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ライブラリー・リソース・ガイド
第15号/2016年 春号
発行/アカデミック・リソース・ガイド株式会社
Library Resource Guide
司書名鑑 No.11 山崎博樹(前・秋田県立図書館副館長)
連載 嶋田学 図書館資料の選び方・私論 ∼その2∼
総特集 鎌倉幸子/ふじたまさえ
これが図書館の広報だ!
総特集 鎌倉幸子/ふじたまさえ
これが図書館の広報だ!
マガジン航 Pick Up Vol.4 博物館をネット上にひらく試み[仲俣暁生]
LRG Library Resource Guide
ライブラリー・リソース・ガイド
第15号/2016年 春号
発行/アカデミック・リソース・ガイド株式会社
司書名鑑 No.11
山崎博樹(前・秋田県立図書館副館長)
連載 嶋田学
図書館資料の選び方・私論 ∼その2∼
総特集 鎌倉幸子/ふじたまさえ
これが図書館の広報だ!
総特集 鎌倉幸子/ふじたまさえ
これが図書館の広報だ!
マガジン航 Pick Up Vol.4
博物館をネット上にひらく試み[仲俣暁生]
図書館の業界と付き合ってきて、正直、思うところがある。と書き出すと、日
頃からあちこちで手厳しい発言をしているだけに、「今度はなんだ⁉」と思われる
かもしれません。しかし、ここで言いたいことはシンプルです。それは「理論と
実践の両面で鍛えられたスタンダードが、あまり確立されていない」ということ
です。そして、それゆえでしょうか、よその業界からすれば、ちょっと違和感を
受ける珍説奇説が意外と信頼を集めています。これは図書館の主たる目的や役割
を語る言説にではなく、その周辺を語る言説に少なからず見受けられるように
思っています。
本誌では、私たちARGスタッフが感じるそういった素朴な疑問を記事というか
たちに変えて提示しています。そのとき、イソップ寓話に「北風と太陽」という話
があるように、「よりよい」(と思われるもの)を具体的に示すとこと、そこに大
きな意義を感じています。これまで14回発行してきた本誌のいずれにもその考
えは宿っていますし、今号にも宿っています。読了した後に、そんな編集・発行
サイドの意図がじんわりと伝わりましたら、それ以上に嬉しいことはありません。
さて、今号では、本年2016年1月1日から弊社に加わった鎌倉幸子による「こ
れが図書館の広報だ!」を、総特集で掲げています。鎌倉には、これまでも本誌
に何度か寄稿してもらっていますが、今回は彼女自身のライフワークともいう
べき「広報」について、出し惜しみなく書き下ろしてもらいました。国内外のあ
りとあらゆるシチュエーションで「結果」を出すことが常に求められるという環
境──まあ、当たり前といえば当たり前ですが──での彼女の実践と経験、また
その表裏一体である理論を味わってください。そして、その技を自分のものとし、
読者の皆さん自身の日々の実践の中で、結果となるように生かしてほしいと思っ
ています。これは筆者である鎌倉にとっても切なる願いでしょう。
巻頭言 実りのある学びに向けて
002 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
巻頭言
なお、あわせて、先の第14号から本誌の責任編集の任に就いたふじたまさえ
による、本特集に付した事例集も理解の参考となるでしょう。ふじたは弊社ス
タッフであると同時に、「図書館をもっと楽しく」を掲げて多彩に活動する株式会
社カーリルのマーケティング担当役員でもあります。広報・マーケティング面で
のカーリルの巧みさはいうまでもありません。その経験と実績を有するふじたの
眼で選び抜いた事例もぜひ参考にしてください。
特集の他には、定番のコーナーである司書名鑑、「図書館資料の選び方・私論、
マガジン航Pick Up、弊社コーポレートレポートというラインナップになってい
ます。
司書名鑑には私が司会する能力において、この方にはかなわないと心底思う山
崎博樹さんを迎えました。秋田県立図書館を日本トップクラスの県立図書館に引
き上げたその手腕と心持ちを、多くの方々に知っていただければと思います。連
載「図書館資料の選び方・私論」は第2回となります。ちなみに、筆者である嶋田
学さんが準備を進めてきた瀬戸内市民図書館がついにこの6月に開館します。こ
の連載で語られていることが新図書館にどのように反映されているのか、現地を
訪ねる楽しみにもなるのではないでしょうか。マガジン航Pick Upでは、春先に
行われたウィキペディアタウンの取り組みについての仲俣暁生さんによるレポー
トを再録しています。当日の様子がリアルに味わえるはずです。
そして、今回からコーポレートレポートをA面とB面に分け、オフィシャルな
弊社の活動報告に加えて、弊社スタッフによるカジュアルな個人レポートが登場
しています。本誌をつくっている弊社スタッフを少しでも身近に感じていただけ
れば幸いです。
編集兼発行人:岡本真
003ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
巻頭言
LRG CONTENTS
Library Resource Guide
ライブラリー・リソース・ガイド 第15号/2016年 春号
巻頭言 
実りのある学びに向けて[岡本真]
総特集 
これが図書館の広報だ![鎌倉幸子]
図書館 100 連発に学ぶ! 
小さな工夫で伝わる PR を[ふじたまさえ]
マガジン航 Pick Up Vol.4 
博物館をネット上にひらく試み[仲俣暁生](「マガジン航」編集人)
連載 
図書館資料の選び方・私論 ∼その 2∼[嶋田学]
司書名鑑 No.11 
山崎博樹(前・秋田県立図書館副館長)
アカデミック・リソース・ガイド株式会社 業務実績 定期報告
定期購読・バックナンバーのご案内
次号予告
…………………………………………………………… 002
………………………………………………………… 005
………………………………………………… 097
……………………… 118
……………………………………… 124
……………………………………………………………… 136
…………………………………… 145
………………………………………………………………… 156
………………………………………………………………………………………………… 159
総特集
これが図書館の広報だ!
鎌倉幸子/ふじたまさえ
006 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
はじめに
2014年、武雄市図書館が「経済効果は広告換算だけで20億円」と発表しました。
広告換算とは聞きなれない言葉かもしれませんが、それでも20億円という数字
で驚かれた方もいるのではないでしょうか。
武雄市図書館と自分の図書館を比べたときに違うことは何でしょうか。図書館
サービスについては引けを取らない、いやそれ以上のことをやっていると思うの
に、広告換算にして20億円を生み出していますかと問われると、委縮してしま
うのではないでしょうか。
「広告換算」とは、活動がメディアに取り上げられたインパクトを指します。広
報担当は取り上げられた新聞の記事の面積を測ったり、テレビに出た場合、何分
何秒、出たかを記録したりして、そのサイズや時間を、広告記事やCMを流した
場合にかかる費用と重ねて割り出しています。つまり武雄市図書館とあなたの図
書館の違いはサービスや活動の量や質の差にあるのではなく、メディアへの露出
の差にあるのです。
図書館の活動は、目立てばよいというものではないと思う方も多くいるかもし
れません。もちろん露出することに力を入れすぎて、活動がおろそかになっては
これが図書館の広報だ!
青森県弘前市生まれ。アメリカ・バーモント州のSchool
for International Training で異文化経営学修士。1999 年
~ 2015年まで公益社団法人シャンティ国際ボランティ
ア会に勤務し、カンボジア事務所図書館事業課コーディ
ネーター、東日本大震災図書館事業アドバイザー、広報
課長を務める。2016年からアカデミック・リソース・
ガイドのプロジェクトマネージャー。
鎌倉幸子(かまくら・さちこ)
本稿は、JSPS科学研究費補助金(課題番号26280120、研究代表者:九州大学附属図書
館 准教授 渡邊由紀子)の助成、ならびにInformation Literacy Instruction ライブラリアン
育成事業の一環として開発された大学図書館員向け広報教材「大学図書館が活きる効果
的な広報」をもとに、加筆修正したものです。
007ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
本末転倒です。ただ、日々の暮らしにおいて課題を抱えた人たちが、図書館がそ
の解決のために役立つ施設であることを知り、問題を解決できるとしたら、まず
はその「存在」を知ってもらうことに、とても重要な意味があります。
広報・PRをすることは、図書館のためではありません。すべての人たちの学
習や暮らしを支えるためなのです。
前職の国際協力NGOで、私は広報とファンドレイジング(資金調達)の担当
だったこともあり、NPOやNGO向けのセミナーで講師をする機会をいただいて
いました。2013年になると、図書館がメディアに取り上げられるケースが増え
てきたためか、公共図書館でも広報・PRについて学びたいというリクエストが
寄せられるようになりました。東京都立中央図書館での都内の図書館職員向けの
研修会、佐賀県立図書館、調布市立中央図書館、目黒区八雲中央図書館、高知市
民図書館などで、「図書館と広報」のワークショップを実施しました。しかし限ら
れた時間での講義と実践では、とても全体をカバーしきれません。
また2015年度に、図書館の広報教材をつくる担当をしました。広報・PRと聞
くと、チラシやポスターをつくる、ソーシャルメディアを活用するなどの活動に
目がいきがちです。これからこの論考で述べるように、広報・PRは単なるモノ
づくりではありません。広報・PRの基本を押さえた上で広報媒体をつくること
が重要です。そうすれば、「なぜそれをつくるのか」という理由づけがきちんとな
されるはずだからです。それは自分が広報をする活動に対して納得をすることで
あり、上司や議会などから質問をされたときにきちんと返答できることにもなり
ます。
図書館の運営に関する本はたくさん出ていますが、図書館の広報に特化したも
のは数が限られています。同時に企業向けの広報関連の本では、公共施設や大学
についての記述も限られています。
この特集では、広報・PRとは何かという基礎から実践事例まで紹介し、図書
館の広報担当者が押さえるべき事柄を網羅します。ぜひ「図書館の広報担当に任
命された」と想像しながら、読んでいただければ幸いです。公共図書館はすべて
の人の生涯学習のために、大学図書館は教員の教育研究や学生の学習のために大
切な機関です。広報・PR活動を通じて、図書館の持っている価値を伝え、たく
さんの人に利用してもらいましょう。
008 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
1. 図書館における広報・PR とは?
