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H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 
1 
平成26年度大学図書館近畿イニシアティブ基礎研修「初任者研修」 
資料収集業務 
2014年6月26日(木) 
京都大学北部構内事務教務・図書課 
農学研究科等整理掛 
西川真樹子
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2 
0. 自己紹介 
ほぼ10年目の大学図書館員 
業務経験 
- 閲覧・ILL→レファレンス・OPAC管理→図書受入 
勤務場所(京都大学内) 
- 人環・総人図書館→附属図書館→農学部図書室
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3 
本日のメニュー 
資料収集業務って? 
資料収集業務の中身 
資料収集業務のこれから
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4 
1-1 資料収集業務とは
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5 
1-1 資料収集業務とは 
取得 
• 選書・購入・寄贈・発注・納品・検収・支払・資産登録 
• 予算管理・決算管理 
保存 
• 循環照合・点検調査・所属換手続 
廃棄 
• 除却・売却・除籍処理
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6 
1-2 資料収集業務で扱う図書とは? 
「印刷その他の方法により複製した文書または図面、または 
電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識で 
きない方法により文字、映像、音を記録した物品としての管 
理が可能なもの。」 
「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」報告書注34 
具体的には... 
- 図書(冊子体・電子ブック) 
- 逐次刊行物(冊子体・電子ジャーナル) 
- 視聴覚資料(ビデオ・CD・DVD・BD・カセットテープ・レコード...) 
- マイクロ資料(マイクロフィルム・マイクロフィッシュ) 
- データベース
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7 
1-3 資料収集業務で必要とされる知識 
会計事務について 
- 各大学の会計規程・実施規則・事務取扱要領 
- 各図書館の規程・内規 
- 大学設置者別による会計基準 
• 国立大学法人等会計基準 
• 国立大学法人会計基準注解報告書・実務指針 
• 学校法人会計基準(私立大学) 
研究・教育活動について 
- 所属構成員の研究・教育への理解 
- シラバス・大学出版物・大学や研究室のWebサイトから情報収集 
取引先(書店) 
- 得意分野・セール情報・クセ・決算期 
- 書籍流通のシステム 
会計事務の用語は 
難しい、でも必要!! 
大学内で経理担当の 
研修も利用
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8 
本日のメニュー 
資料収集業務って? 
資料収集業務の中身 
資料収集業務のこれから
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9 
2-1 資料収集業務のフロー 
選定発注納品 
資産管理支払検収 
排架装備目録 
資料は 
目録へ
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2-2 選定 
Who? 
教員(研究室用・図書館用)・図書館員(管理業務・サービス 
業務)・学生・利用者・選書委員会・寄贈・学生選書... 
How? 
- 冊子体のカタログ 
- 書評(新聞・Web)... 
- 研究室のWebサイト 
- 書店のWebサイト 
- 受賞作 
- 見計らい 
- 店頭選書 
- シラバス 
- 所属構成員の著書(寄贈依頼も)
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2-2 選定のポイント 
収書方針との照合 
教員とのコネクション 
教員の研究・教育動向の把握 
サービス業務部門との連携(利用者ニーズを反映) 
流行・話題のチェック 
書店と情報交換
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2-3 発注 
使用予算の選択(各予算責任者へ確認) 
学内資料との重複チェック 
(所属部科内・同地区キャンパス内・学内・発注中・整理中) 
視聴覚資料は著作権処理済のものかどうか 
- 大学図書館における著作権問題Q&A(第8版) (PDF) 
http://www.janul.jp/j/documents/coop/copyrightQA_v8.pdf 
見積もりが必要な場合も 
- 【例】予定価格の総額が500万円以上は複数取引先からの見積書・100 
万円以上は口頭の見積もりor市場価格調査... 
発注先の選定 
図書館システムで発注データの作成
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2-3 発注先選定のポイント 
取引先(書店)はどこに? 
- 在庫確認 
- 価格確認 
- 得意分野(洋書)・クセ 
- 各図書館とのそれまでの付き合い 
取引先登録済(会計システムへ取引業者として登録済)かどうか 
- 中小出版社の出版物の入手方法 
公費請求書決済が可能か 
- Amazon商品の扱い 
発注方法の省略化 
- Web発注可能な書店も 
- 丸善Knowledge Worker, 紀伊國屋BookWeb Pro
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14 
2-4 納品・検収 
発注したものと納品されたものとに相違がないか 
汚損・破損がないかどうか 
納品書の記載に間違いはないか 
- 品名・金額・日付 
登録番号の付与・貼付 
- IDラベルの番号と同じ場合も 
図書館システムで検収・所蔵データの作成
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2-5 支払 
図書館業務システムで検収データを支払処理 
支払に必要な書類を取引先から取り寄せ 
支払に必要なデータ・書類を揃えて経理担当へ
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2-6 資産登録 
資産額の計上 
資産台帳(図書原簿)へ記帳(今はシステムのデータ管理) 
- 登録番号 
- 書名 
- 購入価格・寄贈評価額 
- 取得日 
- 取得方法... 
廃棄の場合は? 
- 不要図書リストの作成 
- 除却の場合でもデータは残して、除却の年月日と理由を記録 
- 理由:汚損・破損・亡失・重複...
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本日のメニュー 
資料収集業務って? 
資料収集業務の中身 
資料収集業務のこれから
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3-1 資料費の厳しい状況 
要因 
図書館予算の減少 
なのに電子ジャーナル経費は増加 
さらなる図書館資料費の圧迫
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3-1 資料費の厳しい状況 
25000 
20000 
15000 
10000 
5000 
国立大学公立大学私立大学 
H14 
H20 
H21 
H22 
H23 
H24 
6500 
4500 
2500 
500 
図書館運営費 
図書館資料費 
電子ジャーナルに係る経費 
H14 
H20 
H21 
H22 
H23 
H24 
95000 
75000 
55000 
35000 
15000 
H14 
H20 
H21 
H22 
H23 
H24 
文部科学省「学術情報基盤実態調査- 
平成25年度結果の概要」より 
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei 
/chousa01/jouhoukiban/kekka/k_deta 
il/1345326.htm
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20 
3-1 資料費の厳しい状況 
打開する方策 
効率的に資料収集 
- Floating Collection, Shared Print... 
戦略的に予算獲得 
大学図書館の整備について(審議のまとめ) 
-変革する大学にあって求められる大学図書館像- (2010.12) 
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/1301602.htm
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21 
3-2 電子ブックをめぐる問題 
大学図書館での電子ブックをめぐる利用・提供の問題 
プラットフォームやフォーマットが多様でわかりにくい 
予算消化のために購入したがニーズは不明 
- 買いやすいが、使われにくい?? 
