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学習者コーパス研究の知見に基づいた中高生作文データベースの構築

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石井雄隆・福田純也・天野修一・今尾康裕・亘理陽一(2017)「学習者コーパス研究の知見に基づいた中高生作文データベースの構築」全国英語教育学会第43回島根研究大会.

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学習者コーパス研究の知見に基づいた中高生作文データベースの構築

  1. 1. 学習者コーパス研究の知見に基づいた 中高生作文データベースの構築 石井雄隆(早稲田大学)・福田純也(静岡大学)・ 天野修一(静岡大学)・今尾康裕(大阪大学)・ 亘理陽一(静岡大学) 全国英語教育学会第43回島根研究大会 於:島根大学 yutakaishii@aoni.waseda.jp
  2. 2. はじめに • 文部科学省委託事業「中学校・高等学校における英語教 育の抜本的改善のための指導方法等に関する実証研究」 • 教員用データベース構築プロジェクト – 技能統合型授業における学習者データを収集し,それらを データベースとして公開することを目的 – 学習者の筆記産出をテストのみでなく,授業内の課題など,異 なる学習環境での産出データを含んでいる点が大きな特徴 – 授業の特徴(教員,使用教材,教具等)と学習者データ(情意 面や学習態度,CEFR到達度など)を紐づけることで,より詳細 な分析が可能 • 事業の概要,データベース構築の詳細と,教員志望学生 のコーパス活用に関するニーズ分析などを踏まえたデー タベースのデザインを中心に報告
  3. 3. 背景 • 中・高等学校教員養成課程外国語(英語)コア・ カリキュラム – 技能統合活動の指導と評価 – 教材研究・ICT等の活用 • 大学入試新テストにおける英語民間検定の活用 – 英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)を総合的に測定 – 書くこと、話すことのパフォーマンス能力の測定と評 価の必要性
  4. 4. 中・高等学校教員養成課程 外国語(英語)コア・カリキュラム 構造図
  5. 5. 事業の概要 • 文部科学省から静岡大学・信州大学・兵庫教育 大学が委託を受けている。 • 静岡大学 – 公立高等学校を中心とし,学年単位で1年生から3 年生までの変化を縦断的に調査(学年追跡型) – 学校単位で全学年を横断的に調べる(学校改善型) – 教員個人を抽出してデータ収集・指導方法改善(個 別支援型) • 中学校は静岡大学附属の3中学校を拠点校とし, 本事業3年目以降に拠点高校近隣地域の公立 中学校へと順次拡大していく。
  6. 6. 事業の概要
  7. 7. 事業の目的 • 教員の授業改善 • 生徒の意識および学力調査 • 学習環境整備とICT教材活用促進 • 自律的学習者育成教材・指導法開発 • コーパスを含むデータベース構築 • データベースを用いたパフォーマンス評価能 力向上のための現職教員向け研修や教材作 成
  8. 8. 平成28年度「中学校・高等学校における英語教育の 抜本的改善のための指導方法等に関する実証研究」 事業計画概要(静岡大学)
  9. 9. データベース構築 • 学習者コーパスには研究目的と教育目的のもの が存在 • 既存のコーパスは研究目的に特化したものが多 く,教育目的を想定したコーパス(teaching oriented corpora)として公開されているものはあ まり存在しない。 – The BACKBONE corporaは,国際共通語としての英語 を話す話者のビデオインタビューコーパスであり,言 語的特徴や習熟度などが付与されており,教師が教 育実践において参照しやすいデザインとなっている。
  10. 10. データベース構築 • コーパス言語学の知見を教師教育にも反映 させるような試みも近年行われている (Ebrahimi & Faghih, 2017)。 • 生徒の資質・能力を高める指導のために,教 材研究・ICT等の活用について言及されており, コーパスを活用した英語教育の重要性はま すます重視されつつある。
  11. 11. コーパスのメリット • 第二言語学習者の語彙的・文脈的気づきを 促進する (Tribble, 2002) • 自律的学習を促し、批判的思考能力を養う (Kirk, 2002) • 翻訳や学際的な言語研究を促進する (Boulton, 2011; 2012).
