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1.
hasunokahori 2022年初夏 51号/2 0 2 2年初夏5 月吉日発行/発行 : 経王寺 互井観章 /編集 : 互井観章 ・ M.Tag ・ オノ リサコ ・ コジマク ミ コ/表紙イラス ト : 加藤龍勇 /撮影:M.Tag ※本誌掲載の写真 ・ 図版 ・ 記事などの無断使用 ・ 転載 ・ 複製を禁じます。 お寺でのワークシ ョ ッ プやイベン ト、 ご相談等、 お気軽にお尋ねく ださい。 経王寺 〒 1 6 2-0053 新宿区原町1-14
TEL 0 3-3341-1314 HP https://www.kyoouji.gr.jp/ 特集 怒り とは今日でサヨナラ お家でワークシ ョ ッ プ お寺気分 -法話 ・ 仏像 ・ お経 ・ アニメ- Togetherしませんか ? 観章さんとマニアッ ク散歩 魔物から江戸を守る神社 「神田神社(神田明神)」 マイマイ先生のマイケア術 〜薬膳と ヨガと私〜 「怒り」 素敵な人たち〜NGO紹介〜 おシャ カさまに会おう
2.
P 2 2 おシャカさまに会おう 経王寺マガジン 2022/5vol.51 あなたがあなたら し く 生きられるように P02 「風薫る」 「怒り とは今日でサヨナラ」 P 1 8
Togetherしませんか ?観章さんとマニア ッ ク散歩 魔物から江戸を守る「神田神社(神田明神)」 素敵な人たち 〜NGO紹介〜 P03 も く じ P 0 6 怒り と うま く 付き合う ト レーニング P08 粘土仏さんを作って怒り とサヨナラ〜怒りを解消する方法〜 【お寺気分】 P 1 0 −法話deナイ ト − 法話寄席の時間です 「堀之内」 P 1 2 −仏像deナイ ト − アクシ ョ ン仏像の先駆け 「奈良時代 薬師寺の仏像」 P 2 0 マイマイ先生のマイケア術 〜薬膳と ヨガと私〜 Vol.3 怒り P 2 3 はい、 経王寺でございます〜寺務員のへや〜 「写真のおかず」 「猫のいる間に」 「今日もお寺は平和です」 ハピネス観章の幸せレ ッスン 毎日更新中 住職のプチ法話が聞ける ! InstagramとFacebookからGO ! P 1 4 −お経deナイ ト − 妙法蓮華経 序品第二 「みんなが仏になるための教え その二 近づく 手段(前半)」 P 1 6 − アニメdeナイ ト − あなたの知らない千と千尋「神隠しの謎 その1」 表紙のおはなし イラス ト レーター 加藤龍勇 「世界がばらばらにならないよ うに ・ ・ ・ 」 ちゃんと自分を愛せる よ うに 毎朝気合を入れてます。 青葉や若葉を吹き渡ってくる初夏の風には薫りと色があります。 そんな風を楽しみながら、どこか遠くに行きたいと思う季節です。 人はどうして遠くに行きたくなるのでしょうか。 旅に出る理由は、日常的なストレス、不安や我慢からの解放です。 特に、ひとり旅は自分と向き合う時間です。 何を食べる、どこに泊まる、どこに行く、いつ帰るなど、全部自分で決め なければなりません。 それが自分を成長させ、喜びと楽しみになります。 旅にはトラブルがつきもの。うまくいかないこともあります。 でもそれもまた、ひとり旅の楽しみです。 旅に出ると、人とのふれあいから優しさを知り、自然のすばらしさを知り、 みんなに支えられて生きていることに気が付きます。 ひとり旅はいいものです。 でも、そう簡単には出かけられない。 そういう方は、朝起きて窓を開けて風を感じてみましょう。 今日のあなたは旅人です。 旅人の気持ちで電車に乗ったり、仕事場に行ったりしてみましょう。 つまらない日常が旅先の一コマになるかもしれません。 天気が良かったら、お昼はお弁当を持って近くの公園に行ってみませ んか。 私たちは毎日が旅人です。今日もいい旅を。 Have a nice day! hasunokahori編集長 互井観章 (経王寺 住職) 「風薫る」 お寺でやっていたワークシ ョ ップを読み物にしま した ! 2 3 P04 【特集】 (NPO法人) 「A P L A」 文 ・ 枝木美香
3.
怒りとは今日で サヨナラ できるなら、怒らないで生きていきたい。 ムカついて、誰かを憎み、恨んで生きたくはない。 人を傷つけたくもないし不快にさせたくもない。 いつもニコニコ笑って明るく生きていきたい。 人から穏やかな優しい人ねと言われたい。 そんなことを思っている私は、いつも怒っています。 怒っている私が一番嫌いなのに、いつも私は怒っています。 どうしたら怒らなくなれるのでしょうか。 私を救う怒らないテクニックを今回は学んでみましょう。 明日から、少し楽に生きられるかも。 写真:M.Tag 4 5
4.
6 7 7 怒りは日常的なマイ ナス感情 (不安 ・ 悲しみ ・ 孤独 ・ ス ト レス ・ 悲観 ・ 絶 望など) の蓄積が原因です。 私たちはマイナス感情から身を守るため に自分が正しいと思う価値観を振りかざし、 思う よ うにならないと怒りが 発生し ます。 目の前の問題はき っかけにしかすぎ ません。 日常的なマイ ナ ス感情から解放されるために、 自分と向き合う時間を持ってみま し ょ う。 怒り と う ま く付き合う ト レーニング 仏教では 「怒り」 は自分を苦しめる三つの毒の一つです。 (他には貪る心と無智) 怒りの原因はエゴです。 自分の思い通り にならない、 自分の正しい考え方が理解 されないと きに怒りが発生し ます。 怒りは、 暴れ馬の よ う なもの。 怒り で自分自身のコン ト ロールを失ってし まいます。 怒 りは私を不幸にし、 周りの人も不幸にし ます。 怒っても何も解決し ません。 怒りでは 人は動き ません。 怒り を理解し、 怒らない習慣を身につける と少し楽に生き る こ とができ る よ うにな り ます。 本当は出家し て瞑想修行を行い、 怒り を克服するのですが、 日常生活の中 でも怒り の沸点を下げた り、 怒る回数を減ら した り、 怒り を抑え る習慣を身につける こ とはでき ます。 時間をかけて ト レーニングし てみま し ょ う。 突然爆発した怒りは、 収ま ったと思ってもふと したこ とで何度も蘇り再爆発し ま す。 同じこ とを繰り返し考え、 怒り を繰り返すスパイ ラルにはま る と、 いつまでも 心休ま る こ とはあ り ません。 それは時間と人生のムダです。 怒りの時間を作らな いためには 「ゆるす」 こ と を身につけま し ょ う。 人の失敗をゆるす。 自分の未熟さ をゆるす。 あなたも今ま で周り の人からゆる されて きたこ と を自覚し ま し ょ う。 怒りは、 心身の苦痛から生まれます。 怒る と、 一瞬苦痛から解放されま すが、 すぐにそれ以上の苦痛がやってき ます。 苦痛を怒りで解消する と いう考え方を捨てま し ょ う。 攻撃的な言葉やネガテ ィ ブな気持ちを捨 て、 どんな相手に対し ても優しい気持ちと慈悲の心を向けるこ とです。 怒り に対し忍耐力を身につける こ とが智慧のある人の生き方です 。 人から嫌がらせや嫌な目にあ う と、 ついイ ライ ラ し、 条件反射の よ うに 怒ってし まいます。 そ んな時は、 「怒らないと決めた」 とか 「怒らない方 を選ぶ」 と心で思ってみま し ょ う。 怒りが爆発するのを先延ばしにす る と、 気持ちが落ち着いていき ます。 冷静さ を取り戻したら、 も う一度、 問題に向き合ってみる と、 別の見え方や解決策が見つけられま す 。 1怒り を先延ばしにする 2自分の価値観を振り かざさ ない 3 今ま でのルールを変え る 4怒り は人生のムダ 5どんな時も平常心を忘れない 私にと って大切なこ とが、 他の人にと って大切なこ と とは限り ません。 価値 観やルールは人によ って異な り ます。 他人は自分の思う よ うにはな り ません。 自分の価値観がいつも正しいわけではな く、 他の人と価値観が違う こ とは 当た り前。 自分のルールに相手を合わせない、 自分の中の 「〇〇でなき ゃ いけない」 、 「△△であるべきだ」 を止めて、 心の余裕を持ち ま し ょ う。 怒り とは何か 『怒り を制する者は有能な御者であ り、 多く の人はただ手に綱を持っているだけである』 (法句経) 『本質を見極めないで、 自分勝手な解釈に執着する者は、 本質にたどり着く こ とはできない』 (法句経) 『常に精神的向上を求めている修行者は、 二度と後戻りせず、 自由な世界の入り口にいる』 (法句経) 『愚か者の私たちだが、 真の愚か者は自分が賢者である と思っている者のこ とである』 (法句経) 『幸せを願っている人を傷つける人は、 自分の幸せを願っても来世では幸せにならない』 (法句経) (法句経観章訳) 【処方箋】 「ま、 いっか」 「そ んな日もある」 など怒り を流すワー ドを持つ 【処方箋】 深呼吸をする ・ 一度その場から離れる ・ 6秒待つ 【処方箋】 お寺や神社に行く ・ 瞑想や読経を行う ・ 図書館で本を読む ・ 新しい音楽を聴く 【処方箋】 土をいじる、 粘土をこねる(詳し く は次のページ) 【処方箋】 時間に余裕を持つ ・ 休む ・ スケジ ュ ールを空ける
5.
