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NEW YORK STATE
OPEN DATA HANDBOOK
調査レポート
Code for Japan
2014 年 10 月 24 日
作成:コーポレートフェロー SAP ジャパン 奥野和弘
本資料について
本資料は、コードフォージャパンのコーポレートフェローとして鯖江市のオー
プンデータ戦略を考える為に 2014 年 10 月中旬から 11 月末まで鯖江市に SAP
ジャパン社から派遣された、奥野和弘による成果資料です。
鯖江市がオープンデータの取り組みをさらに推進するために何をすべきかを整
理する為に作成し、鯖江市役所に提出いたしました。
コードフォージャパンでは、自治体のオープンガバメント施策を推進するため
に、企業が自治体にリーダー人材を派遣するプログラム、「コーポレートフェロ
ーシップ」を実施しています。
コーポレートフェローシップの詳細については、
http://code4japan.org/corporate-fellowship
をご確認ください。
本資料は、
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの「表示 2.1 日本 (CC BY 2.1 JP)」の
条件で配布をいたします。以下のクレジット表示を行っていただければ、複製
や改変、再配布を行うことができます。
表記の方法:
CC-BY:コードフォージャパン
CC-BY:Code for Japan
詳細については、クリエイティブ・コモンズの解説ページ
http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/
をご確認ください。
目次
1. 本調査の目的 ......................................................................................... 5
2. OPEN DATA HANDBOOK の公開場所 .......................................................... 5
3. OPEN DATA HANDBOOK の内容 ............................................................... 6
3.1. 概要.......................................................................................................................6
3.2. INTRODUCTION(はじめに)の内容.........................................................................6
3.2.1. Open Data – data.ny.gov ................................................................................6
3.2.2. The Open Data Handbook ..............................................................................7
3.2.3. Timeline.........................................................................................................8
3.2.4. Definitions .....................................................................................................8
3.3. DIRECTIVES FOR PARTICIPATING AGENCIES(参加機関への指示).............................9
3.3.1. Open Data Website.........................................................................................9
3.3.2. Data Coordinator ...........................................................................................9
3.3.3. Data Working Group (“DWG”)........................................................................9
3.3.4. Open Data Handbook .....................................................................................9
3.3.5. Publication of Data(データの公開)..............................................................9
3.3.6. Participation by Localities and Other State Entities(その他機関の参加)...10
3.3.7. Publishing Approvals ...................................................................................10
3.3.8. Standardization(標準化)...........................................................................10
3.3.9. Updates to Published Data Sets(公開済みデータセットの更新)................. 11
3.4. GUIDELINES FOR PARTICIPATING AGENCIES(参加機関のための指針)....................12
3.4.1. Data Set Identification(データセットの特定) ............................................13
3.4.2. Release Prioritization(公開の優先順位づけ)..............................................14
3.4.3. Disclosure Considerations(開示時の考慮事項)...........................................16
3.4.4. Narrative Content(文章として記述されたコンテンツ)...............................16
3.5. PUBLIC USE OF DATA.NY.GOV(市民による DATA.NY.GOV の利用)...........................17
3.5.1. Public Input(市民からの提案)...................................................................17
3.5.2. Downloading Bulk Data ...............................................................................17
3.5.3. Application Program Interface (API) ............................................................18
3.5.4. Terms of Use(利用条件)............................................................................18
4. OPEN DATA HANDBOOK に関する考察 ..................................................... 19
4.1. OPEN DATA HANDBOOK は誰を対象としたものか?................................................19
4.2. OPEN DATA HANDBOOK から読み取るニューヨーク州のオープンデータ運用体制 ....20
4.3. OPEN DATA HANDBOOK から読み取るニューヨーク州の成功要因............................21
4.3.1. 人と組織.......................................................................................................21
4.3.2. プロセス(手順)..........................................................................................22
4.3.3. モニタリング(計測、報告).........................................................................22
4.3.4. 規約と標準....................................................................................................24
4.3.5. IT.................................................................................................................24
4.3.6. その他の成功要因..........................................................................................24
5. まとめ ............................................................................................... 25
1. 本調査の目的
オープンデータを広く利活用していくためには、オープンデータを公開する自治体と、オ
ープンデータを利活用する開発者および市民の間での「協働」が重要であるが、こうした
関係はただデータを公開すれば自動的に得られるものではなく、関係構築のためのより積
極的な仕組みが必要であると考えられる。
本調査では、オープンデータの利活用を促進する、自治体と開発者および市民の間の協働
関係を構築するために、どんな仕組みが求められるかを調査するために、オープンデータ
の先進国である米国でニューヨーク州が公開している Open Data Handbook の内容を分析
する。
2. Open Data Handbook の公開場所
ニューヨーク州の Open Data Handbook へは、New York 州のオープンデータに関するウ
ェブサイト(http://data.ny.gov)の画面右上にあるメニューから簡単にアクセスできるよ
う工夫されている。
図 1:ニューヨーク州のオープンデータウェブサイトから Handbook へのリンク
3. Open Data Handbook の内容
3.1. 概要
ニューヨーク州の Open Data Handbook は以下の章から構成されている。
 Introduction (はじめに)
 Directives for Participating Agencies(参加機関への指示)
 Guideline for Participating Agencies(参加機関のためのガイドライン)
 Public Use of data.ny.gov(市民による data.ny.gov の利用)
 Appendix A: Executive Order 95(補足 A:州知事命令 95 号)
 Appendix B : Meta Data Element(補足 B:メタデータの要素)
図 2:ニューヨーク市の Handbook の目次
3.2. Introduction(はじめに)の内容
Introduction(はじめに)ではニューヨーク州がオープンデータに取り組む意義や Open
Data Handbook の目的などが書かれている。続く 4 つのパートからなる。
3.2.1. Open Data – data.ny.gov
最初のパートではオープンデータにニューヨーク州が取り組む意義について述べられてい
る。
このパートは 4 つの誓約から始まる。
 New York State is committed to proactively releasing publishable state data.
ニューヨーク州は州が保有する開示可能な情報を積極的に公開していくことを誓いま
す。
 New York State is committed to making publishable state data openly and freely
available in accessible formats for the public to re-use and consume.
ニューヨーク州は市民が再利用し活用しやすいフォーマットで、州が保有する開示可
能な情報を、開かれた制限のない形で作成することを誓います。
 New York State is committed to publishing high quality data with comprehensive
metadata and documentation to foster interoperability and maximize citizen
under-standing of the data
 ニューヨーク州は相互運用を促進し、市民のデータについての理解を最大化するため
に、包括的なメタデータと文書の揃った高品質なデータを公開することを誓います。
 New York State is committed to on-going and continuous publication of publishable
state data.
