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Fumoto 100912

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Fumoto 100912

  1. 1. 伝統的構法の継手・仕口について 古典建築書にみる継手・仕口 伝統的構法の設計法作成および性能検証実験検討委員会 第 1 回シンポジウム  金沢 構法・歴史部会 主査  名古屋工業大学 教授 麓 和善
  2. 2. 1.はじめに   明治期以降 木造建築の近代化 -> 耐震化  濃尾震災の翌明治 25 年 6 月  〈震災予防調査会〉設立  明治 27 年  山形県酒田地方震災の復興家屋構造の指針  「木造耐震家屋構造要領」発表  明治 25 ~ 26 年  伊藤為吉が『建築雑誌』に発表した提案   日本家屋構造の欠陥    ① 屋根重量の過大なること    ② 柱が孤立していること    ③ ほぞ穴等継手・仕口の部材の切り欠きが多いこと    ④ 貫や楔による固定が一時的であること   その対策    ① 筋違や土台の設置の必要性    ② 木造各部の固定金物の考案とその使用法
  3. 3. 佐野利器 『家屋耐震構造論』 ( 大正5年刊 ) 木造家屋 「土台ハ柱脚ヲ連結スルニ最モ有効ナリ  ( 中略 )    土台ハ側石上端ニ太枘又ハボルトニ依テ固定セラルベシ」 「柱ハ凡テ枘立トナスベク土台トノ接合ニハ鍄、筋違ボルト  又ハソノ他ノ鉄物ヲ用フベシ」 その後の耐震性能向上の考え方 土台および柱足元を基礎に緊結し、 接合部には、より強度の高い継手・仕口や金物を用い、 部材欠損部を補うために部材断面寸法を大きくしてきた。 しかしながら、これは、柱を礎石に緊結しない構法を、 科学的に十分検証した結果とはいいがたい。
  4. 4. 本委員会の目的 石場建てを含む伝統構法のすぐれた変形性能を構造力学的に解明 そのためには明治期以降に近代化された構法を用いるのではなく、 また最初から「伝統技術を用いた新構法」の提案をするのでもなく、 明治期以前の伝統構法、そして住宅を主対象とするのであれば 江戸時代以後、すなわち江戸時代から明治期の伝統構法を用いて、 その性能検証実験を行う必要がある。 構法・歴史部会が最初になすべきこと 江戸時代から明治期にかけて著述刊行された古典建築書や、 実際の建物の事例として文化財修理工事報告書を調べ、 本来の伝統構法を明らかにする。
  5. 5. 古典建築書に見る継手・仕口 「構法雛形」は 約 80 本、そのうち「継手・仕口雛形」 25 本 若山滋・麓和善編著『日本建築古典叢書8       近世建築書-構法雛形』 ( 大龍堂書店  1993 年刊 ) 継手・仕口雛形全 25 本に記載された継手・仕口は 105 種類 部位・部材別に用いられる継手 ・仕口の種類 継手・仕口の変化・発展過程等について考察
  6. 6. 『匠家仕口雛形』 <ul><li>年 代 享保13年 (1728) 中秋 (8 月 ) 写 </li></ul><ul><li>著 者 甲良若狭棟利 </li></ul><ul><li>所 蔵 東京都立中央図書館 </li></ul><ul><li>備 考 甲良家は幕府作事方大棟梁で棟利は </li></ul><ul><li>      その 5 代目。享保 11 年 (1726) 跡式、同 </li></ul><ul><li>      20 年没。継手・仕口雛形としては初見の </li></ul><ul><li>      史料である。主に継手・仕口に関する斜 </li></ul><ul><li>      投象の図と名称が記されている。 </li></ul>
  7. 18. 『御作事方仕口之図』 <ul><li>年 代 享保1 4 年 (1729) 3 月記 </li></ul><ul><li>著 者 甲良宗員 </li></ul><ul><li>所 蔵 東京都立中央図書館 </li></ul><ul><li>備 考 幕府作事方大棟梁甲良家4代志摩宗員〔元禄 </li></ul><ul><li>       12 年 (1699) 跡式、享保 18 年没〕による建ち絵 </li></ul><ul><li>      図主体の史料。水盛・礎石据・継手・仕口から </li></ul><ul><li>      屋根葺きまで、工程順に構法を図解したうえで、 </li></ul><ul><li>      柵・門・井戸・雪隠など多岐にわたる雑作が収 </li></ul><ul><li>      録されており、作事方の標準設計における構 </li></ul><ul><li>      法教書と見られる。継手・仕口の図法に正投象 </li></ul><ul><li>      を用いている。 </li></ul>
  8. 22. 『 継目仕口扣 』 寛政 5 年 (1793) 夏記 幕府作事方大棟梁辻内飛騨竝昌 東京国立博物館所蔵 『匠家仕口雛形』 と類似の図が多く収録されているが、噛み合わせ付きの小根枘・四方差に用いる舟枘・筏枘・宮島継・箱台持ち継・繋鎌継・地獄枘などは、本史料を初出とする。
  9. 24. 『 御殿向作事堅書図解 』 寛政 5 年 (1793) 夏記 西尾市立図書館岩瀬文庫所蔵 江戸時代後期の御殿作事仕様である本途帳と同時期のもの。両目違2枚鎌継・二枚寄せ蟻などは、本史料を初出とする。
  10. 26. 『 ( 鎌繾之図等 ) 』 江戸時代後期 加賀藩御大工清水家 金沢市立図書館
  11. 28. 『大工雛形 規矩鑑集 蔕指口』 寛政末 ( 1800 ) 頃 若杉家 国会図書館所蔵 香の図差しなどの差物の仕口や、阿弥陀鎌・安芸様継など意匠を重視した継手で初見のものが見える。
  12. 29. 『万宝柱立 番匠往来 全』 文政 6 年 (1823) 正月吉日 謙堂文庫他
  13. 31. 『番匠作事往来』 嘉永 (1850) 頃  整軒玄魚 ( 校 )  落合大賀範国 ( 図 )   東京大学他所蔵 造作材に用いる意匠的な継手を多く収録。 特に四方金輪継・四方松川継・大筋違継・ 雲霞継・水流継などは、本史料を初出とする。
  14. 33. むすび 継手・仕口雛形として最古の『匠家仕口雛形』が、享保 13 年 (1728) の書写。 古典建築書の中でも、継手・仕口雛形は後発のもの。 『匠家仕口雛形』や『御作事方仕口之図』が幕府作事方大棟梁甲良家の史料であり、 『継目仕口扣』・『大工雛形規矩鑑集蔕指口』・『継手仕口絵図』が小普請方や作事方の正統的技術陣による史料である以上、決して軽視されてはいない。 史料の継手・仕口を総覧すると、『匠家仕口雛形』が、すでに全史料の技術的内容を ほぼカバーしているほどの完成度。 以後明治期にいたるまで多くの史料にそのまま引用されている。 構造材の接合方法である基本的な継手・仕口は、 1700 年頃までには完成。 以後明治期にいたるまでほとんど変化がない。 一方、 1800 年頃からは、宮島継・箱台持ち継・阿弥陀鎌・安芸様継など造作材の見え隠れ面に複雑な細工を施し、化粧面は極力目立たないように苦心した継手が多い。 さらに幕末になると、四方金輪継・四方松川継・大筋違継・雲霞継・水流継など、 あえて継手を意匠的に見せるものが出現。

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