②.頭と頭巾を作り体と合体する。 ③.小槌を作る。 ・頭は球体。 ・頭巾は平たい丸にする。 ・①の体に乗せて合体させる。 ①.体部分を作る。 ・小槌は筒状。 柄は細長く し上下に分ける。 ・筒に爪楊枝で上下に穴をあけて柄の上下を入れる。 ・袋はひ ょ う たん型。 爪楊枝でしわを作る。 ・左の く ぼみに小槌、 右に袋を乗せる。 ・爪楊枝で目を描く。 ④.袋を作り合体。 目を描いて完成 ! ! ※紙粘土の場合は全ての パーツ を接着剤でつけ る。 体 お大黒様分 お地蔵様分 2 1 12 小槌 袋 柄
上 下 粘土の分け方 お地蔵さ ん分は よ けてお く。 (左ページ参照) ① 頭 頭巾 11 ② ③④ 頭 ・ 付属品 1 1 頭 付属品 ・体部分はこねて楕円の球体にする。 ・頭と手が乗る部分に手で窪みを作る。 ・綺麗な球体を作る。 ・ ①の体に乗せて合体させる。 ・手は丸細長い棒を2本作る。 ・白毫は丸く し、 頭に付け る。 ・手を体に付ける。 ・爪楊枝で目 と裾を描く。 ①.体部分を作る。 ②.頭を作り 、 体と合体する。 ③.手と白毫を作って合体させる。 ④.目 と裾を描いて完成 ! ! 手は1cm位の 棒状を2本 白毫は1㎜位の 球体 daikokusama ojizosama ・体部分はこねて球体にする。 ・頭と小槌を乗せる部分に窪みをつける。 (人差し指を曲げて関節でつけ る と ち ょ う どよい感じ) 頭巾 材料…上記載 粘土 (油粘土or紙粘土) フ リ ーザーバッ グ 水 接着剤 布巾 爪楊枝 ヘラor定規 材料一覧 体 頭 ・ 手(白毫) 材料…右記載 お大黒様分 お地蔵様分 お地蔵さ ん分を使う。 (右ページ参照) ① 7 1 7 1 頭 手 ・ 白毫 ② ③ ※紙粘土の場合は全ての パーツ を接着剤でつける。 お地蔵さ ま 8 9 粘土の分け方 あなただけの粘土仏さ んが出来ればOK 平面で ト ン ト ン する と綺麗 ! 下 上 お大黒さ ま 体 白毫分は手の 分からほんの少 し ち ぎ る。 粘土仏さんを 作って 怒り とサヨナラ 〜怒り を解消する方法〜 粘土指導 : 安倍美波 頭 頭巾 頭 頭巾 1 1 1 1
6.
お寺気分 −法話deナイ ト − 落 語 に は ︑ よ く 粗 忽 者 が 登 場 し ま す ︒ 粗 忽 者 と は ︑ そ そ っ か し い 人 や お っ ち ょ こ ち ょ い な 人 の こ と ︒ そ ん な 粗 忽 者 を 主 人 公 に し た の が ︑ 今 回 の お 噺 ﹁ 堀 之 内 ﹂ で す ︒ 粗 忽 者 の 熊 五 郎 ︒ あ ま り に も そ そ っ か し い の で 女 房 に 相 談 ︒ そ れ な ら ば 堀 之 内 の お 祖 師 様 に 願 掛 け を し て 治 し て も ら お う と い う 話 に な る ︒ 早 起 き を し て 出 か け よ う と す る が ︑ 子 ど も の 着 物 を 着 よ う と し た り ︑ 顔 を 洗 っ て 手 ぬ ぐ い と 猫 を 取 り 間 違 え 引 っ か か れ た り と 大 騒 ぎ ︒ や っ と 家 を 出 た ら ︑ 行 先 を 忘 れ て 通 り す が り の 人 に ﹁ あ た し ゃ ︑ ど こ へ 行 く ん で し ょ う ? ﹂ な ん て 尋 ね る 有 様 ︒ あ れ こ れ 騒 ぎ を 起 こ し な が ら よ う や く 堀 之 内 へ た ど り 着 く ︒ 早 速 ︑ お 祖 師 様 に お 参 り を と ︑ お 賽 銭 を あ げ よ う と す る が 財 布 ご と 投 げ 込 ん で 一 文 無 し に ︒ ﹁ 返 し て く れ ー ﹂ と 叫 ぶ が 後 の 祭 り ︒ 腹 も 減 っ た と 風 呂 敷 に 包 ん で 背 負 っ て い た お 弁 当 を 広 げ よ う と す る が 風 呂 敷 は 女 房 の 腰 巻 き ︑ 包 ん で い た の は お 弁 当 で は な く 枕 ︒ あ の ヤ ロ ー ︑ と 女 房 の せ い と 勝 手 に 思 い 込 み ︑ 急 い で 家 に 帰 り ︑ い き な り 大 声 で ﹁ て め ぇ の 方 が よ っ ぽ ど そ そ っ か し い じ ゃ ね ぇ か ︒ な ん で 腰 巻 な ん か 背 負 わ せ た ﹂ と 怒 鳴 る と ﹁ お 前 さ ん ち は 隣 だ よ ﹂ と 隣 の 奥 さ ん に 笑 わ れ て し ま う ︒ 家 に 戻 る と 女 房 が ﹁ ほ ん と に そ そ っ か し い 人 だ よ ︒ こ っ ち に ち ゃ ん と 包 ん で お い て お く よ っ て 言 っ た の に 間 違 え る な ん て ︒ そ れ よ り 腰 巻 が な く て 困 っ た わ よ ﹂ と 言 わ れ て し ま う ︒ 疲 れ た 腹 減 っ た と ︑ ぼ や い て い る と 女 房 が 息 子 の 金 坊 を 湯 屋 に 連 れ て い け と 言 う ︒ 嫌 が る 金 坊 を お ん ぶ し よ う と し て 女 房 を お ん ぶ し て し ま っ た り ︑ 湯 屋 と 床 屋 を 間 違 え た り ︒ そ そ っ か し さ の 本 領 を 発 揮 ︒ 湯 屋 に 着 い て も ︑ 他 所 の 子 ど も の 服 を 脱 が し て 大 騒 ぎ ︒ 洗 い 場 で は ︑ 体 を 洗 っ て や ろ う と 言 っ て 背 中 に 回 る と 彫 り 物 が 入 っ て い る ︒ ﹁ て め ぇ 子 ど も の 癖 に い つ の 間 に ﹂ と 怒 る と ︑﹁ な ん だ ぁ ﹂ と 振 り 返 っ た の は 鳶 の 頭 ︒ ﹁ こ り ゃ ど う も す み ま せ ん ﹂ と 謝 っ て ︑ 金 坊 の 背 中 を 流 す ︒ ﹁ お め ぇ も 随 分 肩 幅 広 く な っ た な ﹂ と 言 っ た ら ﹁ 父 ち ゃ ん ︑ そ り ゃ 羽 目 板 だ ﹂ と い う サ ゲ で 終 わ る お 噺 ︒ 古 典 落 語 の 代 表 的 な 演 目 で あ る ﹁ 堀 之 内 ﹂ の 舞 台 は ︑ 杉 並 区 堀 之 内 に あ る 日 蓮 宗 の 本 山 ︑ 妙 法 寺 の こ と で ︑ 江 戸 時 代 よ り ﹁ 厄 除 け の 祖 師 ﹂ と し て 有 名 な お 寺 で す ︒ 祖 師 と は 日 蓮 聖 人 の こ と ︒ 鎌 倉 時 代 ︑ 日 蓮 聖 人 が 伊 豆 に 流 罪 に な っ た 時 ︑ 弟 子 の 日 朗 上 人 が 由 比 ガ 浜 に 流 れ 着 い た 霊 木 を 見 つ け ︑ そ の 木 で 日 蓮 聖 人 の お 像 を 彫 り ま し た ︒ 日 蓮 聖 人 は 自 ら そ の お 像 の 開 眼 を 行 い ︑ 日 朗 上 人 に 授 け た そ う で す ︒ そ の お 像 が 妙 法 寺 の 日 蓮 聖 人 像 で す ︒ 伊 豆 流 罪 の 時 が ︑ 日 蓮 聖 人 四 十 二 歳 の 厄 年 の 歳 だ っ た こ と か ら ﹁ 厄 除 け の 祖 師 ﹂ と 言 わ れ る よ う に な っ た そ う で す ︒ そ の 日 蓮 聖 人 像 を 祀 っ て あ る の が 祖 師 堂 と い う 大 き な お 堂 で す ︒ 明 和 六 年 の 火 災 で 全 焼 し た も の の ︑ す ぐ に 再 建 さ れ ま し た ︒ そ の 後 ︑ 平 成 十 年 に も 大 改 修 が 行 わ れ ︑ 当 時 の 面 影 を 今 で