ニューヨーク州は引き続き継続して州が保有する開示可能な情報を公開していくこと
を誓います。
また、この取り組みの根拠として、州知事命令 95 号が州の各機関に対して、保有する情報
をカタログ化し、data.ny.gov で公開していくことを命じていることにも触れている。
さらに、「オープンデータ」のコンセプトと、それがニューヨーク州およびその市民にとっ
てどのような意義を持つかを述べている。
このパートの興味深い点として“Quality by Design”という考え方が強調されていることが
挙げられる。Quality by Design とは、あらかじめ品質を意識して製造プロセス(手順)を
設計し、適切に稼働させることにより、最終的に完成したものの品質を確保しようという
考え方である。
3.2.2. The Open Data Handbook
Open Data Handbook は効果的で、利用しやすく、透明性の確保されたデータを公開して
いくための州の機関および市民の双方に対するガイドラインあると述べられている。興味
深い点として、Open Data Handbook 自体の記載内容について、教育機関や調査機関、開
発者、企業、そして市民からのフィードバックを求めており、継続的に内容を見直す姿勢
が見られる。
3.2.3. Timeline
大まかなスケジュールが書かれている。2019 年 12 月には州知事命令 95 号が、各機関の現
在進行中の計画や戦略の前提として完全に取り込まれる予定となっている。
3.2.4. Definitions
用語の定義が行われている。基本的に州知事命令 95 号との整合がとられている。Covered
State Entity(対象となる州の機関)、Chief Data Officer (CDO:最高データ責任者)、ITS
(ニューヨーク州 IT サービスオフィス)と言った、オープンデータの準備と公開に関係す
る人や組織に加えて Data、Data set、Publishable State Data(開示可能な州が保有する
データ)などが具体的に何を意味するのか定義されている。
3.3. Directives for Participating Agencies(参加機関への指示)
Directives for Participating Agencies(参加機関への指示)には、州知事命令 95 号に基づ
いて、州の機関が従うべき指示が記述されている。以下の 9 つのパートからなる。
3.3.1. Open Data Website
New York State Office of Information Technology Services (ITS) が Open Data Website
(data.ny.gov) を構築すること、州が保有する開示可能な情報の収集と公開がその目的であ
ることが述べられている。
3.3.2. Data Coordinator
州知事命令 95 号の対象となる州機関は「データコーディネーター」を任命することが定め
られている。データコーディネーターについて以下のように定義されている。
 各機関の長、もしくは副長と同等の権限を持つ
 所属機関で利用されているデータやリソースについての知識を持っており
 州知事命令、Open Data Handbook の内容、オープンデータへの取り組みを支援する
上で今後発される可能性のあるさまざまな指示に関係する、所属機関におけるコンプ
ライアンスに責任を持つ
データコーディネーターは ITS の data.ny.gov チームと、所属機関の間の調整役であり、所
属機関の規模によっては、データコーディネーターを補佐する追加人員を任命してよいこ
とになっている。
3.3.3. Data Working Group (“DWG”)
ITS が組織し CDO を補佐する Data Working Group(“DWG”)について定められている。
DWG は ITS のメンバーに加え、情報セキュリティ部門や、総務、予算局、地方自治の専門
家、8 人から 12 人のデータコーディネーターからなる組織横断的なグループであるとされ
ている。
3.3.4. Open Data Handbook
ITS が Open Data Handbook の発行、改正に責任を持つことが定められている。
3.3.5. Publication of Data(データの公開)
各機関が開示可能な情報をカタログ化し、Open Data Handbook に従って優先順位付けを
し、データ公開スケジュールを ITS と CDO に提案すると定められている。データ公開スケ
ジュール自体も公開される。
3.3.6. Participation by Localities and Other State Entities(その他機関の参加)
州知事命令 95 号が対象としていない機関に対しても、Open Data Handbook に従って、
data.ny.gov 上で積極的にオープンデータを公開していくよう奨励している。
3.3.7. Publishing Approvals
このパートではオープンデータを公開する機関が行うべき、内部レビューと承認のための
プロセス(手順)について定めている。データの品質、正確性に加え、コンプライアンス、
プライバシー、各種法規制、知的財産所有権やニューヨーク州の Freedom of Information
Law (FOIL)への準拠の責任は、各機関が負うことになっている。
各機関はデータ公開の前に、ITS が用意するフォームに従って、少なくとも以下の担当者か
ら承認を得なければならない。また、それぞれの機関の必要に応じて承認者を追加するこ
ともできる。
(最低限必要な承認者)
 データ所有者:各機関の長を想定している。データ収集の目的、データの正確性と新
しさ、データの内容、およびデータに関する様々な許可の有無について熟知している
ことが求められる。
 法務担当者:データ公開にあたって各種法的要件を満たしていることを確認する。プ
ライバシーやセキュリティなど、各エリアの責任者と協力するよう推奨されている。
 担当者(データコーディネータなど):data.ny.gov と各機関の間の調整役であると同時
に、各機関が data.ny.gov にデータを提供する前に適切な評価が行われたことを確認す
る補佐的な役割を果たす。
 最高責任者もしくは最高責任者から任命された者:各機関の最高責任者。各機関が
data.ny.gov にデータを提出する前に適切な評価が行われたことを確認する最終責任者。
3.3.8. Standardization(標準化)
機械判読可能な形でデータを提供することに加え、元データへのアクセスも提供するよう
規定されている。またオープンデータ従うべき標準についての概要を記述している。以下
のような内容がカバーされている。
 Metadata(メタデータ)
 Descriptive Information(データについての説明)
 Domain Categories(分類)
 Catalog Sharing(カタログの相互参照)
 Data Sets(データセットのファイルフォーマット)
 Open Specifications(オープンな仕様)
 Content Format(データの詳細なフォーマット)
3.3.9. Updates to Published Data Sets(公開済みデータセットの更新)
公開済みデータセットは必ず最新の情報に更新しなければならないと定められている。更
新頻度についてメタデータ内に記述することも定められている。
3.4. Guidelines for Participating Agencies(参加機関のための指針)
Guidelines for Participating Agencies(参加機関のための指針)ではデータ公開プロセス
(手順)についての指針が記述されている。
データ公開プロセス(手順)の大枠は Figure1 として提示されている。大枠は以下のとお
りである。
1. Identification:特定・確認
2. Assessment / Prioritization:評価と優先順位づけ
3. Pre-Publication:公開に向けた整備
図 3:Open Data Handbook で推奨されているデータ公開プロセス(手順)
3.4.1. Data Set Identification(データセットの特定)
まず最初に、州知事命令 95 号が規定している州が保有する開示可能な情報(Publishable
State Data)の定義に基づいて、価値が高く、高品質で、完全なデータセットを特定・確
認しなければならないと述べられている。
また、「価値が高い」情報とは何かについて以下のように定義されている。
 Increase the agency’s accountability and responsiveness
その機関の説明責任対応およびその他の要請に対する対応を向上させる
 Improve public knowledge of the agency and its operations
その機関と担当業務に関する市民の理解を向上させる
 further the mission of the agency
その機関の任務遂行に役立つ
 Create economic opportunity
経済的機会(ビジネス・チャンス)を生み出す
 Respond to need or demand identified after public consultation
公聴会などによって明らかになった市民の必要や要求に答える
また、General Question(一般的な質問)として、公開すべきデータを見つけるための助
けとなる 7 つの質問(ただし、これで全てではなく、全ての質問が必須でもない)が紹介
されている。
 What data (including historical data) does the agency collect, maintain, or hold?
機関がどのようなデータを(過去データを含め)収集し、更新し、保管しているか。
 What “high value” data are currently publicly available?
どのような「価値の高い」データが現在すでに公開されているか(しかし、機械判読
ができる形式になっていないか?)。
 What underlying data populates aggregate information in published reports?
公開されている報告書の中の集計済みのデータの基となっているのはどんなデータ
か?
 What data does the agency policy and planning unit use for trending and statistical
analysis?
機関の政策企画部署が動向分析や統計分析に利用しているのはどんなデータか?
 What data are reported to the federal government; or frequently requested by other
government entities (federal, state, local)?
連邦政府への報告に利用されているデータ、あるいは他の政府機関(連邦、州、地方)
からしばしば要求されるデータはどのようなものか?
 What data is the subject of frequent FOIL requests? What data is the public
requesting?
FOIL(情報公開法)に基づく公開請求対象となるデータはどれか? 市民が公開を求
めているのはどんなデータか?
 What data have not been previously published but meet the definition of “high
value”?
過去に公開されたことはないが「高い価値」を持つデータはどんなデータか?
