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展示に不向きなゲームジャンルを展示向き＆カジュアルにする～戦略SLG『Active War Simulation』を例に～
- 1. 展示に不向きなゲームジャンルを 展示向き＆カジュアルにする ～戦略SLG『Active War Simulation』を例に～ 東京工業大学ロボット技術研究会 まーぼう Twitter：まーぼう（@mabo_207 , @mabo_game）
- 2. 自己紹介 • 現在M2 • 専門：教育工学 • 教育現場を工学的手法で改善していこう！みたいな学問 • システム開発をする事が多い • やっていること：ゲーム制作・展示 • Twitter：@mabo_207 , @mabo_game 2
- 3. 本日の動く展示物 • 『Active War Simulation』 • マウス操作でカジュアルに 遊べる戦略シミュレーション • ５種類のユニットを上手く 動かして敵を全滅させれば勝ち • スコアアタック機能アリ 3
- 4. 本題の前に……用語解説 • 戦略SLG • 『戦略シミュレーションゲーム』というゲームジャンルの意 • SRPG • 『戦略シミュレーションRPG』というゲームジャンルの意 • 代表的な作品に『ファイアーエムブレム』シリーズがある。 4
- 6. なぜ企画に至ったのか？ • 説明事項が多くて、展示者が過労死する • 工大祭であったら、他の催し物に行けなくなる（泣） • （展示者だって、ぽけてくの大会でポケモンバトルしたい） 6
- 7. SRPG展示不向き説 • 非リアルタイムのゲームであるので、 画面の変化が少なく目立たない • コマンド制である事が殆どで、 ワンボタンですぐ攻撃することができない • SRPGはマイナーで、ゲーム進行に馴染みがない • RPG要素のせいで１ゲームに時間がかかる • 演出が凄くないストーリーに人は寄らない • が、凄い演出には物量が必要で、学生・個人製作者には辛い 7
- 8. ゲームの企画コンセプト • 戦略SLGである • 画面の変化が多め • 少ない操作で攻撃できる • ゲーム進行が分かりやすい • １ゲームにかかる時間が短い 8 遊びに来た人の 満足感 展示者の 負担軽減 たしかな まんぞく
- 9. コンセプトをルールに落とし込む 1. 戦略SLGのゲームフローの確認 2. ゲームフローを極限まで省略・簡略化 • これにより「少ない操作で攻撃」「ゲーム進行が分かりやす い」「１ゲームにかかる時間が短い」の全てを解決できる 3. 簡略化のために必要なルール変更を考察 4. 残りのコンセプトを実現できるか検討し、 必要に応じてルールを修正する • このように優先度が下がったため、「画面の変化が多め」 については今作はあまり上手くいかなかった 9
- 13. 簡略化を実現させるためのルール考察 • 攻撃バリエーションを１つにする • ボタン操作で必殺技を出せても良いが、今回は採用せず • 2Dアクションゲーム風の操作方法 • 斜め移動に不自然さを感じないように、マス目を廃止 • キャラに当たり判定を持たせて「壁役」の概念を実現 • 「味方は通れるけど敵は通れない」を実現するために 敵対しているキャラの当たり判定を大きくするルールを追加 • アクティブターン制の採用 • 従来ゲームに不満があったので、好みでアレンジを施した
- 14. アイデアを基にプロトタイプ版作成 • 仕様を固めながら、手早く実装 • 卒論終了のB4 2/24~3/24 で作成 • 前作の開発資源はふんだんに活用（画像や便利関数） • gitで管理していたが、76 commit だったらしい 14
- 15. アイデアを基にプロトタイプ版作成 • 開発環境 • 使用言語 ：C++(Visual Studio Community 2017) • 描画ライブラリ ：DXライブラリ • その他ライブラリ ：特になし 15
- 18. 作って展示して改善の繰り返し • 開発期間は1.5年ほど、約6回展示イベントに出す • 2018/2/24 開発開始 • 2018/3/24 GAME^3 7th で展示 • 2018/8/12 C94で出展・体験版頒布 • 2018/9/16 GAME^3 8th で展示 • 2018/10 工大祭で展示 • 2018/11/4 第6回デジゲー博で出展・体験版頒布 • 2019/3/23 GAME^3 9th で展示 • 2019/8/12 C96で出展・完成版を頒布 18
- 20. 仕様の解説 • 自由度の高い地形の当たり判定図形 • 敵AIの挙動 • レベルデザイン • チュートリアルの設計 • スコアアタック機能 20
