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インフルエンザ治療薬のまとめ2018

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インフルエンザ治療薬のまとめ2018

  1. 1. インフルエンザの 治療薬のまとめ 2018 注:本スライドの情報は作者の個人的な見解で, 所属する団体等の公式見解ではありません。 2018/11/1 山本舜悟
  2. 2. 抗ウイルス薬
 (ノイラミニダーゼ阻害薬) •コクランレビュー:RCTを統合 •成人,小児の治療についてプラセボと 比べて有症状期間を平均1日前後短縮 •入院や重篤な合併症は減らさない Cochrane Database Syst Rev. 2014;4:CD008965. RCTに組み入れられる患者は, 若くて基礎疾患がなく,重症例は含まれにくい点に注意
  3. 3. インフルエンザ合併症 発症の高リスク患者 • 5歳未満の小児(特に2歳未満) • 65歳以上の成人 • 慢性肺疾患(気管支喘息含む),慢性心血管疾患(高血圧症のみは除 く),慢性腎疾患,慢性肝疾患,慢性血液疾患,代謝性疾患(糖尿病 など),神経疾患・神経発達障害がある者 • 薬剤またはHIV感染症などにより免疫抑制状態にある者 • 妊婦,産褥婦(分娩後2週間以内) • 18歳以下で長期にアスピリン内服中の者 • 病的肥満(BMI 40以上) • ナーシングホームやその他長期療養施設入所者 MMWR Recommendations and reports 2011; 60: 1-24
  4. 4. 高リスク患者では •オセルタミビル:
 - 死亡リスク減少
 (オッズ比0.23; 95% 信頼区間, 0.13~0.43)
 - 入院リスク減少
 (オッズ比0.75; 95% 信頼区間, 0.66~0.89) •ザナミビル:
 - 抗菌薬を必要とする合併症43%減少 観察研究の系統的レビュー Ann Intern Med 2012; 156:512‒524. RCTの二次解析
 Arch Intern Med 2001;161:212-217
  5. 5. 発症後48時間以上 たっていても • インフルエンザ確定症例で,
 入院が必要な重症例では
 発症後48時間を経過していても
 抗ウイルス薬による利益は
 あるかもしれない Clinical Infectious Diseases 2007;45:1568‒1575.
  6. 6. ペラミビル ラピアクタ®(点滴) • 内服できない場合の選択肢だがオセルタミビルと
 直接比較して優ったという研究はない(オセルタミ ビルに非劣性が示されている) • 重症例に本当にこれだけでいいのかは不明 • 軽症例に外来で点滴するのは外来での感染伝播の
 リスクになるので,やるべきではない Antimicrob Agents Chemother 2010; 54:4568‒4574. Antimicrob Agents Chemother 2011; 55: 5267-76. Clinical infectious diseases 2014; 59: e172-85.
  7. 7. ラニナミビル イナビル®(吸入) • 成人ではオセルタミビルに非劣性
 (CLIN INFECT DIS 2010;51:1167–1175.) • 小児ではザナミビルと比べて解熱までの時間に有意差は なかった (Pediatrics 2012;129:e1431–6.) • 海外12カ国で行われたRCT(第II相試験)ではラニナ ミビル40mg群,80mg群ともにプラセボ群と比べ て,症状軽快までの期間について有意な短縮を示せなかっ た(“IGLOO” trial, NCT01793883, Lancet Infect Dis. 2014;14:1136–49.)
 →海外では開発中止に
  8. 8. 既存薬に非劣性だからといって プラセボより優れているとは限らない ����������� ��� �������������� �����9���� ������� ������0��� ���������� ��5���-��� ������� �������
  9. 9. インフルエンザの治療について イナビルはタミフルに非劣性ですが 9������������� ��� �������9��������� ������� ���������0 ������� 9��������0 ��� ����9���� �����5� ��-����� �����
  10. 10. イナビルはインフルエンザ治療で プラセボに勝ったことがない 5�9����������� � �������5�9������� ����� 5�9�� ������ ������� ����0 ��������� �������� ����� �������
  11. 11. インフルエンザ 家庭内曝露の曝露後予防 • オセルタミビルは曝露後予防で
 発症を13.6%(95% CI 9.5~15.5%)減少, NNTBは7(95% CI 6~11) • ザナミビルは曝露後予防で
 発症を14.8%(95%CI 12.2~16.6%)減少, NNTBは7(95% CI 7~9) Cochrane database of systematic reviews 2014; 4: CD008965.
