Pm34 胸部x線写真の読影②
- 8. 56歳/男性
主訴:発熱 咳 膿性痰
A) 立位PAで十分な吸気のもと左右対称で撮影されていて、陰影のコントラ
ストもよく線量も適切な写真である。
B) 胸郭の変形はなく、骨軟骨部に異常を認めません。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 主気管支が右に偏移してみえる。
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大動脈もスムーズに追え、右肺門
部の拡大はありません。
F) 右上葉(S3・S2・S1)に多少の濃淡の 差はあるが、全体的に白い陰影
をみとめる。右心辺縁ははっきりみえていてシルエットサイン陰性。した
がってS3の陰影は全体には及んでいないと考えられる。陰影の中に気
管支の透亮像がみられ肺胞性の変化が主力と考えてよい。左CP
angle (S9)付近にも淡い透過性不良の部位がみとめられる。輪状線状
様・小斑点状陰影が混在して間質性の変化がある。
[評価]
細菌性肺炎、原因菌として肺炎球菌が推定される。
- 18. 12歳/男性
主訴:発熱 咳 膿性痰
A) 撮影条件、撮影体位とも良い。(横隔膜が胸椎の10番目にあり十分な吸気になっている。)
B) 胸郭の変形はなく、骨軟骨部に異常を認めません。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右肺
門部の拡大はありません。
F) 右上肺野、境界が不鮮明だが肺区域的にはS2からS1にかけて濃淡に
多少差のある均等陰影(浸潤影)をみとめ、肺胞性の陰影と考える。左肺
野には病的変化はみられない。
線状影・網状影等の変化を示唆する所見はみとめられない。
[評価]
肺胞に浸潤のある肺胞性肺炎の所見、肺炎球菌性肺炎を考えるが陰影の辺縁がは
っきりせずスリガラス様のためマイコプラズマによる肺炎も考慮する必要がある。
- 19. Terminology
均等陰影 ( Consolidation )
均等な肺野吸収値の上昇
肺胞性パターン
肺胞腔内に病変の主座があるときにみられるX線像。
⇒滲出液・漏出・血液・蛋白・細胞などが肺胞腔に貯溜する状態。
疾患⇒肺炎・肺水腫・肺出血・肺胞蛋白症・肺胞上皮癌など
肺胞性パターンの診断基準
エアーブロンコグラム(air bronckogram)
肺胞内に水濃度をきたす病態で気管支内ガスの透過性と周囲の肺胞とのコントラスト
が生じて気管支が透亮像として浮き上がる状態。
癒合傾向
境界不鮮明
細葉性結節
肺葉性・区域性
- 27. 小児
A)
B)
C)
D)
E)
主訴:発熱 咳
撮影条件、撮影の体位は良好。
胸郭の変形はなく、骨軟骨部に異常を認めません。
両側 CP angle は sharp です。
気管・右左気管支とも異常はない。
心拡大なし。左右の心辺縁および、下大静脈もスムーズに追え、左右
肺門部の拡大はありません。
F) 右上肺野に均等な陰影(浸潤影)をみとめる。内部に黒く抜けた透亮像
airbronchogram様の陰影をみとめる。均等影の上部の肺野(S1・
S2)にも透過性不良をみとめる。
[評価] S2の無気肺を想定してしまいそうだが陰影の中にairbronchogram様陰影がみと
められ否定的、進行した肺胞性肺炎が考えられる。原因としては肺炎球菌・肺炎桿菌・マイコ
プラズマ等が鑑別の対称となる。
- 41. 肺炎(気管支肺炎)
A) 撮影条件、撮影の体位はまずまず。乳房により下肺野の透過性は低
下している。
B) 胸郭の変形はなく、骨軟骨部に異常を認めません。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 心拡大なし。心陰影・胸椎・大動脈の陰影をみると胸部大動脈左縁が
第9肋骨の高さから下部が不鮮明で追うことができなくなっている。シル
エットサイン陽性で肺区域 S10に浸潤影があることを示唆している。
左右肺門部の拡大はありません。
F) 心陰影の中に均等影 様の陰影がみとめられ胃泡の中に及んでいる。
横隔膜の中よりが左右ぼやけていてシルエットサイン陽性、S8にも透
過性不良の間質性の陰影をみとめる。
[評価]S10に肺炎像、両下肺野にも間質性の陰影をみとめマイコブラズマ肺炎がもっとも考え
られる。読影がやや難しく正常と判断する危険性がある。
- 65. 肺癌(孤立陰影)
A) 撮影条件・撮影体位等問題なく撮れている。
B) 全体に鎖骨・肋骨陰影の黒化度が薄い印象と同時に肋軟骨の陰影も見
ることができ肋軟骨の石灰化を示唆している。
C) 両側 CP angle は sharp です。
D) 気管・右左気管支とも異常はない。
E) 心拡大なし。縦隔陰影横隔膜陰影は問題ない。
F) 肺野の陰影では乳房下端の陰影と同時に乳房陰影の中に不規則な陰
影もみとめ肋骨軟骨接続部の石灰化を示唆、血管影・肺門部には所見
はみとめず。見逃しそうだが、左鎖骨、胸鎖関節に近接した約1.5cmの
円形陰影があり、辺縁は不規則(毛羽立ってみえる)になっている。陰影
は大動脈・縦隔とのシルエットサインはみられず左肺S1+2に存在すると
考えられ、肺門部のリンパ節腫脹はみらない。
[評価]丁寧に観察検討しないと見逃しそうな陰影だが、その形態から肺癌が最も考えられる。大
きさが1.5cmm、肺門リンパ節の腫大がみられないことから比較的早期の肺がんと診断するが
HRCT等で確定が必要。この所見を難なくみつけられれば読影能力はまずまず。