本パートの最後の部分では興味深い指針が与えられている。各機関が開示可能なデータを
特定していく過程で、「ここまで細かなデータを開示しても、かえってユーザーに利用しに
くくなるだけだろう」と考えてしまいがちであることに触れた上で、そういった考えは極
力排除して、そのデータの定義はもちろん、どのように収集されたのかなど、可能な限り
詳細な説明を添えつつ、可能な限り全てのデータを公開することが推奨されている。デー
タの利用者の中には研究者や専門家も存在することを忘れてはならず、利用者を過小評価
しないようにと述べられている。
3.4.2. Release Prioritization(公開の優先順位づけ)
データ公開スケジュールを作成する際に、各機関はデータ公開までに行わなければならな
い作業をただしく考慮に入れ、現実的な計画を立てるよう推奨されている。州知事命令 95
号においても、あるデータの公開や維持管理のために極端な予算や工数が必要になる場合、
それは「開示可能な情報」には該当しないとしている。
Open Data Handbook では公開の優先順位付けをする際の基本となる 3 つの観点について
述べられている。以下の 3 つである。
 High Value(高い価値):データを公開する価値が高いか?
 High Quality(高い品質):データは完全で正確で最新のものか?
 Readiness/Availability:データは公開準備が整っているか(既に電子形式になってい
たり、公開に必要な承認が容易なデータは、より準備が整っていると見なせる)?
図 4:Open Data Handbook が推奨する優先順位づけのための基本的な観点
続いて、各機関が州知事命令 95 号に従い高い価値を持つ開示可能情報を公開するにあたっ
て、その優先順位付けを行うのに役立つ 23 の質問が紹介されている。
1. そのデータは各機関の成果を広く知ってもらうのに役立つだろうか。あるいはそのデ
ータの公開によってより高い目標が設定され、それによって市民が利益を享受するだ
ろうか?
2. そのデータはすでに処理や分析、再利用に適した機械判別可能な形式で公開されたり
作成されたりしたことがあるだろうか?
3. そのデータは「価値が高い」だろうか?
4. そのデータを利用可能にすることは、州もしくは各機関が新たに注力する取り組みと
連携するものとなっているだろうか?
5. そのデータを利用可能にすることは、連邦政府が注力している取り組みや、連邦政府
が公開しているデータと連携するものとなっているだろうか?
6. そのデータが公開されることは、法規制や許認可などと関係して何らかの役に立つも
のだろうか?
7. そのデータは州や地方、内部機関や外部機関の意思決定に役立つだろうか? あるい
は公共政策に関する情報を含んでいるだろうか?
8. そのデータは最新のものだろうか? データセットの更新や維持管理のサイクルはど
うなっているだろうか?
9. そのデータを利用可能にすることは、法的要請によるデータ公開と連携するものとな
っているだろうか?
10. そのデータを利用可能にすることにより、機関どうしのコミュニケーションが向上す
るだろうか?
11. そのデータを利用可能にすることで明確な経済的機会が創出されるだろうか?
12. そのデータは斬新で有用なアプリケーション、モバイルアプリケーション、サービス
を生み出す可能性があるだろうか?
13. そのデータは該当機関、あるいは複数の政府機関の中核任務や、戦略的な動向を推進
するのに役立つだろうか?
14. そのデータは多年に渡る、深みのあるものだろうか?
15. そのデータにはメタデータやデータ辞書が整備されているだろうか?
16. そのデータは正確で完全だろうか?
17. そのデータセットは機械判別可能な形式、もしくは簡単に機械判別可能な形式に変換
できる形式だろうか?
18. そのデータは頻繁に(公開)要請されるか?
19. そのデータは業務時間外に市民によって必要とされるだろうか?
20. そのデータは市民にとって直接的な影響をもつものだろうか?
21. そのデータに対して利用者から(公開の)強い要請があるか?
22. そのデータは最新の関心事に関連するものだろうか?
3.4.3. Disclosure Considerations(開示時の考慮事項)
このパートではデータを開示する際に考慮すべき法規制による制約について記述している。
以下の項目について扱われている。
 Security, Privacy, Regulatory, & Aggregate Data(セキュリティ、プライバシー、法
規制、集計データ):セキュリティ、プライバシー、法規制に対する配慮に加え、他の
データと組み合わせて利用された場合に起きる可能性のある危険について述べている。
 Threshold(閾値):集計済みデータから個人が特定される危険について述べている。
例えば逮捕者に関する統計の中で、特定の年齢層の逮捕者の数が非常に小さかった場
合、それが特定の個人に容易に結び付けられるなどの危険が指摘されている。
 FOIL Applicability(情報開示法への準拠):FOIL では個人のプライバシーの侵害、契
約に対する違反、保護された企業機密の漏えい、法執行や司法手続きへの影響、生命
や安全に関する危険などが引き起こされるケースを除いて、政府の記録は市民に対し
て開示されることになっている。同法を順守するため、データ公開に当たっては FOIL
担当者と協議するよう勧めている。
 Ownership Rights(所有権):第三者より入手したようなデータで、州機関が所有権を
有していないデータの開示について、適切な扱いをするよう述べられている。
3.4.4. Narrative Content(文章として記述されたコンテンツ)
文章のような情報は data.ny.gov では取り扱わず、もしその情報が公開データと関連がある
場合には、それを各機関のウェブサイトで公開し、data.ny.gov 上の公開データからリンク
するように述べられている。
3.5. Public Use of data.ny.gov(市民による data.ny.gov の利用)
Public Use of data.ny.gov(市民による data.ny.gov の利用)では data.ny.gov を利用する
市民に対する指針が記述されている。
3.5.1. Public Input(市民からの提案)
このパートでは data.ny.gov の市民からの提案を受け付ける機能について説明されている。
特定のデータセットについてデータ公開者とやり取りしたり、フィードバックを送る機能
に加え、現在公開されていないデータセットの公開を提案する仕組みについても説明され
ている。
図 5:(参考)data.ny.gov のフィードバック送信メニュー
図 6:(参考)市民からのデータセット公開提案の一覧は現在の検討進捗を含めて公開されている
3.5.2. Downloading Bulk Data
data.ny.gov ではデータにアクセスするための、オープンで、標準に準拠した、REST の規
約に則った API を提供するとしている。データセットとしては tabular(表)と、geospatial
(地理空間)の 2 つの形式に対応することが述べられ、対応拡張子などについての詳細な
情報が提供されている。また 1GB 以上の大きなファイルについても対応可能であるとされ
ている。
3.5.3. Application Program Interface (API)
data.ny.gov でカタログ化されたデータは 1)決められた手順でアクセス可能であり、2)アプ
リケーションやシステムによって自動的に処理が可能であり、3)標準化された API を持つ
と述べられており、API に関しては REST の規約に従うことが述べられている。また、サ
ポートされる API の概要についても言及されている。ニューヨーク州の場合、通信は
HTTPS プロトコルで行われ、JSON、XML、CSV、RDF などの形式で応答を受け取るこ
とができるようになっている。
また、data.ny.gov では元のデータセットから特定のデータだけを返すように設計された
API を作成することも可能で、これらのAPI に関する情報は “Featured API Catalogue” と
いうカタログにまとめられている。
3.5.4. Terms of Use(利用条件)
このパートでは data.ny.gov 上の Terms of Use(利用条件)へのリンクが示されている。
https://data.ny.gov/download/77gx-ii52/application/pdf.