  12. 12. コーパスのデメリット • 大量の例文を観察することは時間がかかり、学 習者を挫折させるかもしれない (Granger & Tribble, 1998). • 全ての学習者がコンコーダンスラインから情報を 帰納的に学ぶわけではない (Gabel, 2001) • コンコーダンスツールは、使い方が複雑であり、 学習者が解釈あるいは一般化しにくい形式でコ ンコーダンスの出力が示されることがある (Yoon & Hirvela, 2004)
  13. 13. データベース構築 • テスト形式の筆記産出(例えば年に1~2回に受 験するGTECのライティングデータ) • 授業の課題として従事した筆記産出を行った作 文 – 静岡県が各高校にCEFRに準拠した到達目標の記述, および具体的なパフォーマンス評価タスクの作成を 求めており,そのモデルとなるタスクを拠点校で実施 し,データに加える。 – 単に産出された言語的特徴から習熟度を求めたデー タだけではなく,特定の難度の課題を達成した学習 者がどのような言語使用を行っているのかを参照・分 析することが可能となる。
  14. 14. データベース構築 • 教員(授業の特徴)と学習者データ(情意面や 学習態度,CEFR到達度など)の情報も含んだ うえで筆記産出データと紐づけし,教育に有 用と思われる多面的な情報提供を可能とす る。 • 現時点では800名を超える学習者のデータを 収集しており,今後縦断的にデータを収集し 続ける予定である。
  15. 15. コーパスデザインについて 目標言語 タスク 学習者 モード データ採取 内的/認知的 [書き言葉 / 話し言葉] [横断的 / 縦断的] [年齢 / 学習スタイル] ジャンル 誘出 内的・情意的 [物語 / エッセイ / など] [自発的 / 準備あり] [動機付け / 態度] 文体 参考図書 母語背景 [叙事体 / 論説体] [辞書 / 原文 / など] [日本語 / 中国語 / など] トピック 時間制限 L2学習環境 [一般 / 娯楽 / など] [あり / なし / 宿題] [ESL/EFL] [学校レベル] L2習熟度 [標準テスト得点] (投野・金子・杉浦・和泉 , 2013, p. 6) 15
  16. 16. 本研究 • JEFLLコーパスやSCoREなどの既存のコンコー ダンサー用いたニーズ分析 • 事後インタビュー • データベース開発の予備的検討
  17. 17. 調査の概要 • 教員養成課程でコーパス利用についても学 んだ4名のディスカッション • コーパスに関するミニレクチャー+ディスカッ ション • 教育的にコーパス利用を行うときに,どのよう な機能をもったインターフェースを望むかにつ いて
  18. 18. ミニレクチャーの概要 • 本事業のコーパスの特徴 • 既存のコーパスの教育的利用の紹介 – DDL – 語彙・表現リストの抽出等 – 教育用例文コーパスSCoREやJEFLLの紹介
  19. 19. コーパスと教育的応用 領域 具体例 直接利用 教室内利用:DDL 教員研修 間接利用 資料:学習語彙表 教材:辞書,文法書,教科書 シラバス・カリキュラム 言語テスト CALLシステム 教育用コーパス作成 学習者コーパス ESP/EAPコーパス 難易度調整済みコーパス
  20. 20. コーパスと教育的応用例 • 教育用例文コーパスSCoRE – http://www.antlabsolutions.com/webscore/
  21. 21. コーパスと教育的応用例 • DDL教材バンク – http://www.score-corpus.org/
  22. 22. 従来の学習者コーパス • 学習者の属性情報として「習熟度」がついて いる – 「このぐらいの習熟度の人はこういう産出ができ る」ということがわかる – 「このぐらい書ける/話せるとこれくらいにレイ ティングされる」もわかる – でも「この課題を達成できた人はこういう産出をし ている」というのはない<-言語教育という観点からはとて も重要
  23. 23. 従来の学習者コーパス 「好ましいもの」としての環境統制 • ジャンル・トピック • タスク条件 – 準備時間の有無・制限 – 時間制限の有無 • 学習者の個人内要因 – 年齢 – 母語 – EFL/ESL
