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数値解析と物理学
KMC春合宿2017
自己紹介
▪KMC-ID: suzusime (すずしめ)
▪京都大学理学部理学科二回生.物理科学系にいきます.(きっと)
▪最近はroot見習いとボドゲしかしていない.
▪巫.jpという最高のドメインをとったのでいいかんじにしたい.
▪お絵かきアドベントカレンダー大遅刻.
すみませんでした!
2
この講座の目的
▪物理学情報処理論2という講義で習った数値計算の話が面白かったのです.
▪数値計算法なんてただの退屈な作業と思っていたけれど,実は物理系に
対する考察,物理現象の裏に潜む数学的構造の利用に満ちていた.
▪その面白さを前提知識のあまりない人にも伝えたいというのが,この講
座をしようと思った動機です.
3
目次
1. 数値解析とは何か
2. symplectic数値積分法
3. 解析力学の初歩
4. 再び,symplectic数値積分法
5. 物理学のはなし
4
数値解析とは何か
第一章
数値解析とは
▪「数値計算」とも.
▪具体的な状況の問題を,式として解くのではなく、コンピュータによっ
て計算することによって解く.
▪物理現象の多くは微分方程式によって記述されるが,このようなものは
解析的には(=数式としては)解けないことが多い.
▪よって,代わりに数値によって計算することで実際のようすをシミュ
レーションする.
6
微分方程式とは
▪函数の導函数が与えられ,そこからもとの函数を求めるという方程式.
▪次のようなものが基本形(一変数一階微分方程式).
𝑑𝑑𝑑𝑑(𝑡𝑡)
𝑑𝑑𝑑𝑑
= 𝑓𝑓 𝑥𝑥, 𝑡𝑡 , 𝑥𝑥 𝑡𝑡0 = 𝑥𝑥0
7
微分方程式とは
▪例
𝑑𝑑𝑑𝑑(𝑡𝑡)
𝑑𝑑𝑑𝑑
= 2𝑡𝑡 + 1, 𝑥𝑥 0 = 0
� 𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
= � 𝑑𝑑𝑑𝑑 (2𝑡𝑡 + 1)
𝑥𝑥(𝑡𝑡) = 𝑡𝑡2 + 𝑡𝑡 + 𝐶𝐶
𝑥𝑥 0 = 𝐶𝐶 = 0
∴ 𝑥𝑥 𝑡𝑡 = 𝑡𝑡2
+ t
8
微分方程式の離散化
▪微分方程式は,ある時刻での変化率を使って次の状態の値を求める,と
いう操作.
▪つまり,漸化式と同じ.漸化式を無限に細かくやっていったようなもの
が微分方程式といえる.
▪ところで,コンピュータでは無限回の操作を扱えない.
▪なら漸化式(差分方程式)で近似すればいいじゃない.
9
微分方程式の離散化
𝑑𝑑𝑑𝑑(𝑡𝑡)
𝑑𝑑𝑑𝑑
= 2𝑡𝑡 + 1, 𝑥𝑥 0 = 0
について,𝑡𝑡𝑛𝑛 = 𝑛𝑛Δ𝑡𝑡, 𝑥𝑥𝑛𝑛 = 𝑥𝑥 𝑡𝑡𝑛𝑛 とする.これは
𝑑𝑑𝑑𝑑(𝑡𝑡𝑛𝑛)
𝑑𝑑𝑑𝑑
= lim
Δ𝑡𝑡→0
𝑥𝑥 𝑡𝑡𝑛𝑛+1 − 𝑥𝑥 𝑡𝑡𝑛𝑛
Δ𝑡𝑡
= 2𝑡𝑡𝑛𝑛 + 1
とかけるから,Δ𝑡𝑡を0に飛ばさない場合として次の近似を得る:
𝑥𝑥 𝑡𝑡𝑛𝑛+1 − 𝑥𝑥 𝑡𝑡𝑛𝑛
Δ𝑡𝑡
= 2𝑡𝑡𝑛𝑛 + 1
∴ 𝑥𝑥𝑛𝑛+1 = 𝑥𝑥𝑛𝑛 + (2𝑡𝑡𝑛𝑛 + 1)Δ𝑡𝑡
10
Euler法
微分方程式
𝑑𝑑𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑡𝑡
= 𝑓𝑓 𝑥𝑥, 𝑡𝑡
について,𝑡𝑡𝑛𝑛 = 𝑛𝑛Δ𝑡𝑡, 𝑥𝑥𝑛𝑛 = 𝑥𝑥 𝑡𝑡𝑛𝑛 とし,𝑥𝑥0が与えられているものとする.
このとき,次のような漸化式で𝑥𝑥𝑛𝑛を順に定めていく:
𝑥𝑥𝑛𝑛+1 = 𝑥𝑥𝑛𝑛 + 𝑓𝑓 𝑥𝑥𝑛𝑛, 𝑡𝑡𝑛𝑛 Δ𝑡𝑡
▪ひとつ前の時刻での𝑥𝑥の値を用いて次の時刻の𝑥𝑥を求める.
11
例:放物運動
▪球を適当な角度で打ち上げる.
▪即ち,鉛直方向に重力がかかっている系において,質点を原点から適当
な角度,適当な初速で打ち上げる.
