Game Creators Conference 2019 Koichi Miura

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大規模ゲーム開発における
大技発動仕様事例
～いつでもどこでも派手な大技を使えるようにするために～
株式会社スクウェア・エニックス三浦康一

パワーポイントデータについて
パワーポイントのスライドデータはこちらにあります。
ダウンロードしてご覧ください。
https://drive.google.com/open?id=1V-tj-bgcXv3K737VCPtbJfTyGXSYMm8D
・動画がご覧いただけます。
・発表者用ノートがご覧いただけます。

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スライドは後日公開予定です
ただし、動画・音声のアップロードはご遠慮ください。
また実際の「ゲームタイトル」や「ゲーム画面」は非公開です。
このスライドにも利用しておりません。ご理解とご協力をお願い致します。
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#gcconf2019

自己紹介
1999～2015
2015～
「キングダムハーツシリーズ」の背景セクションに所属。
背景制作、制作進行、各種自動化、大技の設定などに従事。三浦康一
株式会社バンダイナムコスタジオ

はじめに > 要件 > しくみ＞考えたこと＞開発＞ふりかえりはじめに

本日はこんなことを話します

プレイヤーが望んだタイミングで、
フィールドのどの場所でも、
派手で大きな技や自由に操作できる召喚キャラクターを使うことができる。
という仕様を実現するにあたり
考えたこと・取り組んだこと・苦労したことなどを紹介します。

・まず、動画をご覧ください。
大技発動
仕様とは

大技発動
仕様とは

・大きなキャラクターやオブジェクトを召喚して
フィールドのどの場所でも使うことができる。
大技発動
仕様について
多様な技がありますが、このセッションでは「大技」と呼びます。

・コンシューマAAAタイトル
・3D空間でアクション要素が高いRPG
・Unreal Engine 4 で開発
大規模
ゲーム開発
について

・こんなにスマートに開発した。
・こんなにすごい開発環境を構築した。
本セッションの
コンセプト

・こんなにスマートに開発した。
・こんなにすごい開発環境を構築した。
・こういう部分で苦労した、失敗した。
・こんなふうに考えた、取り組んだ。
コンセプト

・同じような仕様を作ろうとした際の、
実現の手がかり。
・困難なアイデアや課題に直面した際の、
解決の手がかり。
本セッションで
得られること

・対象 ⇒主にゲームデザイナー（プランナー、企画）
・難易度 ⇒学生～プロ中堅を想定
対象者
ゲーム開発に関わる全ての人に価値ある内容に。
難しい用語を使わず誰にでも伝わるように。

・要件 ⇒技の種類や条件について
・しくみ ⇒大技発動のしくみについて
・考えたこと ⇒仕様の目的や価値について
・開発 ⇒設定や保守、特殊な事例について
・ふりかえり ⇒結果はどうだったか、今後の展望について
お話しすること

・数式やコード。
・ゲームエンジンの固有の機能。
・組織体制、人数、期間、予算。
お話ししないこと

はじめに > 要件 > しくみ＞考えたこと＞開発＞ふりかえり要件

こんなことを実現したくて
技の種類や条件について

・大きさ
⇒約1m ～高さ約25ｍ
・移動性能
⇒その場で固定～自由移動、自由飛行
・種類
⇒全てユニークな約30種類
大技の種類

・船 ⇒大きい
・
・
・
4つの大技
を紹介

4つの大技
を紹介
・船 ⇒大きい

・船 ⇒大きい
・塔 ⇒超大きい
・
・
4つの大技
を紹介

4つの大技
を紹介

・船 ⇒大きい
・動物 ⇒自由操作可能（地上）
・
4つの大技
を紹介

4つの大技
を紹介

・船 ⇒大きい
・ロケット ⇒自由操作可能（空中）
4つの大技
を紹介

4つの大技
を紹介
・ロケット ⇒自由操作可能（空中）

・技を使える条件
⇒所持していればどこでも使用できる技。 …塔、動物
⇒特定のステージのみで使用できる技。 …ロケット
⇒特定のバトルエリアのみで使用できる技。…船
条件
「どこでも」使用できる技が存在するため、
原則フィールドの全ての場所で大技を使用できるように。

・特徴
⇒広い～狭い、平坦～起伏様々
・種類
⇒自然地形（山、森、洞窟）人工地形（街、工場、遺跡）等
フィールド
の多様性
広く単純なフィールドは問題が出に
くいが複雑で狭いフィールドも多い。

