mlabforum2012_okanohara

Preferred Networks
Preferred NetworksVice-President
2012/11/27@MLABネットワークリサーチフォーラム
                                    東京⼤大学駒場リサーチキャンパス




 21世紀の研究・企業・個⼈人のあり⽅方
   〜~ICTがもたらす新しい世界〜~

                             岡野原  ⼤大輔


              株式会社Preferred  Infrastructure  
                      取締役副社⻑⾧長
                 hillbig@preferred.jp
⾃自⼰己紹介・会社紹介




2
⾃自⼰己紹介

l  名前:岡野原  ⼤大輔
l  経歴:
    l  福島県いわき市⽣生まれ、磐城⾼高校(ラグビー部)

    l  東京⼤大学理理科⼀一類→同情報理理⼯工学研究科コンピュータ科学博⼠士課程

        2010年年3⽉月修了了、情報理理⼯工学博⼠士(辻井研)
          l    その間未踏2本、未踏ユース1本
l    株式会社Preferred Infrastructure 2006年年創業
      l  経営・研究開発・営業・企画・何でも



l    twitter @hillbig
これまでの興味分野の遍歴
1992	
         データ圧縮       小5〜 Nifty Serve, DO++

2003	

         ⾃自然⾔言語処理理       ⼤大規模情報検索索     未踏  &  OSS
2004	
               未踏  &  
               辻井研
2005	
                      簡潔データ構造
                                               バイオベンチャーで
           機械学習                                のバイト経験
         データマイニング             Googleでの
2006	
                        インターン,  PFI創業 バイオインフォ
                                             マティクス
                                    経営
会社概要
株式会社  Preferred  Infrastructure
l    略略称    PFI
l    代表者 ⻄西川  徹
l    設⽴立立   2006年年3⽉月
l    社員数 26名
l    所在地 〒113-‐‑‒0033  東京都⽂文京区本郷2-‐‑‒40-‐‑‒1
l    事業概要
      l    検索索/分析分野での製品開発,  販売,  サービス提供
      l    ⼤大規模分散分析エンジンの共同研究開発


                最先端の技術を最短路路で実⽤用化
             リサーチとエンジニアリングの融合
      世の中に必要とされる中で特に重要で困難な課題に対し解を提供

                               5
Preferred  Infrastructure
メンバー構成
l    フルタイム26⼈人中23⼈人がエンジニア/研究者
      l  以下の情報/理理/⼯工学博⼠士

            l    ⾃自然⾔言語処理理/機械学習/計算量量理理論論/データマイニング/⽂文字列列解析
      l    ICPCプログラミングコンテスト  世界⼤大会(=⽇日本代表)  7名
      l    未踏プロジェクト  5名
      l    TopCoder世界上位や、世界プログラミングコンテスト優勝者など
l    各種コミュニティへの働きかけ
      l  ⽇日本Hadoopユーザー会,  ⾃自然⾔言語処理理若若⼿手の会

      l  ⽇日本語⼊入⼒力力本,  Haskel本,  各種雑誌記事,  専⾨門書



      その他、データ圧縮、UI/UX、セキュリティ、分散システム、
      ソフトウェア⼯工学など様々な分野の専⾨門家

                                  6
Jubatus  :  ビッグデータのリアルタイム解析
l  NTT  SIC*とPreferred  Infrastructureによる共同開発
l  2011年年10⽉月よりOSSで公開  http://jubat.us/




      リアルタイム  
       ストリーム         分散並列列               深い解析
  *  NTT研究所  サイバーコミュニケーション研究所
    ソフトウェアイノベーションセンタ
                            7
Jubatus Demo(実際に画⾯面で)
大規模  +  リアルタイム処理  +  機械学習

•  イベント情報/地域情報
•  ユーザーの属性情報
•  各企業/ブランド/製品に
   ついての⼝口コミ分析
•  災害情報のリアルタイム
   解析




                        8
ICTがもたらす
        新しい世界




9
ICTがもたらす新しい世界

l    ICTは既に世界を⼤大きく変えてきたが、これからさらに加速度度的
      に世界を変えていく


l    今後「研究」「企業」「個⼈人」のあり⽅方はどう変わっていくのか
      、変わるべきなのかをいくつか考えてみたい




                     10
データ中⼼心の研究へ




11
研究は第四世代 (Fourth paradigm)へ
  [Jim Gray 2007]

l  第⼀一世代:数学的⼿手法と経験的⼿手法            1000〜2000年前	
    l  ⾃自然現象などの観察を通して

    l  アリストテレス

l  第⼆二世代:理理論論に基づく研究               数百年前	
    l  モデル化、⼀一般化を通して

    l  ライプニッツ

l  第三世代:シミュレーションに基づく研究            数十年前	
    l  シミュレーションを通して

    l  フォン・ノイマン
                                   今	
l  第四世代:データ探索索に基づく研究
      l    センシングや得られたデータの解析を通して
      l    ??