▪空気抵抗は無視するとする。
12
例:放物運動
▪Newtonの運動方程式(を質量で両辺割ったもの)
𝑑𝑑2 𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑡𝑡2
𝑡𝑡 = 𝑎𝑎 𝑥𝑥 𝑡𝑡 ,
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 , 𝑡𝑡
▪これは次のように書き直せる:
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = 𝑣𝑣 𝑡𝑡
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = 𝑎𝑎(𝑥𝑥(𝑡𝑡), 𝑣𝑣(𝑡𝑡), 𝑡𝑡)
13
例:放物運動
▪放物運動の場合,
𝑑𝑑2 𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑡𝑡2
𝑡𝑡 = 0,
𝑑𝑑2 𝑦𝑦
𝑑𝑑𝑡𝑡2
𝑡𝑡 = −𝑔𝑔
▪これは次のように書き直せる:
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = 𝑣𝑣𝑥𝑥 𝑡𝑡
𝑑𝑑𝑣𝑣𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = 0
,
𝑑𝑑𝑦𝑦
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = 𝑣𝑣𝑦𝑦 𝑡𝑡
𝑑𝑑𝑣𝑣𝑦𝑦
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = −𝑔𝑔
14
例:放物運動
▪初速𝑣𝑣0,角度𝜃𝜃で打ち上げるとすると,その軌道は次のようになる:
𝑦𝑦 = tan𝜃𝜃 ⋅ 𝑥𝑥 −
𝑔𝑔
2𝑣𝑣0
2
cos2 𝜃𝜃
𝑥𝑥2
▪これがいわゆる解析解.
15
Euler法による運動の時間発展の計算
𝑡𝑡𝑛𝑛 = 𝑛𝑛Δ𝑡𝑡, 𝑥𝑥𝑛𝑛 = 𝑥𝑥 𝑡𝑡𝑛𝑛 , 𝑣𝑣𝑛𝑛 = 𝑣𝑣 𝑡𝑡𝑛𝑛 とする.但しΔ𝑡𝑡は刻み幅.このとき,加速
度が運動方程式により𝑎𝑎(𝑡𝑡, 𝑥𝑥, 𝑣𝑣)として与えられるとすると,
𝑥𝑥𝑛𝑛+1 = 𝑥𝑥𝑛𝑛 + 𝑣𝑣𝑛𝑛Δ𝑡𝑡
𝑣𝑣𝑛𝑛+1 = 𝑣𝑣𝑛𝑛 + 𝑎𝑎(𝑡𝑡𝑛𝑛, 𝑥𝑥𝑛𝑛, 𝑣𝑣𝑛𝑛)Δ𝑡𝑡
▪ひとつ前の時刻での位置と速度のみを用いて次の時刻の位置と速度を求
める.
16
数値解と解析解の比較
▪みてのとおりだいたい同じものができている。
17
空気抵抗がある場合
▪空気抵抗がある場合,解析的に解いて軌道を普通の函数で書くことはで
きないが,数値計算では簡単に軌道を求めることができる.
18
おまけ:IV号戦車の弾道計算
19
数値計算の誤差
▪このような数値計算は,微分(無限分割)を差分(有限分割)によって
近似することによってコンピュータによって扱える有限回の操作に帰着
している.
▪よって,必然的に誤差が生じてくる.
20
Euler法の誤差
▪Euler法の𝑥𝑥𝑛𝑛+1 = 𝑥𝑥𝑛𝑛 + 𝑓𝑓 𝑥𝑥𝑛𝑛, 𝑡𝑡𝑛𝑛 Δ𝑡𝑡 は,つまり
𝑥𝑥 𝑡𝑡 + Δ𝑡𝑡 = 𝑥𝑥 𝑡𝑡 +
𝑑𝑑𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑡𝑡
(𝑡𝑡)Δ𝑡𝑡
▪一方,Taylor展開(厳密に成り立つ展開式)は
𝑥𝑥 𝑡𝑡 + Δ𝑡𝑡 = 𝑥𝑥 𝑡𝑡 +
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 Δ𝑡𝑡 +
1
2
𝑑𝑑2 𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑡𝑡2
𝑡𝑡 (Δ𝑡𝑡)2 + ⋯
▪これらはΔ𝑡𝑡の1次の項まで一致している(1次近似).
▪Euler法は1次の数値計算スキームである,などという.
21
Euler法の誤差
▪誤差を小さくするためにはΔ𝑡𝑡を小さくしてやればいい.
▪でもそうすると計算に時間がかかるようになる.
▪Taylor展開の2次の項までに一致するような計算法があればもっと精度よ
く早く計算できそう.
22
2次Runge-Kutta法
微分方程式
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
= 𝑓𝑓 𝑥𝑥, 𝑡𝑡
について,𝑡𝑡𝑛𝑛 = 𝑛𝑛Δ𝑡𝑡, 𝑥𝑥𝑛𝑛 = 𝑥𝑥 𝑡𝑡𝑛𝑛 とし,𝑥𝑥0が与えられているものとする.
このとき,次のような漸化式で𝑥𝑥𝑛𝑛を順に定めていく:
𝑥𝑥′𝑛𝑛+1 = 𝑥𝑥𝑛𝑛 + 𝑓𝑓 𝑥𝑥𝑛𝑛, 𝑡𝑡𝑛𝑛 Δ𝑡𝑡
𝑥𝑥𝑥𝑥𝑛𝑛+1 = 𝑥𝑥𝑛𝑛 + 𝑓𝑓 𝑥𝑥′𝑛𝑛+1, 𝑡𝑡𝑛𝑛+1 Δ𝑡𝑡
𝑥𝑥𝑛𝑛+1 =
1
2
(𝑥𝑥𝑛𝑛+1
′
+ 𝑥𝑥𝑛𝑛+1
′′
)
23
2次Runge-Kutta法の誤差
▪2次Runge-Kutta法はTaylor展開の2次の項まで一致する.
24
いろいろな数値計算スキーム
▪このように,効率よく計算するための数値計算スキームがいろいろと考
えられている.
▪今は誤差(収束性)のことにしか触れていないが,ほかに数値計算ス
キームを選ぶための指標として安定性,そして計算量がある.