図書館における広報・PRと聞いて、何を想像されるでしょうか。住民に図書
館を知ってもらうこと、そのために新聞などのメディアで取り上げてもらうこと、
チラシをつくること、ウェブサイトを充実させることなどの声が上げられるかも
しれません。イベントのときに「広報する」というと、「集客する」という意味とし
て使われていますが、実際にはもっと広い領域をカバーしています。
まずは、「広報・PR」を正しく定義していきましょう。
1.1 広報・PRとは
広報は英語でいうとPublic Relations(PR)となります。Relationsが示す通り「関
係性づくり」がキーワードです。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協
会が出している『広報・PR概論』では、広報・PRは、「企業、行政、学校、NPO
等あらゆる組織体が、その組織を取り巻く多様な人々との間に継続的な“信頼関
係”を築いていくための考え方と行動のあり方である」と定義されています。
近年「その組織を取り巻く多様な人々」は、ステークホルダー(利害関係者)と
呼ばれています。ステークホルダーから信頼関係を得るためにどうすればよいの
かを常に問うのが広報・PRです。ステークホルダーについては後で詳しく述べ
ますが、公共図書館の場合では、ステークホルダーとして考えられる利用者、行
政の執行部、議員、他の図書館と、どのようにコミュニケーションを取ると信頼
関係を構築できるのかを考えます。
信頼関係の構築と聞くと大掛かりなことだと思いがちですが、自分自身の日々
の生活を思い出しましょう。話をしやすい人、信頼できる人、逆にとっつきづら
い人、信頼できない人が周りにいるのではないでしょうか。なぜそう感じるのか、
なぜその人を信頼できるのか、できないのかを考えてみましょう。
1.2 広報・PRの4つの理念
1967年に東京大学社会科学研究所から出された『行政広報論』の中で、著者の
井
い
出
で
嘉
よし
憲
のり
は広報・PRの4つの理念を唱えました。だいぶ昔に出版された本ですが、
その4つの理念は今でも広報・PRに関わる人は考慮すべきといわれています。
一つ目は「事実に基づいた正しい情報を提供する」こと。二つ目は「ツーウェ
イ・コミュニケーションを確保する」こと。三つ目は、「人間的アプローチを基本
009ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
とする」こと。そして最後の四つ目は「公共の利益と一致させること」となってい
ます。一つずつ説明をしていきましょう。
一つ目の「事実に基づいた正しい情報を提供する」ことは、広報の大原則です。
事実を隠蔽してはいけません。取材が入った時、広報担当としても情報を持って
いない場合があります。その際には、思いつきでものを言うのではなく、事実確
認してから返答をするようにしましょう。聞かれた質問内容について正確には把
握していないことを正直に伝え、調べた後、回答するようにしましょう。
二つ目の「ツーウェイ・コミュニケーションを確保する」は、広報・PRの定
義にある「継続的な“信頼関係”を築いていくための考え方と行動のあり方であ
る」に直結します。出会って名刺交換をしてから、コミュニケーション・対話を
してお互いを知ることが、信頼関係を築く最初の一歩です。対話の「対」が示す
ように、相手と自分がいてできることです。インターネットが普及し、ブログ、
FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアが台頭してきました。ソーシャル
メディアは簡単にコメントをしたり、返信ができる媒体です。インターネット上
でもツーウェイ・コミュニケーションが取れる時代になりました。
ここで混乱してしまうのが「宣伝・広告」と「広報・PR」との違いです。社会学
者で東京学芸大学名誉教授の濱嶋朗、他2人で編集された『社会学小辞典』(2005
010 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
年、有斐閣、新版増補版)によると、宣伝とは「多数の人々の態度や行動に影響を
与え、一定の方向に操作しようとする意図的・組織的企てのこと」と定義されて
います。情報を発信するという手法は似ているところもありますが、目的は広
報・PRとは全く反対です。広報・PRは意見を聞く受け皿を用意し、積極的な対
話を行います。そして相手の意見が正しければ、自分たちの活動を修正していく
という点において、一方的に情報を発信する宣伝と異なります。
宣伝・広告は、商品、サービス、企業の情報をメディアへの広告出稿などを
通じて発信するので費用も発生します。一方、広報・PRは、業界、企業、製品、
サービスなどに関する情報を発信し、イメージや売上げの向上、一般的な企業イ
メージの確立・維持を行います。プレスリリースなどを通じて情報を発信すれば、
共感してくれた記者によって、記事として取り上げられることもあるでしょう。
また記事にしてもらうためには取材を受けるなどの直接のやり取りも発生します。
ツーウェイ・コミュニケーションを通じて記事ができていきます。
三つ目の「人間的アプローチを基本とする」は、インターネットが普及し、顔を
見合わせながらのコミュニケーションが減っていることから、人間的アプローチ
をすることで情報を受け取った側の気持ちをつかむことが重要です。人となりが
感じられるコミュニケーションとは何か、人となりが想像できるような伝え方と
は何かを日々、自問自答しながら、情報の発信・受信をしていきましょう。
四つ目は「公共の利益と一致させる」です。組織の中には、組織自体の維持に目
が向いてしまい、顧客などの外部のステークホルダーよりも「自分の利益」を追っ
てしまうところもあります。常に顧客を含めた公共の利益を念頭に置くことが、
広報・PR 宣伝・広告
掲載方法 記事・報道 広告・CM
掲載決定権 メディア 企業(広告主)
情報の特性 客観的 主観的
メディアに支払う掲載費 無料 有料
メディア側の担当者 記者・編集者 広告部・広告局
参照:広報・PRと広告の違い http://www.anety.biz/pr/about/difference/
011ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
長期的に見ると「自分の利益」として返ってくることになるでしょう。図書館は公
共のために存在しますから、自分の利益を追求するということはないと思います
が、守秘義務など倫理に反する情報の発信は避けるようにします。
1.3 広報・PRの4つの役割
広報・PRの担当者の仕事は、発信することと思うかもしれません。それだけ
ではないのが広報・PRの仕事です。アメリカのPR会社、バーソン・マーステラ
の創業者で名誉会長のハロルド・バーソン氏は、4つの役割があると述べていま
す。
❶ センサーとしての役割
センサーとは社会の変化を感知し、経営陣に対しその予兆を説明し、ビジネス
や業務に打撃を与えるかどうかを説明する役割を担います。センサーとしての役
割といわれて思い出すのが議会図書室でしょう。地方自治法第100条19項に基
づき、自治体には議会図書室の設置が行われています。そして、議会図書室の司
書は関係部局と協力しながら、議会で討議される予定の資料を揃え、展示をした
り、資料としてまとめたりしています。たとえば三重県議会図書室は、議会事務
局の企画法務課が政務自主調査を行う際、それに関する資料の取りまとめを行っ
ています。それらの資料には社会の動きなどが載っています。まさに政策づくり
のためのセンサーを議会図書室が担っています。
公共図書館が住民に開かれた施設であれば、住民に関係すると予想される社会
の動きを感知して、それに基づいて資料を揃え、また提示していく必要がありま
す。
広報・PRは、遠くに浮かぶ黒雲を見つける仕事ともいわれています。資料へ
の知識はもちろん、今後影響すると思われる事柄を察知する能力も求められます。
そのためには、外へアンテナを張り、常に情報を受信する体制であることが大切
です。
❷ 組織の良心としての役割
誰よりも倫理的で道徳観念を強く持つ立場にいなければいけません。図書館で
あれば、「公共の利益と一致させる」ことなく、自分たちの利益だけを追求する動
きがみられたら、それを止めるように促すのも広報担当者の役割です。それは内
012 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
部において「黒雲を見つける」ことであり、問題の芽が大きくなる前に摘み取る必
要があります。良心としての役割を果たすことは、継続的な信頼関係を築くため
に欠かせない事柄です。
❸ コミュニケーターとしての役割
社外のみならず、社内でのコミュニケーションの要です。社内で起きているこ
とや職員に期待されていることを、全職員に理解してもらうためのハブの役割を
果たします。次項「1.4 広報の活動形態」で詳しく述べますが、図書館であれば、
図書館スタッフと利用者との間のコミュニケーションを円滑に進める役割を超え
て、館内のスタッフ同士が円滑に仕事をするためのコミュニケーターとしての役
割も担います。館長や行政などの方針をスタッフにわかるように伝えるのも、広
報担当者の仕事となります。
❹ モニターとしての役割
行っていることが社会の期待に応えているのかを確かめるモニタリングを行い
ます。図書館であれば、図書館についてのアンケートを実施し、その結果をまと
めることができます。TwitterやFacebookなどを活用している場合、そこに投稿
されたコメントを見ながら、図書館についてどのような印象を持たれているかを
分析することができます。このように図書館のインパクトをモニタリングしま
しょう。WebサイトであればGoogle Analyticsなどのアクセス解析サービスを活
用すると、利用者がWebサイトにアクセスした際の検索ワードや、よくアクセ
スされるページなどがわかります。
そこから、人々が図書館に向けて何を求めてアクセスしているのかを読み取り、
図書館に求められていることが見えることもあります。それをモニターとして上
司のみならずスタッフに共有する機会をつくりましょう。そのような対話を通じ
て、図書館のあり方を考えるきっかけとなります。
図書館の広報・PR担当者は、図書館の活動のみならず、地域社会の動きなど
を把握、分析して、上司、館内はもちろん関係者に提案したり、情報を伝えたり