も 見 る こ と が で き ま す ︒ 豪 華 な 祖 師 堂 は 一 見 の 価 値 あ り で す ︒ 江 戸 庶 民 に と っ て 堀 之 内 は 決 し て 気 軽 に 行 け る と こ ろ で は あ り ま せ ん ︒ 多 く の 噺 家 は 熊 五 郎 の 住 ま い を 浅 草 と し て い ま す ︒ 浅 草 か ら 杉 並 ま で は ︑ 往 復 約 三 〇 ㎞ あ り ま す か ら か な り 遠 く ︑ 歩 く の は 大 変 ︒ 内 藤 新 宿 あ た り で 一 泊 す る こ と も あ っ た よ う で す ︒ そ れ で も 厄 除 け の 祖 師 を お 参 り し た い と い う の は ︑ 江 戸 時 代 に 法 華 信 仰 が 盛 ん だ っ た 証 拠 で す ︒ ち な み に 亡 く な っ た 談 志 師 匠 は 熊 五 郎 の 住 ま い を ﹁ 根 津 の 八 重 垣 町 二 丁 目 二 番 地 ﹂ と 言 っ て い ま す ︒ 根 津 は 談 志 師 匠 が 住 ん で い た 大 好 き な 町 ︒ そ れ だ け に 堀 之 内 に 向 か う く だ り に リ ア ル 感 が あ り ﹃ 江 戸 の 風 ﹄ を 感 じ ま す ︒ そ れ に し て も ︑ 主 人 公 の 熊 五 郎 さ ん は 自 分 が 粗 忽 者 だ と 自 覚 し て ︑ そ れ を 治 し た い と 女 房 に 相 談 す る ︒ こ れ す ご い こ と で す ︒ 皆 さ ん は 自 分 の 欠 点 を 自 覚 し て い ま す か ︒ そ の 欠 点 を 身 近 な 人 と 相 談 し て 治 そ う と し ま す か ︒ 熊 五 郎 さ ん は ︑ も の す ご い 粗 忽 者 で す ︒ 現 実 に こ う い う 人 が 身 近 に い た ら ︑ ム カ ッ と き た り ︑ イ ラ っ と し た り す る と 思 い ま す ︒ し か し ︑ 皆 さ ん に も 欠 点 が あ る ︒ で も 気 が 付 い て い な い こ と が 多 い ︒ 自 分 の 欠 点 は 自 分 で は 見 え に く い ︒ 多 か れ 少 な か れ ︑ 誰 も が 粗 忽 な 一 面 を 持 っ て い ま す ︒ 粗 忽 者 に 目 く じ ら を 立 て な い で ︑ 笑 っ て や り 過 ご せ る ︑ そ ん な 生 き 方 が 素 晴 ら し い の だ と 思 い ま す ︒ 今 の 世 は 自 分 の 欠 点 は さ て お き ︑ 人 の 欠 点 ば か り 攻 め る 世 の 中 で す ︒ こ ん な 世 で は ︑ 熊 五 郎 さ ん も 生 き づ ら い と 思 い ま す ︒ み ん な で ︑ 粗 忽 者 が イ キ イ キ 生 き ら れ る 世 の 中 を 作 っ て い き ま し ょ う ︒ 粗 忽 者 も 優 し く 受 け 入 れ ︑ 息 苦 し く な い 社 会 ︒ そ ん な 社 会 な ら ︑ 肩 の 力 を 抜 い て 穏 や か に 生 き ら れ そ う だ と 思 い ま せ ん か ︒ 1 0 1 1 堀之内
7.
1 2 1 3 お寺気分 −仏像deナイ ト − アクシ ョ ン仏像の先駆け 「奈良時代 薬師寺の仏像」 ▲奈良
薬師寺 ▲奈良 薬師寺 薬師如来坐像 イ ラ ス ト 観 章 イ ラス ト観章 Action 来 に 漠 然 と し た 不 安 を 抱 え な が ら ︑ 紅 白 歌 合 戦 で ク ネ ク ネ と 踊 る 山 本 リ ン ダ を 私 は 見 つ め て い た ︒ 奈 良 ︑ 薬 師 寺 ︒ ひ と り 金 堂 の 中 に た た ず ん で い る と 門 帳 が 大 き く 膨 ら む ︒ 吹 い て き た の は 天 平 の 風 だ ︒ 先 進 国 に 追 い つ き 追 い 越 せ と ︑ 躍 動 と 活 気 に 満 ち た 大 き な 風 だ ︒ 薬 師 寺 は ︑ 六 八 〇 年 に 天 武 天 皇 が 皇 后 の 病 気 平 癒 の 祈 願 の た め 造 立 を 発 願 ︒ し か し ︑ 完 成 を 待 た ず し て 天 武 天 皇 自 身 が 崩 御 ︒ 後 に ︑ 皇 后 が 持 統 天 皇 と し て 即 位 し 完 成 さ せ た 寺 で あ る ︒ 本 尊 を 祀 る 金 堂 は ︑ 数 々 の 宝 石 や 金 銀 を 用 い て 豪 華 に 荘 厳 さ れ ︑ 僧 侶 で あ っ て も 入 堂 が な か な か 許 さ れ な い 特 別 な お 堂 で あ っ た ︒ そ の 中 央 に 安 置 さ れ て い る の が ︑ 本 尊 薬 師 如 来 坐 像 ︒ 世 界 の 頂 点 に 立 つ 素 晴 ら し い 出 来 栄 え の ブ ロ ン ズ 像 で あ る ︒ 現 代 の 技 術 を 持 っ て も 敵 わ な い ︑ と い わ れ る 仏 像 が 造 立 で き た 理 由 は ︑ 唐 の 新 し い 文 化 や 技 術 を 吸 収 し ︑ 外 国 に 引 け を 取 ら な い 文 化 を 持 っ た 国 作 り を 目 指 し た 政 治 の 結 果 で あ る ︒ つ ま り ︑ 国 家 事 業 と し て 仏 像 が 制 作 さ れ た の で あ る ︒ 仏 師 は 国 家 公 務 員 と し て エ リ ー ト の よ う に 扱 わ れ ︑ 結 果 を 残 す こ と が 要 求 さ れ た ︒ そ の た め に ︑ 最 新 の 技 術 と 素 材 を ふ ん だ ん に 用 い て 最 先 端 の 仏 像 が 造 ら れ た ︒ 唐 に 追 い つ き ︑ 唐 を 追 い 越 せ と 意 欲 的 に 製 作 に 励 ん だ に 違 い な い ︒ 金 堂 中 央 の 本 尊 薬 師 如 来 を ︑ 大 き な 愛 を 表 現 し た 静 寂 の 仏 像 と す る な ら ば ︑ 両 脇 に は 躍 動 的 な 時 代 を 象 徴 す る よ う な 日 光 菩 薩 ・ 月 光 菩 薩 が お 立 ち に な っ て い る ︒ こ の 躍 動 感 は ︑ 飛 鳥 時 代 に は な か っ た 技 法 で あ る ︒ 頭 部 ︑ 胸 か ら 腹 部 ︑ そ し て 下 半 身 を 交 互 に 捻 っ た こ の ク ネ ク ネ 姿 は ﹁ 三 曲 法 ﹂ と い い ︑ 古 代 イ ン ド 美 術 の 影 響 を 受 け た 技 法 で あ る ︒ ま さ に イ ン ド 舞 踊 そ の も の ︒﹁ ア ク シ ョ ン 仏 像 ﹂ の 誕 生 で あ る ︒ 唐 に 引 け を と ら な い 文 化 国 家 と し て ︑ 躍 進 し て い こ う と い う 志 が 随 所 に 見 る こ と が で き る 日 光 ・ 月 光 菩 薩 の 躍 動 的 な 姿 は ︑ ま さ に 天 平 時 代 の 風 を 表 現 し て い る か の よ う で あ る ︒ そ し て ︑ そ の 姿 が 山 本 リ ン ダ と 被 る の で あ る ︒ ﹁ へ そ 出 し ル ッ ク ﹂ と ク ネ ク ネ 感 が 似 て い る だ け で は な い ︒ 可 愛 い 子 ち ゃ ん 歌 手 の ﹁ こ ま っ ち ゃ う ナ ﹂ か ら ︑ セ ク シ ー 路 線 の ﹁ ア ク シ ョ ン 歌 謡 ﹂ へ の 脱 皮 が ︑ ま さ し く 戦 後 か ら の 脱 皮 を 表 し て い る の で あ る ︒ 先 