SlideShare una empresa de Scribd logo
1 de 45
Descargar para leer sin conexión
いわゆるマジコンを巡る法的議論の現状


2011年1月22日
IGDA日本 同人・インディーゲーム部会
第8回研究会(SIG-Indie8)
 弁護士 板倉陽一郎
自己紹介
      紹介

             経歴
02年 慶應義塾大学総合政策学部卒
04年 京都大学情報学研究科修士修了
07年 慶應義塾大学法科大学院修了
08年 司法研修所修了,弁護士
  年        修 修  弁
            専門分野
知的財産法,IT関連法,個人情報保護
SIG-Indie第5回研究会では,
         第 回研究会   ,
「同人ゲーム開発者が直面する法律問題」
という講演をしました
   う講演を
アジェンダ

1   マジコンの歴史
2   マジコンの二つの側面
3   マジコンを巡る法的議論
4   おわり
    おわりに
1 マジコンの歴史

ノーガード期(第一期)
ノ ガ ド期(第 期)
 マジコン・・・っていうかダビング
スタンドアロン期(第二期)
 ROMカセット→空カセット
    カ ッ   空カ ッ
 ROMカセット→FD
PC接続期(第三期)
 ROMカセット→HDD
インターネット接続期(第四期)
 ROMイメージ→記録媒体
          記録媒体
MSX用データレコーダ
   HX-C800
   HX C800
ファミリーベーシック用
デ タレコ ダ(HVC 008)
データレコーダ(HVC-008)
ファミリーエース
創 機
創世機ファミー
SFC用マジコン
UFOプロ        サイクロン
R4 Revolution
2 マジコンの二つの側面
          側

①市販ソフトを無料で遊ぶためのマシン
 説明不要

②同人ソフトのプラットフォーム
 ファミコン・・・ROMカセットの製造委託
                 製造
 PS・・・開発環境の提供,低廉化

 自 実現( 俺 作
 自己実現(「俺の作ったファミコン(DS)ソ
             ァ   ( )ソ
 フト!」)
 実利(入社前
 実利(入社前から開発能力をアピール)
         開発能 を       )
クインティ
DSマジコン用同人ゲーム
ハーフエルフ触手陵辱DS(未発売)
        陵辱    発
3 マジコンを巡る法的議論
         法 議論

 3-1
 3 1 マジコンに対する現行法の規制
 3-2 知的財産推進計画2010とACTA
 3-3 文化審議会著作権分科会法政問題
   小委員会技術的保護手段WTの議論
 3-4 産業構造審議会知的財産政策部会
   技術的制限手段に係る規制の在り方に
   関する小委員会の議論
 35
 3-5 マジコンに対する新たな規制のまとめ
3-1 マジコンに対する現行法の規制
            す   法 規




文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 平成21・22年度 報告書(案)43頁より引用
不正競争防止法上のアクセスコント
 ロール規制はマジコンに及ぶか
 ロ ル規制はマジコンに及ぶか
   東京地判平成21年2月27日平成20年(ワ)
   第20886号,同35745号事件
    いわゆるDSマジコン訴訟


   事案の概要
   任天堂及びサードパーティがR4 Revolutionを
   任天堂及びサ ド  ティがR4
   輸入販売する業者に対し,不正競争防止法に基
   づき輸入・販売等の差止め及び在庫品の廃棄を
   求めた事案。
      事
                差止め

       他50社以上
定義 技
定義(技術的制限手段)
       限
「技術的制限手段」(不正競争防止法2条7項)
 この法律において「技術的制限手段」とは,電磁的方法(
 電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によって認
 識することができない方法をいう。)により影像若しくは音
 の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプ
 ログラムの記録を制限する手段であって,視聴等機器(
  グラムの記録を制限する手段であって,視聴等機器(
 影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影
 像,音若しくはプログラムの記録のために用いられる機
 器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像,
 器をいう 以下同じ )が特定の反応をする信号を影像
 音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し,若しくは
 送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とす
 るよう影像,音若しくはプログラムを変換して記録媒体に
 るよう影像 音若しくはプログラムを変換して記録媒体に
 記録し,若しくは送信する方式によるものをいう。
定義
  定義(不正競争)
       競
「不正競争」(不正競争防止法2条1項各号)
十 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の
  者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラム
  の実行又は影像,音若しくはプログラムの記録をさせな
  の実行又は影像 音若しくはプログラムの記録をさせな
  いために用いているものを除く。)により制限されている
  影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影
  像,音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段
  像 音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段
  の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する
  装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該
  機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプロ
  グラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒
  体若しくは記憶した機器を譲渡し,引き渡し,譲渡若しく
  は引渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入し,又は
  は引渡しのために展示し 輸出し 若しくは輸入し 又は
  当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じ
  て提供する行為
いわゆる技術的制限手段回避装置提供行為
定義
定義(不正競争・続)
     競  続
十
十一 他人が特定の者以外の者に影像若しくは音
  の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音
  若しくはプログラムの記録をさせないために営
  業上用いている技術的制限手段により制限さ
  れている影像若しくは音の視聴若しくはプログ
  ラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの
  記録を当該技術的制限手段の効果を妨げるこ
  とにより可能とする機能のみを有する装置(当
  該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当
  該機能のみを有するプログラム(当該プログラ
  ムが他のプログラムと組み合わされたものを含
  む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器
  を当該特定の者以外の者に譲渡し,引き渡し,
  を当該特定の者以外の者に譲渡し 引き渡し
  譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,若
  しくは輸入し,又は当該機能のみを有するプロ
  グラムを電気通信回線を通じて提供する行為
経済産業省知的財産政策室「不正競争防止法の概要」25頁より引用
争点
争点
 ①DSのソフトに施されたマジコン対策が
 不正競争防止法上の「技術的制限手段」
    競争防止法上 「技術的制限手段
 (2条7項)に該当するか。
 ②R4 Revolutionは技術的制限手段を無
 効化する機能「のみ」(2条1項10号)を有
 するといえるか。
 ③任天堂やサ ド
 ③任天堂やサードパーティの営業上の利
                 ティの営業 の利
 益(3条)は侵害されたか。
①DSのソフトに施されたマジコン対策が不正競
争防止法上の「技術的制限手段」に該当するか
    …不正競争防止法2条1項10号の立法趣旨と,
     不正競争防止法2条1項10号の立法趣旨と
    無効化機器の1つであるMODチップを規制の対
    象としたという立法経緯に照らすと,不正競争防
    止法2条7項の「技術的制限手段」とは,コンテン
    ツ提供事業者が,コンテンツの保護のために,コン
    テンツの無断複製や無断視聴等を防止するため
        無 複製 無 視聴等を防 す
    に視聴等機器が特定の反応を示す信号等をコン
    テンツとともに記録媒体に記録等することにより,
    テンツとともに記録媒体に記録等することにより
    コンテンツの無断複製や無断視聴等を制限する電
    磁 方法を 味す
    磁的方法を意味するものと考えられ,検知→制限
                考    ,検  制限
    方式のものだけでなく,検知→可能方式のものも
    含むと解される。
②R4 Revolutionは技術的制限手段を無
効化する機能「のみ」を有するといえるか
    不正競争防止法2条1項10号の「のみ」は,必要最小限の
    不正競争防止法2条1項10号の「のみ」は 必要最小限の
    規制という観点から,規制の対象となる機器等を,管理技術
    の無効化を専らその機能とするものとして提供されたものに
    限定し,別の目的で製造され提供されている装置等が偶然
    「妨げる機能」を有している場合を除外していると解釈するこ
    とができ,これを具体的機器等で説明すると,MODチップは
       」要件 満  ,      う   機
    「のみ」要件を満たし,パソコンのような汎用機器等及び無反
    応機器は「のみ」要件を満たさないと解釈することができる。
    …被告装置は,以上のように解された不正競争防止法2条
    1項10号の「のみ」要件を満たしている。
    数多くのインターネット上のサイトに極めて多数の本件吸い
    出しプログラムがアップロードされており,だれでも容易にダ
                       装
    ウンロードすることができること,被告装置の大部分が,そし
    て大部分の場合に,本件吸い出しプログラムを使用するた
    めに用いられていることが認められ,被告装置が専ら自主
    制作ソフト等の実行を機能とするが,偶然「妨げる機能」を
    有しているにすぎないと認めることは到底できないものであ
            ぎ
    る。
③任天堂やサードパーティの営業上
   の利益は侵害されたか
   数多くのインターネット上のサイトで極めて多数の
   数多くのインタ ネット上のサイトで極めて多数の
   本件吸い出しプログラムがアップロードされており,
   だれでも容易にダウン
   だれでも容易にダウンロードすることができ,被告
                ドする とができ,被告
   装置の大部分が,そして大部分の場合に,本件吸
   い出しプログラムを使用するために用いられてい
   るものであるから,被告装置により,原告らは,D
    も  あ    被告装       告
   Sカードの製造販売業者として,本来販売できた
   はずのDSカードが販売できなくなり,現実に営業
   はずのDSカードが販売できなくなり 現実に営業
   上の利益を侵害されているものと認められる。原
   告任天堂は,
   告任天堂は,DS本体の製造販売業者としても,
           本体の製造販売業者としても,
   原告仕組みの技術的制限手段が妨げられてその
   対策を講じることを余儀なくされ,現実に営業上の
   利益を侵害されているものと認められる。
   利益を侵害され   るも と認められる
3-2 知的財産推進計画2010とACTA
      財産推

