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20150321豊橋市青年会議所「ネット選挙と若年世代にとっての可能性と課題」

3月21日(土)@ 豊橋 公益社団法人豊橋青年会議所 2015年度3月例会 「ケータイで豊橋の未来を変える――若者へ伝えたいネット選挙と可能性」講演資料です。

西田亮介,2015,「ネット選挙と若年世代にとっての可能性と課題」豊橋青年会議所 2015年度3月例会 「ケータイで豊橋の未来を変える――若者へ伝えたいネット選挙と可能性」(2015年3月21日@豊橋市公会堂).

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20150321豊橋市青年会議所「ネット選挙と若年世代にとっての可能性と課題」

  1. 1. ネット選挙と 若年世代にとっての可能性と課題 2015年3月21日@豊橋青年会議所 2015年度3月例会 「ケータイで豊橋の未来を変える ――若者へ伝えたいネット選挙と可能性」 西田亮介 立命館大学大学院先端総合学術研究科 特別招聘准教授 ryosukenishida@gmail.com
  2. 2. 2   自己紹介 •  立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授。博士(政策・メディア) •  国際大学GLOCOM客員研究員。北海道大学大学院公共政策学連携研究部附属公 共政策学研究センター研究員等。総合研究開発機構客員研究員。毎日新聞社客員研 究員。認定NPO法人育て上げネットフェロー。 •  専門は情報社会論と公共政策。情報化と社会変容、情報と政治(ネット選挙)、社会起 業家の企業家精神醸成過程や政策としての「新しい公共」、地域産業振興、協働推進 等を研究。 •  1983年京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科 修士課程修了。同大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。 •  同大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、(独)中小機構経営支援情報 センターリサーチャー、東洋大学、学習院大学、デジタルハリウッド大学大学院非常勤 講師等を経て現職。 •  著書に『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)「ネット選挙と デジタル・デモクラシー」(NHK出版)。共編著・共著に『無業社会 働くことができない若 者たちの未来』(朝日新聞出版)『「統治」を創造する』(春秋社)『大震災後の社会学』 (講談社)ほか。
  3. 3. 問題意識:社会問題と政治参加を 同時に問い直す •  『無業社会 働くことができない若者たちの未来』  (工藤啓との共著,2014年,朝日新聞出版) •  『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』 (2013年,東洋経済新報社) •  『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』(2013年, NHK出版) 3
  4. 4. 4
  5. 5. 5   ネット選挙解禁 •  公選法第142条に、ウェブサイト等を利用す る方法による文書図画の頒布、に関する項 目を追加 –  従来規制はそのまま。成年規制等 •  電子メールは候補者、政党等に限る •  有償バナー広告は政党等に限る •  落選運動の位置付け
  6. 6. •  「ネット選挙」とはなにか?   6
  7. 7.     2013年公選法改正以前
 (ネット選挙解禁以前) 2013年公選法改正後
 (ネット選挙解禁後) 文書
 図画 頒布 ウェブサービス
  個別サイト、ブログ、
  twitter、facebookなど × 利用が認められない文書図画
   ※ただし一般有権者のソーシャルメ ディア利用などは、実際に行われてお り、改正以前も取り締まられていな かった。 ○  SNSでは個別アカウント宛のメッセージも利 用可 電子メール 候補者
 △ 政党 △ 一般有権者
 × バナー広告 × ○ × インターネットメディア ○放送法の規制も受けない パンフレット・書籍 ○  ただし、届け出の必要や内容への規制もあり、頒布可能なのは選挙事務所内、演 説会会場、街頭演説場所のみ。 通常葉書・届け出たビラ ○  候補者一人当たりの枚数は衆院選、参院選では以下のとおり。都道府県知事、地 方議員など選挙によって条件は異なる。また、証紙貼付などの規制もある。
    衆院小選挙区(葉書:3万5000枚、ビラ:7万枚)
    参院比例代表(葉書:15万枚、ビラ25万枚)