進 国 に 追 い つ き 追 い 越 せ と い う 躍 動 と 活 気 の 象 徴 が 日 光 ・ 月 光 菩 薩 で あ る な ら ば ︑ 山 本 リ ン ダ は 高 度 経 済 成 長 の 象 徴 ︑ 具 現 化 で あ っ た ︒ し か し ︑ 金 堂 で 私 が 本 当 に 見 て い た の は ︑ 日 光 ・ 月 光 菩 薩 で も 山 本 リ ン ダ で も な い ︒ 転 校 し た ﹁ ゆ か ち ゃ ん ﹂ で あ る ︒ 薄 れ か け た 記 憶 の 中 に い る 彼 女 が ︑ な ん と な く 薬 師 如 来 さ ま に 似 て い る の で あ る ︒ 偶 然 こ こ で ば っ た り 会 え た り し て ︒﹁ あ れ ぇ ︑ も し か し て 小 学 校 の 時 の ・ ・ ・ ﹂ な ん て ︒ あ ぁ 妄 想 が ﹁ ど う に も と ま ら な い ﹂ ︒ 昭 和 四 十 七 年 ︵ 一 九 七 二 年 ︶ ︒ 自 分 の 人 生 の 中 で こ れ ほ ど 激 動 的 な 年 は な い ︒ ま ず ︑ お 正 月 明 け 初 の ホ ー ム ル ー ム で ︑ 隣 の 席 の ゆ か ち ゃ ん が 急 に 転 校 し て し ま っ た こ と が 伝 え ら れ た ︒ 小 学 五 年 生 の 初 恋 は ︑ 青 春 の 喜 び と 悲 し み を 教 え て く れ た ︒ テ レ ビ に 夢 中 に な っ た の も こ の 年 か ら だ ︒ 失 恋 を 紛 ら わ す た め ︑ 札 幌 で 行 わ れ た 冬 季 オ リ ン ピ ッ ク に 熱 中 ︒ 浅 間 山 荘 事 件 の 生 々 し い テ レ ビ 中 継 や ︑ 五 月 の テ ル ア ビ ブ 乱 射 事 件 の 血 だ ら け の 映 像 に 恐 怖 を 感 じ な が ら も ﹃ 太 陽 に ほ え ろ ! ﹄ や ﹃ 仮 面 ラ イ ダ ー ﹄ な ど ︑ テ レ ビ を 見 る こ と が 生 活 の 一 部 と な っ た ︒ そ の 一 方 ︑ こ の 頃 か ら ラ ジ オ を 聴 き 始 め ︑ レ コ ー ド を 買 う よ う に な る ︒ 初 め て 買 っ た レ コ ー ド は ︑ ガ ロ の ﹁ 学 生 街 の 喫 茶 店 ﹂ と ペ ド ロ & カ プ リ シ ャ ス の ﹁ 別 れ の 朝 ﹂︵ も ち ろ ん 前 野 曜 子 ︶ ︒ 今 で も 小 六 に し て は シ ブ い 選 曲 だ と 思 っ て い る ︒ そ し て こ の 年 ︑ 最 大 の 出 来 事 は ︑ 山 本 リ ン ダ の ﹁ ど う に も と ま ら な い ﹂ だ ︒ 真 っ 赤 な シ ャ ツ に 黒 の パ ン タ ロ ン ︒ お へ そ 丸 出 し で 歌 う ﹁ ア ク シ ョ ン 歌 謡 ﹂ は ︑ ま さ に こ の 時 代 の 象 徴 で も あ っ た ︒ 来 年 に は 中 学 生 に な る こ と も あ り ︑ 未 ▲月光菩薩と山本リ ンダの三曲法
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1 4 1 5 お寺気分 −お経deナイ ト − 瞑想を終えたブッ タは、 目を開き、 ゆっく りと立ち上 がった。 十万人以上集まっている中の最前列にいる十 大弟子のひと り、 智慧第一のシャ リホツに向かって、 ブッ ダは語り始めた。 「如来の悟りは、 信じること も理解すること も難しい。 君 のよ うに、 私の教えに従って修行している者や、 森の中 で一人修行をして悟りを求めようと している者たちに は、 到底理解できない深い真理なのだ。 だからこそ、 その悟りの真理を得た如来は、 あらゆる 人の性格や境遇を考えたうえで、 その人に一番理解し やすい方法で教えを説いてきた。 君に対してもだ。 しかし、 も う止めよ う。 悟りの真理はと っても難し く 、 悟 りを得た者同士にしか分からないことなのだ。 だからも う、 君たちに教えを説く こ とは止めにする」 そういわれたシャ リホツは 「どう して我が師匠のブッ ダは、 急にこんな話をするのだろうか。 私は今まで、 ブッダの言うとおりに修行し、 弟子の中では一番とい われる よ うになったのに、 どう して急にこんなことを言う のだろうか」 シャ リホツの疑問は、 彼だけではなく 、 同じ よ うに修行してきた千二百人の弟子たちも、 同じよ うに 疑問を感じた。 「偉大なるお師匠さま、 おっしゃる意味 が良く解りません。 私たちは今まで、 あなたの言うこと を信じて一生懸命修行を重ねてまいりました。 あなた の言葉を信じております。 どうか、 悟りへの真理をお説 き く ださい」 とシャ リ ホツはブッ ダに懇願した。 しかし、 ブッ ダは 「やめなさいシャ リホツ。 どんなに懇 願しても無駄だ。 これ以上君たちに教えを説いても、 君 たちはかえって迷うこ とになるだろ。 だから私はも う説く こ とを止めにする」 と言い放った。 それでもシャ リ ホツは諦めずに懇願した。 「どうか私、 いや私たちのために教えを説いていただきたい」 シャ リ ホツの願いは、 その場にいるすべての人々の願いで あった。 しかし、 その願いもむなしく ブッダは 「この場には、 悟っていないのに悟ったと思い込んでいる慢心の者が いる。 そのようなものに説いても勘違いするだけだ」 と 言い放つのである。 それでもシャ リホツは、 一縷の望みをかけて三度に わたり懇願した。 「ブッ ダよ、 わが偉大なる師匠よ。 私は あなたの一番弟子です。 私をはじめ、 ここにいる者は 皆あなたの教えを受けてきたものばかりです。 私たち は皆、 あなたの教えを聞き信じる心の準備があります。 どうか私たちのために、 お願いですから教えを説いて く ださい」 三度にわたる懇願を受け、 ブッ ダは 「シャ リホ ツよ、 君が本気で私の話を聞きたいという気持ちが良 く 解った。 そこまで本気なら説かないわけにはいかない だろう。 よ く 聞いて、 考え、 心に思い描きなさい。 君に理 解できる よ うに解説しよ う」 と話しを始めよ う と した。 と、 その時である。 それまで黙って聞いていた五千人の弟 子が立ち上がり、 ブッダに一礼してその場から立ち 去って行った。 ブッダは慈しみの目を以て彼らを見送った。 そして 彼らがいなく なったところでシャリホツに向けてこう 言ったのである。 「さ ぁ、 本気じゃないものはこの場から いなく なった。 今ここにいる者たちは真剣に悟りの真理 を求めるものばかりだろう。 私は本気で求める者たち だけに、 本当の最高の真理を説こ う と思っている。 シャ リホツ、 今、 君のために最高の真理を説こう」 とブッダ は言った。 方便品第二 (後半) に続く 2 0 1 9 年 1 1 月 2 4 日。 永ちゃんが喉の調子が悪く なりラ イブツアーを中止にした。 いまさ ら説明する必要もない だろうが、 永ちゃんとはロ ッ クスター矢沢永吉である。 その永ちゃんが 2 0 2 1 年、 1 年1 0 ヶ月ぶりにライブツ アー 『Iʼm back!!〜ROCKは止ま らない〜』 を再開した。 ライブ会場は、 やっとの思いでチケッ トを手に入れ たファンで埋め尽く された。 皆あのYAZAWAのタオル を用意してスタンディ ング。 早く声が聴きたい、 姿が見 たい。 気持ちがピークに達した時、 会場の電気が消え る。 ウォーという声とも唸り と も言えない音が会場に充 満する。 