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ルビの組版処理方法
― 熟語ルビを主に―
小 林   敏 著
iii
ま え が き
難しい漢字の読み方を示す場合や,外国の翻訳語(外来語)に仮名で読み・意
味を示す場合に,振り仮名(ルビ)をよく利用する.
しかし,このルビの付け方(どの語に付けるか)や,配置の方法(組版処理方
法)には多くの方法があり,これが唯一の正しい配置方法であると決定するの
はむつかしい.そうではあるが,やはり誤読されない,読みやすい,バランス
がとれている,という方法は考えられよう.
その方法は,ルビを付ける漢字 1 字の読みを示すのか,熟語の読みを示すの
か,また,その言葉を別の片仮名語で示すのが目的かなど,その目的に応じて
考えていく必要がある.縦組か横組かでも,ルビの配置方法は変わってくる.
また,ルビが付く語の前後に配置する文字種,あるいは,ルビが付いた語が行
中にあるのか,それとも行頭又は行末にあるのかによっても,ルビの配置方法
が変化するケースもあり,なかなかやっかいである.
活字組版では,ルビの配置についての一般的なルールを前提に,個々の箇所
で工夫してルビの配置を決めていた.問題があれば,校正段階で,個別の箇所
ごとにルビの配置位置を変更していた.DTP 等でも,ある程度のルールは決
めていても,個々の箇所でルビの入力方法を変える,あるいは配置のルールを
変更し,その場にあった配置にすることも行われている.このような処理方法
では,原則的なことを決めたルールでよく,ある程度あいまいさを含んでいて
もよいことになる.
しかし,コンピュータ組版を前提にした場合,自動処理が原則であり,ある
確定したルールでルビの配置を行い,原則として,個々の箇所での変更はしな
い,と考えた方がよい.そこで,各種のケースを考慮にいれ,どのようなルー
ルにすれば,より問題がでないようになるか,そのための細部の処理まで確定
しているルールが必要になる.
iv
ここでは,このような問題意識から,ルビはどのように配置したらよいの
か,機械的なルールとしては,どのようなルールが考えられるかを検討する.
なお,JIS X 4051(日本語文書の組版方法)でも,ルビの配置方法を規定して
いる.これらも参照しながら解説する.
第 1 章では,ルビの組版処理について,原則的な考え方を解説する.第 2 章
から第 4 章では,漢字 1 字の読みを示すのか,熟語の読みを示すのか,また,
その言葉を別の片仮名語で示すのが目的か,といった目的の違いによる配置処
理について,その組版処理方法を解説する.ここでは,1 つの考え方でなく,
複数の考え方や,その配置例を掲げる.第 5 章では,第 4 章までの配置処理
の解説を前提に,縦組・横組の両方を前提とした 1 つの配置処理案を示す.ま
た,第 6 章では,ルビとは異なるが,ルビと似た処理を一部に含む漢文の組版
処理について,特に一般の書籍の文中に挿入する漢文の組版処理について解説
する.
日本語組版に関心がある方の参考に少しでもなれば幸いである.
2012 年 10 月
小 林   敏
目  次
ま え が き
1  ルビの付け方と基本的な配置方法… ………………………    1
1.1  ル ビ と は… ………………………………………………………     1
1.2  ルビを付ける語の選定……………………………………………     2
1.3  ルビの基本的な配置方法… ……………………………………     4
2  モノルビの配置方法… ……………………………………………     8
2.1  肩ツキと中ツキ……………………………………………………     8
2.2  3 字以上のルビが付く場合の処理… …………………………  10
2.3  モノルビの行頭・行末の配置処理… …………………………  15
2.4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか… …………  18
2.5  横組のモノルビの配置処理… …………………………………  27
3  グループルビの配置方法…………………………………………  30
3.1  グループルビの配置処理の基本… ……………………………  30
3.2  字数の少ないグループルビの配置処理………………………  32
3.3  字数の多いグループルビの配置処理…………………………  37
3.4  グループルビの前後の文字等へのルビ掛け…………………  39
3.5  グループルビの行頭・行末の配置処理………………………  44
3.6  欧字を含むルビの配置処理… …………………………………  46
4  熟語ルビの配置方法… ……………………………………………  50
4.1  熟語ルビの配置処理の基本… …………………………………  50
4.2  JIS X 4051 の熟語ルビの配置処理……………………………  52
4.3  後ろへのはみ出しを優先する熟語ルビの配置処理… ……  57
4.4  文字列の中心を揃える熟語ルビの配置処理…………………  69
5  ルビの配置処理の 1 つの案… …………………………………100
5.1  ルビの配置処理の 1 つの案の前提……………………………100
5.2  縦組・横組共通のルビの配置処理案…………………………101
5.3  縦組・横組共通のルビの配置処理案の例……………………105
6  漢文の配置処理………………………………………………………130
6.1  漢文を構成する要素………………………………………………130
6.2  漢文ベタ組の配置処理……………………………………………135
1  ルビの付け方と基本的な配置方法
1. 1  ル ビ と は
漢字に読み仮名を付ける
漢字の読み方を示す(読み仮名を付ける)には,次のような方法がある.
1) 漢字の後ろの括弧内に,その読み方を示す.
例 模索(もさく) 模索(もさく)
この場合,前者の例のように,漢字と同じ文字サイズにする方法と,後者の
例のように括弧内の文字サイズを 1 段階小さくする方法とがある.
2) 漢字の後ろの括弧内に,2 行に割書きにして,その読み方を示す.この
方法は割
わり
ルビと呼ばれている.行間の狭い辞書などに使用例がある.
例 模索(もさ
く )
3) 漢字の傍らにルビ(振り仮名)として示す.
例 模
も
索
さく
ル ビ と は
ルビ)
とは,振り仮名のことである.ルビという名称は,かつてわが国の印刷界でルビ
に用いていた七号活字)
に相当する欧文活字の大きさの名称として“ルビー”が用いられ
ていたことによる.一般に,次に示す例のように漢字の読み方を示す場合は,ルビ文字
に“ひらがな”を用い,外国の翻訳語(外来語)に仮名で読み・意味を示す場合は,ルビ
) 日本語文書の組版方法を規定した JIS(日本工業規格)に JIS X 4051(日本語文書の組版方法)が
ある.これでは,ルビのことを“文字のそばにつけて文字の読み方,意味などを示す小さな文字”
と定義している.
) かつてわが国の印刷界では本文活字に主として五号(10.5 ポ相当)を使っていた.その本文の振
り仮名としては七号活字(5.25 ポ相当)を使用していたが,この七号活字が欧文活字の古い名称の
一つであったルビー(ruby,5.5 ポ相当)にほぼ該当する大きさであったので,ルビと代称し,やが
ては振り仮名のことを意味するまでになってきた.
1  ルビの付け方と基本的な配置方法
文字に“カタカナ”を用いる.
 例 漢
かん
字
じ
 規
ル ー ル
則
なお,ルビ(ルビ文字)の付く対象の文字(本文の文字)を親
おや
文
も
字
じ
という.下記の“組
くみ
方
かた
”
の例で“組方”という文字が親文字であり,“くみかた”という文字がルビ文字である.
例 組
くみ
方
かた
また,“ル
ruby
ビ”のようにルビ文字が欧字の例や,“r
ル ビ
uby”のように親文字が欧
字の例もある)
.
1.2  ルビを付ける語の選定
ルビを付ける語の選定方法
ルビを付ける語の選定方法には,次の 2 つの方法がある.
総ルビ 出てくる漢字の全部にルビを付ける方法である.児童書などで行わ
れている方法である.
パラルビ 出てくる全部の漢字ではなく,一部の漢字にのみ付ける方法であ
る.一般書では,この方法がよく採用されている.
パラルビの場合,選定したルビを付けるとした語句すべてに付ける場合と,
初出に限り付ける方法とがある.
初出に限り付ける方法では,その本全体を通しての初出,章ごとの初出,見
開きページ単位での初出など,いくつかの方法がある.
ルビを付ける語句の選定
ルビを付ける語句の選定は,読者対象,出版物の性格などを考えて一定の基
準をたて,難易にむらがないように付ける.
なお,ルビは語単位に付けることを原則とし,熟語のうちの 1 字だけ,又は
) 平仮名(又は片仮名)の語句に対し,ルビを付ける位置に漢字を付ける方法がある.振り漢字と呼
ばれている.ルビの文字サイズは,一般に親文字の 1/2 とするが,振り漢字の場合は,1/2 では小
さい場合が多く,親文字を 9 ポイントとすると,振り漢字は 6 ポイントくらいにしている.
1. 2  ルビを付ける語の選定	
一部だけに付けるやり方は,特殊な場合を除いてなるべく避ける.
例 編纂
さん
→編
へん
纂
さん
 遷
せん
移→遷
せん
移
い
ただし,熟語のうち,数字)
や接尾辞,普通名詞などにはルビを省く場合が
ある.
例 醍
だい
醐
ご
天皇 堀
ほり
川
かわ
君 信
しな
濃
の
川 鳥
とり
部
べ
山 物
もの
語
がたり
風 英
イ ギ リ ス
吉利語 田
た
原
わら
町
  加
か
茂
も
神社 一文
もん
字
じ
 百五十石
こく
ルビの文字使い
原則として,本文が平仮名で書かれた文章の場合はルビも平仮名を,本文が
片仮名の場合はルビも片仮名を使用する.前述したように外国の翻訳語にルビ
を付ける場合は片仮名を使用するのが普通である.
仮名遣いも本文の仮名遣いに従う.繰り返し符号も本文の用例に従う)
.
ルビのなかに出てくる拗音・促音等は児童物など特殊な場合を除き,なるべ
く小さな字面の文字(小書きの仮名)を使用しないで,直音と同じにして組む.
拗音・促音は,本文では小書きの仮名を使用している.これに対して,ルビで
は文字が非常に小さくなるので,判読の区別がつかないことから,拗音・促音
も普通の仮名文字と同じ大きさで組んでおり,活字では,小さな字面(小書きの
仮名)のルビ文字がそもそも準備されていなかった.もともとルビは小さな文
字であり,あまり読みやすいものではないので,特に小さくして拗音・促音を
示す必要がある場合を除いて,小さな字面の拗音・促音は使用しないほうが望
ましい.
例 刷
さつ
版
ぱん
  背
せひよう
標  検
ア ジ エ ン ダ
討課題
ただし,コンピュータ組版では,拗音・促音を小さな字面にして処理するこ
とが可能であり,最近は,一般書においても,下記の例に示したように小書き
) 純粋に数を表すものには,ルビを付ける方針とルビを付けない方針とがある.しかし,後者の方
針のものでも,“一頭地を抜く”や“一息”の“一”のようなものや熟語・熟字中の数字にはルビを
付けるようにしたほうがよい.
) 編集上の見地から,本文が片仮名の場合にルビを平仮名にしたり,本文が旧仮名遣いでもルビは
新仮名遣いにしたり,ルビには繰り返し符号を用いない組方も行われている.
1  ルビの付け方と基本的な配置方法
にした拗音・促音等を使用した例が増えている.
例 刷
さっ
版
ぱん
  背
せひょう
標  検
ア ジ ェ ン ダ
討課題
1.3  ルビの基本的な配置方法
ルビは,縦組か横組かといった組方向,漢字の読みを示すのか,それとも片
仮名のルビのように語の意味を示すのか,といった点で配置方法に違いがでて
くる.ここでは,こうした細部の問題に入る前提として,ルビの配置方法の基
本的な事項を解説する.
ルビの配置位置
ルビは一般に,横組の場合は(下記の左側の例のように)親文字の上側,縦組
の場合は親文字の右側に配置する.
例 刷
すり
本
ほん
と折
おり
本
ほん
  刷
すり
本
ほん
と折
おり
本
ほん
    
なお,版面の先頭行にルビを付ける親文字がきた場合,縦組では版面の右側
に版面よりはみ出してルビを配置し,横組では版面の上側に版面よりはみ出し
図 1・1 版面の先頭行のルビの配置例
を
構 こ
う
成 せ
い
す
る
画 が
像 ぞ
う
に
階 か
い
ち
よ
う
調
の
な
い
原 げ
ん
稿 こ
う
と
連 れ
ん
続 ぞ
く
し
た
階 か
い
ち
よ
う
調
の
あ
る
原
稿
と
が
あ
ある,この画
が
像
ぞう
に階
かいちよう
調 
のない原
げん
稿
こう
と連
れん
続
ぞく
した
 階
かいちよう
調のある原稿とが
行頭
版面の先頭
ルビ
行末
版面の先頭
行頭 行末
矩形は基本版面で設定した文字位置を示す
1. 3  ルビの基本的な配置方法	
てルビを配置する(図 1・1 参照).ただし,行頭・行末にくる親文字にルビを付
ける場合は,版面よりはみ出して配置しない(その配置方法は後述する).
ルビの文字サイズ
ルビ文字は,原則として本文に使用する文字サイズの 2 分の 1 のものを用い
る.10 ポイント(以下ポと略す),9 ポ,8 ポ,7 ポの本文文字に応じて,それ
ぞれ 5 ポ,4.5 ポ,4 ポ,3.5 ポの大きさの文字にする.
例 10 ポ 破
は
天
てん
荒
こう
な現
リ ア リ ス ト
実主義者
    9 ポ 破
は
天
てん
荒
こう
な現
リ ア リ ス ト
実主義者
    8 ポ 破
は
天
てん
荒
こう
な現
リ ア リ ス ト
実主義者
    7 ポ 破
は
天
てん
荒
こう
な現
リ ア リ ス ト
実主義者
本文が 7 ポ(約 10 級)以下の場合)
には,ルビが小さくなってしまうので,
なるべくルビは付けないようにする.親文字の後ろにパーレン等でくくって読
みを付ける方法も考えられる.
見出し等の大きな文字(12 ポ(約 16 級)以上)にルビを付ける場合は,使用文
字の 2 分の 1(1/2)の大きさのルビを付けると,ルビが大きくみえすぎるので,
使用文字の 1/2 よりはやや小さくしたほうが体裁がよい.この場合は,本文
が肩ツキ形式(後述)でも中ツキ形式(後述)のほうが体裁がよい.次ページの図
1・2 に例を示す.
また,ルビ文字の行送り方向の幅は親文字の 1/2 であるが,字送り方向の字
幅を親文字の 1/3 としたルビ文字もある.三分ルビとよばれている.
以下,ここでは,ルビ文字の文字サイズは,親文字の文字サイズの 1/2 の場
合に限定して解説していく.また,ルビと親文字に欧字やアラビア数字を使用
する例は,以下の説明では当面は除外し,当面は親文字には漢字か仮名,ルビ
には仮名を使う場合に限定して解説する.
) 活字組版では,3.5 ポのルビ文字を準備している印刷所もあったが,準備していない場合があっ
た.この場合,7 ポの親文字に対し,ルビ文字を 4 ポにしていた例もあった.
  例 破
は
天
てん
荒
こう
な現
リ ア リ ス ト
実主義者 (親文字は 7 ポ,ルビ文字は 4 ポ)
1  ルビの付け方と基本的な配置方法
平仮名ルビと片仮名ルビ
平仮名ルビ 漢字の読み方を示す場合,一般に平仮名を用いる.平仮名ルビ
という.漢字の読みを示す平仮名ルビには,漢字 1 文字ごとの読みを示す場合
と 2 文字以上の漢字で構成される熟語の読みを示す場合がある.
漢字 1 文字ごとの読みを示す場合は,各親文字ごとにルビを対応させて配置
する(詳細な配置方法は後述).
例 天
てん
と地
ち
熟語の場合,熟語を構成する各漢字と読み方を示すルビをできるだけ対応さ
せて配置するが,熟語としてのまとまりを示すために熟語を単位としてルビを
付ける(詳細な配置方法は後述).
例 端
は
物
もの
  判
はん
型
がた
  背
せちよう
丁  入
にゆうこう
稿   入
にゆう
稿
こう
  入
にゆうこう
稿 
なお,熟語であっても,出版物の刊行目的から,漢字 1 文字ごとの読みを明
確に示すために,それぞれの漢字とルビとの対応を優先して配置する方法にす
る場合もある(詳細な配置方法は後述).
例 背
せ
丁
ちよう
  背
 せちよう
丁   入
にゆう
稿
こう
図 1・2 大きな親文字サイズにルビを付けた例(左側が 1/2 より小さい)
12ポ
 
破 は
天 て
ん
荒 こ
う
な
現 リ
ア
リ
ス
ト
実
主
義
者
14ポ
 
破 は
天 て
ん
荒 こ
う
な
現 リ
ア
リ
ス
ト
実
主
義
者
16ポ
 
破 は
天 て
ん
荒 こ
う
な
現 リ
ア
リ
ス
ト
実
主
義
者
12ポ
 
破 は
天 て
ん
荒 こ
う
な
現 リ
ア
リ
ス
ト
実
主
義
者
14ポ
 
破 は
天 て
ん
荒 こ
う
な
現 リ
ア
リ
ス
ト
実
主
義
者
16ポ
 
破 は
天 て
ん
荒 こ
う
な
現 リ
ア
リ
ス
ト
実
主
義
者
1. 3  ルビの基本的な配置方法	
また,熟語の中には,当て字や熟字訓など,おのおのの漢字にルビを割り当
てることができない場合がある.この場合は,対象の語全体に対して平均して
振り当てる(詳細な配置方法は後述).
例 田
い な か
舎  五
さ み だ れ
月雨
片仮名ルビ ルビには,その言葉の意味を外国語の片仮書きで示す場合があ
る.片仮名ルビという.片仮名ルビは 1 つの単語として対象の語に付くので
あるから,当て字や熟字訓など,おのおのの漢字にルビを割り当てることがで
きない場合と同様に対象の語全体に対して平均に振り当てる(詳細な配置方法
は後述).
例 影
ア セ ス メ ン ト
響評価   指
ガイドライン
針  
モノルビ・グループルビ・熟語ルビ
モノルビ コンピュータ組版では,対象の文字(親文字)に対して 1 文字ごと
にルビ文字を対応させていく方法をモノルビ(対字ルビ)という(詳細な配置方
法は後述).親文字が 1 文字の平仮名ルビや,熟語でも熟語を構成する各漢字
とルビとの対応を重視して付けるルビは,モノルビということになる.また,
片仮名ルビでも,親文字が 1 字の場合は,モノルビである.
グループルビ 当て字・熟字訓や片仮名ルビのように,複数文字の語(親文字
が 2 字以上)に対して全体に平均してルビを振り当てて配置する方法をグルー
プルビ(対語ルビ)という(詳細な配置方法は後述).
熟語ルビ 熟語としてのまとまりを重視して配置するルビは,熟語ルビ)
とい
う(詳細な配置方法は後述).熟語ルビは,熟語を構成する各漢字に付けるルビ
の字数が少ない場合は,モノルビで配置した場合と同じになる.しかし,ルビ
の字数が多い場合は,モノルビで配置した場合と必ずしも同じにならない.
) 熟語ルビは,JIS X 4051 の第 3 次規格(2004 年の改正)で規定された方法である.ここで規定さ
れている配置方法は後述する.
2  モノルビの配置方法
2.1  肩ツキと中ツキ
肩ツキと中ツキの例
親文字 1 字にルビ 1 字の場合,縦組では,親文字の上半分に付ける方法があ
る.この方法を肩ツキ(肩付き)という.(矩形は仮想ボディを示す.以下同じ)
例 
漢字 1 字にルビ 1 字の場合,親文字の中央に付ける方法もある.この方法
を中ツキ(中付き)という.縦組では,肩ツキにする例と中ツキにする例がある
が,横組では,必ず親文字の中央に付ける中ツキにする.横組ではルビを親文
字の左右中央に配置し,左右のバランスをとった方がよいからである.
例
 