    知的財産推進計画2010
     ・アクセスコントロールの回避機器の氾濫
      によってコンテンツ産業に大きな被害
      によ て ンテンツ産業に大きな被害
     ・特にゲーム業界ではマジコンと呼ばれる
      回避機器を用いた違法ゲームソフトの利
      用により多大な被害
     ・アクセスコントロール回避規制の強化を
      短期的課題 位置 ける
      短期的課題に位置づける
     ・担当は文科省・経産省・財務省
ACTA
ACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約)
ACTA(模倣品 海賊版拡散防止条約)
 ・2010年10月に大筋合意
 ・効果的な技術的手段の回避への措置に
  つき,アクセスコントロール回避規制に
  対する取組をより強化するべきとの方向
3-3 文化審議会著作権分科会法政問題
 小委員会技術的保護手段WGの議論
   現状
   • デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い,著作
     物等を取り巻く環境が急激に変化し P2P ソフ
     物等を取り巻く環境が急激に変化し,P2P
     トを用いたファイル交換により違法複製されたコ
     ンテンツがネット上にあふれるなど,著作物等
     の違法利用が常態化する一方で,違法利用全
     体の捕捉,摘発が現実的には難しく,著作権,
     とりわけネット上の利用に係る権利(複製権,公
     とりわけネ ト上の利用に係る権利(複製権 公
     衆送信権など)の実効性の低下が強く指摘され
     ており,こうした違法複製 違法流通による利用
     ており こうした違法複製・違法流通による利用
     を防ぐためにも,著作物等の保護技術は著作
     権者等が対価を回収する上で必要不可欠な技
     術となっている。
議論 概要
   議論の概要

保護技術の実態と評価
音楽・映像の保護技術(暗号型,非暗号型)
ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術

①技術的保護手段の定義規定等の見直し
②技術的保護手段の見直しに伴う回避規制のあ
 り方(回避機器規制と回避行為規制)
  方  避機器規制と 避行為規制
③規制の手段(民事,刑事)
ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術と評価

   ゲ ム機 ゲ ムソフト用の保護技術
   ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術
    (実態)
   ゲーム機本体にセキュリティを施すとともに,正規のゲーム
   ソフトに当該セキュリティに適合する信号を付し,当該信号に
   ソフトに当該セキュリティに適合する信号を付し 当該信号に
   よりゲームを起動させる技術が施されている。
    (評価)
   ゲ ムソフトの媒体によっては,複製そのものを防止するこ
   ゲームソフトの媒体によっては 複製そのものを防止するこ
   とはできないものがあるものの,ゲーム機本体に施されたセ
   キュリティと,ゲームソフトの媒体に付された信号を適合させ
   るという「技術」が社会的にどのように「機能」しているかとい
   う観点から評価を行えば,違法に複製され,さらに違法にア
   う観点から評価を行えば 違法に複製され さらに違法にア
   ップロード(送信可能化,自動公衆送信)されたゲームソフト
   を,単にダウンロード(複製)するだけでは,当該違法複製物
   にはゲ ム機本体にあるセキュリティに適合する信号までは
   にはゲーム機本体にあるセキュリティに適合する信号までは
   複製されず,結果としてゲーム機で使用することのできない
   ,意味の無い不完全な複製とすることにより,アップロードの
   際に行われる違法な複製等を抑止する保護技術と評価でき
   ,技術的保護手段の対象として位置付けることが適当
    技術的保護手段の対象として位置付けることが適当
文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ概要」より引用
①技術的保護手段の定義規定等の見直し

   「技術的保護手段」(著作権法2条1項20号)
   「電磁的方法により,著作権等を侵害する行為の防止又は
    抑止する手段」で,「著作権者等の意思に基づいて用い
    られているもの」であって,「機器が反応する信号を著作
    物等とともに記録・送信する方式」


   「手段」
    擬似シンク ルス方式を念頭
    擬似シンクパルス方式を念頭
   →見直し必要
   「方式」
    SCMS,CGMS,擬似シンクパルス方式を念頭
   →見直し必要
②技術的保護手段の見直しに伴う回避規
      制のあり方
   回避機器規制
    回避を伴う利用の際に用いられる回避装置等は,たとえ一
     台であっても大量の回避を伴う利用を可能とし,かつ,こ
     れらの回避装置等が大量に社会に出回ることになると,
     社会全体として著作権者等に与える被害は深刻なものと
     なるため,現行の著作権法において,回避装置等の製造
     なるため 現行の著作権法において 回避装置等の製造
     等に対しては刑事罰が科されている
   →見直し不要


   回避行為規制
   視聴等は支分権侵害行為にあたらず
   →見直し不要
同人ソフトプラットフォーム機能への言及

   WT中間まとめには記載されていなかった
    が,小委員会報告書(案)で記載。

    ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術に関しては
    ,回避装置等を用いて自主制作ソフトを使用す
    る場合があるが,先述した規制の必要性の高
    さや実効性の確保の観点から,基本的に規制
    さや実効性の確保の観点から 基本的に規制
    そのものに例外を設けるのではなく,法の適用
    に当たって当該回避装置等が社会実態上どの
    ように用いられているか等を総合的に勘案して
    判断されるものと考えられる。
③規
  ③規制の手段

民事的救済
被侵害者が特定できず,特別な民事的救済に係
る規定を置くことは困難。
る規定を置くことは困難
差止請求権(著作権法112条)や損害賠償(民法
709条)の範囲で救済。


刑事罰
著作者等全体の利益が著しく損なわれることを
防
防止。非親告罪。権利侵害罪より軽い3年以下
   非    罪    罪
の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれら
併科(120条の2)
→見直し不要
 見直し不要
同人ソフトプラットフォーム機能へ言及




文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ概要」より引用
3-4 産業構造審議会知的財産政策部会技術的制限
 手段に係る規制の在り方に関する小委員会の議論


    (1)規制対象装置等の見直し(「のみ」要件
      の見直し)
    (2)ユーザーの回避行為の規制
    ( )  ザ の回避行為の規制
    (3)技術的制限手段回避装置等の製造行
      為と回避サービスの提供行為の規制
    ( )技術的制限手段回避装置等の提供行
    (4)技術的制限手段回避装置等の提供行
      為の刑事罰の導入
    (5)技術的制限手段回避装置等に対する
      水際措置の導入
(1)規制対象装置等の見直し(「のみ」要件の見直し)


