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. 
. Ornstein の同型定理について 
れんま(n%)(徳富 蘇峰) 
2014 年9 月14 日 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日1 / 63
目次 
. 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 
. 2 目印がある場合への帰着 
. 3 骨格の導入と基本補題 
. 4 詰材の概念と同値類の評価 
. 5 団体の結成定理と割り当ての構成 
. 6 主定理の証明と参考文献 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日2 / 63
ベルヌーイ系とは? 
. 
.定義1.1 
  2 以上の整数a について、集合A = {1, . . . , a} とこ 
の集合上の確率測度pを考える。 
 集合X = AZ にベルヌーイ測度μ = pZ を入れて、シ 
フト写像T : X ∋ (xi)i7→ (xi−1)i ∈ X を考える。この 
時、測度力学系(X,B, μ, T) をベルヌーイ系、あるいは 
ベルヌーイシフトと呼ぶ。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日3 / 63
測度力学系の同型とは? 
. 
.定義1.2 
 二つの測度力学系(X,B, m, T), (Y, C, n, S) が測度同型 
であるとは、その補集合が零集合であるような可測集 
合A ⊂ X, B ⊂ Y があって、以下の性質を満たすこと 
です。 
(a) T(A) ⊂ A, S(B) ⊂ B 
(b) ある双可測写像Φ : A → B があって、 
. 
Φ ◦ T = S ◦ Φを満たす。 
 以下では、mは確率測度でT は保測変換であると 
する。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日4 / 63
測度論的エントロピー 
. 
.定義1.3 
 測度力学系 (X,B, m, T) において、分割 
A = {A0, . . . , An} に対しエントロピーが次のように定 
義される。 
. 
hm(A) = 
Σn 
i=0 
− m(Ai) log2(m(Ai)) 
 ここから測度論的エントロピーが定義される。 
hm(T)=sup 
A 
hm(T,A), hm(T,A)=lim 
l→∞ 
i=0T−iA) 
hm(∨l 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日5 / 63
今日考える問題と主定理 
. 
.問題 
 二つのベルヌーイシフト (AZ,B, pZ, T) と 
(BZ, C, qZ, T′) の測度論的エントロピーが一致すると 
き. 
、それらは互いに測度同型になるか? 
. 
定.理1.1 
 二つのベルヌーイシフトの測度論的エントロピーが 
一致するとき、両者の間に零集合を除いて連続となる 
ような写像Φによって測度同型になる。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日6 / 63
目次 
. 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 
. 2 目印がある場合への帰着 
. 3 骨格の導入と基本補題 
. 4 詰材の概念と同値類の評価 
. 5 団体の結成定理と割り当ての構成 
. 6 主定理の証明と参考文献 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日7 / 63
目印を作るための基本的な補題(その1) 
. 
.補題2.1 
  3 以上の自然数a, b とエントロピーが同じ二つのベ 
ルヌーイ系(AZ,B, pZ, T), (BZ, C, qZ, T′) に対して、あ 
る3 以上の自然数c ともう一つ同じエントロピーh を 
持つベルヌーイ系(CZ,D, rZ, T′′) であって、ある自然 
数1 5 k 5 a, 1 5 l 5 b がr1 = pk, r2 = ql を満たすも 
のが存在する。 
 ここで、A = {1, . . . , a}, B = {1, . . . , b}, 
C = {1, . . . , c} としている。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日8 / 63
補題2.1 の証明(6 割ほど) 
. 
.Proof. 
 改めて順序をつけ p1 = · · · = pa, q1 = · · · = qb, 
pa = qb となるようにしておく。 
 ここで、r1 = p1, r2 = qb, r3 = 1 − r1 − r2 と定義し 
て、 
−ri log2 riとΣa 
. 
Σ3 
i=1 
−ri log2 ri とh、つまり 
Σ3 
i=1 
i=1 
−pi log2 pi を比較する。 
 関数ϕ(x) = −x log2 x は[0, 1] 内Σ3 
で上に凸な関数であ 
る。今r3 = p2 = p3 = r2 なので、 
i=2 
−ri log2 ri 
5 
Σ3 
i=2 
−pi log2 pi より、前者のほうが小さいとわかる。 
 あとは次の主張が示されればよい。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日9 / 63
補題2.1 の証明のための主張 
. 
.主張 
 ある 3 以上の自然数c と正の実数の組(s3, . . . , sc) で 
あって、次の二式を満たすものが存在する。 
(a) s3 + · · · + sc = r3. 
(b) {Σ2 
. 
i=1 
−ri log2 ri} + {Σc 
i=3 
−si log2 si} = h. 
. 
Proof. .. 
.中間値の定理の応用問題です。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日10 / 63
目印を作るための基本的な補題(その2) 
. 
.補題2.2 
 もしも、ベルヌーイ系 (AZ,B, pZ, T), 
A = {1, . . . , a} においてa = 2 であったとする。 
 この時、3 以上の自然数c とベルヌーイ系 
(CZ,D, rZ, T′′), C = {1, . . . , c} とある自然数k であっ 
て、次を満たすものが存在する。 
. 
pk 
1 p2 = rk 
1 r2. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日11 / 63
補題2.2 の証明 
. 
.Proof. 
 まずは、1  r1  max{p1, p2} を任意に選ぶ。ここ 
で、充分k を大きくとりr2 := (p1/r1)k p2 がr1 + r2  1 
を満たすようにできる。さらに、r3 := 1 − r1 − r2 とお 
けば、必要ならばr1 を大きく取り直すことにより、次 
の不等式を得ることができる。 
. 
Σ3 
i=1 
{−ri log2 ri} 5 h. 
 したがって、あとは補題2.1 の主張と同様の議論を 
すればよい。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日12 / 63
目印の定義 
二つのベルヌーイシフトが殆ど至る所連続な写像 
Φによって測度同型になるという関係が” 同値関 
係” なので、(AZ,B, pZ, T), (CZ,D, rZ, T′′) の間に 
それぞれ求める測度同型を構成すればよい。 
そこで、補題2.1 の場合は、p1 = q1 を仮定し、目 
印(記号列)MをM = 1 と定義する。 
 補題2.2 の場合は、pk 
1 
p2 = qk 
1 
q2. を仮定し、 
M = 1k2 と定義する。ここで、1k とは1 がk 回連 
続して表われることを意味している。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日13 / 63
目次 
. 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 
. 2 目印がある場合への帰着 
. 3 骨格の導入と基本補題 
. 4 詰材の概念と同値類の評価 
. 5 団体の結成定理と割り当ての構成 
. 6 主定理の証明と参考文献 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日14 / 63
骨格の定義 
以下では、増大する自然数列{Nr}r∈N 
(0  N1, Nr  Nr+1) を一つ固定して考える。 
. 
.定義3.1 
 自然数r と目印Mに対し、階数r の骨格s というと、 
自然数r と次の図式の組を指す。 
      s : Mn0 
. 
l1 
Mn1 
l2 
. . . 
lm 
Mnm 
 ここで、lt(1 5 t 5 m), nt(0 5 t 5 m) は自然数で、 
次の不等式を満たす。 
   nt  Nr 5 min{n0, nm}(1 5 t 5 m − 1). 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日15 / 63
骨格の意味と階数、長さ 
 骨格の定義において、Mn は目印Mがn回連続 
して表われることを表す。 
l 
は目印を含まない長 
さl の記号列を表す。 
 自然数r も込めて考えているので、二つの骨格 
s, s′ が同じ図式であってもr が異なれば、s, s′ は 
別の骨格として考える。 
 骨格s における自然数r を骨格s の階数と言っ 
て、r(s) とかく。 
Σ 骨格s における長さとは、l(s) := 
m 
t=1 lt のこと 
を指す。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日16 / 63
部分骨格と骨格の階数分解(その1) 
. 
.定義3.2 
. 
 階数 r′ の骨格s′ が骨格s の部分骨格であると 
は、s′ の図式が適切な0 5 t  t′ 5 mによって次 
のように書けることを言う。 
s′ : Mnt 
lt+1 
Mnt+1 . . . 
lt′ 
Mlt′ 
 骨格s の二つの部分骨格s1, s2 が交わらないと 
は、集合{t1 + 1, . . . , t′ 
1}, {t2 + 1, . . . , t′ 
2} が交わら 
ないことを指す。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日17 / 63
部分骨格と骨格の階数分解(その2) 
. 
.定義3.2(続き) 
. 
 骨格 s の部分骨格の組(s1, . . . , sk) が骨格s の分 
解であるとは、各s j たちが互いに交わらず、かつ 
∪15l5k{tl + 1, . . . , t′ 
l} = {1, . . . , m} となることを指 
し、s = s1 × · · · × sk とかく。 
. 