- 21. 地形の当たり判定 • 地形は多角形で表現 • マップ絵は重ねるだけ • 操作する際は小さい 押出し処理をたくさん していて重め 21
- 22. 敵AIの挙動 • 概要 • 適当な間隔の格子点を置いて 地形を毎行動認識。 • ダメージや回復量、 自分の移動距離を考慮し 効果の大きい行動をする。 22
- 23. 敵AIの挙動 • 格子点による地形認識 • ３種類の格子点を考える • 侵入不可 ：地形によって断絶されている • 接触可能 ：断絶されてないが、 と隣接している • 通過可能 ：断絶されておらず、 と隣接していない • 「格子点間の距離」≥「移動ユニットの半径」 • こうすることで が「ここにユニットの中心がある時に障害物に重ならない」状 態を保証できる。 • また、 が「ここにユニットの中心があるに障害物が重なるか分からない」状態 になる。 23
- 24. 敵AIの挙動 • 経路探索 • 全ての と に到達するための経路と距離を求める • ダイクストラ法で経路探索ができる。 「 → 」と「 → 」で 探索範囲を広げていく。 • 実際にこの格子点パスを ユニット中心が通るように進む。 24
- 25. レベルデザイン • 基本的にステージ攻略性 • 育成要素がないので、難易度調整がしやすい • ただし数値は変えたいので、先のステージに進むたびに 味方も敵もレベルが上がって強くなっていく • しかし攻略の感触を維持したいので、 大事な確定数はほぼ一定になるようにする • 味方ユニットは全兵種から１体ずつで固定 • 前衛2体、後衛2体、回復役1体とバランスよく • 1ステージごとに味方ユニットはレベルが1上がる • 敵の構成を変えることでプレイ感を変える 25
- 26. レベルデザイン • ４つの難易度を用意 • 難易度ごとの基本方針だけ決めてしまう（例外有り） 26 難易度 敵の数 敵の強さ 配置のウザさ easy 4体 弱い 優しい normal 4体 弱い 少し難しい hard 5体 強い 少し難しい lunatic 6体 強い 難しい
- 27. レベルデザイン • パラメータ調整 • ユニット間の確定数に注意して、武器や敵のレベルを設定 • 重要な確定数関係はズレないように気を遣う • 魔道士vs重装兵、射手vs衛生兵 など • Excelで自動で確定数計算を可能にして、調整をラクに 27 自レベル 17 戦士 射手 重装 魔道士 衛生兵 E,N理想 戦士 射手 重装 魔道士 衛生兵 敵レベル 13 戦士 3 3 5 2 2 戦士 3 3 5 2 2 武器（戦士） 8 5 4 14 2 2 4 4 7 3 2 武器（射手） 6 射手 4 4 9 2 2 射手 5 4 10 2 2 武器（重装） 8 9 6 -40 3 3 7 7 10 3 3 武器（魔道） 7 重装 3 2 4 2 1 重装 3 2 4 2 2 4 3 8 2 2 4 3 6 3 2 魔道士 3 2 2 3 4 魔道士 3 3 2 4 5 4 4 3 7 22 4 4 3 5 7 自レベル 17 戦士 射手 重装 魔道士 衛生兵 H,L理想 戦士 射手 重装 魔道士 衛生兵 敵レベル 15 戦士 3 3 7 2 2 戦士 4 3 6 2 2 武器（戦士） 8 4 3 10 2 2 4 3 6 2 2 武器（射手） 6 射手 5 4 19 2 2 射手 6 5 10 3 2 武器（重装） 8 7 5 #DIV/0! 3 2 6 5 10 3 3 武器（魔道） 7 重装 3 2 5 2 2 重装 3 3 5 2 2 3 3 6 2 2 3 3 5 2 2 魔道士 3 3 2 4 5 魔道士 3 3 2 4 7 3 3 2 5 8 3 3 2 4 7 味方Lv17のステージでの 敵lvと所持武器の調整の様子
- 28. チュートリアルの設計 • 教育工学な視点を用いて仕様を設計してみた • 以下のエッセンスを取り入れてみた • インストラクショナルデザイン • ガニエの９教授事象 • これが†リベラルアーツ† • 言われてみれば当たり前の事を言語化してくれているのは、ありがたい 28
- 29. チュートリアルの設計 • 最初にチュートリアルのゴールを設定する • Tutorial1 ：ゲームを進める事ができる • ここで詰まるとゲームが進まないので非常に大事 • Tutorial2 ：ゲームのルールを把握する • これは説明すればいいだけ（理解できなくても問題ないため）なので実装がラク 29
- 30. チュートリアルの設計 • 「ゲームを進めることができる」を分解する • 自ユニットを移動させることができる • Lv1 ：直線移動ができる • Lv2 ：迂回移動ができる • 自ユニットで敵を攻撃できる • 自ユニットを待機させる事ができる • 攻撃できない時にゲーム進行が止まることを防ぐため • 勝利条件を知っている 30 技能を細かく分解するのが重要
