XPの5つの価値のひとつ「コミュニケーション」 コミュニケーション不全だと何が起きるのか、メンバーの心がポキポキ折れる音が聞こえます。リーダーが空回りします。成果が出せません。 エンジニアリング・マネージャーの立場から、失敗事例などを交えて人との向き合い方やコミュニケーションが機能したチームがどれだけ強いかを語ります。

1. チームをワークさせるために
最も大事なコミュニケーション
意識していますか？
XP祭り2017 #xpjug
2017年9月16日
吉田 浩一

2. よしだ こういち
吉田 浩一 @kohzas
2001年〜SIer時代
2014年〜サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェント
アドテクスタジオ
2つのプロダクトの開発責任者
= エンジニアリング・マネージャー
認定スクラムマスター（CSM）
認定スクラムプロダクトオーナー（CSPO）

3. こんな開発チームです
プロダクトA プロダクトB
私
リーダー
エンジニア／ク
リエイター
PO
アジャイルコーチ
エンジニアリング・マネージャー

4. 今日お話すること

5. コミュニケーションはコアなスキル
リーダーシップの目線からコミュニケーションに関わる考え方まとめました
大事なこととわかりつつ、どうしたら良いかわからない、という方へのヒントになれば嬉しいです

6. コミュニケーション

7. XPの5つの価値
● コミュニケーション
● シンプル
● フィードバック
● 勇気
● リスペクト

8. コミュニケーションは他の価値に結びつく
リーダーシップを発揮するにも、協働で作業をするにも、
チームワークを発揮するために必要となるのがコミュニケーション
特に、リーダーのコミュニケーションの取り方はチーム全体の力に大きく影響する
プラクティスや仕組みだけでは超えられない壁を超える

9. コミュニケーションを
とりやすい環境を整える

10. 適切なコミュニケーションパス

11. コミュニケーションパス
1本
2人

12. コミュニケーションパス
1本 3本
2人 3人

13. コミュニケーションパス
1本 3本 6本
2人 3人 4人

14. コミュニケーションパス
1本 3本 6本 10本
2人 3人 4人
5人

15. コミュニケーションパス
1本 3本 6本 10本
2人 3人 4人
5人
人が増えればパスは指数関数的に増える

16. [実践] 丁度よい人数
6本
4人
当初、１０人程度のチーム
３〜４人チームになるよう適時分割
【効果】
・ノウハウを共有しやすい
=> 情報格差が生まれにくい
・一人ひとりがリーダーシップを発揮しやすい

17. 連携プレーに必要な
相互理解

18. チームに必要な連携プレーをするために
コミュニケーションはたくさん
● ペアプロ、モブプロ
● レビュー
● 朝会
● 見積り大会
● 調査
● リリース
● ：

19. チームに必要な連携プレーをするために
「相手はこうすべき」という勝手な思いが連携を阻害する
「自分はこう思う」を伝え、相手はこう思うを聞く
その上でケンカはOK、骨は拾うよ
揉め事が起きた時には、いつも↑からはじめる

20. 知っておくと役立つ
コミュニケーションに
関わる法則

21. メラビアンの法則（3Vの法則）
相手に伝わる情報量はこれくらい
● 言語情報(Verbal) ... 7%
● 聴覚情報(Vocal) … 38%
● 視覚情報(Visual) … 55%
受け手は、話の内容よりも声のトーン、話し方、身振り手振りの方が多くの情報を受け取っている
対面による情報量は思ったよりも多い、絵を描きながらだともっと伝わる
文章がいかに伝わらないか
文章でやり取りする際は、聴覚・視覚を補うくらいの冗長さを心がける

22. ブルックスの法則
新しくチームに開発者が加わったとき、生産性の向上に貢献するまでには時間がかかる
遅れているプロジェクトを人員増加でなんとかするのは難しい
“スコープ”、”納期”の変更を許容する環境が大事

23. チームA チームB
コンウェイの法則
組織の構成がシステムの構成に反映される、というもの
コミュニケーションパスを適切なサイズにするため
チームを分割することがある
システムはチームごとに責任範囲を明確にした方が良い
極力、システムを分割可能な粒度で作る。
疎結合なシステムの集合が理想。
システムα システムβ

24. 悪いコミュニケーションの
リーダーの例

25. 悪いコミュニケーション
● まくしたてるような話し方
● 言い分を聞かない（正しくない、あるいは言い訳と決めつける）
● 反論はねじ伏せる
● 相手に関心を持たない
例）「いままで何やってたんだ！」「あっそ」「だから？」「で？」
いかがでしょうか？
相手がこんな態度だったら、自分はどうなるでしょう

26. 悪いコミュニケーションを受けたメンバーは
● 萎縮し、意欲を失う
● 思考停止に陥り、自分で考えることができなくなる
● 全てがストレスに感じるようになる
● 朝来れなくなり、休みがちに
● 異動／休職／退職
いなくなったメンバーの仕事はリーダーに跳ね返る、でもそれは自業自得
チーム・会社にも迷惑をかけていること、
人の人生に大きな影響を与えていること、が問題
結果どうなるか・・・

27. こうなる
https://books.google.co.jp/books/about/?id=G2u6WnHEQQAC

28. 経験者です

29. なぜこんなリーダーが
生まれてしまうのか

30. 心にゆとりがない
● 未熟なため様々な状況に対応する術を持っておらずテンパっている
● 納期と日々発生する障害に追われてテンパっている
● 相談する人がいない
過度なプレッシャーから解放することを第一に考える
落ち着いて相手の話を聞くゆとり
たとえ思い通りにいかなくとも、それを許容できるゆとり
リーダーに心のゆとりが持てていないと感じたら危険信号
つまり・・・