     現行法
     対象となる装置等の範囲について,「技術的制
     限手段を回避する機能のみを有する装置等」と
     されており「のみ」要件
     必要最小限の規制内容,当時の問題状況
     課題
     技術 制限手段を回避す 機能 他 ,追
     技術的制限手段を回避する機能の他に,追加的
     に他の機能が付されているために「のみ」要件
     を欠くと称する装置等が氾濫(マジコン名指し)
     検討
      「のみ」要件を見直すに当たっては,「専ら」要
      件の方向で検討を進めることが妥当
(2)ユーザーの回避行為の規制
             規
  現行法
  個々の技術的制限手段の回避行為自体については規制
   対象として規定していない
  被害が限定的,個々の無効化行為を一件ずつ捕捉し,民
   事訴訟の対象とすることは困難
  課題
  技術的制限手段を回避する装置等の氾濫が認められ,そ
   れに伴う個人による技術的制限手段の回避行為が横行
  検討
  個々の技術的制限手段の回避行為そのものを不正競争
   防止法における規制の対象とするかどうかについては,
   引き続き消極に解することが適当(啓発は進める)
(3)技術的制限手段回避装置等の製造行
  為と回避サービスの提供行為の規制
  為と回避サ ビスの提供行為の規制
   現行法
    技術的制限手段を回避する装置等の製造行為自体につい
     ては規制対象として規定していない
   課題
    技術的制限手段回避装置等の氾濫が認められるところ,こ
     れらの装置等(マジコンやモッドチップ)は主に中国など
     の海外で製造されている。 しかしながら,今後,日本国
     の海外で製造されている しかしながら 今後 日本国
     内で製造行為が行われる可能性があり,このような回避
     装置等が一旦製造されれば,国内の無数の販売業者に
     大きく拡散し,事業者は回復不能な損害を被るおそれも
     大きく拡散し 事業者は回復不能な損害を被るおそれも
     ある。
   検討
    技術的制限手段回避装置等の製造行為については,既存
     の法令によって一定程度の対応が可能であり,今後とも
     回避装置等の国内での製造実態とこれに伴う影響等を
     注視しながら対応を検討することが適当
(3)技術的制限手段回避装置等の製造行
為と回避サービスの提供行為の規制(続)
為と回避サ ビスの提供行為の規制(続)
   現行法
    回避サービスの提供行為自体については規制
     対象として規定していない
   課題
    技術的制限手段を回避するための機能を発現さ
     せるための装置やプログラム等の導入に関して
     ,特殊な機能を有する装置や特別な知識を要
     する場合があることから,個人の利用者に代わ
     って行う事業者が出現している
    Cf.携帯電話のバックアップ時の着うた
   検討
    技術的制限手段の回避サービスにつき不正競
     争防止法において独立して規制の対象とする
     かどうかに いては,消極に解する とが適当
     かどうかについては,消極に解することが適当
(4)技術的制限手段回避装置等の提供行
      為の刑事罰の導入
   現行法
    技術的制限手段を回避する装置等の提供行為民事的な
     救済にとどまり(同法第3条及び第4条),刑事罰の対象と
     していない
   課題
    我が国では,未だに技術的制限手段の効果を妨げるため
     の装置等が露天等でゲリラ的に販売されている事実が多
     発している。また,ネットショップの開設やオークションへ
     の出品など匿名性の高いインターネット上で売買がなさ
     れることも多い。
     れることも多い
    露天販売は相手方が特定できず,暴力団とも関係
    ネット販売は店舗情報を記載していない
   検討
    現行不正競争防止法第2条第1項第10号及び第11号の規
     定の見直しが検討されることを前提に, 定の悪質な行
     定の見直しが検討されることを前提に 一定の悪質な行
     為に限定して刑事罰の対象とする方向で検討
(5)技術的制限手段回避装置等に対する
       水際措置の導入
   現行法
    関税法では,不正競争防止法第2条第1項第10号及び第
     11号に違反する物品(以下「技術的制限手段回避装置
     等」という。)については規定しておらず,技術的制限手
     段回避装置等は輸出してはならない貨物及び輸入しては
     段 避装置等 輸出     ならな 貨物 び輸
     ならない貨物(以下「輸出入禁止品」という。)とはされて
     いない。
   課題
    インターネット等情報技術の発達による瞬時の情報の流通
     ,近隣アジア諸国の技術力の向上によって,とりわけ中
     国などの海外で製造されている技術的制限手段回避装
     置等による被害が深刻化している。特に,これらの技術
     的制限手段回避装置等の取引の手口は,インターネット
     を通じた小口化により,特定が難しくなっており,かつ,こ
     のような技術的制限手段回避装置等の販売には,犯罪
       ような技術的制限手段回避装置等 販売には 犯罪
     組織が関与していることもあると考えられている。
   検討
    水際措置を導入することが極めて有効。
    水際措置を導入することが極めて有効
3-5 マジコンに対する新たな規制のまとめ
 ※現時点での公表資料ベースで講演者が作成したため,必ずしも正確ではないことがありうる
 ※現時点での公表資料ベースで講演者が作成したため 必ずしも正確ではないことがありうる

   内閣官房                      国際関係

     知的財産推進計画2010        模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)
      (2010年5月21日)          (2010年10月大筋合意)


 文部科学省
                     経済産業省     財務省
 (文化庁)
文化審議会                産業構造審議会
 著作権分科会法政問題小委員会       知的財産政策部会 技術的制限手段に係る
  平成21 22年度報告書」(案)
 「平成21・22年度報告書」(案)    規制の在り方に関する小委員会
 (2011年1月17日資料)       「技術的制限手段に係る不正競争防止法の
技術的保護手段中間まとめはPC済み
                      見直しの方向性について」(案)
                      (2010年12月17日資料)
  著作権法                不正競争防止法・関税法
  改正案                     改正案
技術的保護手段の定義規定等見直し     ①「のみ」要件,②刑事罰,③水際措置
                     ①「のみ」要件 ②刑事罰 ③水際措置

  第177回国会(通常国会,平成23年1月24日召集)に提出され審議
おわりに
     わ

マジコン規制は国内政策,国際関係の両
マジコン規制は国内政策 国際関係の両
 面からの流れ。

マジコンの二つの側面のうち,同人ソフトの
 プラットフォームとしての機能は裁判例
 (DSマジコン訴訟)でも立法過程(文化
 庁 のパブコメ意見)でも主張された。
 庁へのパブコメ意見)でも主張された。

同人ゲーム開発者としても,正当な利益と
同人ゲーム開発者としても 正当な利益と
 信ずるところがあれば,立法過程に食い
 込んでいくことが重要。

Más contenido relacionado

Similar a いわゆるマジコンを巡る法的議論の現状

IT化と1億総クリエイター化:知的財産権制度についての近い未来の話
IT化と1億総クリエイター化:知的財産権制度についての近い未来の話IT化と1億総クリエイター化:知的財産権制度についての近い未来の話
IT化と1億総クリエイター化:知的財産権制度についての近い未来の話Tohru Yoshioka-Kobayashi
 
Open licensing for 3D CG data
Open licensing for 3D CG data Open licensing for 3D CG data
Open licensing for 3D CG data Tomoaki Watanabe
 
#011 米国連邦政府のR&D戦略-
#011 米国連邦政府のR&D戦略-#011 米国連邦政府のR&D戦略-
#011 米国連邦政府のR&D戦略-Katsuhide Hirai
 
TPP合意と今後の知的財産分野への影響と問題点
TPP合意と今後の知的財産分野への影響と問題点TPP合意と今後の知的財産分野への影響と問題点
TPP合意と今後の知的財産分野への影響と問題点Keisuke Katsuki
 
2023inLaw_SystemDevelopment_tanaka.pdf
2023inLaw_SystemDevelopment_tanaka.pdf2023inLaw_SystemDevelopment_tanaka.pdf
2023inLaw_SystemDevelopment_tanaka.pdfMasahiro Ito
 
