論文では,人工知能による創作の第一歩として俳句,その中でも特に一般的な有季定型句を対象とし,深層学習モデルを用いた生成と評価を行う. 既存の俳句や日本語テキストを用いてモデルを学習し,俳句生成器を構築する. また,作成したモデルの俳句生成器としての性能を評価するために,俳人による評価済みの俳句からなる評価用データセットを作成して,有季定型句の生成における各モデルの性能を比較する. 評価用データセットの作成においてはまず,有季定型句の評価項目として句会における評価方式と俳句内の句節のつながりに着目し,これらを段階的評価の階層構造として定義した. 定義した階層構造に基づくラベル付を複数の俳人に依頼し,モデル間の性能評価に用いる. また,各モデルが生成した文字列に対するアンケート調査を行い,現状のモデルの到達点を明らかにする.