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1. デジタル教科書で実現する
授業のユニバーサルデザイン化
みんなのデジタル教科書教育研究会
デジ教研meeting03 in 名古屋 2011/02/19
埼玉県立坂戸西高等学校
井上 芳郎
yox@box.email.ne.jp

2. 問題の所在
視覚障害や発達障害、上肢麻痺等の理由で、
紙教科書へのアクセスが困難（＊）な児童生徒
（義務教育段階）が少なくとも数十万人規模で
存在する。
特別支援教育の本格始動により、今後はイン
クルーシブ教育の推進が求められる。
インクルーシブ教育確保のためには、授業のユ
ニバーサルデザイン（ＵＤ）化が必要。
授業のＵＤ化のための必須ツールとして、アク
セシブルなデジタル教科書が求められている。
＊ しばしば Print Disabilities と呼ばれる。

3. 文部科学省 教育の情報化に関する手引き
2010/10/29

4. 文部科学省 教育の情報化に関する手引き
2010/10/29
読字の支援としては，コンピュータでの使用
を想定して製作された教科書の録音教材が
ある。機能としては，文章を音声朗読してい
るところが自動的に反転表示されるため，読
み手は視覚的にわかりやすい。反転表示は，
一文ごとや文節ごとなどの設定ができる。ま
た，朗読箇所に対応して挿絵や写真を表示
することができるため，言葉のイメージをつ
かみやすいという特徴がある。

5. デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用
の推進に関する懇談会 報告 2010/06/28
電子出版とアクセシビリティ
我が国では、点字図書館、国立国会図書館、一部の公共
図書館、ボランティアグループなどでＤＡＩＳＹ録音図書
（Digital Accessible Information SYstem）が制作されてきた。
今後は、音声と文字、動画等を同期をとって扱うＳＭＩＬ
（Synchronized Multimedia Integration Language）形式によ
り、読字障がい等の発達障がい児の情報利用を始め、子
どもの読書、教育への活用の拡大が期待される。
また、政府にあっては、２１世紀にふさわしい学校教育を
実現できる環境整備のため、デジタル教科書・教材の普及
促進に向け、必要な取組を計画的に実施することが求め
られる。

6. ディスレクシアとマルチメデイアDAISY
～すべての子が適切な教育を受けられるために～
（財）日本障害者リハビリテーション協会
YouTube で公開 約４分
http://www.youtube.com/watch?v=4In_Ql-CP4o

7. 発達障害等に対応した教材等の在り方に関する調査
研究事業 報告（中間） 文科省委託事業 2010/03
（財）日本障害者リハビリテーション協会
 電子教科書の機能として、①アクセシビリティ、②ナビゲーション、
③注意喚起と集中の持続、の３カテゴリーで機能仕様を検討。
 日本語固有のルビと縦書き対応のファイルフォーマットとして、
DAISY 2.02規格をベースに拡張した独自仕様を採用。再生には
無償のAMIS 2.6およびAMIS 3.1の日本語対応版を用いた。
 すでにDAISYで指導している教員等に対しアンケート実施。音読
スキル向上、読み負担軽減により自信が持てたこと、授業への
参加意欲や内容理解の向上など教育的効果が示唆された。
 LD・ディスレクシア等の疑いがある児童在籍の通常学級におい
て、当該児童に配慮した一斉授業の在り方の予備的研究を行い、
次年度に支援を必要とする児童が気軽に教室の中で電子教科
書を使用できる環境をつくるための知見が得られた。

9. フリーウェアのDAISYリーダーであるAMISは下記から入手可。

10. iPhone/iPod touch/iPad用のマルチメディアDAISYリーダー

11. 一定の条件を満たせば、DAISY教科書をダウンロードできる。
2008年施行「教科書バリフリ法」2010年施行「改正著作権法」により実現。

12. 「DAISYとEPUBは読書のユニバーサルデザインをどう実現するのか」河村宏 DAISYコンソーシアム会長

13. 資料提供 河村宏 DAISYコンソーシアム会長

16. 米国でのアクセシブルなデジタル図書（DAISYなど）の提供例

17. サピエ図書館ではＤＡＩＳＹデータ点字データのネット配信をしている
2010年1月1日施行の「改正著作権法」により実現

18. BRC 読みに困難がある人の読書に
関するアンケート調査
• 期間 2008年10月～ • 回答者の年齢分布
2009年3月末
• 回答総数 144件
• 男女比はほぼ 7：3
女
31. 5%
男
68. 5%
BRC;バリアフリー リソース センター

19. 読みの困難そ
のものの診断
を受けている
人は10％に満
たない。
↓

22. ボランティア
学校図書館での学習支援 支援員・ＩCＴ支援員
利用者（児童生徒・教職員） 司書教諭・学校司書
メディア
アクセシブルなメディア
図書（読み物・小説・マンガ・図鑑・事典・辞書）
デイジー教科書
新聞・雑誌
デイジー図書等
CDやDVDなど音楽や映像の視聴覚メディア
字幕・手話等付DVD等
CD-ROMなどのパッケージ系電子メディア
（テキストデータ、画像、音声データなどを含む）
インターネットのようなネットワーク系メディア その他
視聴覚情報
学習・情報センター 読書センター 提供施設
子どもたちが主体的に情報に 子どもたちの発達段階と読書 サピエ図書館
アクセスして調べられる環境 興味に適した豊富なメディア 公共図書館
大学図書館
メディアを使った授業 読書への動機づけ、読書意
国会図書館
適切なメディアへの案内 欲を高める活動
市販品
学校図書館の役割 野口武悟（2010）を改変

24. まとめと今後の課題
 デジタル教科書や教育用デジタルコンテンツ提供で情報
保障やアクセシビリティを確保し、授業のＵＤ化をはかる
ことは、真のインクルーシブ教育実現のための必須条件。
 特に義務教育でのDAISYなどアクセシブルなデジタル教
科書の無償供与は、喫緊の解決すべき課題。
 限られた財源とマンパワーの有効活用には、教育用コン
テンツのデジタル化とネットワーク利用促進が必要。
 学校図書館の役割は今後重要になる。全ての学校図書
館への専任司書教諭、ＩＣＴ支援員などの配置が必要。
 高速光回線敷設や情報機器配備などのインフラ整備も
大切ではあるが、それだけでは進展しない。