中ツキと肩ツキという用語の意味
肩ツキ,中ツキの用語は,ややあいまいな点がある.次のような 2 つの考え
方がある.
①肩ツキと中ツキは,あくまで,親文字 1 字に対し,ルビ 1 字の場合の配置
方法である.
②親文字 1 字でルビ 1 字の場合と限定したものではない.親文字の先頭と
ルビの文字列(ルビ文字列)の先頭を揃える方法が肩ツキであり,親文字の
地 ち
と
弧 こ
地 ち
と
弧 こ
地 ち
と
弧 こ
地 ち
と
弧 こ 地と弧
ち   こ
地と弧
ち   こ
2. 1  肩ツキと中ツキ	
文字列(親文字列)とルビ文字列の中心を揃える方法が中ツキである.
活字組版では,親文字 1 字に 3 字以上のルビが付く場合は,前後に配置する
文字種(文字クラス)
)により,個別の箇所ごとに工夫していたので,一般に①
のように考えてきた.これに対し,コンピュータ組版では,その処理を明確に
する必要があり,親文字の上端を揃えるのなら,ルビ文字が 3 字以上付く場合
も,同様な処理にするということで,②の意味で使用している例がある.
実際のルビの処理方法を考えた場合は,①と考えた方がよい.その理由とし
ては,行の途中にある親文字 1 字にルビ文字が 4 字付いた場合,②でいう肩ツ
キの方法を採用する例は多くないであろう.②の考え方では,中ツキについて
は,統一的に処理できるが,肩ツキでは必ずしもそうはならない場合がある,
ということである.
以下,ここでいう肩ツキと中ツキの用語は,①の考え方で説明を行い,②の
意味でこの用語を用いる場合は,②の意味でという限定を付ける.
親文字 1 字に 2 字のルビが付いた場合
親文字 1 字にルビが 2 字付く場合は,親文字とルビ文字の長さが揃うので問
題はない.前述の②でいう肩ツキでも中ツキでも,同じ配置位置になる.
例 
親文字 1 字に 3 字以上のルビが付いた場合の考え方
1 文字の親文字に 3 字以上のルビ文字が付く場合は,親文字からルビ文字が
はみ出すことになる,この処理方法としては,次のようなものが考えられる.
) 文字クラスとは,文字をその属性で分類することで,その目的で各種のものが考えられる.日本
語組版では,文字や記号を,その配置処理の違いで分類するものが考えられている.例えば,JIS X
4051 でも,文字や記号を文字クラスで分類し,その処理内容を定義している.
線 せ
ん
と
面 め
ん
線 せ
ん
と
面 め
ん
10	 2  モノルビの配置方法
(1) 親文字からのルビのはみ出しは,後ろ側を優先し,前後に配置する文
字種(文字クラス)により,前又は前と後ろの両側とする.後ろの文字に掛
けてよい量だけまずルビを掛け,それで処理できない場合,次に前の文字
に掛けてよい量だけルビを掛けてはみ出させ,それでも処理できない量
は,前及び後ろに均等に追加する(最後のケースでは前後の文字との字間
が空くことになる).
(2) 親文字からのルビのはみ出しは,前と後ろを均等とすることを優先す
る.前と後ろの文字にルビが掛かってよい量が同じ場合は,前と後ろに均
等にはみ出させ,前と後ろの文字にルビが掛かってよい量が異なる場合
は,まず掛けてよい量まで前又は後ろに掛け,それで処理できない量は,
前及び後ろに均等に追加する.
(3) 親文字からのルビのはみ出しは,前と後ろを均等とする.
肩ツキ(前述の肩ツキと中ツキの考え方の①)の場合,ルビの字数が多い処
理方法としては,(1)が一般に選択される.(3)とする例もある.(3)とする例
は,親文字列とルビ文字列は必ず中心を揃えるようになっており,①でいう肩
ツキは,ルビ文字列の入力の際に,1 字のルビ+ルビの全角スペース(空白)と
いう形で入力し,処理する方法である.
中ツキ(前述の肩ツキと中ツキの考え方の①)の場合,ルビの字数が多い処理
方法としては(3)が一般に選択される.多くはないが,(2)とする例もある.
2.2   3 字以上のルビが付く場合の処理
1 文字の親文字にルビ文字が 3 字以上付く場合は,親文字からルビがはみ出
す.この場合の処理は,前述したようにいくつかの方法がある.なお,行中と
行頭・行末では,処理が異なる場合があるが,この問題は後から解説する.
ルビ文字のはみ出しは後ろを優先する方法
前述の(1)の方法である.繰り返すと,後ろの文字に掛けてよい量だけまず
2. 2  3 字以上のルビが付く場合の処理	 11
ルビを掛け,それで処理できない場合,次に前の文字に掛けてよい量だけルビ
を掛けてはみ出させ,それでも処理できない量は,前及び後ろに均等に追加す
る方法である.1 字の親文字に 3 字のルビが付く例を図 2・1 に示す.
ところで,ルビの付く親文字の前後の平仮名又は片仮名に,ルビ文字サイズ
で 1 字まで掛けても誤読される恐れは少ない.これに対し,親文字の前後に配
置する親文字とは別の漢字にルビ文字を掛けると誤読される恐れがあり,こう
した漢字には掛けないというのが一般的な考え方である(漢字にもルビ文字サ
イズで二分まで掛かってよい,という考え方もあるが,この例は後で示す).
この考え方でのルビの配置は,図 2・1 のようになる.図 2・1 の左の 3 つは,
前又は後ろが平仮名なので,前又は後ろにルビを 1 字だけ掛けることができ
る.両側が平仮名の左端の例では,後ろへのはみ出しを優先する.
両側が漢字の場合は,前及び後ろにルビ文字サイズで二分だけはみ出すが,
これは漢字には掛けることができないので,親文字サイズで四分だけ字間が空
くことになる.なお,この場合でも,図 2・2 のように,後ろへのはみ出しを優
先させる方法もある.この場合は,親文字の後ろが二分アキになる)
.
) 活字組版のように個別箇所で状況に応じて工夫する方法であれば図 2・2 のような方法もでき
る.しかし,明確なルールにより機械的な処理する方法では,前後に平均ではなく,二分(又は四
分)単位で,後ろ,次に前,その次は後ろ,…,といったルールが必要になる.ルールも簡単にする
ことが望ましので,以下では,こうした方法は採用しないことにする
図 2・1 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 1
後
蝶 ち
よ
う
又
後
蝶 ち
よ
う
又
の
蝶 ち
よ
う
又
の
蝶 ち
よ
う
又
後
蝶 ち
よ
うは
後
蝶 ち
よ
うは
の
蝶 ち
よ
うは
の
蝶 ち
よ
うは
図 2・2 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 2
又又
後
蝶 ち
よ
う
又
後
蝶 ち
よ
う
又
12	 2  モノルビの配置方法
1 字の親文字に 4 字のルビが付く場合は,両側にはみ出すことになるが,前
後に配置する文字や記号によって配置位置は変化する.例を図 2・3 に示す.
中央の 2 つは,後ろ又は前が漢字なので,ルビを掛けることができない.
前又は後ろの平仮名にルビ文字を 1 字掛ける.残りのルビ 1 字分は,前後に
等分にはみ出させ,その結果として,親文字の前後が四分アキになる.右端の
例は,前後が漢字なので,両側ともに,はみ出したルビを掛けることができな
い.そこで,両側に等分にルビ 1 字分はみ出させ,その結果として,親文字の
前後が二分アキになる.
ルビ文字が 5 字以上の例は多くないが,同様に考えていけばよい.
ルビ文字のはみ出しは前後を平均にする方法
親文字からはみ出すルビ文字について,前及び後ろを同じ量にする方法であ
る.つまり,ルビ文字列の中心を親文字の中心に揃えて配置する方法である.
その場合,前後に配置する平仮名及び片仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛
けてよいとする方法と,漢字・平仮名・片仮名すべてについてルビ文字サイズ
の二分まで掛けてよいとする方法がある.前者の方法は,親文字の前後のアキ
が揃わない場合がでてくるが,後者では揃う.また,後者は,漢字にルビ文字
の
礎
は
い
し
ず
え
の
礎
は
い
し
ず
え
の
礎
又
い
し
ず
え
の
礎
又
い
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え
後
礎
は
い
し
ず
え
後
礎
は
い
し
ず
え
後
礎
又
い
し
ず
え
後
礎
又
い
し
ず
え
図 2・3 1 文字の親文字にルビが 4 字の例 1
図 2・4 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 3
の
蝶
は
ち
よ
う
の
蝶
は
ち
よ
う
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蝶
又
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よ
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後
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後
蝶
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後
蝶
又
ち
よ
う
後
蝶
又
ち
よ
う
2. 2  3 字以上のルビが付く場合の処理	 13
サイズの二分までならば,ルビ文字を掛けても誤読される恐れは少ないであろ
う,という考え方である.前者の方法を図 2・4 に示す.
図 2・4 では,親文字とルビ文字の配置位置の関係は同じであるが,前又は後
ろに配置する文字により親文字の前後のアキが異なる.前後の文字が漢字の場
合は,親文字との字間が四分アキになる.
漢字・平仮名・片仮名すべてについてルビ文字サイズの二分まで掛ける方法
を図 2・5 に示す.この場合は,親文字の前後はすべてベタ組となる.
1 文字の親文字に 4 字のルビが付く場合は,図 2・6 又は図 2・7 のようにな
る.図 2・6 は,平仮名又は片仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛かってよい
が,漢字には掛けない例である.図 2・7 は,漢字・平仮名・片仮名に,ルビ文
字サイズで二分まで掛かってよい,という方法である.親文字の前後の字間が
空く場合,一般的にいえば,前後の文字が漢字でも仮名であっても,同じアキ
の方がバランスがよい,と考えれば図 2・7 の方法となる.漢字に掛かるのは問
図 2・5 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 4
の
蝶
は
ち
よ
う
の
蝶
は
ち
よ
う
の
蝶
又
ち
よ
う
の
蝶
又
ち
よ
う
後
蝶
は
ち
よ
う
後
蝶
は
ち
よ
う
後
蝶
又
ち
よ
う
後
蝶
又
ち
よ
う
図 2・6 1 文字の親文字にルビが 4 字の例 2
の
礎
は
い
し
ず
え
の
礎
は
い
し
ず
え
の
礎
又
い
し
ず
え
の
礎
又
い
し
ず
え
後
礎
は
い
し
ず
え
後
礎
は
い
し
ず
え
後
礎
又
い
し
ず
え
後
礎
又
い
し
ず
え
図 2・7 1 文字の親文字にルビが 4 字の例 3
の
礎
は
い
し
ず
え
い
し
ず
え
の
礎
は
い
し
ず
え
の
礎
又
の
礎
又
い
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ず
え
い
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い
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後
礎
は
後
礎
は
後
礎
又
い
し
ず
え
後
礎
又
い
し
ず
え
14	 2  モノルビの配置方法
題と考えれば図 2・6 の方法となる.
なお,漢字にも仮名にもルビを掛けないという方法もある.この場合は,図
2・8 のようになるが,必要以上に親文字の前後が空いてしまう,という問題が
でてくる.
1 字の親文字に 5 字以上のルビが付く場合も,同様に考えていけばよい.
ルビ文字のはみ出しは前後平均を優先する方法
後ろの文字にルビが掛かってよい量が同じ場合は,前と後ろを均等にはみ出
させ,前と後ろの文字にルビが掛かってよい量が異なる場合は,まず掛けてよ
い量まで前又は後ろに掛け,それで処理できない量は,前及び後ろに均等に追
加する方法である.前述の(2)の方法である.1 字の親文字に 3 字のルビが付
く例(漢字には掛けないが,仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛けてよい場
合)を図 2・9 に示す.図 2・1 と比較すると,左端の例だけが異なる.
なお,漢字・仮名にルビ文字サイズで二分まで掛ける又は掛けないとする場
合は,前項と同じになる.
1 文字の親文字に 4 字のルビが付く場合は,漢字には掛けないが,仮名には
ルビ文字サイズで全角まで掛けてよいときは,図 2・3 と同じである.漢字・仮
図 2・8 1 文字の親文字にルビが 4 字の例 4
の
礎
は
い
し
ず
え
の
礎
は
い
し
ず
え
の
礎
又
い
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え
の
礎
又
い
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後
礎
は
い
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ず
え
後
礎
は
い
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え
後
礎
又
い
し
ず
え
後
礎
又
い
し
ず
え
図 2・9 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 5
又
後
蝶 ち
よ
う
又
後
蝶 ち
よ
う
又
の
蝶 ち
よ
う
又
の
蝶 ち
よ
う
又
後
蝶 ち
よ
うは
後
蝶 ち
よ
うは
の
蝶 ち
よ
うは
の
蝶 ち
よ
うは
2. 3  モノルビの行頭と行末の処理	 15
名にルビ文字サイズで二分まで掛ける又は掛けないとするときは,図 2・7 又は
図 2・8 と同じである.
1 字の親文字に 5 字以上のルビが付く場合も,同様に考えていけばよい.
2.3  モノルビの行頭・行末の配置処理
行頭又は行末では,版面又は段の領域からルビをはみ出させないのが原則で
ある.親文字に付くルビが 2 字以下の場合は問題がでないが,ルビが 3 字以上
となると,親文字からルビがはみ出すので,この場合の処理が問題になる.
JIS X 4051 の処理方法
JIS X 4051 では,次の 2 つの処理方法を規定している.①の方法が基本で,
②の方法がオプションである.
①前方向に親文字からのルビのはみ出しがあった場合は,ルビ文字列の先頭
を行頭に接して配置する.後ろ方向に親文字からルビのはみ出しがあった
場合は,ルビ文字の末尾を行末に接して配置する.ルビの親文字が必ずし
も行頭又は行末に接していなくてよい.
②行頭では親文字列とルビ文字列の先頭を揃え,行末では親文字列とルビ文
字列の先頭を揃えて配置する.ルビの付く親文字は必ず行頭又は行末に接
して配置する.
ルビ文字列の先頭又は末尾を揃える処理例
ルビの親文字が必ずしも行頭又は行末に接していなくてよい方法で,行頭で
図 2・10 行頭のルビの処理例 1
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
又
は
ち
よ
う
蝶
又
は
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に
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に
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又
は
い
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礎
又
は
い
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ず
え
行頭 行頭
16	 2  モノルビの配置方法
1 文字の親文字に 3 字又は 4 字のルビが付く例を図 2・10 に示す(後ろへのは
み出しを優先し,漢字には掛けないが,仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛
けてよい場合).
なお,行末は,反対になると考えればよい.
図 2・11 と図 2・12 には,親文字列からのルビ文字列のはみ出しを平均にす
る(3)の方法で,漢字には掛けないが,仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛
けてよい場合と,漢字にも仮名にもルビ文字サイズで二分まで掛けてよい場合
の配置例を示す.
なお,行末は,反対になると考えればよい.
ルビ文字列の先頭又は末尾を揃える処理例
ルビの親文字を必ず行頭又は行末に接して配置する方法で,行頭で 1 文字の
親文字に 3 字又は 4 字のルビが付く例を図 2・13 と図 2・14 に示す.図 2・13
図 2・11 行頭のルビの処理例 2
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
又
は
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よ
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又
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又
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行頭 行頭
図 2・12 行頭のルビの処理例 3
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
又
は
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う
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又
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行頭 行頭
図 2・13 行頭のルビの処理例 4
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
又
は
ち
よ
う
蝶
又
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又
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い
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礎
又
は
い
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ず
え
行頭 行頭
2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか	 17
は,漢字には掛けないが,仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛けてよい場合
であり,図 2・14 は,漢字にも仮名にもルビ文字サイズで二分まで掛けてよい
場合の配置例である.
行末は,反対になると考えればよい.
肩ツキ・中ツキと行頭・行末のルビの配置
親文字 1 字にルビ 1 字の配置を肩ツキ又は中ツキとした場合,JIS X 4051
でいう②の方法(親文字を必ず行頭に接して配置する)とするか,それとも,①
の方法(親文字を行頭に必ずしも接して配置しなくてよい)とするかは決まって
いない.各種の組合せがある.一般に肩ツキとした場合は,②とするが,①と
する例もそれなりにある.逆に中ツキの場合も,②としている例もある.
3 字以上のルビが付いた場合の処理法にもよる.中ツキで,かつ,3 字以上
のルビが付いた場合の処理法に(3)を選んだ場合は,すべて親文字列とルビ文
字列の中心を揃えるという点からいえば,①の方法がよいであろう.他の組合
せの場合は,①も②の方式も選択肢としては考えられる.
改行の全角アキや字下げした場合のルビ掛け
行頭又は行末からのルビのはみ出しは認められてはいない.原則として版面
又は段の領域から文字等をはみ出させない,ということからきている.
しかし,段落を改めるために改行した場合,一般に全角アキにしているが,
ここは版面又は段の領域の内部である.また,引用などでは字下げして区分を
明確にする例があるが,この字下げした場合も,版面又は段の領域の内部であ
る.
図 2・14 行頭のルビの処理例 5
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
に
は
ち
よ
う
蝶
又
は
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よ
う
蝶
又
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礎
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え
礎
に
は
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又
は
い
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え
礎
又
は
い
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ず
え
行頭 行頭
18	 2  モノルビの配置方法
そこで,このように版面又は段の領域の内部である場合,あくまで行頭か
らのはみ出しは認められないとして,ここへのはみ出しを認めない考え方もあ
るが,その箇所でルビ文字サイズで全角までのはみ出しを認める処理方法も
ある.図 2・15 に例を示す.上段がルビを改行行頭の全角アキにはみ出させた
例,下段がはみ出させない例である.下段の左側は,後ろへのはみ出しを優先
した例,右側は,親文字列とルビ文字列の中心を揃えた例である.いずれも親
文字の後ろの平仮名にルビ文字サイズで全角までルビを掛けている例である.
引用などで字下げした場合は,一般には引用の行頭からのはみ出しはしない
が,詩などを字下げして引用した場合などでは,字下げの領域にルビ文字サイ
ズで全角まではみ出す処理を行っている例もある.
2.4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか
ルビのはみ出しを前後の文字に掛けてよいか
これまで,ルビの字数が多く,親文字からルビがはみ出した場合,前後に配
図 2・15 改行行頭のルビの処理例
 
筍
を
楽
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……
に
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て
み
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機
会
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こ
 