読みたいコンテンツが少ない 
既刊書と比べて新刊書が少ない 
電子教科書のターゲットは個人 
資料の図書館間相互利用(ILL)は不可 
大学単位でのアクセス数制限 
国立大学図書館協会学術情報委員会学術情報流通検討小委員会平成24 年度調査報告その1 
大学図書館における電子書籍のサービスに向けて-現状と課題- 
http://www.janul.jp/j/projects/si/gkjhoukoku201306a.pdf
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22 
3-2 電子ブックをめぐる問題 
大学図書館での電子ブックをめぐる購入・管理の問題 
一般の電子書籍と大学の電子ブックとは別モノ 
- 個人向けの電子書籍をそのまま大学図書館で導入できない 
供給方式や価格モデルの未確立 
購入=アクセス権の確保≠データ保有 
データ規格が様々 
日本でのPatron-Driven Acquisition(PDA)の可能性 
電子学術書利用実験プロジェクト(2012.12-2012.3) 
http://project.lib.keio.ac.jp/ebookp/ 
大学図書館電子学術書共同利用実験(2012.4-) 
http://ebookp2013.blogspot.jp/
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23 
3-3 資料収集業務をめぐる様々な問題 
資料受入業務のオート化による図書館員の専門性の低下 
- 「収書は図書館の業務じゃないんじゃないの?」にどう対抗するか 
研究費の不正使用に対して学内の契約事務の厳密化 
Amazon.comとの戦い? 
消費税の引き上げ(2015.10- 10%に) 
「選書」から資料管理・蔵書構築へ
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24 
4 参考文献 
大学会計のテキスト 
 よくわかる国立大学法人会計基準: 実践詳解/新日本有限責任監査法人編. 第 
6版. 白桃書房, 2011.11. ISBN 9784561361985 
図書館情報学のテキスト 
 専門資料論/ 三浦逸雄, 野末俊比古共編著. 新訂版. 日本図書館協会, 2010.3. 
(JLA図書館情報学テキストシリーズ2 ; 8). ISBN 9784820409243 
 図書館資料論/ 馬場俊明編著. 日本図書館協会, 2008.11. (JLA図書館情報学テ 
キストシリーズ2 ; 7). ISBN 9784820408161 
電子ブック 
 電子出版学入門: 出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ/ 湯浅俊彦著. 
改訂3版. 出版メディアパル, 2013.3. (本の未来を考える=出版メディアパル; 
No.23). ISBN 9784902251234 
 2015年の電子書籍: 現状と未来を読む/ 野村総合研究所[ほか] 著. 東洋経済 
新報社, 2011.3. ISBN 9784492761984
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4 参考文献 
その他 
 司書が成長できる毎日一つのヒント/ 福岡南海子. 電子版. BizLibrary, 2014.1. 
https://www.amazon.co.jp/dp/B00HVAW0GO 
 オープンサイエンス革命/ マイケル・ニールセン著; 高橋洋訳. 紀伊國屋書店, 
2013.4. ISBN 9784314011044 
 本棚の中のニッポン: 海外の日本図書館と日本研究/ 江上敏哲著. 笠間書院, 
2012.5. ISBN 9784305705884 
 触発する図書館: 空間が創造力を育てる/ 大串夏身[ほか] 著. 青弓社, 2010.4. 
ISBN 9784787200457 
 本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本/ 内沼晋太郎著. 朝日新聞出版, 
2009.3 ISBN 9784022505460 
 浦安図書館を支える人びと: 図書館のアイデンティティを求めて/ 鈴木康之, 
坪井賢一著. 日本図書館協会, 2004.12. ISBN 4820404318 
 図書館に訊け! / 井上真琴著. 筑摩書房, 2004.8. (ちくま新書; 486). ISBN 
9784480061867 
 未来をつくる図書館: ニューヨークからの報告/ 菅谷明子著. -- 岩波書店, 
2003.9. (岩波新書; 新赤版837). ISBN 4004308372

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Kinkiinitiative syusyo20140626

  • 1. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 1 平成26年度大学図書館近畿イニシアティブ基礎研修「初任者研修」 資料収集業務 2014年6月26日(木) 京都大学北部構内事務教務・図書課 農学研究科等整理掛 西川真樹子
  • 2. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 2 0. 自己紹介 ほぼ10年目の大学図書館員 業務経験 - 閲覧・ILL→レファレンス・OPAC管理→図書受入 勤務場所(京都大学内) - 人環・総人図書館→附属図書館→農学部図書室
  • 3. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 3 本日のメニュー 資料収集業務って? 資料収集業務の中身 資料収集業務のこれから
  • 5. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 5 1-1 資料収集業務とは 取得 • 選書・購入・寄贈・発注・納品・検収・支払・資産登録 • 予算管理・決算管理 保存 • 循環照合・点検調査・所属換手続 廃棄 • 除却・売却・除籍処理
  • 6. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 6 1-2 資料収集業務で扱う図書とは? 「印刷その他の方法により複製した文書または図面、または 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識で きない方法により文字、映像、音を記録した物品としての管 理が可能なもの。」 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」報告書注34 具体的には... - 図書(冊子体・電子ブック) - 逐次刊行物(冊子体・電子ジャーナル) - 視聴覚資料(ビデオ・CD・DVD・BD・カセットテープ・レコード...) - マイクロ資料(マイクロフィルム・マイクロフィッシュ) - データベース
  • 7. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 7 1-3 資料収集業務で必要とされる知識 会計事務について - 各大学の会計規程・実施規則・事務取扱要領 - 各図書館の規程・内規 - 大学設置者別による会計基準 • 国立大学法人等会計基準 • 国立大学法人会計基準注解報告書・実務指針 • 学校法人会計基準(私立大学) 研究・教育活動について - 所属構成員の研究・教育への理解 - シラバス・大学出版物・大学や研究室のWebサイトから情報収集 取引先(書店) - 得意分野・セール情報・クセ・決算期 - 書籍流通のシステム 会計事務の用語は 難しい、でも必要!! 大学内で経理担当の 研修も利用