知っててもいいかもしれない知財のこと
知っててもいいかもしれない知財のこと知っててもいいかもしれない知財のこと
知っててもいいかもしれない知財のことDeNA
 
Otsuma(2010629)
Otsuma(2010629)Otsuma(2010629)
Otsuma(2010629)真 岡本
 
Blockchain EXE Legal #2 : 「個人情報保護」とはどのようなルールか(高松志直, 永井利幸 | 片岡総合法律事務所)
Blockchain EXE Legal #2 : 「個人情報保護」とはどのようなルールか(高松志直, 永井利幸 | 片岡総合法律事務所)Blockchain EXE Legal #2 : 「個人情報保護」とはどのようなルールか(高松志直, 永井利幸 | 片岡総合法律事務所)
Blockchain EXE Legal #2 : 「個人情報保護」とはどのようなルールか(高松志直, 永井利幸 | 片岡総合法律事務所)blockchainexe
 
Blockchain EXE Nagoya #1:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ管理技術の開発(永井 崇之 / 日立製作所)
Blockchain EXE Nagoya #1:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ管理技術の開発(永井 崇之 / 日立製作所)Blockchain EXE Nagoya #1:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ管理技術の開発(永井 崇之 / 日立製作所)
Blockchain EXE Nagoya #1:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ管理技術の開発(永井 崇之 / 日立製作所)blockchainexe
 
20100617 seminar
20100617 seminar20100617 seminar
20100617 seminarNANAROQ
 
IoT/M2Mのセキュリティ  ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~
IoT/M2Mのセキュリティ  ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~IoT/M2Mのセキュリティ  ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~
IoT/M2Mのセキュリティ  ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~Yukio Kubo
 
SORACOM Technology Camp 2018 ベーシックトラック2 | そのデバイス、どうしたらIoT化できますか?事例に見るセンサー/デバイ...
SORACOM Technology Camp 2018 ベーシックトラック2 | そのデバイス、どうしたらIoT化できますか?事例に見るセンサー/デバイ...SORACOM Technology Camp 2018 ベーシックトラック2 | そのデバイス、どうしたらIoT化できますか?事例に見るセンサー/デバイ...
SORACOM Technology Camp 2018 ベーシックトラック2 | そのデバイス、どうしたらIoT化できますか?事例に見るセンサー/デバイ...SORACOM,INC
 
アップルの特許に見るUI特許のポイント
アップルの特許に見るUI特許のポイントアップルの特許に見るUI特許のポイント
アップルの特許に見るUI特許のポイントkurikiyo
 
2013年度enPiT特設講義-iisec-2013-11-09-セキュアシステムのインターネットと SNS上での構築とその課題
2013年度enPiT特設講義-iisec-2013-11-09-セキュアシステムのインターネットとSNS上での構築とその課題2013年度enPiT特設講義-iisec-2013-11-09-セキュアシステムのインターネットとSNS上での構築とその課題
2013年度enPiT特設講義-iisec-2013-11-09-セキュアシステムのインターネットと SNS上での構築とその課題Ruo Ando
 
ウェアラブル時代到来! ~先行企業の活用事例と今後の展望~
ウェアラブル時代到来! ~先行企業の活用事例と今後の展望~ウェアラブル時代到来! ~先行企業の活用事例と今後の展望~
ウェアラブル時代到来! ~先行企業の活用事例と今後の展望~Takashi Ohmoto
 
細工された製品が突然牙をむく「サプライチェーン攻撃」の脅威
細工された製品が突然牙をむく「サプライチェーン攻撃」の脅威細工された製品が突然牙をむく「サプライチェーン攻撃」の脅威
細工された製品が突然牙をむく「サプライチェーン攻撃」の脅威Noriaki Hayashi
 
1-コンテナセキュリティの勘所
1-コンテナセキュリティの勘所1-コンテナセキュリティの勘所
1-コンテナセキュリティの勘所KotaSato3
 
BitVisor Summit 3 「BitVisorの現状と今後」
BitVisor Summit 3 「BitVisorの現状と今後」BitVisor Summit 3 「BitVisorの現状と今後」
BitVisor Summit 3 「BitVisorの現状と今後」Takahiro Shinagawa
 

Similar a いわゆるマジコンを巡る法的議論の現状 (20)

IT化と1億総クリエイター化:知的財産権制度についての近い未来の話
IT化と1億総クリエイター化:知的財産権制度についての近い未来の話IT化と1億総クリエイター化:知的財産権制度についての近い未来の話
IT化と1億総クリエイター化:知的財産権制度についての近い未来の話
 
Open licensing for 3D CG data
Open licensing for 3D CG data Open licensing for 3D CG data
Open licensing for 3D CG data
 
#011 米国連邦政府のR&D戦略-
#011 米国連邦政府のR&D戦略-#011 米国連邦政府のR&D戦略-
#011 米国連邦政府のR&D戦略-
 
TPP合意と今後の知的財産分野への影響と問題点
TPP合意と今後の知的財産分野への影響と問題点TPP合意と今後の知的財産分野への影響と問題点
TPP合意と今後の知的財産分野への影響と問題点
 
2023inLaw_SystemDevelopment_tanaka.pdf
2023inLaw_SystemDevelopment_tanaka.pdf2023inLaw_SystemDevelopment_tanaka.pdf
2023inLaw_SystemDevelopment_tanaka.pdf
 
知っててもいいかもしれない知財のこと
知っててもいいかもしれない知財のこと知っててもいいかもしれない知財のこと
知っててもいいかもしれない知財のこと
 
Otsuma(2010629)
Otsuma(2010629)Otsuma(2010629)
Otsuma(2010629)
 
Blockchain EXE Legal #2 : 「個人情報保護」とはどのようなルールか(高松志直, 永井利幸 | 片岡総合法律事務所)
Blockchain EXE Legal #2 : 「個人情報保護」とはどのようなルールか(高松志直, 永井利幸 | 片岡総合法律事務所)Blockchain EXE Legal #2 : 「個人情報保護」とはどのようなルールか(高松志直, 永井利幸 | 片岡総合法律事務所)
Blockchain EXE Legal #2 : 「個人情報保護」とはどのようなルールか(高松志直, 永井利幸 | 片岡総合法律事務所)
 
Iot literacy no.5
Iot literacy no.5Iot literacy no.5
Iot literacy no.5
 
Blockchain EXE Nagoya #1:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ管理技術の開発(永井 崇之 / 日立製作所)
Blockchain EXE Nagoya #1:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ管理技術の開発(永井 崇之 / 日立製作所)Blockchain EXE Nagoya #1:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ管理技術の開発(永井 崇之 / 日立製作所)
Blockchain EXE Nagoya #1:ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ管理技術の開発(永井 崇之 / 日立製作所)
 
20100617 seminar
20100617 seminar20100617 seminar
20100617 seminar
 
IoT/M2Mのセキュリティ  ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~
IoT/M2Mのセキュリティ  ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~IoT/M2Mのセキュリティ  ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~
IoT/M2Mのセキュリティ  ~こんなはずじゃ!orz になる前に知っておきたい IoT/M2Mの落とし穴~
 
SORACOM Technology Camp 2018 ベーシックトラック2 | そのデバイス、どうしたらIoT化できますか?事例に見るセンサー/デバイ...
SORACOM Technology Camp 2018 ベーシックトラック2 | そのデバイス、どうしたらIoT化できますか?事例に見るセンサー/デバイ...SORACOM Technology Camp 2018 ベーシックトラック2 | そのデバイス、どうしたらIoT化できますか?事例に見るセンサー/デバイ...
SORACOM Technology Camp 2018 ベーシックトラック2 | そのデバイス、どうしたらIoT化できますか?事例に見るセンサー/デバイ...
 
