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120417@埼玉県立小児医療センター




       患者急変対応システム:
     パフォーマンスとトレーニング
       プログラムのデザイン
                     池上敬一
              獨協医科大学越谷病院救命救急センター
                 日本医療教授システム学会




12年4月17日火曜日                        1
ストーリー
       •      患者急変対応システム

              •   なぜ必要か?

              •   グローバルモデルの紹介

       •      パフォーマンス

              •   教育→学習→パフォーマンス

       •      院内でのトレーニング体制

              •   病院横断的なチーム、ワイガヤ

              •   パフォーマンス・コンサルティング、トレーニング・マネ
                  ジャー

              •   パフォーマンス向上のノウハウを蓄積

                  •   教育、学習、パフォーマンスの科学・ツール・方法

12年4月17日火曜日                                     2
病院は安全?
              有害事象と予期せぬ死亡の発生頻度

              • 有害事象
                 • 6.8%(日本)
                 • 4-16%(欧米)
              • 予期せぬ死亡(看取り以外の死亡)
                 • 入院患者の0.4-0.7%
12年4月17日火曜日                        3
予期せぬ死亡は突然発生?
              •   予期せぬ死亡の60-70%の症例では、心停止の6-8時間前に
                  前兆がある

              •   それなのになぜ心停止が起こるのか?

                   •   前兆に気づけばまだよい

                   •   適切な対応ができない

                       •   コミュニケーションが不十分

                       •   対応のトレーニングが不十分

                       •   その場に居合わせた人たちの恊働が不十分



12年4月17日火曜日                                        4
日本医療機能評価機構
              「医療事故情報収集等事業」第18回報告書(090929)

                 国立病院機構、国立高度専門医療センターなど273
                  施設。今年1-6月。
                 医療事故報告件数946件(昨年659件)。
                 死亡76件(8%)、障害残存381件(41.3%)
                 原因:技術・手技が未熟(テクニカルエラー)4.4%
                 原因(複数回答):ノン・テクニカルエラー57.6%
                      確認を怠った、判断を誤った、観察を怠った、
                       説明不足、連携ができていなかった

12年4月17日火曜日                                    5
日本医療機能評価機構
              「医療事故情報収集等事業」第18回報告書(090929)

                 技術・手技(テクニカルスキル)だけが事
                  故の原因となることは少ない(4.4%)。
                 「確認」「アセスメント」「意思決定」
                  「観察」「説明」「連携・チームワーク」
                  といったノン・テクニカルスキル(暗黙
                  知)が事故の大きな原因(57.6%)。

                                        27
12年4月17日火曜日                                  6
チームダイナミクス
                 Closed-loopコミュニケーション
                 明確なメッセージ
                 明確な役割と責任
                 自分の限界を知る
                 知識の共有
                 建設的な介入
                              アメリカ心臓協会ACLS/PALS
                 再評価と要約
12年4月17日火曜日                                       7
Check: 病院では「予期せぬ危険」が起こっている
    Action: とりあえず安全を担保する必要がある
    Plan: 医療者のパフォーマンスを向上する「仕組み」が必要
    Do: 「仕組み」で医療者の成長と発達を継続的に支援する



              CAPD サイクル



12年4月17日火曜日                          8
患者急変対応システム
              Rapid Response Systems (RRS)
              •   管理系

                  •   導入を決定し、予算・リソース・権限を与える

              •   入力系

                  •   患者急変への気づき(看護師、研修医、家族)

                  •   システムを「ON」にする(METを要請する)

                  •   Medical Emergency Teamが到着するまでの対応

              •   出力系

                  •   METによるクリティカルケア・安定化



12年4月17日火曜日                                              9
患者急変対応システム
              「入力」系     「出力」系

        RRSの起動        METの現場への派遣と
        ・RRT/METの要請   必要な処置
                              MET; Medical Emergency Team
                              初動に引続き必要な医療を行う


          急変発生の察知        早期問題解決
                         ・安定化
        患者急変発生         4 ・専門治療
        ・通常モードで対応不可
        ・迅速対応が必要      事後検証とシステム改善
                             39
          「管理」系 病院管理者:システム導入とモニタ
12年4月17日火曜日                                                 10
患者急変対応システム
              Rapid Response Systems (RRS)
              •   パフォーマンス・トレーニング・チーム