筍
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機
会
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……
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会
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2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか	 19
置する文字等にルビが掛かってよいかどうかは,次のように漢字と仮名につい
てのみ,3 つの方法について解説してしてきた.
①漢字には掛けてはいけないが,仮名(平仮名及び片仮名)にはルビ文字サイ
ズで全角まで掛かってよい)
.
②漢字及び仮名(平仮名及び片仮名)にはルビ文字サイズで二分まで掛かって
よい)
.
③漢字及び仮名(平仮名及び片仮名)にはルビを掛けない)
.
親文字の前又は後ろの漢字にルビを掛けないのは,誤読を避けるためであ
る.平仮名や片仮名にルビ文字サイズで全角までルビを掛けても,一般にルビ
を付ける親文字は漢字であるので,誤読される恐れは少ない,という考えから
である.しかし,平仮名の親文字に片仮名でルビを付ける例もあるので,その
場合は誤読の恐れがある)
.漢字及び仮名(平仮名及び片仮名)にはルビを掛け
ない,という方法は,誤読を避けるという点ではメリットがあるが,字間が必
要以上に空いてしまう,という問題がある.
漢字・仮名以外の文字種(文字クラス)にルビを掛けてよいか
漢字や仮名以外の文字・記号にルビを掛けてよいかどうかは,誤読されない
か,あるいは体裁がよいかどうか,といったことから考えていくことになる.
JIS X 4051 における漢字や仮名以外についての規定を紹介しながら,JIS X
4051 とは異なる考え方も同時に示す.
親文字をくくる括弧類 親文字をくくる括弧類には,ルビ文字サイズで全角ま
で掛かってよい.
) JIS X 4051 でも同様な規定があるが,片仮名は漢字などと同じ文字クラスに含めているので,片
仮名には掛けてはいけないことになっている.
) JIS X 4051 では,オプション(処理系定義)により漢字(片仮名を含む)にルビ文字サイズで二分
まで掛かってよい方法を規定している.
) JIS X 4051 では,オプションで漢字及び平仮名にルビを掛けてはいけない方法を規定している.
) 活字組版では,平仮名ルビと片仮名ルビとの扱いを変え,平仮名ルビでは親文字の前後の平仮名
にはルビは掛けてよいが,片仮名ルビでは親文字の前後の平仮名にもルビは掛けない,という方法
で処理していた例がある.
20	 2  モノルビの配置方法
なお,終わり括弧類には掛かってよいが,始め括弧類には掛けない,掛けて
もルビ文字サイズで二分までとする考え方もある.これは,始め括弧類にルビ
を掛けることは形として好ましくない,ということからきている.
例を図 2・16 と図 2・17 に示す(図 2・16 は後ろへのはみ出しを優先した例,
図 2・17 は親文字とルビ文字列の中心を揃える例).左端が始めカギ括弧にル
ビ文字サイズで全角まで掛けた例,中央が掛けない例,右端がルビ文字サイズ
で二分まで掛けた例である.図 2・16 の中央の例では,親文字の前後が四分ア
キ,右端の例は八分アキになる.
図 2・18 に示す例は,始めカギ括弧にルビ文字サイズで二分まで掛け,さら
に,漢字又は仮名に掛けるルビは,ルビ文字サイズで二分とした例である.
図 2・16 始め括弧類とルビ掛けの例 1
の
﹁
に
こ
と
わ
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の
﹁
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図 2・17 始め括弧類とルビ掛けの例 2
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図 2・18 始め括弧類とルビ掛けの例 3
の
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こ
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わ
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又
こ
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わ
ざ
2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか	 21
親文字の外側の括弧類とルビ掛け 親文字の前に配置する終わり括弧類,又は
親文字の後ろに配置する始め括弧類と,親文字との字間は原則として二分アキ
である.この二分アキにルビ文字サイズで全角まで掛けてよい.ただし,行の
調整で,この字間が二分より狭くなっている場合は,掛けてよい量は,その狭
くなったアキまでである.
図 2・19 に例を示す.左側の 2 つは平仮名にルビ文字サイズで全角まで掛け
た例,右側の 2 つは平仮名にルビ文字サイズで二分まで掛けた例である(親文
字とルビ文字列の中心を揃える方式).
なお,後ろ側へのはみ出しを優先する方式では,図 2・20 の左側の 2 つのよ
うになる(平均にはみ出すことを優先する方式でも同様な問題がある).しか
し,括弧類の外側の二分アキについて,二分アキ以上にすることは,空き過
ぎに見えるので,できるだけ避けた方がよい.そこで,図 2・20 の右側のよう
に,できるだけ括弧類の外側の二分アキのままにした方がよい.
句読点とルビ掛け 句読点)
も括弧類と同様である.親文字の後ろの句読点に
) JIS X 4051 では,句点は句点類という文字クラスであるが,読点は終わり括弧類の文字クラスに
含めている.
図 2・19 親文字の外側の括弧類とルビ掛けの例 1
る
﹂
は
こ
と
わ
ざ
る
﹂
は
こ
と
わ
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︵
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わ
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わ
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図 2・20 親文字の外側の括弧類とルビ掛けの例 2
る
﹂
又
こ
と
わ
ざ
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﹂
又
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又
︵
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わ
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わ
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わ
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又
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こ
又
︵
こ
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わ
ざ
こ
と
わ
ざ
22	 2  モノルビの配置方法
は,ルビ文字サイズで全角までルビを掛けてよい.親文字の前の句読点との間
には二分アキがあるので,ここにルビ文字サイズで全角まで掛けてよい.ただ
し,行の調整で,この字間が二分より狭くなっている場合は,掛けてよい量は,
その狭くなったアキまでである.図 2・21 に例を示す.
なお,後ろ側へのはみ出しを優先する方式では,図 2・22 の左側に 2 つのよ
うになる(平均にはみ出すことを優先する方式でも同様な問題がある).括弧類
と同様に句読点の後ろの二分アキは,二分アキ以上にすることは,空き過ぎに
見えるので,できるだけ避けた方がよい.そこで,図 2・22 の右側の 2 つの例
のように,できるだけ句読点の後ろ側は,二分アキのままにした方がよい.
行頭禁則和字とルビ掛け 行頭禁則和字とは,行頭への配置を禁止とすること
がある音引き,繰り返し符号,小書きの仮名である.JIS X 4051 では,親文字
の前に配置する行頭禁則和字には,ルビ文字サイズで全角まで掛けてよいが,
親文字の後ろに配置する行頭禁則和字についてはルビ掛けを禁止している.こ
れらは親文字の前にあっても後ろにあっても誤読される恐れは少ないので,ど
ちら側にあってもルビ文字サイズで全角まで掛けてよいと考えてよいだろう.
なお,行頭禁則和字には,同の字点(々)が含まれているが,これは漢字と同
図 2・21 句読点とルビ掛けの例 1
る
。
に
こ
と
わ
ざ
る
。
に
こ
と
わ
ざ
で
、
に
こ
と
わ
ざ
で
、
に
こ
と
わ
ざ
の
、
そ
こ
と
わ
ざ
の
、
そ
こ
と
わ
ざ
図 2・22 句読点とルビ掛けの例 2
る
。
又
こ
と
わ
ざ
る
。
又
こ
と
わ
ざ
で
、
又
こ
と
わ
ざ
で
、
又
こ
と
わ
ざ
る
。
又
こ
と
わ
ざ
る
。
又
こ
と
わ
ざ
で
、
又
で
、
又
こ
と
わ
ざ
こ
と
わ
ざ
2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか	 23
等なので,漢字と同様に親文字のどちら側にあってもルビを掛けない又は掛け
てもルビ文字サイズで二分までとした方がよい.
小書きの仮名にルビを掛けた例を図 2・23 に示す.左側から 1 番目は普通の
仮名にも小書きの仮名にもルビ文字サイズで全角掛けた例,2 番目は,小書き
の仮名だけ掛けない例(後ろへのはみ出しを優先した例),3 番目は普通の仮名
にも小書きの仮名にもルビ文字サイズで二分掛けた例,4 番目は,仮名にも小
書きの仮名にもルビを掛けない例である.
中点類とルビ掛け 親文字の前又は後ろに配置する中点類(・;:)には,ルビ
をルビ文字サイズで全角まで掛けてよい.ただし,中点類は字幅を半角(二分)
と考えると,その前後に四分アキを保持しており,行の調整処理で,この四分
アキは詰められる場合もある.詰められた場合は,その分だけルビがはみ出し
できる量が減ることになる.中点(中黒)にルビが掛かるケースを図 2・24 に示
す.左側の 2 つは後ろへのはみ出しを優先する例,右側の 2 つは,親文字列と
ルビ文字列の中心を揃える例である.
なお,図 2・24 の右端の例では,中点(字幅は半角)の前後はベタ組なので,
図 2・23 小書きの仮名とルビ掛けの例
る
筍
っ
て
た
け
の
こ
る
筍
っ
て
た
け
の
こ
る
筍
っ
て
た
け
の
こ
る
筍
っ
て
た
け
の
こ
る
筍
っ
て
た
け
の
こ
る
筍
っ
て
た
け
の
こ
る
筍
っ
て
た
け
の
こ
る
筍
っ
て
た
け
の
こ
図 2・24 中点とルビ掛けの例
る
薪
・
茸
を
た
き
ぎ
る
薪
・
茸
を
た
き
ぎ
る
薪
・
茸
を
た
き
ぎ
き
の
こ
る
薪
・
茸
を
た
き
ぎ
き
の
こ
き
の
こ
き
の
こ
る
薪
・
茸
を
た
き
ぎ
る
薪
・
茸
を
た
き
ぎ
る
薪
・
茸
を
た
き
ぎ
き
の
こ
る
薪
・
茸
を
た
き
ぎ
き
の
こ
き
の
こ
き
の
こ
24	 2  モノルビの配置方法
ルビはルビ文字サイズで二分まで掛けることができる.しかし“茸”のルビも
ルビ文字サイズで二分まで掛けることができ,その結果として 2 つの別の親文
字のルビ文字列がつながってしまう.これは好ましくない.ある字を挟んでの
異なる親文字間のルビとルビの字間はルビ文字サイズで全角(又は二分)は空い
ていた方がよい.ここを全角アキとするためには,中点の前後を四分アキ(左
端から 2 つ目の例)にするなどの処理が必要になる.左端から 2 つ目の例も同
様な問題があり,この例では親文字が別のルビ文字列の字間はルビ文字サイズ
で二分であるが,ここをルビ文字サイズで全角にするためには,なんらかの処
理が必要になる(別の親文字のルビの字間の処理の詳細については後述する).
分離禁止文字とルビ掛け 分離禁止文字とは全角ダーシ(全角ダッシュ,―),3
点リーダ(…),2 点リーダ(‥)のことである.これらを連続して 2 つ並べた場
合,2 行に分割することも,また,行の調整処理の際に字間を空けるのも避け
る,とするものである.これらにはルビ文字サイズで全角までルビを掛けても
よい.親文字の前後に全角ダーシを配置する例は,それなりにある.
2 倍ダーシにルビを掛けた例を図 2・25 に示す.左端は平仮名にもダーシに
もルビ文字サイズで全角までルビを掛けた例,中央は平仮名にもダーシにもル
ビ文字サイズで二分までルビを掛けた例,左端は,平仮名にもダーシにも掛け
図 2・25 2 倍ダーシとルビ掛けの例
―
猪
と
か
鶏
―
い
の
し
し
―
猪
と
か
鶏
―
い
の
し
い
―
猪
と
か
鶏
―
い
の
し
し
に
わ
と
り
―
猪
と
か
鶏
―
い
の
し
い
に
わ
と
り
に
わ
と
り
に
わ
と
り
―
猪
と
か
鶏
―
い
の
し
い
―
猪
と
か
鶏
―
い
の
し
い
に
わ
と
り
に
わ
と
り
2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか	 25
ない例である.
和字間隔とルビ掛け 和字間隔とは,全角スペース(全角空白)のことである.
これにはルビ文字サイズで全角までルビを掛けてよい.行中にある全角アキに
は,ルビは掛かってよいということである.
なお,改行行頭の全角アキにルビを掛けてよいかどうかの問題は 17 ページ
で解説した.
連数字,単位記号中の文字,欧文用文字などとルビ掛け 連数字,単位記号中の文
字,欧文用文字などを和文中に配置する場合,その前後は四分アキにする.こ
の四分アキの部分にルビを掛けてよい.ただし,この四分アキは,JIS X 4051
では行の調整処理で空けることも詰めることも認められているが,このアキを
はみ出してルビを掛けることは禁止されている.
親文字と欧文用文字が連続した場合の例を図 2・26 に示す.中央の例は,後
ろへのはみ出しを優先する方法で,後ろと前へのルビ掛けの処理で許容できる
範囲を超える二分(ルビ文字サイズで)について,親文字の前後で親文字サイズ
で各八分だけ空けている.右端の例は,親文字列とルビ文字列の中心を揃える
方法で,親文字と欧文用文字との字間が二分アキになっている.
ルビの付いた異なる親文字 あるルビの付いた親文字に別の親文字のルビを掛
けることは禁止されている(図 2・27 の例).左から 1 つ目の例は後ろへはみ出
しを優先した例,左から 2 つ目の例は親文字列とルビ文字列の中心を揃える方
法である(仮名と漢字にルビ文字サイズで二分まで掛けてよい方法).3 つ目は
図 2・26 欧字とルビ掛けの例
る
頂
top
を
る
頂
top
を
る
rumor
を
う
わ
さ
る
rumor
を
う
わ
さ
い
た
だ
き
る
頂
top
を
い
た
だ
き
い
た
だ
き
る
頂
top
を
い
た
だ
き
26	 2  モノルビの配置方法
肩ツキで後ろへのはみ出しを優先する例,4 つ目は中ツキで親文字列とルビ文
字列の中心を揃える方法(仮名と漢字にルビ文字サイズで二分まで掛けてよい
方法)の例である.(なお,図 2・27 に示した例は,熟語ではなく,各文字ごと
にルビを対応させた例であり,これらを熟語として扱う処理例は後述する.)
なお,図 2・27 において左端の 2 つの例のように親文字が連続する場合,そ
のルビとルビの字間がベタ組になるのは問題がない.図 2・24 の問題とは別で
あり,図 2・24 では,親文字と親文字との間に別の文字・記号が挿入されてい
る場合である.
また,図 2・28 に示すように,別の 1 字のルビで中ツキにした親文字に,ル
ビ文字サイズで二分まで掛けて処理を行う例もある.
その他のルビ掛けを禁止した文字グループ その他の文字クラスでルビ掛けを禁
止したものとしては,ハイフン類,区切り約物,前置省略記号,後置省略記号,
行中に配置する注の合印,割注を囲む括弧類などがある.
なお,縦中横にした文字列にもルビのはみ出しは掛けない.また,仮名であ
っても圏点や傍線・下線が付いた場合もルビのはみ出しは掛けない.
図 2・27 ルビの付く親文字が連続した場合のルビ掛けの例 1
の
瓢
を
る
雌
蝶
を
の
瓢
を
ひ
さ
ご
び
し
や
く
の
瓢
を
ひ
さ
ご
び
し
や
く
ひ
さ
ご
び
し
や
く
の
瓢
を
ひ
さ
ご
び
し
や
く
め  
ち
よ
う
る
雌
蝶
を
め  
ち
よ
う
る
雌
蝶
を
め
 
ち
よ
う
る
雌
蝶
を
め
 
ち
よ
う
図 2・28 ルビの付く親文字が連続した場合のルビ掛けの例 2
る
雌
蝶
を
め
ち
よ
う
る
雌
蝶
を
め
ち
よ
う
2. 5  横組のモノルビの配置処理	 27
2.5  横組のモノルビの配置処理
横組は中ツキが原則
これまで,縦組を前提に,例示も主に縦組で示したきた.前述したように横
組では,左右のバランスについて平均にして配置した方が安定している.ルビ
についても同様であり,左右の位置関係について中央(左右中央)に配置した方
が安定する.従って,親文字 1 字にルビ 1 字の場合は,中ツキにするのが原則
であり,また,ルビが 3 字以上になった場合も,親文字列とルビ文字列の中心
を揃えた配置にする.例を図 2・29 に示す.図 2・29 の右側の例は肩ツキと左
端を揃える例であるが,これは望ましくない配置例である.
横組における親文字の前後のアキ
ルビが前後にはみ出した場合,親文字列の前後の文字種が同一であれば,親
文字列の左右の文字・記号などとの字間が同じになる.しかし,前と後ろが漢
字と仮名であった場合は,字間が異なる場合もでてくる.この親文字列の前後
の字間も,可能であれば揃えた方が見た目には安定する.
例を図 2・30 に示す.1 番上の例は,漢字にはルビを掛けないが,仮名には
ルビ文字サイズで全角まで掛けた例,2 番目の例は,漢字にも仮名にもルビ文
字サイズで二分まで掛けた例,3 番目の例は,漢字にも仮名にもはみ出したル
ビを掛けない例である.1 番上の例では,親文字列の前後の字間が揃わない場
合もでてくる.
図 2・29 横組のモノルビの配置例 1
る地の茸たちと筍の
ち  きのこ     たけのこ
る地の茸たちと筍の
ち  きのこ     たけのこ
る地の茸たちと筍 の
ち   きのこ     たけのこ
る地の茸たちと筍 の
ち   きのこ     たけのこ
28	 2  モノルビの配置方法
横組におけるルビの行頭・行末の配置方法
親文字列からはみ出したルビが付く場合の行頭・行末の配置も縦組と同様で
あり,ルビの先頭・末尾を行頭・行末に揃える方法と,親文字の先頭・末尾を
図 2・30 横組のモノルビの配置例 2
の茸たちと筍の
きのこ     たけのこ
の茸たちと筍の
きのこ     たけのこ
の茸たちと 筍 の
きのこ     たけのこ
の茸たちと 筍 の
きのこ     たけのこ
の 茸 たちと 筍 の
きのこ      たけのこ
の 茸 たちと 筍 の
きのこ      たけのこ
の茸達と 筍 達
きのこ   たけのこ
の茸達と 筍 達
きのこ   たけのこ
の 茸 達と 筍 達
きのこ    たけのこ
の 茸 達と 筍 達
きのこ    たけのこ
の茸 達と筍 達
きのこ   たけのこ
の茸 達と筍 達
きのこ   たけのこ
図 2・31 横組のモノルビの行頭の配置例
行頭
蝶には
ちよう
蝶には
ちよう
蝶 又は
ちよう
蝶又は
ちよう
蝶又は
ちよう
蝶又は
ちよう
行頭
行頭
いしずえ
礎には
いしずえ
礎には
いしずえ
礎 又は
いしずえ
礎 又は
いしずえ
礎 又は
礎 又は
いしずえ
行頭
行頭
行頭
蝶には
ちよう
蝶には
ちよう
蝶 又は
ちよう
蝶 又は
ちよう
蝶 又は
ちよう
蝶 又は
ちよう
行頭
行頭
礎 には
いしずえ
礎 には
いしずえ
礎 又は
いしずえ
礎 又は
いしずえ
礎 又は
いしずえ
礎 又は
いしずえ
29
行頭・行末に揃える方法とがある.行頭の配置例を図 2・31 に示す.図 2・31
の左側はルビ文字列の先頭を行頭に揃える方法,右側は親文字の先頭を行頭に
揃える方法である.また,1 番上側は,仮名にルビ文字サイズで全角までルビ
を掛けた例,2 番目は,はみ出したルビを漢字に掛けない例,最下段は,漢字
にルビ文字サイズで二分掛けた例である.
行末については,逆に考えればよい.
30
3  グループルビの配置方法
3.1  グループルビの配置処理の基本
グループルビの利用
2 文字以上の親文字列に対し,その親文字列全体に対してルビを対応させ配
置する方法がグループルビである.
グループルビは,“雑魚”に“ざこ”,“雪崩”に“なだれ”,“無花果”に“い
ちじく”などといった熟字訓や当て字の読みを付ける場合や,“混沌”に“カオ
ス”,“概念”に“コンセプト”,“大聖堂”に“カテドラル”などの片仮名語を
ルビとして付ける場合に利用されている.各親文字ごとにルビを対応させるこ
とができないルビである.
グループルビの配置方法
複数の親文字列全体に付ける方法としては,次の 3 つが考えられる.
①親文字もルビの文字列もすべてベタ組とする.この場合,親文字列とルビ
文字列の先頭を揃える方法もあるが,一般には,親文字列の中心とルビ文
字列の中心を揃える.例を図 3・1 に示す.
②親文字列又はルビの文字列をベタ組にした場合の全長を計算し,その長い
文字列はベタ組とし,短い方の文字列の字間を均等に空けて,全長を揃え
る.例を図 3・2 に示す.
図 3・1 グループルビの配置例 1
雑
ざ
こ魚
雪 な
だ
れ
崩
無
い
ち
じ
く
花
果
混 カ
オ
ス
沌
 
概 コ
ン
セ
プ
ト
念
 
大 カ
テ
ド
ラ
ル
聖
堂
3. 2  字数の少ないグループルビの配置処理	 31
③短い方の文字列の字間を空けるが,それぞれの全長を揃えるのではなく,
短い方の文字列の先頭側及び末尾側も空ける.例を図 3・3 に示す.
その他,親文字の字数とルビの字数が同じ場合は,各親文字ごとにルビを対
応させることが可能なので,肩ツキの方法で処理する方法もある.この場合,
中ツキにすると,③の方法ということになる.例を図 3・4 に示す.右側が肩ツ
キにした例である.
グループルビは分割禁止
グループルビは,親文字列を一体として扱うので,親文字列の途中で 2 行に
分割することは禁止されている.
しかし,親文字列が長い場合,行の調整で字間が極端に空いてしまう例もあ
る.しかし,読んでいく場合には,必ずしも親文字列を一体として扱わなくて
図 3・2 グループルビの配置例 2
雑 ざ
こ
魚
雪 な
だ
れ
崩
無 い
ち
じ
く
花
果
混 カ
オ
ス
沌
概 コ
ン
セ
プ
ト
念
大 カ
テ
ド
ラ
ル
聖
堂
図 3・3 グループルビの配置例 3
雑 ざ
こ
魚
雪 な
だ
れ
崩
無 い
ち
じ
く
花
果
混 カ
オ
ス
沌
概 コ
ン
セ
プ
ト
念
大 カ
テ
ド
ラ
ル
聖
堂
図 3・4 グループルビの配置例4
近 モ
代 ダ
的 ニ
精 ズ
神 ム
近 モ
ダ
ニ
ズ
ム
代
的
精
神
32	 3  グループルビの配置方法
もよいので,親文字列の途中で分割した例もある.従って,グループルビの分
割禁止は,コンピュータ組版の処理上の問題を回避するためのものであり,場
合によっては分割も考えられる,ということになる.ただし,グループルビの
分割をコンピュータ組版の自動処理で行うことはかなり面倒であり,個別箇所
でのデータ入力の工夫などで解決するというのが当面の処理方法であろう.
3.2  字数の少ないグループルビの配置処理
ルビの字数が親文字 2 倍の場合の処理
ルビの文字サイズが親文字の 1/2 の場合,ルビの字数が親文字の 2 倍のとき
には,ルビと親文字の文字列の全長は同じになる.そこで,ルビと親文字のそ
れぞれの字間はベタ組にし,ルビと親文字の文字列の中心を揃えて配置すれば
よい.いくつかの例を図 3・5 に示す.
ルビの字数が親文字 2 倍未満の場合の処理
ルビの字数が親文字 2 倍未満の場合,ルビ文字列の全長は,親文字列の全長
より短くなる.このような場合の配置処理につて,JIS X 4051 では,ルビ文字
列の字間について,x:y:z=1:2:1 の比率で空ける方法を規定している)
.
なお,x, y, z は,次による.図 3・6 に例を示す.
x:親文字列の先頭からルビ文字列の先頭までの空き量.
y:ルビ文字間の空き量.
) 活字組版でも,ルビの字数が少なく,ルビの字間だけでなく,ルビの先頭及び末尾も空ける場合
は,字間のアキと先頭及び末尾のアキの比率を 1:2 にすると体裁がよい,といわれていた.
図 3・5 ルビの字数が親文字の 2 倍のグループルビの配置例
最 ベ
ス
ト
エ
フ
オ
ー
ト
大
努
力
最 ベ
ス
ト
エ
フ
オ
ー
ト
大
努
力
冊 コ
ー
デ
ツ
ク
ス
子
体
冊 コ
ー
デ
ツ
ク
ス
子
体
喜 コ
メ
デ
イ
劇
喜 コ
メ
デ
イ
劇
3. 2  字数の少ないグループルビの配置処理	 33
z:ルビ文字列の最後尾から親文字列の最後尾までの空き量.
なお,親文字が複数で,ルビが 1 字の場合は,図 3・7 に示すように,親文字
列とルビの中心を揃えて配置する.
ルビ文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,ルビ文字列の字間を 2 とす
る JIS X 4051 で規定した方法による熟字訓や当て字(ルビは平仮名)の配置例
を図 3・8 にいくつか示す.
“わけ”の字間はルビ文字サイズで全角アキ,先頭及び末尾のアキはルビ文
字サイズで二分アキ,左の“いとこ”の字間はルビ文字サイズで三分アキ,先
頭及び末尾のアキはルビ文字サイズで六分アキ,“ただ”の字間はルビ文字サイ
ズで 2 倍アキ,先頭及び末尾のアキはルビ文字サイズで全角アキ,右の“いと
こ”字間はルビ文字サイズで全角アキ,先頭及び末尾のアキはルビ文字サイズ
図 3・6 字数の少ないグループルビの JIS X 4051 の配置方法
目 ゴ
ー
ル
的
地
目 ゴ
ー
ル
的
地
画 イ
コ
ン
像
画 イ
コ
ン
像
x x
y
y
z
y
y
z
x=z=親文字サイズの 1/4 のアキ
y=親文字サイズの 1/2 のアキ
x=z=親文字サイズの 1/12 のアキ
y=親文字サイズの 1/6 のアキ
図 3・7 グループルビでルビが 1 字の配置例
湯
泉 ゆ
湯
泉 ゆ
図 3・8 字数の少ないグループルビの JIS X 4051 で規定する配置例 1
道
理
わ  
け
道
理
わ  
け
従
弟
い
と
こ
従
弟
い
と
こ
従
兄
弟
い  
と  
こ
従
兄
弟
い  
と  
こ
紫
陽
花
あ
じ
さ
い
紫
陽
花
あ
じ
さ
い
無
報
酬
た  
 
だ
無
報
酬
た  
 
だ
34	 3  グループルビの配置方法
で二分アキ,“あじさい”の字間はルビ文字サイズで二分アキ,先頭及び末尾の
アキはルビ文字サイズで四分アキとなる.
ところで,親文字の字数に比べてルビの字数が極端に少ない場合,図 3・9 の
左側の例のように先頭及び末尾のアキがルビ文字サイで全角アキ以上となるケ
ースがあり,親文字とルビとの対応があいまいになることもある(特に親文字
が仮名の場合).図 3・9 の右側の例のように先頭及び末尾のアキはルビ文字サ
イで全角アキとした方が読みやすい.
図 3・10 には,図 3・8 と同じ親文字とルビの組合せによる,親文字とルビ文
字列の全長を揃えた配置例を掲げる.
活字組版では一般に,“従弟(いとこ)”では図 3・10,“道理(わけ)”,“無報酬
(ただ)”,“従兄弟(いとこ)”では図 3・8,“紫陽花(あじさい)”では図 3・8 又は
図 3・10 の方法で処理されていた.活字組版では,字間を処理するスペースの
種類にも限りがあり,個別のケースで,全長を揃える方法と先頭及び末尾も空
ける方法を併用していた.また,親文字が 4 字でルビ文字が 7 字といった例で
は,ルビ文字列はベタ組とし,先頭及び末尾を空ける方法も行われていた.つ
まり,活字組版では,ケースにより,30 ページの“グループルビの配置方法”
で説明した 3 つの配置方法を適宜選択しながら,その配置方法を決めていた.
図 3・11 に,文字が 4 字でルビ文字が 7 字の 3 種類の配置例を示す.
図 3・9 ルビの字数が極端に少ないグループルビの配置例 1
自
暴
自
棄
自
暴
自
棄
や  
 