    参院小選挙区(当該都道府県の区域内の衆院小選挙区の数が1の場合、葉書:3 万5000枚、ビラ10万枚。1を超える場合、1増すごとに葉書:2500枚、ビラ1万5000枚加 える)   掲示 立札、ちょうちん、看板 ○  選挙事務所の表示、選挙カー・船舶、演説会の開催中会場表示。ただし大きさや 枚数は規定される。 ポスター ○  上記立札等と同様の条件に加え、衆院小選挙区・参院選挙区・都道府県知事候 補者の個人演説会告知、ほか選挙運動のために使用するもの。ただし、表面への「掲 示責任者・印刷者の氏名・住所」記載、「証票」貼付など細かな条件に則ったもののみ。 候補者たすき、胸・腕章 ○ アドバルーン、ネオン・サ イン、電光による表示、映 写等 ×   テレビ・ラジオ ×  放送時間や扱いに不平等のないよう注意深く番組制作・報道が行われる。放送法 によっても規制されている。 新聞・雑誌 × 「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて」の報道、評論を掲載するこ とはできない、とする規制に従う。 電話 ― 規制の範囲外にあるとして、利用されている 戸別訪問 × ただし、数軒おきの訪問は、実質的には行われていることもある (注)1. 公職選挙法の規制の下で、◯は「利用可能」 ☓は「利用不可」、もしくは「実質的に利用不可」、△は「制限付き利用可能」。 2. ―は公職選挙法の「規制の範囲外」。 7
  8. 8. 8   日本のネット選挙解禁 •  公選法第142条に「ウェブサイト等を利用す る方法による文書図画の頒布」に関する項 目を追加。 –  従来規制はそのまま。成年規制等 •  電子メールは候補者、政党等に限定。 •  有償バナー広告は政党等に限定。 •  落選運動を定義。
  9. 9. 9   ネット選挙解禁の歴史 •  1996年に新党さきがけが旧自治省に問合せ •  2000年代民主党が解禁を提唱 •  2010年に与野党合意に至るも、その後民主党は推進せず •  2012年衆院選直前に、安倍総裁が解禁に注力することを宣言。 自民党対象直後から積極的に関与。 •  2013年自民党執行部中心に議論が加速。2013年4月19日の 参院本会議で成立。
  10. 10. 情報技術(IT)と「合理的楽観主義」 •  情報技術の合理的楽観主義。   –  「漸進的改良主義」   •  「カリフォルニアン・イデオロギー」。シリコンバレー特有の文化的特性が、開発者、 ITサービスの設計思想に色濃く反映。ただし、それらは日本政治や選挙との相性 を念頭に置いたものではない。   •  選挙運動が表現の自由と密接に関連すると考えられている≒したがって極力規 制を設けない英米圏との差異。アメリカはとくに1987年に公正原則も撤廃。   –  1950年に選挙に関する法律を集約して産まれた公選法。   –  制度設計は、韓国と近い。韓国は盧武鉉の大統領選挙からネット選挙を導入   –  ネット選挙で有名なエストニアは、旧ソ連からの独立時に、ITの徹底を国是に。   –  アメリカ型の選挙制度が必ずしも、良いというわけではない。過剰な政治化、総力戦、マーケ ティングのF1としての大統領選挙、国民感情の分断。     •  日本政治との相性と、ネット選挙解禁に対する多くの期待と「誤解」。   10
  11. 11. 11   ネット選挙と整合性の課題―― 公選法 •  「均質な公平性」と「漸進的改良主義」 –  文書図画の制限列挙形式と、ネットのみ広範に創意工夫と試 行錯誤が可能になったネット選挙の制度設計が共存 •  放送法の「放送」と、ネットにおける動画の 関係 –  将来、ネット動画の視聴者数と影響力が増すようになれば、現行 制度が不整合を起こす可能性は高い。
  12. 12. 12   ネット選挙解禁の 「誤解」と「理念なき解禁」 •  投票率の向上? –  福岡県中間市43.64%(戦後最低) –  2013年参院選52.61%(戦後3番目の低さ) –  2014年衆院選52.66%(戦後最低) •  ITに特化した候補者の相次ぐ落選 •  金のかからない選挙? •  変化仮説or正常化仮説(平準化仮説or通常化仮説) •  なりすましと誹謗中傷の問題。他方、ネット選挙関連 の公選法違反は無し
  13. 13. 13   ネット選挙の成果と課題 •  政治の透明化 •  双方向性の課題 ――ネット選挙で「勝てる」のか •  (政党とネット選挙) ※本日は割愛
  14. 14. 14   政治の透明化 •  政治家の呟きの「くだらなさ」を、ネット以外の媒体でも 報道できるようになった。 •  ネットによる衆人環視状況 –  ネットにおける政治番組の増加 •  時間が経過し、情報が蓄積すればするほど有益に。