突然ステージに大きな明かりが輝き、 オープニ ング音楽と と もに永ちゃんがステージに現れる。 熱狂の ライブの始ま り。 永ちゃんは超満員の会場を見渡し、 第 一声を放つ。 その第一声が 「今日は歌わない」 だったらどうなる か。 「みんな、 悪いけど今日、 オレは歌わない。 みんな本 当にロ ッ ク解ってる ? ロ ッ ク じゃない奴がロ ッ ク聴いて解 るのかよ」 そんなことを言われたらどうなるか。 「永ちゃ ん、 歌ってー」 と叫び 「俺はロ ッ カーだぁ」 と大騒ぎ。 しか し 「何言っても ダメ。 本物のロ ッ ク解らない奴に俺、 歌わ ない」 と永ちゃんは冷たく 言い放つ。 すると突然、 アリーナ席の招待客の人たちが立ち上 がり 「なんだ偉そーに。 ふざけんじゃないよ、 忙しいなか 来てやったのに。 帰ろ帰ろ」 と椅子を蹴飛ばして帰って いく 。 永ちゃんは、 その人たちを笑顔で見送る。 そして、 帰ったのを見届けて 「OK。 残っているみんなの本気が 分かった。 それじゃ、 本気のロ ッ クみんなに歌うぜ。 行く ぞワンツースリー ! 」 とライブが始ま る。 キャー ! 残ってい た人たちはも う涙と歓喜と熱狂の渦。 想像してみてく だ さい。 残っていた人たちの喜びを。 も う永ちゃんの歌を、 声を、 その姿を、 何一つ忘れまいと目に焼き付け、 耳に 聞いて、 涙が止ま らない。 あの皆さん、 これ例え話ですからね。 本当の話じゃ ないから勘違いしないでね。 とにかく方便品第二は、 こんな感じで物語が始まる のです。 えっ ? 何が、 じゃありませんよ。 本気で聴きたい 人だけに、 お釈迦さまは教えを説く と言っているので す。 お釈迦さまはシャ リホツに 「この悟りの真理は、 そう 簡単に理解できるものではない。 悟りを開いた仏同士 が語り合ったときに初めて理解できることなのだ」 と言 いま した。 法華経の教えを理解することは大変難しく 、 自分はも う悟っていると思い上がった心を持っている 者には、 理解するどころか、 かえって勘違いしてしま う と考えたのです。 そういう偏った心では、 法華経の教えは理解できな いと考えたお釈迦さまは、 三度にわたってシャ リホツの 本気度を試しま した。 だから皆さんも、 本気で法華経を 聴きたいと思う心が必要で、 それを 「信心」 といいます。 病から戻ってきた永ちゃんは、 本気で自分のロ ッ クを 聴いてもらいたいと思ったはずです。 貧しかった少年 時代、 夜行列車で上京し働きながらバンドをやって、 キャロルからソロへ。 借金や人に裏切られ、 それでも走 り続けた 7 2年の人生。 ファンは、 歌だけじゃなく永ちゃ んの人生全部が本物のロ ッ クだと信じているのです。 方便品の前半のテーマは、 私たちはお釈迦さまの教え を本物だと 「信じる」 ファンなのかという本気度が試さ れているのです。 さあ、 邪魔者が帰った後、 お釈迦さまは一体何をお 話になるのか。 【あらすじ】 【解説】 「みんなが仏になるための教え
その二 近づく 手段(前半)」 妙法蓮華経 方便品第二 イ ン ドの霊鷲山。 たしかに鷲の顔だ。 矢沢永吉アルバム 「GOLDRUSH」 は空也上人がモデル ? GOLDRUSH つづく
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時 代 で あ る ︒ そ れ は ︑ 発 展 な の か 愚 か な こ と な の か ︒ 土 を 忘 れ た 私 た ち は ど こ に 向 か っ て 進 む の か ︒ 未 舗 装 の 道 を 前 に ﹁ 道 を 間 違 え た ﹂ と い う 父 親 の 言 葉 の 裏 に は ︑ 高 度 経 済 成 長 ︑ バ ブ ル に 至 る ま で ︑ 進 む べ き 道 を 間 違 え ︑ そ し て ︑ 間 違 っ た ま ま 先 に 進 も う と す る 日 本 人 の 愚 か さ を 感 じ ず に は い ら れ な い ︒ こ れ は ジ ブ リ 映 画 全 体 の テ ー マ で も あ る ︒ ︻ 鳥 居 と 石 祠 ︼ 止 ま っ た 車 の 横 に は 杉 の 老 木 ︒ 太 い 根 元 の 周 り に は ︑ 沢 山 の 石 祠 が 散 在 し ︑ 老 木 に も た れ か か る よ う に し て 朽 ち か け た 鳥 居 が あ る ︒ 神 社 の 入 り 口 で よ く 見 か け る 鳥 居 だ が ︑ 実 は 起 源 が 良 く 解 っ て い な い ︒ 木 と 木 を 縄 で 結 ん だ も の 説 ︒ 天 照 大 神 を 天 岩 戸 か ら 誘 い 出 す た め に 鳴 か せ た ﹁ 常 世 の 長 鳴 鳥 ﹂ に 因 み ︑ 神 前 に 鶏 の 止 ま り 木 を 置 い た 説 ︒ お 釈 迦 さ ま の ご 遺 骨 を 埋 葬 し た ス ト ゥ ー パ ︵ 仏 塔 ︶ の 塔 門 で あ る ト ー ラ ナ 説 な ど 様 々 あ り ︑ 語 源 も ﹁ 鶏 居 ﹂ ﹁ 止 ま り 木 ﹂﹁ 通 り 入 る ﹂﹁ ト ー ラ ナ の 漢 字 表 記 ﹂ な ど は っ き り し て い な い ︒ 鳥 居 の 種 類 も た く さ ん あ る ︒ 構 造 の 違 い に よ り ︑ 神 明 鳥 居 と 明 神 鳥 居 の 二 種 類 に 大 き く 分 か れ ︑ さ ら に 細 分 化 し て い る が ︑ ど れ も 結 界 の 役 割 を す る も の で あ る ︒ 結 界 と は ︑ 神 聖 な 場 所 で あ る 神 域 と ︑ 人 間 の 暮 ら す 場 所 で あ る 俗 界 を 区 切 る も の で あ り ︑ 神 聖 な 領 域 に 不 浄 の も の が 入 る の を 防 ぐ 役 割 が あ る ︒ そ の 鳥 居 が 老 木 に 寄 り か か っ て い る ︒ よ く 見 る と 柱 の 根 元 が 折 れ て い る ︒ こ の 鳥 居 は 本 来 ︑ 千 尋 た ち が い る 道 の 方 に 立 っ て い た は ず だ ︒ つ ま り ︑ こ の 道 は 神 域 に 続 く 道 で あ り ︑ 禊 を 行 わ な い 者 が 立 ち 入 る こ と の で き な い 禁 足 地 で あ る と 考 え ら れ る ︒ 神 域 で あ る 証 拠 は ︑ も う 一 つ あ る ︒ や は り 杉 の 老 木 の 根 元 に 集 め ら れ て い る 石 の 祠 で ︑ 映 画 の 中 で は ﹁ 神 様 の 家 ﹂ と 母 親 が 千 尋 に 説 明 し て い る ︒ 普 段 人 が 立 ち 入 ら な い 場 所 に 置 か れ る 石 祠 は ︑ 古 神 道 に 由 来 す る も の が 多 い と さ れ る ︒ 古 神 道 と は ︑ 仏 教 や 儒 教 な ど の 影 響 を 受 け る 前 の 古 代 の 神 道 で ︑ 固 有 の 信 仰 で は な く 地 域 や 共 同 体 を 中 心 と し た 自 然 崇 拝 ・ 精 霊 崇 拝 な ど の ア ニ ミ ズ ム 的 な 信 仰 形 態 を い う ︒ 特 に 禁 足 地 や 神 域 の 存 在 と ︑ そ の 境 を 区 切 る 結 界 を 大 切 に し ︑ シ ャ ー マ ン に よ る 祈 祷 な ど が 行 わ れ る ︒ ︻ ア ニ ミ ズ ム ︼ ア ニ ミ ズ ム と は 自 然 の 万 物 の 中 に は 生 命 ︑ 精 霊 ︑ 霊 魂 が 宿 っ て い る と い う 考 え 方 で ︑ 宗 教 の 始 ま