していく役割を担っているのです。
013ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
1.4 広報の活動形態
先ほど述べた通り、広報の情報発信は外のみならず、内にいるスタッフにも行
います。図書館における広報の情報発信の形態についてまとめます。
・館外からの情報を受信
ツーウェイ・コミュニケーションを確立することが理念の広報・PR業務の中
で、まずは「受信」をきちんと行うことが大切です。利用者、行政職員などさまざ
まな声を広聴し、それぞれの思いを知ることが最初の一歩となります。同じ業界
の人とばかり話をしていると、そこで話されたことが常識となりがちですが、社
会の常識ではないかもしれません。またステークホルダーごとに異なる意見もあ
るかもしれません。広く社会の声を聞くことが大切です。
・館外からの情報を館内へ発信
館外から得た情報の中でも重要と思われることは、館長などトップを始め、館
内に発信する必要があります。「1.3 広報・PRの4つの役割」で述べた通り、セ
ンサーやモニターとしての役割が求められます。
014 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
・館内からの情報を受信
広報・PR担当は、その図書館が目指している方向、館長や行政の考え、ス
タッフの思いなど、館内のあらゆる情報に通じている必要があります。企業では
広報の責任者は経営会議などに出席し、社内の重要な情報を得るようにしていま
す。かつて私が広報課長だったときは、経営者会議、理事会、各課の会議に出席
し情報の収集を行いました。
プレスリリースの作成やFacebookでの情報発信の際に、担当が一番困るのは
「情報がないこと」だと聞いたことがあります。日ごろから図書館内のスタッフや
関係者とコミュニケーションを取ることで、情報を集約できる仕組みをつくりま
しょう。そのためにも先ほど述べた「館外からの情報を館内へ発信」をすることで
内部の信頼を得られ、情報の提供がなされるでしょう。
・館内からの情報を館内へ発信
企業でいう社内広報も広報・PR担当の大切な役割です。館内からの情報の受
信を行い、共有すべきものは、共有していきましょう。組織の潤滑油としての役
割を果たしましょう。広報・PRの理念にある「事実に基づいた正しい情報を提供
する」ことを徹底します。
・館内からの情報を館外へ発信
館内から情報収集をすると、社会的意義に満ち、多くの人に知ってもらいたい
「宝」である情報がたくさん見つかるかと思います。それを発信していきましょう。
気をつけるべきは「図書館中心で発信しないこと」です。あくまでステークホル
ダーのニーズに合わせて発信する必要があります。それは自己満足の発信なのか、
それとも世の中の人が興味・関心、ニーズがあり、知りたいと願っている情報な
のかを評価した上で発信しましょう。関心やニーズを知るためにも図書館を飛び
出し、色々なステークホルダーと対話をする機会を持つようにしましょう。
1.5 広報担当者に必要とされる知識とスキル
アメリカのパブリックリレーションズ協会が発表した「パブリックリレーショ
ンズに関する公式声明」には、「パブリックリレーションズの専門的実務に要求さ
れる知識は、コミュニケーション技術や心理学、社会心理学、社会学、政治学、
経済学、およびマネジメントと倫理の原則などが挙げられる。また、世論調査や
015ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
社会問題の分析、メディアリレーションズ、ダイレクトメール、企業広告、印刷
物、フィルムビデオ制作、特別イベント、スピーチ、プレゼンテーションに関す
る手法上の知識とスキルも要求される」とあります。
すべてのスキルをすぐに取得するのは難しいですが、常に意識をして能力向上
に努めましょう。広報・PR担当になれば、広くスキルアップできるチャンスで
もあるのです。
1.6 なぜ広報がうまくいかないのか
「がんばっているのに広報がうまくいかない!」と思うとストレスを感じるもの
です。限られた人員体制の中で、レファレンス・サービスなどの通常業務をこな
しながらの広報業務は、ときに負担を感じることもあるかもしれません。専属の
広報担当者を置けない図書館が大多数の中で、「全員広報体制」では、結局、何を
やっていいのかわからなくなることもあるのではないでしょうか。
つまり、実は一番の前提条件は、広報に対する「内部の理解の度合い」だという
ことです。広報は重要ではないと大多数の人たちが思っていたら、館内の情報収
集なども「めんどくさい」と思われかねません。スタッフや行政の関係者内で、「図
書館の広報・PRの重要性の共有」がされているかがポイントです。
もしかしたら図書館のスタッフ同士でも温度差があるかもしれません。一人が
イベントのアレンジやチラシづくりなどをがんばり、周りのスタッフは遠くで見
ながら「本業以外の仕事をやっている」などとコソコソ言うといった環境では、や
る気があったスタッフも広報に力が入らなくなってしまいます。
広報がうまくいっている状態とは、「誰に、何の目的を持って、どんな内容の
メッセージを送るのかを明確にした上で、受け取る側が情報源として使っている
ツールを使い発信した情報を、受け取った側が理解し、納得をしてくれた状態」
を指します。メッセージを届けたい人に届けたいメッセージがきちんと伝わり、
納得してもらえたら、それは成功といえます。
うまくいっていない広報はその逆の状態です。つまり「ステークホルダーの分
析を行わずに、これだけは抑えてもらいたいというゴールを明確にせず、メッ
セージ力の低い言葉で発信。受け取る側が情報源として使用していないツールを
使ったため、情報が届いてすらいない」状態です。では、うまくいかないケース
は、どこにその課題があるのか具体的に考えてみましょう。
016 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
最初の課題は、「ステークホルダーの特定」です。ステークホルダーごとに、
使っている言葉や関心が異なります。それに合わせて、メッセージの内容やデザ
インも変えていく必要があります。
また「ツールの選び方」があります。近年では、広報の際にチラシやポスターの
紙媒体のほかに、TwitterやFacebook、LINEなどのソーシャルメディアもツール
として使われるようになりました。ステークホルダーはどこから情報を入手して
いるかを考え、それを踏まえた上で、使う道具すなわち「ツール」を決めていく必
要があります。図書館によってはガイドラインがあり、ソーシャルメディアを使
えず、紙媒体のみというところもあるかもしれません。紙媒体しか使えないので
あれば、情報がいきわたるチャンネルを考えましょう。誰に情報をわたせば伝達
されるのか。川上にいる人に情報を渡して、口コミを起こしてもらいましょう。
学生の図書館サポーターを組織している大学図書館もあります。また公共図書館
も友の会の活動が活発なところもあります。広報も図書館サポーターの大切な仕
事として、図書館で行われるイベントなどの情報を広めてもらうようにしましょ
う。図書館内の限られたマンパワーでは、すべてのことをやれないかもしれませ
ん。周りにいるサポーターの手を借りて進めていきましょう。
2. 広報の目的とステークホルダー
ここまで述べた広報・PRの定義、理念、役割は、すべての機関・施設におい
て共通するものですが、機関によって目的が異なり実際に取り組む際の視点に違
いがあります。ここではまず、大学や行政における広報の目的を中心に見ていき
ましょう。
2.1 大学の広報
大学広報は、目的の異なる3つの広報活動が行われているといわれています。
そしてその目的ごとにステークホルダーがいます。
第一は「入試広報」です。これは入学志願者、保護者、高校教員を意識して行わ
れていましたが、近年は社会人入学も一般的になってきたため、多様化していま
す。またメディアを通じた広報のみならず、関心のある人たちに直接アプローチ
するオープンキャンパスを行う大学も増えました。
オープンキャンパスのときに、大学図書館ツアーを行うところもあります。教
017ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
員の著書を展示して、大学の研究成果を知ることができるコーナーや、大学に
入った後の生活をサポートする本を揃えるなど、大学に親しみを持ってもらう取
り組みは、図書館が行っている入試広報の一つです。たとえば、2013年、鹿児
島大学附属図書館では、オープンキャンパスの中で、図書館内マップに沿って
チェックポイントのクイズに答えながら図書館探検をする館内ウォークラリーを
開催しました。また島津家が所蔵していた『源氏物語』のほか、江戸から昭和初期
の古地図を展示・公開しました。入学志願者が楽しむだけではなく、保護者が関
心を寄せるであろう資料を揃えた企画です。
またビブリオバトルなどのイベントを大学図書館で行うことで、キャンパスに
足を運んでもらうようにしている大学もあります。オープンキャンパスでキャン
パス内を歩き疲れた参加者のために、大学図書館を休憩所として開放している大
学もあります。このように貴重な資料やスペースを持っている大学図書館は、大
学における入試広報においても強みとなります。
第二は「法人広報」です。大学という法人として、地域社会、自治体、文部科学
省を意識し、大学理念や社会的特徴、ブランドメッセージを継続的に発信する広
報活動となります。
大学で出している広報誌は、地域社会、自治体を意識しているのが大半です。
九州大学の「九大広報」は、「主に周辺地域の自治体、高校、企業など学外の方、
また九州大学の教職員、学生を対象とした広報誌です」としています。
第三に「教学広報」があります。これは大学の研究活動や研究機関について、教
員が企業や行政などへ広く伝える広報活動です。近年、大学を取り巻く社会状況
の変化や大学間競争の激化に伴い、大学と企業の産学連携や自治体との地域連携
の期待も強まり、教学広報に力を入れる大学が増えました。そして、大学図書館
は研究活動の成果を蓄積・発信する貴重な機関です。たとえば、明治大学は「平
成23年度未来経営戦略推進経費(経営基盤強化に貢献する先進的取組)採択事業」
として、教学広報の強化を一つの目的とした広報戦略本部を設置するなど、組織
全体として取り組む大学も増えています。
では、あらためて大学図書館のステークホルダーを考えてみましょう。