 
け
自
暴
自
棄
や  
 
 
け
や  
 
 
 
け
自
暴
自
棄
や  
 
 
 
け
図 3・10 字数の少ないグループルビの全長を揃えた配置例 1
道
理
わ  
 
け
道
理
わ  
 
け
従
弟
い
と
こ
従
弟
い
と
こ
従
兄
弟
い
 
と
 
こ
従
兄
弟
い  
と
 
こ
紫
陽
花
あ
じ
さ
い
紫
陽
花
あ
じ
さ
い
無
報
酬
た  
 
 
 
だ
無
報
酬
た  
 
 
 
だ
3. 2  字数の少ないグループルビの配置処理	 35
図 3・12 には,ルビ文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,ルビ文字
列の字間を 2 とする JIS X 4051 で規定した方法による片仮名ルビの例を掲げ
る.
また,図 3・13 には,親文字列とルビ文字列の全長を揃えた方法による配置
例を掲げる.
図 3・12 字数の少ないグループルビの JIS X 4051 で規定する配置例 2
空
中
静
止
憩
い
の
場
都
市
国
家
伝
動
装
置
荒
野
ム  
ア
荒
野
ム  
ア
混
沌
カ
オ
ス
混
沌
カ
オ
ス
目
的
地
ゴ  
ー  
ル
目
的
地
ゴ  
ー  
ル
老
練
者
ベ
テ
ラ
ン  
老
練
者
ベ
テ
ラ
ン
実
験
室
ラ  
 
ボ
実
験
室
ラ  
 
ボ
大
聖
堂
カ
テ
ド
ラ
ル
大
聖
堂
カ
テ
ド
ラ
ル
ギ  
 
 
ア
伝
動
装
置
ギ  
 
 
ア
オ  
ア  
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ス
憩
い
の
場
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ス
ホ
バ
リ
ン
グ
空
中
静
止
ホ
バ
リ
ン
グ
ポ  
リ  
ス
都
市
国
家
ポ  
リ  
ス
図 3・13 字数の少ないグループルビの全長を揃えた配置例 2
空
中
静
止
憩
い
の
場
都
市
国
家
伝
動
装
置
荒
野
ム  
 
ア
荒
野
ム  
 
ア
混
沌
カ
オ
ス
混
沌
カ
オ
ス
目
的
地
ゴ  
ー  
ル
目
的
地
ゴ  
ー  
ル
老
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ベ
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老
練
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ベ
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実
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室
ラ  
 
 
 
ボ
実
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堂
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聖
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中
静
止
ホ
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グ
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ス
都
市
国
家
ポ  
 
リ  
 
ス
図 3・11 親文字が 4 字でルビが 7 字の配置例
閑
話
休
題
閑
話
休
題
閑
話
休
題
そ
れ
は
さ
て
お
き
閑
話
休
題
そ
れ
は
さ
て
お
き
そ
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て
お
き
閑
話
休
題
そ
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は
さ
て
お
き
そ
れ
は
さ
て
お
き
閑
話
休
題
そ
れ
は
さ
て
お
き
36	 3  グループルビの配置方法
“実験室(ラボ)”や“伝動装置(ギア)”などのように親文字の字数に比べ,ル
ビの字数がかなり少ないときは,ルビ文字列の先頭側及び末尾側を空ける方式
の方が安定して見える.しかし,図 3・9 でも解説したように,親文字の字数に
比べてルビの字数が極端に少ない場合,先頭側及び末尾側のアキがルビ文字サ
イで全角アキ以上となるケースがある.この場合,親文字とルビとの対応があ
いまいになることもあるので,図 3・14 に示すように先頭及び末尾のアキは,
ルビ文字サイで全角アキ(又は全角二分)までとした方が読みやすい.
図 3・14 の左端がルビ文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,ルビ文字
列の字間を 2 とする方法,中央が先頭側及び末尾側のアキをルビ文字サイズで
全角アキとする方法,右端が先頭側及び末尾側のアキをルビ文字サイズで全角
二分アキとする配置例である.
図 3・15 にルビ文字数が親文字数が 2 倍未満で,比較的にルビ文字数が多い
ものについて,ルビ文字列間をベタ組にし,親文字列とルビ文字列の中心を揃
図 3・14 ルビの字数が極端に少ないグループルビの配置例 2
集
会
の
た
め
の
広
場
集
会
の
た
め
の
広
場
集
会
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た
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広
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集
会
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広
場
ア  
 
 
 
 
ゴ  
 
 
 
 
ラ
図 3・15 グループルビの親文字列とルビ文字列の中心を揃えた配置例
メ
ン
タ
ル
ヘ
ル
ス
心
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健
康
景
気
後
退
老
練
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混
沌
カ
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ス
混
沌
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ス
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老
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聖
堂
カ
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ド
ラ
ル
大
聖
堂
カ
テ
ド
ラ
ル
3. 3  字数の多いグループルビの配置処理	 37
えた配置例を示しておく.
3.3  字数の多いグループルビの配置処理
ルビの字数が親文字 2 倍以上の場合の処理
ルビの字数が親文字 2 倍以上の場合,ルビ文字列の全長は,親文字列の全長
より長くなる.このような場合の配置処理につて,JIS X 4051 では,親文字列
の字間について,X:Y:Z=1:2:1 の比率で空ける方法を規定している.な
お,X, Y, Z は,次による.図 3・16 に例を示す.
X:ルビ文字列の先頭から親文字列の先頭までの空き量.
Y:親文字間の空き量.
Z:親文字列の最後尾からルビ文字列の最後尾までの空き量.
ルビの字数が親文字 2 倍以上の場合の処理例
親文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,親文字列の字間を 2 とする
JIS X 4051 で規定した方法による片仮名ルビの配置例を図 3・17 にいくつか
示す.
図 3・16 字数の多いグループルビの JIS X 4051 の配置方法
X=Z=親文字サイズの 1/4 のアキ
Y=親文字サイズの 1/2 のアキ
X=Z=親文字サイズの 1/6 のアキ
Y=親文字サイズの 1/3 のアキ
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客
ク
ラ
イ
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客
ク
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ン
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境
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ス
境
界
面
イ
ン
タ
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フ
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ス
X
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Y
Z
38	 3  グループルビの配置方法
図 3・17 の左端の“概念(コンセプト)”の親文字の字間は親文字サイズで
1/4 のアキ,親文字列の先頭側及び末尾側は親文字サイズで 1/8 のアキ,“元型
(アーキタイプ)”の親文字の字間は親文字サイズで 1/2 のアキ,親文字列の先
頭側及び末尾側は親文字サイズで 1/4 のアキである.
また,図 3・18 には,親文字とルビ文字列の全長を揃えた方法による配置例
を掲げる.
図 3・17 字数の多いグループルビの JIS X 4051 で規定する配置例
イ
ン
ス
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行
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図 3・18 字数の多いグループルビの全長を揃えた配置例
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3. 4  グループルビの前後の文字等への文字掛け	 39
図 3・19 にルビ文字数が親文字数が 2 倍以上で,比較的にルビ文字数が少な
いものについて,親文字列の字間をベタ組にし,親文字列とルビ文字列の中心
を揃えた配置例を示しておく.
3.5  グループルビの前後の文字等へのルビ掛け
グループルビのはみ出しを前後の文字に掛けてよいか
グループルビの親文字列からはみ出したルビを,その前後に配置する文字や
記号などに掛けてよいのか,あるいは掛けてはいけないのか,という点につい
ては,モノルビの項で解説した考え方と基本的に同じである.しかし,モノル
ビの場合,親文字列とルビ文字列の位置関係は,前後に配置する文字等により
変化する方法もあったが,グループルビの場合は,親文字列とルビ文字列の位
置関係は,行中にあっては変化しないのが普通である)
.
グループルビのはみ出しの処理方法
グループルビにおいて,ルビの字数が親文字の字数の 2 倍以上の場合の処理
としては,次のような方法がある.
① JIS X 4051 で規定する配置方法又は親文字列とルビ文字列の中心を揃え
る方法で親文字とルビの位置関係を決定し,ルビのはみ出しは前後の平仮
) 活字組版では,親文字数と較べてルビ文字数がその 2 倍より 1 字又は 2 字多い場合は,後述する
熟語ルビのように,親文字列はベタ組にし,前又は後ろに配置する親文字に適当に掛ける処理を行
っている例もあった.この場合は,親文字列とルビ文字列の位置関係は変化する.
図 3・19 グループルビの親文字列とルビ文字列の中心を揃えた配置例
元
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仮
設
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40	 3  グループルビの配置方法
名又は片仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛けるが,漢字にはルビは掛
けない.
②親文字列とルビ文字列の位置関係は,①と同じであるが,ルビのはみ出し
は前後の平仮名,片仮名又は漢字にルビ文字サイズで二分まで掛ける.
③親文字列とルビ文字列の位置関係は,①と同じであるが,ルビのはみ出し
は前後の平仮名,片仮名又は漢字には掛けない.
④親文字列とルビ文字列の長さを揃えて,ルビ文字が親文字列よりはみ出さ
ないようにする.
グループルビのはみ出しの処理例
JIS X 4051 で規定する配置方法で,前後の平仮名(又は片仮名)
)にはルビ文
字サイズで全角まで掛けた(漢字には掛けない)例を図 3・20 に示す.
親文字が 2 文字の場合,ルビが 8 字までは親文字からのルビのはみ出しは
ルビ文字サイズで全角以下なので,親文字列の前後に配置する平仮名とはベタ
組となる.しかし,ルビの文字数が 9 字以上(図 3・20 の例では 10 字)の場合
は,親文字列の前後に配置する平仮名との字間が空くことになる.
前後の平仮名(又は片仮名)にはルビ文字サイズで全角まで掛けるが,漢字に
) 前述したように JIS X 4051 では,片仮名は漢字の文字クラスに含めているので,片仮名にルビ
を掛けることを禁止している.しかし,処理系定義で漢字(片仮名を含む)にルビ文字サイズで二分
まで掛ける方法も規定している.
図 3・20 JIS X 4051 の配置方法によるグループルビのルビ掛けの例 1
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3. 4  グループルビの前後の文字等への文字掛け	 41
は掛けないとする方法で,親文字列の前が平仮名,後ろが漢字の例を図 3・21,
親文字列の前及び後ろが漢字の例を図 3・22 に掲げる.図 3・21 の例では,親
文字列の前と後ろのアキが不均一になる.
平仮名(又は片仮名)と漢字にルビ文字サイズで二分までルビが掛ってよいと
図 3・21 JIS X 4051 の配置方法によるグループルビのルビ掛けの例 2
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図 3・22 JIS X 4051 の配置方法によるグループルビのルビ掛けの例 3
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図 3・23 前後の仮名と漢字にルビサイズで二分掛けたグループルビの例 1
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42	 3  グループルビの配置方法
する配置例を図 3・23,図 3・24,図 3・25 に示す.この場合は,前後に配置す
る文字種に関係なく,親文字の前後の字間はいずれもベタ組になるか,又はア
キがある場合も同じアキとなる.
片仮名ルビの場合は,それ自身が 1 つのまとまりをもっていることから,親
文字の前後に配置する文字種が平仮名(又は片仮名)であっても,はみ出したル
図 3・24 前後の仮名と漢字にルビサイズで二分掛けたグループルビの例 2
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図 3・26 前後の仮名と漢字にルビを掛けないグループルビの例 1
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図 3・25 前後の仮名と漢字にルビサイズで二分掛けたグループルビの例 3
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3. 4  グループルビの前後の文字等への文字掛け	 43
ビを掛けない方法が行われていた(漢字にもはみ出したルビは掛けない).この
方法による配置例を図 3・26,図 3・27 に示す.両側が漢字の場合は,図 3・22
と同じになる.
なお,片仮名ルビには親文字の 1 字の例もある.親文字が 2 字以上の片仮名
ルビで前後の仮名や漢字にはみ出したルビを掛けないとする方法で処理した場
合に,親文字が 1 字の片仮名ルビでも,前後に配置する仮名や漢字にも,親文
字からはみ出したルビは掛けないということになる.
平仮名に掛けない例を図 3・28 に示す.なお,平仮名ルビが肩ツキの場合で
も,片仮名ルビでは,親文字列とルビ文字列は中心を揃える方法とする例もあ
るので,図では,親文字列とルビ文字列の中心を揃える方法で示す.
親文字が 1 字の片仮名ルビで,前後に配置する仮名に親文字からはみ出した
ルビについて,平仮名ルビと同様にルビサイズで全角まで掛けた例を図 3・29
に示す.さらに,平仮名にルビサイズで二分まで掛けた例を図 3・30 に示す.
図 3・27 前後の仮名と漢字にルビを掛けないグループルビの例 2
ハ
ー
モ
ナ
イ
ゼ
ー
シ
ヨ
ン
の
原
型
又
の
協  
調
又
の
討  
議
又
の
監
視
又
デ
イ
ス
カ
ツ
シ
ヨ
ン
の
討  
議
又
デ
イ
ス
カ
ツ
シ
ヨ
ン
サ
ー
ベ
イ
ラ
ン
ス
の
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視
又
サ
ー
ベ
イ
ラ
ン
ス
の
協  
調
又
ハ
ー
モ
ナ
イ
ゼ
ー
シ
ヨ
ン
の
作
法
又
エ
チ
ケ
ツ
ト
の
作
法
又
エ
チ
ケ
ッ
ト
プ
ロ
ト
タ
イ
プ
の
原
型
又
プ
ロ
ト
タ
イ
プ
図 3・28 前後の仮名にルビを掛けない親文字 1 字の片仮名ルビの例
の
型
は
タ
イ
プ
ド
リ
ー
ム
の
夢
は
の
型
は
タ
イ
プ
の
夢
は
ド
リ
ー
ム
の
級
は
ラ
ン
キ
ン
グ
の
級
は
ラ
ン
キ
ン
グ
の
駅
は
ス
テ
ー
シ
ョ
ン
の
駅
は
ス
テ
ー
シ
ョ
ン
44	 3  グループルビの配置方法
いずれも親文字列とルビ文字列は,中心を揃える方法である.
3.5  グループルビの行頭・行末の配置処理
グループルビの行頭・行末の配置
グループルビの場合,ルビの文字数が親文字数の 2 倍であれば親文字列とル
ビ文字列の長さが同じになる.また,親文字列又はルビ文字列の長い方に短い
方の字間を空けて揃える場合も,親文字列とルビ文字列の長さが同じになる.
しかし,それ以外の場合は,親文字列とルビ文字列の長さが異なる.この場
合,親文字列の方がルビ文字列より長いときは,親文字列の先頭を行頭に,親
文字列の末尾を行末に揃えればよい.親文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1
図 3・29 前後の仮名にルビを全角まで掛けた親文字 1 字の片仮名ルビの例
タ
イ
プ
ド
リ
ー
ム
の
型
は
の
夢
は
の
型
は
タ
イ
プ
の
夢
は
ド
リ
ー
ム
の
級
は
ラ
ン
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グ
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級
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ラ
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キ
ン
グ
の
駅
は
ス
テ
ー
シ
ョ
ン
の
駅
は
ス
テ
ー
シ
ョ
ン
図 3・30 前後の仮名にルビを二分まで掛けた親文字 1 字の片仮名ルビの例
タ
イ
プ
ド
リ
ー
ム
の
型
は
の
夢
は
の
型
は
タ
イ
プ
の
夢
は
ド
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ラ
ン
キ
ン
グ
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級
は
ラ
ン
キ
ン
グ
の
駅
は
ス
テ
ー
シ
ョ
ン
の
駅
は
ス
テ
ー
シ
ョ
ン
図 3・31 親文字列の方が長いグループルビの行頭・行末の配置例
あ
る
老
練
者
ベ
テ
ラ
ン
あ
る
老
練
者
ベ
テ
ラ
ン
行頭
あ
る
老
練
者
ベ
テ
ラ
ン
あ
る
老
練
者
ベ
テ
ラ
ン 行末
3. 5  グループルビのの行頭・行末の配置処理	 45
とし,親文字列の字間を 2 とする場合の配置例を図 3・31 に示す.
親文字列の方が短いグループルビの行頭・行末の配置方法
親文字列の方がルビ文字列より短い場合は,モノルビの配置でも解説した
ように,ルビ文字列の先頭・末尾を行頭・行末に揃える方法と,親文字列の先
頭・末尾を行頭・行末に揃える方法とがある(JIS X 4051 でも,この2つの方
法を規定している).
ルビ文字列の先頭・末尾を行頭・行末に揃える方法では,図 3・32 に示すよ
うに親文字とルビ文字列の位置関係は,行中の場合と変わらない(親文字列の
先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,親文字列の字間を 2 とする例).
JIS X 4051 では,親文字列の先頭・末尾を,行頭・行末に揃える方法にした
場合,親文字列とルビ文字列の先頭又は末尾を揃え,次のようなルビ文字列の
アキにして配置する方法を規定している.
ルビ文字列の先頭から親文字列の先頭までの空き量を X,親文字列の字間を
Y,親文字列の最後尾からルビ文字列の最後尾までの空き量を Z とすると,グ
ループルビを行頭に配置する場合は,X:Y=1:1,グループルビを行末に配
図 3・32 親文字列の方が短いグループルビの行頭・行末の配置例 1
顧
客
の
こ
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
顧
客
の
こ
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
行頭
あ
る
顧
客
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
あ
る
顧
客
ク
ラ
イ
ア
ン
ト 行末
図 3・33 親文字列の方が短いグループルビの行頭・行末の配置例 2
顧
客
の
こ
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
顧
客
の
こ
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
行頭
あ
る
顧
客
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
あ
る
顧
客
ク
ラ
イ
ア
ン
ト 行末
46	 3  グループルビの配置方法
置する場合は,Y:Z=1:1 とする.つまり,親文字列の先頭側及び末尾側の
アキと親文字列の字間を同じにする配置法である.図 3・33 に配置例を示す.
図 3・33 では,親文字からはみ出したルビを平仮名に掛けているので,図 3・34
では親文字の後ろ又は前が漢字の例を示す.この例で,分かるように,親文字
の字間は,親文字サイズで二分アキ,親文字の末尾又は先頭も二分アキとなっ
ている.
3.6  欧字を含むルビの配置処理
グループルビの一種でもある親文字が欧字,又はルビが欧字の場合の処理に
ついて解説しておく.
親文字が欧字のルビの配置処理
親文字列が欧字又はアラビア数字にルビが付く場合,親文字列の欧字又はア
ラビア数字の字間はベタ組で配置する(欧字やアラビア数字の固有の字幅に応
じたピッチ処理(字送り処理)で配置する).
この場合,片仮名などのルビ文字列が親文字より長い場合は,片仮名などの
ルビ文字列はベタ組とし,親文字列とルビ文字列の中央を揃えて配置する.逆
に親文字列に比べ,片仮名などのルビ文字列が短い場合は,親文字列の長さに
対し,ルビ文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,ルビ文字列の字間を 2
として配置する.配置例を図 3・35 に示す.
図 3・34 親文字列の方が短いグループルビの行頭・行末の配置例3
顧
客
又
は
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
顧
客
又
は
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
行頭
の
後
顧
客
ク
ラ
イ
ア
ン
ト
の
後
顧
客
ク
ラ
イ
ア
ン
ト 行末
小林敏:ルビの配置方法 1 2_2
小林敏:ルビの配置方法 1 2_2
小林敏:ルビの配置方法 1 2_2
小林敏:ルビの配置方法 1 2_2
小林敏:ルビの配置方法 1 2_2
小林敏:ルビの配置方法 1 2_2
小林敏:ルビの配置方法 1 2_2
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小林敏:ルビの配置方法 1 2_2