・動画をご覧ください。
プレイヤー
キャラクターの
移動性能

プレイヤー
移動性能

・通常の移動性能
⇒高速な移動、高いジャンプ力
・特殊な移動性能
⇒壁を走れる、壁を蹴れる、空を滑空できる、他にも色々
地面だけでなく、空中も含めた、
行ける場所全ての空間の考慮が必要。
プレイヤー
移動性能

・様々な種類の技がある。
・フィールドも様々。
・プレイヤーキャラクターの移動性能も自由度が高い。
・原則全ての場所で発動できるようにする。
要件の
まとめ
非常に難しいミッション。
合理的に考えれば、普通は避ける。

はじめに > 要件 > しくみ＞考えたこと＞開発＞ふりかえりしくみ

こんなしくみです
大技発動のしくみについて

・必要な空間。
・発動のながれ。
・スポーンボリューム。
・スポーンポイント。
・禁止領域。
大技発動の
しくみ

・様々な大きさ、様々な挙動の技を使うために
レギュレーションが必要。必要な空間

・背景のレギュレーション
⇒全ての場所を高さ6ｍ幅6ｍの円柱が移動できるようにする。
・技のレギュレーション
⇒↑の広さがあれば、発動、動作が可能なようにする。
必要な空間
レギュレーション
通路の幅 NG OK 天井の高さ NG OK

・背景のレギュレーション
⇒全ての場所を高さ6ｍ幅6ｍの円柱が移動できるようにする。
・技のレギュレーション
⇒↑の広さがあれば、発動、動作が可能なようにする。
必要な空間
レギュレーション
実際には守れないものがあり個別に対処。
「開発」の項目で紹介します。

①ユーザーが大技発動を実行。
↓
②周囲に発動できる空間があるかどうかチェック。
↓
③ ⇒OK …その場に発動。
⇒NG …自分が所属する「スポーンボリューム」内の、
最寄りの「スポーンポイント」に発動。
発動の流れ

・プレイヤーが行動できる範囲は、
⇒全て、スポーンボリュームで包囲。
⇒全て、スポーンポイントを配置。
スポーンボリューム
と
スポーンポイント

・今、どのボリュームのスポーンポイントを使用するか。
を定義したもの。
⇒Aのボリュームで発動したらAのスポーンポイントを使用。
⇒Bのボリュームで発動したらBのスポーンポイントを使用。
スポーン
ボリューム

・大技を発動できる絶対に安全な位置。
を定義したもの。（静的な座標データ）
⇒安全な位置とは、
・技を発動するための十分な空間がある場所。
・ゲーム進行上、発動して問題がない場所。
スポーン
ポイント

・一部を禁止領域に設定。
⇒その領域内では使用できない。
⇒その領域に触れると大技がキャンセルされる。
禁止領域

・背景と技に大きさのレギュレーションを設定。
・スポーンボリュームとスポーンポイントで、
様々な大きさの技の発動を保障。
・一部は禁止領域に設定。
しくみの
まとめ
スポーンポイントが大技発動の生命線。
「開発」で詳しく紹介します。

はじめに > 要件 > しくみ＞考えたこと＞開発＞ふりかえり考えたこと

こんなことを考えました
仕様の目的や価値について

・この仕様は誰のため？
・この仕様は何のため？
仕様の目的
難しいミッションだから、
モチベーションが必要。

・ユーザーはどんな人？
⇒ファンのユーザー or 新しいユーザー?
⇒ゲームが得意なユーザー or あまり得意でないユーザー?
⇒子供 or 大人？男性 or 女性？
この仕様は
誰のため？
多くのユーザーが楽しめるようにしたい。
シリーズ、かつAAAタイトルだから。

・製品のゲームシステムの新機能。
⇒製品のウリの１つ。
この仕様は
何のため？

・大技＝必殺技
どんな機能？

・とどめ（チャンスの活用）
⇒狙って使う。「うまく決まるときもちいい」
⇒どちらかというとゲームに慣れている、上手なユーザー向け。
必殺技って？

・とどめ（チャンスの活用）
⇒狙って使う。「うまく決まるときもちいい」
⇒どちらかというとゲームに慣れている、上手なユーザー向け。
・起死回生（ピンチからの脱出）
⇒条件反射で使う。「助かった～」「危なかった～」
⇒どちらかというとゲームに慣れていない、
あまり上手ではないユーザー向け。
⇒高難易度にチャレンジするユーザーにも。
必殺技って？