                         12
研究の中⼼心がデータへと変わる

l  これまで
    l  論論⽂文を出した場合、その元になったデータや実験コードなどは

        蔑ろにされ、共有化されず⾮非効率率率的であった
    l  現在、研究費の多くがデータ⽣生成、それを扱うカスタムソフトウ

        ェアの開発・システム運⽤用にかかっている
l  これから
    l  データが研究成果の中⼼心となり共有化される

            l    既に物理理、宇宙学、地球科学、バイオ、⽣生命科学、化学、製薬な
                  ど広い分野でデータ中⼼心の研究が進められている
            l    それに関連する論論⽂文やツールなどの研究成果が有機的に結びつく
            l    全く関連しないような他分野の知識識が結び合う
      l    データを⽀支えるソフトウェア/サービス/コミュニティが重要となる

                               13
データ中⼼心の例例:Entrez ⽣生命科学分野の横断検索索の例例




                 14
データ共有における囚⼈人のジレンマ

l    全員がデータを共有すれば全員の研究は進むが、⼀一⼈人だけが先に
      提供するとその⼈人のみが損をする
      l  ビジネスの世界においても同じ現象がみられる

      l  “このデータ(ソース)があれば論論⽂文を量量産できる”



l    個⼈人・研究組織の良良⼼心に任せても進まない


l    仕組み・システムを作っていくことが重要
      l  オープンソース・オープンデータ




                      15
誰もが専⾨門知識識を得られる
   時代に必要な⼈人材




16
学習コストの著しい低下に伴う競争激化

l    教材や最新の研究資料料は誰でも⼿手に⼊入るようになった
      l  最近のジャーナルはフリーかつ⾃自由に⼊入⼿手可能

            l    c.f. JMLR(機械学習), PLOS(科学・医学)
      l    ウェブ上の資料料やオンライン授業などによる学習
      l    Twitterなどを介して専⾨門家に直接聞く、専⾨門家が話す


l    専⾨門知識識を得るためのコストは急速に⼩小さくなっている
      l  “分野の先端までの⾼高速道路路が通っている” [将棋での⽻羽⽣生]



l    社会⼈人向けの学習の機会
      l    勉強会、英会話、社会⼈人向け教育機関


                                  17
例例:coursera.com

l    2012年年4⽉月にStanford⼤大のコンピュータ科学の教授であるAndrew Ng
      とDaphene Kolleerによって設⽴立立
       l  無料料のオンライン授業をいつでも受けられる

       l  2012年年11⽉月現在, 196カ国, 190万⼈人の学⽣生が

       l  各分野のトップの教授による100を超えるコース

         l    コンピュータ、薬学、バイオ、社会学、数学、統計、⾦金金融、ビジネス




                            18
このような時代に必要な⼈人材は

l    専⾨門知識識を得る機会が誰にでも平等に与えられると同時に、専⾨門
      知識識を持っていることの優位性は急速に失われていく可能性がある


l    何を持って差別化できるのか?  


1.  知識識を活⽤用する技術
     l 複数の分野をまたぎ新しい分野を切切り開く能⼒力力

2.  “⾼高速道路路”で辿り着けない先に進める
     l (これまで)データを持っている

     l データを他の⼈人とは違う⾒見見⽅方で扱える




                      19
求められる新しいタイプの⼈人材

l  専⾨門知識識を持っていること⾃自体に価値はなくなってきている
l  専⾨門知識識を必要に応じていつでも付けられるかが重要
                求められる⼈人材の変遷

      幅広さ



深
さ



            T型人材
      π型人材
I型人材
       周辺分野も
                               オンデマンド型人材	
一つの分野を                 複数の分野   必要に応じて分野を

