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Cプログラミング
  よくある誤り
    山本 和英
長岡技術科学大学 電気系
このスライドは...
●
    C言語プログラミング初心者を対象に作成して
    います。
●
    C言語でよく見かける誤り(計14種類)をレベル
    別に例示し、解説しています。
     –   解答を見る前に、何が誤りかを自分で考えてみて
          ください。
●
    このスライドに書かれている誤りを一通り覚える
    ことでかなりの初歩的なミスを回避できると思
    います。
誤りには4段階ある
●
    レベル1: コンパイルエラー
      –   コンパイルできないのですぐに気付く
●
    レベル2: 実行時エラー
      –   実行中にエラーが出てプログラムが停止
●
    レベル3: エラー表示されない
      –   正しくない出力が出るだけなので気付きにくい
●
    レベル4: アルゴリズムの誤り
      –   最も気付きにくい
レベル1:

コンパイルエラー
   (6問)
問1-1
if (a < b) brake;



どこかに間違いがあるので
(以下同様)、次のスライドを
見る前に、何が誤りなのかを
考えてみてください。
解1-1: スペルミス
if (a < b) break;   break; や continue; など、つ
                    づりを間違う。
問1-2
int 0, p, q;
解1-2: 見間違い
int o, p, q;   0(ゼロ)と O(オー)、1(いち)
               と l(エル)などを間違う。
               表示しているフォントに
               よってはほとんど見分け
               がつかない場合もある。
               なお、O(オー)やl(エル)と
               いう変数が宣言されて
               いるとコンパイルエラー
               は出ないので、難易度が
               レベル2にアップする。
問1-3
printf ("Hello!!")
解1-3: 記号忘れ
printf ("Hello!!");   閉じ括弧"}"やセミコロン
                      ";"を忘れる。
                      左の例では文末のセミコ
                      ロン ; を忘れている。
問1-4
for (i=1, i<10, i++)
   printf ("%d", i):
解1-4: 記号間違い
for (i=1; i<10; i++)   コンマ"," コロン":" セミコ
                       ロン";"の使い方を間違え
  printf ("%d", I);    る。左の例では、
                       ● for文の , →;


                       ●   printf の最後 :→;
                       の2つ(3ヶ所)が間違い。
問1-5
i = i + 1;
解1-5: 全角スペース
i = i + 1;    コメントやprintf ("...")以外
              に全角スペース(「 」)が
              (うっかり)入力されてい
              る。これは(当然ながら)見
              た目では全く分からない
              のでエラーメッセージで
              判断するしかない。
              前のスライドでも文中に
              全角スペースが入ってい
              る。
問1-6
void main(void){
  int p=0;
  for (i=0; i<10; i++)
    printf ("%d", p);
}
解1-6: 変数の未宣言
void main(void){         使っている変数を宣言し
                         ていない。
  int i, p=0;            左の例では i を宣言して
                         いない。
  for (i=0; i<10; i++)
    printf ("%d", p);
}
レベル2:

実行時エラー
  (2問)
問2-1
int s = 0;
int t = 3 / s;
解2-1: ゼロで割り算している。
int s = 0;       自分が予期しない理由で
                 ある変数が0になってし
int t = 3 / s;   まい、その変数で除算を
                 してしまう時がある。
                 この本当の原因は割り算
                 している部分ではなく、他
                 の場所で変数が正しく代
                 入されないことなので、
                 割り算部分に問題はな
                 い。
問2-2
int i, a[10];
for (i=0; i<=10; i++){
   scanf ("%d", &a[i]);
}
解2-2: 配列の範囲外使用
int i, a[10];             int a[10] の 宣 言 は a[0] ~
                          a[9]を確保するのでa[10]
for (i=0; i<=10; i++){    は存在しない。
   scanf ("%d", &a[i]);   このエラーは一応レベル
                          2に入れたが、実行時に
}                         エラーが出ないこともあ
                          る(つまりレベル3の場合
                          がある)ので注意。
レベル3:

 エラー表示されない
(間違った結果になる)
    (6問)
問3-1
int a=3, b=5;
printf ("%fn", a / b);
解3-1: 数値型の誤り
int a=3, b=5;        特に割り算において、小数点
                     以下も必要なのに整数型を
                     整数型で割ってしまう。
printf ("%fn",      左の例の場合、%fのように実
  (double) a / b);   数で表示させようとしても、
                     表示させる以前の a / b を計
                     算した瞬間に 0 になる(割る
                     数と割られる数の両方が整
                     数だと答えは必ず整数で計
                     算しようとする)。
問3-2
double r = 0.0;
while (r != 1.0) {
  ...
  r += 0.1;
}
解3-2: 実数による条件分岐
double r = 0.0;      実数には若干の誤差が
                     出るので、条件判断(if, for,
while (r != 1.0) {   while) に実数を使う時は
                     注意しないといけない。
  ...                左の例では、r がぴったり
                     1 にならない可能性が高
  r += 0.1;          いので、正しく動作しない
}                    可能性が高い。
問3-3
int a;
a = a + 3;
解3-3: 初期化を忘れる
int a = 0;   変数を宣言すると初期
             値は0だと思い込んでい
a = a + 3;   ろんな処理をしてしまう。
             とても大きくおかしな値
             が出 力さ れる 時は だ い
             たいこれが原因である。
             コンパイル時にエラーが
             出ない。
問3-4
if (a = b) break;
解3-4: "=" と "==" を間違える
if (a == b) break;   初心者にとてもよくある
                     誤り。左の例の場合、コン
                     パイルでエラーは出ない
                     ことに注意。
問3-5
for (i = 1; i < 10; i++);
   printf ("表示n");
解3-5: ';'のつけすぎ
for (i = 1; i < 10; i++)   エラーも出ないので初心
                           者にはかなり気付きにく
   printf ("表示n");        い。
                           C言語の「文末」には ; が
                           必要と覚えていると、左
                           の例のように for 文にま
                           でつけてしまう。
問3-6
// aが 0 以外なら"表示2"を表示させたい

if (a == 0)
    if (b == 0)
       printf ("表示1");
else
    printf ("表示2");
}
解3-6: if と else の対応
// aが 0 以外なら"表示2"を表示させたい   前スライドのプログラムは問題な
                           さそうだが、「表示2」が表示され
if (a == 0) {              るのはaが0でbが0以外の時(※)で
                           あり、決してaが0以外の時ではな
    if (b == 0) {          い。つまり else は一番近い if に対
                           する else である。また、字下げ(イ
        printf ("表示1");    ンデント)にだまされてもいけな
    }                      い。(コンパイラにとって字下げは
                           関係ない)
} else {                   ※のようにしたいのであれば左の
                           ようにすればよい。誤解を減らす
    printf ("表示2");        ために if文には常に {...} をつける
                           ことを推奨する。
}
レベル4:

アルゴリズムの誤り
   (0問)
アルゴリズムの誤り
●
    そもそもプログラム以前にアルゴリズムが間
    違っている場合。
     –   例えば、4行4列の行列式にサラスの方法を用い
          る、など。
●
    自分では正しいと思っているからそのアルゴリズ
    ムを使用しているため、間違いに最も気付きにく
    い。
     –   検証可能な出力をする、などの方法で確認するし
          かなく、場合によっては検証できない問題もあ
          る。
おわりに
間違いを減らすために
●
    エラーが出ている場合は、エラーメッセージをよ
    く読む
     –   英語の場合は読むのが大変だが、それでも読ん
          だほうが近道だ
●
    エラーが出ない誤りの場合は、このスライドで紹
    介したような誤りをよく記憶しておく
     –   出力結果が何かおかしいと感じた時に、「気付き
          にくいエラー」をしていないかよく考える
本スライドに関する照会先