・まだ知らないユーザーに…
⇒認知してもらう。
⇒興味を持ってもらう。
誰のため？
何のため？
を別の角度から

・プレイしてくれるであろうユーザーに…
⇒期待をしてもらう。
誰のため？
何のため？

・プレイしてくれたユーザーに…
⇒必殺技として楽しんでもらう。
誰のため？
何のため？

・「派手な必殺技を使える」という新機能で、
「多くのユーザー」が…
⇒派手で爽快なので体験したいと思う。（訴求力）
⇒今までにない新しい体験ができる。（新体験）
仕様の目的を
整理すると

・その仕様の価値がどれくらいなのか、
どのように計ればよいのか？
⇒もしこの仕様の価値が低かったらどうなるのか？
仕様の価値は
どれくらい？

・もし訴求力の価値が低ければ…
⇒興味を持ってもらえない。手に取ってもらえない。
仕様の価値は
どれくらい？

・もし新体験の価値が低ければ…
⇒使われないムダ機能になる。だまされたと思われてしまう。
仕様の価値は
どれくらい？

・もし新体験の価値が低ければ…
⇒使われないムダ機能になる。だまされたと思われてしまう。
目を惹き、使えるものでなくてはいけない。
製品に必要不可欠。バランスも重要。
仕様の価値は
どれくらい？

・全ての技を、
・全ての場所で、
・絶対に発動できるように。
⇒ 全て × 全て × 絶対＝本当に可能？
本当に
可能なのか？

・全ての技を、
・全ての場所で、
・絶対に発動できるように。
⇒ 全て × 全て × 絶対＝本当に可能？
本当に
可能なのか？
開発者としてはチャレンジしたいが、
確約は難しい。交渉の余地が必要。

・トレードオフできるところはないか。
⇒大技の目的は「必殺技」なので…
交渉の余地
バトルを中心に考える。
…という交渉の余地。

・バトルのピンチやチャンスで使えなければ価値がない。
⇒バトルでは必ず使えるように。
・バトルがない場所で使う可能性は少ない。
⇒バトルがない場所は優先度を落とす。
という方針に。（トレードオフ）
重要なところと
重要ではない
ところ

・目的 ⇒派手な必殺技という新機能で新体験と訴求力。
・価値 ⇒製品のウリの１つで必要不可欠。
・トレードオフ ⇒バトルエリアを確実に。
目的、価値、トレードオフを明確化。
＝モチベーション
考えたことの
まとめ

はじめに > 要件 > しくみ＞考えたこと＞開発＞ふりかえり開発

こんなふうに作りました
設定や保守、特殊な事例について

・スポーンボリューム設定、スポーンポイント生成。
・禁止、キャンセルエリア。
・規格外の技、規格外のフィールド。
・自動ビルド、ログ通知。
・不具合事例。
設定と保守
特殊な事例

・フィールドをスポーンボリュームで包囲し、
フィールド内の地面にスポーンポイントを生成。
⇒フィールド内でスポーンポイントを利用可能に。
（ボリュームは閉じたメッシュで自由形状が可能）
スポーン
ボリューム
の設定

・もしスポーンポイントが無かったら…
⇒動画をご覧ください。
スポーン
ボリューム
の設定

スポーン
ボリューム
の設定

⇒技を発動しようとした際に、付近に空間が無い場合…
・その場で発動すると …コリジョンにハマる
・発動失敗にすると …不発
スポーン
ボリューム
の設定

⇒技を発動しようとした際に、付近に空間が無い場合…
・その場で発動すると …コリジョンにハマる
・発動失敗にすると …不発
ユーザーの期待を１度でも裏切ると、
使ってもらえなくなる。⇒無駄な機能になる。
価値が低くなるのでこの選択肢は無い。
スポーン
ボリューム
の設定

・スポーンポイントがあれば…
スポーン
ボリューム
の設定

・ナビゲーションメッシュを元に生成。
⇒ナビゲーションメッシュはAI経路探索用のメッシュ。
⇒各メッシュの重心をポイント生成の候補に。
スポーン
ポイント
の生成

