GC黄金時代

1. GC黄金時代
関西GCKaigi02
nari／中村 成洋
ネットワーク応用通信研究所
Powered by Rabbit 0.6.2

2. 自己紹介

3. 自己紹介
nari/中村成洋と申します
ブログ「I am Cruby!」 id:authorNari
twitter @nari3
Rubyのコミッタ
「GCについて考える人」
GCアルゴリズム詳細解説
http://wiki.livedoor.jp/author_nari/
2/190

4. 注意
GCがかなり好きです

5. 自分歴史
高校卒業（機械科）
アイス工場勤務（3年）
コンピュータスクール（半年）
福岡のIT企業（2年）
NaCl <- イマココ
4/190

6. GCの教育は受けてません
ので
テキトーな事をいうかもしれ
ません
m(_ _)m

7. 島根の方から来ました
6/190

8. 松江の方から来ました
7/190

9. せっかく大阪にきたので
大事なこと

10. 島根は鳥取の左です！
9/190

11. あんまり覚えて貰えない
（住んでる本人も忘れる）

12. 覚え方
お茶碗を持つ方が島根
お箸を持つ方が鳥取

13. 株式会社ネットワーク応用通信
研究所（NaCl）に所属
12/190

14. 会社紹介

15. Q：何をやっている会社なの
か？

16. A：普通にRailsアプリ等々の
受託開発を行っております

17. 会社のメンバ

18. Rubyに詳しい人がいる
前田修吾さん
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19. RubyによるMacOSXデスクトッ
プ開発に詳しい人がいる
高尾宏治さん
18/190

20. WEBrickに詳しい人がいる
後藤裕藏さん
19/190

21. GCに詳しい人がいる
松本行弘さん
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22. 奇妙な言語に詳しい人がいる
原悠さん（yhara先生）
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23. まだまだ紹介しきれない人々
が！
卜部さん
西田雄也さん
斉藤登さん
etc..
おまけ：nariさん
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24. 注意(1)

25. Ruby 1 : 9 GC

26. Rubyの話は
あまりしません

27. おおらかな関西のRubyist
さんは許してくれますよね。
別にRubyの話しなくても…

28. もし、RubyのGCを詳しく知りた
かったら…
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3740599
27/190

29. もし、RubyのGCを詳しく知りた
かったら…
RHG（良書）
レアでアレなGCの話 - RubyistMagazine
http://jp.rubyist.net/magazine/?0025-
RareAreGCTalk
narihiro.info
http://www.narihiro.info/
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30. 注意(2)

31. GCの話を50分するのはは
じめて

32. しかも最後のセッション…

33. 関西RubyKaigi02は
チャレンジングですね
（＾ｑ＾）ｱｳｰ

34. 注意(3)

35. このセッションでは
1分間に5回「GC」と言いま
す

36. つまり
50分250回「GC」

37. あなたは一日に250回
「GC」という単語を人の口
から聞いたことがあります
か？

38. 「こ、これは、一生に一度あ
るかのチャンスッッ！」
（逆に考えるんだ…）

39. しっかり聞いてください

40. 注意(4)

43. narioは今日走りません
（京都が近いしね…）

44. そろそろnarioのことは忘れ
てください
＞＜

45. 緊急アンケート

46. GCって何って人？
ノシ

47. GCが好きな人？
ノシ

48. 予想：5人

49. GCのコード書いた
or
読んだ人？
ノシ

50. 予想：3人

51. RubyのGC読んだことある
人？ノシ

52. parse.yより
gc.cですよね！

53. GC黄金時代

54. 今日のアジェンダ
GCとは
GC三種の神器
GC黄金時代
GCの未来
おまけ：RubyGCの未来
まとめ
53/190

55. 今日のアジェンダ
GCとは
GC三種の神器
GC黄金時代
GCの未来
おまけ：RubyGCの未来
まとめ
54/190

56. GCとは？

57. Wikipedia
プログラムが動的に確保したメモリ領域のうち、不要になった領域を自動的
に解放する機能である。
ガベージコレクション-Wikipedia-
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58. つまり、ゴミを勝手に片付け
てくれるよい奴