.補題3.3(骨格の階数分解) 
 任意の階数 r が2 以上の骨格s は、階数r − 1 の部分 
骨格s j たちによって一意にs = s1 × · · · × sk と分解 
する。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日18 / 63
補題3.3 の証明(その1) 
. 
.Proof. 
 今、Nr−1  Nr 5 n0 なので、Nr−1 5 nt を満たす最 
小のt = 1 について、骨格s の{1, . . . , t} の部分を切り 
出せば、階数r − 1 の部分骨格s1 が得られる。t = mな 
らばここで分解が完成し、そうでなくともt から始め 
て以下帰納的に部分骨格を構成していけば、長くとも 
m回でt′ 
. 
= mに到達して、階数分解が得られる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日19 / 63
補題3.3 の証明(その2) 
. 
 一意性については、二通りの分解 s = s1 × · · · × sk 
= s′ 
. 
1 × · · · × s′ 
l があったとする。まず、部分骨格 
s1, s′ 
1 についてt1  t′ 
1 であれば、nt1  Nr−1 5 nt1 よ 
り矛盾が出るので、対称性よりt1 = t′ 
1 となる。以下、 
帰納的にk = l, ti = t′ 
i が得られる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日20 / 63
骨格とベルヌーイ系との関連性 
 ベルヌーイ系(AZ,B, pZ, T) の点x ∈ AZ と骨格 
s について、s がx において現れるとは次の状況を 
指す。つまり、その前後に目印Mが現れないx の 
有限区間であって、骨格s において各 
lt 
を長さlt 
の目印を含まない記号列を埋めることで得られる 
ものが存在する。 
 さらに、整数i についてx の第i 座標がs により 
被覆されるとは、上述の条件を満たすx の有限区 
間であって、第i 座標があるt の 
lt 
の部分に現れ 
るものが存在することを指す。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日21 / 63
ベルヌーイ系における骨格の基本補題 
. 
.補題3.4(基本補題) 
(a)  整数i と目印Mについて、殆どのx ∈ AZ はその 
. 
第i 座標が目印Mに含まれるか、それとも任意の 
r = 1 について一意な骨格sr(x) であって第i 座標 
を被覆するものが存在するかのいずれかである。 
(b)  長さの増大列{Ln}n∈N が与えられると、冒頭の 
増大列{Nn}n∈N をうまくとって、殆どのx ∈ AZ に 
対して十分大きなすべてのr がl(sr(x)) = Lr を満 
たすようにできる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日22 / 63
補題3.4 の(a) の証明 
. 
.Proof. 
 階数 Nr と目印Mの長さをk とし、測度空間として 
(AZ,B, pZ), ({ANr k}Z,B′, {pNrk}Z) を同一視するとき、i 
の属するブロックが第j ブロックであるとすると、第 
j − 1 ブロックから第j − l ブロックまで一度もMNr が 
現れない確率は(1 − pk(M)Nr) のl 乗であるから、確率 
1 でx ∈ AZ はi より左側に最低一回MNr が現れ、Mが 
有限個続いて止まる。零集合の可算和は零集合なの 
で、確率1 で任意の階数r に対し両側にNr 回以上M 
が続く区間があり、両側で一番i に近いところを端と 
して骨格を構成すればよい。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日23 / 63
補題3.4 の(b) の証明 
. 
.Proof. 
  Nr = L2r 
. 
とおいてl(sr(x))  Lr となる確率qr を考え 
2r 
よう。第t 座標から第t − (Lr + 1)Lrk + 1 座標までの様 
子は、骨格sr(x) の左端Mn0 が現れるか否かで場合分 
けして考えれば、最低(Lr − 1)Lr 回現れることがわか 
る。重複組み合わせを用いることにより、その確率は 
1H2Lrk(pk(M))(Lr−1)Lr (Lr−1)Lr+と表され、m = pk(M) を 
用いて、mLr((Lr−1)−2k(log2 3L/ log2 m)) と評価される。これ 
により 
Σ∞ 
r=l qr → 0(l → ∞) を得て証明が終わる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日24 / 63
目次 
. 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 
. 2 目印がある場合への帰着 
. 3 骨格の導入と基本補題 
. 4 詰材の概念と同値類の評価 
. 5 団体の結成定理と割り当ての構成 
. 6 主定理の証明と参考文献 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日25 / 63
目印過程と詰材の導入 
 ベルヌーイ系(AZ,B, pZ, T) と長さk の目印M 
について、二点集合E = {1, 2} にq1 = pk(M), 
q2 = 1 − q1 と確率測度を入れて考えたベルヌーイ 
系を目印過程といい、そのエントロピーe を目印 
エントロピーと呼ぶ。 
 この目印エントロピーを用いて、詰材エントロ 
ピーg を次で定義する。 
g := 
h − e 
1 − kpk(M) 
 先述の補題の目印については、g  0 となる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日26 / 63
詰材に関する一連の定義 
. 
.定義4.1 
 階数 r の骨格s に対して、その詰材集合F(s) とは次 
の有限積測度空間である。 
. 
F(s) = 
Πm 
i=1 
Ali 
0 
 ここで、Al 
0 とはAl の元の中で目印Mが現れないも 
のを集めた集合で、ここには正規化された確率測度 
pl/(pl(Al 
0 
)) が入っている。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日27 / 63
詰材に関した記号の定義(その1) 
 骨格s の詰材F ∈ F(s) と座標番号の集合 
I(s) := {1, . . . , l(s)} の部分集合J とk ∈ I(s)  J に 
対して、次のように推移確率を定義する。 
p(k, F, J) = p(Xk = Xk(F)|(Xl = Xl(F)(l ∈ J))) 
 ここでXk とは、第k 座標を返す確率変数、 
Xk = Xk(F) は{ω ∈ F(s)|Xk(ω) = Xk(F)} という意味 
で、p(A|B) = p(A ∩ B)/p(B) である。pは詰材集合の 
確率測度である。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日28 / 63
詰材に関した記号の定義(その2) 
 先ほどの記号をもとにして次の二つの量を定義 
する。 
η := min{p(k, F, J)|J, F, k : 0  p(k, F, J) 5 1} 
θ := max{p(k, F, J)|J, F, k : 0 5 p(k, F, J)  1} 
 ここで、階数分解Πs = s1 × · · · × sm があれば、測度 
空間としてF(s) = 
m 
i=1 
F(si) と詰材集合も同一視でき 
ることに注意する。このことを利用して詰材集合に同 
値関係を導入する。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日29 / 63
詰材集合上の同値関係の定義(その1) 
 以下、実数の減少列ϵr  ϵr+1, limr→∞ ϵr = 0 を固定 
して考え、階数r の骨格s の詰材Fに対してI(s) の部 
分集合J(F) を定義する。 
. 
. 
 階数 1 の骨格に対し、次のように定義する。 
ΠJ(F) = {k : 1 5 k 5 l(s), k−1 
η2−g(1−ϵ1)l(s)} 
i=1 p(i, F, {1, . . . , i − 1}) = 1 
 それ以上の階数では、階数分解を用いて 
F = F1 × · · · × Fm ∈ Πm 
i=1 
F(si) として、 
eJ(F) := ∪m 
i=1 
J(Fi) ⊂ I(s) と定義しておく。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日30 / 63
詰材集合上の同値関係の定義(その2) 
. 
. 
  I(s)  eJ(F) の単調増加な番号付けを{k1, . . . , kv} 
とし、J(F) を次で定義する。 
J(F) := e Π J(F) ∪ {ku : 1 5 u 5 v, u−1 
i=1 p(ki, F, eJ(F) ∪ {k1, . . . , ki−1})p(Xk = 
Xk(F)(k ∈ eJ(F)) = 1 
η2−g(1−ϵr)l(s)} 
 詰材同士の同値関係をXk(F) = Xk(F′) (k ∈ J(F)) と 
定義するために、F ∼ F′ ならばJ(F) = J(F′) を示す 
必要があるが、J(F), J(F′) の定義でのXk のF, F′ の値 
の一致からでる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日31 / 63
詰材集合の同値類の評価(その1) 
 詰材集合F(s) をこの同値関係で割った集合を 
e F(s) とかき、詰材F の同値類を[F] とかく。この 
集合には、詰材集合から自然に確率測度p0 が導か 
れる。 
. 
.補題4.2 
(a)  階数r 長さl の骨格s の詰材F ∈ F(s) は、次の 
. 
不等式を満たす。 
p0([F]) = 2−g(1−ϵr)l(s) 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日32 / 63
詰材集合の同値類の評価(その2) 
. 
.補題4.2(つづき) 
(b)  任意のδ  0, r に対して、ある長さl0 =l0(δ, r) 
. 