4. Open Data Handbook に関する考察
4.1. Open Data Handbook は誰を対象としたものか?
Open Data Handbook は 2 グループの読者を想定している。1 つ目は data.ny.gov 上で行政
データを公開する、州の各機関および他の政府機関である。2 つ目はオープンデータを利用
する市民である。しかしながら内容を見ると、州の各機関および他の政府機関に対する指
示と指針としての色が強く、市民に対しては、行政機関がデータをどのような手順で公開
していくかを周知するというのが目的であって、市民に対するオープンデータ活用の啓も
う活動は別な手段で行われていると考えられる。例えば、data.ny.gov の右上のメニューか
ら “About” > “Press Releases” を選択すると、関連するプレスリリースが検索できるが、
例えばニューヨーク州の州知事のサイトをはじめ、さまざまなサイト内で市民への啓もう
が行われている様子がうかがえる。
図 7:data.ny.gov 内のプレスリリース一覧ページ
Open Data Handbook には開発者向けの情報は含まれていない。開発者向けの情報は
data.ny.gov の右上のメニューから “Developers”をクリックすると到達できる、開発者向け
ページ(https://data.ny.gov/developers)に別途整理して掲載されており、開発マニュアル
や、サンプルプログラム、再利用可能なライブラリ(アプリケーションのプログラムコー
ド)、質問をできるコミュニティーなど、有用な情報が多数提供されている。
図 8:data.ny.gov の開発者向けページ
4.2. Open Data Handbook から読み取るニューヨーク州のオープンデータ運用体制
ニューヨーク州のオープンデータ運用の概略図を以下に示す。
図 9:ニューヨーク州のオープンデータ運用概略図
ニューヨーク州の運用で注目できるのは以下のような点である。
 データ公開の責任は各機関が負っている
 IT サービスオフィスはオープンデータ公開基盤(data.ny.gov)を運用することに加え
て、Open Data Handbook で各機関に対する指針を出す責任を負っている
 Open Data Handbook は各機関がデータを公開するために必要な、人と組織、プロセ
ス(手順)、標準とルール、そして基盤となる IT についての情報を提供している。
 これらはすべて州知事命令 95 号に基づく強制力をもって行われている。
4.3. Open Data Handbook から読み取るニューヨーク州の成功要因
一般に情報活用を成功させるためには 4+1 の視点が必要であると言われている。以下にそ
れを図で示す。
図 10:情報活用を成功させるために必要な 4+1 の視点
Open Data Handbook で読み取れる情報、および data.ny.gov から判る範囲の情報に基づ
いて、ニューヨーク州のオープンデータの運用を、上記 4+1 の視点で分析すると以下の通
り、きわめて網羅的にオープンデータの運用が行われていることが分かる。
4.3.1. 人と組織
Open Data Handbook はデータ公開の責任の所在を明確に州の各機関に置くとともに、デ
ータコーディネーターという役割を置くよう命じている。また、データ公開に関与すべき
人についても明確にしている。データコーディネーター、データ所有者、法務担当者、機
関の長などである。
オープンデータ基盤の運用と、各機関に対するガイドラインについては、IT サービスオフ
ィスが担当すると定められている。また、最高データ責任者(CDO)の設置や、データ委
員会(DWG)の設置についても定めている。
このようにニューヨーク州では責任の所在、運用の担当者/担当組織を明確にすることで、
各機関が当事者意識をもってオープンデータに取り組む体制を構築している。
4.3.2. プロセス(手順)
Open Data Handbook では、各機関がデータを公開する際のプロセス(手順)についても
定めている。また、プロセス(手順)に関与すべき人、各手順で確認すべきこと、その際
に考慮にいれるべき規約や標準についても定めている。
このようなプロセス(手順)が確立していることによって、より効率的かつ大規模にオー
プンデータの取り組みを進めることに成功していると思われる。また、評価プロセス(手
順)の中に、各領域の専門家による承認を組み込むことで、データを公開することのリス
クを最大限排除し、安心、安全なデータ公開を実現している。
4.3.3. モニタリング(計測、報告)
Open Data Handbook では、オープンデータの公開状況や活用状況を測るために、どんな
モニタリング(計測、報告)を行うのかは明確にはされていない。しかしながら、data.ny.gov
の右上のメニューから “About” > “Report”を選択した先のページには、年次報告書と四半
期報告書の 2 種類の報告書がまとめられている。
図 11:data.ny.gov の報告書のページ
こうした状況を鑑みるに、モニタリング(計測、報告)に関しては、Open Data Handbook
には記述されていないものの、何らかの基準が設けられて運用が行われているものと考え
られる。四半期報告書については報告者が明記されていないが、年次報告書については
Open NY Director および CDO の連名で ITS が報告を行っている。
年次報告書はオープンデータに関するニューヨーク州の取り組みについて、その意義を確
認するとともに、データ公開、アプリ開発、市民参画などの分野で、どんな成功を収めた
かを報告する性質のものとなっている。以下のような内容が含まれている。
 振り返り
 州知事命令 95 号をとこの取り組みを行う意義について
 data.ny.gov に関連した特筆すべきできごと
 データ公開について特筆すべきできごと
 アプリケーション開発について特筆すべきできごと
 市民参画について特筆すべきできごと
 道程に基づいた進捗状況
 取り組みに対する様々な人々の評価
 今後について
四半期報告書は年次報告書よりも詳細な、数値やグラフを多く用いた報告書となっている。
具体的には公開されたデータセットの数や、総レコード数、data.ny.gov へのアクセス数な
どが報告されている。また、市民参画のために企画されたさまざまイベント、今後のイベ
ントなどについても報告されている。
図 12:data.ny.gov でダウンロードできる年次報告書と四半期報告書
こうした定期的なモニタリング(計測、報告)によって、取り組みの停滞をいち早く察知
することができる。こうしたモニタリングは計画通りにオープンデータ化を推進する上で
欠かせないものとなっていると考えられる。
4.3.4. 規約と標準
Open Data Handbook は公開されるデータが満たすべき規約や標準を広範囲に定めている。
以下のような観点で規約と標準が定められている:
 データそのものについての基準:データの持つ価値、品質、粒度、新しさなど
 法規制やセキュリティに関する基準:データが含む情報の法規制への適合性、データ
を公開することによるリスクの評価など
 データの活用しやすさに関する基準:機械判別可能なフォーマット、メタデータの整
備など
 データの運用に関する基準:データの継続的更新など
こうした広範に渡る規約と標準は、公開されるデータの品質と信頼性を高め、結果として
それを活用したアプリケーションの品質と信頼性にも良い影響を与える。これは、より多
くの人に、オープンデータとそれを利用するアプリケーションを活用しようという動機づ
けを与える上で重要なことである。
4.3.5. IT
Open Data Handbook は data.ny.gov が有するべき機能、API などについて限定的な情報
を提供している。さらに詳細な技術仕様や情報は開発者のためのページで別途提供されて
いる。オープンデータは IT 技術を前提としたものであり IT は必須であるが、ニューヨー
ク州のように非常に多くのデータセットが公開され、多数のアプリがそこにあるデータに
アクセスするケースでは、堅牢でパフォーマンスの良い IT 基盤が必要となる。
IT が貢献できる別な面として、必ずしも IT の専門家ではない人々が、オープンデータを簡
単に公開するための仕組みを提供できるという点が挙げられる。ニューヨーク州の場合に
も、data.ny.gov はデータ公開のための仕組みや、特定の用途のための追加 API の作成のた
めの仕組みなど、データ公開をサポートするいくつかの仕組みが提供されていることが読
み取れる。
4.3.6. その他の成功要因
Open Data Handbook を読み進めていく中で気づくのは、州知事命令 95 号に何度も立ち返
って指針が示されていることである。州の機関に対して強い権限を有する州知事が、この
取り組みに対して適切な権威を与えていることが、取り組みを強く推進する上で大きな後
ろ盾となっていることは容易に想像できる点である。
一方で、こうしたトップダウンでの取り組みの推進は、日本の文化的背景では期待通りに
作用しないケースもあることには注意を払う必要があると思われる。
5. まとめ
本調査ではオープンデータ先進国である米国のニューヨーク州の取り組みについて、Open
Data Handbook の記載内容を基に分析した。
ニューヨーク州では情報活用に必要と言われる 4+1 の視点(人と組織、プロセス、モニタ
リング、規約と標準、IT)で評価した際に、非常にバランスのとれたオープンデータ運用
の仕組みを整備している。こうした整備されたオープンデータ運用の仕組みが、ニューヨ
ーク州でのオープンデータの利活用に一定の貢献を果たしていることは間違いない。
加えて、州知事命令 95 号がオープンデータの取り組みを推進する上で強い後ろ盾となって
いることも見逃せない。多数の州機関の協力を得る上で、州知事の強いリーダーシップが
大いに役立っていると考えられる。

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ニューヨーク州 Open data handbookについての調査

  • 1. NEW YORK STATE OPEN DATA HANDBOOK 調査レポート Code for Japan 2014 年 10 月 24 日 作成:コーポレートフェロー SAP ジャパン 奥野和弘
  • 2. 本資料について 本資料は、コードフォージャパンのコーポレートフェローとして鯖江市のオー プンデータ戦略を考える為に 2014 年 10 月中旬から 11 月末まで鯖江市に SAP ジャパン社から派遣された、奥野和弘による成果資料です。 鯖江市がオープンデータの取り組みをさらに推進するために何をすべきかを整 理する為に作成し、鯖江市役所に提出いたしました。 コードフォージャパンでは、自治体のオープンガバメント施策を推進するため に、企業が自治体にリーダー人材を派遣するプログラム、「コーポレートフェロ ーシップ」を実施しています。 コーポレートフェローシップの詳細については、 http://code4japan.org/corporate-fellowship をご確認ください。 本資料は、 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの「表示 2.1 日本 (CC BY 2.1 JP)」の 条件で配布をいたします。以下のクレジット表示を行っていただければ、複製 や改変、再配布を行うことができます。 表記の方法: CC-BY:コードフォージャパン CC-BY:Code for Japan 詳細については、クリエイティブ・コモンズの解説ページ http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ をご確認ください。