  24. 24. 統制された学習者コーパスの欠点 生態学的妥当性 • 実験結果を,測定状況や環境的要因に関し て一般化できる程度 • 用途が最大公約数的なものに限られる 「ドイツ・フランス・イタリア人大学生英語学習者 300人が,辞書なし制限時間1時間(準備時間 なし)で『死刑制度に賛成か反対か』というトピッ クで書いた英作文コーパス」
  25. 25. インタビューの結果 • 誤りを検索したい – どのような間違いなのかを示したタグ(コロケーションのエラー) • 電子ポートフォリオのように,個人ごとに産出を詳しく見たい – 個々の産出データに対してテキスト情報(語彙,n-gramの頻度や異なり語数 など)を自動的に返すような機能 • テーマ/ジャンルなどごとにサブコーパスを作ってほしい • 懇切丁寧に使い方を示したマニュアルが欲しい – 「やりたいこと」ごとにリスト化されたもの – Dos and don'ts集が欲しい(何かデータが返されても解釈が難しい誤った解釈 をしてしまうため) – 例えばゲームのチュートリアルのような動画とか • 文法や語彙以外のデリバリーの情報の評価が欲しい – 抑揚やattitudeなど • 教科書と連携させて情報を示す(教科書で使用されていた語彙のどれを 用いていたか/用いていなかったか)
  26. 26. 言語的特徴やシステムに含むべき情報 • 学習者の誤り • 語用論的情報 – いずれも実用的な価値は高いが、アノテーション の信頼性の担保などの問題は存在。 • 教科書との連携 • テキストのテーマ・ジャンルの情報 • 電子ポートフォリオ的要素
  27. 27. データベースの設計と(検索システム などを含めた)その公開方法 • ShinyConc (Christoph & Bridgit, 2017) • FileMaker • 今回の調査を踏まえ、より適したプラット フォームを選択し、実装予定 • 調査でニーズがあったマニュアルの作成
  28. 28. データベースの教育・学習・評価 への示唆 • 教育 – 教師の教材開発や学習者の習熟度の把握 • 学習 – 学習者が自身の学習を振り返り、到達度を把握 するためのツール • 評価 – 教員研修などにおけるパフォーマンス評価能力 向上のための現職教員向け研修や教材作成
  29. 29. 主要参考文献 • 赤野一郎・堀正広・投野由紀夫 (2014). 『英語教師のためのコーパス活 用ガイド』東京: 大修館書店. • 投野由紀夫・金子朝子・杉浦正利・和泉絵美 (2013). 『英語学習者コーパ ス活用ハンドブック』東京: 大修館書店. • 東京学芸大学 (2017). 『文部科学省委託事業「英語教員の英語力・指導 力強化のための調査研究事業」平成28年度報告書』. • Braun, S. (2005). From pedagogically relevant corpora to authentic language learning contents. ReCALL, 17(1), 47-64. • Christoph, W., & Bridgit, F. (2017). ShinyConc. http://shinyconc.de/index.html • Ebrahimi, A., & Faghih, E. (2017). Integrating corpus linguistics into online language teacher education programs. ReCALL, 29(1), 1-16. • Tono, Y. (2003). Learner corpora: Design, development and applications. In D. Archer, P. Rayson, A. Wilson, & T. McEnery (Eds.), Proceedings of the Corpus Linguistics 2003 conference (pp. 800–809). Retrieved from http://ucrel.lancs.ac.uk/publications/cl2003/
  30. 30. 謝辞 • 本研究は、文部科学省委託事業「中学校・高 等学校における英語教育の抜本的改善のた めの指導方法等に関する実証研究」の助成 を受けたものです。

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