25
symplectic数値積分法
第二章
例:一次元調和振動子
▪運動方程式
𝑚𝑚
𝑑𝑑2 𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑡𝑡2
𝑡𝑡 = −𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑡𝑡)
▪これは次のように書き直せる:
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = 𝑣𝑣 𝑡𝑡
𝑚𝑚
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = −𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑡𝑡)
27
例:一次元調和振動子
▪運動方程式
𝑚𝑚
𝑑𝑑2 𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑡𝑡2
𝑡𝑡 = −𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑡𝑡)
▪ 𝑥𝑥を𝑞𝑞に置き換え,𝑚𝑚𝑚𝑚を𝑝𝑝に置き換えると,次のようになる:
𝑚𝑚
𝑑𝑑𝑞𝑞
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = 𝑝𝑝 𝑡𝑡
𝑑𝑑𝑝𝑝
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = −𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑡𝑡)
28
例:一次元調和振動子
▪運動方程式
𝑚𝑚
𝑑𝑑2 𝑥𝑥
𝑑𝑑𝑡𝑡2
𝑡𝑡 = −𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑡𝑡)
▪簡単のため𝑚𝑚 = 𝑘𝑘 = 1とするとこうなる:
𝑑𝑑𝑞𝑞
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = 𝑝𝑝 𝑡𝑡
𝑑𝑑𝑝𝑝
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑡𝑡 = −𝑞𝑞(𝑡𝑡)
29
Euler法の場合
▪Euler法だとこうなる:
𝑞𝑞𝑛𝑛+1 = 𝑞𝑞𝑛𝑛 + ℎ𝑝𝑝𝑛𝑛
𝑝𝑝𝑛𝑛+1 = 𝑝𝑝𝑛𝑛 − ℎ𝑞𝑞𝑛𝑛
▪ℎはΔ𝑡𝑡のかわり.
30
Euler法による計算結果
31
相空間による表示
32
何が起きているのか?
▪解析解では相空間での軌道は楕円になるはず.
▪𝐻𝐻 =
1
2
(𝑝𝑝2 + 𝑞𝑞2)とおくと,
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
= 𝑝𝑝
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
+ 𝑞𝑞
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
= 𝑝𝑝(−𝑞𝑞) + 𝑝𝑝𝑝𝑝 = 0より,
𝐻𝐻は𝑡𝑡に対して一定.これは相空間で楕円軌道を描くことを示す.
▪実は𝐻𝐻はエネルギーであり,これはエネルギー保存則である.
▪数値解の軌道がだんだん大きくなるというのは,系のエネルギーがどん
どん大きくなっていっていることを示している.やばそう!
33
symplectic Euler法登場
▪Euler法だとこうであった:
𝑞𝑞𝑛𝑛+1 = 𝑞𝑞𝑛𝑛 + ℎ𝑝𝑝𝑛𝑛
𝑝𝑝𝑛𝑛+1 = 𝑝𝑝𝑛𝑛 − ℎ𝑞𝑞𝑛𝑛
▪symplectic Euler法は次のようなもの:
𝑞𝑞𝑛𝑛+1 = 𝑞𝑞𝑛𝑛 + ℎ𝑝𝑝𝑛𝑛
𝑝𝑝𝑛𝑛+1 = 𝑝𝑝𝑛𝑛 − ℎ𝑞𝑞𝑛𝑛+1
34
symplectic Euler法による計算結果
35
相空間での表示
36
symplectic Euler法の特徴
▪symplectic Euler法は系のエネルギーが保存されるように作られた数値計
算スキームであり,実際Euler法に比べエネルギー保存という性質をよく
再現している.
▪symplectic Euler法と同様の考えで収束次数を上げたようなものもあり,
これらをsymplectic数値積分法と総称する.
37
symplectic Euler法の謎
▪何故,あのようにEuler法の数値スキームを少し変えただけでこのような
よい性質がでてくるのか?
▪そこに潜む物理学的な構造を見ていこうというのがこの講座のテーマ.
▪一言でいえば「時間発展のステップが,あるHamiltonianを保存する正準
変換になっているため」なのだが,多くの人にはよくわからないと思う.
▪そのために,まずは「解析力学」による力学の定式化をみていく.
38
解析力学の初歩
第三章
39
解析力学とは
ニュートン力学を一般座標を用いて記述し,数理解析を用いて力学系の
一般的性質を数学的に論じる力学形式。一般座標を用いて表されたラグラ
ンジュ関数,または一般座標と一般運動量を用いて表されたハミルトン関
数に対して,ハミルトンの原理を適用しラグランジュの運動方程式やハミ
ルトンの運動方程式(正準方程式)が導かれる。
(『ブリタニカ国際大百科事典』より)
解析力学とは
ニュートン力学を一般座標を用いて記述し,数理解析を用いて力学系の
一般的性質を数学的に論じる力学形式。一般座標を用いて表されたラグラ
ンジュ関数,または一般座標と一般運動量を用いて表されたハミルトン関
数に対して,ハミルトンの原理を適用しラグランジュの運動方程式やハミ
ルトンの運動方程式(正準方程式)が導かれる。
(『ブリタニカ国際大百科事典』より)
解析力学とは
ニュートン力学を一般座標を用いて記述し,数理解析を用いて力学系の
一般的性質を数学的に論じる力学形式。一般座標を用いて表されたラグラ
ンジュ関数,または一般座標と一般運動量を用いて表されたハミルトン関
数に対して,ハミルトンの原理を適用しラグランジュの運動方程式やハミ
ルトンの運動方程式(正準方程式)が導かれる。
座標系のとりかたに依存しない
一般座標=一般化座標
ラグランジュ関数=Lagrangian
ハミルトン関数=Hamiltonian
ハミルトンの原理=最小作用の原理
ラグランジュの運動方程式
=Euler-Lagrange方程式
Lagrangianに最小作用の原理を
適用すると,運動方程式がでてくる!
要約すると……
解析力学の特徴
▪Newton力学のNewton運動方程式ではない形での定式化.
▪公理として次のような最小作用の原理(停留作用の原理)をおく:
2つの時刻𝑡𝑡1, 𝑡𝑡2における系の状態を与えたとき,その間の実際の運動経路
は,考え得る経路のうち作用を停留させるようなものである.
▪座標系に依存せず,どのような座標をとってもこの原理から同じ運動方
程式を導ける.
▪「力」という概念が表に出てこない.