            広く浅く知って
突き詰める
                 を突き詰め   いつでも突き詰められる
            いるし、1つの
	
                     ている	
   人材
            分野を突き詰
            めている
未来を⾒見見据えた
       研究をするには




21
10年年後に役に⽴立立つ研究を⽬目指すためには

l  今から5〜~10年年後を想像し,その時に必要とされる技術を考える
    l  10年年後を考える時は、狂っていると思うぐらいがちょうどよい

    l  技術開発は加速しているのでそれも考慮した上で想像する

l  歴史から学べることは多い
    l  新しい技術の爆発的普及は突然ではなく、爆発する10年年前にも

        「冴えない」技術として存在している
    l  90年年代後半には、情報検索索は終わり,ポータルの時代と⾔言われてい

        た ⇒ Googleの登場
    l  ニューラルネットは下⽕火に ⇒ 現在のディープニューラルネット



l    冴えない技術に対して,どのような妄想をし、それを信じて投資
      し続けられるか

                    22
現在の研究組織の問題点と提案

l    雑⽤用が多すぎて研究ができない⼈人が多い
      l  特に働き盛りの⼈人が書類作り、学⽣生サポートで忙しすぎる

      ⇒ 柔軟に予算を使えないか, 研究室の単位を⼤大きくして、
           組織で学⽣生をサポートできるようにできないか


l    社会経験を積みにくい
      l  数年年間、会社/別組織にいけないか

      ⇒サバティカル制度度・アカデミックと企業の交流流, インターン


l    分野別の蛸壺化は深刻
      l    隣隣の研究室で何をやっているのか、説明できないし興味もない
      ⇒ ⼈人単位・組織単位の交流流, インターン

                         23
ITを中⼼心とする企業の形




24
ITがもたらす企業の変化

l    はじめから世界をマーケットにみすえた製品・サービス開発が可能
      l  資本がなく⼯工場を作れなくてもアイディアがあれば勝負できる時代

      l  無から1年年で数千万⼈人のユーザー獲得が可能な時代  (c.f. LINE)

      l  ネット以外の領領域でも広がる    c.f. 製造業における3Dプリンター



l    どの業種もITを中⼼心技術として勝負しつつある
      l  ITとは全く関係無いように思える企業も⾃自社でITを育てている

            l    ⼩小売・製造・医療療・⾦金金融・農業・教育
      l    ITが企業の競争⼒力力の源泉になりつつある
      l    各企業が必要とするデータを集められるか、それを活⽤用できるか
      ⇒ 「ビッグデータ」という名の元に各企業が競争⼒力力を育てている


                                 25
業界の壁がなくなりつつある

l  業界毎の壁が消え業界の強みが無くなっている
     l  情報通信技術が壁を打ち破った

l  アップル・アマゾン・グーグルがこれからどれだけの業界
    を破壊するのか
     l  ⾃自分の業界のみを⾒見見ていると、突然⿊黒船が外からやってくる

     l  気づいた時はもう既に遅く、相⼿手は10年年以上投資している

l  例例:スマートフォン
     l  電話・PC・⾳音楽・地図・TV・カーナビ・スケジューラー・・



l    危機でもあり、チャンスでもある
      l    ⾃自分たちも他の分野に攻め込むことができるはず
      l    ⾃自分の強みがどこにあり、どの分野で⽣生かせるのかの視野が重要

                          26
ITは職を奪うのか




27
ITは職を奪うのか

l    ⼈人間にしかできない仕事が急速に減少しつつある
       l  産業⽤用ロボット、⾃自動運転、⾃自動警備、教育、医療療、(政治も?)



l    過去に無い速度度で社会・産業が変化している
      l  ⼈人・組織の学習スピードが追いついていない

      l  企業の変化速度度が追いついていない



l    「持続的イノベーションは職をなくすが、破壊的イノベーション
      は職を⽣生み出す」(Christensen)