  • 8. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 8 本日のメニュー 資料収集業務って? 資料収集業務の中身 資料収集業務のこれから
  • 9. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 9 2-1 資料収集業務のフロー 選定発注納品 資産管理支払検収 排架装備目録 資料は 目録へ
  • 10. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 10 2-2 選定 Who? 教員(研究室用・図書館用)・図書館員(管理業務・サービス 業務)・学生・利用者・選書委員会・寄贈・学生選書... How? - 冊子体のカタログ - 書評(新聞・Web)... - 研究室のWebサイト - 書店のWebサイト - 受賞作 - 見計らい - 店頭選書 - シラバス - 所属構成員の著書(寄贈依頼も)
  • 11. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 11 2-2 選定のポイント 収書方針との照合 教員とのコネクション 教員の研究・教育動向の把握 サービス業務部門との連携(利用者ニーズを反映) 流行・話題のチェック 書店と情報交換
  • 12. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 12 2-3 発注 使用予算の選択(各予算責任者へ確認) 学内資料との重複チェック (所属部科内・同地区キャンパス内・学内・発注中・整理中) 視聴覚資料は著作権処理済のものかどうか - 大学図書館における著作権問題Q&A(第8版) (PDF) http://www.janul.jp/j/documents/coop/copyrightQA_v8.pdf 見積もりが必要な場合も - 【例】予定価格の総額が500万円以上は複数取引先からの見積書・100 万円以上は口頭の見積もりor市場価格調査... 発注先の選定 図書館システムで発注データの作成
  • 13. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 13 2-3 発注先選定のポイント 取引先(書店)はどこに? - 在庫確認 - 価格確認 - 得意分野(洋書)・クセ - 各図書館とのそれまでの付き合い 取引先登録済(会計システムへ取引業者として登録済)かどうか - 中小出版社の出版物の入手方法 公費請求書決済が可能か - Amazon商品の扱い 発注方法の省略化 - Web発注可能な書店も - 丸善Knowledge Worker, 紀伊國屋BookWeb Pro
  • 14. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 14 2-4 納品・検収 発注したものと納品されたものとに相違がないか 汚損・破損がないかどうか 納品書の記載に間違いはないか - 品名・金額・日付 登録番号の付与・貼付 - IDラベルの番号と同じ場合も 図書館システムで検収・所蔵データの作成
  • 15. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 15 2-5 支払 図書館業務システムで検収データを支払処理 支払に必要な書類を取引先から取り寄せ 支払に必要なデータ・書類を揃えて経理担当へ
  • 16. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 16 2-6 資産登録 資産額の計上 資産台帳(図書原簿)へ記帳(今はシステムのデータ管理) - 登録番号 - 書名 - 購入価格・寄贈評価額 - 取得日 - 取得方法... 廃棄の場合は? - 不要図書リストの作成 - 除却の場合でもデータは残して、除却の年月日と理由を記録 - 理由:汚損・破損・亡失・重複...
  • 17. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 17 本日のメニュー 資料収集業務って? 資料収集業務の中身 資料収集業務のこれから
  • 18. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 18 3-1 資料費の厳しい状況 要因 図書館予算の減少 なのに電子ジャーナル経費は増加 さらなる図書館資料費の圧迫
  • 19. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 19 3-1 資料費の厳しい状況 25000 20000 15000 10000 5000 国立大学公立大学私立大学 H14 H20 H21 H22 H23 H24 6500 4500 2500 500 図書館運営費 図書館資料費 電子ジャーナルに係る経費 H14 H20 H21 H22 H23 H24 95000 75000 55000 35000 15000 H14 H20 H21 H22 H23 H24 文部科学省「学術情報基盤実態調査- 平成25年度結果の概要」より http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei /chousa01/jouhoukiban/kekka/k_deta il/1345326.htm
  • 20. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 20 3-1 資料費の厳しい状況 打開する方策 効率的に資料収集 - Floating Collection, Shared Print... 戦略的に予算獲得 大学図書館の整備について(審議のまとめ) -変革する大学にあって求められる大学図書館像- (2010.12) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/1301602.htm
  • 21. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 21 3-2 電子ブックをめぐる問題 大学図書館での電子ブックをめぐる利用・提供の問題 プラットフォームやフォーマットが多様でわかりにくい 予算消化のために購入したがニーズは不明 - 買いやすいが、使われにくい?? 読みたいコンテンツが少ない 既刊書と比べて新刊書が少ない 電子教科書のターゲットは個人 資料の図書館間相互利用(ILL)は不可 大学単位でのアクセス数制限 国立大学図書館協会学術情報委員会学術情報流通検討小委員会平成24 年度調査報告その1 大学図書館における電子書籍のサービスに向けて-現状と課題- http://www.janul.jp/j/projects/si/gkjhoukoku201306a.pdf
  • 22. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 22 3-2 電子ブックをめぐる問題 大学図書館での電子ブックをめぐる購入・管理の問題 一般の電子書籍と大学の電子ブックとは別モノ - 個人向けの電子書籍をそのまま大学図書館で導入できない 供給方式や価格モデルの未確立 購入=アクセス権の確保≠データ保有 データ規格が様々 日本でのPatron-Driven Acquisition(PDA)の可能性 電子学術書利用実験プロジェクト(2012.12-2012.3) http://project.lib.keio.ac.jp/ebookp/ 大学図書館電子学術書共同利用実験(2012.4-) http://ebookp2013.blogspot.jp/