43
作用とは何ぞや
▪問題設定 時刻𝑡𝑡1から𝑡𝑡2までの系の時間発展を考える.時刻𝑡𝑡による系の状
態は一般化座標𝒒𝒒 𝑡𝑡 = 𝑡𝑡(𝑞𝑞1(𝑡𝑡), 𝑞𝑞2(𝑡𝑡), … , 𝑞𝑞𝑛𝑛(𝑡𝑡))によって表されるものとす
る.
▪例 先ほどの1次元調和振動子の場合,一般座標として𝑞𝑞(𝑡𝑡)をとればよい.
44
作用とは何ぞや
▪そのような𝒒𝒒(𝑡𝑡)に対し,Lagrangian 𝐿𝐿(𝒒𝒒 𝑡𝑡 , ̇𝒒𝒒 𝑡𝑡 , 𝑡𝑡)を決める.
▪Lagrangianの決め方は後述.
▪そのようにLagrangianを決めると,作用𝑆𝑆[𝒒𝒒]を与えることができる:
𝑆𝑆 𝒒𝒒 = �
𝑡𝑡1
𝑡𝑡2
𝑑𝑑𝑑𝑑 𝐿𝐿(𝒒𝒒 𝑡𝑡 , ̇𝒒𝒒 𝑡𝑡 , 𝑡𝑡)
▪ 𝑆𝑆[𝒒𝒒]は函数𝒒𝒒(𝑡𝑡)によって変化する函数のようなもの(汎函数).
45
Lagrangian is God.
▪Lagrangianはその物理系の性質を表す函数,とでもいえばよいか.
▪Lagrangianが与えられるとその物理系の振る舞いがわかる.
▪でも,これは公理であって,「何故Lagrangianがその形をしているか」
は誰にもわからない.自然が何故かそうなっているのである.
46
初めにLagrangianがあった.
Lagrangianは神と共にあった.
Lagrangianは神であった.
Lagrangianの形
▪Newton力学のLagrangianは,
𝐿𝐿 = (運動エネルギー) − (ポテンシャルエネルギー)
になる.
▪例 質量𝑚𝑚,ばね定数𝑘𝑘の1次元調和振動子の場合,
𝐿𝐿 𝑞𝑞(𝑡𝑡), ̇𝑞𝑞(𝑡𝑡), 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚{ ̇𝑞𝑞 𝑡𝑡 }2−
1
2
𝑘𝑘{𝑞𝑞(𝑡𝑡)}2
47
Lagrangianの形
▪Newton力学のLagrangianは,
𝐿𝐿 = (運動エネルギー) − (ポテンシャルエネルギー)
になる.
▪例 質量𝑚𝑚,ばね定数𝑘𝑘の1次元調和振動子の場合,
𝐿𝐿 𝑞𝑞(𝑡𝑡), ̇𝑞𝑞(𝑡𝑡), 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚{ ̇𝑞𝑞 𝑡𝑡 }2−
1
2
𝑘𝑘{𝑞𝑞(𝑡𝑡)}2
48
運動エネルギー項 ポテンシャルエネルギー項
Euler-Lagrange方程式
▪作用が停留する条件を考えると次のようなLagrangianに対する偏微分方
程式(の組)がでてくる:
𝜕𝜕𝜕𝜕 𝒒𝒒, ̇𝒒𝒒, 𝑡𝑡
𝜕𝜕𝑞𝑞𝑖𝑖
−
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝜕𝜕𝜕𝜕 𝒒𝒒, ̇𝒒𝒒, 𝑡𝑡
𝜕𝜕 ̇𝑞𝑞𝑖𝑖
= 0 (𝑖𝑖 = 1, … , 𝑛𝑛)
▪これがEuler-Lagrange方程式で,これにLagrangianを代入してやると
Newtonの運動方程式と同じものがでてくる.
▪ぶっちゃけ,最小作用の原理はよくわかっていなくてもEuler-Lagrange方
程式だけ知っておけば解析力学の計算はできる.
49
例:一次元調和振動子
𝐿𝐿 𝑥𝑥(𝑡𝑡), ̇𝑥𝑥(𝑡𝑡), 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚{ ̇𝑥𝑥 𝑡𝑡 }2−
1
2
𝑘𝑘{𝑥𝑥(𝑡𝑡)}2
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= −𝑘𝑘𝑘𝑘
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑥𝑥
=
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥 = 𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥
よって,Euler-Lagrange方程式は
−𝑘𝑘𝑘𝑘 − 𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥 = 0
50
例:一次元調和振動子
𝐿𝐿 𝑥𝑥(𝑡𝑡), ̇𝑥𝑥(𝑡𝑡), 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚{ ̇𝑥𝑥 𝑡𝑡 }2−
1
2
𝑘𝑘{𝑥𝑥(𝑡𝑡)}2
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= −𝑘𝑘𝑘𝑘
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑥𝑥
=
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥 = 𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥
よって,Euler-Lagrange方程式の1つめは
−𝑘𝑘𝑘𝑘 − 𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥 = 0
51
Newtonの運動方程式
𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥 = −𝑘𝑘𝑘𝑘
同じ!
例:放物運動
𝐿𝐿 𝑥𝑥, 𝑦𝑦, ̇𝑥𝑥, ̇𝑦𝑦, 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚( ̇𝑥𝑥2 + ̇𝑦𝑦2) − 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= 0
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑥𝑥
=
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥 = 𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥
よって,Euler-Lagrange方程式の1つめは
−𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥 = 0
52
例:放物運動
𝐿𝐿 𝑥𝑥, 𝑦𝑦, ̇𝑥𝑥, ̇𝑦𝑦, 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚( ̇𝑥𝑥2 + ̇𝑦𝑦2) − 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= 0
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑥𝑥
=
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥 = 𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥
よって,Euler-Lagrange方程式の1つめは
−𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥 = 0
53
Newtonの運動方程式
𝑚𝑚 ̈𝑥𝑥 = 0
同じ!