59. GCの立ち位置
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60. 最近の言語にはほぼ搭載
Ruby
Perl
Java
Haskell
OCaml
etc..
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61. モダンな言語の
条件の一つ
「GCがあること」

62. 非常に身近な存在
空気のようなもの
GCを搭載したJavaからプログラミングを学ぶ人
多数
メモリ？はぁ？世代
実は僕も。。
知らない所で大変お世話になっている
61/190

63. ただ

64. 身近すぎて気づかない
（灯台もと暗し）

65. 地味
あって当たり前
ゴミ掃除してなんぼ
たまにバグで仕返し
64/190

66. 地味なGCが好き

67. よく質問される

68. 「なんで
GC好きなんですか？」

69. これを聞かれると困る…
（好きなものは好きなんで
す）

72. 「なんで
GC好きなんですか？」

73. 「運命です」

74. 注意
電波

75. 自分的にはかなり納得

76. でも、相手も納得する
理由も考えてみよう…。

77. 思い返してみると…。

78. GCは
「なんか気になる存在」

79. GarbageCollector = ゴミ
収集人

80. リアルな世界(1)
ゴミは住人が家の中のゴミを集めて
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81. リアルな世界(2)
住人が家の外に出す（この時点で掃除は解決している）
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82. リアルな世界(3)
リアルGCが取りに来る（GC終了）
81/190

83. GCな世界(1)
住人が家の中を散らかす
82/190

84. GCな世界(2)
勝手にGCが入ってくる
83/190

85. GCな世界(3)
勝手にゴミっぽいもの集めて捨てに行く
84/190

86. か、勝手になにやってんの！？
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87. すごく「気になる」存在

88. 「なんで
GC好きなんですか？」

89. 「知的好奇心と
知的欲求を満たすため」

90. 今日のアジェンダ
GCとは
GC三種の神器
GC黄金時代
GCの未来
おまけ：RubyGCの未来
まとめ
89/190

91. GCのアルゴリズムは3種類に
分類される
参照カウント
トレーシングGC
マークスイープGC
コピーGC
90/190

92. GCアルゴリズムの説明

93. 参照カウント
オブジェクトの被参照数をカウント
92/190

94. 特徴
Cプログラマは一番なじみがある
C++のsmart pointerも参照カウント
採用言語
Python
Perl
93/190

95. メリット
リアルタイム性が高い
まったく参照されなくなった瞬間にオブジェクトが解放
される
負荷が分散
94/190

96. デメリット
カウンタの増減をある程度プログラマが行う
解放漏れの可能性
循環参照
95/190

97. 循環参照
お互いがお互いを参照し合うため、被参照数が0になら
ない
メモリリーク！
96/190

98. 巨大な循環参照オブジェクト群
97/190

99. マークスイープGCと組み合
わせるのが一般的

100. マークスイープGC

101. 基本的な考え
プログラムから到達できるオブジェクトは確実に
使用中（生きている）
具体的にはマシンスタック、レジスタ、グローバル変数内
から参照（ポインタ）があるオブジェクトがある場合
それらのオブジェクトの子オブジェクトは生きてい
る
子オブジェクトの子オブジェクトは生きている…つ
づく
100/190

102. マークフェーズ
スタック、レジスタ内の参照を「起点」とする
マーク、マーク
101/190

103. マークフェーズ
生きているオブジェクトと死んでいるオブジェクトが分け
られる
102/190

104. ルート
オブジェクトをトレースする「起点」となる領域
レジスタ、スタック、グローバル変数等々
トレーシングGCはルートをトレースの「起点」とす
る
103/190

105. スイープフェーズ
マーク有り => マークを消す
マーク無し => 解放
104/190

106. 採用事例
Ruby
HotspotVM
etc..
105/190

107. メリット
実装が簡単
保守的GCとの相性が良い（あとで説明）
106/190

108. デメリット
フラグメンテーションが発生しやすい
虫食い状態
オブジェクトのアロケーションが遅くなる
虫食い状態から適切なサイズを確保しなければならな
い
107/190