  • 23. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 23 3-3 資料収集業務をめぐる様々な問題 資料受入業務のオート化による図書館員の専門性の低下 - 「収書は図書館の業務じゃないんじゃないの?」にどう対抗するか 研究費の不正使用に対して学内の契約事務の厳密化 Amazon.comとの戦い? 消費税の引き上げ(2015.10- 10%に) 「選書」から資料管理・蔵書構築へ
  • 24. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 24 4 参考文献 大学会計のテキスト  よくわかる国立大学法人会計基準: 実践詳解/新日本有限責任監査法人編. 第 6版. 白桃書房, 2011.11. ISBN 9784561361985 図書館情報学のテキスト  専門資料論/ 三浦逸雄, 野末俊比古共編著. 新訂版. 日本図書館協会, 2010.3. (JLA図書館情報学テキストシリーズ2 ; 8). ISBN 9784820409243  図書館資料論/ 馬場俊明編著. 日本図書館協会, 2008.11. (JLA図書館情報学テ キストシリーズ2 ; 7). ISBN 9784820408161 電子ブック  電子出版学入門: 出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ/ 湯浅俊彦著. 改訂3版. 出版メディアパル, 2013.3. (本の未来を考える=出版メディアパル; No.23). ISBN 9784902251234  2015年の電子書籍: 現状と未来を読む/ 野村総合研究所[ほか] 著. 東洋経済 新報社, 2011.3. ISBN 9784492761984
  • 25. H26大学図書近畿イニシア初任者研修2014/6/26 25 4 参考文献 その他  司書が成長できる毎日一つのヒント/ 福岡南海子. 電子版. BizLibrary, 2014.1. https://www.amazon.co.jp/dp/B00HVAW0GO  オープンサイエンス革命/ マイケル・ニールセン著; 高橋洋訳. 紀伊國屋書店, 2013.4. ISBN 9784314011044  本棚の中のニッポン: 海外の日本図書館と日本研究/ 江上敏哲著. 笠間書院, 2012.5. ISBN 9784305705884  触発する図書館: 空間が創造力を育てる/ 大串夏身[ほか] 著. 青弓社, 2010.4. ISBN 9784787200457  本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本/ 内沼晋太郎著. 朝日新聞出版, 2009.3 ISBN 9784022505460  浦安図書館を支える人びと: 図書館のアイデンティティを求めて/ 鈴木康之, 坪井賢一著. 日本図書館協会, 2004.12. ISBN 4820404318  図書館に訊け! / 井上真琴著. 筑摩書房, 2004.8. (ちくま新書; 486). ISBN 9784480061867  未来をつくる図書館: ニューヨークからの報告/ 菅谷明子著. -- 岩波書店, 2003.9. (岩波新書; 新赤版837). ISBN 4004308372

Notas del editor

  1. はじめまして。私は京都大学 北部構内事務 教務・図書課 農学研究科等 整理掛の西川と申します。 京大の農学部図書室で資料収集業務をしています。 この資料収集業務というのは、図書館に資料が入ってくる入口と、図書館から資料が出て行く出口に関する業務です。 それだけに、いわゆる図書館のお仕事と言って想像される仕事内容とは違って、いわゆる裏方のお仕事になります。 ゆるく楽しい業務ではないかもしれません。ですが、図書館の根幹を支える重要なお仕事です。 1コマ目で、皆さんも私も緊張しているかと思いますが、今日の私のお話で何か1つでも皆さんの心に残ることがあれば幸いです。 では、どうぞよろしくお願いいたします。
  2. 簡単な自己紹介から。2005年の3月に大学院を修了した後、半年後に京都大学の職員として採用され、現在は勤続9年ほどの大学図書館員です。 最初は、京都大学の人環・総人図書館で図書館サービス部門全般を担当しました。 京都大学には約50近くの図書館/図書室がありますが、この人環・総人図書館というのは、学内で2番目に利用者数が多く、図書館の近くには共通教育が行われる建物がありますので、試験期などはとても混み合う図書館です。 その次に、メインライブラリーである附属図書館で、レファレンスやリテラシー教育を担当しました。 また、2012年に図書館システムのリプレイスを控えていたため、OPACの京大側担当者となりました。 学内のシステムに関する要望を集約してベンダーに伝えたり、ベンダーに不具合や障害を連絡したりしながら、新OPACの公開まで担当しました。 そして、農学部図書室に配属となって今にいたります。 現在は初めての管理系業務担当となって、選書や受入業務を行う一方、オンライン購入依頼のサービスインに関わって、より便利な資料収集業務のあり方を考えるワーキングにも所属しています。 日のお話には直接関係ありませんが、図書室Facebookの運用担当もしています。
  3. 今日は資料収集業務とはから始まり、その中身、そして資料収集業務でこれから考えていかなければならないと私自身が感じていることについてお話します。 また、今回の資料作成にあたり、一昨年の当時大阪大学ご勤務の吉田弥生さん、4年前の当時大阪市立大学の島弘子さんの近畿イニシアのレジュメを参考にさせていただきましたので、そちらも後日合わせて参考にしていただければ幸いです。
  4. これは2014年4月29日の佐賀新聞のサイトに掲載されたニュースです。 何かと話題の多い武雄市図書館に関する記事で、運営委託で新装オープンする際に廃棄した資料のうち、館内併設のTSUTAYAで売られていたり、レンタルできたりする資料と同じタイトルのものがあったという内容です。 この是非や真偽についてはおいておくとしても、ここには資料収集業務の大切なポイントがあると思います。 どんな資料を新たにいれるのか、どんな資料を廃棄するのか。 資料収集の方針と廃棄の方針を設定し、明らかにしておくこと。 そして、それが利用者のニーズを元にしていること。 今日のお話はこれに尽きると言えると思います。 書籍・DVDなど大量廃棄 武雄市図書館新装時に [佐賀新聞ニュース] 2014/4/29 http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2671722.article.html 武雄市図書館が開館前にDVDを大量除籍 「館内併設のTSUTAYAに配慮?」との疑問の声に武雄市は否定 [ハフィントンポスト] 2014/4/25 http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/24/takeoshi_n_5203682.html