山本 和英
長岡技術科学大学 電気系
yamamoto@jnlp.org


このスライドは 2012年4月23日に作成しました。

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C言語よくある誤り

  • 1. Cプログラミング よくある誤り 山本 和英 長岡技術科学大学 電気系
  • 2. このスライドは... ● C言語プログラミング初心者を対象に作成して います。 ● C言語でよく見かける誤り(計14種類)をレベル 別に例示し、解説しています。 – 解答を見る前に、何が誤りかを自分で考えてみて ください。 ● このスライドに書かれている誤りを一通り覚える ことでかなりの初歩的なミスを回避できると思 います。
  • 3. 誤りには4段階ある ● レベル1: コンパイルエラー – コンパイルできないのですぐに気付く ● レベル2: 実行時エラー – 実行中にエラーが出てプログラムが停止 ● レベル3: エラー表示されない – 正しくない出力が出るだけなので気付きにくい ● レベル4: アルゴリズムの誤り – 最も気付きにくい
  • 5. 問1-1 if (a < b) brake; どこかに間違いがあるので (以下同様)、次のスライドを 見る前に、何が誤りなのかを 考えてみてください。
  • 6. 解1-1: スペルミス if (a < b) break; break; や continue; など、つ づりを間違う。
  • 8. 解1-2: 見間違い int o, p, q; 0(ゼロ)と O(オー)、1(いち) と l(エル)などを間違う。 表示しているフォントに よってはほとんど見分け がつかない場合もある。 なお、O(オー)やl(エル)と いう変数が宣言されて いるとコンパイルエラー は出ないので、難易度が レベル2にアップする。
  • 10. 解1-3: 記号忘れ printf ("Hello!!"); 閉じ括弧"}"やセミコロン ";"を忘れる。 左の例では文末のセミコ ロン ; を忘れている。
  • 11. 問1-4 for (i=1, i<10, i++) printf ("%d", i):
  • 12. 解1-4: 記号間違い for (i=1; i<10; i++) コンマ"," コロン":" セミコ ロン";"の使い方を間違え printf ("%d", I); る。左の例では、 ● for文の , →; ● printf の最後 :→; の2つ(3ヶ所)が間違い。
  • 14. 解1-5: 全角スペース i = i + 1; コメントやprintf ("...")以外 に全角スペース(「 」)が (うっかり)入力されてい る。これは(当然ながら)見 た目では全く分からない のでエラーメッセージで 判断するしかない。 前のスライドでも文中に 全角スペースが入ってい る。
  • 15. 問1-6 void main(void){ int p=0; for (i=0; i<10; i++) printf ("%d", p); }
  • 16. 解1-6: 変数の未宣言 void main(void){ 使っている変数を宣言し ていない。 int i, p=0; 左の例では i を宣言して いない。 for (i=0; i<10; i++) printf ("%d", p); }
  • 18. 問2-1 int s = 0; int t = 3 / s;
  • 19. 解2-1: ゼロで割り算している。 int s = 0; 自分が予期しない理由で ある変数が0になってし int t = 3 / s; まい、その変数で除算を してしまう時がある。 この本当の原因は割り算 している部分ではなく、他 の場所で変数が正しく代 入されないことなので、 割り算部分に問題はな い。
  • 20. 問2-2 int i, a[10]; for (i=0; i<=10; i++){ scanf ("%d", &a[i]); }
  • 21. 解2-2: 配列の範囲外使用 int i, a[10]; int a[10] の 宣 言 は a[0] ~ a[9]を確保するのでa[10] for (i=0; i<=10; i++){ は存在しない。 scanf ("%d", &a[i]); このエラーは一応レベル 2に入れたが、実行時に } エラーが出ないこともあ る(つまりレベル3の場合 がある)ので注意。
  • 23. 問3-1 int a=3, b=5; printf ("%fn", a / b);
  • 24. 解3-1: 数値型の誤り int a=3, b=5; 特に割り算において、小数点 以下も必要なのに整数型を 整数型で割ってしまう。 printf ("%fn", 左の例の場合、%fのように実 (double) a / b); 数で表示させようとしても、 表示させる以前の a / b を計 算した瞬間に 0 になる(割る 数と割られる数の両方が整 数だと答えは必ず整数で計 算しようとする)。
  • 25. 問3-2 double r = 0.0; while (r != 1.0) { ... r += 0.1; }
  • 26. 解3-2: 実数による条件分岐 double r = 0.0; 実数には若干の誤差が 出るので、条件判断(if, for, while (r != 1.0) { while) に実数を使う時は 注意しないといけない。 ... 左の例では、r がぴったり 1 にならない可能性が高 r += 0.1; いので、正しく動作しない } 可能性が高い。
  • 28. 解3-3: 初期化を忘れる int a = 0; 変数を宣言すると初期 値は0だと思い込んでい a = a + 3; ろんな処理をしてしまう。 とても大きくおかしな値 が出 力さ れる 時は だ い たいこれが原因である。 コンパイル時にエラーが 出ない。
  • 29. 問3-4 if (a = b) break;
  • 30. 解3-4: "=" と "==" を間違える if (a == b) break; 初心者にとてもよくある 誤り。左の例の場合、コン パイルでエラーは出ない ことに注意。
  • 31. 問3-5 for (i = 1; i < 10; i++); printf ("表示n");
  • 32. 解3-5: ';'のつけすぎ for (i = 1; i < 10; i++) エラーも出ないので初心 者にはかなり気付きにく printf ("表示n"); い。 C言語の「文末」には ; が 必要と覚えていると、左 の例のように for 文にま でつけてしまう。
  • 33. 問3-6 // aが 0 以外なら"表示2"を表示させたい if (a == 0) if (b == 0) printf ("表示1"); else printf ("表示2"); }
  • 34. 解3-6: if と else の対応 // aが 0 以外なら"表示2"を表示させたい 前スライドのプログラムは問題な さそうだが、「表示2」が表示され if (a == 0) { るのはaが0でbが0以外の時(※)で あり、決してaが0以外の時ではな if (b == 0) { い。つまり else は一番近い if に対 する else である。また、字下げ(イ printf ("表示1"); ンデント)にだまされてもいけな } い。(コンパイラにとって字下げは 関係ない) } else { ※のようにしたいのであれば左の ようにすればよい。誤解を減らす printf ("表示2"); ために if文には常に {...} をつける ことを推奨する。 }
  • 36. アルゴリズムの誤り ● そもそもプログラム以前にアルゴリズムが間 違っている場合。 – 例えば、4行4列の行列式にサラスの方法を用い る、など。 ● 自分では正しいと思っているからそのアルゴリズ ムを使用しているため、間違いに最も気付きにく い。 – 検証可能な出力をする、などの方法で確認するし かなく、場合によっては検証できない問題もあ る。
  • 38. 間違いを減らすために ● エラーが出ている場合は、エラーメッセージをよ く読む – 英語の場合は読むのが大変だが、それでも読ん だほうが近道だ ● エラーが出ない誤りの場合は、このスライドで紹 介したような誤りをよく記憶しておく – 出力結果が何かおかしいと感じた時に、「気付き にくいエラー」をしていないかよく考える