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胆石による膵臓への影響 
血清アミラーゼが高値を示す理由 
参考文献 
新病態生理できった内科学 
PBL 消化器 
2014 6 13 
08211011 
河内健二
胆石→膵臓 
影響といえば・・・ 
• ≒急性膵炎 
• 機序 
Start : 胆石陥頓総胆管共通管結石ファーター乳頭付近 
→胆汁膵液膵管内逆流 
内圧亢進代謝不全 
→膵腺房細胞障害 
→膵酵素の活性化 
→自己消化= 膵炎 
→血中逸脱酵素アミラーゼ等上昇 
他
胆石と膵臓 
急性膵炎の原因のうち・・・ 
• 1位アルコール37% 
• 2位胆石24% 
• 3位突発性原因不明23%
急性膵炎診断基準 
• 1) 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。 
• 2) 血中、または尿中に膵酵素の上昇がある。 
• 3) 超音波、CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見がある。 
• 
• 上記3項目中2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外し 
たものを急性膵炎と診断します。ただし、慢性膵炎の急性発症は急性膵 
炎に含めます。膵酵素は膵特異性の高いもの(膵アミラーゼ、リパーゼな 
ど)を測定することが望ましいとされています。 
•
血清アミラーゼ上昇機序 
• 膵由来の血清アミラーゼ値が上昇するのは通常再吸収による 
• すなわち膵炎にて膵組織は破壊され周囲に流出したアミラーゼが再吸収 
される。 
• あるいは膵管の閉鎖(胆石膵炎等)があり膵管および腺細胞に高圧がか 
かり再吸収される。(このタイプは通常著明な高度のアミラーゼ値となる) 
• したがって、「腸液が再吸収される状況」か「膵管出口がふさがれるような 
状況」にあれば膵炎でなくとも上昇する。 
• 腸壊死では粘膜が機能しなくなることによる壁からの再吸収が、腸穿孔 
では腹膜からの再吸収があり得る。 
• また腸閉塞では膵液の行き場が無く圧がかかる。 
• 腎不全ではアミラーゼのクリアランスが下がることによって血清値が上昇 
する可能性があり、家族性高アミラーゼ血症ではanomarous なIgGにア 
ミラーゼがくっついて糸球体濾過可能な分子量を超えたため尿中の排泄 
が低下する(治療の必要無)。
急性膵炎と膵酵素 
膵酵素リパーゼ総アミラーゼ膵型アミラーゼエスタラーゼ 
感度高高高高高高 
特異度高高低高高 
血中半減期長短長長長 
※アミラーゼは2種アイソザイム 
膵臓由来と唾液由来 
1 
膵炎のスクリーニング→総アミラーゼが第一選択 
というのが従来だったが最近はリパーゼのほうがいいらしいというのが最近 
のグローバルスタンダード
血中アミラーゼ(血中総アミラーゼ) 
• 急性膵炎の診断に対する血中アミラーゼの測定:推奨度A 
• 通常は血中アミラーゼ値の上昇を認めることにより診断が可能であるが,いくつ 
かの限界も報告され,特に特異度が低い点が問題で,併存疾患の有無などに注 
意を要する。 
• (1) 急性膵炎の診断に用いられる膵酵素として最も普及。迅速、簡便。 
• (2) 膵炎以外の疾患でも異常高値を示す場合が多く(本編表12)、特異度が低い。 
• (3) アルコール性急性膵炎、特に慢性膵炎を背景とする症例、高脂血症を原因 
とする急性膵炎では上昇しない場合がある。 
• (4) 膵炎発症後速やかに血中濃度が低下するため、発症から来院までの期間が 
長い場合は正常化していることがある。
リパーゼ 
• 急性膵炎の診断に測定が推奨される膵酵素 
• 血中アミラーゼの限界を補うための血中リパーゼの測定:推奨度A 
• 
• 急性膵炎の診断で他疾患との鑑別が問題となる場合、血中リ 
パーゼが血中アミラーゼを含めた他の膵酵素に比べて最も優れ 
ている。 
• 各種膵酵素の急性膵炎の診断能について比較検討した報告(レベ 
ル2a)12)からは、血中リパーゼは血中アミラーゼと比較すると感度 
ではほぼ同等、特異度で優るとされ(表13、14)、急性膵炎の診断 
には血中アミラーゼよりも血中リパーゼの測定が推奨されている。 
さらに、血中リパーゼに血中アミラーゼの測定を加えても診断能 
は改善されなかったとされている。
ガイドラインのお言葉 
要するに推奨度A 
• Q: 急性胆嚢炎の診療において、血中のアミラーゼ値 
を測定することはどのような意義があるのでしょう 
か? 