  5. では、そろそろ資料収集業務の内実についてお話したいと思います。 図書は図書館の中では、取得→保存→廃棄といった経路をたどります。 取得は入ってくる方法やその手続きについてです。 選書されて、購入・寄贈・発注といったかたちで入ってきて、検品され、経理的な処理がされます。 図書自体は大学の資産となります。 その後は、定期的な点検を経て、学内や大学を越えて所属が変わることもあります。 そして、廃棄の基準に達したり、何らかの理由で除却・売却され、大学の資産としては除籍されます。 これが図書の図書館での一生です。 そして、この資料収集業務という名前ですが、この業務の代表的な業務のうちの1つから 受入業務とか収書業務とかいうこともあります。 狭義では図書を受けれいる業務ということですが、広義には資料収集業務と同じです。 図書が図書館に入ってくるから出て行くまでを管理する仕事です。
  6. そして、この資料収集業務で扱うのは図書です。 ここでの図書は雑誌に対しての図書という意味ではなく、会計上の物品の費目としての図書です。 それは国立大学法人会計基準でこのように定義されています。 「印刷その他の方法により複製した文書または図面、または電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識できない方法により文字、映像、音を記録した物品としての管理が可能なもの。」 各大学ではもう少し詳しいことが管理規則に書かれていることもあります。 具体的には、図書 (冊子体・電子ブック)・逐次刊行物 (冊子体・電子ジャーナル)・視聴覚資料 (ビデオ・CD・DVD・BD・カセットテープ・レコード...)・マイクロ資料 (マイクロフィルム・マイクロフィッシュ)・データベースがこれにあたると考えられます。 さあ、これで資料収集業務で扱うものの対象が決まりました。 次は、業務上知っておくべきことです。
  7. この資料収集業務で必要なのは図書館員としての知識だけではありません。 図書の購入や廃棄というのは、大きく言えば大学の会計事務の1つです。 例えば、書店と契約して、図書が入ってきて、その代金を支払うとする。 これは大学とその書店との契約の履行であって、双方が決めたルールに従わなければなりません。 例えば、1千万円以上は官報に載るような公募で一般競争契約をしなければならないとか、 500万円以上は見積もりを複数の取引先から取り寄せないといけないとか、請求書や納品書のフォーマットとか... このルールは大学や所属の学部・研究科・事務部によって異なってきます。 詳細は帰られてから、各大学のこういった会計規程をご覧ください。 今、全てを読まなくても、必要なときに、どこを見ればわかるのかアクセスを確保しておくことは必ずしておいてください。 実験器具に比べたら、図書なんて少額だから、こんな会計事務のルールに従わなくてもいいんじゃないのと思われるかもしれません。 ですが、あいつぐ研究費の不正使用で会計事務のルールが厳格化しています。 あいまいなやり方ですと、会計検査で指摘を受けることがあるかもしれません。 あいまいなルールのままにしておくと、研究費の不正使用を招いてしまうことになるかもしれません。 それは大学への信頼を揺るがすことにもなり、大学評価の低下にもなります。 そういった業務の一端にいらっしゃることを決して忘れないようにしてください。 で、こういった会計事務は図書館員には馴染みのないものが多いです。 ですが、覚えておかなければ会計職員とも渡り合えません。 一部の大学では、一般職員向けに会計事務のエッセンスを解説する研修が行われているところもあります。 会計職員とも仲良くなって、情報交換しておくことが大事です。 さて、この会計事務の知識以外にも、業務を行うために所属教員の研究や教育活動の動向を知っておくことが必要です。 あとは、取引先となる書店のことです。 書店によって、特に洋書は得意分野がありますし、恒例のセールや書店の決算期を見込んで、うまく値引きしてもらえることもあります。 自分のところの図書室が買っている書店だけでなく、学内の、地域の図書館はどの書店から買っているかも聞いてみると、何かお得情報がわかるかもしれません。 会計事務・先生の教育研究活動・書店、どれもこの資料収集業務にはかかせないファクターです、人やWebを使って上手く情報収集しましょう。 書店人に告ぐ2.0 [天狼院書店] 2014/5/26 http://tenro-in.com/tsushin/5215
  8. では、いよいよ資料収集業務の中身について、お話いたします。
  9. とてもシンプルに描けば、資料収集業務のフローはこのようになっています。 各大学や購入方法で順番が異なったりすることもあるかと思いますが、そのあたりは大目にご覧いただければと思います。 まず、図書を選んで発注し、本が書店から届いて、間違いがないか検品します。 図書はその後、分類され、装備をされ、利用者がアクセスできる書架に配架されます。 一方、検品したあとは、書店からの書類(納品書・請求書)を確認し、図書館システム上で支払し、経理担当へ書類を回します。 その後は書店に代金が振り込まれたり、図書が資産として計上されたりします。 このフローの全てをされている方、一部分しかされていない方、様々だと思います。 大切なのは、こういった大きな流れのどの部分の業務をしているのかを意識しておくことだと思います。 では、この1つ1つの業務について、詳細に見ていきたいと思います。
  10. まず初めに、選定作業について。 考えられるプレーヤーはここに挙げています。 選書業務担当の図書館員が資料を選定する以外にも、サービス業務の図書館員から「こんな本を選んでほしい」「こんな本がよく読まれている」と言われて、選書に反映させることもあるでしょう。 管理業務・サービス業務の図書館員が一緒になって作る選書委員会というのもあるかもしれません。 教員が自分の研究室用に選んだり、図書室配置の学生用図書を選んだりすることもあります。 他には、学生や利用者が購入希望を出したり、学生だけの選書委員会、学生・教員・図書館員による選書委員会などもあるかもしれませんね。 寄贈された本を選ぶこともあります。 で、選定するときのツールですが、ここに挙げたように、新刊案内や書店のカタログ、新聞の書評やAmazonの書評。 そういえば、10年前と比較して、誰もが本を読んだ感想をWebにupして発信できる時代になりました。 ブクログやメディアマーカーなどの読書系SNSサービスにも書評機能があります。 選書ではこういった、普通の人が書いた感想も時には参考になります。 他には、所属大学や学部・研究科の研究室や教員のWebサイトで、先生の最近の研究や教育の活動を知り、そのキーワードから選書することも考えられます。 先生のマイブームを知るということですね。 書店のWebサイトを見れば、流行の本がわかります。 受賞作の本は、過去の本であっても、受賞のニュースとともに貸出数が増えるので、チェックは欠かせません。 書店が持ってくる本から選定する見計らいもあります。 見計らいするときには、私の図書室では、分野や出版者、出版時期などを指定して、前もってリストを書店から出してもらってます。 書店に行ってそこにある本を選ぶ店頭選書をしたこともあります。 シラバスに掲載されている教科書や参考書は、量が多くて、書誌の同定作業は大変ですが、大学図書館では必須ですね。 所属の大学の先生の著書は購入するだけでなく、先生にお願いして寄贈していただく努力も忘れてはいけません。 これは単に図書館の予算がないから、というだけでなく、図書館はその大学のアカデミックな部分について知ってもらう場であるなら、所属教員のことがわかるものがあって当然ですし、その知ってもらう努力を教員にも負担していただきたいと思うからです。