例:放物運動
𝐿𝐿 𝑥𝑥, 𝑦𝑦, ̇𝑥𝑥, ̇𝑦𝑦, 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚( ̇𝑥𝑥2 + ̇𝑦𝑦2) − 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= −𝑚𝑚𝑚𝑚
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑦𝑦
=
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑚𝑚 ̇𝑦𝑦 = 𝑚𝑚 ̈𝑦𝑦
よって,Euler-Lagrange方程式の2つめは
−𝑚𝑚𝑚𝑚 − 𝑚𝑚 ̈𝑦𝑦 = 0
54
例:放物運動
𝐿𝐿 𝑥𝑥, 𝑦𝑦, ̇𝑥𝑥, ̇𝑦𝑦, 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚( ̇𝑥𝑥2 + ̇𝑦𝑦2) − 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= −𝑚𝑚𝑚𝑚
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑦𝑦
=
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑚𝑚 ̇𝑦𝑦 = 𝑚𝑚 ̈𝑦𝑦
よって,Euler-Lagrange方程式の2つめは
−𝑚𝑚𝑚𝑚 − 𝑚𝑚 ̈𝑦𝑦 = 0
55
Newtonの運動方程式
𝑚𝑚 ̈𝑦𝑦 = −𝑚𝑚𝑚𝑚
同じ!
ここまででわかる解析力学の便利さ
▪Lagrangianが書けてしまえばあとは思考停止で全部求められる.
▪高校物理でやったような「物体にかかる力の線を書いて各方向に分解」
といった面倒なことはやらなくていい.
▪そもそも,「力」という概念がでてきていない.
• 考えてみると「力」は目に見えない曖昧な概念なので,ないほうが自然かもしれな
い.現代物理では「力」のかわりに「相互作用」といわれる.
56
Lagrangianと対称性
▪別の利点として,Lagrangianが系の対称性を表していることがある.
▪対称性:ある変換に対して物理現象が変わらないこと
=ある変換に対してLagrangianが変わらないこと
(但し時間の全微分項を除く)
57
例:時間並進不変性
▪時間並進:𝑡𝑡 → 𝑡𝑡′ = 𝑡𝑡 + 𝑎𝑎という,時間をずらす変換.
▪時間並進不変性:𝒒𝒒(𝑡𝑡)がEuler-Lagrange方程式の解であるとき,
𝒒𝒒(𝑡𝑡′)も解になること.
▪Lagrangianが時間並進に対して不変であれば上は満たされる.
▪Lagrangianが時間𝑡𝑡に対して陽に依存しないとき,すなわちLagrangianの
表式に𝑞𝑞 𝑡𝑡 , ̇𝑞𝑞(𝑡𝑡)以外の形で𝑡𝑡がでるということのないような場合,
Lanrangianは時間並進に対して不変となる.
58
例:時間並進不変性
▪先程の調和振動子と放物運動のLagrangianはともに時間並進不変性をも
つ.
𝐿𝐿 𝑥𝑥(𝑡𝑡), ̇𝑥𝑥(𝑡𝑡), 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚{ ̇𝑥𝑥 𝑡𝑡 }2−
1
2
𝑘𝑘{𝑥𝑥(𝑡𝑡)}2
𝐿𝐿 𝑥𝑥, 𝑦𝑦, ̇𝑥𝑥, ̇𝑦𝑦, 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚( ̇𝑥𝑥2 + ̇𝑦𝑦2) − 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
▪要するに,ある時間が特別であるのではないという性質.
59
例:空間並進不変性
▪空間並進:𝒙𝒙𝑘𝑘 → 𝒙𝒙𝑘𝑘′ = 𝒙𝒙𝑘𝑘 + 𝒂𝒂という空間を平行移動する変換.
(𝒙𝒙𝑘𝑘は𝑘𝑘番目の粒子の3次元空間における座標)
▪空間並進不変性:𝒙𝒙(𝑡𝑡)がEuler-Lagrange方程式の解であるとき,
𝒙𝒙𝒙(𝑡𝑡)も解になること.
▪Lagrangianが座標𝒙𝒙𝑘𝑘に依存しないか,依存するとしても座標同士の差
𝒙𝒙𝑘𝑘 − 𝒙𝒙𝑙𝑙 (𝑘𝑘 ≠ 𝑙𝑙)にのみ依存するとき,その系は空間並進不変性をもつ.
(但し必要条件ではない)
60
例:空間並進不変性
▪要するに,世界のなかのある場所が特別なのではないという性質.
▪調和振動子には空間並進不変性がない.
• 世界の中に特別な点(振動の中心)があるため.
▪放物運動には空間並進不変性がある.
• だがLagrangianの表式に𝑦𝑦がでてきているので,先ほどの条件を満たしているわけで
はない(時間の全微分項だけLagrangianが変わる).
61
他の対称性
▪空間回転不変性
▪ガリレイ不変性
▪ゲージ不変性
▪Lagrangianをみることで,これらの対称性があるかどうかわかる.
▪逆に,系が持っているであろう対称性からLagrangianを予測することも
できる.
62
対称性と保存量
▪すごーい!
63
Lagrangianが対称性を持っているとき,
それに対応した保存量(時間に依らず一定となる量)が存在する.