31. 心理的安全性

32. 心理的安全性
安心して発言ができる
安心して行動ができる
そういう場であること
リーダーの心理的安全性が確保されているかどうかは他の
メンバーに及ぼす影響が大きい

33. 心理的安全性は連鎖する
ボス
リーダー リーダー
余裕がない・・・

34. 心理的安全性は連鎖する
ボス
リーダー リーダー
余裕がない・・・
余裕がない・・・余裕がない・・・

35. 心理的安全性は連鎖する
ボス
リーダー リーダー
余裕がない・・・
余裕がない・・・余裕がない・・・
余裕がない・・・ 余裕がない・・・

36. 心理的安全性は連鎖する
ボス
リーダー リーダー
余裕がない・・・
余裕がない・・・余裕がない・・・
余裕がない・・・ 余裕がない・・・
ギスギスしたチームに・・・

37. 心理的に安全になっているか
自分の環境を確認してみましょう

38. アンケートをとる
アンケートの観点
・心理的安全
・信頼性
・ゴールや役割の明確さ
・責任・裁量
・学習
・仕事の意義・影響
参考: チームの良さを確認するためにやったこと
http://jitsuzon.hatenablog.com/entry/2016/12/07/15071
7

39. アンケートをとる
アンケートの観点
・心理的安全
・信頼性
・ゴールや役割の明確さ
・責任・裁量
・学習
・仕事の意義・影響
参考: チームの良さを確認するためにやったこと
http://jitsuzon.hatenablog.com/entry/2016/12/07/15071
7
チームで実施したアンケートの結果は後ほど

40. 結果にフォーカスする
コミュニケーション

41. 結果にフォーカスするとは
例）毎日遅刻する人がいる、なんとかしたい
遅刻をする人がムカつく、になっていませんか？
「早く来いよ！」「なんで来れないんだ！」⇒ うるさく言う人がいる時だけ来るようになるかも
“遅刻をなくす”という行動にフォーカスする
遅刻をしなかった日にさりげなく感謝を伝える⇒ 遅刻をしないといいことがある
事情があるのならチームの朝会の時間を遅らせる⇒ チームで解決しようとしてくれている

42. 常に、求める結果を考える
求める結果はなんだろうか？
求める結果を得るために、どんなアプローチが良いだろうか？

43. “パフォーマンス・マネジメント”は、
行動分析学という心理学を基にした問題解決の方法
嫌子（けんし）と好子（こうし）
好子 … 行動が強化される
嫌子 … 行動が弱化される（やらなくなる）
結果を考える時に、それが本人にとって良い行動になるか、嫌々やらされたものでないか、
を意識すると良さそう
パフォーマンス・マネジメント
ー問題解決のための行動分析学ー
島宗 理 著

44. 失敗と反省を経て
今

45. エンジニアリング・マネージャーとして
● 開発における意思決定は任せる
● 相談にはのる
● 責任は取る
● 1on1 … 傾聴 とフィードバック

46. さきほどのアンケート結果

47. さきほどのアンケート結果
心理的安全性 4.9
信頼性 4.5
ゴールや役割の明確さ 4.5
責任・裁量 4.25
学習 4.5
仕事の意義・影響 4
※ 5点満点、メンバー4人

48. 自立と成長と変化
チームの特徴
・自分たちでルールを決めたり、変えたり
・リファクタリングも提案して進める
・技術選定も自分たちで行う

49. 自立と成長と変化
チームの特徴
・自分たちでルールを決めたり、変えたり
・リファクタリングも提案して進める
・技術選定も自分たちで行う
私が抜けてもチームはまわる

50. とはいえ
明日から、はい自立してください
は無理なので

51. 教育

52. 教育フェーズ
お願い ご意見ください 事前に教えて 事後に教えて

53. 教育フェーズ
お願い ご意見ください 事前に教えて 事後に教えて
◯◯をやってい
ただけないで
しょうか
やり方は〜〜

54. 教育フェーズ
お願い ご意見ください 事前に教えて 事後に教えて
◯◯をやってい
ただけないで
しょうか
やり方は〜〜
こういう形でお
願いしたいのだ
けど、どう思い
ます？

55. 教育フェーズ
お願い ご意見ください 事前に教えて 事後に教えて
◯◯をやってい
ただけないで
しょうか
やり方は〜〜
こういう形でお
願いしたいのだ
けど、どう思い
ます？
目的はこれ、後
はお任せする
ので、やり方決
めたら教えてね

56. 教育フェーズ
お願い ご意見ください 事前に教えて 事後に教えて
◯◯をやってい
ただけないで
しょうか
やり方は〜〜
こういう形でお
願いしたいのだ
けど、どう思い
ます？
目的はこれ、後
はお任せする
ので、やり方決
めたら教えてね
全部お任せす
るので、事後に
教えてね

57. “
やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ
話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず
やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず
“
山本 五十六
https://ja.wikipedia.org/wiki/山本五十六

58. コミュニケーションから
チームのポテンシャルを引き出す

59. XP祭り2017
ご清聴、ありがとうございました
吉田 浩一
Mail: kohzas@gmail.com
Twitter: @kohzas
Facebook: https://www.facebook.com/kohzas