  11. では、選定するときのポイントを挙げてみます。 まずは、大前提として図書館の収集方針に合うものでなければいけません。 この分野は幅広く収集するとか、これは毎年買い換えるとか。 近くに置いて、いつでもチェックするようにしてください。 収書方針がない場合でも、代々引き継がれてきた選書マニュアルや口伝といったものがあるかもしれません。 そういったものも当たってみましょう。 教員の研究・教育活動の情報収集とともに教員とのコネクションははずせません。 大学のなかで最終的な決定権を持つのが教員です。 先生の研究分野では今何が流行りで、それはどういうことなのか。 それに関する入門書はないのか。 改まって話さなくても、立ち話で有用な情報はたくさんもらえます。 まずは先生の顔と名前を覚えること、挨拶すること、挨拶ついでにちょっと話しかけてみることをやってみましょう。 選書というと、管理業務部門で行われていることも多いかと思いますが、貸出の多い資料や相互利用するのが多い資料を選書候補にあげるためにも、サービス業務部門とは選書の情報共有をしましょう。 管理とサービス業務部門両方の職員が選書に関わることが理想的です。 先ほど、受賞作品のことをお話しましたが、世間で流行になっている話題・ニュースのチェックも選書業務には生きてきます。 色々なメディアやツールを使って情報収集しましょう。 また、書店も重要なプレーヤーです。 書店の得意分野やクセを知って、効率的に書店を使い分けて発注しましょう。
  12. 次に発注作業についてです。 まずはどの予算を使用するのかチェックしましょう。 資産か費用か? 運営費寄付金か補助金か寄付金か科研費か? これらを予算責任者に確認します。 研究室の予算で購入する資料の多くは秘書さん等から回付されてくる書類でわかりますね。 過去に同じ本を購入していないか、現在発注中のものはないかなど重複チェックをします。 図書室配置の本の場合は、特に重複チェックが重要ですね。 同じ研究科内ならダメだけど、同じキャンパスならOKとか、学内の重複は一切はダメとか、分野によるとか。 それぞれの図書館での従来の方法を参考に一定の方針に従って決めてください。 発注中のものでないかも要チェックです。 視聴覚資料は著作権処理済のものかどうかをチェックしましょう。 著作権処理済とは「日本図書館協会などが権利者側と協議し、上映あるいは貸出に関して権利処理されたDVD やビデオテープのことです。 市販されているDVDやビデオ等のほとんどは図書館用に著作権処理済されていません。 著作権処理済のものと市販されているものとでは、著作権処理済の方が倍以上高額になります。 図書館に配置する視聴覚資料は、広く利用される可能性から言えば、著作権処理済のものが良いでしょう。 研究室で先生が個人だけで研究上の必要から視聴するというのであれば、市販の視聴覚資料でもかまいません。 ですが、研究室配置でも学生さんに見てもらうことがあるなら、著作権処理済のものを購入しましょう。 同じ視聴覚資料でも、市販版はあるが、著作権処理済版はないとか、著作権処理済でも、貸出はOKで上映は不可とか 資料によって異なる場合もありますので、購入前によく事前調査しましょう。 図書館向け映像資料(著作権処理済) 図書館用DVD [MMC] http://mmc-toshokan.jp/ 購入金額が高額になる場合は、見積が必須になるところもあります。 各大学の会計上の規程によって異なります。 これらを確認した上でそれぞれの大学図書館システムで発注レコードを作成します。
  13. 取引先の書店をどこにするかを迷うところです。 Webで在庫確認できる書店だったり、手に入りにくい洋書を手配してくれる書店があったり、それぞれの書店にクセや得意分野があります。 ほとんどの和書なら、どこに発注してもたいていは10%引きで価格も変わりません。 ただ、セール中のときもあるので、お得情報にもアンテナをはっておきましょう。 洋書は得意・不得意が激しいです。 最後はAmazonという手もあります。 なぜAmazonが最後なのかは後ほどお話いたします。 各図書館と書店とのそれまでの付き合いの状況や年間でのバランスなども考えて発注先を決めましょう。 いくら他では扱ってない本を取り扱っているからといって、うかつによく知らない初めての書店に発注するのはやめましょう。 多くの大学では支払方法が限定されています。 多くは、月末締めで翌月末の支払になります。 つまり、購入時期によっては、購入から約2ヶ月近く後になって代金が書店に振り込まれることになります。 この支払のタイミングを取引先の書店に理解してもらわなければいけません。 取引先が小さな書店で、商品が高額な場合、もっと言えば自転車操業状態のときは、支払がだいぶ先になってしまうと倒産の恐れもありますので、小さな書店にはこの支払はとても嫌がられます。 ですが、大学の会計規程上、仕方のないことなので、ここを理解してもらわなければまず取引先となりません。 そして、支払のタイミングが大丈夫でも、請求書・納品書の発行や銀行振込が大丈夫かや大学側の財務会計システムに、取引先として登録があるかなども確認しなければいけません。 この請求書の発行による当月末締め翌月末の銀行払いですが、現在Amazonは対応していません。 (ユーザが自分の買い物履歴から、自分で領収書の印刷をすることは可能です。) そのため、大学の図書館からAmazonへ商品を発注するということはほとんどないと思います。 先生が立替払いや法人カード払いを利用したり、間に生協に入ってもらって生協が請求書を発行するということで、対応しているところはあります。 いずれにしても、「Amazonにあって安いから、あれ買っといて」という先生からの声にはなかなか応えられないのが現状です。 Webで在庫を確認できるだけなく、発注から納品までをWebでできるところもあります。 丸善のKnowledge Workerや紀伊國屋書店のBookWeb Proがそうです。 各大学生協でもできるところもありますね。 図書館からだけでなく、先生にもアカウントを取得してもらって、先生が直接これらの書店に発注することもあります。 ますます便利になって、これまで収書業務の専門性の1つだった取引先の選定という作業はなくなっていくのかもしれません。
  14. そして、図書が納品されて、確認する作業が検収になります。 発注したものと納品されたものに相違がないかどうか。 乱丁・落丁はないかどうか。 納品書・請求書の記載に間違いはないかどうか。 これらをよく確認します。 そして、検収データを作成します。 大学の図書館システムによっては、検収データがそのまま所蔵データとなることもあります。 京都大学では、検収の時点で登録番号を付与し、資料IDを図書に添付しますが、大学によっては、装備のところですることもあります。
  15. その後は支払です。 図書館業務システムで、検収したレコードの状態を遷移させて、支払確定など、最後の状態にしておきます。 そうすると、図書館業務システムの月締め決算に反映されます。 そして、そのことを経理担当にも報告する必要があります。 ですので、書店からの納品書や請求書をそろえ、経理担当に回付します。 大学によっては、図書館職員が財務会計システムなどに自分で登録することもあります。 こうして大学のお買い物の1件として、今回の購入分が登録されたことになります。
  16. ここから先は大学によっては、経理担当に任せたり、システムで行われているので直接携わっているという方は少ないかもしれません。 資産として購入された資料は、大学の資産となり、資産額として計上されます。 昔は図書原簿といった冊子体の原簿に記帳されましたが、今は図書館システムでデータとして管理されています。 こうして資産化された図書を廃棄するときは、単に廃棄するだけではいけません。 大学の資産になっているので廃棄分を評価額として算出し、大学の資産を減少させなければいけません。 また、資産データに廃棄の年月日と理由を記録しておきます。 これで大学での図書の一生が終わります。
  17. では、最後にこれからの資料収集業務について、現状の問題点と合わせてお話したいと思います。