              •   事前

                  •    RCA、パフォーマンス評価

                  •    必要なトレーニングのデザイン

                  •    実施(シミュレーション+現場での学習)

              •   イベント

                  •    記録

              •   事後

                  •    デフュージョン

                  •    検証、ヒアリング、評価
12年4月17日火曜日                                  11
オランダの病院(500床)
                  METの例
              • Performance/Training Team
                 • ノン・テクニカルスキル重視のトレーニング
              • 主治医、病棟の看護師、クリティカルケアが専
               門の医師および看護師:4名

              • 主治医の立場を尊重・主治医にアドバイス
                 • Medical Education Team
              • 「来てくれてありがとう」、「何かあったらまた
               よんでください」・・・職場文化が前提


12年4月17日火曜日                                 12
オランダの大学病院(500床)2008
              RRSでMETが要請された頻度・理由
                 年間300回弱
                     日中1/3、夜1/3、深夜1/3
                 要請理由
                     スタッフの懸念:110回
                     努力呼吸:75回
                     SAT低下:62回
                     意識の変容:35回
                     ショック:28回
                     頻脈:24回             41
12年4月17日火曜日                                   13
オランダの大学病院(500床)
                   METが行った処置(2008)
              •   トップ4(処置全体の50%)

                  •   ルート確保・点滴、酸素投与

                  •   動脈血ガス分析、抗生剤投与

              •   その他(40%)

                  •   利尿剤投与、気道吸引

                  •   X線撮影、超音波検査、CT

                  •   CPAP、12誘導心電図

                  •   専門科へのコンサルト

                  •   吸入療法、鎮静・鎮痛剤投与、輸血
12年4月17日火曜日                              14
オランダの大学病院(500床)
                 RRSの効果(2008)

              • RRSの使用頻度が高まるにつれ予期せぬ
               心停止の頻度は低下する

              • 早期発見、早期対応がキー
                 • 新人看護師、研修医で十分対応可
                 • むしろ学習効果が期待できる
              • ICUへの移動は20%
12年4月17日火曜日                           15
Change in MET use over time at Austin




              MET calls in 2007: 147/month

                                                  Ken Hillman


12年4月17日火曜日                                                     16
Correlation between MET calls and cardiac arrests




               Dose and cardiac arrests at Austin
                                                     Ken Hillman


12年4月17日火曜日                                                        17
12年4月17日火曜日   18
12年4月17日火曜日   19
Ken Hillman


12年4月17日火曜日                 20
Ken Hillman


12年4月17日火曜日                 21
Evolution
       We thought we had to put a MET in
        place and all would be ok – we were
        wrong
       We have learned education was vital

       We have learned that education must

        never stop
       We have learned that targeting all

        people and all aspect of the process is
        vital
         MET = Medical Education Team
                    Rinaldo Bellomo in Copenhagen 2009


12年4月17日火曜日                                              22
Challenges
               Lack of evidence
               Lack of resources

               A hospital wide plan is needed
               ”No quick fixes”




12年4月17日火曜日                                      23
先行研究

              • 組織のリーダーシップ・支援が不可欠
              • MET<<RRT
              • 導入から効果発現まで時間を要する
              • RRS導入チームの存在
              • 組織内の文化・学習に対する価値観
12年4月17日火曜日                         24
RRS(広義)とは患者安全に関わる
         パフォーマンスを継続的に向上する
         職場内学習・訓練体制
         =人材育成の仕組み




12年4月17日火曜日                  25
RRS導入=
              人材育成のイノベーション
              • 効果・効率・魅力を高める
              • デザイン
                 • 学習サイエンス、教授システム学(ID)
              • インストラクション
                 • ID美学原理、ARCSモデル、ID第一原理
              • エキスパート養成
12年4月17日火曜日                                26
RRS導入=
    人材育成のイノベーション
  「予期せぬ死亡の回避」を目標
    • 効果的・効率的・魅力的を高める
    • デザイン
  に、トレーニングプログラムを段
       • 学習サイエンス、教授システム学(ID)
  階的に導入する.
    • インストラクション
  そのプロセスのなかでサイエス・
       • ID美学原理、ARCSモデル、ID第一原理
  方法論を学習する.
    • エキスパート養成
  次のステップへ進む.
12年4月17日火曜日                      27
トレーニングを始める
        まえに、まず現状分析


