「今日のチューリング賞」はチューリング賞受賞者を簡単に紹介するシリーズです。 今回は、アメリカの計算機科学者であり、コンパイラ最適化技術の基礎を築いたフランシス・E・アレンを紹介します。

1. 今日のチューリング賞
18.フランシス・E・アレン(2006年受賞)

2. コンピュータ・サイエンス分野において、
大きな功績を挙げた人物に対して送られる賞。
1966年開始。
受賞者は一年に一人のみ。
2019年5月現在、53名(組)。
よって、チューリング賞受賞者を知れば
コンピュータの歴史が大体わかる。
チューリング賞とは

3. フランシス・E・アレン
今日紹介するチューリング賞受賞者
1932-
アメリカの計算機科学者
IBM所属
2006年チューリング賞受賞

4. 1912チューリング 1934ヴィルト
コンパイラに大きな貢献をした人々
1932アレン
※青枠はチューリング賞受賞者
1942キンドール
1924バッカス1902ホッパー 1939ハート
1925コック

5. コンパイラ最適化技術の
基礎を築いた。
アレンの主な功績

6. アレン以前: コンパイラの登場と発展

7. コンパイラの登場と発展
1952: A-0 System
レミントン・ランド社の
ホッパーが開発。
最初の商用コンピュータ
「UNIVAC I」用に製作された
世界初のコンパイラ。
サブルーチンを取り込むだけの
原始的な仕様だった。
ホッパー
UNIVAC I

8. コンパイラの登場と発展
1957: FORTRANコンパイラ
IBMのバッカスが開発。
IBM704のため、アセンブリ言語に
変わるものとしてFORTRANを開発。
最適化機能を持つ
最初のコンパイラだった。
バッカス
IBM704

9. コンパイラの登場と発展
1962: LISPコンパイラ
MITのハートとレビンが開発。
最初のセルフホスティング
コンパイラ。
初期のコンパイラはアセンブリで
書かれていたが、
LISPコンパイラはLISPで
書かれている。
マッカーシーの超循環器理論により
実現。
ハート
マッカーシー

10. アレンの仕事: コンパイラ最適化

11. アレンの仕事: コンパイラ最適化
1957: アレンが数学の博士号を取得。
IBMに入社。
1966: 論文「Program Optimization」
プログラム解析の端緒を開いた。 アレン
の同僚たち
マンデルブロブルックスバッカス

12. アレンの仕事: コンパイラ最適化
1971: 論文「A Catalog of
Optimizing Transformations」
アレンとコックの共著論文。
コンパイラ最適化変換における、
初の体系的な論文となった。
以下のURLから読める。
コック
アレン
https://www.clear.rice.edu/comp512/Lectures/Papers/1971-allen-catalog.pdf

13. アレンの仕事: コンパイラ最適化
アレンの着想: コードを要素に分けてグラフ化する
それにより、環境変数等による条件分岐がある場合、
コンパイル時にそれを解析して不要となった条件を
自動で省くことができるようになった。

14. まとめ

15. プログラム解析の基礎を築き、
コンパイラ最適化技術の
体系化を通じて、
ハイパフォーマンス・
コンピューティングに
大きく貢献した。
女性最初のチューリング賞
受賞者となった。
フランシス・E・アレンのまとめ