今月の景気観も、昨年の同月比という1年間のスコープで捉えた。消費活動は、季節の天候やイベント要因に左右されるので、本来、景気ウオッチャー調査は、“3ヶ月前との比較で”訊いているのだが、ウオッチャーは、前年との比較で応えている人が多い。
前号では、前年に比べかなりネガティブな景気観であったが、今月(11月時点)では、逆に今年はポジティブに変わった。当月と昨年同月のウオッチャーデータをプールし、2時点の各地域・業種別の4種のウオッチャー属性と、景気動向判断、その理由文章、市場変動要因の3種の判断属性との、いわば総合的な多次元相関関係を“連環性”として情報圧縮し、4クラスタ化しその構成から要因間の関連性を分析している。
プールした2ヶ月分の1690名の内、“やや良い、良い”とポジテジブな判断をしたクラスタの60%以上が昨年の11月で、今年は40%に満たなかった。“変わらず”と中立的なクラスターも同様な比率で、逆にネガティブなクラスタは、逆な構成となっている。
地域的には今月の景気DIでみると、四国、九州、沖縄の南日本が50ポイントをわずかながら上回り“曇り”となったが、北関東、北陸、東海が45ポイントを下回り“小雨模様”となり、全国的には、47.1ポイントの“曇り”となっている。
業種としては、物販関係にくらべ、やはりサービス関係のポジションが良く、一般流通関係はその業態の中でもバラツキが大きい。物販では衣料、医薬品や家電などの腰が弱く、自動車や建築等の高額品が好転している。サービスでは、レストラン、美容、タクシー等が敏感で腰が弱く、通信、旅行や旅館等が好転している。
地域的には近畿、業種としては百貨店が多次元で相関したポジションを取っているが、これは、地域と業種の層別サンプリングの偏りに起因している。同様なことは自動車に関しては東海が多く東京が少ない等もあるので、地域・業種特性とサンプリング要因の効果が交絡しているので、解釈に注意が必要である。
この社会情報天気図の目的は、日本の経済動向を理解することと、イノベーションのための示唆を得ることである。最近、アンチ保護主義の観点から、比較優位論が注目されているが、この定理には、“需要が無限に存在する”という前提がある。なぜ消費が伸びないのか、そのバウンダリーコンデションは何か、という基本的な問いに応える必要がある。
(あとがき)英国のEU離脱と、USのトランプ現象で、世界に衝