アップルの特許に見るUI特許のポイント
アップルの特許に見るUI特許のポイントアップルの特許に見るUI特許のポイント
アップルの特許に見るUI特許のポイント
 
2013年度enPiT特設講義-iisec-2013-11-09-セキュアシステムのインターネットと SNS上での構築とその課題
2013年度enPiT特設講義-iisec-2013-11-09-セキュアシステムのインターネットとSNS上での構築とその課題2013年度enPiT特設講義-iisec-2013-11-09-セキュアシステムのインターネットとSNS上での構築とその課題
2013年度enPiT特設講義-iisec-2013-11-09-セキュアシステムのインターネットと SNS上での構築とその課題
 
ウェアラブル時代到来! ~先行企業の活用事例と今後の展望~
ウェアラブル時代到来! ~先行企業の活用事例と今後の展望~ウェアラブル時代到来! ~先行企業の活用事例と今後の展望~
ウェアラブル時代到来! ~先行企業の活用事例と今後の展望~
 
細工された製品が突然牙をむく「サプライチェーン攻撃」の脅威
細工された製品が突然牙をむく「サプライチェーン攻撃」の脅威細工された製品が突然牙をむく「サプライチェーン攻撃」の脅威
細工された製品が突然牙をむく「サプライチェーン攻撃」の脅威
 
SIerからみたHyperledger Fabric
SIerからみたHyperledger FabricSIerからみたHyperledger Fabric
SIerからみたHyperledger Fabric
 
1-コンテナセキュリティの勘所
1-コンテナセキュリティの勘所1-コンテナセキュリティの勘所
1-コンテナセキュリティの勘所
 
BitVisor Summit 3 「BitVisorの現状と今後」
BitVisor Summit 3 「BitVisorの現状と今後」BitVisor Summit 3 「BitVisorの現状と今後」
BitVisor Summit 3 「BitVisorの現状と今後」
 

Más de IGDA Japan

PSM向けノベルゲームの開発の課題_サークルやまどん
PSM向けノベルゲームの開発の課題_サークルやまどんPSM向けノベルゲームの開発の課題_サークルやまどん
PSM向けノベルゲームの開発の課題_サークルやまどんIGDA Japan
 
PlayStation Mobileで多言語ノベルゲームを作る_ぜろじげん
PlayStation Mobileで多言語ノベルゲームを作る_ぜろじげんPlayStation Mobileで多言語ノベルゲームを作る_ぜろじげん
PlayStation Mobileで多言語ノベルゲームを作る_ぜろじげんIGDA Japan
 
PSMとXNA~とある同人サークルの一存~_こびとスタジオ
PSMとXNA~とある同人サークルの一存~_こびとスタジオPSMとXNA~とある同人サークルの一存~_こびとスタジオ
PSMとXNA~とある同人サークルの一存~_こびとスタジオIGDA Japan
 
『僕は森世界の神になる』がPlayStation Mobileで発売されるまでの流れ_神奈川電子技術研究所
『僕は森世界の神になる』がPlayStation Mobileで発売されるまでの流れ_神奈川電子技術研究所『僕は森世界の神になる』がPlayStation Mobileで発売されるまでの流れ_神奈川電子技術研究所
『僕は森世界の神になる』がPlayStation Mobileで発売されるまでの流れ_神奈川電子技術研究所IGDA Japan
 
PlayStation Mobile現況および今後の展開について_SCE
PlayStation Mobile現況および今後の展開について_SCEPlayStation Mobile現況および今後の展開について_SCE
PlayStation Mobile現況および今後の展開について_SCEIGDA Japan
 
ソシャゲと家庭用のユーザーの違いと重なり_小山友介
ソシャゲと家庭用のユーザーの違いと重なり_小山友介ソシャゲと家庭用のユーザーの違いと重なり_小山友介
ソシャゲと家庭用のユーザーの違いと重なり_小山友介IGDA Japan
 
SIG-INDIE10_「PlayStation Mobileの現状と可能性」_概要_七邊信重
SIG-INDIE10_「PlayStation Mobileの現状と可能性」_概要_七邊信重SIG-INDIE10_「PlayStation Mobileの現状と可能性」_概要_七邊信重
SIG-INDIE10_「PlayStation Mobileの現状と可能性」_概要_七邊信重IGDA Japan
 
120915 sig indie9
120915 sig indie9120915 sig indie9
120915 sig indie9IGDA Japan
 
[120915] igda sig indie9
[120915] igda sig indie9[120915] igda sig indie9
[120915] igda sig indie9IGDA Japan
 
東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイ
東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイ東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイ
東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイIGDA Japan
 
Global Game Jam 2011 プレビュー
Global Game Jam 2011 プレビューGlobal Game Jam 2011 プレビュー
Global Game Jam 2011 プレビューIGDA Japan
 
110122 ぜろじげん講演会資料 配布用
110122 ぜろじげん講演会資料 配布用110122 ぜろじげん講演会資料 配布用
110122 ぜろじげん講演会資料 配布用IGDA Japan
 
110122 sig indie8趣旨説明・ディスカッション
110122 sig indie8趣旨説明・ディスカッション110122 sig indie8趣旨説明・ディスカッション
110122 sig indie8趣旨説明・ディスカッションIGDA Japan
 
日本のポピュラー音楽に見るインディーズの成立条件
日本のポピュラー音楽に見るインディーズの成立条件日本のポピュラー音楽に見るインディーズの成立条件
日本のポピュラー音楽に見るインディーズの成立条件IGDA Japan
 
商業視点から見た、同人と商業の違い
商業視点から見た、同人と商業の違い商業視点から見た、同人と商業の違い
商業視点から見た、同人と商業の違いIGDA Japan
 
実践事例から学ぶプロデュース・PR術
実践事例から学ぶプロデュース・PR術実践事例から学ぶプロデュース・PR術
実践事例から学ぶプロデュース・PR術IGDA Japan
 
AI(エーアイ)は世界を変える! 同人ゲーム24時間USTREAM放送イベント
AI(エーアイ)は世界を変える! 同人ゲーム24時間USTREAM放送イベントAI(エーアイ)は世界を変える! 同人ゲーム24時間USTREAM放送イベント
AI(エーアイ)は世界を変える! 同人ゲーム24時間USTREAM放送イベントIGDA Japan
 
インディーズ作品だからこそできる事
インディーズ作品だからこそできる事インディーズ作品だからこそできる事
インディーズ作品だからこそできる事IGDA Japan
 
同人ゲーム制作支援からの四方山話 2
同人ゲーム制作支援からの四方山話 2同人ゲーム制作支援からの四方山話 2
同人ゲーム制作支援からの四方山話 2IGDA Japan
 
RebRankなゲーム制作・Re:Blankなゲームデザイン
RebRankなゲーム制作・Re:BlankなゲームデザインRebRankなゲーム制作・Re:Blankなゲームデザイン
RebRankなゲーム制作・Re:BlankなゲームデザインIGDA Japan
 

Más de IGDA Japan (20)

PSM向けノベルゲームの開発の課題_サークルやまどん
PSM向けノベルゲームの開発の課題_サークルやまどんPSM向けノベルゲームの開発の課題_サークルやまどん
PSM向けノベルゲームの開発の課題_サークルやまどん
 
PlayStation Mobileで多言語ノベルゲームを作る_ぜろじげん
PlayStation Mobileで多言語ノベルゲームを作る_ぜろじげんPlayStation Mobileで多言語ノベルゲームを作る_ぜろじげん
PlayStation Mobileで多言語ノベルゲームを作る_ぜろじげん
 
PSMとXNA~とある同人サークルの一存~_こびとスタジオ
PSMとXNA~とある同人サークルの一存~_こびとスタジオPSMとXNA~とある同人サークルの一存~_こびとスタジオ
PSMとXNA~とある同人サークルの一存~_こびとスタジオ
 
『僕は森世界の神になる』がPlayStation Mobileで発売されるまでの流れ_神奈川電子技術研究所
『僕は森世界の神になる』がPlayStation Mobileで発売されるまでの流れ_神奈川電子技術研究所『僕は森世界の神になる』がPlayStation Mobileで発売されるまでの流れ_神奈川電子技術研究所
『僕は森世界の神になる』がPlayStation Mobileで発売されるまでの流れ_神奈川電子技術研究所
 