12年4月17日火曜日          28
パフォーマンスが低い原因
職場環境要因
              個人の内的要因
・仕事が分かりにくい
              ・仕事の知識・スキル
・上司のコーチング
              ・やる気
・業務の仕組み
              ・業務経験
・職種間の対話
・情報システム   知識・スキルの獲得が
・評価       問題解決に本当に有効?
・インセンティブ

12年4月17日火曜日                  29
職場の環境
              •   学習成果の導入を回避する文化

                  •   いつもの方法に固執する

                  •   新しい手順の導入への抵抗

                  •   新しいことをしようとする同僚へのいじめ

              •   学習成果の導入を推進する文化

                  •   よりよいアウトカムの追求

                  •   チェンジすることへの抵抗が少ない

                  •   知の共有、コーチング、対話の文化がある



12年4月17日火曜日                                 30
トレーニングが有効な場合

              •   職場のパフォーマンスが低い原因が、個人の能力
                  不足だと特定されている

              •   トレーニングを受けることが職種・業務のパ
                  フォーマンス向上に必要である

              •   パフォーマンスを向上することが事業ニーズ・
                  ミッション遂行に合っている

              •   「いつか役に立つ」ではなく、明日から必要とさ
                  れるパフォーマンス


12年4月17日火曜日                                31
Rapid Response Team
              トレーニングプログラム策定の前提


              • 「予期せぬ死亡」…解決すべき課題が存在する
              • 管理者:「予期せぬ死亡」の回避は病院が解決
               すべき重要課題であり事業化する

              • 管理者:予算、リソースを投入してRRTの育成
               を支援する

              • RRTの育成を担当するチームが存在する
              • プログラムの策定に必要なリソースが利用できる

12年4月17日火曜日                              32
RRTのミッション
          「入力」系   RRT・急変対応 「出力」系

        RRSの起動           METの現場への派遣と
        ・RRT/METの要請      必要な処置
                                 MET; Medical Emergency Team
                                 初動に引続き必要な医療を行う


          急変発生の察知          早期問題解決
                           ・安定化
        患者急変発生           11・専門治療
        ・通常モードで対応不可
        ・迅速対応が必要        事後検証とシステム改善
                               39
          「管理」系 病院管理者:システム導入とモニタ
12年4月17日火曜日                                                    33
急変対応パス 「6つの要素」
              患者情報(入手可能な場合)




                         初期観察
                    (INITIAL OBSERVATION)



                                                                                                       緊急度の判断
 周囲の状況               患者
 (SCENE)             (PATIENT)                                                      ・収集した情報(データ)をもとに緊急度(心停止の近接性)を判断
 ・現場、患者の             ・おもな訴えを聴取
  状況、関係者             ・一次評価(primary survey)を開始
                                                                            致死的                                 重篤                      緊急性なし
                                                                          (Life threatening)                   (Critical)               (Non-emergent)

                                                                        ・短時間で心停止に至る                  ・専門的な検査や治療が必要                     ・時間的余裕がある


                                                           反応の確認
                  即時評価と即時蘇生                                反応なし→即時蘇生
              (QUICK ASSESSMENT & RESUSCITATION)
                                                           ・気道確保                               継続的な処置と決着(disposition)
                                                           ・補助換気/酸素治療                                (ONGOING MANAGEMENT)
    ・致死的状態・不安定を即座に認識し直ちに治療                                 ・心肺蘇生/除細動
    ・病態の鑑別と「とりあえずの診断」を生成する                                 ・ショック離脱              再評価、                                        ・蘇生チーム要請
                                                                                再評価に応じた処置の修正、                               ・医師連絡
                                                                                再評価                                         ・経過観察



                       詳細な評価
                    (DETAILED ASSESSMENT)                                           報告・連絡・依頼はI-SBAR-Cで行なう

   出来事          二次評価                        簡単な検査
   (Event)      (Secondary survey)          (Diagnostic)

   ・何が          ・バイタルサイン                    ・血糖値、ECG
   ・どうして        ・診察                         ・SpO2など




12年4月17日火曜日                                                                                                                                              34
パフォーマンス目標
              • 患者情報から起こりうる急変を予測できる
              • 患者のアセスメント能力の向上
              • 前兆(なにか変?)を発見し、報告・相談が
               できる(言語化、SBAR)

