2017年12月1日INFOPROにて発表したスライド。「印度学仏教学研究」という和文人文系オンラインジャーナルをJ-STAGEに掲載した経緯と、今後の和文人文系オンラインジャーナル掲載の技術的課題について考察

1. 和文人文系学術誌のXML型
オンラインジャーナル掲載
中西秀彦，多賀 敏，山本 剛，服部 直
中西印刷株式会社
2017.12.01 INFOPRO2017

2. はじめに
• HTMLオンラインジャーナル
– 画面での読みやすさ
– 多彩なリンク
– 付加価値
• 基礎となるXMLファイルとJATS
• NII-ELSの終了とJ-STAGEへの統合
– 画像型PDFオンラインジャーナルからHTMLオンラ
インジャーナルへの流れ

3. 和文人文系誌のオンラインジャーナル
• NII-ELS中心 画像掲載型
– 根強い和文人文系の紙中心の考え方
– オンラインジャーナルの変質への無理解
• J-STAGE化とHTMLオンラインジャーナル化
– はじまったばかりだがこれから重要

4. 現在のHTML(XML)型掲載の現状
PDF中心
1482誌
70.5%
全文XML
45誌
3.4%
J-STAGEにおける掲載比率(2017.3) カレント誌 N=1321
• 全文XMLは一般化して
いないが、書誌XMLは
進展
• 全文XML誌のほとんど
はＳＴＭ
• 人文系全文XMLは２誌
にすぎない。「流通研
究」「農林業問題研究」
書誌XML
576誌
43.6%
PDF中心
700誌
53.0%

5. 和文誌の現状
PDF中心
1482誌
70.5%
書誌XML
576誌
27.4%
J-STAGEにおける掲載比率(2017.3)
N=716
• オンライン化された人
文系誌はすくない
• 人文系誌の中にも
「鉄と鋼」「補完代替
医療学会誌」など理
系誌と思われるもの
の存在
• 純粋人文系と呼べる
のは100誌程度か
人文系
210誌
29.3%
理系
506誌
70.6%

6. 人文系和文誌の
オンラインジャーナル化
• すべての領域がオンラインに
– 紙雑誌の壊滅
• 科研費の公開促進費削減
• 会員数減少
• 若い人に紙を読む習慣がない
– オンラインの有利さ
• リンクの提供
• 検索の利便性
• 人文系もオンラインの例外ではありえない
– 現状では少ない 縦書き誌は16誌のみ

7. 人文系誌の特徴
PDF中心
1482誌
70.5%
書誌XML
576誌
27.4%
人文系
210誌
29.3%
理系
506誌
70.6%
• 縦書き
• 使用言語の多彩さ
• 組版表現の多様性
「印度學佛教學研究」64巻１号
182ページ
悉曇梵字

8. 人文系誌の特徴
PDF中心
1482誌
70.5%
書誌XML
576誌
27.4%
人文系
210誌
29.3%
理系
506誌
70.6%
• 注、参考文献、引用文献
の混在。
「印度學佛教學研究」64巻１号73
ページ

9. 書誌XMLの作成
• IndesignによるXML書き出し
• 縦書き記述の横書きへの変換
– 数字の漢数字→アラビア数字変換
– 一括変換で生じる誤変換
• 「１乗宝性」「念仏３昧」
• 論理性なく、目視確認の必要
• 全面漢数字は検索性、視認性で問題

10. 引用文献問題
• 注と引用文献の分
離
• 一次文献(お経)の
参照は注にとどま
る
中西印刷HPソース
「印度學佛教學研究」65巻１号81
ページ

11. 一次文献の参照
「福音教神学」40巻１号 ８ページ
キリスト教の場合、聖書の章節番号がテキストの同
定に使われる

12. J-STAGEへの掲載
NII-ELSから
の移行も含
める。
65巻１号から
HTML掲載

13. 同一論文の
HTML と PDF表示
抄録は本誌では別途ま
とまって掲載されている

17. ６４巻までの掲載
• 抄録がないのでトップ
ページで代用
• 引用文献が掲載されて
いない
• PDFをみるだけなので、
読んだ後の操作は紙雑
誌と変わらない

18. 佛経典の同定
SAT大正新脩大
藏經テキストデー
タベース

19. 縦書き和文HTMLに向けて
• 縦書き文書の横書き化の問題
• 縦書きJ-STAGEへの期待
– CSSには縦書きあり
• 現実的解決策
– PDFと書誌XMLの併用
– 注と引用文献リストの分離
• 今後の提案
– 縦書きJATS提案(数字変換のタグ化)
– 一次文献へのリンク形式の統一
– 宗教論文のJATS適用例検討
• 必要ならば新タグ提案