  • 2.
  • 3. iii ま え が き 難しい漢字の読み方を示す場合や,外国の翻訳語(外来語)に仮名で読み・意 味を示す場合に,振り仮名(ルビ)をよく利用する. しかし,このルビの付け方(どの語に付けるか)や,配置の方法(組版処理方 法)には多くの方法があり,これが唯一の正しい配置方法であると決定するの はむつかしい.そうではあるが,やはり誤読されない,読みやすい,バランス がとれている,という方法は考えられよう. その方法は,ルビを付ける漢字 1 字の読みを示すのか,熟語の読みを示すの か,また,その言葉を別の片仮名語で示すのが目的かなど,その目的に応じて 考えていく必要がある.縦組か横組かでも,ルビの配置方法は変わってくる. また,ルビが付く語の前後に配置する文字種,あるいは,ルビが付いた語が行 中にあるのか,それとも行頭又は行末にあるのかによっても,ルビの配置方法 が変化するケースもあり,なかなかやっかいである. 活字組版では,ルビの配置についての一般的なルールを前提に,個々の箇所 で工夫してルビの配置を決めていた.問題があれば,校正段階で,個別の箇所 ごとにルビの配置位置を変更していた.DTP 等でも,ある程度のルールは決 めていても,個々の箇所でルビの入力方法を変える,あるいは配置のルールを 変更し,その場にあった配置にすることも行われている.このような処理方法 では,原則的なことを決めたルールでよく,ある程度あいまいさを含んでいて もよいことになる. しかし,コンピュータ組版を前提にした場合,自動処理が原則であり,ある 確定したルールでルビの配置を行い,原則として,個々の箇所での変更はしな い,と考えた方がよい.そこで,各種のケースを考慮にいれ,どのようなルー ルにすれば,より問題がでないようになるか,そのための細部の処理まで確定 しているルールが必要になる.
  • 4. iv ここでは,このような問題意識から,ルビはどのように配置したらよいの か,機械的なルールとしては,どのようなルールが考えられるかを検討する. なお,JIS X 4051(日本語文書の組版方法)でも,ルビの配置方法を規定して いる.これらも参照しながら解説する. 第 1 章では,ルビの組版処理について,原則的な考え方を解説する.第 2 章 から第 4 章では,漢字 1 字の読みを示すのか,熟語の読みを示すのか,また, その言葉を別の片仮名語で示すのが目的か,といった目的の違いによる配置処 理について,その組版処理方法を解説する.ここでは,1 つの考え方でなく, 複数の考え方や,その配置例を掲げる.第 5 章では,第 4 章までの配置処理 の解説を前提に,縦組・横組の両方を前提とした 1 つの配置処理案を示す.ま た,第 6 章では,ルビとは異なるが,ルビと似た処理を一部に含む漢文の組版 処理について,特に一般の書籍の文中に挿入する漢文の組版処理について解説 する. 日本語組版に関心がある方の参考に少しでもなれば幸いである. 2012 年 10 月 小 林   敏
  • 5. 目  次 ま え が き 1  ルビの付け方と基本的な配置方法… ………………………    1 1.1  ル ビ と は… ………………………………………………………     1 1.2  ルビを付ける語の選定……………………………………………     2 1.3  ルビの基本的な配置方法… ……………………………………     4 2  モノルビの配置方法… ……………………………………………     8 2.1  肩ツキと中ツキ……………………………………………………     8 2.2  3 字以上のルビが付く場合の処理… …………………………  10 2.3  モノルビの行頭・行末の配置処理… …………………………  15 2.4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか… …………  18 2.5  横組のモノルビの配置処理… …………………………………  27 3  グループルビの配置方法…………………………………………  30 3.1  グループルビの配置処理の基本… ……………………………  30 3.2  字数の少ないグループルビの配置処理………………………  32 3.3  字数の多いグループルビの配置処理…………………………  37 3.4  グループルビの前後の文字等へのルビ掛け…………………  39 3.5  グループルビの行頭・行末の配置処理………………………  44 3.6  欧字を含むルビの配置処理… …………………………………  46 4  熟語ルビの配置方法… ……………………………………………  50
  • 6. 4.1  熟語ルビの配置処理の基本… …………………………………  50 4.2  JIS X 4051 の熟語ルビの配置処理……………………………  52 4.3  後ろへのはみ出しを優先する熟語ルビの配置処理… ……  57 4.4  文字列の中心を揃える熟語ルビの配置処理…………………  69 5  ルビの配置処理の 1 つの案… …………………………………100 5.1  ルビの配置処理の 1 つの案の前提……………………………100 5.2  縦組・横組共通のルビの配置処理案…………………………101 5.3  縦組・横組共通のルビの配置処理案の例……………………105 6  漢文の配置処理………………………………………………………130 6.1  漢文を構成する要素………………………………………………130 6.2  漢文ベタ組の配置処理……………………………………………135
  • 7. 1  ルビの付け方と基本的な配置方法 1. 1  ル ビ と は 漢字に読み仮名を付ける 漢字の読み方を示す(読み仮名を付ける)には,次のような方法がある. 1) 漢字の後ろの括弧内に,その読み方を示す. 例 模索(もさく) 模索(もさく) この場合,前者の例のように,漢字と同じ文字サイズにする方法と,後者の 例のように括弧内の文字サイズを 1 段階小さくする方法とがある. 2) 漢字の後ろの括弧内に,2 行に割書きにして,その読み方を示す.この 方法は割 わり ルビと呼ばれている.行間の狭い辞書などに使用例がある. 例 模索(もさ く ) 3) 漢字の傍らにルビ(振り仮名)として示す. 例 模 も 索 さく ル ビ と は ルビ) とは,振り仮名のことである.ルビという名称は,かつてわが国の印刷界でルビ に用いていた七号活字) に相当する欧文活字の大きさの名称として“ルビー”が用いられ ていたことによる.一般に,次に示す例のように漢字の読み方を示す場合は,ルビ文字 に“ひらがな”を用い,外国の翻訳語(外来語)に仮名で読み・意味を示す場合は,ルビ ) 日本語文書の組版方法を規定した JIS(日本工業規格)に JIS X 4051(日本語文書の組版方法)が ある.これでは,ルビのことを“文字のそばにつけて文字の読み方,意味などを示す小さな文字” と定義している. ) かつてわが国の印刷界では本文活字に主として五号(10.5 ポ相当)を使っていた.その本文の振 り仮名としては七号活字(5.25 ポ相当)を使用していたが,この七号活字が欧文活字の古い名称の 一つであったルビー(ruby,5.5 ポ相当)にほぼ該当する大きさであったので,ルビと代称し,やが ては振り仮名のことを意味するまでになってきた.
  • 8. 1  ルビの付け方と基本的な配置方法 文字に“カタカナ”を用いる.  例 漢 かん 字 じ  規 ル ー ル 則 なお,ルビ(ルビ文字)の付く対象の文字(本文の文字)を親 おや 文 も 字 じ という.下記の“組 くみ 方 かた ” の例で“組方”という文字が親文字であり,“くみかた”という文字がルビ文字である. 例 組 くみ 方 かた また,“ル ruby ビ”のようにルビ文字が欧字の例や,“r ル ビ uby”のように親文字が欧 字の例もある) . 1.2  ルビを付ける語の選定 ルビを付ける語の選定方法 ルビを付ける語の選定方法には,次の 2 つの方法がある. 総ルビ 出てくる漢字の全部にルビを付ける方法である.児童書などで行わ れている方法である. パラルビ 出てくる全部の漢字ではなく,一部の漢字にのみ付ける方法であ る.一般書では,この方法がよく採用されている. パラルビの場合,選定したルビを付けるとした語句すべてに付ける場合と, 初出に限り付ける方法とがある. 初出に限り付ける方法では,その本全体を通しての初出,章ごとの初出,見 開きページ単位での初出など,いくつかの方法がある. ルビを付ける語句の選定 ルビを付ける語句の選定は,読者対象,出版物の性格などを考えて一定の基 準をたて,難易にむらがないように付ける. なお,ルビは語単位に付けることを原則とし,熟語のうちの 1 字だけ,又は ) 平仮名(又は片仮名)の語句に対し,ルビを付ける位置に漢字を付ける方法がある.振り漢字と呼 ばれている.ルビの文字サイズは,一般に親文字の 1/2 とするが,振り漢字の場合は,1/2 では小 さい場合が多く,親文字を 9 ポイントとすると,振り漢字は 6 ポイントくらいにしている.
  • 9. 1. 2  ルビを付ける語の選定 一部だけに付けるやり方は,特殊な場合を除いてなるべく避ける. 例 編纂 さん →編 へん 纂 さん  遷 せん 移→遷 せん 移 い ただし,熟語のうち,数字) や接尾辞,普通名詞などにはルビを省く場合が ある. 例 醍 だい 醐 ご 天皇 堀 ほり 川 かわ 君 信 しな 濃 の 川 鳥 とり 部 べ 山 物 もの 語 がたり 風 英 イ ギ リ ス 吉利語 田 た 原 わら 町   加 か 茂 も 神社 一文 もん 字 じ  百五十石 こく ルビの文字使い 原則として,本文が平仮名で書かれた文章の場合はルビも平仮名を,本文が 片仮名の場合はルビも片仮名を使用する.前述したように外国の翻訳語にルビ を付ける場合は片仮名を使用するのが普通である. 仮名遣いも本文の仮名遣いに従う.繰り返し符号も本文の用例に従う) . ルビのなかに出てくる拗音・促音等は児童物など特殊な場合を除き,なるべ く小さな字面の文字(小書きの仮名)を使用しないで,直音と同じにして組む. 拗音・促音は,本文では小書きの仮名を使用している.これに対して,ルビで は文字が非常に小さくなるので,判読の区別がつかないことから,拗音・促音 も普通の仮名文字と同じ大きさで組んでおり,活字では,小さな字面(小書きの 仮名)のルビ文字がそもそも準備されていなかった.もともとルビは小さな文 字であり,あまり読みやすいものではないので,特に小さくして拗音・促音を 示す必要がある場合を除いて,小さな字面の拗音・促音は使用しないほうが望 ましい. 例 刷 さつ 版 ぱん   背 せひよう 標  検 ア ジ エ ン ダ 討課題 ただし,コンピュータ組版では,拗音・促音を小さな字面にして処理するこ とが可能であり,最近は,一般書においても,下記の例に示したように小書き ) 純粋に数を表すものには,ルビを付ける方針とルビを付けない方針とがある.しかし,後者の方 針のものでも,“一頭地を抜く”や“一息”の“一”のようなものや熟語・熟字中の数字にはルビを 付けるようにしたほうがよい. ) 編集上の見地から,本文が片仮名の場合にルビを平仮名にしたり,本文が旧仮名遣いでもルビは 新仮名遣いにしたり,ルビには繰り返し符号を用いない組方も行われている.
  • 10. 1  ルビの付け方と基本的な配置方法 にした拗音・促音等を使用した例が増えている. 例 刷 さっ 版 ぱん   背 せひょう 標  検 ア ジ ェ ン ダ 討課題 1.3  ルビの基本的な配置方法 ルビは,縦組か横組かといった組方向,漢字の読みを示すのか,それとも片 仮名のルビのように語の意味を示すのか,といった点で配置方法に違いがでて くる.ここでは,こうした細部の問題に入る前提として,ルビの配置方法の基 本的な事項を解説する. ルビの配置位置 ルビは一般に,横組の場合は(下記の左側の例のように)親文字の上側,縦組 の場合は親文字の右側に配置する. 例 刷 すり 本 ほん と折 おり 本 ほん   刷 すり 本 ほん と折 おり 本 ほん      なお,版面の先頭行にルビを付ける親文字がきた場合,縦組では版面の右側 に版面よりはみ出してルビを配置し,横組では版面の上側に版面よりはみ出し 図 1・1 版面の先頭行のルビの配置例 を 構 こ う 成 せ い す る 画 が 像 ぞ う に 階 か い ち よ う 調 の な い 原 げ ん 稿 こ う と 連 れ ん 続 ぞ く し た 階 か い ち よ う 調 の あ る 原 稿 と が あ ある,この画 が 像 ぞう に階 かいちよう 調  のない原 げん 稿 こう と連 れん 続 ぞく した  階 かいちよう 調のある原稿とが 行頭 版面の先頭 ルビ 行末 版面の先頭 行頭 行末 矩形は基本版面で設定した文字位置を示す
  • 11. 1. 3  ルビの基本的な配置方法 てルビを配置する(図 1・1 参照).ただし,行頭・行末にくる親文字にルビを付 ける場合は,版面よりはみ出して配置しない(その配置方法は後述する). ルビの文字サイズ ルビ文字は,原則として本文に使用する文字サイズの 2 分の 1 のものを用い る.10 ポイント(以下ポと略す),9 ポ,8 ポ,7 ポの本文文字に応じて,それ ぞれ 5 ポ,4.5 ポ,4 ポ,3.5 ポの大きさの文字にする. 例 10 ポ 破 は 天 てん 荒 こう な現 リ ア リ ス ト 実主義者     9 ポ 破 は 天 てん 荒 こう な現 リ ア リ ス ト 実主義者     8 ポ 破 は 天 てん 荒 こう な現 リ ア リ ス ト 実主義者     7 ポ 破 は 天 てん 荒 こう な現 リ ア リ ス ト 実主義者 本文が 7 ポ(約 10 級)以下の場合) には,ルビが小さくなってしまうので, なるべくルビは付けないようにする.親文字の後ろにパーレン等でくくって読 みを付ける方法も考えられる. 見出し等の大きな文字(12 ポ(約 16 級)以上)にルビを付ける場合は,使用文 字の 2 分の 1(1/2)の大きさのルビを付けると,ルビが大きくみえすぎるので, 使用文字の 1/2 よりはやや小さくしたほうが体裁がよい.この場合は,本文 が肩ツキ形式(後述)でも中ツキ形式(後述)のほうが体裁がよい.次ページの図 1・2 に例を示す. また,ルビ文字の行送り方向の幅は親文字の 1/2 であるが,字送り方向の字 幅を親文字の 1/3 としたルビ文字もある.三分ルビとよばれている. 以下,ここでは,ルビ文字の文字サイズは,親文字の文字サイズの 1/2 の場 合に限定して解説していく.また,ルビと親文字に欧字やアラビア数字を使用 する例は,以下の説明では当面は除外し,当面は親文字には漢字か仮名,ルビ には仮名を使う場合に限定して解説する. ) 活字組版では,3.5 ポのルビ文字を準備している印刷所もあったが,準備していない場合があっ た.この場合,7 ポの親文字に対し,ルビ文字を 4 ポにしていた例もあった.   例 破 は 天 てん 荒 こう な現 リ ア リ ス ト 実主義者 (親文字は 7 ポ,ルビ文字は 4 ポ)
  • 12. 1  ルビの付け方と基本的な配置方法 平仮名ルビと片仮名ルビ 平仮名ルビ 漢字の読み方を示す場合,一般に平仮名を用いる.平仮名ルビ という.漢字の読みを示す平仮名ルビには,漢字 1 文字ごとの読みを示す場合 と 2 文字以上の漢字で構成される熟語の読みを示す場合がある. 漢字 1 文字ごとの読みを示す場合は,各親文字ごとにルビを対応させて配置 する(詳細な配置方法は後述). 例 天 てん と地 ち 熟語の場合,熟語を構成する各漢字と読み方を示すルビをできるだけ対応さ せて配置するが,熟語としてのまとまりを示すために熟語を単位としてルビを 付ける(詳細な配置方法は後述). 例 端 は 物 もの   判 はん 型 がた   背 せちよう 丁  入 にゆうこう 稿   入 にゆう 稿 こう   入 にゆうこう 稿  なお,熟語であっても,出版物の刊行目的から,漢字 1 文字ごとの読みを明 確に示すために,それぞれの漢字とルビとの対応を優先して配置する方法にす る場合もある(詳細な配置方法は後述). 例 背 せ 丁 ちよう   背  せちよう 丁   入 にゆう 稿 こう 図 1・2 大きな親文字サイズにルビを付けた例(左側が 1/2 より小さい) 12ポ   破 は 天 て ん 荒 こ う な 現 リ ア リ ス ト 実 主 義 者 14ポ   破 は 天 て ん 荒 こ う な 現 リ ア リ ス ト 実 主 義 者 16ポ   破 は 天 て ん 荒 こ う な 現 リ ア リ ス ト 実 主 義 者 12ポ   破 は 天 て ん 荒 こ う な 現 リ ア リ ス ト 実 主 義 者 14ポ   破 は 天 て ん 荒 こ う な 現 リ ア リ ス ト 実 主 義 者 16ポ   破 は 天 て ん 荒 こ う な 現 リ ア リ ス ト 実 主 義 者
  • 13. 1. 3  ルビの基本的な配置方法 また,熟語の中には,当て字や熟字訓など,おのおのの漢字にルビを割り当 てることができない場合がある.この場合は,対象の語全体に対して平均して 振り当てる(詳細な配置方法は後述). 例 田 い な か 舎  五 さ み だ れ 月雨 片仮名ルビ ルビには,その言葉の意味を外国語の片仮書きで示す場合があ る.片仮名ルビという.片仮名ルビは 1 つの単語として対象の語に付くので あるから,当て字や熟字訓など,おのおのの漢字にルビを割り当てることがで きない場合と同様に対象の語全体に対して平均に振り当てる(詳細な配置方法 は後述). 例 影 ア セ ス メ ン ト 響評価   指 ガイドライン 針   モノルビ・グループルビ・熟語ルビ モノルビ コンピュータ組版では,対象の文字(親文字)に対して 1 文字ごと にルビ文字を対応させていく方法をモノルビ(対字ルビ)という(詳細な配置方 法は後述).親文字が 1 文字の平仮名ルビや,熟語でも熟語を構成する各漢字 とルビとの対応を重視して付けるルビは,モノルビということになる.また, 片仮名ルビでも,親文字が 1 字の場合は,モノルビである. グループルビ 当て字・熟字訓や片仮名ルビのように,複数文字の語(親文字 が 2 字以上)に対して全体に平均してルビを振り当てて配置する方法をグルー プルビ(対語ルビ)という(詳細な配置方法は後述). 熟語ルビ 熟語としてのまとまりを重視して配置するルビは,熟語ルビ) とい う(詳細な配置方法は後述).熟語ルビは,熟語を構成する各漢字に付けるルビ の字数が少ない場合は,モノルビで配置した場合と同じになる.しかし,ルビ の字数が多い場合は,モノルビで配置した場合と必ずしも同じにならない. ) 熟語ルビは,JIS X 4051 の第 3 次規格(2004 年の改正)で規定された方法である.ここで規定さ れている配置方法は後述する.
  • 14. 2  モノルビの配置方法 2.1  肩ツキと中ツキ 肩ツキと中ツキの例 親文字 1 字にルビ 1 字の場合,縦組では,親文字の上半分に付ける方法があ る.この方法を肩ツキ(肩付き)という.(矩形は仮想ボディを示す.以下同じ) 例  漢字 1 字にルビ 1 字の場合,親文字の中央に付ける方法もある.この方法 を中ツキ(中付き)という.縦組では,肩ツキにする例と中ツキにする例がある が,横組では,必ず親文字の中央に付ける中ツキにする.横組ではルビを親文 字の左右中央に配置し,左右のバランスをとった方がよいからである. 例   中ツキと肩ツキという用語の意味 肩ツキ,中ツキの用語は,ややあいまいな点がある.次のような 2 つの考え 方がある. ①肩ツキと中ツキは,あくまで,親文字 1 字に対し,ルビ 1 字の場合の配置 方法である. ②親文字 1 字でルビ 1 字の場合と限定したものではない.親文字の先頭と ルビの文字列(ルビ文字列)の先頭を揃える方法が肩ツキであり,親文字の 地 ち と 弧 こ 地 ち と 弧 こ 地 ち と 弧 こ 地 ち と 弧 こ 地と弧 ち   こ 地と弧 ち   こ
  • 15. 2. 1  肩ツキと中ツキ 文字列(親文字列)とルビ文字列の中心を揃える方法が中ツキである. 活字組版では,親文字 1 字に 3 字以上のルビが付く場合は,前後に配置する 文字種(文字クラス) )により,個別の箇所ごとに工夫していたので,一般に① のように考えてきた.これに対し,コンピュータ組版では,その処理を明確に する必要があり,親文字の上端を揃えるのなら,ルビ文字が 3 字以上付く場合 も,同様な処理にするということで,②の意味で使用している例がある. 実際のルビの処理方法を考えた場合は,①と考えた方がよい.その理由とし ては,行の途中にある親文字 1 字にルビ文字が 4 字付いた場合,②でいう肩ツ キの方法を採用する例は多くないであろう.②の考え方では,中ツキについて は,統一的に処理できるが,肩ツキでは必ずしもそうはならない場合がある, ということである. 以下,ここでいう肩ツキと中ツキの用語は,①の考え方で説明を行い,②の 意味でこの用語を用いる場合は,②の意味でという限定を付ける. 親文字 1 字に 2 字のルビが付いた場合 親文字 1 字にルビが 2 字付く場合は,親文字とルビ文字の長さが揃うので問 題はない.前述の②でいう肩ツキでも中ツキでも,同じ配置位置になる. 例  親文字 1 字に 3 字以上のルビが付いた場合の考え方 1 文字の親文字に 3 字以上のルビ文字が付く場合は,親文字からルビ文字が はみ出すことになる,この処理方法としては,次のようなものが考えられる. ) 文字クラスとは,文字をその属性で分類することで,その目的で各種のものが考えられる.日本 語組版では,文字や記号を,その配置処理の違いで分類するものが考えられている.例えば,JIS X 4051 でも,文字や記号を文字クラスで分類し,その処理内容を定義している. 線 せ ん と 面 め ん 線 せ ん と 面 め ん
  • 16. 10 2  モノルビの配置方法 (1) 親文字からのルビのはみ出しは,後ろ側を優先し,前後に配置する文 字種(文字クラス)により,前又は前と後ろの両側とする.後ろの文字に掛 けてよい量だけまずルビを掛け,それで処理できない場合,次に前の文字 に掛けてよい量だけルビを掛けてはみ出させ,それでも処理できない量 は,前及び後ろに均等に追加する(最後のケースでは前後の文字との字間 が空くことになる). (2) 親文字からのルビのはみ出しは,前と後ろを均等とすることを優先す る.前と後ろの文字にルビが掛かってよい量が同じ場合は,前と後ろに均 等にはみ出させ,前と後ろの文字にルビが掛かってよい量が異なる場合 は,まず掛けてよい量まで前又は後ろに掛け,それで処理できない量は, 前及び後ろに均等に追加する. (3) 親文字からのルビのはみ出しは,前と後ろを均等とする. 肩ツキ(前述の肩ツキと中ツキの考え方の①)の場合,ルビの字数が多い処 理方法としては,(1)が一般に選択される.(3)とする例もある.(3)とする例 は,親文字列とルビ文字列は必ず中心を揃えるようになっており,①でいう肩 ツキは,ルビ文字列の入力の際に,1 字のルビ+ルビの全角スペース(空白)と いう形で入力し,処理する方法である. 中ツキ(前述の肩ツキと中ツキの考え方の①)の場合,ルビの字数が多い処理 方法としては(3)が一般に選択される.多くはないが,(2)とする例もある. 2.2   3 字以上のルビが付く場合の処理 1 文字の親文字にルビ文字が 3 字以上付く場合は,親文字からルビがはみ出 す.この場合の処理は,前述したようにいくつかの方法がある.なお,行中と 行頭・行末では,処理が異なる場合があるが,この問題は後から解説する. ルビ文字のはみ出しは後ろを優先する方法 前述の(1)の方法である.繰り返すと,後ろの文字に掛けてよい量だけまず