Noetherの定理
対称性と保存量
▪時間並進不変性 ―― エネルギー
▪空間並進不変性 ―― 運動量
▪空間回転不変性 ―― 角運動量
64
運動量とHamiltonianの定義
▪一般化運動量
𝑝𝑝𝑖𝑖(𝑡𝑡) =
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑞𝑞𝑖𝑖
𝑖𝑖 = 1, … , 𝑛𝑛
𝒑𝒑(𝑡𝑡) = (𝑝𝑝1 𝑡𝑡 , … , 𝑝𝑝𝑛𝑛(𝑡𝑡))
▪Hamiltonian
𝐻𝐻 𝒒𝒒 𝑡𝑡 , 𝒑𝒑 𝑡𝑡 , 𝑡𝑡 = �
𝑖𝑖=1
𝑛𝑛
𝑝𝑝𝑖𝑖 ̇𝑞𝑞𝑖𝑖 − 𝐿𝐿
( ̇𝒒𝒒は消去する)
65
運動量とHamiltonianの定義
▪例 調和振動子
𝐿𝐿 𝑥𝑥, ̇𝑥𝑥, 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥2 −
1
2
𝑘𝑘𝑥𝑥2
𝑝𝑝 =
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑥𝑥
= 𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥
𝐻𝐻 𝑥𝑥, 𝑝𝑝, 𝑡𝑡 = 𝑝𝑝 ̇𝑥𝑥 − 𝐿𝐿 =
1
2
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥2 +
1
2
𝑘𝑘𝑥𝑥2 =
𝑝𝑝2
2𝑚𝑚
+
1
2
𝑘𝑘𝑥𝑥2
66
運動量とHamiltonianの定義
▪例 放物運動
𝐿𝐿 𝑥𝑥, 𝑦𝑦, ̇𝑥𝑥, ̇𝑦𝑦, 𝑡𝑡 =
1
2
𝑚𝑚( ̇𝑥𝑥2 + ̇𝑦𝑦2) − 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
𝑝𝑝𝑥𝑥 =
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑥𝑥
= 𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥, 𝑝𝑝𝑦𝑦 =
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕 ̇𝑦𝑦
= 𝑚𝑚 ̇𝑦𝑦
𝐻𝐻 𝑥𝑥, 𝑦𝑦, 𝑝𝑝𝑥𝑥, 𝑝𝑝𝑦𝑦, 𝑡𝑡 = 𝑝𝑝𝑥𝑥 ̇𝑥𝑥 + 𝑝𝑝𝑦𝑦 ̇𝑦𝑦 − 𝐿𝐿 =
1
2
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥2 + ̇𝑦𝑦2 + 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 =
𝑝𝑝𝑥𝑥
2
+ 𝑝𝑝𝑦𝑦
2
2𝑚𝑚
+ 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
67
Hamilton形式
▪Hamiltonianはエネルギーである.
▪Lagrangianを ̇𝒒𝒒についてLegendre変換したもの.
▪今までのLagrangianを使った解析力学の形式をLagrange形式というが,
それとは別にHamiltonianを使ったHamilton形式というのがある.
68
正準方程式
̇𝑞𝑞𝑖𝑖 =
𝜕𝜕𝜕𝜕 𝑞𝑞, 𝑝𝑝, 𝑡𝑡
𝜕𝜕𝑝𝑝𝑖𝑖
, ̇𝑝𝑝𝑖𝑖 = −
𝜕𝜕𝜕𝜕 𝑞𝑞, 𝑝𝑝, 𝑡𝑡
𝜕𝜕𝑞𝑞𝑖𝑖
(𝑖𝑖 = 1, … , 𝑛𝑛)
▪これが正準方程式(Hamiltonの運動方程式)で,Hamilton形式における
運動方程式.
▪Euler-Lagrange方程式と等価.
69
例:調和振動子
𝐻𝐻 𝑥𝑥, 𝑝𝑝, 𝑡𝑡 = 𝑝𝑝 ̇𝑥𝑥 − 𝐿𝐿 =
1
2
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥2 +
1
2
𝑘𝑘𝑥𝑥2 =
𝑝𝑝2
2𝑚𝑚
+
1
2
𝑘𝑘𝑥𝑥2
これに対する正準方程式は,
̇𝑥𝑥 =
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
=
𝑝𝑝
𝑚𝑚
, ̇𝑝𝑝 = −
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= −𝑘𝑘𝑘𝑘
▪これはNewton運動方程式と同じ.
70
例:放物運動
𝐻𝐻 𝑥𝑥, 𝑦𝑦, 𝑝𝑝𝑥𝑥, 𝑝𝑝𝑦𝑦, 𝑡𝑡 = 𝑝𝑝𝑥𝑥 ̇𝑥𝑥 + 𝑝𝑝𝑦𝑦 ̇𝑦𝑦 − 𝐿𝐿 =
1
2
𝑚𝑚 ̇𝑥𝑥2 + ̇𝑦𝑦2 + 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 =
𝑝𝑝𝑥𝑥
2
+ 𝑝𝑝𝑦𝑦
2
2𝑚𝑚
+ 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚
̇𝑥𝑥 =
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝑝𝑝𝑥𝑥
=
𝑝𝑝𝑥𝑥
𝑚𝑚
, ̇𝑝𝑝𝑥𝑥 = −
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= 0
̇𝑦𝑦 =
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝑝𝑝𝑦𝑦
=
𝑝𝑝𝑦𝑦
𝑚𝑚
, ̇𝑝𝑝𝑦𝑦 = −
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
= −𝑚𝑚𝑚𝑚
▪これもまたNewton方程式と同じ.
71
正準変換
▪Hamilton形式では正準変換とよばれる変数の変換を行うことができる.
▪これがHamilton形式の利点のひとつ.
▪良い感じに正準変換してやるとHamiltonianの形が簡単になって計算の見
通しが良くなる.
72
正準変換
▪一般化座標と一般化運動量の組(𝒒𝒒, 𝒑𝒑)および時刻𝑡𝑡から,新しい組(𝑸𝑸, 𝑷𝑷)を
つくる写像のうち, (𝑸𝑸, 𝑷𝑷)がまた新たな一般化座標と一般化運動量の組
とみなせるようなものを正準変換という.