以上の長さl を持つ階数r の骨格s の詰材F ∈ F(s) 
は測度δ 以下の集合のものを除き次を満たす。 
   p0([F]) 5 1 
η2−g(1−ϵr)l 
(c)  任意のδ  0, r に対して、ある長さl1 =l1(δ, r) 
以上の長さl を持つ階数r の骨格s の詰材 
F ∈ F(s) は測度δ 以下の集合のものを除き次を満 
たす。  #(J(F)) 
l = 1 − 4g 
| log2 θ|ϵr 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日33 / 63
補題4.2(a) の証明 
. 
.Proof. 
  J(F) の定義における最大のku をとり、以下のよう 
に評価する。 
p0([F]) = 
. 
Πu 
i=1 p(ki, F, eJ(F) ∪ {k1, . . . , ki−1}) 
p(Xk = Xk(F)(k ∈ eJ(F))= 
p(ku,F,eJ(F)∪{k1,...,ku−1}) 
η 2−g(1−ϵr)l = 2−g(1−ϵr)l  
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日34 / 63
バーコフのエルゴード定理 
. 
.定理4.3(バーコフのエルゴード定理) 
 確率空間 (X,B, p) とエルゴード的な保測写像T にお 
いて、f ∈ L1(X,B, p) に対して次がω − a.s で成り 
立つ。 
. 
lim 
n→∞ 
1 
n 
Σn−1 
k=0 
f (Tk(ω)) = 
∫ 
X 
f dp 
 この定理と次の定理の証明はSmorodinsky の 
Ergodic Theory,Entropy で見ることができる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日35 / 63
シャノン-マクミルマン-ブライマンの定理 
. 
.定理4.4(シャノン-マクミルマン-ブライマン) 
 確率空間 (X,B, p) とエルゴード的な保測写像T にお 
いて、X の有限分割P = {P1, . . . , Pk} に対して次が 
ω − a.s で成り立つ。 
. 
lim 
n→∞ 
1 
n 
Σ 
i1,...,in 
χPi1,...,in(ω) log2 p(Pi1,...,in) = hp(T, P) 
 ここでPi1,...,in = ∩n 
k=1 
T−(k−1)Pik でχ は特性関数を 
表す。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日36 / 63
補題4.2(b) の証明(途中まで) 
. 
.Proof. 
 骨格 F ∈ F(s) はJ(F) = I(s) であるか、そうでなけ 
ればJ(F) の定義における最大のku をとって以下のよ 
うに評価される。 
p0([F]) = 
. 
Πu 
i=1 p(ki, F, eJ(F) ∪ {k1, . . . , ki−1}) 
p(Xk = Xk(F)(k ∈ eJ(F)) 5 1 
η2−g(1−ϵr)l 
η2−g(1−ϵr)l を満たす詰材 
 したがって、p(F)  1 
F ∈ F(s) の集合の大きさがl を大きくすることでいく 
らでも小さく評価できればよい。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日37 / 63
補題4.2(c) の証明(途中まで) 
. 
.Proof. 
 詰材F ∈ F(s) であって件の不等式を満たさない、つ 
まり#(J(F)) 
. 
l  1 − 4g 
| log2 θ|ϵr を満たしているならば、 
[ 4gl 
| log2 θ|ϵr] 個のI(s)  J(F) の元がある。各 
lt 
で 
I(s)  J(F) の左端の座標の推移確率は1 未満であるか 
ら、少なくとも[ 2gl 
| log2 θ|ϵr] 個の推移確率が1 未満なので 
次の評価が成り立つ。 
p(F) 5 
1 
θ 
p0([F])θ2glϵr/| log2 θ| 5 
1 
ηθ 
2−g(1+ϵr)l 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日38 / 63
補題4.2 の証明のための主張 
. 
.主張 
 次のそれぞれの不等式について、これを満たす詰材 
F ∈ F(s) の集合の大きさはl を大きくすることでいく 
らでも小さく評価できる。 
. 
p(F) = 
1 
η 
2−g(1−ϵr)l, p(F) 5 
1 
ηθ 
2−g(1+ϵr)l 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日39 / 63
先ほどの主張の証明(その1) 
. 
.Proof. 
 次の不等式を満たす詰材の集合が l を大きくするこ 
とで小さく評価できることを言えばよい。 
. 
|g + 
1 
l 
log2 p(F)| = ϵr 
 ここで、AZ の各記号列を目印ならば1k、そうでな 
ければその長さの分だけ2 を並べて得られる集合 
Ω ⊂ {1, 2}Z へこの写像Φによる確率測度の押し出し 
q′ とシフト写像によって得られる測度力学系は、目印 
過程と測度同型になるのでエルゴード的である。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日40 / 63
先ほどの主張の証明(その2) 
. 
 骨格が目印の部分も含めて第 q 座標から第r 座標ま 
で現れるとすると、詰物のところをF ∈ F(s) で埋めた 
ものをyi(q 5 i 5 r) とすれば、次の等式が成立する。 
. 
pZ({xi = yi}) = p(F)q′({exi = Φ(yi)}) 
 この等式から1l 
log2 p(F) → g(l → ∞)”a.s” を導く 
ことを考えると、まずシャノン-マクミルマン-ブライ 
マンの定理から次の概収束が使える。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日41 / 63
先ほどの主張の証明(その3) 
. 
    1 
. 
r−q 
Σr 
i=q log2 pxi 
→ −h a.s (1) 
r−q log2 q′({exi = Φ(yi)}) → −e a.s (2) 
  1 
 さらに、f ∈ L1(AZ) を第0 座標から第k − 1 座標ま 
で見て目印だったら−k そうでなければ0 を返す関数 
としてエルゴード定理を適用すれば、 
  l(s)/(r − q) → 
∫ 
AZ(1 − f ) = 1 − kη a.s (3) 
が得られて、−((1) − (2))/(3) から目的の概収束が言え 
て、主張と補題4.2 の証明が終わる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日42 / 63
目次 
. 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 
. 2 目印がある場合への帰着 
. 3 骨格の導入と基本補題 
. 4 詰材の概念と同値類の評価 
. 5 団体の結成定理と割り当ての構成 
. 6 主定理の証明と参考文献 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日43 / 63
団体の概念 
. 
.定義5.1(団体の定義) 
 U, V をそれぞれ確率測度ρ, σを持つ有限集合と 
する。 
 U からV への団体とは、P(V) をV の部分集合を集 
めたものとする時、写像S : U → P(V) であって任意 
のB ⊂ U に対して次が満たされるもののことを指す。 
. 
ρ(B) 5 σ(S(B)) (S(B) = ∪b∈BS(b)) 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日44 / 63
団体の順序と双対 
. 
.定義5.2(団体の順序、双対) 
 U からV への団体R, S について、半順序R 5 S とは 
任意のb ∈ U に対してR(b) ⊆ S(b) が成り立つことを 
指すものとする。 
 また団体S に対して、その双対S∗ とはV からP(U) 
への写像であって、次の式で定義される。 
. 
 g ∈ V に対して、S∗(g) := {b ∈ U : g ∈ S(b)}. 
 次の補題は団体の行列表現などの準備を伴うので証 
明は省略する。例えばKaene のFinitary Codes の第三 
節を見ればよい。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日45 / 63
団体の結成補題 
. 
.補題5.3(結成補題) 
  S をU からV への団体とすると次の二つが成り 
立つ。 
(1) S の双対S∗ はV からU への団体である。 
(2) U からV への団体R でR 5 S と次を満たすものが 
. 
存在する。 
 #{g ∈ V : b1 , b2 s.t g ∈ R(b1) ∩ R(b2)}  #(U) 
(3)  また、団体Si : Ui → P(Vi), (1 5 i 5 n) に対し 
て、積S1 × · · · × Sn も団体である。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日46 / 63
割り当て構成のための準備 
. 
 割り当ての構成は以下の順序で行う。 
 二つのエントロピーが同じベルヌーイ系 
(AZ,B, pZ, T), (BZ, C, qZ, T) があったとき、まずは減 
少列ϵ1  · · ·  ϵr  ϵr+1  · · · → 0, δ1  · · ·  δr  
δr+1  · · · → 0 をとって、補題4.2 における 
li(δr, ϵr), (i = 1, 2) についてLr = li(δr, ϵr) と 
limr→∞ Lr(ϵr−1 − ϵr) = +∞が満たされるようにLr をと 
る。この後で各点x に対して基本補題を適用し、Nr と 
sr(x) をとる。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日47 / 63
割り当ての構成(その1) 
. 
 ここで、骨格 s に対して(BZ, C, qZ, T) にも詰物集合 
G(s), eG(s), η′, θ′, 詰物エントロピーg′(= g), 詰物測度 
q, q0 が定義できることに注意する。 
 階数r に対し割り当てR• を帰納的に構成する。 
 階数1 の骨格s についてSs は、e F(s) からeG(s) への団 
体であって、任意の詰物[F] ∈ e F(s) にeG(s) を対応させ 
る。ここで、補題5.3(2) を用いてより小さな団体 
Rs 5 Ss を一つ取る。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日48 / 63
割り当ての構成(その2) 
. 