109. コピーGC

110. 同じサイズのメモリ領域を二つ
用意
109/190

111. アロケーションは常に一つの領
域
110/190

112. いっぱいになったらコピー
111/190

113. メリット
トレースとコピーを同時にできる（速い）
マークスイープは、マーク、スイープと2パス
フラグメンテーションがない
アロケーションも速い
112/190

114. デメリット
2倍のメモリ領域が必要
保守的GCとの相性が最悪
113/190

115. ここからは難しい話

116. 保守的GCとは？

117. ルート内のオブジェクトアドレス
探索
スタック、レジスタの中身はただのビット列
その中でオブジェクトのアドレスを見つける
条件：オブジェクトヒープの範囲内
条件：オブジェクトアライメント
すり抜ける即値がでてくる（数値等の非ポインタ）
116/190

118. マークスイープGCの場合
即値だったとしてもポインタっぽかったらマーク
（トレース）する
怪しい者はマーク！
本当は死んでいるオブジェクトがマークされる
保守的な思想 => 「保守的GC」と呼ばれる
117/190

119. コピーGCの場合
オブジェクトが移動
ルート内のポインタを書き換える
118/190

120. 書き換えたルート内の
フィールドがもし即値だった
ら…
＼(^o^)／

121. 保守的GCとコピーGCは相
性最悪

122. 正確なGCの登場
即値（数値、非ポインタ）を含まないルート
オブジェクトのポインタを正確に判断できる
保守的な部分がない！
コピーGCもOK
121/190

123. Rubyは？
マークスイープ＆保守的GC
コピーGCは基本的に作れない
参照カウントは？
がんばってください＞＜
色々制約があるのでいじるのが楽しい
122/190

124. そのほか
保守的GCを実装した処理系は少ない
ほとんどが正確なGC
Rubyはレア
123/190

125. 今日のアジェンダ
GCとは
GC三種の神器
GC黄金時代
GCの未来
おまけ：RubyGCの未来
まとめ
124/190

126. GC黄金時代

127. まつもとさん曰く
40年代まで「コンピュータがない」
50年代まで「プログラミング言語がない」
60年代まで「アルゴリズムがない」
70年代まで「（経験の）蓄積がない」
80年代まで「ネットがない」
90年代まで「性能がない」
126/190

128. そして21世紀。
性能・価格が十分に。
リテラシーも向上。

129. まさに時は
プログラミング黄金時代

130. ではGCの黄金時代は？

131. 結論

132. もう過ぎました

133. 60年代〜80年代が
GC黄金時代

134. 大きく見ると
世の中にある
GCアルゴリズムは
その時代に作られた
研究の組み合わせ

135. GCの誕生

136. 1960年、John MacCarthy
マークスイープの誕生
135/190

137. 経緯
Lisp処理系にメモリ解放用の関数があった
リスト構造が複雑だからつかうのが難しい
('-')つ[マークスイープGC]
え、いいねそれ
136/190

138. 初出し論文
我々はこの機能をGarbageCollectionと呼んでいる。
しかし、この論文にその名前は使わないことにした。
もし使おうとすれば、言葉遣いにうるさい研究所の女性達が私を止めただろう。
Recursive Functions of Symbolic
Expressions and Their Computation by
Machine, Part 1
137/190

139. 驚くほど完成されたアルゴ
リズム

140. 1960年、Geoge E Collins
参照カウント
139/190

141. 経緯
マークスイープ？
効率悪いねー
('-')つ[参照カウント]
え、いいねそれ
140/190

142. 初出し論文
McCarthyの解決法は確かに美しいよ。でも、この方法は非効率だね。
A Method for Overlapping and Erasure of
Lists
141/190