  • 17. 2. 2  3 字以上のルビが付く場合の処理 11 ルビを掛け,それで処理できない場合,次に前の文字に掛けてよい量だけルビ を掛けてはみ出させ,それでも処理できない量は,前及び後ろに均等に追加す る方法である.1 字の親文字に 3 字のルビが付く例を図 2・1 に示す. ところで,ルビの付く親文字の前後の平仮名又は片仮名に,ルビ文字サイズ で 1 字まで掛けても誤読される恐れは少ない.これに対し,親文字の前後に配 置する親文字とは別の漢字にルビ文字を掛けると誤読される恐れがあり,こう した漢字には掛けないというのが一般的な考え方である(漢字にもルビ文字サ イズで二分まで掛かってよい,という考え方もあるが,この例は後で示す). この考え方でのルビの配置は,図 2・1 のようになる.図 2・1 の左の 3 つは, 前又は後ろが平仮名なので,前又は後ろにルビを 1 字だけ掛けることができ る.両側が平仮名の左端の例では,後ろへのはみ出しを優先する. 両側が漢字の場合は,前及び後ろにルビ文字サイズで二分だけはみ出すが, これは漢字には掛けることができないので,親文字サイズで四分だけ字間が空 くことになる.なお,この場合でも,図 2・2 のように,後ろへのはみ出しを優 先させる方法もある.この場合は,親文字の後ろが二分アキになる) . ) 活字組版のように個別箇所で状況に応じて工夫する方法であれば図 2・2 のような方法もでき る.しかし,明確なルールにより機械的な処理する方法では,前後に平均ではなく,二分(又は四 分)単位で,後ろ,次に前,その次は後ろ,…,といったルールが必要になる.ルールも簡単にする ことが望ましので,以下では,こうした方法は採用しないことにする 図 2・1 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 1 後 蝶 ち よ う 又 後 蝶 ち よ う 又 の 蝶 ち よ う 又 の 蝶 ち よ う 又 後 蝶 ち よ うは 後 蝶 ち よ うは の 蝶 ち よ うは の 蝶 ち よ うは 図 2・2 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 2 又又 後 蝶 ち よ う 又 後 蝶 ち よ う 又
  • 18. 12 2  モノルビの配置方法 1 字の親文字に 4 字のルビが付く場合は,両側にはみ出すことになるが,前 後に配置する文字や記号によって配置位置は変化する.例を図 2・3 に示す. 中央の 2 つは,後ろ又は前が漢字なので,ルビを掛けることができない. 前又は後ろの平仮名にルビ文字を 1 字掛ける.残りのルビ 1 字分は,前後に 等分にはみ出させ,その結果として,親文字の前後が四分アキになる.右端の 例は,前後が漢字なので,両側ともに,はみ出したルビを掛けることができな い.そこで,両側に等分にルビ 1 字分はみ出させ,その結果として,親文字の 前後が二分アキになる. ルビ文字が 5 字以上の例は多くないが,同様に考えていけばよい. ルビ文字のはみ出しは前後を平均にする方法 親文字からはみ出すルビ文字について,前及び後ろを同じ量にする方法であ る.つまり,ルビ文字列の中心を親文字の中心に揃えて配置する方法である. その場合,前後に配置する平仮名及び片仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛 けてよいとする方法と,漢字・平仮名・片仮名すべてについてルビ文字サイズ の二分まで掛けてよいとする方法がある.前者の方法は,親文字の前後のアキ が揃わない場合がでてくるが,後者では揃う.また,後者は,漢字にルビ文字 の 礎 は い し ず え の 礎 は い し ず え の 礎 又 い し ず え の 礎 又 い し ず え 後 礎 は い し ず え 後 礎 は い し ず え 後 礎 又 い し ず え 後 礎 又 い し ず え 図 2・3 1 文字の親文字にルビが 4 字の例 1 図 2・4 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 3 の 蝶 は ち よ う の 蝶 は ち よ う の 蝶 又 ち よ う の 蝶 又 ち よ う 後 蝶 は ち よ う 後 蝶 は ち よ う 後 蝶 又 ち よ う 後 蝶 又 ち よ う
  • 19. 2. 2  3 字以上のルビが付く場合の処理 13 サイズの二分までならば,ルビ文字を掛けても誤読される恐れは少ないであろ う,という考え方である.前者の方法を図 2・4 に示す. 図 2・4 では,親文字とルビ文字の配置位置の関係は同じであるが,前又は後 ろに配置する文字により親文字の前後のアキが異なる.前後の文字が漢字の場 合は,親文字との字間が四分アキになる. 漢字・平仮名・片仮名すべてについてルビ文字サイズの二分まで掛ける方法 を図 2・5 に示す.この場合は,親文字の前後はすべてベタ組となる. 1 文字の親文字に 4 字のルビが付く場合は,図 2・6 又は図 2・7 のようにな る.図 2・6 は,平仮名又は片仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛かってよい が,漢字には掛けない例である.図 2・7 は,漢字・平仮名・片仮名に,ルビ文 字サイズで二分まで掛かってよい,という方法である.親文字の前後の字間が 空く場合,一般的にいえば,前後の文字が漢字でも仮名であっても,同じアキ の方がバランスがよい,と考えれば図 2・7 の方法となる.漢字に掛かるのは問 図 2・5 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 4 の 蝶 は ち よ う の 蝶 は ち よ う の 蝶 又 ち よ う の 蝶 又 ち よ う 後 蝶 は ち よ う 後 蝶 は ち よ う 後 蝶 又 ち よ う 後 蝶 又 ち よ う 図 2・6 1 文字の親文字にルビが 4 字の例 2 の 礎 は い し ず え の 礎 は い し ず え の 礎 又 い し ず え の 礎 又 い し ず え 後 礎 は い し ず え 後 礎 は い し ず え 後 礎 又 い し ず え 後 礎 又 い し ず え 図 2・7 1 文字の親文字にルビが 4 字の例 3 の 礎 は い し ず え い し ず え の 礎 は い し ず え の 礎 又 の 礎 又 い し ず え い し ず え い し ず え 後 礎 は 後 礎 は 後 礎 又 い し ず え 後 礎 又 い し ず え
  • 20. 14 2  モノルビの配置方法 題と考えれば図 2・6 の方法となる. なお,漢字にも仮名にもルビを掛けないという方法もある.この場合は,図 2・8 のようになるが,必要以上に親文字の前後が空いてしまう,という問題が でてくる. 1 字の親文字に 5 字以上のルビが付く場合も,同様に考えていけばよい. ルビ文字のはみ出しは前後平均を優先する方法 後ろの文字にルビが掛かってよい量が同じ場合は,前と後ろを均等にはみ出 させ,前と後ろの文字にルビが掛かってよい量が異なる場合は,まず掛けてよ い量まで前又は後ろに掛け,それで処理できない量は,前及び後ろに均等に追 加する方法である.前述の(2)の方法である.1 字の親文字に 3 字のルビが付 く例(漢字には掛けないが,仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛けてよい場 合)を図 2・9 に示す.図 2・1 と比較すると,左端の例だけが異なる. なお,漢字・仮名にルビ文字サイズで二分まで掛ける又は掛けないとする場 合は,前項と同じになる. 1 文字の親文字に 4 字のルビが付く場合は,漢字には掛けないが,仮名には ルビ文字サイズで全角まで掛けてよいときは,図 2・3 と同じである.漢字・仮 図 2・8 1 文字の親文字にルビが 4 字の例 4 の 礎 は い し ず え の 礎 は い し ず え の 礎 又 い し ず え の 礎 又 い し ず え 後 礎 は い し ず え 後 礎 は い し ず え 後 礎 又 い し ず え 後 礎 又 い し ず え 図 2・9 1 文字の親文字にルビが 3 字の例 5 又 後 蝶 ち よ う 又 後 蝶 ち よ う 又 の 蝶 ち よ う 又 の 蝶 ち よ う 又 後 蝶 ち よ うは 後 蝶 ち よ うは の 蝶 ち よ うは の 蝶 ち よ うは
  • 21. 2. 3  モノルビの行頭と行末の処理 15 名にルビ文字サイズで二分まで掛ける又は掛けないとするときは,図 2・7 又は 図 2・8 と同じである. 1 字の親文字に 5 字以上のルビが付く場合も,同様に考えていけばよい. 2.3  モノルビの行頭・行末の配置処理 行頭又は行末では,版面又は段の領域からルビをはみ出させないのが原則で ある.親文字に付くルビが 2 字以下の場合は問題がでないが,ルビが 3 字以上 となると,親文字からルビがはみ出すので,この場合の処理が問題になる. JIS X 4051 の処理方法 JIS X 4051 では,次の 2 つの処理方法を規定している.①の方法が基本で, ②の方法がオプションである. ①前方向に親文字からのルビのはみ出しがあった場合は,ルビ文字列の先頭 を行頭に接して配置する.後ろ方向に親文字からルビのはみ出しがあった 場合は,ルビ文字の末尾を行末に接して配置する.ルビの親文字が必ずし も行頭又は行末に接していなくてよい. ②行頭では親文字列とルビ文字列の先頭を揃え,行末では親文字列とルビ文 字列の先頭を揃えて配置する.ルビの付く親文字は必ず行頭又は行末に接 して配置する. ルビ文字列の先頭又は末尾を揃える処理例 ルビの親文字が必ずしも行頭又は行末に接していなくてよい方法で,行頭で 図 2・10 行頭のルビの処理例 1 蝶 に は ち よ う 蝶 に は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 礎 に は い し ず え 礎 に は い し ず え 礎 又 は い し ず え 礎 又 は い し ず え 行頭 行頭
  • 22. 16 2  モノルビの配置方法 1 文字の親文字に 3 字又は 4 字のルビが付く例を図 2・10 に示す(後ろへのは み出しを優先し,漢字には掛けないが,仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛 けてよい場合). なお,行末は,反対になると考えればよい. 図 2・11 と図 2・12 には,親文字列からのルビ文字列のはみ出しを平均にす る(3)の方法で,漢字には掛けないが,仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛 けてよい場合と,漢字にも仮名にもルビ文字サイズで二分まで掛けてよい場合 の配置例を示す. なお,行末は,反対になると考えればよい. ルビ文字列の先頭又は末尾を揃える処理例 ルビの親文字を必ず行頭又は行末に接して配置する方法で,行頭で 1 文字の 親文字に 3 字又は 4 字のルビが付く例を図 2・13 と図 2・14 に示す.図 2・13 図 2・11 行頭のルビの処理例 2 蝶 に は ち よ う 蝶 に は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 礎 に は い し ず え 礎 に は い し ず え 礎 又 は い し ず え 礎 又 は い し ず え 行頭 行頭 図 2・12 行頭のルビの処理例 3 蝶 に は ち よ う 蝶 に は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 礎 に は い し ず え 礎 に は い し ず え 礎 又 は い し ず え 礎 又 は い し ず え 行頭 行頭 図 2・13 行頭のルビの処理例 4 蝶 に は ち よ う 蝶 に は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 礎 に は い し ず え 礎 に は い し ず え 礎 又 は い し ず え 礎 又 は い し ず え 行頭 行頭
  • 23. 2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか 17 は,漢字には掛けないが,仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛けてよい場合 であり,図 2・14 は,漢字にも仮名にもルビ文字サイズで二分まで掛けてよい 場合の配置例である. 行末は,反対になると考えればよい. 肩ツキ・中ツキと行頭・行末のルビの配置 親文字 1 字にルビ 1 字の配置を肩ツキ又は中ツキとした場合,JIS X 4051 でいう②の方法(親文字を必ず行頭に接して配置する)とするか,それとも,① の方法(親文字を行頭に必ずしも接して配置しなくてよい)とするかは決まって いない.各種の組合せがある.一般に肩ツキとした場合は,②とするが,①と する例もそれなりにある.逆に中ツキの場合も,②としている例もある. 3 字以上のルビが付いた場合の処理法にもよる.中ツキで,かつ,3 字以上 のルビが付いた場合の処理法に(3)を選んだ場合は,すべて親文字列とルビ文 字列の中心を揃えるという点からいえば,①の方法がよいであろう.他の組合 せの場合は,①も②の方式も選択肢としては考えられる. 改行の全角アキや字下げした場合のルビ掛け 行頭又は行末からのルビのはみ出しは認められてはいない.原則として版面 又は段の領域から文字等をはみ出させない,ということからきている. しかし,段落を改めるために改行した場合,一般に全角アキにしているが, ここは版面又は段の領域の内部である.また,引用などでは字下げして区分を 明確にする例があるが,この字下げした場合も,版面又は段の領域の内部であ る. 図 2・14 行頭のルビの処理例 5 蝶 に は ち よ う 蝶 に は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 蝶 又 は ち よ う 礎 に は い し ず え 礎 に は い し ず え 礎 又 は い し ず え 礎 又 は い し ず え 行頭 行頭
  • 24. 18 2  モノルビの配置方法 そこで,このように版面又は段の領域の内部である場合,あくまで行頭か らのはみ出しは認められないとして,ここへのはみ出しを認めない考え方もあ るが,その箇所でルビ文字サイズで全角までのはみ出しを認める処理方法も ある.図 2・15 に例を示す.上段がルビを改行行頭の全角アキにはみ出させた 例,下段がはみ出させない例である.下段の左側は,後ろへのはみ出しを優先 した例,右側は,親文字列とルビ文字列の中心を揃えた例である.いずれも親 文字の後ろの平仮名にルビ文字サイズで全角までルビを掛けている例である. 引用などで字下げした場合は,一般には引用の行頭からのはみ出しはしない が,詩などを字下げして引用した場合などでは,字下げの領域にルビ文字サイ ズで全角まではみ出す処理を行っている例もある. 2.4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか ルビのはみ出しを前後の文字に掛けてよいか これまで,ルビの字数が多く,親文字からルビがはみ出した場合,前後に配 図 2・15 改行行頭のルビの処理例   筍 を 楽 し …… に 探 し て み …… 次 の 機 会 に …… た け の こ   筍 を 楽 し …… に 探 し て み …… 次 の 機 会 に …… た け の こ   筍 を 楽 し …… に 探 し て み …… 次 の 機 会 に …… た け の こ   筍 を 楽 し …… に 探 し て み ……次 の 機 会 に …… た け の こ   筍 を 楽 し …… に 探 し て み …… 次 の 機 会 に…… た け の こ   筍 を 楽 し …… に 探 し て み …… 次 の 機 会 に …… た け の こ
  • 25. 2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか 19 置する文字等にルビが掛かってよいかどうかは,次のように漢字と仮名につい てのみ,3 つの方法について解説してしてきた. ①漢字には掛けてはいけないが,仮名(平仮名及び片仮名)にはルビ文字サイ ズで全角まで掛かってよい) . ②漢字及び仮名(平仮名及び片仮名)にはルビ文字サイズで二分まで掛かって よい) . ③漢字及び仮名(平仮名及び片仮名)にはルビを掛けない) . 親文字の前又は後ろの漢字にルビを掛けないのは,誤読を避けるためであ る.平仮名や片仮名にルビ文字サイズで全角までルビを掛けても,一般にルビ を付ける親文字は漢字であるので,誤読される恐れは少ない,という考えから である.しかし,平仮名の親文字に片仮名でルビを付ける例もあるので,その 場合は誤読の恐れがある) .漢字及び仮名(平仮名及び片仮名)にはルビを掛け ない,という方法は,誤読を避けるという点ではメリットがあるが,字間が必 要以上に空いてしまう,という問題がある. 漢字・仮名以外の文字種(文字クラス)にルビを掛けてよいか 漢字や仮名以外の文字・記号にルビを掛けてよいかどうかは,誤読されない か,あるいは体裁がよいかどうか,といったことから考えていくことになる. JIS X 4051 における漢字や仮名以外についての規定を紹介しながら,JIS X 4051 とは異なる考え方も同時に示す. 親文字をくくる括弧類 親文字をくくる括弧類には,ルビ文字サイズで全角ま で掛かってよい. ) JIS X 4051 でも同様な規定があるが,片仮名は漢字などと同じ文字クラスに含めているので,片 仮名には掛けてはいけないことになっている. ) JIS X 4051 では,オプション(処理系定義)により漢字(片仮名を含む)にルビ文字サイズで二分 まで掛かってよい方法を規定している. ) JIS X 4051 では,オプションで漢字及び平仮名にルビを掛けてはいけない方法を規定している. ) 活字組版では,平仮名ルビと片仮名ルビとの扱いを変え,平仮名ルビでは親文字の前後の平仮名 にはルビは掛けてよいが,片仮名ルビでは親文字の前後の平仮名にもルビは掛けない,という方法 で処理していた例がある.
  • 26. 20 2  モノルビの配置方法 なお,終わり括弧類には掛かってよいが,始め括弧類には掛けない,掛けて もルビ文字サイズで二分までとする考え方もある.これは,始め括弧類にルビ を掛けることは形として好ましくない,ということからきている. 例を図 2・16 と図 2・17 に示す(図 2・16 は後ろへのはみ出しを優先した例, 図 2・17 は親文字とルビ文字列の中心を揃える例).左端が始めカギ括弧にル ビ文字サイズで全角まで掛けた例,中央が掛けない例,右端がルビ文字サイズ で二分まで掛けた例である.図 2・16 の中央の例では,親文字の前後が四分ア キ,右端の例は八分アキになる. 図 2・18 に示す例は,始めカギ括弧にルビ文字サイズで二分まで掛け,さら に,漢字又は仮名に掛けるルビは,ルビ文字サイズで二分とした例である. 図 2・16 始め括弧類とルビ掛けの例 1 の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ 図 2・17 始め括弧類とルビ掛けの例 2 の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ 図 2・18 始め括弧類とルビ掛けの例 3 の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ に こ と わ ざ の ﹁ 又 こ と わ ざ の ﹁ 又 こ と わ ざ
  • 27. 2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか 21 親文字の外側の括弧類とルビ掛け 親文字の前に配置する終わり括弧類,又は 親文字の後ろに配置する始め括弧類と,親文字との字間は原則として二分アキ である.この二分アキにルビ文字サイズで全角まで掛けてよい.ただし,行の 調整で,この字間が二分より狭くなっている場合は,掛けてよい量は,その狭 くなったアキまでである. 図 2・19 に例を示す.左側の 2 つは平仮名にルビ文字サイズで全角まで掛け た例,右側の 2 つは平仮名にルビ文字サイズで二分まで掛けた例である(親文 字とルビ文字列の中心を揃える方式). なお,後ろ側へのはみ出しを優先する方式では,図 2・20 の左側の 2 つのよ うになる(平均にはみ出すことを優先する方式でも同様な問題がある).しか し,括弧類の外側の二分アキについて,二分アキ以上にすることは,空き過 ぎに見えるので,できるだけ避けた方がよい.そこで,図 2・20 の右側のよう に,できるだけ括弧類の外側の二分アキのままにした方がよい. 句読点とルビ掛け 句読点) も括弧類と同様である.親文字の後ろの句読点に ) JIS X 4051 では,句点は句点類という文字クラスであるが,読点は終わり括弧類の文字クラスに 含めている. 図 2・19 親文字の外側の括弧類とルビ掛けの例 1 る ﹂ は こ と わ ざ る ﹂ は こ と わ ざ る ︵ こ こ と わ ざ る ︵ こ こ と わ ざ る ﹂ は こ と わ ざ る ﹂ は こ と わ ざ る ︵ こ こ と わ ざ る ︵ こ こ と わ ざ 図 2・20 親文字の外側の括弧類とルビ掛けの例 2 る ﹂ 又 こ と わ ざ る ﹂ 又 こ と わ ざ 又 ︵ こ こ と わ ざ 又 ︵ こ こ と わ ざ る ﹂ 又 こ と わ ざ る ﹂ 又 こ と わ ざ 又 ︵ こ 又 ︵ こ こ と わ ざ こ と わ ざ
  • 28. 22 2  モノルビの配置方法 は,ルビ文字サイズで全角までルビを掛けてよい.親文字の前の句読点との間 には二分アキがあるので,ここにルビ文字サイズで全角まで掛けてよい.ただ し,行の調整で,この字間が二分より狭くなっている場合は,掛けてよい量は, その狭くなったアキまでである.図 2・21 に例を示す. なお,後ろ側へのはみ出しを優先する方式では,図 2・22 の左側に 2 つのよ うになる(平均にはみ出すことを優先する方式でも同様な問題がある).括弧類 と同様に句読点の後ろの二分アキは,二分アキ以上にすることは,空き過ぎに 見えるので,できるだけ避けた方がよい.そこで,図 2・22 の右側の 2 つの例 のように,できるだけ句読点の後ろ側は,二分アキのままにした方がよい. 行頭禁則和字とルビ掛け 行頭禁則和字とは,行頭への配置を禁止とすること がある音引き,繰り返し符号,小書きの仮名である.JIS X 4051 では,親文字 の前に配置する行頭禁則和字には,ルビ文字サイズで全角まで掛けてよいが, 親文字の後ろに配置する行頭禁則和字についてはルビ掛けを禁止している.こ れらは親文字の前にあっても後ろにあっても誤読される恐れは少ないので,ど ちら側にあってもルビ文字サイズで全角まで掛けてよいと考えてよいだろう. なお,行頭禁則和字には,同の字点(々)が含まれているが,これは漢字と同 図 2・21 句読点とルビ掛けの例 1 る 。 に こ と わ ざ る 。 に こ と わ ざ で 、 に こ と わ ざ で 、 に こ と わ ざ の 、 そ こ と わ ざ の 、 そ こ と わ ざ 図 2・22 句読点とルビ掛けの例 2 る 。 又 こ と わ ざ る 。 又 こ と わ ざ で 、 又 こ と わ ざ で 、 又 こ と わ ざ る 。 又 こ と わ ざ る 。 又 こ と わ ざ で 、 又 で 、 又 こ と わ ざ こ と わ ざ
