1. 複雑系工学講座・寄附講座 卒業論文 (2007 年 2 月 15 日)
セルの入出力観測に基づく
セルオートマトンの定量的分析
複雑系工学講座 調和系工学研究室 学部 4 年 高橋 春樹
Quantitative Analysis of Cellular
Automata with Input/Output Data
Research Group of Complex Systems Engineering
Laboratory of Harmonious Systems Engineering
BC4 Haruki Takahashi
概要
マルチエージェントシステム(MAS)とは，環境を知覚し自律的に行動すること
によって環境に影響を与える複数のエージェントが相互に作用し合い，複雑な
現象を創発する系である．MAS の設計には創発される現象を理解し，その性質
や振る舞いについて定量的に分析する必要があるとされている．
本研究では，エージェントの入出力から情報エントロピーと相互情報量を求
めることで，各エージェントにおける環境や行動の複雑性とエージェント間の
相互作用をそれぞれ定量化し， それらによって MAS を分析する手法を提案する．
また，1 次元セルオートマトンにおいてセルを MAS におけるエージェント，
近傍のセルの状態を入力，遷移規則による状態を出力とみなし本手法の検証を
行い，その結果，特徴的な挙動を示す遷移規則について適用した場合，その性
質を定量的に分析できることが確認でき，情報エントロピーと相互情報量を用
いた分析手法の有効性を示すことができた．