              • 対応パスを用いて必要な処置を迅速に行なう
              • 対応パスを終了する(決着をつける)
              • 経験を将来に活用できるように振り返り学習
               ができる

12年4月17日火曜日                            35
「急変対応」の分類
              • 即時蘇生で救命すべき「急変」
                 • 数分から30分で心停止に至る
                 • 心停止、気道閉塞・低酸素血症、
                 ショック、外傷

              • 上記以外の「急変」
                 • 心停止まで数時間を要する
12年4月17日火曜日                          36
何を教えるのか?
        • ステップ1:初心者
           • 態度、知識、知的スキル、手技
        • ステップ2:中堅
           • 認知能力
        • ステップ3:エキスパート
           • パフォーマンスの維持・深化
12年4月17日火曜日                   37
初心者:態度、知識、知的スキル、手技

              • 態度
                 • 行動を選択する
              • 知識(言語情報)
                 • 説明できる
              • 知的スキル(問題解決)
                 • アルゴリズム、ガイドラインを使える
              • 手技(テクニカルスキル)
12年4月17日火曜日                            38
初心者:AEDの使い方

              • 態度
                 • AEDの知識、場面の知識、結末の予測
              • 知的スキル(問題解決)
                 • 心停止を認識できる
                 • CPRを開始できる、AEDを使用できる
              • 手技(テクニカルスキル)
                 • 質の高いCPR、AEDによる除細動
12年4月17日火曜日                              39
中堅:認知能力



12年4月17日火曜日             40
概念化
        •     予測                  •   実験


              •   いまこの選択をしたら、その       •   失敗した経験をもとに、「あ
                                          のときは計画がまずくてうま
                  結果としてこんなことが起こ
                                          くいかなかった」ので、「こ
                  るだろう
                                          んどは計画を立て直して(具
        •     手順                          体的な工夫を加え)やってみ
                                          よう。きっと成功するはず
              •   「説明」だけでは、実際の操           だ」
                  作・手順が理解できない場合
                  がある・・・シミュレーショ   •   評価
                  ンで実際に操作することが効
                  果的                  •   価値観と規範を理解し、行動
                                          をとるべきか否かを判断する




12年4月17日火曜日                                               41
分析
        •     診断                  •   因果関係


              •   複雑な状況の原因として関連       •   連続するできごとの因果関係
                                          を見出すことができる
                  する要因を探索する

              •   ドメイン特異的             •   ドメイン特異的


        •     プランニング              •   判断


              •   ゴールを達成するための計画       •   客観的に判断する能力

                  を立案する
                                      •   指導者、同僚からのフィード
                                          バックが不可欠(判断のプロ
              •   ドメイン特異的
                                          セスで)




12年4月17日火曜日                                               42
社会性
        •     影響力                 •   交渉力


              •   人にやってもらいたいことを       •   公式・非公式の取引

                  依頼したとき、その人がどの
                  ような反応を示すかを理解
                                      •   交渉の学習は交渉の失敗を通
                                          じて学習される
                  し、そのプロセスを改善する
                  (意識的、無意識的)      •   記述力

        •     チームワーク                  •   問題が発生した時、状況を意
                                          識的かつ創造的に記述するこ
              •   チームでゴールを達成する、           とで、解決すべき問題を明ら
                  役割を分担する、メンバーか           かにする
                  らの建設的なインプットを活
                  用する、人間関係の調整と紛       •   問題解決の第一歩
                  争への対応
                                      •   実際の経験を通して学習



12年4月17日火曜日                                               43
何で教えるのか?
        •     ステップ1:初心者

              •   BLS, ACLS, PALS:インストラクション

              •   教授システム学、インストラクターコンピテンシー

        •     ステップ2:中堅

              •   応用シミュレーション、デブリーフィング

              •   学習科学、経験学習理論、デブリーフィング

        •     ステップ3:エキスパート

              •   応用シミュレーション、自己振り返り


12年4月17日火曜日                                   44
シミュレーション
        • ACLS, PALSのシナリオ
           • 知的スキルを使うためのトリガー
           • 受講後、シナリオは記憶しない
        • 経験学習としてのシミュレーション
           • ストーリーとして長期記憶
           • 学習ポイントが埋め込まれている
12年4月17日火曜日                    45
どうやって教えるのか?
        •     原則1

              •   学習経験を物語化する(主人公は学習者)