 次に偶数階数で階数分解s = s1 × · · · × s j の部分骨格 
si に対して、e F(si) からeG(si) への割り当てRsi が構成 
されたと仮定する。 
 ¯G 
. 
(s) := 
Πj 
i=1 
eG(si) から¯F 
(s) := 
Πj 
i=1 
e F(si) への団体 
Ss = R∗ 
s1 
× · · · × R∗ 
s j 
= (Rs1 
× · · · × Rs j)∗ を考える。 
 詰物集合の定義を考えると¯F 
(s) ∋ Fには、互いに交 
わらない同値類の集合Φ(F) ∈ P( e F(s)) が対応していて 
測度が保たれること(団体) がわかる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日49 / 63
割り当ての構成(その3) 
. 
 団体Φ ◦ Ss に対して再び補題5.3(2) を適用すること 
で¯G 
. 
(s) からe F(s) への団体Ts が得られ、¯G 
(s) からeG(s) 
への同様の団体Ψを用いることでG(es) からF(e s) への 
団体Rs = Ts ◦ ∗ Ψ 
が得られる。 
 奇数階数で階数分解s = s1 × · · · × s j の部分骨格si に 
対して、eG(si) からe F(si) への割り当てRsi が構成され 
た場合も、FとGを入れ替えて先ほどの場合とまった 
く同じ議論をすれば団体e F(s) からeG(s) への団体Rs が 
得られる。 
 以上で主定理を証明の準備が終わった。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日50 / 63
目次 
. 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 
. 2 目印がある場合への帰着 
. 3 骨格の導入と基本補題 
. 4 詰材の概念と同値類の評価 
. 5 団体の結成定理と割り当ての構成 
. 6 主定理の証明と参考文献 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日51 / 63
目次 
. 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 
. 2 目印がある場合への帰着 
. 3 骨格の導入と基本補題 
. 4 詰材の概念と同値類の評価 
. 5 団体の結成定理と割り当ての構成 
. 6 主定理の証明と参考文献 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日52 / 63
主定理1.1 の証明(その1) 
. 
.Proof. 
 目印Mを共有するエントロピーの等しいベルヌーイ 
系(AZ,B, pZ, T), (BZ, C, qZ, T) を考える。 
 可測写像Φ : AZ → BZ を次で構成していく。 
 Φ(x) の第t 座標はx の第t 座標が目印Mに当たると 
きは、xt と同じものと定義する。 
 それ以外の場合は零集合を除いて、補題3.4 のx と 
Nr( 固定) によって第t 座標を被覆する骨格sr(x) が存 
在するので、次のような集合上で零集合を除いてΦ(x) 
の第t 座標を定義すればよい。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日53 / 63
主定理1.1 の証明(その2) 
. 
. 
X′ := {x ∈ AZ : sr(x) = sr ∀r = 1} 
 補題4.2(a) の不等式を偶数階数の骨格 
sr = s1 × · · · × sn の階数分解の各部分骨格に適用して 
次の式を得Σ 
る。 
  1 = 
[G] q0([G]) = #(eG(si))2−g′(1−ϵr−1)l(sr) 
 #( ¯G 
(sr)) = 
Πn 
i=1 #(eG(sr)) 5 2g′(1−ϵr−1)l(sr) (α) 
 この不等式と割り当てを用いて次の集合の確率を計 
算する。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日54 / 63
主定理1.1 の証明(その3) 
. 
  M:= {F∈ F(sr) :∃! ¯G 
. 
∈ ¯G 
(sr) s.t F ∈ Rsr(¯G 
)} 
 各F ∈ F(sr) はR∗ 
sr が団体なので、必ず少なくとも 
一つはこのような¯G 
が存在する。したがって、その補 
集合の確率は補題4.2(b) と補題5.3(2) を用いて次のよ 
うに評価できる。 
   
Σ{p(F)|∃ ¯G1 , ¯G 
2 s.t F ∈ Rsr( ¯G 
i) (i = 1, 2)} 
η2−g(1−ϵr)l(sr)#( ¯G 
5 δr + 1 
(sr)) 5 
(α) 
η2(g′(1−ϵr−1)−g(1−ϵr))l(sr) 
δr + 1 
5 
g=g′ 
η2−g(ϵr−1−ϵr)l(sr) → 0 (r → ∞) 
δr + 1 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日55 / 63
主定理1.1 の証明(その4) 
. 
 したがって、x ∈ X′ に対してFr(x) ∈ F(sr) をx で定 
まる詰物とすると、殆どすべてのx ∈ X′ に少なくとも 
一つ偶数r があってFr(x) はただ一つの同値類 
¯G 
. 
′(x) のeG(sr−1) の成分を 
′(x) ∈ ¯G 
(sr) の像になる。¯G 
¯G 
(x) と書くことにする。 
 今G¯(′) := {G¯(′)(x)|x ∈ X′} とし{t  J(¯G 
(x))|∃ ! ¯G 
(x)} 
の条件付確率を評価しよう。 
 AZ の各成分を返す確率変数が独立同分布であるこ 
とから、添字集合I(sr−1) 上の決められた位置に第t 座 
標が現れる確率が1/l(sr−1) である。 
 したがって、補題4.2(c) における大きさδr 以下の集 
合Δr を用いて次のように評価できる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日56 / 63
主定理1.1 の証明(その5) 
. 
       pZ({t  J(¯G 
. 
(x))|∃ ! ¯G(x)}) 
  5 pZ(¯G 
(x) ∈ Δr−1|∃ ! ¯G 
(x)})+ 
     pZ(¯G 
(x)  Δr−1, t  J(¯G 
(x))|∃ ! ¯G 
(x)}) 
  5 δr−1/p0(M) + 
4g′ 
| log θ′|p0(M)ϵr 
 ここで、骨格だけではなくそれが現れる座標の位置 
も込めて考えていることに注意したい。上の式の右辺 
はr を大きくすることで0 に収束することがわかり、 
次の結論が従う。 
 殆ど全てのx ∈ X′ は最低一つの偶数r について、 
Fr(x) に唯一の¯G 
′(x) がありFr(x) ∈ Rsr(¯G 
′(x)) を満た 
し、第t 座標はJ(¯G 
(x)) に現れる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日57 / 63
主定理1.1 の証明(その6) 
. 
 この時に ¯G 
. 
(x) の第t 座標をΦ(x)t とすれば、これは 
¯G 
(x) の同値類の取り方によらない。 
 ここで、Φ(x)t がr によらないことを見る。 
 r1  r2 としてFr1(x) のsr2 の部分はFr2(x) と一致し 
ており、次の事実が成り立つ。 
R 5 S −→ R∗ 5 S∗,Φ ◦ R 5 Φ ◦ S, R ◦ Ψ 5 S ◦ Ψ 
 R1 5 S1, R2 5 S2 −→ R1 × R2 5 S1 × S2 
 ここで、上述の記号はすべて団体を指す。 
 したがって、写像を追うことにより¯G 
r1(x) のsr2 の部 
分はGr2(x) と一致して、第t 座標も一致することがわ 
かる。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日58 / 63
主定理1.1 の証明(その7) 
. 
 よって、Φ(x) := {Φ(x)t} と定義すればΦ(x) の有限 
区間の情報はx の有限区間のそれで決まるので殆どい 
たるところ連続で特に可測である。 
 Ψ : BZ → AZ を奇数階数の骨格を用いて同様に定 
義すると、各成分の階数r の非依存性を証明したとき 
と同様の方法で、Ψが殆ど連続かつ可測でΦの逆写像 
であることが確認できる。 
 シフト写像と可換になることはΦ,Ψが詰物だけで 
決まっており、これが現れる位置に依存していないこ 
とから明らかである。 
. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日59 / 63
主定理1.1 の証明(その8) 
. 
 最後にチェックするのは測度を保っているかどうか 
であるが、骨格の取り方は高々可算であるので、これ 
を固定して考えることができる。 
 筒状集合L := {x ∈ BZ|xi = ai(−n 5 i 5 n)} と 
Φ 
. 
−1 
r (L) := {y ∈ Φ 
−1(L)|¯G 
r(y)i = ai(−n 5 i 5 n)} につ 
−1 
r (L) = Φ 
いて、∪rΦ 
−1(L) が成り立ち、全単射性から 
L = ∪r{x ∈ BZ|∃y ∈ AZ : xi = ¯G 
r(y)i} より、各r ごと 
に詰め物の測度を比較すればよい。 
 p0(Fr(y)) 5 q0(R∗ 
sr 
(Fr(y))) = q0(¯G 
r(y)) より対称性か 
ら両者を足し合わせて等式を得、補題4.2 の主張の証 
明で使った等式を用いてpZ, qZ の等式に書き換えれば 
よい。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日60 / 63
参考文献(その1) 
M. Keane and M. Smorodinsky, Bernoulli schemes 
of the same entropy are finitarily isomorphic, Ann. of 
Math. (2) 109 (1979), 397―406. 