  18. 現在、各大学図書館の資料費はどこも厳しい状況になっています。 その原因の1つとして、図書館にかけられるお金が年々減少していることがあげられます。 それは職員数の削減や資料費の削減で相殺しているのですが、一方で主に海外の電子ジャーナルは高騰しています。 またラーニングコモンズや様々な種類の資料を利用するための環境整備に使うお金は増え、それがさらに資料費の減少に追い打ちをかけています。
  19. このグラフは国立大学・公立大学私立大学でのそれぞれの図書館運営費、図書館資料費、電子ジャーナルに関わる経費のここ10年間くらいの推移です。 平成14年の次が平成20年になっている点は考慮しても、図書館運営費・図書館資料費はどこの設置母体の大学でも減少していることがよくわかります。 それに比べて、電子ジャーナル経費は毎年値上がりしています。 電子ジャーナルの経費削減や学内・国内での費用分担の工夫については、雑誌業務の方の授業でお聞きになられるかと思いますので、ここでは割愛させていただきます。
  20. 待っていても資料費は上がりません。 ということは、資料費を上げる努力をするか、下がり続ける資料費のなかでやりくりするのか、あるいはその両方か、しか取るべき道はありません。 資料費をやりくりするというのは、効率的に資料収集をしていくということに言い換えられると思います。 選書の評価や積極的な寄贈依頼、学内・地域・コンソーシアムでの分担収集などは以前よりされてきていることかと思います。 ここでは、新しい手法についてお話したいと思います。 ひとつは、Floating Collection。 海外のいくつかの図書館では導入されていますが、日本ではまだ未導入のシステムのようです。 これは、学内や地域、コンソーシアムなど、複数の図書館で相互貸借をおこなっていて、さらにそのなかでどこでも貸出どこでも返却を行っているというのが前提です。 そのなかで、ある利用者がある図書館で本を借りたとします。 その利用者がその本を借りた図書館に返さずに、別の図書館に返したとします。あくまで、学内やコンソーシアム内ですが。 普通なら、図書館ではこの本を元あった図書館に返しますが、この場合は返さずにそのままその図書館に配架します。 また、ある利用者が、図書館に行って、別の図書館から資料を取り寄せてほしいと相互利用貸借を申し込みます。 取り寄せたその資料を借りて返すと、返された図書館は元の貸借元の図書館に返さず、その図書館の書架に配架します。 こうして、その図書館で貸出や返却が行われていくと、次第にその図書館でよく利用されるものがたまったコレクションが出来上がります。 これをFloating Collectionといいます。 これは返却のためのコストをカットするためでもあるのですが。 ですが、それ以上に、Floationg Collectionは蔵書や選書に対する今までの考え方を打ち破ることにもなると思います。 つまり、利用者が借りて返していくだけで、自然とその図書館の蔵書が形成されます。 「うちにはこんなコレクションがあって」とか「利用者はこんな資料を求めているはず」といった、行き過ぎれば図書館員のひとりよがりになりがちなことが、このFloating Collectionでは、利用者の好みを利用者自身の動向で築きあげることができています。 もうひとつご紹介したいのが、Shared Print。 これは先日、お茶の水、横浜国立大学、千葉大学の3大学で申し合わせがあったところなので、ご存知の方も多いと思いますが、 要は、学内・地域・コンソーシアム内で、どこかで1つ持っていたらあとは重複の所蔵はやめましょうという、共同分担保存です。 これまでは、保存に関しては、書庫を共有するというのがありましたが、ここでは紙のプリントを共有するということになります。 Shared Printに関しては、これで終わらずに、空いたスペースや資料保存にかかっていたコストを学習や研究に使おうといった、サービスへの還元につなげて言われることが多いです。 こういった新しいサービスや考え方から、大学図書館が日々変わっていっていることはおかわりかと思いますし、変わっていかなければならないとも思います。 ここにご紹介している文科省のサイトでは、科学技術・学術審議会が「大学図書館の整備について 変革する大学にあって求められる大学図書館像」と題した審議のまとめのレポートがあがっています。 皆さんのように、これから新たな時代を背負っていかれる方々はぜひ一度読まれることをお薦めします。 お茶の水女子大学、千葉大学、横浜国立大学が図書館連携により共同分散保存(シェアード・プリント)に着手 [CA] 2014/4/8 http://current.ndl.go.jp/node/25873 貸出と返却の積み重ねがかたちづくる図書館コレクションのすがた [ささくれ] 2013/3/4 http://cheb.hatenablog.com/entry/2013/03/04/121700
  21. 電子ブック、最近はニュースでも見かける単語になりました。 ですが、おそらく学内の利用統計を見ても、公式なものは外には出ていないと思いますが、思ったほど使われていないというのが率直なところなのではないでしょうか。 それからここでいう電子ブックは、KindleやKoboの電子ブックとは別と考えてくださいね。 大学が購入した電子ブックを読まない利用者でも、スマホやiPad、これらの電子書籍端末で電子ブック、主に漫画を読んでいる利用者は多いと思います。 大学が購入する学術書の電子ブックと、個人対象にAmazonなどで発売されている電子ブックとは別物と考えてください。 さて、少し話がそれましたが、大学図書館利用者の電子ブックの利用が少ない理由です。 資料収集業務担当者からすると、電子ブックは非常に買いやすいコンテンツです。 まず、電子ジャーナルと違って、買い切りです。 買って支払を済ませて、書誌をOPACに投入したり、学内の電子ブックリストに公開すれば、あとは資料収集業務担当の手間はほとんどかかりません。 バックファイルも購入するとか、冊子体をやめた途端見れなくなるとか、最新号だけは見られないなどの電子ジャーナルにあるややこしさはありません。 そして、冊子体よりもずっと高額です。 ですので、年度末に急にお金がついて、使いきらないといけない場合に、電子ブックが購入されることもよくあります。 そういうときは、利用者のニーズに基づいて購入される場合ももちろんありますが、学術書のコンテンツはまだまだ少ないのが現状です。 書店が提供する少ないコンテンツのなかから、比較的使われそうなのを選んで買われることになるでしょう。 こういった状況で果たして電子ブックが使われるでしょうか。 もっと使われる本の電子ブックを買えばいいんじゃないかと思われるかもしれません。 ですが、先に申しましたように、電子ブックのコンテンツは少ないです。 一番利用者に使われる可能性のあるコンテンツは教科書だと思いますが、出版者も教科書になりそうなものはなかなか電子化しようとしません。 なぜって、教科書なら紙のままでまだまだ売れるからです。 せっかく使われそうな電子ブックを購入して、公開しても、他の利用者が利用している間は利用できません。 基本的に1コンテンツに1アクセスとなっています。 また、電子ブックは相互利用の対象外になっていることがほどんとです。 基本的には購入したところの所属者が利用対象になります。 こういったことが電子ブックの利用・提供で問題となっていることです。