り で も あ る ︒ こ の ア ニ ミ ズ ム か ら 発 展 し シ ャ ー マ ニ ズ ム ︵ 神 や 霊 魂 と 直 接 交 流 し ︑ 予 言 や 病 気 治 療 を 行 う シ ャ ー マ ン を 中 心 と し た 信 仰 ︶ が 生 ま れ ︑ そ し て 仏 教 や キ リ ス ト 教 な ど の 世 界 宗 教 へ と 発 展 し て い く ︒ 根 元 の 折 れ た 鳥 居 や 無 造 作 に 集 め ら れ た 石 祠 ︒ こ れ は 明 ら か に 人 の 手 に よ っ て ︑ こ の 老 木 の 元 に 集 め ら れ た と 考 え ら れ る ︒ お そ ら く ︑ 未 舗 装 の 向 こ う に あ る 森 そ の も の が 神 域 で あ り ︑ 結 界 で あ る 鳥 居 と ︑ そ の 神 域 の 中 に あ っ た 石 祠 で あ る ︒ 千 尋 た ち が 引 っ 越 す 住 宅 地 を 造 成 し た 時 に ︑ 扱 い に 困 っ た 工 事 関 係 者 が ︑ こ の 老 木 の 元 に 集 め 置 い た に 違 い な い ︒ 科 学 や 経 済 が ど ん な に 発 展 し て も ︑ 日 本 人 の 心 の 中 に は ア ニ ミ ズ ム が 生 き て い る ︒ 山 ︑ 川 ︑ 石 ︑ 木 に 精 霊 が 宿 り ︑ 大 切 に し な い と 祟 る と い う 気 持 ち が ど こ か に あ る こ と を 示 し て い る ︒ ︻ 参 道 と 産 道 ︼ 車 は 未 舗 装 の 道 を 進 み ︑ 森 の 中 に 入 っ て い く ︒ や が て 道 が 未 舗 装 か ら 石 畳 へ と 変 わ る ︒ な ぜ 森 の 奥 に 石 畳 が 敷 か れ て い る か ︒ そ れ は 大 切 な 道 だ か ら で あ る ︒ 道 に は 三 種 類 あ る ︒ 一 つ は 行 政 が 政 治 的 必 要 性 か ら 作 っ た 道 ︒ も う 一 つ は ︑ 生 活 の た め に 多 く の 人 が 歩 い て 出 来 た 道 ︒ 最 後 の 一 つ は ︑ 神 様 が 通 る 道 ︒ い わ ゆ る 参 道 で あ る ︒ 神 社 の 参 拝 方 法 と し て ︑ 鳥 居 を く ぐ る と き は 必 ず 頭 を 下 げ て か ら 通 り ︑ 参 道 は 真 ん 中 を 歩 か な い と い う 決 ま り が あ る ︒ 結 界 に 入 る こ と を 許 し て も ら う た め に 頭 を 下 げ ︑ 神 様 の 通 り 道 で あ る 中 央 は 歩 か な い と い う 作 法 で あ る ︒ 神 社 の 参 道 が い つ も き れ い な の は ︑ 神 様 が 通 る か ら で あ る ︒ 一 般 的 な 神 社 の 場 合 ︑ 鳥 居 を く ぐ り ︑ 参 道 を 進 む と ︑ や が て 社 殿 と い う 神 様 の い ら っ し ゃ る お 宮 に た ど り 着 く ︒ 色 々 あ る 鳥 居 の 意 味 の 一 つ に ︑ 鳥 居 は 女 性 が 立 っ て い る 姿 を 現 し て い る と い う 俗 説 が あ る ︒ 二 本 の 脚 の 間 を 進 む と 参 道 ︵ 産 道 ︶ が あ り ︑ そ の 向 こ う に お 宮 ︵ 子 宮 ︶ が あ る と い う ︒ 俗 説 と 笑 っ て は い け な い ︒ 神 社 に お 参 り す る の は ︑ 参 拝 す る 前 と は 違 う 自 分 に 生 ま れ 変 わ る こ と を 目 的 と し て い る か ら で あ る ︒ 禊 を し て 心 身 を 浄 め ︑ 神 様 の お 力 で 新 し い 力 を 得 る ︒ つ ま り 生 ま れ 変 わ る こ と を 願 う の で あ る ︒ そ し て ︑ こ の 映 画 の も う 一 つ の テ ー マ こ そ ︑ ま さ し く ﹁ 生 ま れ 変 わ り ﹂ な の で あ る ︒ ︻ 神 隠 し ︼ 千 尋 た ち は ︑ 俗 世 を 背 負 っ た ま ま 神 域 に 土 足 で 踏 み 込 ん だ ︒ し か も ︑ 千 尋 一 家 は 神 域 を 取 り 壊 し た 場 所 に 建 て ら れ た 家 を 買 っ て い る ︒ 神 域 が 破 ら れ た 原 因 を 作 っ た 共 犯 者 で あ る ︒ 大 地 へ の 感 謝 ︑ 自 然 へ の 畏 怖 を 忘 れ た 者 ︑ つ ま り ア ニ ミ ズ ム を 忘 れ た 者 た ち を 神 様 が 快 く 迎 え 入 れ る わ け は な い ︒ こ れ が 神 隠 し の 一 番 の 原 因 で あ る ︒ 原 因 つ ま り 縁 が な け れ ば 神 隠 し に は 合 わ な い の で あ る ︒ さ あ ︑ 神 域 に 突 入 し た 千 尋 た ち は 一 体 ど う な る か ︒ 続 き は ま た 次 回 ︒ 1 6 1 7 お寺気分 − アニメdeナイ ト − 掲載している映画 「千と千尋の神隠し」 の画像はSTUDIO GIBURI公式HPにてフ リー素材と して許可されている ものを使用しています。 あなたの知らない千と千尋 「神隠しの謎
その 1 」 〜お坊さんの深読みしすぎ伝説〜 こ の 映 画 の 題 名 に も な っ て い る ﹁ 神 隠 し ﹂ ︒ な ぜ 千 尋 一 家 は 神 隠 し に 遭 っ た の か ︒ 今 回 は そ の 謎 を 探 求 し て み よ う ︒ ︻ 道 と 土 ︼ 千 尋 の 父 親 が 運 転 す る 車 は ︑ 引 っ 越 し 先 の 家 を 目 指 し て い た ︒ と こ ろ が ︑ 杉 の 老 木 の 手 前 ︑ 舗 装 道 路 が 途 切 れ て い る と こ ろ で ︑ 道 を 間 違 え た こ と に 気 が 付 く ︒ そ こ か ら 先 は 未 舗 装 の 土 む き 出 し の 道 ︒ 母 親 は ︑ 周 り を 見 渡 し ︑ 丘 の 上 に 引 っ 越 し 先 の 家 を 見 つ け る ︒ 父 親 は ︑ こ の 道 を ま っ す ぐ 行 け ば 抜 け ら れ る と 言 い ︑ 母 親 は ︑ い つ も 夫 の そ う い う 判 断 は う ま く い か な い こ と を 知 っ て い る の で 反 対 す る ︒ 物 語 冒 頭 の 何 気 な い 出 来 事 に ︑ 大 き な 意 味 が 隠 さ れ て い る ︒ 人 生 の 道 を 共 に 歩 む 夫 婦 で す ら ︑ 一 つ の 道 を 共 に 進 む の は 難 し い ︒ 無 計 画 に 何 の 根 拠 も な く ﹁ 多 分 う ま く い く ﹂ と 考 え る 父 親 ︒ そ の 考 え と 行 動 に は 大 き な 代 償 を 伴 う こ と も 多 く ︑ 犠 牲 者 は い つ も 家 族 で あ る ︒ な ぜ 父 親 は 道 を 間 違 え た こ と に 気 が 付 き な が ら ︑ 先 に 進 も う と し た の か ︒ 二 十 世 紀 は ︑ お 金 ・ 学 力 ・ 肩 書 が も の を い う 時 代 ︒ 資 本 主 義 が 発 展 し ︑ 物 質 や 財 に 価 値 が 置 か れ る 時 代 ︒ 私 た ち は ︑ 開 発 ・ 発 展 と い う 名 の も と に ︑ 莫 大 な 費 用 と 時 間 を か け て 土 の 見 え な い 世 界 を 築 き 上 げ て き た ︒ 街 か ら 土 が 見 え な く な っ た