M. Keane and M. Smorodinsky, A class of finitary 
codes, Israel Journal of Math. 26 (1977), 352― 
371. 
P. Walters, An Introduction to Ergodic Theory, 
Graduate Texts in Math., vol. 79, Springer-Verlag, 
New York, 1982. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日61 / 63
参考文献(その2) 
M. Smorodinsky, Entropy Theory, Entropy, Lecture 
Notes in Mathematics, No.214,Springer-Verlag 
(1971) 
D. Ornstein, Bernoulli shifts with the same entropy 
are isomorphic, Advances in Math. 4 (1970), 
337-352. 
R. Bowen, Equilibrium States and the Ergodic 
Theory of Anosov Diffeomorphisms, 2nd-ed, 
Lecture Notes in Mathematics, No. 470, 
Springer-Verlag, 2008. 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日62 / 63
生きねば。 
ありがとうございました。 
れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日63 / 63

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  • 1. . . Ornstein の同型定理について れんま(n%)(徳富 蘇峰) 2014 年9 月14 日 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日1 / 63
  • 2. 目次 . 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 . 2 目印がある場合への帰着 . 3 骨格の導入と基本補題 . 4 詰材の概念と同値類の評価 . 5 団体の結成定理と割り当ての構成 . 6 主定理の証明と参考文献 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日2 / 63
  • 3. ベルヌーイ系とは? . .定義1.1   2 以上の整数a について、集合A = {1, . . . , a} とこ の集合上の確率測度pを考える。  集合X = AZ にベルヌーイ測度μ = pZ を入れて、シ フト写像T : X ∋ (xi)i7→ (xi−1)i ∈ X を考える。この 時、測度力学系(X,B, μ, T) をベルヌーイ系、あるいは ベルヌーイシフトと呼ぶ。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日3 / 63
  • 4. 測度力学系の同型とは? . .定義1.2  二つの測度力学系(X,B, m, T), (Y, C, n, S) が測度同型 であるとは、その補集合が零集合であるような可測集 合A ⊂ X, B ⊂ Y があって、以下の性質を満たすこと です。 (a) T(A) ⊂ A, S(B) ⊂ B (b) ある双可測写像Φ : A → B があって、 . Φ ◦ T = S ◦ Φを満たす。  以下では、mは確率測度でT は保測変換であると する。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日4 / 63
  • 5. 測度論的エントロピー . .定義1.3  測度力学系 (X,B, m, T) において、分割 A = {A0, . . . , An} に対しエントロピーが次のように定 義される。 . hm(A) = Σn i=0 − m(Ai) log2(m(Ai))  ここから測度論的エントロピーが定義される。 hm(T)=sup A hm(T,A), hm(T,A)=lim l→∞ i=0T−iA) hm(∨l れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日5 / 63
  • 6. 今日考える問題と主定理 . .問題  二つのベルヌーイシフト (AZ,B, pZ, T) と (BZ, C, qZ, T′) の測度論的エントロピーが一致すると き. 、それらは互いに測度同型になるか? . 定.理1.1  二つのベルヌーイシフトの測度論的エントロピーが 一致するとき、両者の間に零集合を除いて連続となる ような写像Φによって測度同型になる。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日6 / 63
  • 7. 目次 . 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 . 2 目印がある場合への帰着 . 3 骨格の導入と基本補題 . 4 詰材の概念と同値類の評価 . 5 団体の結成定理と割り当ての構成 . 6 主定理の証明と参考文献 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日7 / 63
  • 8. 目印を作るための基本的な補題(その1) . .補題2.1   3 以上の自然数a, b とエントロピーが同じ二つのベ ルヌーイ系(AZ,B, pZ, T), (BZ, C, qZ, T′) に対して、あ る3 以上の自然数c ともう一つ同じエントロピーh を 持つベルヌーイ系(CZ,D, rZ, T′′) であって、ある自然 数1 5 k 5 a, 1 5 l 5 b がr1 = pk, r2 = ql を満たすも のが存在する。  ここで、A = {1, . . . , a}, B = {1, . . . , b}, C = {1, . . . , c} としている。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日8 / 63
  • 9. 補題2.1 の証明(6 割ほど) . .Proof.  改めて順序をつけ p1 = · · · = pa, q1 = · · · = qb, pa = qb となるようにしておく。  ここで、r1 = p1, r2 = qb, r3 = 1 − r1 − r2 と定義し て、 −ri log2 riとΣa . Σ3 i=1 −ri log2 ri とh、つまり Σ3 i=1 i=1 −pi log2 pi を比較する。  関数ϕ(x) = −x log2 x は[0, 1] 内Σ3 で上に凸な関数であ る。今r3 = p2 = p3 = r2 なので、 i=2 −ri log2 ri 5 Σ3 i=2 −pi log2 pi より、前者のほうが小さいとわかる。  あとは次の主張が示されればよい。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日9 / 63
  • 10. 補題2.1 の証明のための主張 . .主張  ある 3 以上の自然数c と正の実数の組(s3, . . . , sc) で あって、次の二式を満たすものが存在する。 (a) s3 + · · · + sc = r3. (b) {Σ2 . i=1 −ri log2 ri} + {Σc i=3 −si log2 si} = h. . Proof. .. .中間値の定理の応用問題です。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日10 / 63
  • 11. 目印を作るための基本的な補題(その2) . .補題2.2  もしも、ベルヌーイ系 (AZ,B, pZ, T), A = {1, . . . , a} においてa = 2 であったとする。  この時、3 以上の自然数c とベルヌーイ系 (CZ,D, rZ, T′′), C = {1, . . . , c} とある自然数k であっ て、次を満たすものが存在する。 . pk 1 p2 = rk 1 r2. れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日11 / 63
  • 12. 補題2.2 の証明 . .Proof.  まずは、1 r1 max{p1, p2} を任意に選ぶ。ここ で、充分k を大きくとりr2 := (p1/r1)k p2 がr1 + r2 1 を満たすようにできる。さらに、r3 := 1 − r1 − r2 とお けば、必要ならばr1 を大きく取り直すことにより、次 の不等式を得ることができる。 . Σ3 i=1 {−ri log2 ri} 5 h.  したがって、あとは補題2.1 の主張と同様の議論を すればよい。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日12 / 63
  • 13. 目印の定義 二つのベルヌーイシフトが殆ど至る所連続な写像 Φによって測度同型になるという関係が” 同値関 係” なので、(AZ,B, pZ, T), (CZ,D, rZ, T′′) の間に それぞれ求める測度同型を構成すればよい。 そこで、補題2.1 の場合は、p1 = q1 を仮定し、目 印(記号列)MをM = 1 と定義する。  補題2.2 の場合は、pk 1 p2 = qk 1 q2. を仮定し、 M = 1k2 と定義する。ここで、1k とは1 がk 回連 続して表われることを意味している。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日13 / 63
  • 14. 目次 . 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 . 2 目印がある場合への帰着 . 3 骨格の導入と基本補題 . 4 詰材の概念と同値類の評価 . 5 団体の結成定理と割り当ての構成 . 6 主定理の証明と参考文献 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日14 / 63
  • 15. 骨格の定義 以下では、増大する自然数列{Nr}r∈N (0 N1, Nr Nr+1) を一つ固定して考える。 . .定義3.1  自然数r と目印Mに対し、階数r の骨格s というと、 自然数r と次の図式の組を指す。       s : Mn0 . l1 Mn1 l2 . . . lm Mnm  ここで、lt(1 5 t 5 m), nt(0 5 t 5 m) は自然数で、 次の不等式を満たす。    nt Nr 5 min{n0, nm}(1 5 t 5 m − 1). れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日15 / 63
  • 16. 骨格の意味と階数、長さ  骨格の定義において、Mn は目印Mがn回連続 して表われることを表す。 l は目印を含まない長 さl の記号列を表す。  自然数r も込めて考えているので、二つの骨格 s, s′ が同じ図式であってもr が異なれば、s, s′ は 別の骨格として考える。  骨格s における自然数r を骨格s の階数と言っ て、r(s) とかく。 Σ 骨格s における長さとは、l(s) := m t=1 lt のこと を指す。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日16 / 63