  12. 12. ラニナミビルの曝露後予防効果を
 検証した国内多施設RCT • ラニナミビル40mg 1回吸入群,20mg 1回吸入 群,プラセボ群の3群を比較 • インフルエンザを発症したのはそれぞれ4.5%, 4.5%,12.1%とラニナミビル吸入群で統計学的 に有意な発症減少が示された • 絶対リスク差は7.6%で,NNTは13
 →オセルタミビル,ザナミビルに劣る? Clinical infectious diseases 2016; 63: 330-7.
  13. 13. いろいろな系統的
 レビューがありますが • 評価者の中に金銭的利益相反がある人がいるとノイ ラミニダーゼ阻害薬使用を「好ましい」と評価しや すい 88%;7/8 • これに対して金銭的利益相反がないグループによる レビューでは,17%;5/29 Ann Intern Med. 2014;161:513‒8.
  14. 14. タミフルによる異常行動 2018年8月の改訂でタミフルの添付文書から 10代への使用の「警告」から削除
  15. 15. オセルタミビルの曝露は
 自殺リスク上昇と関連しなかった • 米国のケース・クロスオーバー研究 • オセルタミビルの曝露による自殺のリスク 
 オッズ比 0.64; 95% CI, 0.39-1.00; P=0.05 Harrington R, Adimadhyam S, Lee TA, Schumock GT, Antoon JW. The Relationship Between Oseltamivir and Suicide in Pediatric Patients. The Annals of Family Medicine. 2018;16(2):145‒8.
  16. 16. ノイラミニダーゼ阻害薬に よる異常行動 • いずれの薬剤についても因果関係不明 • インフルエンザ罹患時には,薬剤を内服していなく ても異常行動が出現することがあるので,小児・未 成年者に処方する際には,少なくとも2日間は患者 が一人にならないように保護者等は配慮する必要性 について添付文書に記載されている
  17. 17. バロキサビル(ゾフルーザ®) • キャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的 阻害剤 • →mRNA合成阻害によりウイルス増殖抑制
  18. 18. 第III相試験 CAPSTONE-1 study • 2016/17シーズンに日本とアメリカの12-64歳で発熱(腋 窩温38℃以上)と全身症状と気道症状がそれぞれ1つ以上が 対象(インフルエンザ合併症高リスクの人は除外) • 20歳以上ではバロキサビル,オセルタミビル,プラセボを2: 2:1に,12-19歳ではバロキサビルとプラセボを2:1でラ ンダム割付(二重盲検化) • 投与量は,バロキサビル(体重80kg未満の人は40mg1回, 80kg以上の人は80mg1回投与) • オセルタミビル 1回75mg,1日2回,5日間 N Engl J Med. 2018;379:913‒23.
  19. 19. 症状軽快までの時間の中央値は バロキサビル群 53.7(95% CI 49.5-58.5)時間, プラセボ群   80.2(95% CI 72.6-87.1)時間で バロキサビル群が26.5時間短かった(p <0.001) N Engl J Med. 2018;379:913‒23.
  20. 20. バロキサビル群では オセルタミビル群,プラセボ群よりも 早くウイルス排泄が減った N Engl J Med. 2018;379:913‒23.
  21. 21. ただし,有症状期間は バロキサビル群, オセルタミビル群でほぼ同じ N Engl J Med. 2018;379:913‒23.
  22. 22. ウイルス排泄が早く減るなら 休む期間も短くていい?
  23. 23. • バロキサビルへの感受性低下につながる I38のアミ ノ酸変異が
 第II相試験で2.2%(すべてインフルエンザA(H1N1)pdm09),
 第III相試験で9.7%(すべてインフルエンザA(H3N2)),
 12歳未満の小児が対象の国内第III相試験で23.3% (すべてインフルエンザA)に出現 • →ウイルス価のリバウンド,症状遷延の可能性 • →ただし,この変異があるとウイルスの増殖能が低 下するので変異株が流行しやすいかどうかは不明 N Engl J Med. 2018;379:913‒23.
 ゾフルーザ医薬品インタビューフォーム 2018年2月作成(第1版)
  24. 24. I38のアミノ酸変異を検出した患者集団では
 投与から3日目以降に
 一過性のウイルス力価上昇がみられた →この人達の感染性はまだ不明 N Engl J Med. 2018;379:913‒23.
 ゾフルーザ医薬品インタビューフォーム 2018年2月作成(第1版)
  25. 25. バロキサビルの副反応は プラセボやオセルタミビルと 比べて多くはなかった N Engl J Med. 2018;379:913‒23.
