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社会問題とエンターテイメントの融合
- 3. できるからなのではないだろうか。一度ミュージカルの虜になると、それ以降
足しげく劇場に足を運ぶ人ができてくるのも当然のことだ。
しかし、まだ一度も劇場に足を運んだことのない人にとって第一関門となる
のは、値段である。ブロードウェイミュージカルチケットの値段は席により異
なるが、50~100 ドル(約 5,900~11,900 円)で、人気演目の最良の席ともなる
と軽く 2 倍 3 倍以上の値が付くこともある。一度作り上げれば上演を繰り返す
だけの映画と違い、舞台は役者やオーケストラ演奏者、さらには劇場を運営す
る人たちなど、多くの人々がすべての演目で関わることになるため、チケット
代を大幅には安くすることは難しい。評判を聞いていざ行ってみようと試みて
も良い席を確保できるとは限らず、しばしば公演が終わっていることすらある。
上演している劇場まで行くのに交通費もかかり、高いチケット代に加え、労力
に値するものなのだろうかという懸念があっても不思議ではない。なかなか安
易な気持ちで挑戦することができず、敬遠していくのも致し方ない。熱心なミ
ュージカルファンの家族や友人に連れられて例えばニューヨークやロンドンを
訪ねた際に劇場を訪れたとしても、せいぜいその一度きりだろう。限定された
場所にしか劇場がないことも作用して、多数の一般客を一定以上の頻度で劇場
に呼ぶことが困難であり、それができなければ各作品の膨大な製作費を回収で
きないのである。
しかし、この値段なら各種コンサートや演劇、オペラと比べてもミュージカ
ルの値段は大して高いといえないのかもしれない。皆同様に、一定以上の頻度
で足を運んでくれるファンを獲得していかなくてはならない。映画に比べて公
演される劇場数や一日に呼び込める観客数などで圧倒的に不利な立場に置かれ
ているミュージカルが、長所を生かし「生」の演奏にこだわり続けるとするな
らば、それには相当の興行的工夫が求められなければならないだろう。
2 ミュージカル映画の特徴
では、映画はどうだろうか。値段は一定で、シネマズディやレディースディ、
学生割引もある。映画館は世界各国至るところに点在し、容易に行くことがで
きる。ミュージカルと比べての映画の手軽さが、一目瞭然である。
さて、ここで映画の歴史を振り返ってみる。1920 年代後半から 1930 年代前半
にかけてトーキー映画が普及する。トーキーとはフィルムのサウンドトラック
- 8. 要. 人文・社会科学研究 14 2006)153,154
2 The Broadway League
http://www.broadwayleague.com/index.php?url_identifier=broadway-s-econ
omic-contribution-to-new-york-city
3
高橋克依「ブロードウェイ・ミュージカルとサウンド・テクノロジー―現代ミ
ュージカルに表れる問題について―」(北星論集(文)、2004)61
4
佐藤友紀「『ヘアスプレー』公開記念 映画×ミュージカル」(キネマ旬報、2007)
144
参考文献
『ヘアスプレー』アダム・シャンクマン監督、(ギャガ、2007)
高橋克依「ブロードウェイ・ミュージカルとサウンド・テクノロジー―現代ミ
ュージカルに表れる問題について―」(北星論集(文)、2004)、
木村建哉「古典的ハリウッド・ミュージカルにおけるミュージカル・ナンバー
開始の演出:『雨に唄えば』を代表例として」(1952)
荒井健二郎「90 年代のブロードウェイミュージカルの特色」(文化女子大学紀要.
人文・社会科学研究 14、2006)153-161
The Broadway League
http://www.broadwayleague.com/index.php?url_identifier=broadway-s-econ
omic-contribution-to-new-york-city
高橋克依「ブロードウェイ・ミュージカルとサウンド・テクノロジー―現代ミ
ュージカルに表れる問題について―」(北星論集(文)、2004)
佐藤友紀「「ヘアスプレー」公開記念 映画×ミュージカル」(キネマ旬報、2007)
139-153