  • 17. 部分骨格と骨格の階数分解(その1) . .定義3.2 .  階数 r′ の骨格s′ が骨格s の部分骨格であると は、s′ の図式が適切な0 5 t t′ 5 mによって次 のように書けることを言う。 s′ : Mnt lt+1 Mnt+1 . . . lt′ Mlt′  骨格s の二つの部分骨格s1, s2 が交わらないと は、集合{t1 + 1, . . . , t′ 1}, {t2 + 1, . . . , t′ 2} が交わら ないことを指す。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日17 / 63
  • 18. 部分骨格と骨格の階数分解(その2) . .定義3.2(続き) .  骨格 s の部分骨格の組(s1, . . . , sk) が骨格s の分 解であるとは、各s j たちが互いに交わらず、かつ ∪15l5k{tl + 1, . . . , t′ l} = {1, . . . , m} となることを指 し、s = s1 × · · · × sk とかく。 . .補題3.3(骨格の階数分解)  任意の階数 r が2 以上の骨格s は、階数r − 1 の部分 骨格s j たちによって一意にs = s1 × · · · × sk と分解 する。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日18 / 63
  • 19. 補題3.3 の証明(その1) . .Proof.  今、Nr−1 Nr 5 n0 なので、Nr−1 5 nt を満たす最 小のt = 1 について、骨格s の{1, . . . , t} の部分を切り 出せば、階数r − 1 の部分骨格s1 が得られる。t = mな らばここで分解が完成し、そうでなくともt から始め て以下帰納的に部分骨格を構成していけば、長くとも m回でt′ . = mに到達して、階数分解が得られる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日19 / 63
  • 20. 補題3.3 の証明(その2) .  一意性については、二通りの分解 s = s1 × · · · × sk = s′ . 1 × · · · × s′ l があったとする。まず、部分骨格 s1, s′ 1 についてt1 t′ 1 であれば、nt1 Nr−1 5 nt1 よ り矛盾が出るので、対称性よりt1 = t′ 1 となる。以下、 帰納的にk = l, ti = t′ i が得られる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日20 / 63
  • 21. 骨格とベルヌーイ系との関連性  ベルヌーイ系(AZ,B, pZ, T) の点x ∈ AZ と骨格 s について、s がx において現れるとは次の状況を 指す。つまり、その前後に目印Mが現れないx の 有限区間であって、骨格s において各 lt を長さlt の目印を含まない記号列を埋めることで得られる ものが存在する。  さらに、整数i についてx の第i 座標がs により 被覆されるとは、上述の条件を満たすx の有限区 間であって、第i 座標があるt の lt の部分に現れ るものが存在することを指す。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日21 / 63
  • 22. ベルヌーイ系における骨格の基本補題 . .補題3.4(基本補題) (a)  整数i と目印Mについて、殆どのx ∈ AZ はその . 第i 座標が目印Mに含まれるか、それとも任意の r = 1 について一意な骨格sr(x) であって第i 座標 を被覆するものが存在するかのいずれかである。 (b)  長さの増大列{Ln}n∈N が与えられると、冒頭の 増大列{Nn}n∈N をうまくとって、殆どのx ∈ AZ に 対して十分大きなすべてのr がl(sr(x)) = Lr を満 たすようにできる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日22 / 63
  • 23. 補題3.4 の(a) の証明 . .Proof.  階数 Nr と目印Mの長さをk とし、測度空間として (AZ,B, pZ), ({ANr k}Z,B′, {pNrk}Z) を同一視するとき、i の属するブロックが第j ブロックであるとすると、第 j − 1 ブロックから第j − l ブロックまで一度もMNr が 現れない確率は(1 − pk(M)Nr) のl 乗であるから、確率 1 でx ∈ AZ はi より左側に最低一回MNr が現れ、Mが 有限個続いて止まる。零集合の可算和は零集合なの で、確率1 で任意の階数r に対し両側にNr 回以上M が続く区間があり、両側で一番i に近いところを端と して骨格を構成すればよい。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日23 / 63
  • 24. 補題3.4 の(b) の証明 . .Proof.   Nr = L2r . とおいてl(sr(x)) Lr となる確率qr を考え 2r よう。第t 座標から第t − (Lr + 1)Lrk + 1 座標までの様 子は、骨格sr(x) の左端Mn0 が現れるか否かで場合分 けして考えれば、最低(Lr − 1)Lr 回現れることがわか る。重複組み合わせを用いることにより、その確率は 1H2Lrk(pk(M))(Lr−1)Lr (Lr−1)Lr+と表され、m = pk(M) を 用いて、mLr((Lr−1)−2k(log2 3L/ log2 m)) と評価される。これ により Σ∞ r=l qr → 0(l → ∞) を得て証明が終わる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日24 / 63
  • 25. 目次 . 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 . 2 目印がある場合への帰着 . 3 骨格の導入と基本補題 . 4 詰材の概念と同値類の評価 . 5 団体の結成定理と割り当ての構成 . 6 主定理の証明と参考文献 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日25 / 63
  • 26. 目印過程と詰材の導入  ベルヌーイ系(AZ,B, pZ, T) と長さk の目印M について、二点集合E = {1, 2} にq1 = pk(M), q2 = 1 − q1 と確率測度を入れて考えたベルヌーイ 系を目印過程といい、そのエントロピーe を目印 エントロピーと呼ぶ。  この目印エントロピーを用いて、詰材エントロ ピーg を次で定義する。 g := h − e 1 − kpk(M)  先述の補題の目印については、g 0 となる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日26 / 63
  • 27. 詰材に関する一連の定義 . .定義4.1  階数 r の骨格s に対して、その詰材集合F(s) とは次 の有限積測度空間である。 . F(s) = Πm i=1 Ali 0  ここで、Al 0 とはAl の元の中で目印Mが現れないも のを集めた集合で、ここには正規化された確率測度 pl/(pl(Al 0 )) が入っている。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日27 / 63
  • 28. 詰材に関した記号の定義(その1)  骨格s の詰材F ∈ F(s) と座標番号の集合 I(s) := {1, . . . , l(s)} の部分集合J とk ∈ I(s) J に 対して、次のように推移確率を定義する。 p(k, F, J) = p(Xk = Xk(F)|(Xl = Xl(F)(l ∈ J)))  ここでXk とは、第k 座標を返す確率変数、 Xk = Xk(F) は{ω ∈ F(s)|Xk(ω) = Xk(F)} という意味 で、p(A|B) = p(A ∩ B)/p(B) である。pは詰材集合の 確率測度である。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日28 / 63
  • 29. 詰材に関した記号の定義(その2)  先ほどの記号をもとにして次の二つの量を定義 する。 η := min{p(k, F, J)|J, F, k : 0 p(k, F, J) 5 1} θ := max{p(k, F, J)|J, F, k : 0 5 p(k, F, J) 1}  ここで、階数分解Πs = s1 × · · · × sm があれば、測度 空間としてF(s) = m i=1 F(si) と詰材集合も同一視でき ることに注意する。このことを利用して詰材集合に同 値関係を導入する。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日29 / 63
  • 30. 詰材集合上の同値関係の定義(その1)  以下、実数の減少列ϵr ϵr+1, limr→∞ ϵr = 0 を固定 して考え、階数r の骨格s の詰材Fに対してI(s) の部 分集合J(F) を定義する。 . .  階数 1 の骨格に対し、次のように定義する。 ΠJ(F) = {k : 1 5 k 5 l(s), k−1 η2−g(1−ϵ1)l(s)} i=1 p(i, F, {1, . . . , i − 1}) = 1  それ以上の階数では、階数分解を用いて F = F1 × · · · × Fm ∈ Πm i=1 F(si) として、 eJ(F) := ∪m i=1 J(Fi) ⊂ I(s) と定義しておく。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日30 / 63
  • 31. 詰材集合上の同値関係の定義(その2) . .   I(s) eJ(F) の単調増加な番号付けを{k1, . . . , kv} とし、J(F) を次で定義する。 J(F) := e Π J(F) ∪ {ku : 1 5 u 5 v, u−1 i=1 p(ki, F, eJ(F) ∪ {k1, . . . , ki−1})p(Xk = Xk(F)(k ∈ eJ(F)) = 1 η2−g(1−ϵr)l(s)}  詰材同士の同値関係をXk(F) = Xk(F′) (k ∈ J(F)) と 定義するために、F ∼ F′ ならばJ(F) = J(F′) を示す 必要があるが、J(F), J(F′) の定義でのXk のF, F′ の値 の一致からでる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日31 / 63
  • 32. 詰材集合の同値類の評価(その1)  詰材集合F(s) をこの同値関係で割った集合を e F(s) とかき、詰材F の同値類を[F] とかく。この 集合には、詰材集合から自然に確率測度p0 が導か れる。 . .補題4.2 (a)  階数r 長さl の骨格s の詰材F ∈ F(s) は、次の . 不等式を満たす。 p0([F]) = 2−g(1−ϵr)l(s) れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日32 / 63