- 33. スコアアタック機能 • なぜ入れたか？ • ステージ攻略制のゲームと相性が良いため • 戦略シミュレーションで細かいスコアアタックってないハズ • 『馴染みがある新規性』 • ゲームのログ分析というものを してみたかった 33
- 35. スコアアタック機能 • 難しそうな評価のアルゴリズム • 「広所確保」「敵に狭所を押し付けた」 • 敵AIで用いたステージの格子点認識を実行し、 自分の周辺の「一定距離Rの移動で到達可能な格子点」の個数を調べる • 上記と「半径Rの円の中にある格子点の個数」を比較し評価 • 一気に計算すると重いので、毎行動後に少しずつ計算している • 「集中攻撃を心がけた」 • 全ての敵ユニットに対して、撃破されるまでの被攻撃密度を求めて評価 • 「自分を初めて攻撃した時」～「自分を撃破した時」までに、 自分は何％の確率で攻撃されたかが被攻撃密度と見なせる 35 それっぽいパラメータを計算してみる
- 37. スコアアタック機能 • ツイート機能 • ゲーム内にtweet機能を追加する場合、Twitterアプリケー ションになるのでTwitter社への申請が必要になる。 • そこで発想を変えて「ブラウザでTwitterの投稿画面を開き、 文面もあらかじめ埋め込む」事で申請なしで実装できた。 • traPの『Typing War』等を参考にした • 仕様上、文章はtweetできるが画像は不可 • 意外と先人が多く、ググるとやり方がすぐに見つかる 37
- 38. まとめ • 展示に不向きなジャンルを展示向きにするには？ • SRPGが展示に不向きな理由を分析する • 操作の煩雑さ、画面の地味さ、馴染みのなさ、RPG部分の長さ 等 • ゲームを深く分析し『大事な部分』を見極め、それを磨こう！ • コンセプトを決めて、素早くプロトタイプ開発＆展示！ • 他のエッセンスを貪欲に入れて差別化してみよう！ • 教育工学を参考にして、分かりやすいチュートリアルの構築 • 格ゲーを参考にスコアアタックシステムの導入 • アクションゲームの実装を参考にして『動ける戦略SLG』に 38
- 39. Access • BOOTHにて2019/12/20頃に販売予定 • ショップ ：https://mabohanten.booth.pm/ • フォローをしておく事で、通知が来るはずです。 • 価格 ：500円 • 動作環境 ：window10,メモリ4GBで十分動きます • ゲームのPV • https://youtu.be/1a9bt9p4onI 39
- 40. 何を参考にしたか • 教育工学について • 『教材設計マニュアル：独学を支援するために』 • ゲームは独学教材と親和性が高いので、参考にしやすいです。 • 『教育工学とはどんな学問か (教育工学選書)』 • 「教育工学って何？」って人が背景知識を把握するために。 • 当たり判定や敵AIについて • 物理エンジンに詳しい友人に相談しました • 特に参考文献なし 40
- 41. 何を参考にしたか • ログ分析 • 『ゲームと教育・学習 (教育工学選書II)』 • 強いて挙げるなら、この本の「学習ゲームログ分析」の項をパラパラと 読んでいる時にログ分析してスコアアタックしようと思いつきました。 • 学習ゲームログの分析についての知見は、ゲームに活かせそうな気がします。 • 色々なゲーム • 『大乱闘スマッシュブラザーズDX』 • https://www.nintendo.co.jp/ngc/galj/ • 『ファイアーエムブレム 風花雪月｜Nintendo Switch｜任天堂』 • https://www.nintendo.co.jp/switch/anvya/pc/index.html 41
- 42. 何を参考にしたか • tweet機能 • 『Visual C++ を使用してデフォルトのインターネット ブラ ウザをプログラムから起動する方法』 • https://support.microsoft.com/ja-jp/help/307382/how-to-programmatically- start-the-default-internet-browser-by-using-vi • 『Visual C++における文字コード変換』 • https://nekko1119.hatenablog.com/entry/2017/01/02/054629 • 『[Twitter] Tweet Web Intentを使ったツイートボタンの作 り方・パラメータ一覧』 • https://blog.ikunaga.net/entry/twitter-com-intent-tweet/ 42