・ナビゲーションメッシュを元に生成。
⇒ナビゲーションメッシュはAI経路探索用のメッシュ。
⇒各メッシュの重心をポイント生成の候補に。
⇒高さ5ｍ直径6mの円柱が収まることができれば生成。
スポーン
ポイント
の生成

・複数の種類を検討、検証。
⇒技の大きさによって、数段階の種類を設けることを検討。
⇒例：小さめの技用～大きめの技用。
⇒設定や保守、デバッグの難しさの観点から１種類に限定。
⇒非常に大きな技の一部が壁に埋まってしまうことがあるが許容。
スポーン
ポイント
の生成

問題が発生！
問題①

・ナビゲーションメッシュを元に生成 …なので。
⇒不正なスポーンポイントができてしまう。
・フィールドの外（壁の向こう側や天井裏 …等）
・大きいオブジェクトの内側。など。
進行不可になる致命的なリスク。
不正な

・フィールドの外側のオブジェクトの中へ発動
不正な

・本来行けないところにナビゲーションメッシュが
存在している必要はないので…
行けない場所のナビゲーションメッシュを
全て除去して解消。（NPCの挙動的にも都合がいい）
不正な

・とある自然地形のナビゲーションメッシュ
不正な

・不要な部分を除去するために大量のボリュームを配置
不正な

・生成されたスポーンポイント
不正な

さらに問題が発生！
問題②

・スポーンポイントは最寄のポイントを利用 …なので。
⇒空間的に接続していないところへ発動してしまう。
・壁の向こう側の空間へ。
・一時的に封鎖している扉の向こう側の空間へ。
非接続な空間への
不正なスポーン

⇒空間的に接続していないところへ発動してしまう。
・壁の向こう側の空間へ。
・一時的に封鎖している扉の向こう側の空間へ。
ゲーム進行が破たんする致命的なリスク。

・となりの空間へ発動

・スポーンボリュームは、
「いまどこのスポーンポイントを利用するか」
を定義するものなので…
フィールドの構造に合わせてスポーン
ボリュームを分割し不正なスポーンを解消。
スポーン
ボリューム
の分割

フィールドの構造に合わせてスポーン
ボリュームを分割し不正なスポーンを解消。
スポーン
ボリューム
の分割

・スポーンボリュームを分割して解消
スポーン
ボリューム
の分割

とどめの問題が発生！
問題③

⇒重要なゲームトリガーを貫通してしまう。
・イベント開始のトリガー
・レベルストリーミングのトリガーなど。
ゲームトリガー
を貫通する

を貫通する

ゲーム進行が破たんする致命的なリスク。
プロジェクト後半に発覚し超ピンチ。
を貫通する

・関係者一同で頭を抱える…
⇒トリガーの形状を全て見直すのはコストが高く非現実的。
⇒トリガーは調整の都合で追加や変更が行われる可能性大。
⇒そのトリガーに合わせてスポーンボリュームを分割するの
は厳しすぎる。
を貫通する

・関係者一同で頭を抱える…
⇒トリガーの形状を全て見直すのはコストが高く非現実的。
⇒トリガーは調整の都合で追加や変更が行われる可能性大。
⇒そのトリガーに合わせてスポーンボリュームを分割するの
は厳しすぎる。
貫通してはいけないゲームトリガー内に
スポーンポイントを生成して対処。
乱暴な解決。かなり苦しい対応。
を貫通する

貫通してはいけないゲームトリガー内に
スポーンポイントを生成して対処。
乱暴な解決。かなり苦しい対応。
を貫通する

・とある自然地形のナビゲーションメッシュ
を貫通する

・貫通してはいけないトリガー内に生成されたポイントの例
を貫通する

・不正なスポーン確認用のデバッグ機能。
⇒スポーン位置の可視化。
⇒各トリガーの可視化。
⇒トリガー貫通時の警告表示。
⇒非常に大きな距離の時に警告表示。など。
行ける場所全ての確認が必要。
データが変われば再確認。人海戦術。
の確認

の確認
・デバッグ機能の紹介

①不正なスポーンポイント
⇒不要なナビゲーションメッシュを除去して解消。
②非接続な空間への不正なスポーン
⇒スポーンボリュームを分割して解消。
③ゲームトリガーを貫通する不正なスポーン
⇒ゲームトリガー内にスポーンポイントを生成して解消。
大きな問題３つ
おさらい