  • 33. 詰材集合の同値類の評価(その2) . .補題4.2(つづき) (b)  任意のδ 0, r に対して、ある長さl0 =l0(δ, r) . 以上の長さl を持つ階数r の骨格s の詰材F ∈ F(s) は測度δ 以下の集合のものを除き次を満たす。    p0([F]) 5 1 η2−g(1−ϵr)l (c)  任意のδ 0, r に対して、ある長さl1 =l1(δ, r) 以上の長さl を持つ階数r の骨格s の詰材 F ∈ F(s) は測度δ 以下の集合のものを除き次を満 たす。  #(J(F)) l = 1 − 4g | log2 θ|ϵr れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日33 / 63
  • 34. 補題4.2(a) の証明 . .Proof.   J(F) の定義における最大のku をとり、以下のよう に評価する。 p0([F]) = . Πu i=1 p(ki, F, eJ(F) ∪ {k1, . . . , ki−1}) p(Xk = Xk(F)(k ∈ eJ(F))= p(ku,F,eJ(F)∪{k1,...,ku−1}) η 2−g(1−ϵr)l = 2−g(1−ϵr)l れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日34 / 63
  • 35. バーコフのエルゴード定理 . .定理4.3(バーコフのエルゴード定理)  確率空間 (X,B, p) とエルゴード的な保測写像T にお いて、f ∈ L1(X,B, p) に対して次がω − a.s で成り 立つ。 . lim n→∞ 1 n Σn−1 k=0 f (Tk(ω)) = ∫ X f dp  この定理と次の定理の証明はSmorodinsky の Ergodic Theory,Entropy で見ることができる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日35 / 63
  • 36. シャノン-マクミルマン-ブライマンの定理 . .定理4.4(シャノン-マクミルマン-ブライマン)  確率空間 (X,B, p) とエルゴード的な保測写像T にお いて、X の有限分割P = {P1, . . . , Pk} に対して次が ω − a.s で成り立つ。 . lim n→∞ 1 n Σ i1,...,in χPi1,...,in(ω) log2 p(Pi1,...,in) = hp(T, P)  ここでPi1,...,in = ∩n k=1 T−(k−1)Pik でχ は特性関数を 表す。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日36 / 63
  • 37. 補題4.2(b) の証明(途中まで) . .Proof.  骨格 F ∈ F(s) はJ(F) = I(s) であるか、そうでなけ ればJ(F) の定義における最大のku をとって以下のよ うに評価される。 p0([F]) = . Πu i=1 p(ki, F, eJ(F) ∪ {k1, . . . , ki−1}) p(Xk = Xk(F)(k ∈ eJ(F)) 5 1 η2−g(1−ϵr)l η2−g(1−ϵr)l を満たす詰材  したがって、p(F) 1 F ∈ F(s) の集合の大きさがl を大きくすることでいく らでも小さく評価できればよい。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日37 / 63
  • 38. 補題4.2(c) の証明(途中まで) . .Proof.  詰材F ∈ F(s) であって件の不等式を満たさない、つ まり#(J(F)) . l 1 − 4g | log2 θ|ϵr を満たしているならば、 [ 4gl | log2 θ|ϵr] 個のI(s) J(F) の元がある。各 lt で I(s) J(F) の左端の座標の推移確率は1 未満であるか ら、少なくとも[ 2gl | log2 θ|ϵr] 個の推移確率が1 未満なので 次の評価が成り立つ。 p(F) 5 1 θ p0([F])θ2glϵr/| log2 θ| 5 1 ηθ 2−g(1+ϵr)l れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日38 / 63
  • 39. 補題4.2 の証明のための主張 . .主張  次のそれぞれの不等式について、これを満たす詰材 F ∈ F(s) の集合の大きさはl を大きくすることでいく らでも小さく評価できる。 . p(F) = 1 η 2−g(1−ϵr)l, p(F) 5 1 ηθ 2−g(1+ϵr)l れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日39 / 63
  • 40. 先ほどの主張の証明(その1) . .Proof.  次の不等式を満たす詰材の集合が l を大きくするこ とで小さく評価できることを言えばよい。 . |g + 1 l log2 p(F)| = ϵr  ここで、AZ の各記号列を目印ならば1k、そうでな ければその長さの分だけ2 を並べて得られる集合 Ω ⊂ {1, 2}Z へこの写像Φによる確率測度の押し出し q′ とシフト写像によって得られる測度力学系は、目印 過程と測度同型になるのでエルゴード的である。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日40 / 63
  • 41. 先ほどの主張の証明(その2) .  骨格が目印の部分も含めて第 q 座標から第r 座標ま で現れるとすると、詰物のところをF ∈ F(s) で埋めた ものをyi(q 5 i 5 r) とすれば、次の等式が成立する。 . pZ({xi = yi}) = p(F)q′({exi = Φ(yi)})  この等式から1l log2 p(F) → g(l → ∞)”a.s” を導く ことを考えると、まずシャノン-マクミルマン-ブライ マンの定理から次の概収束が使える。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日41 / 63
  • 42. 先ほどの主張の証明(その3) .     1 . r−q Σr i=q log2 pxi → −h a.s (1) r−q log2 q′({exi = Φ(yi)}) → −e a.s (2)   1  さらに、f ∈ L1(AZ) を第0 座標から第k − 1 座標ま で見て目印だったら−k そうでなければ0 を返す関数 としてエルゴード定理を適用すれば、   l(s)/(r − q) → ∫ AZ(1 − f ) = 1 − kη a.s (3) が得られて、−((1) − (2))/(3) から目的の概収束が言え て、主張と補題4.2 の証明が終わる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日42 / 63
  • 43. 目次 . 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 . 2 目印がある場合への帰着 . 3 骨格の導入と基本補題 . 4 詰材の概念と同値類の評価 . 5 団体の結成定理と割り当ての構成 . 6 主定理の証明と参考文献 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日43 / 63
  • 44. 団体の概念 . .定義5.1(団体の定義)  U, V をそれぞれ確率測度ρ, σを持つ有限集合と する。  U からV への団体とは、P(V) をV の部分集合を集 めたものとする時、写像S : U → P(V) であって任意 のB ⊂ U に対して次が満たされるもののことを指す。 . ρ(B) 5 σ(S(B)) (S(B) = ∪b∈BS(b)) れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日44 / 63
  • 45. 団体の順序と双対 . .定義5.2(団体の順序、双対)  U からV への団体R, S について、半順序R 5 S とは 任意のb ∈ U に対してR(b) ⊆ S(b) が成り立つことを 指すものとする。  また団体S に対して、その双対S∗ とはV からP(U) への写像であって、次の式で定義される。 .  g ∈ V に対して、S∗(g) := {b ∈ U : g ∈ S(b)}.  次の補題は団体の行列表現などの準備を伴うので証 明は省略する。例えばKaene のFinitary Codes の第三 節を見ればよい。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日45 / 63
  • 46. 団体の結成補題 . .補題5.3(結成補題)   S をU からV への団体とすると次の二つが成り 立つ。 (1) S の双対S∗ はV からU への団体である。 (2) U からV への団体R でR 5 S と次を満たすものが . 存在する。  #{g ∈ V : b1 , b2 s.t g ∈ R(b1) ∩ R(b2)} #(U) (3)  また、団体Si : Ui → P(Vi), (1 5 i 5 n) に対し て、積S1 × · · · × Sn も団体である。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日46 / 63
  • 47. 割り当て構成のための準備 .  割り当ての構成は以下の順序で行う。  二つのエントロピーが同じベルヌーイ系 (AZ,B, pZ, T), (BZ, C, qZ, T) があったとき、まずは減 少列ϵ1 · · · ϵr ϵr+1 · · · → 0, δ1 · · · δr δr+1 · · · → 0 をとって、補題4.2 における li(δr, ϵr), (i = 1, 2) についてLr = li(δr, ϵr) と limr→∞ Lr(ϵr−1 − ϵr) = +∞が満たされるようにLr をと る。この後で各点x に対して基本補題を適用し、Nr と sr(x) をとる。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日47 / 63
  • 48. 割り当ての構成(その1) .  ここで、骨格 s に対して(BZ, C, qZ, T) にも詰物集合 G(s), eG(s), η′, θ′, 詰物エントロピーg′(= g), 詰物測度 q, q0 が定義できることに注意する。  階数r に対し割り当てR• を帰納的に構成する。  階数1 の骨格s についてSs は、e F(s) からeG(s) への団 体であって、任意の詰物[F] ∈ e F(s) にeG(s) を対応させ る。ここで、補題5.3(2) を用いてより小さな団体 Rs 5 Ss を一つ取る。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日48 / 63