• 血清アミラーゼ値の上昇は、総胆管結石など膵障害 
を惹起する、他合併病態の把握に有用である。[推奨 
度A] 
• ガイドライン作成委員より患者さんへ 
• 急性胆嚢炎は胆嚢の病気ですが、急性膵炎が同時 
に発生している場合があります。これを判定するため 
に、血清リパーゼや血清アミラーゼを測定する血液検 
査が有効とされています。
あくまでスクリーニング 
• 血中アミラーゼ高い→膵炎かもね 
かもだから次鑑別疾患 
• →①唾液じゃない? :流行性耳下腺炎 
• →②腎で捨てられなくて上がってるんじゃない? 
:マクロアミラーゼ血症ACCR で除外できる
膵酵素と膵炎注意事項 
血清アミラーゼの限界① 
• 膵炎の場合、アミラーゼ値と膵炎の重症度は必ずしも一致しない 
• 血清アミラーゼ値は発症後6~12時間で上昇し、半減期は10時間 
程度である。したがって発症早期や、発症から時間が経っている 
場合には正常値もあり得る。また膵萎縮がありそもそものアミラー 
ゼ分泌量が少ない場合は変化がわかりにくい場合もある。 
・数値そのものは重症度に比例しないが、3〜5日たっても下がりが 
悪いときは重症化あるいは合併症(仮性嚢胞など)を反映しているこ 
とがある。 
エスタラーゼで補足: 
エスタラーゼは臨床症状とよく一致する 
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血清アミラーゼの限界② 
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• 腹痛+アミラーゼ高値 
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5.5胆石による膵臓への影響

  • 1. 胆石による膵臓への影響 血清アミラーゼが高値を示す理由 参考文献 新病態生理できった内科学 PBL 消化器 2014 6 13 08211011 河内健二
  • 2. 胆石→膵臓 影響といえば・・・ • ≒急性膵炎 • 機序 Start : 胆石陥頓総胆管共通管結石ファーター乳頭付近 →胆汁膵液膵管内逆流 内圧亢進代謝不全 →膵腺房細胞障害 →膵酵素の活性化 →自己消化= 膵炎 →血中逸脱酵素アミラーゼ等上昇 他
  • 3. 胆石と膵臓 急性膵炎の原因のうち・・・ • 1位アルコール37% • 2位胆石24% • 3位突発性原因不明23%
  • 4. 急性膵炎診断基準 • 1) 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。 • 2) 血中、または尿中に膵酵素の上昇がある。 • 3) 超音波、CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見がある。 • • 上記3項目中2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外し たものを急性膵炎と診断します。ただし、慢性膵炎の急性発症は急性膵 炎に含めます。膵酵素は膵特異性の高いもの(膵アミラーゼ、リパーゼな ど)を測定することが望ましいとされています。 •
  • 5. 血清アミラーゼ上昇機序 • 膵由来の血清アミラーゼ値が上昇するのは通常再吸収による • すなわち膵炎にて膵組織は破壊され周囲に流出したアミラーゼが再吸収 される。 • あるいは膵管の閉鎖(胆石膵炎等)があり膵管および腺細胞に高圧がか かり再吸収される。(このタイプは通常著明な高度のアミラーゼ値となる) • したがって、「腸液が再吸収される状況」か「膵管出口がふさがれるような 状況」にあれば膵炎でなくとも上昇する。 • 腸壊死では粘膜が機能しなくなることによる壁からの再吸収が、腸穿孔 では腹膜からの再吸収があり得る。 • また腸閉塞では膵液の行き場が無く圧がかかる。 • 腎不全ではアミラーゼのクリアランスが下がることによって血清値が上昇 する可能性があり、家族性高アミラーゼ血症ではanomarous なIgGにア ミラーゼがくっついて糸球体濾過可能な分子量を超えたため尿中の排泄 が低下する(治療の必要無)。