PlayStation Mobile現況および今後の展開について_SCE
PlayStation Mobile現況および今後の展開について_SCEPlayStation Mobile現況および今後の展開について_SCE
PlayStation Mobile現況および今後の展開について_SCE
 
ソシャゲと家庭用のユーザーの違いと重なり_小山友介
ソシャゲと家庭用のユーザーの違いと重なり_小山友介ソシャゲと家庭用のユーザーの違いと重なり_小山友介
ソシャゲと家庭用のユーザーの違いと重なり_小山友介
 
SIG-INDIE10_「PlayStation Mobileの現状と可能性」_概要_七邊信重
SIG-INDIE10_「PlayStation Mobileの現状と可能性」_概要_七邊信重SIG-INDIE10_「PlayStation Mobileの現状と可能性」_概要_七邊信重
SIG-INDIE10_「PlayStation Mobileの現状と可能性」_概要_七邊信重
 
120915 sig indie9
120915 sig indie9120915 sig indie9
120915 sig indie9
 
[120915] igda sig indie9
[120915] igda sig indie9[120915] igda sig indie9
[120915] igda sig indie9
 
東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイ
東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイ東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイ
東方Projectにみる弾幕演出とゲームプレイ
 
Global Game Jam 2011 プレビュー
Global Game Jam 2011 プレビューGlobal Game Jam 2011 プレビュー
Global Game Jam 2011 プレビュー
 
110122 ぜろじげん講演会資料 配布用
110122 ぜろじげん講演会資料 配布用110122 ぜろじげん講演会資料 配布用
110122 ぜろじげん講演会資料 配布用
 
110122 sig indie8趣旨説明・ディスカッション
110122 sig indie8趣旨説明・ディスカッション110122 sig indie8趣旨説明・ディスカッション
110122 sig indie8趣旨説明・ディスカッション
 
日本のポピュラー音楽に見るインディーズの成立条件
日本のポピュラー音楽に見るインディーズの成立条件日本のポピュラー音楽に見るインディーズの成立条件
日本のポピュラー音楽に見るインディーズの成立条件
 
商業視点から見た、同人と商業の違い
商業視点から見た、同人と商業の違い商業視点から見た、同人と商業の違い
商業視点から見た、同人と商業の違い
 
実践事例から学ぶプロデュース・PR術
実践事例から学ぶプロデュース・PR術実践事例から学ぶプロデュース・PR術
実践事例から学ぶプロデュース・PR術
 
AI(エーアイ)は世界を変える! 同人ゲーム24時間USTREAM放送イベント
AI(エーアイ)は世界を変える! 同人ゲーム24時間USTREAM放送イベントAI(エーアイ)は世界を変える! 同人ゲーム24時間USTREAM放送イベント
AI(エーアイ)は世界を変える! 同人ゲーム24時間USTREAM放送イベント
 
インディーズ作品だからこそできる事
インディーズ作品だからこそできる事インディーズ作品だからこそできる事
インディーズ作品だからこそできる事
 
同人ゲーム制作支援からの四方山話 2
同人ゲーム制作支援からの四方山話 2同人ゲーム制作支援からの四方山話 2
同人ゲーム制作支援からの四方山話 2
 
RebRankなゲーム制作・Re:Blankなゲームデザイン
RebRankなゲーム制作・Re:BlankなゲームデザインRebRankなゲーム制作・Re:Blankなゲームデザイン
RebRankなゲーム制作・Re:Blankなゲームデザイン
 