  • 49. 割り当ての構成(その2) .  次に偶数階数で階数分解s = s1 × · · · × s j の部分骨格 si に対して、e F(si) からeG(si) への割り当てRsi が構成 されたと仮定する。  ¯G . (s) := Πj i=1 eG(si) から¯F (s) := Πj i=1 e F(si) への団体 Ss = R∗ s1 × · · · × R∗ s j = (Rs1 × · · · × Rs j)∗ を考える。  詰物集合の定義を考えると¯F (s) ∋ Fには、互いに交 わらない同値類の集合Φ(F) ∈ P( e F(s)) が対応していて 測度が保たれること(団体) がわかる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日49 / 63
  • 50. 割り当ての構成(その3) .  団体Φ ◦ Ss に対して再び補題5.3(2) を適用すること で¯G . (s) からe F(s) への団体Ts が得られ、¯G (s) からeG(s) への同様の団体Ψを用いることでG(es) からF(e s) への 団体Rs = Ts ◦ ∗ Ψ が得られる。  奇数階数で階数分解s = s1 × · · · × s j の部分骨格si に 対して、eG(si) からe F(si) への割り当てRsi が構成され た場合も、FとGを入れ替えて先ほどの場合とまった く同じ議論をすれば団体e F(s) からeG(s) への団体Rs が 得られる。  以上で主定理を証明の準備が終わった。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日50 / 63
  • 51. 目次 . 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 . 2 目印がある場合への帰着 . 3 骨格の導入と基本補題 . 4 詰材の概念と同値類の評価 . 5 団体の結成定理と割り当ての構成 . 6 主定理の証明と参考文献 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日51 / 63
  • 52. 目次 . 1 ベルヌーイ系の導入と主定理 . 2 目印がある場合への帰着 . 3 骨格の導入と基本補題 . 4 詰材の概念と同値類の評価 . 5 団体の結成定理と割り当ての構成 . 6 主定理の証明と参考文献 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日52 / 63
  • 53. 主定理1.1 の証明(その1) . .Proof.  目印Mを共有するエントロピーの等しいベルヌーイ 系(AZ,B, pZ, T), (BZ, C, qZ, T) を考える。  可測写像Φ : AZ → BZ を次で構成していく。  Φ(x) の第t 座標はx の第t 座標が目印Mに当たると きは、xt と同じものと定義する。  それ以外の場合は零集合を除いて、補題3.4 のx と Nr( 固定) によって第t 座標を被覆する骨格sr(x) が存 在するので、次のような集合上で零集合を除いてΦ(x) の第t 座標を定義すればよい。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日53 / 63
  • 54. 主定理1.1 の証明(その2) . . X′ := {x ∈ AZ : sr(x) = sr ∀r = 1}  補題4.2(a) の不等式を偶数階数の骨格 sr = s1 × · · · × sn の階数分解の各部分骨格に適用して 次の式を得Σ る。   1 = [G] q0([G]) = #(eG(si))2−g′(1−ϵr−1)l(sr)  #( ¯G (sr)) = Πn i=1 #(eG(sr)) 5 2g′(1−ϵr−1)l(sr) (α)  この不等式と割り当てを用いて次の集合の確率を計 算する。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日54 / 63
  • 55. 主定理1.1 の証明(その3) .   M:= {F∈ F(sr) :∃! ¯G . ∈ ¯G (sr) s.t F ∈ Rsr(¯G )}  各F ∈ F(sr) はR∗ sr が団体なので、必ず少なくとも 一つはこのような¯G が存在する。したがって、その補 集合の確率は補題4.2(b) と補題5.3(2) を用いて次のよ うに評価できる。    Σ{p(F)|∃ ¯G1 , ¯G 2 s.t F ∈ Rsr( ¯G i) (i = 1, 2)} η2−g(1−ϵr)l(sr)#( ¯G 5 δr + 1 (sr)) 5 (α) η2(g′(1−ϵr−1)−g(1−ϵr))l(sr) δr + 1 5 g=g′ η2−g(ϵr−1−ϵr)l(sr) → 0 (r → ∞) δr + 1 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日55 / 63
  • 56. 主定理1.1 の証明(その4) .  したがって、x ∈ X′ に対してFr(x) ∈ F(sr) をx で定 まる詰物とすると、殆どすべてのx ∈ X′ に少なくとも 一つ偶数r があってFr(x) はただ一つの同値類 ¯G . ′(x) のeG(sr−1) の成分を ′(x) ∈ ¯G (sr) の像になる。¯G ¯G (x) と書くことにする。  今G¯(′) := {G¯(′)(x)|x ∈ X′} とし{t J(¯G (x))|∃ ! ¯G (x)} の条件付確率を評価しよう。  AZ の各成分を返す確率変数が独立同分布であるこ とから、添字集合I(sr−1) 上の決められた位置に第t 座 標が現れる確率が1/l(sr−1) である。  したがって、補題4.2(c) における大きさδr 以下の集 合Δr を用いて次のように評価できる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日56 / 63
  • 57. 主定理1.1 の証明(その5) .        pZ({t J(¯G . (x))|∃ ! ¯G(x)})   5 pZ(¯G (x) ∈ Δr−1|∃ ! ¯G (x)})+      pZ(¯G (x) Δr−1, t J(¯G (x))|∃ ! ¯G (x)})   5 δr−1/p0(M) + 4g′ | log θ′|p0(M)ϵr  ここで、骨格だけではなくそれが現れる座標の位置 も込めて考えていることに注意したい。上の式の右辺 はr を大きくすることで0 に収束することがわかり、 次の結論が従う。  殆ど全てのx ∈ X′ は最低一つの偶数r について、 Fr(x) に唯一の¯G ′(x) がありFr(x) ∈ Rsr(¯G ′(x)) を満た し、第t 座標はJ(¯G (x)) に現れる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日57 / 63
  • 58. 主定理1.1 の証明(その6) .  この時に ¯G . (x) の第t 座標をΦ(x)t とすれば、これは ¯G (x) の同値類の取り方によらない。  ここで、Φ(x)t がr によらないことを見る。  r1 r2 としてFr1(x) のsr2 の部分はFr2(x) と一致し ており、次の事実が成り立つ。 R 5 S −→ R∗ 5 S∗,Φ ◦ R 5 Φ ◦ S, R ◦ Ψ 5 S ◦ Ψ  R1 5 S1, R2 5 S2 −→ R1 × R2 5 S1 × S2  ここで、上述の記号はすべて団体を指す。  したがって、写像を追うことにより¯G r1(x) のsr2 の部 分はGr2(x) と一致して、第t 座標も一致することがわ かる。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日58 / 63
  • 59. 主定理1.1 の証明(その7) .  よって、Φ(x) := {Φ(x)t} と定義すればΦ(x) の有限 区間の情報はx の有限区間のそれで決まるので殆どい たるところ連続で特に可測である。  Ψ : BZ → AZ を奇数階数の骨格を用いて同様に定 義すると、各成分の階数r の非依存性を証明したとき と同様の方法で、Ψが殆ど連続かつ可測でΦの逆写像 であることが確認できる。  シフト写像と可換になることはΦ,Ψが詰物だけで 決まっており、これが現れる位置に依存していないこ とから明らかである。 . れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日59 / 63
  • 60. 主定理1.1 の証明(その8) .  最後にチェックするのは測度を保っているかどうか であるが、骨格の取り方は高々可算であるので、これ を固定して考えることができる。  筒状集合L := {x ∈ BZ|xi = ai(−n 5 i 5 n)} と Φ . −1 r (L) := {y ∈ Φ −1(L)|¯G r(y)i = ai(−n 5 i 5 n)} につ −1 r (L) = Φ いて、∪rΦ −1(L) が成り立ち、全単射性から L = ∪r{x ∈ BZ|∃y ∈ AZ : xi = ¯G r(y)i} より、各r ごと に詰め物の測度を比較すればよい。  p0(Fr(y)) 5 q0(R∗ sr (Fr(y))) = q0(¯G r(y)) より対称性か ら両者を足し合わせて等式を得、補題4.2 の主張の証 明で使った等式を用いてpZ, qZ の等式に書き換えれば よい。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日60 / 63
  • 61. 参考文献(その1) M. Keane and M. Smorodinsky, Bernoulli schemes of the same entropy are finitarily isomorphic, Ann. of Math. (2) 109 (1979), 397―406. M. Keane and M. Smorodinsky, A class of finitary codes, Israel Journal of Math. 26 (1977), 352― 371. P. Walters, An Introduction to Ergodic Theory, Graduate Texts in Math., vol. 79, Springer-Verlag, New York, 1982. れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日61 / 63
  • 62. 参考文献(その2) M. Smorodinsky, Entropy Theory, Entropy, Lecture Notes in Mathematics, No.214,Springer-Verlag (1971) D. Ornstein, Bernoulli shifts with the same entropy are isomorphic, Advances in Math. 4 (1970), 337-352. R. Bowen, Equilibrium States and the Ergodic Theory of Anosov Diffeomorphisms, 2nd-ed, Lecture Notes in Mathematics, No. 470, Springer-Verlag, 2008. れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日62 / 63
  • 63. 生きねば。 ありがとうございました。 れんま(n%)(徳富 蘇峰)() Ornstein の同型定理について2014 年9 月14 日63 / 63