大学の中には学生、教員、事務局職員などがいます。また入試広報を考えると、
保護者、高校生や社会人の入学志願者がいます。外部には一般市民、企業、行政、
他の大学の人々などが考えられます。卒業生は外部の人ですが、以前は「大学の
018 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
中にいた人」です。このように、どちらにも関わっているステークホルダーもい
ます。
2.2 行政の広報
行政のステークホルダーは幅広いです。市民はもちろん行政職員、その地域に
関わりのある企業、商店、農家、学校、NPO、公共機関がステークホルダーとな
ります。また国や都道府県、外郭団体など関係のある機関もステークホルダーと
なりえます。
また一人の市民も企業で働くワーカーであり、子どもを持つ親であり、ボラ
ンティアでNPOに関わっているなど、一人で何役も担っている人たちもいます。
このような複雑な関係性が絡み合う中で、行政の広報は進められていきます。
1995年1月に起きた阪神・淡路大震災以降、住民の意識が変化していきます。
ボランティア元年といわれるように、1998年には特定非営利活動推進法(NPO法)
が施行され、NPOも自治体の広報に欠くことのできないステークホルダーとな
りました。また2000年には地方分権推進一括法が成立し、自治体は国からの機
関委任事務から法定受託事務を処理することとなり、地域の個性と主体性の発揮
を促していく方向に移行していきました。
この時期に「協働」の動きが出てきました。市民やNPO、企業を単体として見
るのではなく、協働していくことで地域の活動を盛り上げていくスタイルが取ら
れるようになったのです。現在、このような動きに合わせて、行政は広報のスタ
イルを模索している段階にあります。
自治体職員も、かつてのように広報誌を作成したり、ウェブサイトを更新した
り、住民からの苦情に耳を傾けるだけではなく、協働を行うために、組織を越え
て人と情報を結びつけていく力が必要となってきました。そのためには住民が必
要としている情報を得る必要があります。そのときに、公共図書館が持っている
情報の提供は強みであり、その実施のために役場との連携を制度化したり、役場
の中に図書室を設けたりしている公共図書館もあります。
たとえば横浜市中央図書館では、1999年から全国でも先駆けて、図書館によ
る行政サービス「庁内情報拠点化事業」を開始しました。これは市職員への業務支
援が市民の支援につながるよう、市役所内の各部署を対象に日常業務や新たな事
業の企画立案などのために必要な情報調査や資料提供を行う取り組みです。他の
019ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
都市の事例調査や、業務分野に関する最新の動向調査など、より専門的なレファ
レンスにも応えています。
この取り組みは現在も続けられており「横浜市の図書館2015」によると、横浜
市中央図書館は、市職員向けに庁内情報拠点化事業活用研修を実施したり、庁内
ネットワーク上でビジネス誌の最新号の特集記事の紹介をしたりするほか、「め
ざせ☆調査の星」と題したコラムを定期的に更新し、「図書館とのコラボレーショ
ン!~協力講演会・イベントのご紹介」「初めての庁内情報拠点化事業」「仕事で
使おう!ビジネス雑誌」といった、市役所職員が仕事に役立つ情報や、図書館活
用法、調べ方のヒントを紹介しています。
役場の中に図書室を置いている例としては、日野市立図書館が挙げられます。
日野市役所の中に市政図書室を置き、自治体の行政業務の支援と市民に対する情
報公開を行っています。
2.3 ステークホルダー別戦略の作成
ステークホルダーごとに関心は異なります。あらゆるステークホルダーの関心
を均等にカバーするのは難しいかもしれません。そこで、その時の経営戦略や行
政の計画の中で挙げられる重点項目により、多少の優先順位をつけることが必要
になります。また図書館で行われる企画によっても、ステークホルダーが変わっ
てくるかもしれません。
アメリカ図書館協会は、Everyday Advocacyという子ども向けの読書活動の充
実化を進めていくためのアドボカシーキャンペーンを行っています。そのキャン
ペーンサイトの中で、「鍵となるステークホルダーの識別化」というページを設け
ています。ステークホルダーも二層にわかれ、直接的ステーホルダーとして、す
べての年齢の子どもたち、両親、里親などで子どもの保護者となっている人、学
校、教員、デイケアセンターなどの教育関係者、学童保育やボーイスカウトなど
の組織を挙げています。また移民の子どもたちや障害がある子どもやその家族、
LGBTの子どもや両親にも考慮するとしています。間接的ステークホルダーとし
て政治家など影響力のある人たち、自治体や児童に関係する部局の職員、地元企
業、図書館を支援してくれるグループ、資金提供者や組織を挙げています。この
ように誰がキャンペーンに関わってほしいのかを明確にして、アプローチ方法を
考えていきましょう。
020 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
「ステークホルダー別戦略の作成」の際には、6W2Hに沿って考えていきます。
・ステークホルダーとの対話のテーマ[What]
・ステークホルダーの中でも特に対話したい相手[to Whom]
・対話に適切な広報手段や場所[How to、Where]
・適切な時期(タイミング)[When]
・費用対効果を考えた予算[How much]
・連携してほしい他部門の活動[with Whom]
・なぜそれをそのステークホルダーに伝えたいか・目的[Why]
たとえば「対話のテーマ」を「乳がん検診について広く知ってもらう」ことを挙
げましょう。これをテーマに企画展や勉強会を図書館で開くことを計画します。
まず、「特に対話をしたい相手」を考えます。乳がんは30代後半から増え始める
のが特徴でした。しかし近年では食事の欧米化などが影響していると考えられ、
20代など低い年齢層でも発症率が高まっています。今回は20代、30代の女性を
「特に対話したい相手」としました。
「対話に適切な広報手段」を考えたときに、この世代がどこから情報を得ている
021ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
かを考える必要があります。世代別の情報源についてさまざまな調査がされてい
ます。なかには自治体で調査を行っているところもあります。町田市は2012年
度に「『広報活動』に関する意識調査」を市内に在住する満15歳以上85歳未満の男
女3,000人を対象に調査を行いました。それによると20代女性の情報源のトッ
プはテレビで84.4%、次に高いのは家族・友人・地域の住民・職場や学校の人と
の会話、口コミで67.2%、3位のインターネットは65.6%となっています。一番
低いのは「地域の掲示板や回覧板」で9.4%にとどまっています。掲示板・回覧板
を情報源にしている層は50代女性で42.6%、60代女性の60.9%となっています。
家族からの口コミを期待するならば、掲示板・回覧板向けのチラシは母親層に届
くメッセージを書くのがよいでしょう。ダイレクトに伝えるならインターネット
を通じた広報が必要不可欠です。職場の口コミを考えると、地元企業に向けてお
知らせするのも一つの手段です。
「適切なタイミング」は、日本でも浸透してきた乳がんについて正しい知識を得
てもらうための世界的キャンペーン・ピンクリボンが行われる10月第3週の金
曜日の3週間前からとします。「予算」は、関連資料や展示のための装飾に必要な
備品を購入する費用が挙げられるでしょう。「連携してほしい他の部門」は地元の
医師会、企業、自治体の関連部門などが挙げられるでしょう。「目的」は、女性の
がんの発症率として一番多いのが乳がんであることを知ってもらうこと、そして
早期発見であれば命が助かる率も高いため、正しい情報を提供することが挙げら
れるでしょう。
このように6W2Hに企画を当てはめていくと、漏れのない企画書をつくること
ができます。
3. 伝える工夫と情報の見せ方
2015年まで勤務していたシャンティ国際ボランティア会で私が広報担当をし
ていたときに苦労したのが予算です。次年度の予算づくりの際に目をつけられる
のは、実体のわかりづらい広報費でした。もちろん広報がうまくいけば、ファン
ドレイジング(資金調達)も円滑に進む可能性が高くなるため、利益に直結する部
門ではあるのですが、いずれにせよ、予算編成の際にはいつもせめぎ合いをして
いました。そのときに思ったことは「自分でつくり出す言葉はタダ」ということで
す。それから言葉づくりには気合を入れるようになりました。
022 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
当時、私が担当したコピー、「いわてを走る!移動図書館プロジェクト」は、
2011年の東日本大震災後、図書館が大きな被害を受けた岩手県の沿岸部で行っ
ている移動図書館活動のネーミングです。移動図書館自体が車で走る活動であっ
たことと、震災を経験した岩手県の方たちが少しでも前に向かって進むためのお
手伝いをするイメージの単語を考え「走る!」としました。その町の復興という
ゴールまで走り続けないといけないのは東北の人たち自身です。復興は長いマラ
ソンのようです。「走る!」主体は東北の方たちです。シャンティは伴走しながら
皆さんの復興を応援していきたいと考えました。
武永勉の『こうだったのかNPOの広報』★1
には、「広報とは、団体自身や団体の
活動を『他人』に説明し理解してもらい共感や協力を得ること 」と書かれています。
これを読んでわかるように、私たちは全く知らない他人に、メッセージを伝えて
いかねばなりません。岡本欣也の『「売り言葉」と「買い言葉」心を動かすコピーの
発想』★2
では、相手とは誰かを考え、伝わる「ことば」を選ぶことの重要性が書か
れています 。
前出の項目「ステークホルダー別戦略の作成」では、ステークホルダーとの対
話のテーマについて触れましたが、「対話のテーマ」は同じでも、目的や見せ方
を変えたほうがよいケースもあります。ここでは大学図書館を事例に見てみま
しょう。
【事例】
大学図書館内で、大学の教員が行ってきた研究活動の資料を企画展示すること
になりました。入試志願者、企業、大学事務局に向けて、どのような目的で、ど
のように見せていけばよいでしょうか。