143. 3年後
循環参照問題発覚
orz

144. 1963年、Marvin Minsky
コピーGC
論文を読むと二つ目の記憶領域はテープ！！
143/190

145. たった3年でGCの基礎がで
きあがっている

146. それから現在までは改良の
歴史なのです

147. GCは古い技術
GCの歴史はRubyより古い
約50年前からあって、ずーっと使われ続けている
逆に考えると「勉強しても損はなさそう！」
火は消えていない
146/190

148. 今日のアジェンダ
GCとは
GC三種の神器
GC黄金時代
GCの未来
おまけ：RubyGCの未来
まとめ
147/190

149. GCの未来について考えて
みた

150. GCの未来
これから多くのGCが実装されるだろう
なぜならモダンな言語にGCは必須だから
ほとんどのGCは言語オーダーメイド
言語の特性にあったGC
149/190

151. どんどんGCは実装される

152. 結論

153. GCのアルゴリズム的な黄
金時代は過ぎ去った

154. しかし、実装的な
黄金時代はこれからだ！

155. GC再誕

156. 禁句
これってつまり「プログラミ
ング（実装）黄金時代」です
か？

157. お釈迦様の手のひらを飛ん
でいたのか！
＞＜

158. GCアルゴリズムの進化（未
来編）

159. GCアルゴリズムの進化（未来
編）
言語にGCを実装する
ある問題にぶつかる
問題を回避するための工夫
それ一般化できるんじゃね？
実装の先行のアルゴリズムが増えてくる
158/190

160. これからは
「GCプログラミング黄金時
代」
新しいGCアルゴリズムが生
まれる

161. GCにはニーズがある

162. ニーズがあれば技術は革
新する
（新しいアルゴリズム etc..）

163. 若干の不安
大容量ストレージが安価になっている
ゴミとか放っておけばよいという考え
GCは不要？
それでも行儀の悪いプログラムはある
ストレージは有限、いつかは枯渇する
状況にあったGCが必要となる
162/190

164. 具体的な未来

165. SSD
近々の変化としてSSD
高速なストレージへのアクセス
時代にあったGCが必要になる
164/190

166. 並列性
CPUコアの並列化
言語処理系の並列化
GCも並列化していく
すでにしているものもある
165/190

167. ハードウェア
ハードウェアがGCをサポート
実例もあり
Pauseless GC
http://www.nminoru.jp/~nminoru/java/cms/
pauseless_gc.html
166/190

168. 機械学習の組み込み
学習
オブジェクトの中身
アロケーション時のバックトレース
オブジェクトの寿命を学習
それぞれの寿命にあったGCを行う
167/190

169. 「他にもこんな未来がある
かも！」って人は声をかけて
ください
＞＜

170. 今日のアジェンダ
GCとは
GC三種の神器
GC黄金時代
GCの未来
おまけ：RubyGCの未来
まとめ
169/190

171. おまけ：RubyGCの未来

172. 最新のトピック
「Ruby のメモリ管理の改善」
笹田耕一先生
ヒープサイズを上手く調整する
「世代別Mostly-Copying GCのRuby VMへの
実装に向けて」
永原さん、鵜川さん、岩崎さん
詳細は知らない（汗）
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173. なんやかんや
でよくなりますね！

174. 個人的なハックTODO
TODO: LazySweep（起動オプション付き）
TODO: マークに再帰を使わない
TODO: 賢くヒープスロットを使う
TODO: BoehmGCを組み込んだRuby
173/190

175. RubyGCの話、終わり

176. 続きはRubyKaigi2010で
（たぶん）

177. 今日のアジェンダ
GCとは
GC三種の神器
GC黄金時代
GCの未来
おまけ：RubyGCの未来
まとめ
176/190

178. まとめ

179. まとめ
GCは「何か気になる存在」
アルゴリズム的な黄金時代は過ぎた
これからはどんどん実装していこう
178/190

180. 最後に宣伝

181. GC本のお話

182. GC本
GCの過去と未来を繋ぐ本
壮大な宣伝ではない
内容
アルゴリズム 3：7 実装
初心者にも優しい
様々な処理系のGCを紹介
Python,Rubinius,DalvikVM,V8,hotspotVM
死にそうです（後悔してます）
181/190

183. 来年中には何とか出したい
です

184. 大問題

185. 誰が買うんだ？

186. まつもとさん曰く
言語処理系を作る人は買うべき
185/190

187. 3000人くらい居ますよね？

188. アンケート

189. 買ってくれる人
ノシ

190. ご静聴
ありがとうございました！

191. 質疑応答