  • 29. 2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか 23 等なので,漢字と同様に親文字のどちら側にあってもルビを掛けない又は掛け てもルビ文字サイズで二分までとした方がよい. 小書きの仮名にルビを掛けた例を図 2・23 に示す.左側から 1 番目は普通の 仮名にも小書きの仮名にもルビ文字サイズで全角掛けた例,2 番目は,小書き の仮名だけ掛けない例(後ろへのはみ出しを優先した例),3 番目は普通の仮名 にも小書きの仮名にもルビ文字サイズで二分掛けた例,4 番目は,仮名にも小 書きの仮名にもルビを掛けない例である. 中点類とルビ掛け 親文字の前又は後ろに配置する中点類(・;:)には,ルビ をルビ文字サイズで全角まで掛けてよい.ただし,中点類は字幅を半角(二分) と考えると,その前後に四分アキを保持しており,行の調整処理で,この四分 アキは詰められる場合もある.詰められた場合は,その分だけルビがはみ出し できる量が減ることになる.中点(中黒)にルビが掛かるケースを図 2・24 に示 す.左側の 2 つは後ろへのはみ出しを優先する例,右側の 2 つは,親文字列と ルビ文字列の中心を揃える例である. なお,図 2・24 の右端の例では,中点(字幅は半角)の前後はベタ組なので, 図 2・23 小書きの仮名とルビ掛けの例 る 筍 っ て た け の こ る 筍 っ て た け の こ る 筍 っ て た け の こ る 筍 っ て た け の こ る 筍 っ て た け の こ る 筍 っ て た け の こ る 筍 っ て た け の こ る 筍 っ て た け の こ 図 2・24 中点とルビ掛けの例 る 薪 ・ 茸 を た き ぎ る 薪 ・ 茸 を た き ぎ る 薪 ・ 茸 を た き ぎ き の こ る 薪 ・ 茸 を た き ぎ き の こ き の こ き の こ る 薪 ・ 茸 を た き ぎ る 薪 ・ 茸 を た き ぎ る 薪 ・ 茸 を た き ぎ き の こ る 薪 ・ 茸 を た き ぎ き の こ き の こ き の こ
  • 30. 24 2  モノルビの配置方法 ルビはルビ文字サイズで二分まで掛けることができる.しかし“茸”のルビも ルビ文字サイズで二分まで掛けることができ,その結果として 2 つの別の親文 字のルビ文字列がつながってしまう.これは好ましくない.ある字を挟んでの 異なる親文字間のルビとルビの字間はルビ文字サイズで全角(又は二分)は空い ていた方がよい.ここを全角アキとするためには,中点の前後を四分アキ(左 端から 2 つ目の例)にするなどの処理が必要になる.左端から 2 つ目の例も同 様な問題があり,この例では親文字が別のルビ文字列の字間はルビ文字サイズ で二分であるが,ここをルビ文字サイズで全角にするためには,なんらかの処 理が必要になる(別の親文字のルビの字間の処理の詳細については後述する). 分離禁止文字とルビ掛け 分離禁止文字とは全角ダーシ(全角ダッシュ,―),3 点リーダ(…),2 点リーダ(‥)のことである.これらを連続して 2 つ並べた場 合,2 行に分割することも,また,行の調整処理の際に字間を空けるのも避け る,とするものである.これらにはルビ文字サイズで全角までルビを掛けても よい.親文字の前後に全角ダーシを配置する例は,それなりにある. 2 倍ダーシにルビを掛けた例を図 2・25 に示す.左端は平仮名にもダーシに もルビ文字サイズで全角までルビを掛けた例,中央は平仮名にもダーシにもル ビ文字サイズで二分までルビを掛けた例,左端は,平仮名にもダーシにも掛け 図 2・25 2 倍ダーシとルビ掛けの例 ― 猪 と か 鶏 ― い の し し ― 猪 と か 鶏 ― い の し い ― 猪 と か 鶏 ― い の し し に わ と り ― 猪 と か 鶏 ― い の し い に わ と り に わ と り に わ と り ― 猪 と か 鶏 ― い の し い ― 猪 と か 鶏 ― い の し い に わ と り に わ と り
  • 31. 2. 4  ルビは前後の文字等にどこまで掛けてよいか 25 ない例である. 和字間隔とルビ掛け 和字間隔とは,全角スペース(全角空白)のことである. これにはルビ文字サイズで全角までルビを掛けてよい.行中にある全角アキに は,ルビは掛かってよいということである. なお,改行行頭の全角アキにルビを掛けてよいかどうかの問題は 17 ページ で解説した. 連数字,単位記号中の文字,欧文用文字などとルビ掛け 連数字,単位記号中の文 字,欧文用文字などを和文中に配置する場合,その前後は四分アキにする.こ の四分アキの部分にルビを掛けてよい.ただし,この四分アキは,JIS X 4051 では行の調整処理で空けることも詰めることも認められているが,このアキを はみ出してルビを掛けることは禁止されている. 親文字と欧文用文字が連続した場合の例を図 2・26 に示す.中央の例は,後 ろへのはみ出しを優先する方法で,後ろと前へのルビ掛けの処理で許容できる 範囲を超える二分(ルビ文字サイズで)について,親文字の前後で親文字サイズ で各八分だけ空けている.右端の例は,親文字列とルビ文字列の中心を揃える 方法で,親文字と欧文用文字との字間が二分アキになっている. ルビの付いた異なる親文字 あるルビの付いた親文字に別の親文字のルビを掛 けることは禁止されている(図 2・27 の例).左から 1 つ目の例は後ろへはみ出 しを優先した例,左から 2 つ目の例は親文字列とルビ文字列の中心を揃える方 法である(仮名と漢字にルビ文字サイズで二分まで掛けてよい方法).3 つ目は 図 2・26 欧字とルビ掛けの例 る 頂 top を る 頂 top を る rumor を う わ さ る rumor を う わ さ い た だ き る 頂 top を い た だ き い た だ き る 頂 top を い た だ き
  • 32. 26 2  モノルビの配置方法 肩ツキで後ろへのはみ出しを優先する例,4 つ目は中ツキで親文字列とルビ文 字列の中心を揃える方法(仮名と漢字にルビ文字サイズで二分まで掛けてよい 方法)の例である.(なお,図 2・27 に示した例は,熟語ではなく,各文字ごと にルビを対応させた例であり,これらを熟語として扱う処理例は後述する.) なお,図 2・27 において左端の 2 つの例のように親文字が連続する場合,そ のルビとルビの字間がベタ組になるのは問題がない.図 2・24 の問題とは別で あり,図 2・24 では,親文字と親文字との間に別の文字・記号が挿入されてい る場合である. また,図 2・28 に示すように,別の 1 字のルビで中ツキにした親文字に,ル ビ文字サイズで二分まで掛けて処理を行う例もある. その他のルビ掛けを禁止した文字グループ その他の文字クラスでルビ掛けを禁 止したものとしては,ハイフン類,区切り約物,前置省略記号,後置省略記号, 行中に配置する注の合印,割注を囲む括弧類などがある. なお,縦中横にした文字列にもルビのはみ出しは掛けない.また,仮名であ っても圏点や傍線・下線が付いた場合もルビのはみ出しは掛けない. 図 2・27 ルビの付く親文字が連続した場合のルビ掛けの例 1 の 瓢 を る 雌 蝶 を の 瓢 を ひ さ ご び し や く の 瓢 を ひ さ ご び し や く ひ さ ご び し や く の 瓢 を ひ さ ご び し や く め   ち よ う る 雌 蝶 を め   ち よ う る 雌 蝶 を め   ち よ う る 雌 蝶 を め   ち よ う 図 2・28 ルビの付く親文字が連続した場合のルビ掛けの例 2 る 雌 蝶 を め ち よ う る 雌 蝶 を め ち よ う
  • 33. 2. 5  横組のモノルビの配置処理 27 2.5  横組のモノルビの配置処理 横組は中ツキが原則 これまで,縦組を前提に,例示も主に縦組で示したきた.前述したように横 組では,左右のバランスについて平均にして配置した方が安定している.ルビ についても同様であり,左右の位置関係について中央(左右中央)に配置した方 が安定する.従って,親文字 1 字にルビ 1 字の場合は,中ツキにするのが原則 であり,また,ルビが 3 字以上になった場合も,親文字列とルビ文字列の中心 を揃えた配置にする.例を図 2・29 に示す.図 2・29 の右側の例は肩ツキと左 端を揃える例であるが,これは望ましくない配置例である. 横組における親文字の前後のアキ ルビが前後にはみ出した場合,親文字列の前後の文字種が同一であれば,親 文字列の左右の文字・記号などとの字間が同じになる.しかし,前と後ろが漢 字と仮名であった場合は,字間が異なる場合もでてくる.この親文字列の前後 の字間も,可能であれば揃えた方が見た目には安定する. 例を図 2・30 に示す.1 番上の例は,漢字にはルビを掛けないが,仮名には ルビ文字サイズで全角まで掛けた例,2 番目の例は,漢字にも仮名にもルビ文 字サイズで二分まで掛けた例,3 番目の例は,漢字にも仮名にもはみ出したル ビを掛けない例である.1 番上の例では,親文字列の前後の字間が揃わない場 合もでてくる. 図 2・29 横組のモノルビの配置例 1 る地の茸たちと筍の ち  きのこ     たけのこ る地の茸たちと筍の ち  きのこ     たけのこ る地の茸たちと筍 の ち   きのこ     たけのこ る地の茸たちと筍 の ち   きのこ     たけのこ
  • 34. 28 2  モノルビの配置方法 横組におけるルビの行頭・行末の配置方法 親文字列からはみ出したルビが付く場合の行頭・行末の配置も縦組と同様で あり,ルビの先頭・末尾を行頭・行末に揃える方法と,親文字の先頭・末尾を 図 2・30 横組のモノルビの配置例 2 の茸たちと筍の きのこ     たけのこ の茸たちと筍の きのこ     たけのこ の茸たちと 筍 の きのこ     たけのこ の茸たちと 筍 の きのこ     たけのこ の 茸 たちと 筍 の きのこ      たけのこ の 茸 たちと 筍 の きのこ      たけのこ の茸達と 筍 達 きのこ   たけのこ の茸達と 筍 達 きのこ   たけのこ の 茸 達と 筍 達 きのこ    たけのこ の 茸 達と 筍 達 きのこ    たけのこ の茸 達と筍 達 きのこ   たけのこ の茸 達と筍 達 きのこ   たけのこ 図 2・31 横組のモノルビの行頭の配置例 行頭 蝶には ちよう 蝶には ちよう 蝶 又は ちよう 蝶又は ちよう 蝶又は ちよう 蝶又は ちよう 行頭 行頭 いしずえ 礎には いしずえ 礎には いしずえ 礎 又は いしずえ 礎 又は いしずえ 礎 又は 礎 又は いしずえ 行頭 行頭 行頭 蝶には ちよう 蝶には ちよう 蝶 又は ちよう 蝶 又は ちよう 蝶 又は ちよう 蝶 又は ちよう 行頭 行頭 礎 には いしずえ 礎 には いしずえ 礎 又は いしずえ 礎 又は いしずえ 礎 又は いしずえ 礎 又は いしずえ
  • 35. 29 行頭・行末に揃える方法とがある.行頭の配置例を図 2・31 に示す.図 2・31 の左側はルビ文字列の先頭を行頭に揃える方法,右側は親文字の先頭を行頭に 揃える方法である.また,1 番上側は,仮名にルビ文字サイズで全角までルビ を掛けた例,2 番目は,はみ出したルビを漢字に掛けない例,最下段は,漢字 にルビ文字サイズで二分掛けた例である. 行末については,逆に考えればよい.
  • 36. 30 3  グループルビの配置方法 3.1  グループルビの配置処理の基本 グループルビの利用 2 文字以上の親文字列に対し,その親文字列全体に対してルビを対応させ配 置する方法がグループルビである. グループルビは,“雑魚”に“ざこ”,“雪崩”に“なだれ”,“無花果”に“い ちじく”などといった熟字訓や当て字の読みを付ける場合や,“混沌”に“カオ ス”,“概念”に“コンセプト”,“大聖堂”に“カテドラル”などの片仮名語を ルビとして付ける場合に利用されている.各親文字ごとにルビを対応させるこ とができないルビである. グループルビの配置方法 複数の親文字列全体に付ける方法としては,次の 3 つが考えられる. ①親文字もルビの文字列もすべてベタ組とする.この場合,親文字列とルビ 文字列の先頭を揃える方法もあるが,一般には,親文字列の中心とルビ文 字列の中心を揃える.例を図 3・1 に示す. ②親文字列又はルビの文字列をベタ組にした場合の全長を計算し,その長い 文字列はベタ組とし,短い方の文字列の字間を均等に空けて,全長を揃え る.例を図 3・2 に示す. 図 3・1 グループルビの配置例 1 雑 ざ こ魚 雪 な だ れ 崩 無 い ち じ く 花 果 混 カ オ ス 沌   概 コ ン セ プ ト 念   大 カ テ ド ラ ル 聖 堂
  • 37. 3. 2  字数の少ないグループルビの配置処理 31 ③短い方の文字列の字間を空けるが,それぞれの全長を揃えるのではなく, 短い方の文字列の先頭側及び末尾側も空ける.例を図 3・3 に示す. その他,親文字の字数とルビの字数が同じ場合は,各親文字ごとにルビを対 応させることが可能なので,肩ツキの方法で処理する方法もある.この場合, 中ツキにすると,③の方法ということになる.例を図 3・4 に示す.右側が肩ツ キにした例である. グループルビは分割禁止 グループルビは,親文字列を一体として扱うので,親文字列の途中で 2 行に 分割することは禁止されている. しかし,親文字列が長い場合,行の調整で字間が極端に空いてしまう例もあ る.しかし,読んでいく場合には,必ずしも親文字列を一体として扱わなくて 図 3・2 グループルビの配置例 2 雑 ざ こ 魚 雪 な だ れ 崩 無 い ち じ く 花 果 混 カ オ ス 沌 概 コ ン セ プ ト 念 大 カ テ ド ラ ル 聖 堂 図 3・3 グループルビの配置例 3 雑 ざ こ 魚 雪 な だ れ 崩 無 い ち じ く 花 果 混 カ オ ス 沌 概 コ ン セ プ ト 念 大 カ テ ド ラ ル 聖 堂 図 3・4 グループルビの配置例4 近 モ 代 ダ 的 ニ 精 ズ 神 ム 近 モ ダ ニ ズ ム 代 的 精 神
  • 38. 32 3  グループルビの配置方法 もよいので,親文字列の途中で分割した例もある.従って,グループルビの分 割禁止は,コンピュータ組版の処理上の問題を回避するためのものであり,場 合によっては分割も考えられる,ということになる.ただし,グループルビの 分割をコンピュータ組版の自動処理で行うことはかなり面倒であり,個別箇所 でのデータ入力の工夫などで解決するというのが当面の処理方法であろう. 3.2  字数の少ないグループルビの配置処理 ルビの字数が親文字 2 倍の場合の処理 ルビの文字サイズが親文字の 1/2 の場合,ルビの字数が親文字の 2 倍のとき には,ルビと親文字の文字列の全長は同じになる.そこで,ルビと親文字のそ れぞれの字間はベタ組にし,ルビと親文字の文字列の中心を揃えて配置すれば よい.いくつかの例を図 3・5 に示す. ルビの字数が親文字 2 倍未満の場合の処理 ルビの字数が親文字 2 倍未満の場合,ルビ文字列の全長は,親文字列の全長 より短くなる.このような場合の配置処理につて,JIS X 4051 では,ルビ文字 列の字間について,x:y:z=1:2:1 の比率で空ける方法を規定している) . なお,x, y, z は,次による.図 3・6 に例を示す. x:親文字列の先頭からルビ文字列の先頭までの空き量. y:ルビ文字間の空き量. ) 活字組版でも,ルビの字数が少なく,ルビの字間だけでなく,ルビの先頭及び末尾も空ける場合 は,字間のアキと先頭及び末尾のアキの比率を 1:2 にすると体裁がよい,といわれていた. 図 3・5 ルビの字数が親文字の 2 倍のグループルビの配置例 最 ベ ス ト エ フ オ ー ト 大 努 力 最 ベ ス ト エ フ オ ー ト 大 努 力 冊 コ ー デ ツ ク ス 子 体 冊 コ ー デ ツ ク ス 子 体 喜 コ メ デ イ 劇 喜 コ メ デ イ 劇
  • 39. 3. 2  字数の少ないグループルビの配置処理 33 z:ルビ文字列の最後尾から親文字列の最後尾までの空き量. なお,親文字が複数で,ルビが 1 字の場合は,図 3・7 に示すように,親文字 列とルビの中心を揃えて配置する. ルビ文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,ルビ文字列の字間を 2 とす る JIS X 4051 で規定した方法による熟字訓や当て字(ルビは平仮名)の配置例 を図 3・8 にいくつか示す. “わけ”の字間はルビ文字サイズで全角アキ,先頭及び末尾のアキはルビ文 字サイズで二分アキ,左の“いとこ”の字間はルビ文字サイズで三分アキ,先 頭及び末尾のアキはルビ文字サイズで六分アキ,“ただ”の字間はルビ文字サイ ズで 2 倍アキ,先頭及び末尾のアキはルビ文字サイズで全角アキ,右の“いと こ”字間はルビ文字サイズで全角アキ,先頭及び末尾のアキはルビ文字サイズ 図 3・6 字数の少ないグループルビの JIS X 4051 の配置方法 目 ゴ ー ル 的 地 目 ゴ ー ル 的 地 画 イ コ ン 像 画 イ コ ン 像 x x y y z y y z x=z=親文字サイズの 1/4 のアキ y=親文字サイズの 1/2 のアキ x=z=親文字サイズの 1/12 のアキ y=親文字サイズの 1/6 のアキ 図 3・7 グループルビでルビが 1 字の配置例 湯 泉 ゆ 湯 泉 ゆ 図 3・8 字数の少ないグループルビの JIS X 4051 で規定する配置例 1 道 理 わ   け 道 理 わ   け 従 弟 い と こ 従 弟 い と こ 従 兄 弟 い   と   こ 従 兄 弟 い   と   こ 紫 陽 花 あ じ さ い 紫 陽 花 あ じ さ い 無 報 酬 た     だ 無 報 酬 た     だ
  • 40. 34 3  グループルビの配置方法 で二分アキ,“あじさい”の字間はルビ文字サイズで二分アキ,先頭及び末尾の アキはルビ文字サイズで四分アキとなる. ところで,親文字の字数に比べてルビの字数が極端に少ない場合,図 3・9 の 左側の例のように先頭及び末尾のアキがルビ文字サイで全角アキ以上となるケ ースがあり,親文字とルビとの対応があいまいになることもある(特に親文字 が仮名の場合).図 3・9 の右側の例のように先頭及び末尾のアキはルビ文字サ イで全角アキとした方が読みやすい. 図 3・10 には,図 3・8 と同じ親文字とルビの組合せによる,親文字とルビ文 字列の全長を揃えた配置例を掲げる. 活字組版では一般に,“従弟(いとこ)”では図 3・10,“道理(わけ)”,“無報酬 (ただ)”,“従兄弟(いとこ)”では図 3・8,“紫陽花(あじさい)”では図 3・8 又は 図 3・10 の方法で処理されていた.活字組版では,字間を処理するスペースの 種類にも限りがあり,個別のケースで,全長を揃える方法と先頭及び末尾も空 ける方法を併用していた.また,親文字が 4 字でルビ文字が 7 字といった例で は,ルビ文字列はベタ組とし,先頭及び末尾を空ける方法も行われていた.つ まり,活字組版では,ケースにより,30 ページの“グループルビの配置方法” で説明した 3 つの配置方法を適宜選択しながら,その配置方法を決めていた. 図 3・11 に,文字が 4 字でルビ文字が 7 字の 3 種類の配置例を示す. 図 3・9 ルビの字数が極端に少ないグループルビの配置例 1 自 暴 自 棄 自 暴 自 棄 や       け 自 暴 自 棄 や       け や         け 自 暴 自 棄 や         け 図 3・10 字数の少ないグループルビの全長を揃えた配置例 1 道 理 わ     け 道 理 わ     け 従 弟 い と こ 従 弟 い と こ 従 兄 弟 い   と   こ 従 兄 弟 い   と   こ 紫 陽 花 あ じ さ い 紫 陽 花 あ じ さ い 無 報 酬 た         だ 無 報 酬 た         だ
  • 41. 3. 2  字数の少ないグループルビの配置処理 35 図 3・12 には,ルビ文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,ルビ文字 列の字間を 2 とする JIS X 4051 で規定した方法による片仮名ルビの例を掲げ る. また,図 3・13 には,親文字列とルビ文字列の全長を揃えた方法による配置 例を掲げる. 図 3・12 字数の少ないグループルビの JIS X 4051 で規定する配置例 2 空 中 静 止 憩 い の 場 都 市 国 家 伝 動 装 置 荒 野 ム   ア 荒 野 ム   ア 混 沌 カ オ ス 混 沌 カ オ ス 目 的 地 ゴ   ー   ル 目 的 地 ゴ   ー   ル 老 練 者 ベ テ ラ ン   老 練 者 ベ テ ラ ン 実 験 室 ラ     ボ 実 験 室 ラ     ボ 大 聖 堂 カ テ ド ラ ル 大 聖 堂 カ テ ド ラ ル ギ       ア 伝 動 装 置 ギ       ア オ   ア   シ   ス 憩 い の 場 オ   ア   シ   ス ホ バ リ ン グ 空 中 静 止 ホ バ リ ン グ ポ   リ   ス 都 市 国 家 ポ   リ   ス 図 3・13 字数の少ないグループルビの全長を揃えた配置例 2 空 中 静 止 憩 い の 場 都 市 国 家 伝 動 装 置 荒 野 ム     ア 荒 野 ム     ア 混 沌 カ オ ス 混 沌 カ オ ス 目 的 地 ゴ   ー   ル 目 的 地 ゴ   ー   ル 老 練 者 ベ テ ラ ン   老 練 者 ベ テ ラ ン 実 験 室 ラ         ボ 実 験 室 ラ         ボ 大 聖 堂 カ テ ド ラ ル 大 聖 堂 カ テ ド ラ ル ギ             ア 伝 動 装 置 ギ             ア オ   ア   シ   ス 憩 い の 場 オ   ア   シ   ス ホ バ リ ン グ 空 中 静 止 ホ バ リ ン グ ポ     リ     ス 都 市 国 家 ポ     リ     ス 図 3・11 親文字が 4 字でルビが 7 字の配置例 閑 話 休 題 閑 話 休 題 閑 話 休 題 そ れ は さ て お き 閑 話 休 題 そ れ は さ て お き そ れ は さ て お き 閑 話 休 題 そ れ は さ て お き そ れ は さ て お き 閑 話 休 題 そ れ は さ て お き