・その中で大技を発動できない。
そこに入ったらキャンセルされる。という領域設定。
⇒大技をゲーム的に使えない場所に設定（海の中、海の上、街の中など）
⇒狭く、付近に広い空間が無い場所に設定。
ユーザー体験的にはあまりよくない。
バトルが無い場所で、どうしても厳しい部分のみ。
禁止領域と
キャンセル領域

・大技専用の背景コリジョン。
⇒様々な大きさの技に対して、プレイヤーキャラクター用の
コリジョンだけで問題はおきないのか？
⇒膨大な種類の技それぞれに対応するコリジョンを作るのは
非現実的。
⇒原則プレイヤーキャラクター用のコリジョンしか作らずに、
キャラクターの挙動で吸収してもらうことに。
⇒動物などのIKも問題に挙がったが、キャラクター側で対応。
大技専用の
背景コリジョ
ン

・超大きい技をどうするか。
⇒規格外の超大きい技をどう発動するか。（冒頭で紹介した塔）
⇒発動時に周囲の空間をチェック。
・空間がある場合は …そのまま発動。
・空間がない場合は …背景を異空間に遷移。
キャラクターと敵以外を非表示にして異空間を表示。
超大きい技

超大きい技
・空間がある場合は…

超大きい技
・空間が足りない場合は…

・瞬間移動する技をどうするか。
⇒遠く離れたところから技発動地点に瞬間移動する技があり、
レベルストリーミングのトリガーを貫通してしまい、
レベルやデータが無い状態になる。という問題が発生。
⇒発動時にレベルの状態を保存しておき、瞬間移動時に差が
あればフェードをはさんでレベルをロードするという対処。
瞬間移動
する技

・動くフィールドで大技発動はどうするか。
⇒迷路の一部が動く（変化する）フィールドが存在。
（スポーンボリュームもスポーンポイントも静的なデータ）
動くフィールド

・動くフィールドで大技発動はどうするか。
⇒幸い、変化するパターンが限られていた。
・全パターン分のスポーンボリュームとスポーンポイント
を設定。
・フィールドのパターン切り替えと同時に切り替え。
動くフィールド

・動くギミックや大きな敵が
スポーンポイントと重なる問題をどうするか。
⇒動的なギミックや敵がスポーンポイントに重なった際に
スポーンポイントに発動すると、ハマってしまうという問題。
⇒重要ではないギミックは、技の発動が重なったら消す。
⇒消すことができない重要なギミックや敵は、
スポーンポイントをマスクする機能を持たせ、
その場所に発動しないようにする。という対応。
ギミックや
大きな敵

・スポーンポイントを毎晩自動でビルド。
⇒ヒューマンエラーを回避するため。
⇒地形やトリガーの変更を即座に反映させるため。
自動ビルド
ログ通知

・スポーンポイントを毎晩自動でビルド。
⇒ヒューマンエラーを回避するため。
⇒地形やトリガーの変更を即座に反映させるため。
・自動ビルド後に関係者にログをメール通知。
⇒ビルド時のエラー。
⇒各ステージ、各スポーンボリューム毎のスポーンポイント数。
⇒毎日記録し、前日から変化があったところは、原因と
不具合がないかどうかを確認。
自動ビルド
ログ通知

・地形に変更があり…
⇒ナビゲーションメッシュが変わり。
⇒不正なスポーンポイントが生成される。
保守期間中の
不具合事例

はじめに > 要件 > しくみ＞考えたこと＞開発＞ふりかえり
・ゲームトリガーの位置や配置に変更があり…
⇒不正なスポーンができる。
⇒まれに、スポーンポイント数が爆増。（数万単位）
開発
保守期間中の
不具合事例

・ゲームトリガーの位置や配置に変更があり…
⇒不正なスポーンができる。
⇒まれに、スポーンポイント数が爆増。（数万単位）
ほとんどの場合が進行不可の不具合に。
※ナビゲーションメッシュの調整、トリガー形状の調整、
スポーンボリュームの調整などで対応。
保守期間中の
不具合事例

・全てのフィールドにスポーンボリュームと
スポーンポイントを設定。
・設定や確認用の機能を整備。
・自動ビルドとログ通知で異常を検知。
・特殊な事例も多く綱渡り。
・最後は泥臭い手法と人海戦術。
開発の
まとめ

