ブロックチェーン同士をつなげたトークンエコノミーの実現 —-ConnectionChainとHyperledger CACTUS | 藤本真吾

2020年9月4日
株式会社富士通研究所
セキュリティ研究所ブロックチェーン研究センター
シニアリサーチャー
藤本真吾
ブロックチェーン同士をつなげた
トークンエコノミーの実現 ~
ConnectionChainとHyperledger CACTUS
Copyright 2020 FUJITSU Laboratories LTD

トークンエコノミーとは？
便利ですがお高い
“シェア”したいけど本体
の切り分けはできない
形のない“権利”を
細分化し取引可能にする
のがトークン化
“生成したデジタルトークンを単純な通貨として使うので
はなく、様々な機能や価値をひも付け流通させる「トーク
ンエコノミー」だ。” - 出典：日経コンピュータ、2019年5月2日号
1

トークンの信用
紙製のチケット暗号で保護したデータ
ブロックチェーン技術者的には
『暗号データの一択だ』と言いたくなるが
想定されるリスクとコストのバランスを
考える必要がある
コロナ感染対策で急激に拡がったオンライン取引では、対面取引よりリスクが
高まっており、ブロックチェーンが保証する「トークンの信用」がより重要になる
2

トークン価値の裏付け
通貨
Blockchain
電力
Blockchain
人の信用
Blockchain
信用信用信用
何でも？
Blockchain
価値の信用は各エコシステムに依存するので統合は困難
3

ブロックチェーン
統合サービス
『トークンエコノミー』の実現に向けて
◼ ブロックチェーンの”緩い”連携
◼ ブロックチェーンの独立性（＝ガバナンス）を侵さない
◼ ユーザ間の対等な取引を可能にするプラットフォーム
◼ ブロックチェーン台帳の仕様の違いはできるだけユーザに意識させない
決済サービストークンサービス
車
チャージ
現金化トークン化
償還
ステーブル
コインBC
自動車
BC
チャージ
現金化
ステーブル
コインBC
電力
トークン化
償還
電力BC
安全な取引
を仲介
エコシスステムが異なるブロックチェーン同士を統合、トークンエコノミーを実現
4

富士通のConnectionChain™技術
◼ ブロックチェーン同士を安全につなげるセキュリティ技術
◼ 2017年11月プレスリリース (http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/11/15.html)
◼ 2019年11月オープンソース化
(https://github.com/FujitsuLaboratories/ConnectionChain-sample)
◼ 先進的なお客様との実証実験で採用
◼ 『JCBと富士通、新たな決済連携プラットフォーム創出に向けた共同プロ
ジェクトを開始』
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/01/17.html
◼ 『富士通とBOOSTRY、異なるブロックチェーン間におけるデジタルアセット
取引に成功し、サービス提供に向けたビジネスモデル検討を開始』
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/05/25-1.html
ブロックチェーン同士をブロックチェーンで繋ぐConnectionChain技術
5

処理ルール / 取引証跡
(HLF World State)
ConnectionChainの仕組み
連携
ノード
連携
ノード
拡張スマート
コントラクト
BC
Controller
BC
Controller
取引取引
ブロックデータブロックデータ
一般ユーザの
発行した取引
として処理
承認された取引
をブロックデータ
から取り込む
連携先BCの取引
結果を根拠にした
拡張スマートコントラクト実行
連携先ブロックチェーン-1 連携先ブロックチェーン-2
ConnectionChain ™
ブロックチェーン間連携動作時に問題となる手続きの透明性確保と、
取引間の同期を取るために必要なエラーリカバリーなどを自動化
6

Hyperledger CACTUSの設立
◼ トークンエコノミーの実現では、オープンな仕様で相互接続性を向上させ、
どんなブロックチェーンともつなげるようにする必要があった
◼ 2020年5月に活動を開始した Hyperledger Cactus は、異なるブロックチェー
ン間の安全な相互接続で実現される統合型サービスの構築を容易にするラ
イブラリ/ツール群を開発するHyperledger公式プロジェクト
◼ 富士通とAccenture社によるＰＪ立ち上げの共同提案＆コードの共同開発
ブロックチェーン基盤を使ったツール基盤/サービス開発用の部品
PJ化前の
Incubation
ブロックチェーン基盤
業界限定
図の出典: Hyperledger Greenhouse https://www.hyperledger.org/use
7

Accenture社とのPJ設立提案とアーキ統合
ユーザ口座
決済事業者
口座
ｽﾏｰﾄｺﾝﾄﾗｸﾄ
預託口座
決済事業者
口座
店舗口座
コードを提示
ユーザのトークン価値を別チェーンの店舗口座へ移転
Blockchainの抽象操作機能
１．コネクションチェーンOSS化
Accenture
Blockchain Integration
Fujitsu
ConnectionChain
sample
Blockchain-Integration-Framework
(Hyperledger Lab project)
[Accenture(発起人),富士通,IBM,Intelほかが参加]
両社のコードを合意に基づき実装を統合するための
whitepaperの共同執筆し、プロジェクトの実現性をアピール
TSCによる
審議
正式プロジェクトへ昇格
２．Hyperledgerで正式プロジェクト化
富士通実装とアクセンチュア実装の”良いトコどり” を目指した新アーキを検討
8

CACTUSの想定ユースケース：カーシェア
想定：
• ユーザ(Alice)が別ユーザ(Bob)からクルマの使用権を買い取る
• 貸し出し台帳とToken台帳は運営者が違うがAliceとBobの間で取引が成立済み
• AliceはCactusを使ったサービサ(Cherie)に取引の仲介をAPI呼び出しで依頼
• Cactusは自身が管理する口座でTokenを預かり、使用権発行後に決済
動作ロジック部分をプラットフォーム化して、BC統合型サービスの構築を支援する
Hyperledger
Cactus
framework
ユーザー
2. コイン
の送金
3. 利用権の移転
1. 取引依頼
5. 取引結果の確認
プライベートコイン
のブロックチェーン
車の利用権の
ブロックチェーン
車の所有者
4. コイン
の送金
車の所有者
ユーザー
ユーザー
9

Cactus新アーキと開発計画について
ＯＳＳの
開発範囲
複数Blockchainで
構成される
統合型サービス
富士通/アクセンチュアのコードを活用して開発をスピードアップ。年末の統合完了をめざす
統合サービスの
処理ロジック
（実装依存）
統合対象の
分散台帳
図：whitepaper最新版より
Validatorの電子署名
で取引結果の
信用を確保
10

まとめ
◼ トークンエコノミーの実現にはブロックチェーンの特性を活
かした”緩い連携”が必要
◼ ブロックチェーン間の安全な連携を実現する富士通の独自技
術がConnectionChain(“コネクションチェーン”)
◼ オープンな仕様でどんなブロックチェーンでもつながる世界
を目指し、Hyperledger CACTUSを立ち上げ、開発を進めている
◼ 異なる用途のブロックチェーンを組み合わせで、大きな付加
価値を生み出す可能性があるので、ConnectionChain/CACTUSを
活用した取り組みへの参加をぜひご検討ください
Copyright 2020 FUJITSU Laboratories LTD11

複雑な例：配送サービス [1/3]
販売店と配送業者が個別契約し安価で商品を発送
配送状況と連動して支払いを実行
◼ 配送管理ブロックチェーンと、通貨管理ブロックチェーンを統合
◼ 販売店が複数配送業者を経由する配送を依頼する際、各々の配送業
者に対しての代金支払いが、販売店と配送業者との個別契約で可能
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