                        28
雇⽤用はなくなるのか(続)

l    実際の問題は、必要なところに良良い経済モデルが⽴立立ち上がってい
      ないのが問題
      l  ⼀一部の雇⽤用はむしろ⾜足りない(特に⽇日本は)

      l  介護 / 医療療 / 教育



l    ⼈人の⽣生活を⽀支える社会インフラを⽀支えるためのIT技術はこれから
      ますます重要


l    今後必要となるのは
      l  新しい産業にあったベンチャー育成(社内でも、新企業でも)

      l    前述のような新しい専⾨門知識識を短期間で⾝身につけられる教育機会


                          29
新しい企業・組織が育ち続けないといけない

l  シリコンバレーでは年年間2万社が創業されている
    l  これだけのアイディアがそもそも⽇日本で創出されるのか

l  アメリカでは新しい会社が毎年年300万⼈人の雇⽤用を⽣生み出し、古い
    会社は100万⼈人を失っている


l    「新しい価値観」を持った組織がスピードを持って⾏行行動しないと
      いけない
      l  研究職が種をもってきて、「後はこれを使ってください」

      l  営業職がニーズをもってきて、「これを解決してください」

      ではうまくいかない、複数のスキルを持った⼩小さい混合チーム
       による速い仮説検証・ビジネス化が必要となる


                     30
個⼈人はより⾃自由になり
⾃自分で考えることが求められる




31
個⼈人の働き⽅方

l    変化はより激しく
      l  業種や職、役割が変わることが普通となる

      l  次々と新しい専⾨門スキルを⾝身につけることが求められる



l    個⼈人間のつながりがより⼤大切切に
      l  個⼈人の能⼒力力よりも、誰と知り合いか、どんな情報をいち早く知っ

          ているか、それをどのように解釈するかのスキルが重要に




                       32
機会がより平等に与えられる

l  ⾼高いレベルの教育が平等に与えられる
l  男⼥女女が共に働ける
l  国を問わず働ける


l    何が必要とされているのか、⾃自分をどうアピールするのか
      何をしたいのかを考えないといけない




                    33
最後に




34
最後に (1/2)  

こうした世界で⾯面⽩白い仕事をするための⼼心がけ

1.    挑戦⼼心を常に持ち続け、成⻑⾧長し続ける
2.    多様性を尊重し、チームとしての成果を最⼤大化する
3.    ⾼高い品質の製品・サービスを提供し、⾼高い価値を⽣生み出す
4.    顧客を⼤大切切にする
5.    プロとして⾏行行動し、⾃自⽴立立⼼心を持つ
6.    世の中の問題を考え、社会に貢献する
7.    ⼀一流流の⼈人が集まる場を⽬目指す




(Preferred Infrastructureの文化のドラフトバージョンより)
最後に(2/2)
技術は世界を変えられる
l    技術者⾃自⾝身が「技術が⽣生活を変えられる」ことを
      信じていない場合が多くなった
      l  技術の差異異は関係なく、他の要因が重要と思っている



l    実際はそうではない
      l  技術は⼈人の⽣生活を変えられる

            l    ⾞車車、電話、無線、インターネット
      l    ⼈人の⽣生活は変わらないと100年年前から⾔言われているが変わっている


l    技術者の世界を変えたいという強い意志が必要
      l    可能性を追求する
      l    ⼈人の話は聞くが何が必要になるかは⾃自分の頭で考える