▪つまり, 𝒒𝒒(𝑡𝑡), 𝒑𝒑(𝑡𝑡) ↦ 𝑸𝑸, 𝑷𝑷 = (𝑸𝑸(𝒒𝒒 𝑡𝑡 , 𝒑𝒑 𝑡𝑡 , 𝑡𝑡), 𝑷𝑷(𝒒𝒒 𝑡𝑡 , 𝒑𝒑 𝑡𝑡 , 𝑡𝑡))のうち,
次のような新Hamiltonian 𝐾𝐾(𝑄𝑄, 𝑃𝑃, 𝑡𝑡)の存在するものを正準変換という:
̇𝑄𝑄𝑖𝑖 =
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝑃𝑃𝑖𝑖
, ̇𝑃𝑃𝑖𝑖 = −
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝑄𝑄𝑖𝑖
(𝑖𝑖 = 1, … , 𝑛𝑛)
73
微小時間発展は微小正準変換である
▪結論だけ言うと,その系のHamiltonianを母函数とした微小な正準変換は
微小な時間発展を表す:
𝑸𝑸 = 𝒒𝒒 𝑡𝑡 + Δ𝑡𝑡 , 𝑷𝑷 = 𝒑𝒑(𝑡𝑡 + Δ𝑡𝑡)
▪更に,Hamiltonianが𝑡𝑡に依存しないときは𝐾𝐾 = 𝐻𝐻となる(エネルギー保存
則).
74
再び,symplectic数値積分法
第四章
75
Euler法(再)
▪Euler法:
𝒒𝒒𝑛𝑛+1 = 𝒒𝒒𝑛𝑛 + ℎ
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝒑𝒑
𝒒𝒒𝑛𝑛, 𝒑𝒑𝑛𝑛
𝒑𝒑𝑛𝑛+1 = 𝒑𝒑𝑛𝑛 − ℎ
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝒒𝒒
(𝒒𝒒𝑛𝑛, 𝒑𝒑𝑛𝑛)
但し,
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝒑𝒑
=
𝑡𝑡
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝑝𝑝1
, … ,
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝑝𝑝𝑛𝑛
のようにして略記した.
76
symplectic Euler法(再)
▪symplectic Euler法:
𝒒𝒒𝑛𝑛+1 = 𝒒𝒒𝑛𝑛 + ℎ
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝒑𝒑
𝒒𝒒𝑛𝑛+1, 𝒑𝒑𝑛𝑛
𝒑𝒑𝑛𝑛+1 = 𝒑𝒑𝑛𝑛 − ℎ
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝒒𝒒
(𝒒𝒒𝑛𝑛+1, 𝒑𝒑𝑛𝑛)
77
symplectic Euler法の秘密
▪symplectic Euler法の特徴は「時間発展が正準変換になること」.
▪symplectic Euler法は,その系のHamiltonianそれ自体ではなく、そこから
少しずれた別のHamiltonian(shadow Hamiltonian)を保存するような微
分方程式の解を高精度で近似している.
▪そのshadow HamiltonianはあまりもとのHamiltonianから離れないので,
だいたいHamiltonianが保存されているように振る舞う.
▪これがここまで追ってきた疑問の答え.
78
逆誤差解析
▪ふつうの誤差解析が「数値解法がもとの微分方程式を何次の項まで近似
しているか」をみるのに対し,逆誤差解析は「もとの微分方程式を少し
いじって数値解法に近い解を与えるような微分方程式をつくる」という
アプローチをする.
79
Euler法の逆誤差解析
̇𝑥𝑥 = 𝑓𝑓 𝑥𝑥 , 𝑥𝑥 𝑡𝑡0 = 𝑥𝑥0
について,刻み幅ℎのEuler法は,
̇𝑥𝑥 = 𝑓𝑓 𝑥𝑥 −
ℎ
2
𝑓𝑓′ 𝑥𝑥 𝑓𝑓 𝑥𝑥 , 𝑥𝑥 𝑡𝑡0 = 𝑥𝑥0
に2次まで等しく,
̇𝑥𝑥 = 𝑓𝑓 𝑥𝑥 −
ℎ
2
𝑓𝑓′ 𝑥𝑥 𝑓𝑓 𝑥𝑥 +
ℎ2
12
(𝑓𝑓′′+𝑓𝑓2 + 4𝑓𝑓′2 𝑓𝑓)(𝑥𝑥), 𝑥𝑥 𝑡𝑡0 = 𝑥𝑥0
に3次まで等しい.
80
symplectic Euler法の逆誤差解析
▪1変数のHamiltonian 𝐻𝐻(𝑞𝑞, 𝑝𝑝)に対するsymplectic Euler法
𝑞𝑞𝑛𝑛+1 = 𝑞𝑞𝑛𝑛 + ℎ
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝑞𝑞𝑛𝑛+1, 𝑝𝑝𝑛𝑛
𝑝𝑝𝑛𝑛+1 = 𝑝𝑝𝑛𝑛 − ℎ
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
(𝑞𝑞𝑛𝑛+1, 𝑝𝑝𝑛𝑛)
は
𝐻𝐻 1 = 𝐻𝐻 +
ℎ
2
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
をHamiltonianとする系の解に2次まで一致する.
81
symplectic Euler法の逆誤差解析
▪1変数のHamiltonian 𝐻𝐻(𝑞𝑞, 𝑝𝑝)に対するsymplectic Euler法
𝑞𝑞𝑛𝑛+1 = 𝑞𝑞𝑛𝑛 + ℎ
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝑞𝑞𝑛𝑛+1, 𝑝𝑝𝑛𝑛
𝑝𝑝𝑛𝑛+1 = 𝑝𝑝𝑛𝑛 − ℎ
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
(𝑞𝑞𝑛𝑛+1, 𝑝𝑝𝑛𝑛)
は
𝐻𝐻 2 = 𝐻𝐻 +
ℎ
2
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
+
ℎ2
12
𝜕𝜕2 𝐻𝐻
𝜕𝜕𝑝𝑝2
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝑞𝑞
2
+
𝜕𝜕2 𝐻𝐻
𝜕𝜕𝑞𝑞2
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
2
+ 4
𝜕𝜕2 𝐻𝐻
𝜕𝜕𝑝𝑝𝑝𝑝𝑝𝑝
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
𝜕𝜕𝜕𝜕
をHamiltonianとする系の解に3次まで一致する.