  • 3. 目次 1. 本調査の目的 ......................................................................................... 5 2. OPEN DATA HANDBOOK の公開場所 .......................................................... 5 3. OPEN DATA HANDBOOK の内容 ............................................................... 6 3.1. 概要.......................................................................................................................6 3.2. INTRODUCTION(はじめに)の内容.........................................................................6 3.2.1. Open Data – data.ny.gov ................................................................................6 3.2.2. The Open Data Handbook ..............................................................................7 3.2.3. Timeline.........................................................................................................8 3.2.4. Definitions .....................................................................................................8 3.3. DIRECTIVES FOR PARTICIPATING AGENCIES(参加機関への指示).............................9 3.3.1. Open Data Website.........................................................................................9 3.3.2. Data Coordinator ...........................................................................................9 3.3.3. Data Working Group (“DWG”)........................................................................9 3.3.4. Open Data Handbook .....................................................................................9 3.3.5. Publication of Data(データの公開)..............................................................9 3.3.6. Participation by Localities and Other State Entities(その他機関の参加)...10 3.3.7. Publishing Approvals ...................................................................................10 3.3.8. Standardization(標準化)...........................................................................10 3.3.9. Updates to Published Data Sets(公開済みデータセットの更新)................. 11 3.4. GUIDELINES FOR PARTICIPATING AGENCIES(参加機関のための指針)....................12 3.4.1. Data Set Identification(データセットの特定) ............................................13 3.4.2. Release Prioritization(公開の優先順位づけ)..............................................14 3.4.3. Disclosure Considerations(開示時の考慮事項)...........................................16 3.4.4. Narrative Content(文章として記述されたコンテンツ)...............................16 3.5. PUBLIC USE OF DATA.NY.GOV(市民による DATA.NY.GOV の利用)...........................17 3.5.1. Public Input(市民からの提案)...................................................................17 3.5.2. Downloading Bulk Data ...............................................................................17 3.5.3. Application Program Interface (API) ............................................................18 3.5.4. Terms of Use(利用条件)............................................................................18 4. OPEN DATA HANDBOOK に関する考察 ..................................................... 19 4.1. OPEN DATA HANDBOOK は誰を対象としたものか?................................................19
  • 4. 4.2. OPEN DATA HANDBOOK から読み取るニューヨーク州のオープンデータ運用体制 ....20 4.3. OPEN DATA HANDBOOK から読み取るニューヨーク州の成功要因............................21 4.3.1. 人と組織.......................................................................................................21 4.3.2. プロセス(手順)..........................................................................................22 4.3.3. モニタリング(計測、報告).........................................................................22 4.3.4. 規約と標準....................................................................................................24 4.3.5. IT.................................................................................................................24 4.3.6. その他の成功要因..........................................................................................24 5. まとめ ............................................................................................... 25
  • 5. 1. 本調査の目的 オープンデータを広く利活用していくためには、オープンデータを公開する自治体と、オ ープンデータを利活用する開発者および市民の間での「協働」が重要であるが、こうした 関係はただデータを公開すれば自動的に得られるものではなく、関係構築のためのより積 極的な仕組みが必要であると考えられる。 本調査では、オープンデータの利活用を促進する、自治体と開発者および市民の間の協働 関係を構築するために、どんな仕組みが求められるかを調査するために、オープンデータ の先進国である米国でニューヨーク州が公開している Open Data Handbook の内容を分析 する。 2. Open Data Handbook の公開場所 ニューヨーク州の Open Data Handbook へは、New York 州のオープンデータに関するウ ェブサイト(http://data.ny.gov)の画面右上にあるメニューから簡単にアクセスできるよ う工夫されている。 図 1:ニューヨーク州のオープンデータウェブサイトから Handbook へのリンク
  • 6. 3. Open Data Handbook の内容 3.1. 概要 ニューヨーク州の Open Data Handbook は以下の章から構成されている。  Introduction (はじめに)  Directives for Participating Agencies(参加機関への指示)  Guideline for Participating Agencies(参加機関のためのガイドライン)  Public Use of data.ny.gov(市民による data.ny.gov の利用)  Appendix A: Executive Order 95(補足 A:州知事命令 95 号)  Appendix B : Meta Data Element(補足 B:メタデータの要素) 図 2:ニューヨーク市の Handbook の目次 3.2. Introduction(はじめに)の内容 Introduction(はじめに)ではニューヨーク州がオープンデータに取り組む意義や Open Data Handbook の目的などが書かれている。続く 4 つのパートからなる。 3.2.1. Open Data – data.ny.gov 最初のパートではオープンデータにニューヨーク州が取り組む意義について述べられてい る。