                               36
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  • 3. ⾃自⼰己紹介 l  名前:岡野原  ⼤大輔 l  経歴: l  福島県いわき市⽣生まれ、磐城⾼高校(ラグビー部) l  東京⼤大学理理科⼀一類→同情報理理⼯工学研究科コンピュータ科学博⼠士課程 2010年年3⽉月修了了、情報理理⼯工学博⼠士(辻井研) l  その間未踏2本、未踏ユース1本 l  株式会社Preferred Infrastructure 2006年年創業 l  経営・研究開発・営業・企画・何でも l  twitter @hillbig
  • 4. これまでの興味分野の遍歴 1992 データ圧縮 小5〜 Nifty Serve, DO++ 2003 ⾃自然⾔言語処理理 ⼤大規模情報検索索 未踏  &  OSS 2004 未踏  &   辻井研 2005 簡潔データ構造 バイオベンチャーで 機械学習 のバイト経験 データマイニング Googleでの 2006 インターン,  PFI創業 バイオインフォ マティクス 経営
  • 5. 会社概要 株式会社  Preferred  Infrastructure l  略略称   PFI l  代表者 ⻄西川  徹 l  設⽴立立   2006年年3⽉月 l  社員数 26名 l  所在地 〒113-‐‑‒0033  東京都⽂文京区本郷2-‐‑‒40-‐‑‒1 l  事業概要 l  検索索/分析分野での製品開発,  販売,  サービス提供 l  ⼤大規模分散分析エンジンの共同研究開発 最先端の技術を最短路路で実⽤用化 リサーチとエンジニアリングの融合 世の中に必要とされる中で特に重要で困難な課題に対し解を提供 5
  • 6. Preferred  Infrastructure メンバー構成 l  フルタイム26⼈人中23⼈人がエンジニア/研究者 l  以下の情報/理理/⼯工学博⼠士 l  ⾃自然⾔言語処理理/機械学習/計算量量理理論論/データマイニング/⽂文字列列解析 l  ICPCプログラミングコンテスト  世界⼤大会(=⽇日本代表)  7名 l  未踏プロジェクト  5名 l  TopCoder世界上位や、世界プログラミングコンテスト優勝者など l  各種コミュニティへの働きかけ l  ⽇日本Hadoopユーザー会,  ⾃自然⾔言語処理理若若⼿手の会 l  ⽇日本語⼊入⼒力力本,  Haskel本,  各種雑誌記事,  専⾨門書 その他、データ圧縮、UI/UX、セキュリティ、分散システム、 ソフトウェア⼯工学など様々な分野の専⾨門家 6
  • 7. Jubatus  :  ビッグデータのリアルタイム解析 l  NTT  SIC*とPreferred  Infrastructureによる共同開発 l  2011年年10⽉月よりOSSで公開  http://jubat.us/ リアルタイム   ストリーム 分散並列列 深い解析 *  NTT研究所  サイバーコミュニケーション研究所   ソフトウェアイノベーションセンタ 7
  • 8. Jubatus Demo(実際に画⾯面で) 大規模  +  リアルタイム処理  +  機械学習 •  イベント情報/地域情報 •  ユーザーの属性情報 •  各企業/ブランド/製品に ついての⼝口コミ分析 •  災害情報のリアルタイム 解析 8
  • 9. ICTがもたらす 新しい世界 9
  • 10. ICTがもたらす新しい世界 l  ICTは既に世界を⼤大きく変えてきたが、これからさらに加速度度的 に世界を変えていく l  今後「研究」「企業」「個⼈人」のあり⽅方はどう変わっていくのか 、変わるべきなのかをいくつか考えてみたい 10
  • 12. 研究は第四世代 (Fourth paradigm)へ [Jim Gray 2007] l  第⼀一世代:数学的⼿手法と経験的⼿手法 1000〜2000年前 l  ⾃自然現象などの観察を通して l  アリストテレス l  第⼆二世代:理理論論に基づく研究 数百年前 l  モデル化、⼀一般化を通して l  ライプニッツ l  第三世代:シミュレーションに基づく研究 数十年前 l  シミュレーションを通して l  フォン・ノイマン 今 l  第四世代:データ探索索に基づく研究 l  センシングや得られたデータの解析を通して l  ?? 12
  • 13. 研究の中⼼心がデータへと変わる l  これまで l  論論⽂文を出した場合、その元になったデータや実験コードなどは 蔑ろにされ、共有化されず⾮非効率率率的であった l  現在、研究費の多くがデータ⽣生成、それを扱うカスタムソフトウ ェアの開発・システム運⽤用にかかっている l  これから l  データが研究成果の中⼼心となり共有化される l  既に物理理、宇宙学、地球科学、バイオ、⽣生命科学、化学、製薬な ど広い分野でデータ中⼼心の研究が進められている l  それに関連する論論⽂文やツールなどの研究成果が有機的に結びつく l  全く関連しないような他分野の知識識が結び合う l  データを⽀支えるソフトウェア/サービス/コミュニティが重要となる 13