  22. 次に、大学図書館での電子ブックをめぐる購入・管理の問題です。 先ほど少し申し上げましたが、Kindleやkoboで読まれているような電子ブックは、大学の電子ブックのとは別物です。 著作権済のDVDと似たようなところがありますが、個人向けの電子ブックをそのまま大学図書館では購入できません。 ですので、よりコンテンツは少なくなります。 電子ジャーナルのような供給方式や価格モデルが電子ブックでは未確立です。 詳細は雑誌のコマに譲りますが、モデルがないことによって、適正価格を算出できません。 また、電子ブックを購入することは、冊子体の本とは違って、アクセス権の確保であり、必ずしもデータの保有をともないません。 そして、PDFやepubやポータルサイトで冊子体の本のように見ることができるものなど、データの規格が様々です。 このことは利用者への案内が複雑になり、利用環境を整える側にも、PCメンテナンスの煩雑さが増えることになります。 そして、少し触れておきたいのが、PDA。 「利用者主導型購入方式」と訳されるものです。 図書館における選書の一形態で、図書館側だけで資料を選ぶのではなく、利用者が希望あるいは実際に利用したものを購入する、というものです。 仕組みはこうです。 図書館員が事前に選択したタイトルをOPACに登録しておき、それらに対して一定数または一定時間の利用がされた場合に自動的に電子ブックを図書館が購入します。 利用者にとってはPDA対象タイトルと図書館で導入済みのタイトルとの区別はOPAC上つきません。 図書館によって資料が購入・整理されるのを待つことなくすぐに利用できるという点が電子書籍のPDAの大きな特徴です。 アメリカでは主流となっている電子書籍の選書方法ですが、日本ではまだ導入の声をきかないようです。 このように、まだまだ電子ブックには様々な問題があります。 大学図書館への電子ブックメディアの流入は避けられそうにもありません。 全てがすぐに解決する魔法の技はないと思います。サービス側にいても、管理側にいても、今後考えていかなれければならない問題です。 実証実験プロジェクトのサイトもありますので、これらを参照にお時間のあるときに、一度ご自身の業務と関連するところから考えてみてください。 E1310 - 大学図書館に広がる電子書籍のPatron-Driven Acquisitions [CA] 2012/7/12 http://current.ndl.go.jp/e1310
  23. さて次は選書以外にも、資料収集業務をめぐる様々な問題についてお話したいと思います。 選書さえすれば、あとは書店のWebサイトから本を発注し、図書館システム上で検収、支払、資産化といった、ほぼオート化しているような現状の業務フローでは、図書館員の専門性を発揮できているとは言い難いです。 こういった声にどう対抗していくか。 あるいは、ではどうぞと言って、この業務を関連性のある、例えば経理事務の一環として他の部門に引き渡していくのか。 資料収集業務はこれからますます厳しい目を向けられる業務のひとつになると思います。 これに対する答えは私自身でもまた出ていません。 皆さんも日々の業務を行うなかで、自分がこの業務を行う意味を考えながら、仕事をしていただきたいと思います。 一方、オート化したとはいえ、このフォーマットに必ず書いてくださいとか、ここは必ず押印がいりますとか、一昔前よりも事務手続きでなぁなぁで済まないことが多くなってきたと私自身は感じています。 それは、税金を使って行っている教育・研究活動の結果をきちんと目に見える形で還元して欲しいという世の中の大学に対する評価の目が厳しくなってきたこと、 それに伴い、研究費の不正利用が明るみに出るたびに、それを予防するために手続を厳密化していったことに原因があると思います。 そのために、先生はとても忙しく、ちょっとのことでも先生方の決裁がないと前に進まない状態です。 また、大学職員の人員は減り、なのに仕事は増え、大学職員全体が忙しくなっています。 教員から職員への権限移譲、教員の決定がなくても進められるとことは職員で進めることですが、これをしていかないと、将来、大学事務は立ち行かなくなっていきます。 日々の仕事でも、省力化できることはないか、効率化できることはないかといったことを考えていってほしいと思います。 そして、Amazonのこと。 発注先選定のポイントのところで、Amazonは最後の候補とお話しました。 Amazonは安いし、早く届けてくれるし、先生もよく立替払してるし、図書館で購入するときはなぜ最終手段になるのか不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。 Amazonは公費での請求書払い、つまり発注したら、請求書と納品書を発行して、翌月末までに支払うといった支払の仕方に対応していません。 ですので、先生が個人的にご自身のクレジットカードで買って、あとで金額を請求する立替払だったり、書店が仲介に入って、書店が請求書や納品書を発行してくれているので、Amazonの本が買えています。 しかし、今や世界最大の書店のAmazon、無視できません。 今のような状態ではなく、図書館がAmazonから直接購入できるような支払の仕組みを考えていかないと思っているところです。 これは皆さんの大学で実際にされている良い知恵がありましたら、お教えください。 消費税はそのままですね。 図書館システムもこれに対応していかなければいけません。 最後は、電子書籍や先ほどの資料収集のなかにも少し出てきたことと関連がありますが、選書の問題です。 先ほど、選書を除けば、資料収集業務のオート化が進み、この業務の図書館職員の専門性はというお話をしましたが、実はその選書も危ないです。 いくつかの大学図書館で既に行われていますが、電子ジャーナルで最初は論文ごとにペイパービュー、ダウンロードするごとに課金され、購入される論文が多く、タイトルごとに買う方が安ければ、タイトルで買うという購読形式がとられています。 ここには、図書館員による「利用者はこういった資料を必要なはず」というニーズの先取り行為や、教員による「うちの研究室のために、このタイトルを買って欲しい」といった要望はありません。 つまり選書という行為を介さないということです ただ、欲しいと思った人が必要なものにアクセスして、図書館がその分のお金を払うといったことです。 先ほどお話しましたPDAと同じですね。 効率的な資料収集でお話したFloating Collectionと同じように、実際の利用に対して支払ったり、蔵書が構築されたりということです。 こうなれば、もう選書業務自体が必要とされなくなってくるかもしれません。 これに対して、私自身のなかに決定的な対抗手段や答えがあるわけではありません。 ですが、皆さんもこれから図書館で働いていく上で、こういった問題に対して自分で答えを出していくことを意識していただきたいと思いますし、皆さんの脂が乗った世代になる頃には、遠い未来の問題ではなくなっていると思います。 仲山加奈子, 菊池 亮一. ビッグディールのおわりとこれから. 図書の譜 : 明治大学図書館紀要. 2014.3, (18), p. 227-239. http://ci.nii.ac.jp/naid/40020039101 丸善とKMSI/大学図書館向け電子図書館サービスの提供開始 [ICT教育ニュース] 2014/5/15 http://ict-enews.net/2014/05/15maruzen/
  24. 図書館情報学のテキストとして資料収集業務を復習したり、電子書籍の現状をひと通り知ったりするのに、これらは良い資料になると思います。
  25. これらは少し資料収集業務から離れますが、図書館員として読んでおいた方がいいなと思われるものばかりですので、一読をお薦めいたします。 私が本日お伝えしたいことはこれで全てです。 資料収集業務は、図書館では縁の下の力持ち的な存在で、なかなか日の当たる仕事ではないかもしれませんが、図書館の根幹となる重要な仕事です。 自分で意義や達成感、仕事の意味を見出していくことも社会人として必要なことです。 そして、ここにいらっしゃる皆さんといつかご一緒にお仕事する日がくればいいなと思っています。 本日はご静聴、ありがとうございました。