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東 京 は 不 思 議 な 街 で す ︒ 世 界 的 大 都 市 な の に ︑ 自 然 が あ り ︑ 古 い お 寺 や 神 社 が あ る ︒ 過 去 と 現 在 と 未 来 が 混 沌 と 存 在 す る 街 ︒ そ の 東 京 の ど 真 ん 中 に あ る 将 門 公 ゆ か り の 兜 神 社 か ら 神 田 神 社 ︵ 通 称 神 田 明 神 ︶ に 向 け て お 散 歩 は 出 発 ︒ ま ず は 日 本 橋 を 目 指 し ま す ︒ こ の 橋 の 中 央 に 麒 麟 の 像 が あ り ま す ︒ 古 代 中 国 で は ﹁ 麒 麟 ﹂ ﹁ 鳳 凰 ﹂ ﹁ 霊 亀 ﹂ ﹁ 応 龍 ﹂ を 幸 運 を 呼 ぶ 霊 妙 な 瑞 獣 ﹁ 四 霊 ﹂ と 言 い ま す ︒ 特 に ﹁ 麒 麟 ﹂ は ︑ 国 王 が 正 し い 政 治 を 行 っ た 時 に 出 現 す る 吉 兆 の 証 と 言 わ れ ︑ 日 本 の 道 路 の 起 点 で あ る 日 本 橋 か ら 全 国 に 吉 兆 が も た ら さ れ る よ う に と 願 っ た の で し ょ う ︒ さ ら に は ︑ 海 か ら や っ て 来 る 邪 悪 な 魔 物 を こ こ で 食 い 止 め る 役 割 も し て い ま す ︒ 麒 麟 さ ん あ り が と う ! と お 礼 を 述 べ て ︑ 十 七 号 ︵ 中 央 通 り ︶ を 北 上 し ま す ︒ 有 名 な デ パ ー ト や 老 舗 が 並 ぶ 街 並 み を 楽 し み な が ら ︑ 平 坦 な 道 を ま っ す ぐ 進 み 神 田 の ガ ー ド を く ぐ っ て 秋 葉 原 の 昌 平 橋 の 先 を 曲 が る と 神 田 明 神 下 に 到 着 で す ︒ 社 殿 と 明 神 下 と の 標 高 差 は 十 三 メ ー ト ル 近 く あ り ︑ ビ ル の 無 か っ た 江 戸 時 代 に は ど こ か ら で も ︑ よ く 見 え た に 違 い あ り ま せ ん ︒ さ す が 江 戸 総 鎮 守 ︒ ま ず は 手 水 舎 で 手 を 浄 め 隋 神 門 か ら 入 ろ う と ︑ ふ と 見 上 げ た ら 鳳 凰 が い ま し た ︒ 反 対 側 に は 亀 ︑ 向 か っ て 右 手 に は 龍 ︑ そ れ じ ゃ 左 手 に は 麒 麟 か と 思 っ た ら 猫 ︑ い や い や 虎 だ ︒ お ぉ ︑ こ れ は 高 松 塚 古 墳 に も 描 か れ て い た ﹃ 四 神 ﹄ で す ︒ 東 に 流 水 の 青 龍 ︑ 西 に 大 道 の 白 虎 ︑ 南 に 窪 地 の 朱 雀 ︑ 北 に 丘 陵 の 玄 武 ︒ 四 神 は 四 季 と 四 方 を 司 る 神 々 で ︑ 四 霊 と 共 に 吉 兆 を 表 す 霊 獣 で す ︒ 神 田 神 社 は ︑ あ ら ゆ る 方 法 で 守 ら れ て い ま す ︒ 神 田 神 社 は ︑ 天 平 二 年 ︵ 七 三 〇 ︶ 創 建 で 千 三 百 年 の 歴 史 が あ り ま す ︒ 当 初 は 千 代 田 区 大 手 町 に あ り ま し た が ︑ 徳 川 家 康 が 江 戸 に 幕 府 を 開 き 江 戸 城 を 拡 張 す る 際 に 現 在 の 地 に 移 転 さ れ ま し た ︒ 移 転 の 理 由 は 鬼 門 除 け の 為 で す ︒ 江 戸 城 の 表 鬼 門 に 神 田 明 神 ・ 浅 草 寺 ・ 寛 永 寺 を ︑ 裏 鬼 門 に 日 枝 神 社 ・ 増 上 寺 を 配 置 し 江 戸 城 を 守 ろ う と し た の で す ︒ 鬼 門 と は 陰 陽 道 に お け る 考 え 方 で ︑ 邪 気 が 入 っ て く る 忌 ま わ し い 方 角 の こ と で す ︒ つ ま り ︑ い い 街 づ く り の た め に 邪 気 を 防 ぐ 鬼 門 除 け と し て 現 在 の 地 に 移 転 さ れ ま し た ︒ 江 戸 の 街 づ く り に 鬼 門 封 じ を 行 っ た の は ︑ 家 康 の ブ レ ー ン の 比 叡 山 で 天 台 密 教 を 極 め た 天 海 と い う 僧 侶 で し た ︒ 日 本 橋 の 麒 麟 ︑ 鬼 門 除 け の 神 田 神 社 ︒ 江 戸 時 代 か ら あ ら ゆ る 方 法 で 魔 物 か ら 守 ら れ て い る 1 9 1 8 街 ︒ そ し て ︑ こ の 神 田 神 社 は ︑ も と も と 平 将 門 公 を ご 祭 神 と し て お 祀 り し た 神 社 で し た ︒ 将 門 公 は 朝 廷 に よ り 討 伐 さ れ ま し た が ︑ 神 田 神 社 の 由 緒 で は ﹁ 悪 政 に 苦 し む 庶 民 を 自 ら の 命 を な げ う っ て 守 ら れ た 東 国 の 英 雄 ﹂ と 記 さ れ て い ま す ︒ 天 海 は 江 戸 の 地 に 幕 府 を 開 く に あ た り ︑ 風 水 の 考 え を 取 り 入 れ て ︑ 最 強 の 街 づ く り を 目 指 し ま し た ︒ そ の 第 一 が 江 戸 城 の 位 置 と 鬼 門 除 け で す ︒ そ の 中 で も ︑ あ え て 神 田 神 社 を 移 転 さ せ て ま で も 平 将 門 公 の 力 を 借 り る こ と が 必 要 で し た ︒ 神 田 神 社 は ︑ 将 門 公 の ﹁ か ら だ ﹂ が な ま っ て ﹁ か ん だ ﹂ に な っ た と い う 説 も あ り ま す ︒ 将 門 公 の 体 を 祀 る 神 社 ︒ こ れ は 強 力 で す ︒ 江 戸 の 街 は 東 京 に な り ま し た ︒ 魔 物 は 消 え た の で し ょ う か ︒ い や ︑ そ う で は あ り ま せ ん ︒ 魔 物 は 今 ま で 以 上 に 大 き く な っ て い ま す ︒ 天 海 が 将 門 公 の 力 を 借 り な け れ ば な ら な い ほ ど の 魔 物 と は 何 か ︒ 私 た ち は ︑ そ の 魔 物 と ど う 対 治 し た ら い い の か ︒ そ し て ︑ 今 ま で 巡 っ て き た 神 社 に ど の よ う な 意 味 が あ る の か ︒ す べ て の 答 え は 将 門 の 首 塚 に あ り ま す ︒ 逸 る 気 持 ち を 抑 え つ つ ︑ 納 豆 と 甘 酒 の お 土 産 を 買 っ て ︑ い ざ ! 大 手 町 へ ︒ ︵ つ づ く ︶ 魔物から江戸を守る 「神田神社(神田明神)」 神 田 駅 神田川 湯島聖堂 江 戸 通 り 両国駅 蔵 前 駅 浅 草 駅 人形町 東日本橋駅 蔵前通り 皇居 至 東京 至
錦糸町 親獅子が子獅子を谷底に突き落と し、 這い上がって来 た子をはじめて我が子とするという。 この前でニッ コ リ 笑って写真を撮っている親子がいた。 シュール。 明神下へ降り る男坂。 この下に銭形 平次が住んでいた。 主題歌を口ずさ みながら降り ると危ないから注意 ! 1 3 4 桜と御社殿 内側には大黒さまをモチーフに した彫刻がある。 二層目には将門公由来 の招馬が飾られている。 ここに入るだけで浄められる気がする。 男坂 隋神門の四神 2 獅子山 2 3 4 神田明神 兜神社 隅 田 川 浅草橋駅 東京証券取引所 1 お茶の水駅 聖 橋 日 比 谷 通 り 昌 平 橋 日 本 橋 日本橋 麒麟 秋 葉 原 駅 平将門首塚 中 央 通 り 穴場的桜スポッ トでもある。 満開の時季にはライ トアッ プもあるそう。 桜吹雪の中、 将門公の人生を想う…涙