              •   学習活動をテーマ化、コンテキスト、助演

        •     原則2

              •   動機付けのデザイン

              •   ARCSモデル(注意、関連、自信、満足)

        •     原則3

              •   現実の課題、活性化、例示、応用、統合


12年4月17日火曜日                              46
RRT開発チームの成長
        •     ステップ1

              •   BLS, ACLS, PALSのインストラクション

        •     ステップ2

              •   日本医療教授システム学会(JSISH)

              •   Instructional Systems Design研究会

        •     ステップ3

              •   JSISH

              •   デザイン研究


12年4月17日火曜日                                         47
まとめ

              • RRSの導入はトップダウン、実践はRRT
               のトレーニングプログラムから

              • まずBLS, ACLS, PALSを導入する
              • 教授システム学、学習理論を強化する
              • 職場内学習環境をデザインする
              • 上記をチームアプローチで推進する
12年4月17日火曜日                              48

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  • 1. 120417@埼玉県立小児医療センター 患者急変対応システム: パフォーマンスとトレーニング プログラムのデザイン 池上敬一 獨協医科大学越谷病院救命救急センター 日本医療教授システム学会 12年4月17日火曜日 1
  • 2. ストーリー • 患者急変対応システム • なぜ必要か? • グローバルモデルの紹介 • パフォーマンス • 教育→学習→パフォーマンス • 院内でのトレーニング体制 • 病院横断的なチーム、ワイガヤ • パフォーマンス・コンサルティング、トレーニング・マネ ジャー • パフォーマンス向上のノウハウを蓄積 • 教育、学習、パフォーマンスの科学・ツール・方法 12年4月17日火曜日 2
  • 3. 病院は安全? 有害事象と予期せぬ死亡の発生頻度 • 有害事象 • 6.8%(日本) • 4-16%(欧米) • 予期せぬ死亡(看取り以外の死亡) • 入院患者の0.4-0.7% 12年4月17日火曜日 3
  • 4. 予期せぬ死亡は突然発生? • 予期せぬ死亡の60-70%の症例では、心停止の6-8時間前に 前兆がある • それなのになぜ心停止が起こるのか? • 前兆に気づけばまだよい • 適切な対応ができない • コミュニケーションが不十分 • 対応のトレーニングが不十分 • その場に居合わせた人たちの恊働が不十分 12年4月17日火曜日 4
  • 5. 日本医療機能評価機構 「医療事故情報収集等事業」第18回報告書(090929)  国立病院機構、国立高度専門医療センターなど273 施設。今年1-6月。  医療事故報告件数946件(昨年659件)。  死亡76件(8%)、障害残存381件(41.3%)  原因:技術・手技が未熟(テクニカルエラー)4.4%  原因(複数回答):ノン・テクニカルエラー57.6%  確認を怠った、判断を誤った、観察を怠った、 説明不足、連携ができていなかった 12年4月17日火曜日 5
  • 6. 日本医療機能評価機構 「医療事故情報収集等事業」第18回報告書(090929)  技術・手技(テクニカルスキル)だけが事 故の原因となることは少ない(4.4%)。  「確認」「アセスメント」「意思決定」 「観察」「説明」「連携・チームワーク」 といったノン・テクニカルスキル(暗黙 知)が事故の大きな原因(57.6%)。 27 12年4月17日火曜日 6
  • 7. チームダイナミクス  Closed-loopコミュニケーション  明確なメッセージ  明確な役割と責任  自分の限界を知る  知識の共有  建設的な介入 アメリカ心臓協会ACLS/PALS  再評価と要約 12年4月17日火曜日 7
  • 8. Check: 病院では「予期せぬ危険」が起こっている Action: とりあえず安全を担保する必要がある Plan: 医療者のパフォーマンスを向上する「仕組み」が必要 Do: 「仕組み」で医療者の成長と発達を継続的に支援する CAPD サイクル 12年4月17日火曜日 8