  26. 26. とはいえ
  27. 27. 新薬の稀な副作用は 何が起こるかわからないパルプンテ 注:パルプンテはゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの呪文で,唱え ると何が起こるかわからない。良い効果をもたらすこともあれば,悪い 効果になることもある。
  28. 28. 販売後重篤な副反応のために 市場から消えた抗菌薬 • ガチフロキサシン内服薬(重篤な低血糖) • テリスロマイシン(意識消失,肝炎) • トロバフロキサシン(劇症肝炎,日本では 発売されず) 承認前の臨床試験で1000人に投与しても
 0.1%未満の稀な副反応はわからない
  29. 29. 新薬を使って稀な 重篤な副作用が起こった場合 • その薬でなければ
 いけない理由があったのか?
 を説明できますか?
  30. 30. 半減期が長い • ゾフルーザ®の半減期は95.8 ± 18.2 時間
 (約4日間) • 蛋白結合率が高いので,血液透析による除 去は困難な可能性が高い 変な副作用が起きても,身体からなかなか抜けない! ゾフルーザ医薬品インタビューフォーム 2018年2月作成(第1版)
  31. 31. DIO
 “「長所」と「短所」は 表裏一体…ままならぬものよ…” 荒木飛呂彦. ジョジョの奇妙な冒険 13. 東京: 集英社; 1989.
  32. 32. • 薬物相互作用に関するデータも乏しい ゾフルーザ医薬品インタビューフォーム 2018年2月作成(第1版)
  33. 33. “今後の臨床症例を蓄積して、当薬剤 の位置づけを決めていく必要がある。” 日本感染症学会. キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬(Cap-Dependent Endonuclease Inhibitor)Baloxavir marboxil(ゾフルーザ®)について
 http://www.kansensho.or.jp/guidelines/1810_endonuclease.html →まだ位置づけ不明な薬
  34. 34. 高リスク者を対象にした CAPSTONE-2 • 39.2%が喘息または慢性肺疾患,27.4%が65歳以上 • 有症状期間はバロキサビル群がプラセボ群より有意に短かっ た(中央値 73.2 vs 102.3時間, p<0.0001) ,
 オセルタミビル群とは有意差なし (81.0 時間, p=0.8347) • プラセボ群と比べてバロキサビル群は
 - 罹患後の抗菌薬使用 3.4% vs 7.5% (p=0.112)
 - インフルエンザ関連合併症 2.8% vs 10.4%(p<0.0001) ID week 2018 https://idsa.confex.com/idsa/2018/webprogram/Paper74204.html
  35. 35. 薬剤 剤形 腎機能正常な
 成人投与量(治療) 薬価 治療1コー スの薬価 健常(低リ スク)者に 対する効果 オセルタミビル タミフル®
 75mg/カプセル 75mg 1日2回
 ×5日間経口 先発品 272円 後発品 136円 先発品 2720円 後発品 1360円 プラセボと 比べて 有症状期間 を平均約1日 間短縮 ザナミビル リレンザ®
 5mg/ブリスター 10mg 1日2回
 ×5日間吸入 147.1円 2942円 ペラミビル ラピアクタ®
 300mg/バッグ 300mg 単回点滴静注 6216円 6216円 (+静脈注射 手技料) ラニナミビル イナビル®
 20mg/容器 40mg 単回吸入 2139.9円 4279.8円 プラセボへ の優越性 示せず バロキサビル ゾフルーザ® 20mg/錠 成人20mg錠2錠,
 体重80kg以上の患者には 20mg錠4錠単回投与 2394.5円/ 錠 4789円 体重80kg以上 では9578円 プラセボと比べ て有症状期間を 平均約1日間短縮 薬価は,薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(平成30年8月29日適用)を参照 https://www.mhlw.go.jp/topics/2018/04/tp20180401-01.html 抗インフルエンザ薬のまとめ(2018年10月16日作成)
  36. 36. 抗インフルエンザ薬の
 適応がある場合の使い分け • 基本はオセルタミビル内服 • ザナミビル,ラニナミビルは喘息患者で気管支攣縮の 副反応があるので避ける,
 乳製品でアレルギーがある人も避ける • 内服できない人はペラミビル点滴 • ラニナミビルはプラセボ並の治療効果の
 可能性が否定できない残念な薬 • バロキサビルはパルプンテ(高リスク患者で今後期待) 私案

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