  15. 15. 15   双方向性の課題 •  ネット選挙推進、戸別訪問解禁で、本当に双方 向の議論は加速するのか。 •  なぜ、日本のネットで、政治についての双方向 の議論≒熟議が生じないのか。 –  双方向の議論を阻む政治習慣 –  ユーザー間の相互作用を促進するツールの不在と、 その是非
  16. 16. 16   情報伝達の経路と メディアへの「信頼」 •  日本におけるメディア状況の特殊性 – テレビ視聴率1%≒50万人〜100万人 – 全国紙3社の新聞発行部数(2012年) •  読売新聞:約 1000万部 •  朝日新聞 :約750万部 •  毎日新聞:約350万部 •  世界の新聞発行部数1位、2位、4位 – 影響力の大きいマスメディアが複数存在
  17. 17. 17   ネット選挙に集中した候補たちの 「失敗」 •  2013年参院選における鈴木寛候補、山本太郎候補(552,714票、666,684 票)の評価困難 –  現職候補とテレビタレントとしての認知度 •  三宅洋平、伊藤洋介の落選(176,970票、37,423票) –  ただし、三宅洋平は「選挙フェス」という新しい政治コミュニケーションを展開、その効果 は要検討? –  宮城選挙区 •  2014年東京都知事選挙における家入一真候補(88,936票) –  唯一の若年世代候補等の影響 –  過去の選挙におけるネットを背景にした候補との比較 •  2010年参院選:三橋貴明候補(自民党比例区)42,246票 •  2007年参院選:神田 敏晶(無所属東京選挙区)11,222票 •  「ネット候補」10万票の壁:選挙区、比例区問わず、無名候補では三宅のみ。
  18. 18. 18   日本のメディア環境: 情報伝達の経路とメディアの「信頼」 •  「Blogosphere」の未形成 –  アメリカ中心にネットメディアとそこでの議論が「信頼 に足る」という規範が醸成。 –  日本の状況。 •  「情報の信頼度の高さ」は「テレビ(NHK)」 (47.3%)「新聞」(44.1%)「インターネット」(7.8%) (日本新聞協会,2011,『2011年全国メディア接 触・評価調査報告書』.) •  ただし、実用性に関するスコアでは拮抗している。
  19. 19. 19   政治のフレームワーク教育の 不在? •  政治と政局を判断する合理的なフレームワークと、学習機会が不 在? –  日本史:近代史までが中心 –  政治経済:原理と原則が中心 –  現代社会:主題別カリキュラム構成 •  模擬選挙は、各種社会状況を資料に、政党別の政策を参照した選 択中心で、実際の投票行動とは異なる? –  杉並区和田中の模擬選挙に参加しての所感 •  経営学とビジネススクール教育における、選挙版ケースメソッド? –  実際の選挙の各種指標を参考に、有権者、候補者、メディア等 に分かれて、意思決定と戦術選択を議論させながら、学習?
  20. 20. イメージ政治 •  有権者が急な解散や複雑な政局のなかで、政治に対 する理解や認識を形成できず、また政治もそこに付け 込んで印象獲得に積極的になるといった理由で、「イ メージ」に基いて政治が駆動する状態。   •  政治マーケティング技術の向上と、情報化社会のスピ ンドクターの存在。   •  「データに基づくイメージ政治」   –  2013年参院選では、「ネット世論」を見ながら、実際の選 挙運動の演説に反映するといった技法が展開。 20
  21. 21. ネット選挙とその展望 •  (情報)技術だけが、投票行動を規定するわけではない。   •  政局、既存の政治習慣(経路依存性)、政治の力学、複合的な情報 環境、有権者のメディアへの信頼等が投票行動に影響。   •  制度に目を向けても、本来、公職選挙法、放送法、政治資金規正法、 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報 の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)が影響。   •  情報と政治の関係を理解するためには、技術に加えて、政治、社会、 メディア、文化への目配りが不可欠。   •  情報化時代のスピンドクターと「イメージ政治」に、(ジャーナリズムは、 そして有権者は)いかに対峙するか。   •  投票年齢の引き下げとリテラシーの醸成をいかに実現できるか。   •  日本型のネット選挙のあり方を改めて構想できるか。   21
  22. 22. ネット選挙と 若年世代にとっての可能性と課題 2015年3月21日@豊橋青年会議所 2015年度3月例会 「ケータイで豊橋の未来を変える ――若者へ伝えたいネット選挙と可能性」 西田亮介 立命館大学大学院先端総合学術研究科 特別招聘准教授 ryosukenishida@gmail.com

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