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「電子ジャーナル」以降 つまり今と近未来の学術情報流通
- 2. 6/17/18 1/19
背景: 私はなぜここにいるのか。多分、
• 1998 年に千葉大学附属図書館長になった(2002 までと
2004-2006)
• Academic Press 講読コンソーシアム ⇒ 1999 年 1 月国
大図協関東・東京地区シンポ
• Elsevier の ScienceDirect の販売は1998 年から
• 2000 年からコンソーシアム交渉(E, S, W, N, O, etc)
• 2002 年から国立大学と各社がコンソーシアム交渉に基
づく契約に以降
• 2004 年からと2007 年からと細目:図書館情報学で科学
研究費補助金(基盤B)
▶ 利用者調査
▶ ILL ログ分析ほか
• (2011 年に JUSTICE(大学図書館コンソーシアム連合)
結成)
- 8. なので、まず紹介
• 2018 年8 月刊だけど、も
う出ている
• ユタ大学図書館の人であ
ると同時にSociety of
Scholarly Publishing 会長
諸定義と歴史/ 学者とコ
ミュニケーション/ 学術
情報流通市場の状況/ 学
術出版とその状況/ 著作
権/ 大学図書館/ 大学出版
会/GoogleBooks と
HathiTrust/STEM と
HSS/指標とAltmetrics/
メタデータ/ オープンア
クセス/ 問題と論争/ 将来
6/17/18 7/19
- 14. 6/17/18 13/19
オープンアクセスから「オープンサイエンス」へ
• 所詮は、短命Buzzword
• ただし、前提としてさまざまな「オープン」
▶ オープンソース(1970 年代以降)
▶ オープンビアレビュー(1980 年代以降。とくに
Behavioral and Brain Sciences(1978–))
▶ オープンアクセス(1990 年代以降。とくに、
2002BOAI 以降。しかし後述のように錯綜)
▶ オープンデータ(もともとOGD/FOI のはずが、い
つの間にか科学研究データ共有の話になっている
ことが象徴的)
▶ オープンサイエンス(すなわち、「シティズン・サ
イエンス」= パズル解きとデータ収集)
• なので結局、論文へのオープンアクセスの問題だけが
残る
- 15. 6/17/18 14/19
オープンアクセス
1 BOAI(2002) によれば、著者によるオープンアクセスアーカ
イブへの搭載による実現 (Green OA) と利用者に対価を求め
ない著者等の資金提供による雑誌による実現 (Gold OA)。前
者は効率が悪く無理であることがすでにわかっている。後
者は 20% 以上の論文を刊行しているが、それ以上について
は不明
2 (オンラインでしか可能ではない)「メガジャーナル」の登場
(PLOS ONE、Scientific Reports) ⇒ (「軽い」査読によって)
質の問題へ
3 既存出版者の参入 ⇒ 商業化可能が立証され、もはや学術情
報流通の景色からは消えないだろう ⇒ たとえば南北問題
4 Gold OA からは、predatory journal の問題 ⇒ 質の問題へ
5 オープンアクセスと「共有」⇒ ResearchGate/Academia.edu
とどうするか (SciHub は別にしても)
6 しかし、いずれにせよ、昔にはもどれないし、経費は誰か負
担しなればならない
- 16. 6/17/18 15/19
査読または「質の保証」
1 電子化、オンライン化によって、雑誌出版のサービスの本質
が「査読 (管理)」にあることが浮き彫りになった (印刷 は消
滅。頒布は、Print& Distribute ⇒ Distribut & (Print)。科学
的知識の継承のための保存は、図書館から出版者へ (Portico
等で解決)。利用は、各自で。)
2 「査読」をしない「出版」がペイするようになった。
▷善玉: プレプリントサーバ(arXiv 等) とか、オープンピ
アレビューとかポスト出版レビュー
▷悪玉: Predatory journals(たとえば、2010 年アラバマ州
立大学乱射事件。しかし、安価に公開というオープン
アクセスの精神を体現とも
3 限界費用の逓減によって、「メガジャーナル」が可能となっ た
⇒ 2 種類の査読 (「最低の科学的基準を満たしているか」
「(出版に能いする) 学術的価値があるか」)
4 研究不正の透明化 (?) によって、出版されても撤回 (retract)
できることが判明 (これは、印刷だと難しい。Erratum 追加
が精一杯) ⇒ 世界記録は日本にある
5 しかし、そもそももう量的に維持できないかもしれない ⇒
- 18. 6/17/18 17/19
雇用
1 学者・科学者・研究者の行動規範の根底は、(快楽主義
的な) 金銭的利得ではなく、(人類の知識への貢献の度
合いに基づく) 名誉であるという信念
2 しかし、収入がなければ生活できないし、現代におい
て収入源はもっぱら雇用である
3 雇用はもっぱら高等教育機関(HEI) による。(HEI は、
教育 (と病院) が主な雇用の財源であるが)「研究業績」
によって採否、昇格(給与) を決める。現代の雇用(と
くに公的機関であれば) では「公平性、透明性」が求め
られるので、客観的に見える「研究業績」が大きな役
割を果たす(昨今の日曜日ドラマにおいて然り ⇒ 「数
字の独り歩き」)。
4 その意味で学会誌掲載実績はおためごかし(同じ分野、
同じ学科) で一般社会への透明性はない?
5 雇用と雑誌の関係を断ち切れば健全化はするが、健全
化したら (雇用の世界で) どんな腐敗が待っているかは
誰も予想できない
- 20. 避。しかし、講読モデルもオープンアクセスモデルも6/17/18 19/19
「南北」問題
1 論文の総量は増えている (出版者は、値上げの原因を
それに帰着させて説明するが、投稿の総量は測定でき
ていないとはいえ、やはり、、、)
2 オンライン誌の講読モデルでは、先進国支払いが十分
だったので、途上国研究機関の支払いなしにして出版
を維持してきた(結果として、WHO の HINARI プロ
ジェクト等)
3 しかし、今後は現途上国からの投稿の増大は不可避な
ので、先進国支払いでもたせることができるかどうか
は不明。
4 オープンアクセスモデルでは、途上国機関にそもそも
払えるかが不明 (Predatory journal の勝機?)「途上国は
これから経済発展するから払えるようになるさ」(出版
者談 (2016)
5 「科学技術立国」モデルは以前支配的。「大学」におけ
る人材養成とセットであることも一般的。途上国の大
学、大学生は急増期⇒ 途上国からの論文増加は不可