  • 15. データ共有における囚⼈人のジレンマ l  全員がデータを共有すれば全員の研究は進むが、⼀一⼈人だけが先に 提供するとその⼈人のみが損をする l  ビジネスの世界においても同じ現象がみられる l  “このデータ(ソース)があれば論論⽂文を量量産できる” l  個⼈人・研究組織の良良⼼心に任せても進まない l  仕組み・システムを作っていくことが重要 l  オープンソース・オープンデータ 15
  • 16. 誰もが専⾨門知識識を得られる 時代に必要な⼈人材 16
  • 17. 学習コストの著しい低下に伴う競争激化 l  教材や最新の研究資料料は誰でも⼿手に⼊入るようになった l  最近のジャーナルはフリーかつ⾃自由に⼊入⼿手可能 l  c.f. JMLR(機械学習), PLOS(科学・医学) l  ウェブ上の資料料やオンライン授業などによる学習 l  Twitterなどを介して専⾨門家に直接聞く、専⾨門家が話す l  専⾨門知識識を得るためのコストは急速に⼩小さくなっている l  “分野の先端までの⾼高速道路路が通っている” [将棋での⽻羽⽣生] l  社会⼈人向けの学習の機会 l  勉強会、英会話、社会⼈人向け教育機関 17
  • 18. 例例:coursera.com l  2012年年4⽉月にStanford⼤大のコンピュータ科学の教授であるAndrew Ng とDaphene Kolleerによって設⽴立立 l  無料料のオンライン授業をいつでも受けられる l  2012年年11⽉月現在, 196カ国, 190万⼈人の学⽣生が l  各分野のトップの教授による100を超えるコース l  コンピュータ、薬学、バイオ、社会学、数学、統計、⾦金金融、ビジネス 18
  • 19. このような時代に必要な⼈人材は l  専⾨門知識識を得る機会が誰にでも平等に与えられると同時に、専⾨門 知識識を持っていることの優位性は急速に失われていく可能性がある l  何を持って差別化できるのか?   1.  知識識を活⽤用する技術 l 複数の分野をまたぎ新しい分野を切切り開く能⼒力力 2.  “⾼高速道路路”で辿り着けない先に進める l (これまで)データを持っている l データを他の⼈人とは違う⾒見見⽅方で扱える 19
  • 20. 求められる新しいタイプの⼈人材 l  専⾨門知識識を持っていること⾃自体に価値はなくなってきている l  専⾨門知識識を必要に応じていつでも付けられるかが重要 求められる⼈人材の変遷 幅広さ 深 さ T型人材 π型人材 I型人材 周辺分野も オンデマンド型人材 一つの分野を 複数の分野 必要に応じて分野を
 広く浅く知って 突き詰める を突き詰め いつでも突き詰められる いるし、1つの ている 人材 分野を突き詰 めている
  • 21. 未来を⾒見見据えた 研究をするには 21
  • 22. 10年年後に役に⽴立立つ研究を⽬目指すためには l  今から5〜~10年年後を想像し,その時に必要とされる技術を考える l  10年年後を考える時は、狂っていると思うぐらいがちょうどよい l  技術開発は加速しているのでそれも考慮した上で想像する l  歴史から学べることは多い l  新しい技術の爆発的普及は突然ではなく、爆発する10年年前にも 「冴えない」技術として存在している l  90年年代後半には、情報検索索は終わり,ポータルの時代と⾔言われてい た ⇒ Googleの登場 l  ニューラルネットは下⽕火に ⇒ 現在のディープニューラルネット l  冴えない技術に対して,どのような妄想をし、それを信じて投資 し続けられるか 22
  • 23. 現在の研究組織の問題点と提案 l  雑⽤用が多すぎて研究ができない⼈人が多い l  特に働き盛りの⼈人が書類作り、学⽣生サポートで忙しすぎる ⇒ 柔軟に予算を使えないか, 研究室の単位を⼤大きくして、 組織で学⽣生をサポートできるようにできないか l  社会経験を積みにくい l  数年年間、会社/別組織にいけないか ⇒サバティカル制度度・アカデミックと企業の交流流, インターン l  分野別の蛸壺化は深刻 l  隣隣の研究室で何をやっているのか、説明できないし興味もない ⇒ ⼈人単位・組織単位の交流流, インターン 23