  • 7. このパートは 4 つの誓約から始まる。  New York State is committed to proactively releasing publishable state data. ニューヨーク州は州が保有する開示可能な情報を積極的に公開していくことを誓いま す。  New York State is committed to making publishable state data openly and freely available in accessible formats for the public to re-use and consume. ニューヨーク州は市民が再利用し活用しやすいフォーマットで、州が保有する開示可 能な情報を、開かれた制限のない形で作成することを誓います。  New York State is committed to publishing high quality data with comprehensive metadata and documentation to foster interoperability and maximize citizen under-standing of the data  ニューヨーク州は相互運用を促進し、市民のデータについての理解を最大化するため に、包括的なメタデータと文書の揃った高品質なデータを公開することを誓います。  New York State is committed to on-going and continuous publication of publishable state data. ニューヨーク州は引き続き継続して州が保有する開示可能な情報を公開していくこと を誓います。 また、この取り組みの根拠として、州知事命令 95 号が州の各機関に対して、保有する情報 をカタログ化し、data.ny.gov で公開していくことを命じていることにも触れている。 さらに、「オープンデータ」のコンセプトと、それがニューヨーク州およびその市民にとっ てどのような意義を持つかを述べている。 このパートの興味深い点として“Quality by Design”という考え方が強調されていることが 挙げられる。Quality by Design とは、あらかじめ品質を意識して製造プロセス(手順)を 設計し、適切に稼働させることにより、最終的に完成したものの品質を確保しようという 考え方である。 3.2.2. The Open Data Handbook Open Data Handbook は効果的で、利用しやすく、透明性の確保されたデータを公開して いくための州の機関および市民の双方に対するガイドラインあると述べられている。興味 深い点として、Open Data Handbook 自体の記載内容について、教育機関や調査機関、開 発者、企業、そして市民からのフィードバックを求めており、継続的に内容を見直す姿勢 が見られる。
  • 8. 3.2.3. Timeline 大まかなスケジュールが書かれている。2019 年 12 月には州知事命令 95 号が、各機関の現 在進行中の計画や戦略の前提として完全に取り込まれる予定となっている。 3.2.4. Definitions 用語の定義が行われている。基本的に州知事命令 95 号との整合がとられている。Covered State Entity(対象となる州の機関)、Chief Data Officer (CDO:最高データ責任者)、ITS (ニューヨーク州 IT サービスオフィス)と言った、オープンデータの準備と公開に関係す る人や組織に加えて Data、Data set、Publishable State Data(開示可能な州が保有する データ)などが具体的に何を意味するのか定義されている。
  • 9. 3.3. Directives for Participating Agencies(参加機関への指示) Directives for Participating Agencies(参加機関への指示)には、州知事命令 95 号に基づ いて、州の機関が従うべき指示が記述されている。以下の 9 つのパートからなる。 3.3.1. Open Data Website New York State Office of Information Technology Services (ITS) が Open Data Website (data.ny.gov) を構築すること、州が保有する開示可能な情報の収集と公開がその目的であ ることが述べられている。 3.3.2. Data Coordinator 州知事命令 95 号の対象となる州機関は「データコーディネーター」を任命することが定め られている。データコーディネーターについて以下のように定義されている。  各機関の長、もしくは副長と同等の権限を持つ  所属機関で利用されているデータやリソースについての知識を持っており  州知事命令、Open Data Handbook の内容、オープンデータへの取り組みを支援する 上で今後発される可能性のあるさまざまな指示に関係する、所属機関におけるコンプ ライアンスに責任を持つ データコーディネーターは ITS の data.ny.gov チームと、所属機関の間の調整役であり、所 属機関の規模によっては、データコーディネーターを補佐する追加人員を任命してよいこ とになっている。 3.3.3. Data Working Group (“DWG”) ITS が組織し CDO を補佐する Data Working Group(“DWG”)について定められている。 DWG は ITS のメンバーに加え、情報セキュリティ部門や、総務、予算局、地方自治の専門 家、8 人から 12 人のデータコーディネーターからなる組織横断的なグループであるとされ ている。 3.3.4. Open Data Handbook ITS が Open Data Handbook の発行、改正に責任を持つことが定められている。 3.3.5. Publication of Data(データの公開) 各機関が開示可能な情報をカタログ化し、Open Data Handbook に従って優先順位付けを し、データ公開スケジュールを ITS と CDO に提案すると定められている。データ公開スケ ジュール自体も公開される。
  • 10. 3.3.6. Participation by Localities and Other State Entities(その他機関の参加) 州知事命令 95 号が対象としていない機関に対しても、Open Data Handbook に従って、 data.ny.gov 上で積極的にオープンデータを公開していくよう奨励している。 3.3.7. Publishing Approvals このパートではオープンデータを公開する機関が行うべき、内部レビューと承認のための プロセス(手順)について定めている。データの品質、正確性に加え、コンプライアンス、 プライバシー、各種法規制、知的財産所有権やニューヨーク州の Freedom of Information Law (FOIL)への準拠の責任は、各機関が負うことになっている。 各機関はデータ公開の前に、ITS が用意するフォームに従って、少なくとも以下の担当者か ら承認を得なければならない。また、それぞれの機関の必要に応じて承認者を追加するこ ともできる。 (最低限必要な承認者)  データ所有者:各機関の長を想定している。データ収集の目的、データの正確性と新 しさ、データの内容、およびデータに関する様々な許可の有無について熟知している ことが求められる。  法務担当者:データ公開にあたって各種法的要件を満たしていることを確認する。プ ライバシーやセキュリティなど、各エリアの責任者と協力するよう推奨されている。  担当者(データコーディネータなど):data.ny.gov と各機関の間の調整役であると同時 に、各機関が data.ny.gov にデータを提供する前に適切な評価が行われたことを確認す る補佐的な役割を果たす。  最高責任者もしくは最高責任者から任命された者:各機関の最高責任者。各機関が data.ny.gov にデータを提出する前に適切な評価が行われたことを確認する最終責任者。 3.3.8. Standardization(標準化) 機械判読可能な形でデータを提供することに加え、元データへのアクセスも提供するよう 規定されている。またオープンデータ従うべき標準についての概要を記述している。以下 のような内容がカバーされている。  Metadata(メタデータ)  Descriptive Information(データについての説明)  Domain Categories(分類)  Catalog Sharing(カタログの相互参照)  Data Sets(データセットのファイルフォーマット)  Open Specifications(オープンな仕様)  Content Format(データの詳細なフォーマット)
  • 11. 3.3.9. Updates to Published Data Sets(公開済みデータセットの更新) 公開済みデータセットは必ず最新の情報に更新しなければならないと定められている。更 新頻度についてメタデータ内に記述することも定められている。
  • 12. 3.4. Guidelines for Participating Agencies(参加機関のための指針) Guidelines for Participating Agencies(参加機関のための指針)ではデータ公開プロセス (手順)についての指針が記述されている。 データ公開プロセス(手順)の大枠は Figure1 として提示されている。大枠は以下のとお りである。 1. Identification:特定・確認 2. Assessment / Prioritization:評価と優先順位づけ 3. Pre-Publication:公開に向けた整備 図 3:Open Data Handbook で推奨されているデータ公開プロセス(手順)
  • 13. 3.4.1. Data Set Identification(データセットの特定) まず最初に、州知事命令 95 号が規定している州が保有する開示可能な情報(Publishable State Data)の定義に基づいて、価値が高く、高品質で、完全なデータセットを特定・確 認しなければならないと述べられている。 また、「価値が高い」情報とは何かについて以下のように定義されている。  Increase the agency’s accountability and responsiveness その機関の説明責任対応およびその他の要請に対する対応を向上させる  Improve public knowledge of the agency and its operations その機関と担当業務に関する市民の理解を向上させる  further the mission of the agency その機関の任務遂行に役立つ  Create economic opportunity 経済的機会(ビジネス・チャンス)を生み出す  Respond to need or demand identified after public consultation 公聴会などによって明らかになった市民の必要や要求に答える また、General Question(一般的な質問)として、公開すべきデータを見つけるための助 けとなる 7 つの質問(ただし、これで全てではなく、全ての質問が必須でもない)が紹介 されている。  What data (including historical data) does the agency collect, maintain, or hold? 機関がどのようなデータを(過去データを含め)収集し、更新し、保管しているか。  What “high value” data are currently publicly available? どのような「価値の高い」データが現在すでに公開されているか(しかし、機械判読 ができる形式になっていないか?)。  What underlying data populates aggregate information in published reports? 公開されている報告書の中の集計済みのデータの基となっているのはどんなデータ か?  What data does the agency policy and planning unit use for trending and statistical analysis? 機関の政策企画部署が動向分析や統計分析に利用しているのはどんなデータか?  What data are reported to the federal government; or frequently requested by other government entities (federal, state, local)? 連邦政府への報告に利用されているデータ、あるいは他の政府機関(連邦、州、地方) からしばしば要求されるデータはどのようなものか?  What data is the subject of frequent FOIL requests? What data is the public requesting?