入試志願者に向けた広報・PRの目的は「大学に関心を持ち、受験してもらうこ
と」です。研究活動の資料とともに何を展示すれば、この層に関心を持ってもら
えるのでしょうか。たとえば、「この先生から学びたい」と思わせる人となりがわ
かるメッセージや、「大学で学べること」を知ってもらうことでしょう。となれば、
研究活動の資料と一緒に、教員の顔写真と入試志願者に向けたメッセージが書か
れたPOPや、入学志願者やその保護者にもわかりやすく説明した研究の内容を
展示することが有効なはずです。
企業に対しては、「大学との産学連携先としての関係づくりやその強化」などが
023ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
考えられます。研究活動の資料をきちんと保存・提供していることで、知の拠点
としての図書館として認識されるでしょう。企業と大学の産学連携の企画展を大
学図書館で行うとしたら、社会的インパクトや経済効果を数字やストーリーで展
示すると信頼度が高まるでしょう。
大学事務局に対しては、大学図書館の学内での存在価値を認めてもらうことで、
「活動への理解促進や予算を得ること」が広報の目的となるのではないでしょうか。
オープンキャンパスなどのイベントのときには図書館での取り組みに来てもらう
など、図書館に足を運んでもらうようにお願いしましょう。とはいえ、声をかけ
ても毎回、事務局が参加できるわけではありません。その際には、イベントや展
示会の感想や来場者数をまとめた報告書を送って、図書館のインパクトを常に伝
えていきましょう。そのためにもアンケートで参加者の声を集めるなど、情報の
収集も一緒に考えたパッケージをつくることが大切です。
広報・PR担当は常にステークホルダーは「何に共感するか」、「どのような情報
を得たら信頼してくれるのか」という、「共感メッセージ」を考えて企画の見せ方
を決めていきます。
3.1 ACTIONフレームワーク
共感メッセージをつくろうと思っても、どんな切り口で見せていけばよいの
か悩むこともあるでしょう。そんなときに思考の整理に使えるACTIONフレーム
ワークを紹介します。	
・A=Attention(注目)
情報があふれるこの社会では、キャッチコピーや思わず振り向いてしまう写真
など、相手が気にかける何かを仕掛ける必要があります。キャッチコピーでいう
と、流行している言葉を入れてみたり、学生が使う言葉で書いてみたり、届けた
いステークホルダーが使っている言葉を意識してつくってみましょう。写真は人
物が写っていると、思わず見てしまう傾向があります。
・C=Change(変化)
人は変化を見たいし、変化をしたい生き物です。「大学図書館に行ったら、ど
んな変化が自分に起こるのだろう」と期待している学生に答えを提示するような
キャッチコピーをつくりましょう。社会で活躍する卒業生に学生時代の図書館の
024 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
思い出をインタビューして「図書館があるから、今の僕がある」というような言葉
をつくれたら、在学生も未来の自分を想像するかもしれません。どんな変化をも
たらすかを言葉にしましょう。
・T=Trust(信頼)
どういった情報を見たら信頼してもらえるのかについて考える必要があります。
企業や省庁は研究成果の数字や大学の歴史に重きを置くでしょう。数字よりも、
ストーリーに感動する人もいます。展示やイベントの告知の際、ターゲットとし
たステークホルダーを意識して見せ方を決めていきます。
・I=Imagination(想像)
物語が、イメージを湧かせやすくします。Changeにも関係しますが、成功体
験や思わず伝えたくなる、嬉しいストーリーを物語や詩として見せていく方法も
あります。
・O=Only One(オンリーワン)
大学や大学図書館の「オンリーワンのポイント」を伝えましょう。コレクション
025ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
だったり、名物館長だったり、自分たちのウリとなっていることを言葉にしてい
きましょう。
・N=Network(ネットワーク)
図書館に来たら本や人とつながれる、知識がひろがる、情報とつながれるなど、
図書館に来ると得られる「つながりやひろがり」を感じさせる言葉は、目にした人
に希望を与えてくれます。
C=Changeの事例として、私がプロジェクトの構築とプロモーションを担当し、
クラウドファンディング の「READYFOR」で挑戦したプロジェクトでの経験をご
紹介します。このプロジェクトは、シャンティ国際ボランティア会が運営する陸
前高田市の仮設住宅団地の集会場にある図書室に置く書籍や本棚の購入費を集め
るというプロジェクトでした。この試みにどのようなプロジェクト名をつけるか。
READYFORはプロジェトタイトルの文字数が30文字以内と決まっています。言
葉を生み出すにあたり、私たちが考えたのは以下のポイントです。
1)どこで(陸前高田市で)
2)今どのような状態で(図書室はあるが空っぽ)
3)あなたが支援をしてくれたら、どんな状態に生まれ変わるか(本でいっぱい
になる)。
こうして、プロジェクトタイトルを「陸前高田市の空っぽの図書館を本でいっ
ぱいにしようプロジェクト」と名づけました。
BeforeとAfterを見せ、支援した後のことをイメージしやすいようにしたネー
ミングが功を奏したのか、目標額200万円のところ800万円を超える資金調達を
実現しました。
言葉づくりに迷ったら、このACTIONを切り口に考えてみるとヒントを得られ
るかもしれません。また一人でキャッチコピーをつくるよりも、何人かでワイワ
イと話し合いながら紙に書いていくと、思わぬ言葉が生まれることもあります。
まずは身構えずに、楽しんで言葉づくりをしてください。
026 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
4. ブランディング
ブランドは、経営やマーケティングにとって非常に重要なものとして認識され
るようになってきました。「ブランド(brand)」の語源は、「焼き印(burned)」から
といわれています。放牧する牛を識別するために施された焼き印ですが、ブラン
ドを考える時「識別」がキーワードとなります。
ブランドへの関心が高まってきたのは、アメリカでは1980年代終わり頃から
といわれています。アメリカでは自社の価値を高めることを目的としたM&A(合
併と買収)が行われるようになりました。また競合他社がいる中で、よく知られ
たブランドは消費者からの指名買いが行われたため、取引が有利に展開できると
いうメリットが認識されました。1990年代後半、バブル経済の崩壊で危機に立
たされた日本の企業はアメリカのトレンドを知り、ブランドに関心を高めました。
アメリカ・マーケティング協会によると、ブランドとは「個別の売り手もしく
は売り手集団の財やサービスを識別させ、競合他社の財やサービスと区別するた
めの名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたも
の★3
」と定義されます。
行政もシティプロモーションを行い、他の市町村との差別化を図っています。
また一番危機に立たされているのが少子化の影響を受けている大学です。近年、
大学ではユニバーシティ・アイデンティティを確立させて、他の大学との差別化
を図り、入試志願者を増やすための施策が取られています。
Elisabeth Doucettが2009年に出版した”Creating Your Library Brand”(American
Library Association)では、ブランディングの重要性について以下のような記述が
あります。
“Branding is important for every type of library [especially] public libraries that
have to continuously justify their existence in ways that and academic or special
library might not have to. However in an era when so much is available for free
on the internet it makes sense for every library to articulate its reason for being
in terms that are absolutely clear to both users and funders.★4
”
「ブランディングはすべての図書館において重要な事柄です。大学や専門図書
館が必ずしも行う必要がないと思われる、自分たちの存在を継続的に正当化する
027ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
作業は、特に公共図書館は行う必要があるといえます。インターネット上で無料
で多くのことが得られる時代において、利用者と資金提供者に、存在理由を明瞭
に表現していくことは、どの図書館にとっても意味があることなのです」
(翻訳:著者)
専門図書館は施設の専門性が明確です。逆に公共図書館は特徴がつけづらい施
設かもしれませんが、行っているサービスやその土地ならではの資料など、ほか
とは違う特徴が必ずあるはずです。それを説明することで他の公共施設や図書館
と識別化、差別化をするブランディングが成立するのです。社会教育、生涯学習
の拠点としての存在意義をしっかりと発信していきましょう。
4.1 自治体のブランディング~島根県海士町
2014年にLibrary of the Yearの優秀賞に輝いた海士町の取り組みを記憶してい
る人は多いのではないでしょうか。海士町は1950年代の7,000人をピークに人
口が減少。現在は2,400人が暮らしています。数字だけ見ると地方の過疎を絵に
描いたような離島だと思われるかもしれません。しかし人口の内訳を見れば、1
割強の361人がIターンで、それも20 ~ 30代が大半を占めます。「なくてもよい」
と「大事なことはすべてここにある」という2つの意味を持つ「ないものはない」を
キャッチコピーに島おこしをしています。
島の中央図書館と島にある保育園から高校までの学校を中心に、地区公民館や