いわゆるマジコンを巡る法的議論の現状

  • 2. 自己紹介 紹介 経歴 02年 慶應義塾大学総合政策学部卒 04年 京都大学情報学研究科修士修了 07年 慶應義塾大学法科大学院修了 08年 司法研修所修了,弁護士 年 修 修 弁 専門分野 知的財産法,IT関連法,個人情報保護 SIG-Indie第5回研究会では, 第 回研究会 , 「同人ゲーム開発者が直面する法律問題」 という講演をしました う講演を
  • 3. アジェンダ 1 マジコンの歴史 2 マジコンの二つの側面 3 マジコンを巡る法的議論 4 おわり おわりに
  • 4. 1 マジコンの歴史 ノーガード期(第一期) ノ ガ ド期(第 期) マジコン・・・っていうかダビング スタンドアロン期(第二期) ROMカセット→空カセット カ ッ 空カ ッ ROMカセット→FD PC接続期(第三期) ROMカセット→HDD インターネット接続期(第四期) ROMイメージ→記録媒体 記録媒体
  • 5. MSX用データレコーダ HX-C800 HX C800
  • 6. ファミリーベーシック用 デ タレコ ダ(HVC 008) データレコーダ(HVC-008)
  • 11. 2 マジコンの二つの側面 側 ①市販ソフトを無料で遊ぶためのマシン 説明不要 ②同人ソフトのプラットフォーム ファミコン・・・ROMカセットの製造委託 製造 PS・・・開発環境の提供,低廉化 自 実現( 俺 作 自己実現(「俺の作ったファミコン(DS)ソ ァ ( )ソ フト!」) 実利(入社前 実利(入社前から開発能力をアピール) 開発能 を )
  • 15. 3 マジコンを巡る法的議論 法 議論 3-1 3 1 マジコンに対する現行法の規制 3-2 知的財産推進計画2010とACTA 3-3 文化審議会著作権分科会法政問題 小委員会技術的保護手段WTの議論 3-4 産業構造審議会知的財産政策部会 技術的制限手段に係る規制の在り方に 関する小委員会の議論 35 3-5 マジコンに対する新たな規制のまとめ
  • 16. 3-1 マジコンに対する現行法の規制 す 法 規 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 平成21・22年度 報告書(案)43頁より引用
  • 17. 不正競争防止法上のアクセスコント ロール規制はマジコンに及ぶか ロ ル規制はマジコンに及ぶか 東京地判平成21年2月27日平成20年(ワ) 第20886号,同35745号事件 いわゆるDSマジコン訴訟 事案の概要 任天堂及びサードパーティがR4 Revolutionを 任天堂及びサ ド ティがR4 輸入販売する業者に対し,不正競争防止法に基 づき輸入・販売等の差止め及び在庫品の廃棄を 求めた事案。 事 差止め 他50社以上
  • 18. 定義 技 定義(技術的制限手段) 限 「技術的制限手段」(不正競争防止法2条7項) この法律において「技術的制限手段」とは,電磁的方法( 電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によって認 識することができない方法をいう。)により影像若しくは音 の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプ ログラムの記録を制限する手段であって,視聴等機器( グラムの記録を制限する手段であって,視聴等機器( 影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影 像,音若しくはプログラムの記録のために用いられる機 器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像, 器をいう 以下同じ )が特定の反応をする信号を影像 音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し,若しくは 送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とす るよう影像,音若しくはプログラムを変換して記録媒体に るよう影像 音若しくはプログラムを変換して記録媒体に 記録し,若しくは送信する方式によるものをいう。
  • 19. 定義 定義(不正競争) 競 「不正競争」(不正競争防止法2条1項各号) 十 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の 者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラム の実行又は影像,音若しくはプログラムの記録をさせな の実行又は影像 音若しくはプログラムの記録をさせな いために用いているものを除く。)により制限されている 影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影 像,音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段 像 音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段 の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する 装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該 機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプロ グラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒 体若しくは記憶した機器を譲渡し,引き渡し,譲渡若しく は引渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入し,又は は引渡しのために展示し 輸出し 若しくは輸入し 又は 当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じ て提供する行為 いわゆる技術的制限手段回避装置提供行為
  • 20. 定義 定義(不正競争・続) 競 続 十 十一 他人が特定の者以外の者に影像若しくは音 の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音 若しくはプログラムの記録をさせないために営 業上用いている技術的制限手段により制限さ れている影像若しくは音の視聴若しくはプログ ラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの 記録を当該技術的制限手段の効果を妨げるこ とにより可能とする機能のみを有する装置(当 該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当 該機能のみを有するプログラム(当該プログラ ムが他のプログラムと組み合わされたものを含 む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器 を当該特定の者以外の者に譲渡し,引き渡し, を当該特定の者以外の者に譲渡し 引き渡し 譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,若 しくは輸入し,又は当該機能のみを有するプロ グラムを電気通信回線を通じて提供する行為
  • 22. 争点 争点 ①DSのソフトに施されたマジコン対策が 不正競争防止法上の「技術的制限手段」 競争防止法上 「技術的制限手段 (2条7項)に該当するか。 ②R4 Revolutionは技術的制限手段を無 効化する機能「のみ」(2条1項10号)を有 するといえるか。 ③任天堂やサ ド ③任天堂やサードパーティの営業上の利 ティの営業 の利 益(3条)は侵害されたか。
  • 23. ①DSのソフトに施されたマジコン対策が不正競 争防止法上の「技術的制限手段」に該当するか …不正競争防止法2条1項10号の立法趣旨と, 不正競争防止法2条1項10号の立法趣旨と 無効化機器の1つであるMODチップを規制の対 象としたという立法経緯に照らすと,不正競争防 止法2条7項の「技術的制限手段」とは,コンテン ツ提供事業者が,コンテンツの保護のために,コン テンツの無断複製や無断視聴等を防止するため 無 複製 無 視聴等を防 す に視聴等機器が特定の反応を示す信号等をコン テンツとともに記録媒体に記録等することにより, テンツとともに記録媒体に記録等することにより コンテンツの無断複製や無断視聴等を制限する電 磁 方法を 味す 磁的方法を意味するものと考えられ,検知→制限 考 ,検 制限 方式のものだけでなく,検知→可能方式のものも 含むと解される。
  • 24. ②R4 Revolutionは技術的制限手段を無 効化する機能「のみ」を有するといえるか 不正競争防止法2条1項10号の「のみ」は,必要最小限の 不正競争防止法2条1項10号の「のみ」は 必要最小限の 規制という観点から,規制の対象となる機器等を,管理技術 の無効化を専らその機能とするものとして提供されたものに 限定し,別の目的で製造され提供されている装置等が偶然 「妨げる機能」を有している場合を除外していると解釈するこ とができ,これを具体的機器等で説明すると,MODチップは 」要件 満 , う 機 「のみ」要件を満たし,パソコンのような汎用機器等及び無反 応機器は「のみ」要件を満たさないと解釈することができる。 …被告装置は,以上のように解された不正競争防止法2条 1項10号の「のみ」要件を満たしている。 数多くのインターネット上のサイトに極めて多数の本件吸い 出しプログラムがアップロードされており,だれでも容易にダ 装 ウンロードすることができること,被告装置の大部分が,そし て大部分の場合に,本件吸い出しプログラムを使用するた めに用いられていることが認められ,被告装置が専ら自主 制作ソフト等の実行を機能とするが,偶然「妨げる機能」を 有しているにすぎないと認めることは到底できないものであ ぎ る。
  • 25. ③任天堂やサードパーティの営業上 の利益は侵害されたか 数多くのインターネット上のサイトで極めて多数の 数多くのインタ ネット上のサイトで極めて多数の 本件吸い出しプログラムがアップロードされており, だれでも容易にダウン だれでも容易にダウンロードすることができ,被告 ドする とができ,被告 装置の大部分が,そして大部分の場合に,本件吸 い出しプログラムを使用するために用いられてい るものであるから,被告装置により,原告らは,D も あ 被告装 告 Sカードの製造販売業者として,本来販売できた はずのDSカードが販売できなくなり,現実に営業 はずのDSカードが販売できなくなり 現実に営業 上の利益を侵害されているものと認められる。原 告任天堂は, 告任天堂は,DS本体の製造販売業者としても, 本体の製造販売業者としても, 原告仕組みの技術的制限手段が妨げられてその 対策を講じることを余儀なくされ,現実に営業上の 利益を侵害されているものと認められる。 利益を侵害され るも と認められる
  • 26. 3-2 知的財産推進計画2010とACTA 財産推 知的財産推進計画2010 ・アクセスコントロールの回避機器の氾濫 によってコンテンツ産業に大きな被害 によ て ンテンツ産業に大きな被害 ・特にゲーム業界ではマジコンと呼ばれる 回避機器を用いた違法ゲームソフトの利 用により多大な被害 ・アクセスコントロール回避規制の強化を 短期的課題 位置 ける 短期的課題に位置づける ・担当は文科省・経産省・財務省
  • 27. ACTA ACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約) ACTA(模倣品 海賊版拡散防止条約) ・2010年10月に大筋合意 ・効果的な技術的手段の回避への措置に つき,アクセスコントロール回避規制に 対する取組をより強化するべきとの方向
