing from above | Flickr - Photo Sharing!: http://www.flickr.com/photos/nanderson/20411754/
● Source code ON PAPER | Flickr - Photo Sharing!:
http://www.flickr.com/photos/toolmantim/6170448143/
● A Poet Writing | Flickr - Photo Sharing!: http://www.flickr.com/photos/thedarkthing/5147484850/
● illustration friday #2 | Flickr - Photo Sharing!:
http://www.flickr.com/photos/everydaypants/2318681211/in/photostream/
● S.C. Drives License | Flickr - Photo Sharing!:
http://www.flickr.com/photos/khawkins04/6191014619/
● IXS_8095 | Flickr - Photo Sharing!: http://www.flickr.com/photos/acme/3887508762/
● WordPress Stickers Everywhere | Flickr - Photo Sharing!:
http://www.flickr.com/photos/stickergiant/3769771267/
● Question Mark | Flickr - Photo Sharing!:
http://www.flickr.com/photos/51029297@N00/5275403364/
47. ロゴなど
● WordPress › About » Logos and Graphics:
http://wordpress.org/about/logos/
●
GNUの頭 - フリーソフトウェアファウンデーション (FSF):
GNUの頭
http://www.gnu.org/graphics/agnuhead.html
● Subtle Patterns | Free textures for your next web project:
http://subtlepatterns.com/debut-light/
2012/11/30 加筆と訂正
●
p19 図とキャプションの意味が間違っていたのでので修正。
●
Q&AのAnswer追加。
●
p28の参考資料リンクのダブリ削除と事例追加。
●
参考資料リンクにWP-Dを追加。
@y_catchさん、@HissyNCさん、@YukiharuYABUKIさんありがとうございました。