82
symplectic Euler法の逆誤差解析
▪定理 任意の整数𝑁𝑁 ≥ 1に対して,1変数のsymplectic Euler法を𝑁𝑁 + 1次ま
で近似する方程式として,
𝐻𝐻 𝑁𝑁 𝑞𝑞, 𝑝𝑝 = 𝐻𝐻 𝑞𝑞, 𝑝𝑝 + �
𝑘𝑘=1
𝑁𝑁
ℎ𝑘𝑘 𝐻𝐻𝑘𝑘(𝑞𝑞, 𝑝𝑝)
(但し𝐻𝐻𝑘𝑘(𝑞𝑞, 𝑝𝑝)は𝑞𝑞, 𝑝𝑝の函数)
の形にかける𝐻𝐻 𝑁𝑁 𝑞𝑞, 𝑝𝑝 をHamiltonianとするものが存在する.
▪更に一般的にもいえるらしい.つよい!
83
物理学のはなし
終章
84
物理学はなにをしているか
自然現象 模型
観察・実験から推測
理論から導かれた結果と
現実の結果とを照合
(帰納的思考)
(演繹の世界)
物理学はなにをしているか
▪自然を観察してそれに合う模型を組み上げるのが目標.
▪模型が本当に自然に合っていることを証明する術はない.新たな観察の
結果によってはいつでも覆され得る.それでも修正を繰り返し,徐々に
正しそうな度合いを上げていく.
▪数学が公理を自由に選べるのに対し,物理は公理を自然に合いそうなも
のに選ぶ.そこが形式科学と自然科学の違い.
86
物理学と数学
▪物理学をやろうとすると,とかく数学をやることになる.どうしてか?
▪一つの理由は数学の言葉が客観的で学問を記述するのに向いていること.
▪ほかに,高度な数学の概念を用いることで,模型を簡潔に表すことがで
き,性質をみやすくなるという理由がある.
▪解析力学での対称性の議論はその一例.
87
物理学と数学
▪物理学は普遍性を求めているため,一般化していく場面が多い.
88
Newton方程式
Euler-Lagrange方程式
最小作用の原理
物理学と数学
▪物理には直接関係ないところまで一般化することで生まれる数学もある.
89
Newton方程式
Euler-Lagrange方程式
最小作用の原理
力学系
symplectic幾何学
物理学と数学
▪そのように生まれた数学が,また物理に輸入されるようなこともある.
▪物理学と数学はお互いに影響しあいながら発展している.
90
例:symplectic幾何学
▪今日の題材であった解析力学から発展したものとしてsymplectic幾何学が
ある.
▪symplectic多様体の上でいろいろやるらしい.
▪相空間は余接バンドルになるとか.
▪すごそう.
91
symplectic行列
▪symplecticとは結局どういう意味なのか,という旨のおまけ.
▪正準方程式は次のようなものであった:
̇𝑞𝑞𝑖𝑖 =
𝜕𝜕𝜕𝜕 𝑞𝑞, 𝑝𝑝, 𝑡𝑡
𝜕𝜕𝑝𝑝𝑖𝑖
, ̇𝑝𝑝𝑖𝑖 = −
𝜕𝜕𝜕𝜕 𝑞𝑞, 𝑝𝑝, 𝑡𝑡
𝜕𝜕𝑞𝑞𝑖𝑖
(𝑖𝑖 = 1, … , 𝑛𝑛)
92
symplectic行列
▪これを行列で書くと次のようになる:
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑞𝑞1
⋮
𝑞𝑞𝑛𝑛
𝑝𝑝1
⋮
𝑝𝑝𝑛𝑛
=
0 0 0
0 0 0
0 0 0
1 0 0
0 1 0
0 0 1
−1 0 0
0 −1 0
0 0 −1
0 0 0
0 0 0
0 0 0
𝑞𝑞1
⋮
𝑞𝑞𝑛𝑛
𝑝𝑝1
⋮
𝑝𝑝𝑛𝑛
93
symplectic行列
▪これを行列で書くと次のようになる:
𝑑𝑑
𝑑𝑑𝑑𝑑
𝑞𝑞1
⋮
𝑞𝑞𝑛𝑛
𝑝𝑝1
⋮
𝑝𝑝𝑛𝑛
=
0 0 0
0 0 0
0 0 0
1 0 0
0 1 0
0 0 1
−1 0 0
0 −1 0
0 0 −1
0 0 0
0 0 0
0 0 0
𝑞𝑞1
⋮
𝑞𝑞𝑛𝑛
𝑝𝑝1
⋮
𝑝𝑝𝑛𝑛
94
これがsymplectic行列
(斜行行列)
おわりに
▪「物理学は美しい」とよくいわれますが,こういういい方は物理学をた
だの奇人の遊びに貶めてしまうようであまり好きではありません.
▪けれど,物理現象を綺麗な模型で表すことができ,裏に数学的構造が潜
んでいると考えられるときはやはり「美しい」と感じてしまいます.
「美しい」という表現が絶妙であるという気もします.
▪「美しい」ものを見つけ出すのに楽しさとか面白さを感じる人には,物
理学もきっと楽しいものになるのではないかと思います.
95
おわりに
▪この講座で,少しでも物理学に魅力を感じていたたならば幸いです.
▪追伸:綺麗に見えるのは先人により既にならされた道だからであって,
未踏の道はきれいなはずがない,という指摘をいただきましたのでここ
に記しておきます.
96
参考文献
▪三井斌友ほか『微分方程式による計算科学入門』(共立出版)
▪畑浩之『基幹講座 物理学 解析力学』(東京図書)
▪柴山允瑠『重点解説 ハミルトン力学系』(サイエンス社)
▪(講義)山田道夫「物理学情報処理論2」
(平成28年度京都大学理学部専門科目)
97
以上です
▪ご清聴ありがとうございました.
98
今日の内容一覧
▪数値解析では効率の良さを求めていろいろな方法が編み出されてきた.
▪その一つがsymplectic数値積分法であり,解析力学の知見によりその良さ
を説明できる.
▪解析力学は力学を座標系に依存せずに記述したものであり,この形式で
扱うことにより物理系に対しての考察がしやすくなる.
▪symplectic数値積分法はshadow Hamiltonianをよく保存する.
99

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