港、診療所などの人が集まる場所を「図書分館」としてネットワーク化することで、
島全体を一つの「図書館」とする「島まるごと図書館構想」というユニークな取り組
みが行われています。2014年のLibrary of the Year授賞式で海士町教育長の佃稔
さん(当時)は、図書館を軸にした人づくりの推進を引き続き進めるとともに、「個
人が人間性を高める手段として、図書館サービスの充実は、離島でも都会に勝て
る一要素」と述べていました。「ないものはない」の精神のもと、図書館は居住者
を増やす施策の一つとなっています。実際、Iターン者や子育ての世代の人たち
が「あってよかった」、「ここを見て移住を決めた」と図書館に訪れ、コメントをし
ています。
海士町のウェブサイト(http://www.town.ama.shimane.jp/)を見ると、トップペー
ジにある「PR」のところに海士町中央図書館のバナーが貼られており、図書館が
島のブランディングにひと役を担っているケースとなっていることがわかります。
028 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
4.2 大学のブランディング〜近畿大学
2000年以降、日本における大学進学率は50%を超え、規制緩和のもとで大学
の新規参入が相次ぎました。大学の数は増えたのに18歳人口が大幅に減少する
「2018年問題」に直面し、日本の大学はかつてない危機に立たされています。す
でに少子化などを背景に、大学の定員割れや志願者減少が見受けられます。
しかし近畿大学のように、2015年度の受験志願者数は11万3,704人と、前年
度より7,814人も増加した大学もあります★5
。近畿大学では「マグロと教員」を
資産としたブランディングを展開しています★6
。世界初の完全養殖マグロ「近大
マグロ」は有名です。さらに「教員」も資産と考えた近畿大学は、在籍する教員約
1,200人のプロフィールや研究分野、顔写真などを掲載した「近畿大学教員名鑑」
をメディア向けに制作し、配布しました。教員にも協力してもらい、積極的なメ
ディアへの露出を促しています。
魅力ある大学として受験者を増やすために、どのようなコミュニケーション活
動を行えばいいのか、他の大学との識別化、差別化を図るために、ブランディン
グに力を入れる大学が増えています。ブランドイメージ戦略が、大学が差別化を
図る一つの方法として期待されているのです。
そのために、「自分たちの大学は何もので、何のために存在しているのか」とい
う自身の個性や存在意義を問い直し、「これからどうありたいと願うのか」という
理念を整理・再編する作業を行い、識別化や差別化のポイントを見つけ出してい
く必要があります。
4.3 公共図書館の中長期計画
「ブランド」もしくは「ブランディング」と「図書館」をキーワードに検索をしても
公共図書館はヒットされません。そもそもブランディングという言葉が公共図書
館で使われていないのがその理由として考えられます。その代わり、中長期計画
の中に「ミッション」として、組み込まれるケースが多いようです。京都府立図書
館が2016年3月に発表した「京都府立図書館サービス計画平成28年~ 32年」に、
広報・PRについての記述があります★7
。
「府立図書館の見える化の推進」の一環として、
・府立図書館のミッションの周知と事業の効果的な打ち出し
・SNS等の多様な広報媒体の活用
029ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
 ここで言及されているミッションこそ識別化、差別化された京都府立図書館の
ブランディングであり、その周知を行うことが認知を促進することにつながりま
す。
 ここで、ミッションがブランドになる例を、私の経験から書きましょう。シャ
ンティ国際ボランティア会は、5 年ごとに中期計画をつくります。2014 年~
2018年の中期計画は2013年に1年かけて海外の事務所を含め議論を交わしなが
ら目指すべき方向を確認し、作成していきました。中期計画を、スタッフや理事
など内部関係者だけではなく、広く外部の人にも知っていただき、ファンを増や
したいと考え広報計画を策定しました。まず行ったのは5年間の目標を言葉で表
すことです。その際に考えたポイントは下記の通りです。
1)団体が行う活動内容に合致していること
2)他の団体とは違う特異性があること
3)どう見られたいかというイメージと合致すること
 シャンティは主にアジアで図書館の設置や図書の出版、移動図書館の運営を
行っています。活動を通して文字を覚え、知識を吸収し、人の喜びや悲しみを理
解する人になってもらいたいという願いがありました。そこで生まれたのが「本
の力を、生きる力に。」という言葉です。またその言葉の浸透のためにロゴの作成、
名刺・リーフレット・Webサイトのデザインの変更、スタッフ内での理解の促
進のための取り組みを行いました。
4.4 ガイドラインの順守の重要性〜大学のブランディングを中心に
ブランド化の推進と同時に、広報の戦略も話し合われるケースが多くありま
す。その際に、ブランドの定義の中にある「使用する名称、言葉、記号、シンボ
ル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの」が確立されます。
図書館の広報誌やチラシなどで大学のブランドマークを使用する場合、使用方
法について、ブランドガイドラインがあれば、それを順守しましょう。ブランド
ガイドラインには主に以下のことが含まれます。
・ブランドマーク
未来に向けたメッセージや強みをシンボル化したブランドマークがあります。
こちらを使用する際には、縦と横の比率を変えるなど手を加えずに使用しましょ
う。JPGやイラストレーターのデータになっていますのでそれを使用して、印刷
030 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
物をつくります。またガイドラインの中には、好ましくない使われ方も示されて
います。確認した上で使用しましょう。たとえば、中央大学ではブランドマーク
とユニバーシティメッセージとの組み合わせる場合、「左右幅30mm未満でのブ
ランドマーク使用は禁止」と規定があります。
・ブランドステートメントやスローガン
その組織の全体を表すキャッチコピーが、ブランドステートメントです。ロゴ、
ブランドマーク、ブラインドステートメントには、それができるに至った背景が
あります。たとえば龍谷大学のスローガンは「You, Unlimited」です。その背景と
して「龍谷大学が提供する知識や様々な経験を通じて、学生一人ひとりが無限の
可能性を追求し、自らの未来を切り開いてほしいという意味と、直接的に“You”
と呼び掛けることで、学生たち一人ひとりと真摯に向き合う龍谷大学の姿勢を表
現しています」とあります。
また龍谷大学は、“Ryukoku Brand Navi”というブランドを浸透させるための
特設サイトを公開しています。活躍している学生や教職員の取り組みを紹介す
る「People, Unlimited」、様々な教育への挑戦を紹介する「Education, Unlimited」、
そしてグローバルな活動を取り上げた「World, Unlimited」の3つのテーマで大学
のブランド力向上に向けたメッセージを発信しています。
・スクールカラー
ブランドマークとともにスクールカラーも決まっています。目で見て「多分こ
の色」と自分で判断せずに、CMYKの割合を確認しましょう。CMYKは色の表現法
の一種でシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四成分のことです。これらを
何パーセント配合するかが事細かく決まっています。印刷所にこの割合を伝えれ
ば、注文に沿った色を使ってくれます。
東京農工大学は「ブランドマーク・校章」のウェブページに色指定についても表
記しています。
・デザインマニュアル
印刷物ごとにデザインマニュアルがあります。デザイン例に示してある位置や
色を変えることはできません。名刺、封筒、レターヘッド、パワーポイント、ペ
ナントなどテンプレート化されているものもありますので、それを使うようにし
031ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
てください。
スクールカラーのところでも例を挙げた東京農工大学は、ウェブサイトに名刺、
レターヘッド、パワーポイントのデザインの指定を掲載しています。
4.5 ブランドとの調和と推進~龍谷大学を例に
大学のブランディングを推進し、ロゴなどを含めたシンボルができても、使用
されなければ意味をなしません。またブランディングを推進する目標は、大学が
他と識別、差別化された状態で社会に認知してもらうことです。そのためにも積
極的な発信が不可欠となっています。龍谷大学では2010年から2019年までの第
5次長期計画「龍谷2020」が策定されました。その中に広報活動の基盤となる広報
基本戦略が定められ、広報に関する事項が書かれています★8
。
・新ブランド構築に向け、その原動力となる学内構成員(教職員・在学生)・卒
業生への浸透活動を行う。
・学内外へのブランド浸透は、メディアを取り巻く環境変化を考慮し、既存メ
ディアに加えて、ソーシャルメディア等から、最も有効なものを活用情報発
信する。
・新ブランドデザインを様々な広報物等に導入し、社会において蓄積された 本
学のイメージを新たにする。併せて、学内構成員のブランドへの理解・共感
を促進する。
・今後制作する広報物において、新ブランドのイメージを統一するため、指針
や模範となるデザインサンプルの開発や、制作指示等を記載したガイドライ
ンを整備し、長期的にブランドイメージを維持できる仕組みを構築する。
・ブランド浸透の推進にあたっては、学生および部局横断的な教職員をメン
バーとするブランド浸透プロジェクトチームを設置し、多様な意見を取り入
れつつ、施策の検討を進め、浸透活動に取り組む。
これを読んでわかるように、教職員や在学生、卒業生への浸透活動が最初のス
テップとなります。また制作する広報物において新ブランドのイメージを統一す
るため、デザインサンプルを開発していく記述があります。
ロゴなどを管理する部局と話し合い、広報物と広報戦略との統一化などについ
て話し合いの時間を持ち、方針を決めていきましょう。
032 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