はじめに > 要件 > しくみ＞考えたこと＞開発＞ふりかえりふりかえり

もし次にやるとしたら
結果はどうだったか今後の展望について

・バトルが楽しい、派手な技が爽快。
という意見が多い。（新体験と訴求力）
・技が発動できない、発動時に場所が変わる。
という声はほぼ無い。（トレードオフ）
答えあわせ

・バトルが楽しい、派手な技が爽快。
という意見が多い。（新体験と訴求力）
・技が発動できない、発動時に場所が変わる。
という声はほぼ無い。（トレードオフ）
答えあわせ
新体験と訴求力は目的と価値を達成。
※ネガティブな意見がゼロではないので、真摯に受け止め改善を検討。
◎

・ただし
実現するにあたって様々な試行錯誤をし、
設定もデバッグも非常に苦労した。
答えあわせ

・ただし
実現するにあたって様々な試行錯誤をし、
設定もデバッグも非常に苦労した。
答えあわせ
改善できるところは沢山ある。
改善していかないと苦しい。
×

・３つの反省と改善案。
⇒仕様。
⇒大規模開発。
⇒設定と保守。
苦労した
原因と改善案

・苦労した理由
⇒「どこでも」と「バリエーション豊富なフィールド構造」
の組み合わせがコストを跳ね上げた。
仕様の
反省と改善案

・改善案
⇒目的のための手段は、予算、期間、技術、などの条件に
応じて選択すべき。（例：エリアを限定、技を規格化）
仕様の
反省と改善案

・改善案
⇒目的のための手段は、予算、期間、技術、などの条件に
応じて選択すべき。（例：エリアを限定、技を規格化）
ただし合理性を追求すると、よくある仕様になってしまう。
今回は貫いたからこそ、他にはない新体験を実現。
⇒プロジェクトの制約の範疇でベストな選択を。
仕様の
反省と改善案

⇒大規模がゆえ、様々な仕様が密接に関連。
⇒プロジェクト後半に実装される仕様により問題が発覚。
大規模開発の
反省と改善

・改善案
⇒仕様やデータの見える化。共有の徹底。
⇒エラーの自動検出、通知の改善。
大規模開発の
反省と改善

・改善案
⇒仕様やデータの見える化。共有の徹底。
⇒エラーの自動検出、通知の改善。
スポーンポイントは目に見えない空気のような存在。
だからといって常に全て見えていても開発の邪魔に。
⇒適切な見える化の模索が必要。
大規模開発の
反省と改善

⇒関連するデータの変更や修正による、不正なスポーンに
発展するエンバグが多発。
設定と保守の
反省と改善

・改善案
⇒可能な限り自動化し、人の手でやる作業を減らす。
⇒スポーンボリューム設定の自動化。
設定と保守の
反省と改善

・改善案
⇒可能な限り自動化し、人の手でやる作業を減らす。
⇒スポーンボリューム設定の自動化。
自動化でヒューマンエラーを解消できる可能性がある。
ただし研究開発に相応のコストがかかる。
⇒仕様の目的と価値を計り、製品規模に適切な投資を。
設定と保守の
反省と改善

・新体験と訴求力は目的と価値を達成。
・だが改善できるところがあるし改善しないと苦しい。
ふりかえりの
まとめ

さいごに

さいごに
・難しいミッションだから…
⇒目的、価値、トレードオフを明確に。
・スポーンポイントが生命線だから…
⇒泥臭い検証、設定、確認。
・その結果…
⇒目的と価値を達成。（ただし改善の余地あり）
まとめ

さいごに
・同じような仕様を作ろうとした際の、
実現の手がかり。
・困難なアイデアや課題に直面した際の、
解決の手がかり。
よりよい製品、よりよい開発に
お役に立てたら幸いです。
得られること
の確認

さいごに
・フィードバックをお願いします。
⇒よりよい製品、よりよい開発ができましたら、
情報をシェアして頂けますとありがたいです。
⇒このセッションのご感想やご意見を頂けますとありがたいです。
Twitter #gcconf2019
おねがい
私達もよりよい製品開発をしていきます。

大規模ゲーム開発における
大技発動仕様事例
～いつでもどこでも派手な大技を使えるようにするために～
株式会社スクウェア・エニックス三浦康一
ご清聴ありがとうございました
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