  • 14. FOIL(情報公開法)に基づく公開請求対象となるデータはどれか? 市民が公開を求 めているのはどんなデータか?  What data have not been previously published but meet the definition of “high value”? 過去に公開されたことはないが「高い価値」を持つデータはどんなデータか? 本パートの最後の部分では興味深い指針が与えられている。各機関が開示可能なデータを 特定していく過程で、「ここまで細かなデータを開示しても、かえってユーザーに利用しに くくなるだけだろう」と考えてしまいがちであることに触れた上で、そういった考えは極 力排除して、そのデータの定義はもちろん、どのように収集されたのかなど、可能な限り 詳細な説明を添えつつ、可能な限り全てのデータを公開することが推奨されている。デー タの利用者の中には研究者や専門家も存在することを忘れてはならず、利用者を過小評価 しないようにと述べられている。 3.4.2. Release Prioritization(公開の優先順位づけ) データ公開スケジュールを作成する際に、各機関はデータ公開までに行わなければならな い作業をただしく考慮に入れ、現実的な計画を立てるよう推奨されている。州知事命令 95 号においても、あるデータの公開や維持管理のために極端な予算や工数が必要になる場合、 それは「開示可能な情報」には該当しないとしている。 Open Data Handbook では公開の優先順位付けをする際の基本となる 3 つの観点について 述べられている。以下の 3 つである。  High Value(高い価値):データを公開する価値が高いか?  High Quality(高い品質):データは完全で正確で最新のものか?  Readiness/Availability:データは公開準備が整っているか(既に電子形式になってい たり、公開に必要な承認が容易なデータは、より準備が整っていると見なせる)? 図 4:Open Data Handbook が推奨する優先順位づけのための基本的な観点
  • 15. 続いて、各機関が州知事命令 95 号に従い高い価値を持つ開示可能情報を公開するにあたっ て、その優先順位付けを行うのに役立つ 23 の質問が紹介されている。 1. そのデータは各機関の成果を広く知ってもらうのに役立つだろうか。あるいはそのデ ータの公開によってより高い目標が設定され、それによって市民が利益を享受するだ ろうか? 2. そのデータはすでに処理や分析、再利用に適した機械判別可能な形式で公開されたり 作成されたりしたことがあるだろうか? 3. そのデータは「価値が高い」だろうか? 4. そのデータを利用可能にすることは、州もしくは各機関が新たに注力する取り組みと 連携するものとなっているだろうか? 5. そのデータを利用可能にすることは、連邦政府が注力している取り組みや、連邦政府 が公開しているデータと連携するものとなっているだろうか? 6. そのデータが公開されることは、法規制や許認可などと関係して何らかの役に立つも のだろうか? 7. そのデータは州や地方、内部機関や外部機関の意思決定に役立つだろうか? あるい は公共政策に関する情報を含んでいるだろうか? 8. そのデータは最新のものだろうか? データセットの更新や維持管理のサイクルはど うなっているだろうか? 9. そのデータを利用可能にすることは、法的要請によるデータ公開と連携するものとな っているだろうか? 10. そのデータを利用可能にすることにより、機関どうしのコミュニケーションが向上す るだろうか? 11. そのデータを利用可能にすることで明確な経済的機会が創出されるだろうか? 12. そのデータは斬新で有用なアプリケーション、モバイルアプリケーション、サービス を生み出す可能性があるだろうか? 13. そのデータは該当機関、あるいは複数の政府機関の中核任務や、戦略的な動向を推進 するのに役立つだろうか? 14. そのデータは多年に渡る、深みのあるものだろうか? 15. そのデータにはメタデータやデータ辞書が整備されているだろうか? 16. そのデータは正確で完全だろうか? 17. そのデータセットは機械判別可能な形式、もしくは簡単に機械判別可能な形式に変換 できる形式だろうか? 18. そのデータは頻繁に(公開)要請されるか? 19. そのデータは業務時間外に市民によって必要とされるだろうか? 20. そのデータは市民にとって直接的な影響をもつものだろうか?
  • 16. 21. そのデータに対して利用者から(公開の)強い要請があるか? 22. そのデータは最新の関心事に関連するものだろうか? 3.4.3. Disclosure Considerations(開示時の考慮事項) このパートではデータを開示する際に考慮すべき法規制による制約について記述している。 以下の項目について扱われている。  Security, Privacy, Regulatory, & Aggregate Data(セキュリティ、プライバシー、法 規制、集計データ):セキュリティ、プライバシー、法規制に対する配慮に加え、他の データと組み合わせて利用された場合に起きる可能性のある危険について述べている。  Threshold(閾値):集計済みデータから個人が特定される危険について述べている。 例えば逮捕者に関する統計の中で、特定の年齢層の逮捕者の数が非常に小さかった場 合、それが特定の個人に容易に結び付けられるなどの危険が指摘されている。  FOIL Applicability(情報開示法への準拠):FOIL では個人のプライバシーの侵害、契 約に対する違反、保護された企業機密の漏えい、法執行や司法手続きへの影響、生命 や安全に関する危険などが引き起こされるケースを除いて、政府の記録は市民に対し て開示されることになっている。同法を順守するため、データ公開に当たっては FOIL 担当者と協議するよう勧めている。  Ownership Rights(所有権):第三者より入手したようなデータで、州機関が所有権を 有していないデータの開示について、適切な扱いをするよう述べられている。 3.4.4. Narrative Content(文章として記述されたコンテンツ) 文章のような情報は data.ny.gov では取り扱わず、もしその情報が公開データと関連がある 場合には、それを各機関のウェブサイトで公開し、data.ny.gov 上の公開データからリンク するように述べられている。
  • 17. 3.5. Public Use of data.ny.gov(市民による data.ny.gov の利用) Public Use of data.ny.gov(市民による data.ny.gov の利用)では data.ny.gov を利用する 市民に対する指針が記述されている。 3.5.1. Public Input(市民からの提案) このパートでは data.ny.gov の市民からの提案を受け付ける機能について説明されている。 特定のデータセットについてデータ公開者とやり取りしたり、フィードバックを送る機能 に加え、現在公開されていないデータセットの公開を提案する仕組みについても説明され ている。 図 5:(参考)data.ny.gov のフィードバック送信メニュー 図 6:(参考)市民からのデータセット公開提案の一覧は現在の検討進捗を含めて公開されている 3.5.2. Downloading Bulk Data data.ny.gov ではデータにアクセスするための、オープンで、標準に準拠した、REST の規 約に則った API を提供するとしている。データセットとしては tabular(表)と、geospatial (地理空間)の 2 つの形式に対応することが述べられ、対応拡張子などについての詳細な 情報が提供されている。また 1GB 以上の大きなファイルについても対応可能であるとされ ている。
  • 18. 3.5.3. Application Program Interface (API) data.ny.gov でカタログ化されたデータは 1)決められた手順でアクセス可能であり、2)アプ リケーションやシステムによって自動的に処理が可能であり、3)標準化された API を持つ と述べられており、API に関しては REST の規約に従うことが述べられている。また、サ ポートされる API の概要についても言及されている。ニューヨーク州の場合、通信は HTTPS プロトコルで行われ、JSON、XML、CSV、RDF などの形式で応答を受け取るこ とができるようになっている。 また、data.ny.gov では元のデータセットから特定のデータだけを返すように設計された API を作成することも可能で、これらのAPI に関する情報は “Featured API Catalogue” と いうカタログにまとめられている。 3.5.4. Terms of Use(利用条件) このパートでは data.ny.gov 上の Terms of Use(利用条件)へのリンクが示されている。 https://data.ny.gov/download/77gx-ii52/application/pdf.