多くの学生が集まる大学図書館だからこそ、ユニバーシティ・アイデンティ
ティの浸透のためにできることがあります。ガイドラインを順守しながら、チラ
シなどの印刷物にロゴなどを使うことはもちろん、コーポレートカラーを意識し
たサインをつくる、ロゴ入りの栞などのグッズをつくり学生に配布するなど、広
報・PRのサポートを行いましょう。
このように大学のブランディングの取り組みは大変参考になります。ブラン
ディングガイドラインなどをインターネットで公開している大学も多いので、
チェックしてみてください。
5. オンラインとオフラインを融合して見せる
オンラインとはインターネットに接続されている状態です。オフラインはその
逆で、インターネットに接続されていない状態のことをいいます。オンライン、
オフラインという切り口で広報ツールを考えてみましょう。
いままでは、掲示板、パンフレット、チラシなどオフラインの広報媒体が中心
でした。近年では、インターネットが普及しウェブサイト、Facebook、Twitter、
LINEなどオンラインメディアが台頭し、スマートフォンが広まるなかで、ちょっ
とした待ち時間や電車の中でもPCを開くことなく、インターネットにアクセス
できるようになりました。特に顕著なのが10代、20代です。たとえばマイナビ
が2015年3月に大学を卒業予定の学生を対象に行ったライフスタイル調査によ
ると、大学生のスマートフォン保有率は93.1%で、ほとんどの学生がスマート
フォンを保有しているという結果がでました★9
。2012年卒の学生のスマートフォ
ンの保有率は16.4%だったので、この3年間で急激に数字が伸びていることがわ
かります。また、日本労働組合総連合会(連合)の調査によると、大学生・大学院
生・専門学生の56%がソーシャルメディアを、29.3%がまとめサイト・ニュース
アプリを主な情報源であると返答しています★10
。
このように、人々のライフスタイルが変化しているなか、大学図書館はもちろ
ん公共図書館もそれにあった広報の仕方を考える時期にきているといえます。
ではオフラインの媒体から見ていきましょう。
5.1 オフラインの媒体
オフラインはインターネットに接続されていない状態と説明しました。つまり
033ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
オフラインの媒体は、ステークホルダーが直接、目にし、手にしたりできる媒体
です。
5.1.1 利用案内
図書館には多くの種類のオフラインの媒体が用意されているかと思います。ま
ずは図書館の利用案内のパンフレットが挙げられます。利用案内の中には、アク
セスマップ、住所や電話番号などの連絡先、開館時間、休館日、利用登録条件、
貸出と返却の方法、予約の方法、レファレンス・サービスの受け方、コピー機な
どの設備の利用、閲覧室や学習席などの施設の利用など、基本的な情報を漏れな
く載せるようにしましょう。
大学図書館の場合、資料の貸出や閲覧ができる協定校があれば、その大学名も
載せるとよいかもしれません。学習院大学図書館のパンフレットには、國學院大
學、明治学院大学など山手線沿線の大学でつくる「山手線沿線私立大学図書館コ
ンソーシアム」協定校の情報が載っています。
地域によっては、外国籍の住民が多い自治体の図書館もあるでしょう。埼玉県
川口市は2016年の統計によると人口565,043人中、外国人が27,641人と人口の
約5%が外国籍です。川口市のように外国人人口の多い自治体は、日本語のみな
らずそこに暮らしている外国人に合わせた利用案内を用意しているケースが見ら
れます。また郷土資料、AVコーナーなど、施設のコーナーごとに使い方を説明
した利用案内をつくっているところもあります。
大学図書館を見てみると、利用案内をステークホルダーごとにつくっている大
学があります。帝京大学メディアライブラリーセンターは「学生版」、「大学院生
版」、「教職員版」はもちろん、利用資格のある八王子市、日野市など近隣地域の
満18歳以上の社会人と卒業生や退職した教職員用の「地域利用・校友版」の4種
類を用意しています★11
。
学生版は「気分にあわせて、スタイルにあわせて」、「充実のメディア利用環境」
などのキャッチコピーが書かれており、まずは気軽に大学図書館に来てみてくだ
さい、という雰囲気を出しています。図書館内のマップには基礎図書コーナー、
AVコーナー、PCステーション、新聞・一般雑誌などが示されています。基本図
書コーナーには「コミックもある!」、AVコーナーには「映画・音楽が楽しめる」、
PCステーションは「レポート作成からインターネットまで」というコピーが入っ
034 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
ており、大学図書館の楽しみ方が表現されています。
大学院生版は蔵書検索、オンラインデーターベース、学位論文閲覧、大学図書
館に資料がない場合の他機関の利用方法、研究のための資料検索についての情報
が中心に書かれています。地図にも「情報検索を強力サポート」利用相談デスク、
「静かな環境で研究や読書ができます」という言葉を添えて院生・研究者閲覧室の
紹介がされています。
教職員版には資料の選書と購入、研究費などについての情報が書かれています。
またマップにも、「各5席の静かな環境です」という説明書きとともに、教員閲覧
室が示されています。地域利用・校友版には、利用資格の説明、利用登録の仕方
や貸出・返却について書かれています。来館できない場合は、簡易書留や宅配便
での返却ができることを案内しています。もちろん着払いができないことについ
ても記載しています。
このようにステークホルダーによって知りたい情報、知ったほうがよい情報は
異なります。帝京大学メディアライブラリーセンターの利用者案内は、それを考
慮したものとなっています。
5.1.2 広報誌
他のオフラインメディアとして、図書館報のような広報誌が挙げられます。職
員が自分たちでつくっているものから、外注に出し、雑誌のように仕上げている
ものまでさまざまです。札幌市立大学附属図書館の広報誌「のほほん」では、デザ
イン学部・大学院デザイン研究科の学生が図書館のイラストや表紙のデザインを
担当するなど、学生の専門性を生かしたかたちで参加をしてもらうケースも見ら
れます。
利用者案内と同様に広報誌をステークホルダー別につくっているところがあり
ます。西宮市立図書館では一般向けに広報誌「まつぼっくり」、児童向けに「しゃ
ぼん玉」を発行・配布しています。
名古屋市図書館ではティーンズ向けに広報誌「ごちゃっと」を発行しています。
名古屋市図書館に限らずティーンズ向けの広報誌をつくるときには、地元の中学
生や高校生が参加して企画から編集まで行うケースが見られます。
広報誌の企画を立てるためには、やはりターゲットを誰にするかを明確にする
ことが大切です。また、読まれないと意味をなさないために、配布方法も考慮す
る必要があります。時代のニーズを読み、それに合致した編集方針のもとで発行
035ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
広報誌の制作のステップを考えてみましょう。まずは企画です。このときに目
的、ターゲット、校正、デザイン・イメージを話し合います。デザインのイメージ
では自分たちのブランディングガイドラインを確認し、また図書館がターゲットに
どのように見られたいかを話し合いましょう。「やわらかい」「固い」「活発的な」「静
かな」など、自分たちの図書館がこう見られたいという思いとともに言葉を出し合
うと、イメージが固まってきます。
次に原稿制作です。企画の際に決まった構成に基づいて記事を書いたり、集めた
りしていきます。自分で執筆することもあれば、関係する外部への原稿依頼や、イ
ンタビュー取材を行う場合もあるでしょう。原稿が集まったら、編集・レイアウト
に入ります。デザイナーを抱えている印刷所の場合、編集・レイアウトから印刷ま
で一括してお願いすることができます。外注せずに図書館の職員がつくっている場
合も多いでしょう。いずれにせよ、原稿をもとに、適した写真やイラストを組み入
れていく作業となります。編集・レイアウトが終わったら、データを入稿して印刷
に入ります。
つくった原稿がそのまま印刷にかかり、納品されるわけではありません。正しく
印刷されるかを確認する「校正作業」を行います。最初の校正刷は初校と呼ばれてい
ます。原稿との引き合わせ作業や素
す よ
読みの作業を行います。間違いなどあれば赤字
で示していきます。印刷所に初校の原稿を戻すと、印刷所は二度目の校正刷を作成
します。それが再校となります。通常でしたら、初校、再校、3度目の確認作業の
三校、色指定に対し正しく印刷されるか確認する色校、印刷しても差し支えない状
態か確認する校了とチェックを行っていきます。
初校は記事を書いた人、インタビューを受けた人にも確認してもらうと、間違っ
た表現で載せてしまったがために、お詫びと訂正の紙を用意して挟み込む作業や、
最悪、印刷が終わったのに配布できないということが防げます。印刷された広報誌
が手元に届いたら終わりではありません。企画の時点で決めたターゲットに届け
て、本来の目的が達成されます。「図書館は楽しいよ」というメッセージを発信する
ことで、あまり利用していない学生や住民に来てもらうことを目標に掲げながら、
広報誌を図書館だけに置いていては意味がありません。すでに図書館に来ている人
が手に取ることになるからです。大学図書館であれば学食やラウンジなど、学生が
集まっている場所、公共図書館なら市役所や市が主催するイベントでも置かせても
らうなどの配布計画も企画段階から決めておきましょう。
広報誌をつくってみようColumn
036 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
する必要があります。発行側のメッセージだけを一方的に送っているものはメッ
セージ誌であり、広報誌ではありません。受け取る側が何を欲しているかを考慮
する必要があります。広報誌は、行っている活動の内容を多角的にメッセージす
るメディアであり、読みものとしても、ビジュアルにおいても、編集方針づくり
や企画段階での創意と工夫が求められます。
図書館と図書館にかかわる人たちのサイト「Jcross」の「コレクション」に、公共
図書館、学校図書館、大学図書館の「図書館便り」として図書館広報誌のリスト
が、集められています★12