  • 9. 患者急変対応システム Rapid Response Systems (RRS) • 管理系 • 導入を決定し、予算・リソース・権限を与える • 入力系 • 患者急変への気づき(看護師、研修医、家族) • システムを「ON」にする(METを要請する) • Medical Emergency Teamが到着するまでの対応 • 出力系 • METによるクリティカルケア・安定化 12年4月17日火曜日 9
  • 10. 患者急変対応システム 「入力」系 「出力」系 RRSの起動 METの現場への派遣と ・RRT/METの要請 必要な処置 MET; Medical Emergency Team 初動に引続き必要な医療を行う 急変発生の察知 早期問題解決 ・安定化 患者急変発生 4 ・専門治療 ・通常モードで対応不可 ・迅速対応が必要 事後検証とシステム改善 39 「管理」系 病院管理者:システム導入とモニタ 12年4月17日火曜日 10
  • 11. 患者急変対応システム Rapid Response Systems (RRS) • パフォーマンス・トレーニング・チーム • 事前 • RCA、パフォーマンス評価 • 必要なトレーニングのデザイン • 実施(シミュレーション+現場での学習) • イベント • 記録 • 事後 • デフュージョン • 検証、ヒアリング、評価 12年4月17日火曜日 11
  • 12. オランダの病院(500床) METの例 • Performance/Training Team • ノン・テクニカルスキル重視のトレーニング • 主治医、病棟の看護師、クリティカルケアが専 門の医師および看護師:4名 • 主治医の立場を尊重・主治医にアドバイス • Medical Education Team • 「来てくれてありがとう」、「何かあったらまた よんでください」・・・職場文化が前提 12年4月17日火曜日 12
  • 13. オランダの大学病院(500床)2008 RRSでMETが要請された頻度・理由  年間300回弱  日中1/3、夜1/3、深夜1/3  要請理由  スタッフの懸念:110回  努力呼吸:75回  SAT低下:62回  意識の変容:35回  ショック:28回  頻脈:24回 41 12年4月17日火曜日 13
  • 14. オランダの大学病院(500床) METが行った処置(2008) • トップ4(処置全体の50%) • ルート確保・点滴、酸素投与 • 動脈血ガス分析、抗生剤投与 • その他(40%) • 利尿剤投与、気道吸引 • X線撮影、超音波検査、CT • CPAP、12誘導心電図 • 専門科へのコンサルト • 吸入療法、鎮静・鎮痛剤投与、輸血 12年4月17日火曜日 14
  • 15. オランダの大学病院(500床) RRSの効果(2008) • RRSの使用頻度が高まるにつれ予期せぬ 心停止の頻度は低下する • 早期発見、早期対応がキー • 新人看護師、研修医で十分対応可 • むしろ学習効果が期待できる • ICUへの移動は20% 12年4月17日火曜日 15
  • 16. Change in MET use over time at Austin MET calls in 2007: 147/month Ken Hillman 12年4月17日火曜日 16
  • 17. Correlation between MET calls and cardiac arrests Dose and cardiac arrests at Austin Ken Hillman 12年4月17日火曜日 17
  • 22. Evolution  We thought we had to put a MET in place and all would be ok – we were wrong  We have learned education was vital  We have learned that education must never stop  We have learned that targeting all people and all aspect of the process is vital  MET = Medical Education Team Rinaldo Bellomo in Copenhagen 2009 12年4月17日火曜日 22
  • 23. Challenges  Lack of evidence  Lack of resources  A hospital wide plan is needed  ”No quick fixes” 12年4月17日火曜日 23
  • 24. 先行研究 • 組織のリーダーシップ・支援が不可欠 • MET<<RRT • 導入から効果発現まで時間を要する • RRS導入チームの存在 • 組織内の文化・学習に対する価値観 12年4月17日火曜日 24