  • 19. 4. Open Data Handbook に関する考察 4.1. Open Data Handbook は誰を対象としたものか? Open Data Handbook は 2 グループの読者を想定している。1 つ目は data.ny.gov 上で行政 データを公開する、州の各機関および他の政府機関である。2 つ目はオープンデータを利用 する市民である。しかしながら内容を見ると、州の各機関および他の政府機関に対する指 示と指針としての色が強く、市民に対しては、行政機関がデータをどのような手順で公開 していくかを周知するというのが目的であって、市民に対するオープンデータ活用の啓も う活動は別な手段で行われていると考えられる。例えば、data.ny.gov の右上のメニューか ら “About” > “Press Releases” を選択すると、関連するプレスリリースが検索できるが、 例えばニューヨーク州の州知事のサイトをはじめ、さまざまなサイト内で市民への啓もう が行われている様子がうかがえる。 図 7:data.ny.gov 内のプレスリリース一覧ページ Open Data Handbook には開発者向けの情報は含まれていない。開発者向けの情報は data.ny.gov の右上のメニューから “Developers”をクリックすると到達できる、開発者向け ページ(https://data.ny.gov/developers)に別途整理して掲載されており、開発マニュアル や、サンプルプログラム、再利用可能なライブラリ(アプリケーションのプログラムコー ド)、質問をできるコミュニティーなど、有用な情報が多数提供されている。
  • 20. 図 8:data.ny.gov の開発者向けページ 4.2. Open Data Handbook から読み取るニューヨーク州のオープンデータ運用体制 ニューヨーク州のオープンデータ運用の概略図を以下に示す。 図 9:ニューヨーク州のオープンデータ運用概略図
  • 21. ニューヨーク州の運用で注目できるのは以下のような点である。  データ公開の責任は各機関が負っている  IT サービスオフィスはオープンデータ公開基盤(data.ny.gov)を運用することに加え て、Open Data Handbook で各機関に対する指針を出す責任を負っている  Open Data Handbook は各機関がデータを公開するために必要な、人と組織、プロセ ス(手順)、標準とルール、そして基盤となる IT についての情報を提供している。  これらはすべて州知事命令 95 号に基づく強制力をもって行われている。 4.3. Open Data Handbook から読み取るニューヨーク州の成功要因 一般に情報活用を成功させるためには 4+1 の視点が必要であると言われている。以下にそ れを図で示す。 図 10:情報活用を成功させるために必要な 4+1 の視点 Open Data Handbook で読み取れる情報、および data.ny.gov から判る範囲の情報に基づ いて、ニューヨーク州のオープンデータの運用を、上記 4+1 の視点で分析すると以下の通 り、きわめて網羅的にオープンデータの運用が行われていることが分かる。 4.3.1. 人と組織 Open Data Handbook はデータ公開の責任の所在を明確に州の各機関に置くとともに、デ ータコーディネーターという役割を置くよう命じている。また、データ公開に関与すべき 人についても明確にしている。データコーディネーター、データ所有者、法務担当者、機 関の長などである。
  • 22. オープンデータ基盤の運用と、各機関に対するガイドラインについては、IT サービスオフ ィスが担当すると定められている。また、最高データ責任者(CDO)の設置や、データ委 員会(DWG)の設置についても定めている。 このようにニューヨーク州では責任の所在、運用の担当者/担当組織を明確にすることで、 各機関が当事者意識をもってオープンデータに取り組む体制を構築している。 4.3.2. プロセス(手順) Open Data Handbook では、各機関がデータを公開する際のプロセス(手順)についても 定めている。また、プロセス(手順)に関与すべき人、各手順で確認すべきこと、その際 に考慮にいれるべき規約や標準についても定めている。 このようなプロセス(手順)が確立していることによって、より効率的かつ大規模にオー プンデータの取り組みを進めることに成功していると思われる。また、評価プロセス(手 順)の中に、各領域の専門家による承認を組み込むことで、データを公開することのリス クを最大限排除し、安心、安全なデータ公開を実現している。 4.3.3. モニタリング(計測、報告) Open Data Handbook では、オープンデータの公開状況や活用状況を測るために、どんな モニタリング(計測、報告)を行うのかは明確にはされていない。しかしながら、data.ny.gov の右上のメニューから “About” > “Report”を選択した先のページには、年次報告書と四半 期報告書の 2 種類の報告書がまとめられている。 図 11:data.ny.gov の報告書のページ こうした状況を鑑みるに、モニタリング(計測、報告)に関しては、Open Data Handbook には記述されていないものの、何らかの基準が設けられて運用が行われているものと考え られる。四半期報告書については報告者が明記されていないが、年次報告書については Open NY Director および CDO の連名で ITS が報告を行っている。
  • 23. 年次報告書はオープンデータに関するニューヨーク州の取り組みについて、その意義を確 認するとともに、データ公開、アプリ開発、市民参画などの分野で、どんな成功を収めた かを報告する性質のものとなっている。以下のような内容が含まれている。  振り返り  州知事命令 95 号をとこの取り組みを行う意義について  data.ny.gov に関連した特筆すべきできごと  データ公開について特筆すべきできごと  アプリケーション開発について特筆すべきできごと  市民参画について特筆すべきできごと  道程に基づいた進捗状況  取り組みに対する様々な人々の評価  今後について 四半期報告書は年次報告書よりも詳細な、数値やグラフを多く用いた報告書となっている。 具体的には公開されたデータセットの数や、総レコード数、data.ny.gov へのアクセス数な どが報告されている。また、市民参画のために企画されたさまざまイベント、今後のイベ ントなどについても報告されている。 図 12:data.ny.gov でダウンロードできる年次報告書と四半期報告書 こうした定期的なモニタリング(計測、報告)によって、取り組みの停滞をいち早く察知 することができる。こうしたモニタリングは計画通りにオープンデータ化を推進する上で 欠かせないものとなっていると考えられる。
  • 24. 4.3.4. 規約と標準 Open Data Handbook は公開されるデータが満たすべき規約や標準を広範囲に定めている。 以下のような観点で規約と標準が定められている:  データそのものについての基準:データの持つ価値、品質、粒度、新しさなど  法規制やセキュリティに関する基準:データが含む情報の法規制への適合性、データ を公開することによるリスクの評価など  データの活用しやすさに関する基準:機械判別可能なフォーマット、メタデータの整 備など  データの運用に関する基準:データの継続的更新など こうした広範に渡る規約と標準は、公開されるデータの品質と信頼性を高め、結果として それを活用したアプリケーションの品質と信頼性にも良い影響を与える。これは、より多 くの人に、オープンデータとそれを利用するアプリケーションを活用しようという動機づ けを与える上で重要なことである。 4.3.5. IT Open Data Handbook は data.ny.gov が有するべき機能、API などについて限定的な情報 を提供している。さらに詳細な技術仕様や情報は開発者のためのページで別途提供されて いる。オープンデータは IT 技術を前提としたものであり IT は必須であるが、ニューヨー ク州のように非常に多くのデータセットが公開され、多数のアプリがそこにあるデータに アクセスするケースでは、堅牢でパフォーマンスの良い IT 基盤が必要となる。 IT が貢献できる別な面として、必ずしも IT の専門家ではない人々が、オープンデータを簡 単に公開するための仕組みを提供できるという点が挙げられる。ニューヨーク州の場合に も、data.ny.gov はデータ公開のための仕組みや、特定の用途のための追加 API の作成のた めの仕組みなど、データ公開をサポートするいくつかの仕組みが提供されていることが読 み取れる。 4.3.6. その他の成功要因 Open Data Handbook を読み進めていく中で気づくのは、州知事命令 95 号に何度も立ち返 って指針が示されていることである。州の機関に対して強い権限を有する州知事が、この 取り組みに対して適切な権威を与えていることが、取り組みを強く推進する上で大きな後 ろ盾となっていることは容易に想像できる点である。 一方で、こうしたトップダウンでの取り組みの推進は、日本の文化的背景では期待通りに 作用しないケースもあることには注意を払う必要があると思われる。
  • 25. 5. まとめ 本調査ではオープンデータ先進国である米国のニューヨーク州の取り組みについて、Open Data Handbook の記載内容を基に分析した。 ニューヨーク州では情報活用に必要と言われる 4+1 の視点(人と組織、プロセス、モニタ リング、規約と標準、IT)で評価した際に、非常にバランスのとれたオープンデータ運用 の仕組みを整備している。こうした整備されたオープンデータ運用の仕組みが、ニューヨ ーク州でのオープンデータの利活用に一定の貢献を果たしていることは間違いない。 加えて、州知事命令 95 号がオープンデータの取り組みを推進する上で強い後ろ盾となって いることも見逃せない。多数の州機関の協力を得る上で、州知事の強いリーダーシップが 大いに役立っていると考えられる。