  • 28. 3-3 文化審議会著作権分科会法政問題 小委員会技術的保護手段WGの議論 現状 • デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い,著作 物等を取り巻く環境が急激に変化し P2P ソフ 物等を取り巻く環境が急激に変化し,P2P トを用いたファイル交換により違法複製されたコ ンテンツがネット上にあふれるなど,著作物等 の違法利用が常態化する一方で,違法利用全 体の捕捉,摘発が現実的には難しく,著作権, とりわけネット上の利用に係る権利(複製権,公 とりわけネ ト上の利用に係る権利(複製権 公 衆送信権など)の実効性の低下が強く指摘され ており,こうした違法複製 違法流通による利用 ており こうした違法複製・違法流通による利用 を防ぐためにも,著作物等の保護技術は著作 権者等が対価を回収する上で必要不可欠な技 術となっている。
  • 29. 議論 概要 議論の概要 保護技術の実態と評価 音楽・映像の保護技術(暗号型,非暗号型) ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術 ①技術的保護手段の定義規定等の見直し ②技術的保護手段の見直しに伴う回避規制のあ り方(回避機器規制と回避行為規制) 方 避機器規制と 避行為規制 ③規制の手段(民事,刑事)
  • 30. ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術と評価 ゲ ム機 ゲ ムソフト用の保護技術 ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術 (実態) ゲーム機本体にセキュリティを施すとともに,正規のゲーム ソフトに当該セキュリティに適合する信号を付し,当該信号に ソフトに当該セキュリティに適合する信号を付し 当該信号に よりゲームを起動させる技術が施されている。 (評価) ゲ ムソフトの媒体によっては,複製そのものを防止するこ ゲームソフトの媒体によっては 複製そのものを防止するこ とはできないものがあるものの,ゲーム機本体に施されたセ キュリティと,ゲームソフトの媒体に付された信号を適合させ るという「技術」が社会的にどのように「機能」しているかとい う観点から評価を行えば,違法に複製され,さらに違法にア う観点から評価を行えば 違法に複製され さらに違法にア ップロード(送信可能化,自動公衆送信)されたゲームソフト を,単にダウンロード(複製)するだけでは,当該違法複製物 にはゲ ム機本体にあるセキュリティに適合する信号までは にはゲーム機本体にあるセキュリティに適合する信号までは 複製されず,結果としてゲーム機で使用することのできない ,意味の無い不完全な複製とすることにより,アップロードの 際に行われる違法な複製等を抑止する保護技術と評価でき ,技術的保護手段の対象として位置付けることが適当 技術的保護手段の対象として位置付けることが適当
  • 32. ①技術的保護手段の定義規定等の見直し 「技術的保護手段」(著作権法2条1項20号) 「電磁的方法により,著作権等を侵害する行為の防止又は 抑止する手段」で,「著作権者等の意思に基づいて用い られているもの」であって,「機器が反応する信号を著作 物等とともに記録・送信する方式」 「手段」 擬似シンク ルス方式を念頭 擬似シンクパルス方式を念頭 →見直し必要 「方式」 SCMS,CGMS,擬似シンクパルス方式を念頭 →見直し必要
  • 33. ②技術的保護手段の見直しに伴う回避規 制のあり方 回避機器規制 回避を伴う利用の際に用いられる回避装置等は,たとえ一 台であっても大量の回避を伴う利用を可能とし,かつ,こ れらの回避装置等が大量に社会に出回ることになると, 社会全体として著作権者等に与える被害は深刻なものと なるため,現行の著作権法において,回避装置等の製造 なるため 現行の著作権法において 回避装置等の製造 等に対しては刑事罰が科されている →見直し不要 回避行為規制 視聴等は支分権侵害行為にあたらず →見直し不要
  • 34. 同人ソフトプラットフォーム機能への言及 WT中間まとめには記載されていなかった が,小委員会報告書(案)で記載。 ゲーム機・ゲームソフト用の保護技術に関しては ,回避装置等を用いて自主制作ソフトを使用す る場合があるが,先述した規制の必要性の高 さや実効性の確保の観点から,基本的に規制 さや実効性の確保の観点から 基本的に規制 そのものに例外を設けるのではなく,法の適用 に当たって当該回避装置等が社会実態上どの ように用いられているか等を総合的に勘案して 判断されるものと考えられる。
  • 37. 3-4 産業構造審議会知的財産政策部会技術的制限 手段に係る規制の在り方に関する小委員会の議論 (1)規制対象装置等の見直し(「のみ」要件 の見直し) (2)ユーザーの回避行為の規制 ( ) ザ の回避行為の規制 (3)技術的制限手段回避装置等の製造行 為と回避サービスの提供行為の規制 ( )技術的制限手段回避装置等の提供行 (4)技術的制限手段回避装置等の提供行 為の刑事罰の導入 (5)技術的制限手段回避装置等に対する 水際措置の導入
  • 38. (1)規制対象装置等の見直し(「のみ」要件の見直し) 現行法 対象となる装置等の範囲について,「技術的制 限手段を回避する機能のみを有する装置等」と されており「のみ」要件 必要最小限の規制内容,当時の問題状況 課題 技術 制限手段を回避す 機能 他 ,追 技術的制限手段を回避する機能の他に,追加的 に他の機能が付されているために「のみ」要件 を欠くと称する装置等が氾濫(マジコン名指し) 検討 「のみ」要件を見直すに当たっては,「専ら」要 件の方向で検討を進めることが妥当
  • 39. (2)ユーザーの回避行為の規制 規 現行法 個々の技術的制限手段の回避行為自体については規制 対象として規定していない 被害が限定的,個々の無効化行為を一件ずつ捕捉し,民 事訴訟の対象とすることは困難 課題 技術的制限手段を回避する装置等の氾濫が認められ,そ れに伴う個人による技術的制限手段の回避行為が横行 検討 個々の技術的制限手段の回避行為そのものを不正競争 防止法における規制の対象とするかどうかについては, 引き続き消極に解することが適当(啓発は進める)
  • 40. (3)技術的制限手段回避装置等の製造行 為と回避サービスの提供行為の規制 為と回避サ ビスの提供行為の規制 現行法 技術的制限手段を回避する装置等の製造行為自体につい ては規制対象として規定していない 課題 技術的制限手段回避装置等の氾濫が認められるところ,こ れらの装置等(マジコンやモッドチップ)は主に中国など の海外で製造されている。 しかしながら,今後,日本国 の海外で製造されている しかしながら 今後 日本国 内で製造行為が行われる可能性があり,このような回避 装置等が一旦製造されれば,国内の無数の販売業者に 大きく拡散し,事業者は回復不能な損害を被るおそれも 大きく拡散し 事業者は回復不能な損害を被るおそれも ある。 検討 技術的制限手段回避装置等の製造行為については,既存 の法令によって一定程度の対応が可能であり,今後とも 回避装置等の国内での製造実態とこれに伴う影響等を 注視しながら対応を検討することが適当
  • 41. (3)技術的制限手段回避装置等の製造行 為と回避サービスの提供行為の規制(続) 為と回避サ ビスの提供行為の規制(続) 現行法 回避サービスの提供行為自体については規制 対象として規定していない 課題 技術的制限手段を回避するための機能を発現さ せるための装置やプログラム等の導入に関して ,特殊な機能を有する装置や特別な知識を要 する場合があることから,個人の利用者に代わ って行う事業者が出現している Cf.携帯電話のバックアップ時の着うた 検討 技術的制限手段の回避サービスにつき不正競 争防止法において独立して規制の対象とする かどうかに いては,消極に解する とが適当 かどうかについては,消極に解することが適当
  • 42. (4)技術的制限手段回避装置等の提供行 為の刑事罰の導入 現行法 技術的制限手段を回避する装置等の提供行為民事的な 救済にとどまり(同法第3条及び第4条),刑事罰の対象と していない 課題 我が国では,未だに技術的制限手段の効果を妨げるため の装置等が露天等でゲリラ的に販売されている事実が多 発している。また,ネットショップの開設やオークションへ の出品など匿名性の高いインターネット上で売買がなさ れることも多い。 れることも多い 露天販売は相手方が特定できず,暴力団とも関係 ネット販売は店舗情報を記載していない 検討 現行不正競争防止法第2条第1項第10号及び第11号の規 定の見直しが検討されることを前提に, 定の悪質な行 定の見直しが検討されることを前提に 一定の悪質な行 為に限定して刑事罰の対象とする方向で検討
  • 43. (5)技術的制限手段回避装置等に対する 水際措置の導入 現行法 関税法では,不正競争防止法第2条第1項第10号及び第 11号に違反する物品(以下「技術的制限手段回避装置 等」という。)については規定しておらず,技術的制限手 段回避装置等は輸出してはならない貨物及び輸入しては 段 避装置等 輸出 ならな 貨物 び輸 ならない貨物(以下「輸出入禁止品」という。)とはされて いない。 課題 インターネット等情報技術の発達による瞬時の情報の流通 ,近隣アジア諸国の技術力の向上によって,とりわけ中 国などの海外で製造されている技術的制限手段回避装 置等による被害が深刻化している。特に,これらの技術 的制限手段回避装置等の取引の手口は,インターネット を通じた小口化により,特定が難しくなっており,かつ,こ のような技術的制限手段回避装置等の販売には,犯罪 ような技術的制限手段回避装置等 販売には 犯罪 組織が関与していることもあると考えられている。 検討 水際措置を導入することが極めて有効。 水際措置を導入することが極めて有効
  • 44. 3-5 マジコンに対する新たな規制のまとめ ※現時点での公表資料ベースで講演者が作成したため,必ずしも正確ではないことがありうる ※現時点での公表資料ベースで講演者が作成したため 必ずしも正確ではないことがありうる 内閣官房 国際関係 知的財産推進計画2010 模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA) (2010年5月21日) (2010年10月大筋合意) 文部科学省 経済産業省 財務省 (文化庁) 文化審議会 産業構造審議会 著作権分科会法政問題小委員会 知的財産政策部会 技術的制限手段に係る 平成21 22年度報告書」(案) 「平成21・22年度報告書」(案) 規制の在り方に関する小委員会 (2011年1月17日資料) 「技術的制限手段に係る不正競争防止法の 技術的保護手段中間まとめはPC済み 見直しの方向性について」(案) (2010年12月17日資料) 著作権法 不正競争防止法・関税法 改正案 改正案 技術的保護手段の定義規定等見直し ①「のみ」要件,②刑事罰,③水際措置 ①「のみ」要件 ②刑事罰 ③水際措置 第177回国会(通常国会,平成23年1月24日召集)に提出され審議
  • 45. おわりに わ マジコン規制は国内政策,国際関係の両 マジコン規制は国内政策 国際関係の両 面からの流れ。 マジコンの二つの側面のうち,同人ソフトの プラットフォームとしての機能は裁判例 (DSマジコン訴訟)でも立法過程(文化 庁 のパブコメ意見)でも主張された。 庁へのパブコメ意見)でも主張された。 同人ゲーム開発者としても,正当な利益と 同人ゲーム開発者としても 正当な利益と 信ずるところがあれば,立法過程に食い 込んでいくことが重要。