  • 25. RRS(広義)とは患者安全に関わる パフォーマンスを継続的に向上する 職場内学習・訓練体制 =人材育成の仕組み 12年4月17日火曜日 25
  • 26. RRS導入= 人材育成のイノベーション • 効果・効率・魅力を高める • デザイン • 学習サイエンス、教授システム学(ID) • インストラクション • ID美学原理、ARCSモデル、ID第一原理 • エキスパート養成 12年4月17日火曜日 26
  • 27. RRS導入= 人材育成のイノベーション 「予期せぬ死亡の回避」を目標 • 効果的・効率的・魅力的を高める • デザイン に、トレーニングプログラムを段 • 学習サイエンス、教授システム学(ID) 階的に導入する. • インストラクション そのプロセスのなかでサイエス・ • ID美学原理、ARCSモデル、ID第一原理 方法論を学習する. • エキスパート養成 次のステップへ進む. 12年4月17日火曜日 27
  • 28. トレーニングを始める まえに、まず現状分析 12年4月17日火曜日 28
  • 29. パフォーマンスが低い原因 職場環境要因 個人の内的要因 ・仕事が分かりにくい ・仕事の知識・スキル ・上司のコーチング ・やる気 ・業務の仕組み ・業務経験 ・職種間の対話 ・情報システム 知識・スキルの獲得が ・評価 問題解決に本当に有効? ・インセンティブ 12年4月17日火曜日 29
  • 30. 職場の環境 • 学習成果の導入を回避する文化 • いつもの方法に固執する • 新しい手順の導入への抵抗 • 新しいことをしようとする同僚へのいじめ • 学習成果の導入を推進する文化 • よりよいアウトカムの追求 • チェンジすることへの抵抗が少ない • 知の共有、コーチング、対話の文化がある 12年4月17日火曜日 30
  • 31. トレーニングが有効な場合 • 職場のパフォーマンスが低い原因が、個人の能力 不足だと特定されている • トレーニングを受けることが職種・業務のパ フォーマンス向上に必要である • パフォーマンスを向上することが事業ニーズ・ ミッション遂行に合っている • 「いつか役に立つ」ではなく、明日から必要とさ れるパフォーマンス 12年4月17日火曜日 31
  • 32. Rapid Response Team トレーニングプログラム策定の前提 • 「予期せぬ死亡」…解決すべき課題が存在する • 管理者:「予期せぬ死亡」の回避は病院が解決 すべき重要課題であり事業化する • 管理者:予算、リソースを投入してRRTの育成 を支援する • RRTの育成を担当するチームが存在する • プログラムの策定に必要なリソースが利用できる 12年4月17日火曜日 32
  • 33. RRTのミッション 「入力」系 RRT・急変対応 「出力」系 RRSの起動 METの現場への派遣と ・RRT/METの要請 必要な処置 MET; Medical Emergency Team 初動に引続き必要な医療を行う 急変発生の察知 早期問題解決 ・安定化 患者急変発生 11・専門治療 ・通常モードで対応不可 ・迅速対応が必要 事後検証とシステム改善 39 「管理」系 病院管理者:システム導入とモニタ 12年4月17日火曜日 33
  • 34. 急変対応パス 「6つの要素」 患者情報(入手可能な場合) 初期観察 (INITIAL OBSERVATION) 緊急度の判断 周囲の状況 患者 (SCENE) (PATIENT) ・収集した情報(データ)をもとに緊急度(心停止の近接性)を判断 ・現場、患者の ・おもな訴えを聴取  状況、関係者 ・一次評価(primary survey)を開始 致死的 重篤 緊急性なし (Life threatening) (Critical) (Non-emergent) ・短時間で心停止に至る ・専門的な検査や治療が必要 ・時間的余裕がある 反応の確認 即時評価と即時蘇生 反応なし→即時蘇生 (QUICK ASSESSMENT & RESUSCITATION) ・気道確保 継続的な処置と決着(disposition) ・補助換気/酸素治療 (ONGOING MANAGEMENT) ・致死的状態・不安定を即座に認識し直ちに治療 ・心肺蘇生/除細動 ・病態の鑑別と「とりあえずの診断」を生成する ・ショック離脱 再評価、 ・蘇生チーム要請 再評価に応じた処置の修正、 ・医師連絡 再評価 ・経過観察 詳細な評価 (DETAILED ASSESSMENT) 報告・連絡・依頼はI-SBAR-Cで行なう 出来事 二次評価 簡単な検査 (Event) (Secondary survey) (Diagnostic) ・何が ・バイタルサイン ・血糖値、ECG ・どうして ・診察 ・SpO2など 12年4月17日火曜日 34