  • 25. ITがもたらす企業の変化 l  はじめから世界をマーケットにみすえた製品・サービス開発が可能 l  資本がなく⼯工場を作れなくてもアイディアがあれば勝負できる時代 l  無から1年年で数千万⼈人のユーザー獲得が可能な時代  (c.f. LINE) l  ネット以外の領領域でも広がる    c.f. 製造業における3Dプリンター l  どの業種もITを中⼼心技術として勝負しつつある l  ITとは全く関係無いように思える企業も⾃自社でITを育てている l  ⼩小売・製造・医療療・⾦金金融・農業・教育 l  ITが企業の競争⼒力力の源泉になりつつある l  各企業が必要とするデータを集められるか、それを活⽤用できるか ⇒ 「ビッグデータ」という名の元に各企業が競争⼒力力を育てている 25
  • 26. 業界の壁がなくなりつつある l  業界毎の壁が消え業界の強みが無くなっている l  情報通信技術が壁を打ち破った l  アップル・アマゾン・グーグルがこれからどれだけの業界 を破壊するのか l  ⾃自分の業界のみを⾒見見ていると、突然⿊黒船が外からやってくる l  気づいた時はもう既に遅く、相⼿手は10年年以上投資している l  例例:スマートフォン l  電話・PC・⾳音楽・地図・TV・カーナビ・スケジューラー・・ l  危機でもあり、チャンスでもある l  ⾃自分たちも他の分野に攻め込むことができるはず l  ⾃自分の強みがどこにあり、どの分野で⽣生かせるのかの視野が重要 26
  • 28. ITは職を奪うのか l  ⼈人間にしかできない仕事が急速に減少しつつある l  産業⽤用ロボット、⾃自動運転、⾃自動警備、教育、医療療、(政治も?) l  過去に無い速度度で社会・産業が変化している l  ⼈人・組織の学習スピードが追いついていない l  企業の変化速度度が追いついていない l  「持続的イノベーションは職をなくすが、破壊的イノベーション は職を⽣生み出す」(Christensen) 28
  • 29. 雇⽤用はなくなるのか(続) l  実際の問題は、必要なところに良良い経済モデルが⽴立立ち上がってい ないのが問題 l  ⼀一部の雇⽤用はむしろ⾜足りない(特に⽇日本は) l  介護 / 医療療 / 教育 l  ⼈人の⽣生活を⽀支える社会インフラを⽀支えるためのIT技術はこれから ますます重要 l  今後必要となるのは l  新しい産業にあったベンチャー育成(社内でも、新企業でも) l  前述のような新しい専⾨門知識識を短期間で⾝身につけられる教育機会 29
  • 30. 新しい企業・組織が育ち続けないといけない l  シリコンバレーでは年年間2万社が創業されている l  これだけのアイディアがそもそも⽇日本で創出されるのか l  アメリカでは新しい会社が毎年年300万⼈人の雇⽤用を⽣生み出し、古い 会社は100万⼈人を失っている l  「新しい価値観」を持った組織がスピードを持って⾏行行動しないと いけない l  研究職が種をもってきて、「後はこれを使ってください」 l  営業職がニーズをもってきて、「これを解決してください」 ではうまくいかない、複数のスキルを持った⼩小さい混合チーム による速い仮説検証・ビジネス化が必要となる 30
  • 32. 個⼈人の働き⽅方 l  変化はより激しく l  業種や職、役割が変わることが普通となる l  次々と新しい専⾨門スキルを⾝身につけることが求められる l  個⼈人間のつながりがより⼤大切切に l  個⼈人の能⼒力力よりも、誰と知り合いか、どんな情報をいち早く知っ ているか、それをどのように解釈するかのスキルが重要に 32
  • 33. 機会がより平等に与えられる l  ⾼高いレベルの教育が平等に与えられる l  男⼥女女が共に働ける l  国を問わず働ける l  何が必要とされているのか、⾃自分をどうアピールするのか 何をしたいのかを考えないといけない 33
  • 35. 最後に (1/2)   こうした世界で⾯面⽩白い仕事をするための⼼心がけ 1.  挑戦⼼心を常に持ち続け、成⻑⾧長し続ける 2.  多様性を尊重し、チームとしての成果を最⼤大化する 3.  ⾼高い品質の製品・サービスを提供し、⾼高い価値を⽣生み出す 4.  顧客を⼤大切切にする 5.  プロとして⾏行行動し、⾃自⽴立立⼼心を持つ 6.  世の中の問題を考え、社会に貢献する 7.  ⼀一流流の⼈人が集まる場を⽬目指す (Preferred Infrastructureの文化のドラフトバージョンより)
  • 36. 最後に(2/2) 技術は世界を変えられる l  技術者⾃自⾝身が「技術が⽣生活を変えられる」ことを 信じていない場合が多くなった l  技術の差異異は関係なく、他の要因が重要と思っている l  実際はそうではない l  技術は⼈人の⽣生活を変えられる l  ⾞車車、電話、無線、インターネット l  ⼈人の⽣生活は変わらないと100年年前から⾔言われているが変わっている l  技術者の世界を変えたいという強い意志が必要 l  可能性を追求する l  ⼈人の話は聞くが何が必要になるかは⾃自分の頭で考える 36