28. 破壊の形態 期間 1 (破壊前) 期間 2 (破壊後)
(1)代替
当初は劣る代替品が
市場シェアを獲得する
(古典的破壊)
•既存の技術 A は、新しい技術 B よりも優れ
たパフォーマンスを提供している。
— ほとんどの顧客にとって、A の価値は B の価
値を超えている。
—B はニッチな市場に参入する。
—A は B を無視するか、効果的に応答しない。
• B は、十分なパフォーマンスを達成することにより、主要市場で
A に取って代わるところまで改善する (Christensen 1997)。
• 代替は、部分的または全体的である可能性がある。
影響: 技術 A のコア需要が減少する。 A を生産している既
存企業は、縮小する市場で市場シェアを維持する可能性があ
る。
(2)補完パターン1
補完が付加価値を減
少させる(コモディティ
化)
• 既存企業 A のオファーは、補完品 B の可用
性から利益を得る。
• A は中心的で強力である。
• B の改善は、A の価値創造を増加させる。
• 補完品 B が差別化の場所となり、Aが競争するための参入障
壁を減少させる。
• A は独自性を失い、システム内でより弱い交渉ポジションに移
行するが、置き換えられるわけではない。A と B は共存し続ける。
影響: 既存品 A は、マージン、交渉力、影響力を失う。 A の
需要は変わらないが、Bが新規参入すると既存企業の市場
シェアは減少する可能性がある。
(3)補完パターン2
補完が直接のライバル
として参入する(隣接
参入)
• 既存企業 A のオファーは、補完品 B の可用
性から利益を得る。
• A は中心的で強力である。
• A と B は競合しない。
•B は A のビジネスに直接参入し、補完品とコアの両方を提供す
るため、バンドルされた A-B オファーを販売することができる。( A
と B を分けておくことはできるが、価格を引き下げる)
•A は、市場規模が拡大し、B の需要の増加から非対称的に恩
恵を受けるが、その一方、Bは 業界経験のない新規参入者と異
なり、既知のブランド、関連するチャネル、消費者との関係から利
益を得ることができる。
影響: 既存企業は、市場シェア、影響力、支配力、および/ま
たは交渉力を失う。市場のサイズは維持または成長する。
(4)補完パターン3
補完が代替になる(価
値反転による変位)
• A と B は補完品である。
• B の改善は、最初は A の価値創造を増加さ
せる。
•B の継続的な改善により、A の必要性がなくなる。
•したがって、B は、A と B の組み合わせを徐々に置き換える。
影響: B が A に置き換わるため、A のコア需要は減少する。
代替と補完(パターン1,2,3)の破壊前・破壊後
46. 参考文献
• Ron Adner, Marvin Lieberman, “Disruption Through
Complements”, Strategy Science, Vol.6, No.1, pp.91-109,
2021.
• Ron Adner, Phanish Puranam, Feng Zhu, “What Is Different
About Digital Strategy? From Quantitative to Qualitative
Change”, Strategy Science , Vol. 4, No. 4, pp.253–261, 2019.
• CM. Christensen, “The Innovator’s Dilemma: When New
Technologies Cause Great Firms to Fail”, Harvard University
Press, Boston, 1997 .
• MG. Jacobides, C. Cennamo, A. Gawer, “Toward a theory of
ecosystems”, Strategic Management J., Vol.39, No.8,
pp.2255–2276, 2018.
• Keith D, MacDuffie JP, “Turning points in the future mobility
value chain”, Working paper, MIT Sloan School of
Management, Cambridge, MA, 2018.