  • 35. パフォーマンス目標 • 患者情報から起こりうる急変を予測できる • 患者のアセスメント能力の向上 • 前兆(なにか変?)を発見し、報告・相談が できる(言語化、SBAR) • 対応パスを用いて必要な処置を迅速に行なう • 対応パスを終了する(決着をつける) • 経験を将来に活用できるように振り返り学習 ができる 12年4月17日火曜日 35
  • 36. 「急変対応」の分類 • 即時蘇生で救命すべき「急変」 • 数分から30分で心停止に至る • 心停止、気道閉塞・低酸素血症、 ショック、外傷 • 上記以外の「急変」 • 心停止まで数時間を要する 12年4月17日火曜日 36
  • 37. 何を教えるのか? • ステップ1:初心者 • 態度、知識、知的スキル、手技 • ステップ2:中堅 • 認知能力 • ステップ3:エキスパート • パフォーマンスの維持・深化 12年4月17日火曜日 37
  • 38. 初心者:態度、知識、知的スキル、手技 • 態度 • 行動を選択する • 知識(言語情報) • 説明できる • 知的スキル(問題解決) • アルゴリズム、ガイドラインを使える • 手技(テクニカルスキル) 12年4月17日火曜日 38
  • 39. 初心者:AEDの使い方 • 態度 • AEDの知識、場面の知識、結末の予測 • 知的スキル(問題解決) • 心停止を認識できる • CPRを開始できる、AEDを使用できる • 手技(テクニカルスキル) • 質の高いCPR、AEDによる除細動 12年4月17日火曜日 39
  • 41. 概念化 • 予測 • 実験 • いまこの選択をしたら、その • 失敗した経験をもとに、「あ のときは計画がまずくてうま 結果としてこんなことが起こ くいかなかった」ので、「こ るだろう んどは計画を立て直して(具 • 手順 体的な工夫を加え)やってみ よう。きっと成功するはず • 「説明」だけでは、実際の操 だ」 作・手順が理解できない場合 がある・・・シミュレーショ • 評価 ンで実際に操作することが効 果的 • 価値観と規範を理解し、行動 をとるべきか否かを判断する 12年4月17日火曜日 41
  • 42. 分析 • 診断 • 因果関係 • 複雑な状況の原因として関連 • 連続するできごとの因果関係 を見出すことができる する要因を探索する • ドメイン特異的 • ドメイン特異的 • プランニング • 判断 • ゴールを達成するための計画 • 客観的に判断する能力 を立案する • 指導者、同僚からのフィード バックが不可欠(判断のプロ • ドメイン特異的 セスで) 12年4月17日火曜日 42
  • 43. 社会性 • 影響力 • 交渉力 • 人にやってもらいたいことを • 公式・非公式の取引 依頼したとき、その人がどの ような反応を示すかを理解 • 交渉の学習は交渉の失敗を通 じて学習される し、そのプロセスを改善する (意識的、無意識的) • 記述力 • チームワーク • 問題が発生した時、状況を意 識的かつ創造的に記述するこ • チームでゴールを達成する、 とで、解決すべき問題を明ら 役割を分担する、メンバーか かにする らの建設的なインプットを活 用する、人間関係の調整と紛 • 問題解決の第一歩 争への対応 • 実際の経験を通して学習 12年4月17日火曜日 43
  • 44. 何で教えるのか? • ステップ1:初心者 • BLS, ACLS, PALS:インストラクション • 教授システム学、インストラクターコンピテンシー • ステップ2:中堅 • 応用シミュレーション、デブリーフィング • 学習科学、経験学習理論、デブリーフィング • ステップ3:エキスパート • 応用シミュレーション、自己振り返り 12年4月17日火曜日 44
  • 45. シミュレーション • ACLS, PALSのシナリオ • 知的スキルを使うためのトリガー • 受講後、シナリオは記憶しない • 経験学習としてのシミュレーション • ストーリーとして長期記憶 • 学習ポイントが埋め込まれている 12年4月17日火曜日 45
  • 46. どうやって教えるのか? • 原則1 • 学習経験を物語化する(主人公は学習者) • 学習活動をテーマ化、コンテキスト、助演 • 原則2 • 動機付けのデザイン • ARCSモデル(注意、関連、自信、満足) • 原則3 • 現実の課題、活性化、例示、応用、統合 12年4月17日火曜日 46
  • 47. RRT開発チームの成長 • ステップ1 • BLS, ACLS, PALSのインストラクション • ステップ2 • 日本医療教授システム学会(JSISH) • Instructional Systems Design研究会 • ステップ3 • JSISH • デザイン研究 12年4月17日火曜日 47
  • 48. まとめ • RRSの導入はトップダウン、実践はRRT のトレーニングプログラムから • まずBLS, ACLS, PALSを導入する • 教授システム学、学習理論を強化する • 職場内学習環境をデザインする • 上記をチームアプローチで推進する 12年4月17日火曜日 48