  • 6. 急性膵炎と膵酵素 膵酵素リパーゼ総アミラーゼ膵型アミラーゼエスタラーゼ 感度高高高高高高 特異度高高低高高 血中半減期長短長長長 ※アミラーゼは2種アイソザイム 膵臓由来と唾液由来 1 膵炎のスクリーニング→総アミラーゼが第一選択 というのが従来だったが最近はリパーゼのほうがいいらしいというのが最近 のグローバルスタンダード
  • 7. 血中アミラーゼ(血中総アミラーゼ) • 急性膵炎の診断に対する血中アミラーゼの測定:推奨度A • 通常は血中アミラーゼ値の上昇を認めることにより診断が可能であるが,いくつ かの限界も報告され,特に特異度が低い点が問題で,併存疾患の有無などに注 意を要する。 • (1) 急性膵炎の診断に用いられる膵酵素として最も普及。迅速、簡便。 • (2) 膵炎以外の疾患でも異常高値を示す場合が多く(本編表12)、特異度が低い。 • (3) アルコール性急性膵炎、特に慢性膵炎を背景とする症例、高脂血症を原因 とする急性膵炎では上昇しない場合がある。 • (4) 膵炎発症後速やかに血中濃度が低下するため、発症から来院までの期間が 長い場合は正常化していることがある。
  • 8. リパーゼ • 急性膵炎の診断に測定が推奨される膵酵素 • 血中アミラーゼの限界を補うための血中リパーゼの測定:推奨度A • • 急性膵炎の診断で他疾患との鑑別が問題となる場合、血中リ パーゼが血中アミラーゼを含めた他の膵酵素に比べて最も優れ ている。 • 各種膵酵素の急性膵炎の診断能について比較検討した報告(レベ ル2a)12)からは、血中リパーゼは血中アミラーゼと比較すると感度 ではほぼ同等、特異度で優るとされ(表13、14)、急性膵炎の診断 には血中アミラーゼよりも血中リパーゼの測定が推奨されている。 さらに、血中リパーゼに血中アミラーゼの測定を加えても診断能 は改善されなかったとされている。
  • 9. ガイドラインのお言葉 要するに推奨度A • Q: 急性胆嚢炎の診療において、血中のアミラーゼ値 を測定することはどのような意義があるのでしょう か? • 血清アミラーゼ値の上昇は、総胆管結石など膵障害 を惹起する、他合併病態の把握に有用である。[推奨 度A] • ガイドライン作成委員より患者さんへ • 急性胆嚢炎は胆嚢の病気ですが、急性膵炎が同時 に発生している場合があります。これを判定するため に、血清リパーゼや血清アミラーゼを測定する血液検 査が有効とされています。
  • 10. あくまでスクリーニング • 血中アミラーゼ高い→膵炎かもね かもだから次鑑別疾患 • →①唾液じゃない? :流行性耳下腺炎 • →②腎で捨てられなくて上がってるんじゃない? :マクロアミラーゼ血症ACCR で除外できる
  • 11. 膵酵素と膵炎注意事項 血清アミラーゼの限界① • 膵炎の場合、アミラーゼ値と膵炎の重症度は必ずしも一致しない • 血清アミラーゼ値は発症後6~12時間で上昇し、半減期は10時間 程度である。したがって発症早期や、発症から時間が経っている 場合には正常値もあり得る。また膵萎縮がありそもそものアミラー ゼ分泌量が少ない場合は変化がわかりにくい場合もある。 ・数値そのものは重症度に比例しないが、3〜5日たっても下がりが 悪いときは重症化あるいは合併症(仮性嚢胞など)を反映しているこ とがある。 エスタラーゼで補足: エスタラーゼは臨床症状とよく一致する 膵炎のフォローアップ(経過観察)に使える
  • 12. 血清アミラーゼの限界② • 急性膵炎→アミラーゼ高値 • But 逆は同値ではない • 腹痛+アミラーゼ高値 で見逃してはならない他疾患 →腹膜炎 上腸間膜動脈閉塞症 糖尿病性ケトアシドーシス