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2 2 2 3 新しい時代がやって来た ! コロナ、 多様性、 ジ ェ ンダーギ ャ ッ プ、 SDGs、 脱炭 素、 第7世代にZ世代、 新しい言葉の波に揉ま れてグルグル回っている。 わかんなーいって言 わないで、 調べたり教えてもらうといいのか な。 自分のことを大人だと思っていたけれど、 子どもになったつも りで、 学んでみようかな。 意 外とち ょ っ と視点を変えるだけで新しい世界が 見えてく るかも。 視点を変えて はい、 経王寺でございます のいる間に 文 ・ お寺のおち ょ やん 2 3 今 日 も お 寺 は 平 和 で す ︒ お 寺 で 実 際 に あ っ た こ と を 元 に 書 い て い ま す ︒ 作 ・ オ ノ リ サ コ −寺務員のへや− コ ロ ナ 禍 を ど う 生 き る か 模 索 し て い た 時 に ︑ 偶 然 ラ ジ オ か ら 流 れ て き た ヒ ッ プ ホ ッ プ グ ル ー プ の ラ イ ム ス タ ー の 歌 に 驚 き ま し た ︒ な ん と 彼 ら の 歌 が ︑ 仏 教 の 教 え と 似 て い た の で す ︒ 彼 ら が 二 〇 一 五 年 に 出 し た 九 枚 目 の ア ル バ ム ﹁ Bitter,Sweet Beautiful ﹂ は ︑ 全 曲 仏 教 の 教 え に 通 じ る も の が あ り ま す ︒ さ あ ︑ 彼 ら の 曲 に ど ん な 教 え が 隠 れ て い る の か ︒ 謎 解 き の 始 ま り で す ︒ さ て ︑ そ の 一 曲 目 は ﹁ ビ ュ ー テ ィ フ ル ﹂ と い う イ ン ス ト ゥ ル メ ン タ ル の 曲 ︒ 静 か で 物 悲 し い ピ ア ノ の 音 だ け の 曲 で す ︒ ヒ ッ プ ホ ッ プ な の に 一 曲 目 は イ ン ス ト ゥ ル メ ン タ ル ︒ 言 葉 に 振 り 回 さ れ ︑ 頭 で っ か ち に な っ て い る 私 た ち に ﹁ 心 で 感 じ る こ と が 大 切 だ ﹂ と い う メ ッ セ ー ジ が 伝 わ っ て き ま す ︒ ビ ュ ー テ ィ フ ル ︒ 仏 教 で は 美 し い も の を 円 と い う 言 葉 で 表 し ま す ︒ 丸 い 円 の こ と で す ︒ 禅 宗 の お 寺 で は 掛 け 軸 な ど に ︑ よ く 筆 で 書 か れ た 丸 い 円 が 掲 げ ら れ て い ま す ︒ お 塔 婆 の 上 に も 書 か れ て い て ﹁ 己 を 写 す 窓 ﹂ と い う 意 味 が あ り ま す ︒ 円 は 悟 り や 真 理 ︑ 宇 宙 な ど も 表 し て い ま す ︒ 円 に は 始 ま り も 終 わ り も あ り ま せ ん ︒ と ら わ れ る こ と の な い 心 ︑ 執 着 か ら 離 れ た 心 を 表 し て い ま す ︒ 円 が 満 ち て い る か ら 円 満 ︒ 円 が 欠 け て い る と な ん だ か 落 ち 着 き ま せ ん ︒ 美 し く も あ り ま せ ん ︒ 今 の 私 た ち は ︑ こ の 欠 け た 円 な の で す ︒ 人 を 差 別 し た り ︑ お 互 い に 傷 つ け あ っ た り し て ︑ み ん な 円 が 欠 け て い ま す ︒ 人 は 何 故 か ︑ 他 人 の 欠 点 に 目 が 行 っ て し ま い ま す ︒ 他 の 人 の 失 敗 や 間 違 い を 必 要 以 上 に 指 摘 し た り ︑ 問 題 に し た り ︑ 指 さ し て あ ざ け 笑 っ た り す る よ う な 人 こ そ ︑ 心 が 欠 け て い る 証 拠 で す ︒ 誰 も が 欠 け た 心 を 持 っ て い る か ら こ そ ︑ そ の 欠 け た 部 分 を ︑ お 互 い に 補 っ て 生 き て い く こ と が こ れ か ら の 生 き 方 で す ︒ そ う や っ て ︑ 少 し ず つ 心 を 円 満 に し て い く ︒ み ん な が 円 満 な 心 を 持 つ よ う に な れ ば ︑ そ の 円 満 な 人 達 が 集 ま っ て 大 き な 円 満 な 社 会 を 作 り 出 す こ と が で き ま す ︒ 円 満 な 社 会 は ひ と り で は 作 り 出 せ ま せ ん ︒ み ん な の 力 が 必 要 な の で す ︒ そ の た め に も ︑ 一 人 一 人 が 執 着 を 捨 て て ︑ 差 別 を 止 め て ︑ 平 和 を 目 指 し ︑ 争 い を 止 め ︑ 他 人 の 欠 け て い た 部 分 を 補 っ て ︑ そ の 人 の 良 い と こ ろ を 見 る よ う に 心 が け ま し ょ う ︒ こ れ が 仏 教 の 教 え で す ︒ み ん な が 円 満 で 社 会 も 円 満 ︒ な ん て 素 敵 な 美 し い 世 界 な の で し ょ う か ︒ 世 界 を 幸 せ な 円 満 に す る た め に ︑ あ な た と い う 存 在 が あ る の で す ︒ 是 非 一 緒 に ︑ 美 し い 円 満 な 社 会 を 目 指 し て い き ま し ょ う ︒ そ の 世 界 を 作 る に は ︑ ま ず ︑ あ な た が 必 要 だ っ て こ と ︑ 忘 れ な い で 下 さ い ︒ あ な た も 円 満 私 も 円 満 ︒ こ れ で あ な た も ビ ュ ー テ ィ フ ル ︒ ( 本 文 は 立 正 大 学 1 5 0 周 年 記 念 特 別 講 話 の 原 稿 を も と に ︑ 大 幅 に 加 筆 ︑ 修 正 し た も の で す ) 人生はビターであり スウ ィ ー ト であり ビ ュ ーテ ィ フ ル。 ど う したら美し く 生きていけるか。 「ビ ュ ーテ ィ フ ル」 『僕とパンデミ ッ ク と仏教と ラ イ ムス ター』 元野良猫の親子猫と暮らして 3年以上が 経つが、 母猫は未だに人間とは一定の距離 を取りながら暮らしている。 大体1 0 日 く らいの周期でお気に入りの寝 床が変わるのだが、 たまに私のベッ ドがお気 に入りになることがある。 そうするとあたかも 最初からここが己の寝床だったかのよ うな態 度を取り、 私が現れると不服そうな顔をする。 夜、 私がベッ ドで眠っていると、 部屋の入口 から母猫が大きな声で 「にゃーお ! にゃー お ! 」 と鳴いている。 まるで 「そこで寝たいの ! どいてよ ! 」 と言わんばかりである。 こちらとしては一緒に寝てく れても構わな いのだが、 やはり母猫と しては人間とは一定 の距離を取りたいよ うである。 今回の写真のタイ トルは 『ガチ ャピン とム ッ ク』 です。 せんべい こ れ 皆 で 食 べ て ね こ れ な ら 当 分 持 ち ま す ね ︒ 1 枚 だ け … バ リ バ リ ッ や だ ♡ 美 味 し い も う 1 枚 … バ リ バ リ ッ 2 日 後 あ れ ? お せ ん べ い は ? ハ ハ ハ … せ ん べ い photo &
文 M.Tag オノ 観章さん