。見てみると、「○○図書館だより」というタイトルの
ものが多いのですが、中には岩手県立図書館のフリーペーパー「PECCO(ぺっ
こ)」など地元発の言葉を広報誌のタイトルに採用し、県のブランディングの推進
と、図書館の広報・PRが融合したものもあります。また埼玉県寄
よ り い
居町立図書館
の「KIZZY通信」は寄居町の鳥、"雉(きじ)"にちなんでいます。町内外の人たちに、
町について知ってもらう機会となるのではないでしょうか。
そのほかにも龍谷大学図書館の「来
らい
・ぶらり」、学習院大学図書館の「来
らい
ぶらり」、
創価大学附属図書館のニュースレター「ほっ TOSHOKAN」のように図書館をも
じったものもあります。  
また、図書館を使うことでこうなってもらいたいというイメージの言葉を、館
報のタイトルにしている図書館もあります。南山大学図書館はギリシャ語で「力」、
「可能性」を意味する「デュナミス」を、大阪府立大学学術情報センター図書館はギ
リシャ語で「明日」を意味する言葉「アウリオン」を館報のタイトルとして掲げてい
ます。
筑波大学附属図書館は「全国の大学図書館報」のリンク集★13
をつくっています。
近隣の図書館以外の図書館報は、あまり目にできないかと思います。先ほど紹介
した「Jcross」やこちらを参考にデザインや内容などをチェックして、自分たちの
広報誌の企画の充実を図りましょう。
5.1.3 チラシ
本やイベントなどを紹介するA4一枚、もしくは両面を使ったチラシをつくる
図書館も多いでしょう。オンライン、オフラインの媒体という切り口でみると、
紙媒体はオフラインのダイレクトメディアでもあります。印刷メディアは手元に
残して置ける、保存性がある、相手と一対一の感覚でメッセージを伝えられると
いうメリットもあります。オンラインではソーシャルメディアを通じて、たくさ
037ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
んの情報を受け取っている気になりますが、タイムラインが流れると、興味・関
心を持ったことも、数分したらその情報が見られなくなることもあるでしょう。
「あれ、これ面白そう」と手にしたチラシのほうが、長期的に手にした人が触れる
情報源になる可能性もあります。そのためには、手に取ってもらうチラシをつく
るときに考慮すべきことがあります。キーワードは「インパクト」です。特に「書
き出しの一行」で決まるといわれています。その言葉を見た人に「それは自分のこ
とだ」と気がついてもらうことです。
では就職活動を例に取って考えてみましょう。就活は学生にとって人生の大
きなイベントです。就活に関するイベントや企画を図書館でするときは、学生
が「何を基準にして就職先を選んでいるのだろう」、「就活で直面している悩みは
何だろう」という視点から考えてみましょう。マイナビが2015年6月に発表した
「2016年卒マイナビ大学生就職意識調査★14
」の結果によると、「絶対に大手企業
がよい」と回答した学生は6.9%、「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手
企業がよい」の36.0%を越えて数値が高いのが、「やりがいのある仕事であれば
中堅・中小企業でもよい」の42.6%となっています。しかし大手企業に比べて中
堅・中小企業の情報は入手が難しいかもしれません。
法政大学図書館は、データベースを活用して就活を応援するセミナーを開催
しました。このような取り組みは全国的にされていますが、チラシにあるこの
企画のタイトルは「データを制して運命の企業と出会う」でした。「データを制す
る」という図書館の強みと、中堅・中小企業にも目を向けた学生が「運命の企業
と出会う」ことができるかもしれないという期待が感じられるタイトルになって
います。
その他にもチラシをつくる際に考慮すべき点を挙げます。それは「写真やイラ
ストは小さくてもインパクトは強い」ということです。何かを文字で説明すると
相当の文字数が必要なことも、画像が一つあるだけでイメージが湧くことがあり
ます。「疑問形を使う」というのも一つのテクニックです。「やりがいがある仕事
が見つかる」という企画よりも、「やりがいがある仕事はどうやったら見つかる
の?」と疑問形にしたほうが、悩んでいる学生にとっては自分ごととして捉える
可能性が高いのです。
038 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
名古屋市図書館が発行するティーンズ向け広報誌「ごちゃっと」の展示の様子。撮影:岡本真
紫波マルシェの売り場で紫波町図書館が料理本をPOPで紹介。オガール紫波株式会社ホームページより
039ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
水戸市立西部図書館のInstagram。館内の写真以外にも、さまざまなテーマで紹介している。
https://www.instagram.com/seibu_library/
投書箱に入れられた質問を、ネット上で回答する京都大学吉田南総合図書館のウェブサイト「SUGGESTION[投書箱]」。
http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/yoshidasouthlib/news/suggestion.html
040 ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
5.1.4 展示・本の紹介
町を歩いていると、デパートやセレクトショップのディスプレイが目に飛び込
んできます。その各店舗が、商品の紹介をしながらも、店に入ってきてもらうた
めのアレンジをしています。銀座のシャネルは建物全体が電光掲示板となってお
り、1階の通りのみならず、ビル全体を使いアピールをしています。高級ブラン
ド激戦地では、気合の入ったディスプレイが見られます。展示自体がダイレクト
メディアとなります。
大学図書館の場合、何気なく目に飛び込んできた展示の棚に関心を持ち、図書
館の中に入る学生もいるかもしれません。これらは棚自体が「掲示板」となります。
またイベントのチラシと違い、イベント開催日までの「間が空く時間」もありませ
ん。関心を持てばその場で手にして、貸出を受けるなどのアクションに結びつけ
られます。
そのためにも図書館の外にいても目につく場所に棚をつくる、文字を大きくし
た看板を置き外から見えるようにするなど、気にかけてもらうための工夫が必要
です。
その他にも栞、入り口に置く黒板、ポスター、サインなどさまざまなオフライ
ンの媒体があります。どの媒体も、誰に何を伝えたいのかというステークホル
ダーと目的の分析をして企画をつくりましょう。
さてディスプレイをしても、建物の中のみで行っていたら、図書館に来る人に
しか目に留まりません。それを解消するためにも他の部署と連携して図書館の外
で展示などを行うとよいでしょう。岩手県紫
し わ
波町の紫波町図書館は、農業支援の
一環として、紫波の農畜産物や加工品を中心に生鮮三品(青果・肉・魚)が毎日豊
富に並ぶ紫波マルシェの売り場に、図書館おすすめの料理本の紹介POPを置い
ています。その本は図書館で貸出を受けることができます。
次はウェブサイトやソーシャルメディアなど、オンラインの媒体について考え
ていきましょう。
5.2 オンラインの媒体
インターネットの普及によって、情報の即時的公開が行われるようになりまし
た。それまでは公開可能な情報を体系的に探すことが困難でしたが、ウェブサイ
トを見れば公開情報が体系的にまとまったかたちで見られるようになりました。
企業のウェブサイトを見てみると商品の案内だけではなく、会社の情報、専門的
041ライブラリー・リソース・ガイド 2016年 春号
これが図書館の広報だ!
な財務情報、CSR活動など多様な情報が載っています。
またソーシャルメディアの台頭で、コメントをする、拡散するなど、情報の出
し手と受け手が気軽にコンタクトを取れる時代になりました。それゆえに誹謗中
傷されるなどのリスクもあるため、情報の出し方に細心の注意を払う必要もあり
ます。
スマートフォンが普及しているいま、オンラインの媒体は無視ができなくなっ
ています。特徴を知り、ガイドラインを整えながら、活用していきましょう。
5.2.1 オンライン媒体の3つの特徴
オンライン媒体を用いた広報・PRの特徴は3つあります。一つ目は「情報の即
時性」。ウェブサイトも、お知らせやイベントページなど簡単に更新できるよう
に構築されたものが増えてきました。また講演会などでTwitter中継をし、話の内
容を即時に外部に伝えることも可能となりました。また動画中継を用いると、リ
アルタイムで同じイベントをPCやスマートフォンで見ることも可能になりました。
二つ目は「双方向性」です。ブログ、Twitter、Facebookに代表されるソーシャ
ルメディアの発達により、コメントを書く、リツイートする、双方向のコミュニ
ケーションがウェブ上で取られるようになりました。利用者からの質問・意見・
要望を紙に書いてもらう「投書箱」を置いている図書館もありますが、ソーシャル
メディアを使用すると、どこにいても質問・意見などを伝えることができます。
三つ目は「ボーダレス」です。先ほど「どこにいても」と述べましたが、外国
にいてもインターネットに接続できれば日本の情報を受け取れる時代です。
Facebookを見ていても、研修会などで知り合った図書館員同士が、Facebookで
友達申請をして、お互いの図書館での活動にコメントを残しているのが見られま
す。大学図書館でも、保護者が自分の子どもが通っている大学のウェブサイトを
見て、行われているイベントなどがわかるようになりました。チラシなどのオフ
ライン媒体は、大量に印刷しない限りは大学の中だけで消費されています。魅
力的なイベントも、大学のキャンパスの中でしか情報を入手できませんでした。
ウェブサイトやソーシャルメディアで見せることにより、受験を考えている高校
生や保護者が見つけて関心を持ってくれるかもしれません。「ボーダレス」である
ことは、外部の人たちに図書館について知ってもらえるチャンスでもあります。
それまでは訪問したり、資料を取り寄せたりしなければ情報が得られなかった他
の図書館について、オンラインで検索すればすぐに見られる時代になりました。
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