  • 42. 36 3  グループルビの配置方法 “実験室(ラボ)”や“伝動装置(ギア)”などのように親文字の字数に比べ,ル ビの字数がかなり少ないときは,ルビ文字列の先頭側及び末尾側を空ける方式 の方が安定して見える.しかし,図 3・9 でも解説したように,親文字の字数に 比べてルビの字数が極端に少ない場合,先頭側及び末尾側のアキがルビ文字サ イで全角アキ以上となるケースがある.この場合,親文字とルビとの対応があ いまいになることもあるので,図 3・14 に示すように先頭及び末尾のアキは, ルビ文字サイで全角アキ(又は全角二分)までとした方が読みやすい. 図 3・14 の左端がルビ文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,ルビ文字 列の字間を 2 とする方法,中央が先頭側及び末尾側のアキをルビ文字サイズで 全角アキとする方法,右端が先頭側及び末尾側のアキをルビ文字サイズで全角 二分アキとする配置例である. 図 3・15 にルビ文字数が親文字数が 2 倍未満で,比較的にルビ文字数が多い ものについて,ルビ文字列間をベタ組にし,親文字列とルビ文字列の中心を揃 図 3・14 ルビの字数が極端に少ないグループルビの配置例 2 集 会 の た め の 広 場 集 会 の た め の 広 場 集 会 の た め の 広 場 ア         ゴ         ラ 集 会 の た め の 広 場 ア         ゴ         ラ ア           ゴ           ラ 集 会 の た め の 広 場 ア           ゴ           ラ ア           ゴ           ラ 集 会 の た め の 広 場 ア           ゴ           ラ 図 3・15 グループルビの親文字列とルビ文字列の中心を揃えた配置例 メ ン タ ル ヘ ル ス 心 の 健 康 景 気 後 退 老 練 者 混 沌 カ オ ス 混 沌 カ オ ス ベ テ ラ ン 老 練 者 ベ テ ラ ン リ セ ツ シ ヨ ン 景 気 後 退 リ セ ツ シ ヨ ン 心 の 健 康 メ ン タ ル ヘ ル ス 大 聖 堂 カ テ ド ラ ル 大 聖 堂 カ テ ド ラ ル
  • 43. 3. 3  字数の多いグループルビの配置処理 37 えた配置例を示しておく. 3.3  字数の多いグループルビの配置処理 ルビの字数が親文字 2 倍以上の場合の処理 ルビの字数が親文字 2 倍以上の場合,ルビ文字列の全長は,親文字列の全長 より長くなる.このような場合の配置処理につて,JIS X 4051 では,親文字列 の字間について,X:Y:Z=1:2:1 の比率で空ける方法を規定している.な お,X, Y, Z は,次による.図 3・16 に例を示す. X:ルビ文字列の先頭から親文字列の先頭までの空き量. Y:親文字間の空き量. Z:親文字列の最後尾からルビ文字列の最後尾までの空き量. ルビの字数が親文字 2 倍以上の場合の処理例 親文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,親文字列の字間を 2 とする JIS X 4051 で規定した方法による片仮名ルビの配置例を図 3・17 にいくつか 示す. 図 3・16 字数の多いグループルビの JIS X 4051 の配置方法 X=Z=親文字サイズの 1/4 のアキ Y=親文字サイズの 1/2 のアキ X=Z=親文字サイズの 1/6 のアキ Y=親文字サイズの 1/3 のアキ 顧 客 ク ラ イ ア ン ト 顧 客 ク ラ イ ア ン ト X Y Z 境 界 面 イ ン タ ー フ エ ー ス 境 界 面 イ ン タ ー フ エ ー ス X Y Y Z
  • 44. 38 3  グループルビの配置方法 図 3・17 の左端の“概念(コンセプト)”の親文字の字間は親文字サイズで 1/4 のアキ,親文字列の先頭側及び末尾側は親文字サイズで 1/8 のアキ,“元型 (アーキタイプ)”の親文字の字間は親文字サイズで 1/2 のアキ,親文字列の先 頭側及び末尾側は親文字サイズで 1/4 のアキである. また,図 3・18 には,親文字とルビ文字列の全長を揃えた方法による配置例 を掲げる. 図 3・17 字数の多いグループルビの JIS X 4051 で規定する配置例 イ ン ス タ レ ー シ ヨ ン 行 動 計 画 ア ク シ ヨ ン プ ロ グ ラ ム 発   表 討   議 安 全 仮 設 展 示 車 社 会 成 人 式 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン 討   議 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン セ キ ユ リ テ イ ー 安 全 セ キ ユ リ テ イ ー プ レ ゼ ン テ ー シ ヨ ン 発   表 プ レ ゼ ン テ ー シ ヨ ン 小 宇 宙 ミ ク ロ コ ス モ ス 小 宇 宙 ミ ク ロ コ ス モ ス イ ニ シ エ ー シ ヨ ン 成 人 式 イ ニ シ エ ー シ ヨ ン 仮 設 展 示 イ ン ス タ レ ー シ ヨ ン 行 動 計 画 ア ク シ ヨ ン プ ロ グ ラ ム モ ー タ リ ゼ ー シ ヨ ン 車 社 会 モ ー タ リ ゼ ー シ ヨ ン 概 念 コ ン セ プ ト 概 念 コ ン セ プ ト 元 型 ア ー キ タ イ プ 元 型 ア ー キ タ イ プ 図 3・18 字数の多いグループルビの全長を揃えた配置例 イ ン ス タ レ ー シ ヨ ン 行 動 計 画 ア ク シ ヨ ン プ ロ グ ラ ム 発     表 討     議 安 全 仮 設 展 示 車 社 会 成 人 式 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン 討     議 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン セ キ ユ リ テ イ ー 安 全 セ キ ユ リ テ イ ー プ レ ゼ ン テ ー シ ヨ ン 発     表 プ レ ゼ ン テ ー シ ヨ ン 小 宇 宙 ミ ク ロ コ ス モ ス 小 宇 宙 ミ ク ロ コ ス モ ス イ ニ シ エ ー シ ヨ ン 成 人 式 イ ニ シ エ ー シ ヨ ン 仮 設 展 示 イ ン ス タ レ ー シ ヨ ン 行 動 計 画 ア ク シ ヨ ン プ ロ グ ラ ム モ ー タ リ ゼ ー シ ヨ ン 車 社 会 モ ー タ リ ゼ ー シ ヨ ン 概 念 コ ン セ プ ト 概 念 コ ン セ プ ト 元 型 ア ー キ タ イ プ 元 型 ア ー キ タ イ プ
  • 45. 3. 4  グループルビの前後の文字等への文字掛け 39 図 3・19 にルビ文字数が親文字数が 2 倍以上で,比較的にルビ文字数が少な いものについて,親文字列の字間をベタ組にし,親文字列とルビ文字列の中心 を揃えた配置例を示しておく. 3.5  グループルビの前後の文字等へのルビ掛け グループルビのはみ出しを前後の文字に掛けてよいか グループルビの親文字列からはみ出したルビを,その前後に配置する文字や 記号などに掛けてよいのか,あるいは掛けてはいけないのか,という点につい ては,モノルビの項で解説した考え方と基本的に同じである.しかし,モノル ビの場合,親文字列とルビ文字列の位置関係は,前後に配置する文字等により 変化する方法もあったが,グループルビの場合は,親文字列とルビ文字列の位 置関係は,行中にあっては変化しないのが普通である) . グループルビのはみ出しの処理方法 グループルビにおいて,ルビの字数が親文字の字数の 2 倍以上の場合の処理 としては,次のような方法がある. ① JIS X 4051 で規定する配置方法又は親文字列とルビ文字列の中心を揃え る方法で親文字とルビの位置関係を決定し,ルビのはみ出しは前後の平仮 ) 活字組版では,親文字数と較べてルビ文字数がその 2 倍より 1 字又は 2 字多い場合は,後述する 熟語ルビのように,親文字列はベタ組にし,前又は後ろに配置する親文字に適当に掛ける処理を行 っている例もあった.この場合は,親文字列とルビ文字列の位置関係は変化する. 図 3・19 グループルビの親文字列とルビ文字列の中心を揃えた配置例 元 型 仮 設 展 示 成 人 式 小 宇 宙 イ ニ シ エ ー シ ヨ ン 成 人 式 イ ニ シ エ ー シ ヨ ン ミ ク ロ コ ス モ ス 小 宇 宙 ミ ク ロ コ ス モ ス プ レ ゼ ン テ ー シ ヨ ン 仮 設 展 示 プ レ ゼ ン テ ー シ ヨ ン 概 念 コ ン セ プ ト 概 念 コ ン セ プ ト ア ー キ タ イ プ 元 型 ア ー キ タ イ プ
  • 46. 40 3  グループルビの配置方法 名又は片仮名にはルビ文字サイズで全角まで掛けるが,漢字にはルビは掛 けない. ②親文字列とルビ文字列の位置関係は,①と同じであるが,ルビのはみ出し は前後の平仮名,片仮名又は漢字にルビ文字サイズで二分まで掛ける. ③親文字列とルビ文字列の位置関係は,①と同じであるが,ルビのはみ出し は前後の平仮名,片仮名又は漢字には掛けない. ④親文字列とルビ文字列の長さを揃えて,ルビ文字が親文字列よりはみ出さ ないようにする. グループルビのはみ出しの処理例 JIS X 4051 で規定する配置方法で,前後の平仮名(又は片仮名) )にはルビ文 字サイズで全角まで掛けた(漢字には掛けない)例を図 3・20 に示す. 親文字が 2 文字の場合,ルビが 8 字までは親文字からのルビのはみ出しは ルビ文字サイズで全角以下なので,親文字列の前後に配置する平仮名とはベタ 組となる.しかし,ルビの文字数が 9 字以上(図 3・20 の例では 10 字)の場合 は,親文字列の前後に配置する平仮名との字間が空くことになる. 前後の平仮名(又は片仮名)にはルビ文字サイズで全角まで掛けるが,漢字に ) 前述したように JIS X 4051 では,片仮名は漢字の文字クラスに含めているので,片仮名にルビ を掛けることを禁止している.しかし,処理系定義で漢字(片仮名を含む)にルビ文字サイズで二分 まで掛ける方法も規定している. 図 3・20 JIS X 4051 の配置方法によるグループルビのルビ掛けの例 1 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 原 型 は の 協   調 は の 討   議 は の 監 視 は デ イ ス カ ツ シ ヨ ン の 討   議 は デ イ ス カ ツ シ ヨ ン サ ー ベ イ ラ ン ス の 監 視 は サ ー ベ イ ラ ン ス の 協   調 は ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 作 法 は エ チ ケ ツ ト の 作 法 は エ チ ケ ッ ト プ ロ ト タ イ プ の 原 型 は プ ロ ト タ イ プ
  • 47. 3. 4  グループルビの前後の文字等への文字掛け 41 は掛けないとする方法で,親文字列の前が平仮名,後ろが漢字の例を図 3・21, 親文字列の前及び後ろが漢字の例を図 3・22 に掲げる.図 3・21 の例では,親 文字列の前と後ろのアキが不均一になる. 平仮名(又は片仮名)と漢字にルビ文字サイズで二分までルビが掛ってよいと 図 3・21 JIS X 4051 の配置方法によるグループルビのルビ掛けの例 2 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 原 型 又 の 協   調 又 の 討   議 又 の 監 視 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン の 討   議 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン サ ー ベ イ ラ ン ス の 監 視 又 サ ー ベ イ ラ ン ス の 協   調 又 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 作 法 又 エ チ ケ ツ ト の 作 法 又 エ チ ケ ッ ト プ ロ ト タ イ プ の 原 型 又 プ ロ ト タ イ プ 図 3・22 JIS X 4051 の配置方法によるグループルビのルビ掛けの例 3 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン 後 原 型 又 後 協   調 又 後 討   議 又 後 監 視 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン 後 討   議 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン サ ー ベ イ ラ ン ス 後 監 視 又 サ ー ベ イ ラ ン ス 後 協   調 又 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン 後 作 法 又 エ チ ケ ツ ト 後 作 法 又 エ チ ケ ッ ト プ ロ ト タ イ プ 後 原 型 又 プ ロ ト タ イ プ 図 3・23 前後の仮名と漢字にルビサイズで二分掛けたグループルビの例 1 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 原 型 は の 協   調 は の 討   議 は の 監 視 は デ イ ス カ ツ シ ヨ ン の 討   議 は デ イ ス カ ツ シ ヨ ン サ ー ベ イ ラ ン ス の 監 視 は サ ー ベ イ ラ ン ス の 協   調 は ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 作 法 は エ チ ケ ツ ト の 作 法 は エ チ ケ ッ ト プ ロ ト タ イ プ の 原 型 は プ ロ ト タ イ プ
  • 48. 42 3  グループルビの配置方法 する配置例を図 3・23,図 3・24,図 3・25 に示す.この場合は,前後に配置す る文字種に関係なく,親文字の前後の字間はいずれもベタ組になるか,又はア キがある場合も同じアキとなる. 片仮名ルビの場合は,それ自身が 1 つのまとまりをもっていることから,親 文字の前後に配置する文字種が平仮名(又は片仮名)であっても,はみ出したル 図 3・24 前後の仮名と漢字にルビサイズで二分掛けたグループルビの例 2 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 原 型 又 の 協   調 又 の 討   議 又 の 監 視 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン の 討   議 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン サ ー ベ イ ラ ン ス の 監 視 又 サ ー ベ イ ラ ン ス の 協   調 又 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 作 法 又 エ チ ケ ツ ト の 作 法 又 エ チ ケ ッ ト プ ロ ト タ イ プ の 原 型 又 プ ロ ト タ イ プ 図 3・26 前後の仮名と漢字にルビを掛けないグループルビの例 1 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 原 型 は の 協   調 は の 討   議 は の 監 視 は デ イ ス カ ツ シ ヨ ン の 討   議 は デ イ ス カ ツ シ ヨ ン サ ー ベ イ ラ ン ス の 監 視 は サ ー ベ イ ラ ン ス の 協   調 は ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 作 法 は エ チ ケ ツ ト の 作 法 は エ チ ケ ッ ト プ ロ ト タ イ プ の 原 型 は プ ロ ト タ イ プ 図 3・25 前後の仮名と漢字にルビサイズで二分掛けたグループルビの例 3 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 原 型 又 の 協   調 又 の 討   議 又 の 監 視 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン の 討   議 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン サ ー ベ イ ラ ン ス の 監 視 又 サ ー ベ イ ラ ン ス の 協   調 又 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 作 法 又 エ チ ケ ツ ト の 作 法 又 エ チ ケ ッ ト プ ロ ト タ イ プ の 原 型 又 プ ロ ト タ イ プ
  • 49. 3. 4  グループルビの前後の文字等への文字掛け 43 ビを掛けない方法が行われていた(漢字にもはみ出したルビは掛けない).この 方法による配置例を図 3・26,図 3・27 に示す.両側が漢字の場合は,図 3・22 と同じになる. なお,片仮名ルビには親文字の 1 字の例もある.親文字が 2 字以上の片仮名 ルビで前後の仮名や漢字にはみ出したルビを掛けないとする方法で処理した場 合に,親文字が 1 字の片仮名ルビでも,前後に配置する仮名や漢字にも,親文 字からはみ出したルビは掛けないということになる. 平仮名に掛けない例を図 3・28 に示す.なお,平仮名ルビが肩ツキの場合で も,片仮名ルビでは,親文字列とルビ文字列は中心を揃える方法とする例もあ るので,図では,親文字列とルビ文字列の中心を揃える方法で示す. 親文字が 1 字の片仮名ルビで,前後に配置する仮名に親文字からはみ出した ルビについて,平仮名ルビと同様にルビサイズで全角まで掛けた例を図 3・29 に示す.さらに,平仮名にルビサイズで二分まで掛けた例を図 3・30 に示す. 図 3・27 前後の仮名と漢字にルビを掛けないグループルビの例 2 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 原 型 又 の 協   調 又 の 討   議 又 の 監 視 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン の 討   議 又 デ イ ス カ ツ シ ヨ ン サ ー ベ イ ラ ン ス の 監 視 又 サ ー ベ イ ラ ン ス の 協   調 又 ハ ー モ ナ イ ゼ ー シ ヨ ン の 作 法 又 エ チ ケ ツ ト の 作 法 又 エ チ ケ ッ ト プ ロ ト タ イ プ の 原 型 又 プ ロ ト タ イ プ 図 3・28 前後の仮名にルビを掛けない親文字 1 字の片仮名ルビの例 の 型 は タ イ プ ド リ ー ム の 夢 は の 型 は タ イ プ の 夢 は ド リ ー ム の 級 は ラ ン キ ン グ の 級 は ラ ン キ ン グ の 駅 は ス テ ー シ ョ ン の 駅 は ス テ ー シ ョ ン
  • 50. 44 3  グループルビの配置方法 いずれも親文字列とルビ文字列は,中心を揃える方法である. 3.5  グループルビの行頭・行末の配置処理 グループルビの行頭・行末の配置 グループルビの場合,ルビの文字数が親文字数の 2 倍であれば親文字列とル ビ文字列の長さが同じになる.また,親文字列又はルビ文字列の長い方に短い 方の字間を空けて揃える場合も,親文字列とルビ文字列の長さが同じになる. しかし,それ以外の場合は,親文字列とルビ文字列の長さが異なる.この場 合,親文字列の方がルビ文字列より長いときは,親文字列の先頭を行頭に,親 文字列の末尾を行末に揃えればよい.親文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 図 3・29 前後の仮名にルビを全角まで掛けた親文字 1 字の片仮名ルビの例 タ イ プ ド リ ー ム の 型 は の 夢 は の 型 は タ イ プ の 夢 は ド リ ー ム の 級 は ラ ン キ ン グ の 級 は ラ ン キ ン グ の 駅 は ス テ ー シ ョ ン の 駅 は ス テ ー シ ョ ン 図 3・30 前後の仮名にルビを二分まで掛けた親文字 1 字の片仮名ルビの例 タ イ プ ド リ ー ム の 型 は の 夢 は の 型 は タ イ プ の 夢 は ド リ ー ム の 級 は ラ ン キ ン グ の 級 は ラ ン キ ン グ の 駅 は ス テ ー シ ョ ン の 駅 は ス テ ー シ ョ ン 図 3・31 親文字列の方が長いグループルビの行頭・行末の配置例 あ る 老 練 者 ベ テ ラ ン あ る 老 練 者 ベ テ ラ ン 行頭 あ る 老 練 者 ベ テ ラ ン あ る 老 練 者 ベ テ ラ ン 行末
  • 51. 3. 5  グループルビのの行頭・行末の配置処理 45 とし,親文字列の字間を 2 とする場合の配置例を図 3・31 に示す. 親文字列の方が短いグループルビの行頭・行末の配置方法 親文字列の方がルビ文字列より短い場合は,モノルビの配置でも解説した ように,ルビ文字列の先頭・末尾を行頭・行末に揃える方法と,親文字列の先 頭・末尾を行頭・行末に揃える方法とがある(JIS X 4051 でも,この2つの方 法を規定している). ルビ文字列の先頭・末尾を行頭・行末に揃える方法では,図 3・32 に示すよ うに親文字とルビ文字列の位置関係は,行中の場合と変わらない(親文字列の 先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,親文字列の字間を 2 とする例). JIS X 4051 では,親文字列の先頭・末尾を,行頭・行末に揃える方法にした 場合,親文字列とルビ文字列の先頭又は末尾を揃え,次のようなルビ文字列の アキにして配置する方法を規定している. ルビ文字列の先頭から親文字列の先頭までの空き量を X,親文字列の字間を Y,親文字列の最後尾からルビ文字列の最後尾までの空き量を Z とすると,グ ループルビを行頭に配置する場合は,X:Y=1:1,グループルビを行末に配 図 3・32 親文字列の方が短いグループルビの行頭・行末の配置例 1 顧 客 の こ ク ラ イ ア ン ト 顧 客 の こ ク ラ イ ア ン ト 行頭 あ る 顧 客 ク ラ イ ア ン ト あ る 顧 客 ク ラ イ ア ン ト 行末 図 3・33 親文字列の方が短いグループルビの行頭・行末の配置例 2 顧 客 の こ ク ラ イ ア ン ト 顧 客 の こ ク ラ イ ア ン ト 行頭 あ る 顧 客 ク ラ イ ア ン ト あ る 顧 客 ク ラ イ ア ン ト 行末
  • 52. 46 3  グループルビの配置方法 置する場合は,Y:Z=1:1 とする.つまり,親文字列の先頭側及び末尾側の アキと親文字列の字間を同じにする配置法である.図 3・33 に配置例を示す. 図 3・33 では,親文字からはみ出したルビを平仮名に掛けているので,図 3・34 では親文字の後ろ又は前が漢字の例を示す.この例で,分かるように,親文字 の字間は,親文字サイズで二分アキ,親文字の末尾又は先頭も二分アキとなっ ている. 3.6  欧字を含むルビの配置処理 グループルビの一種でもある親文字が欧字,又はルビが欧字の場合の処理に ついて解説しておく. 親文字が欧字のルビの配置処理 親文字列が欧字又はアラビア数字にルビが付く場合,親文字列の欧字又はア ラビア数字の字間はベタ組で配置する(欧字やアラビア数字の固有の字幅に応 じたピッチ処理(字送り処理)で配置する). この場合,片仮名などのルビ文字列が親文字より長い場合は,片仮名などの ルビ文字列はベタ組とし,親文字列とルビ文字列の中央を揃えて配置する.逆 に親文字列に比べ,片仮名などのルビ文字列が短い場合は,親文字列の長さに 対し,ルビ文字列の先頭側及び末尾側のアキを 1 とし,ルビ文字列の字間を 2 として配置する.配置例を図 3・35 に示す. 図 3・34 親文字列の方が短いグループルビの行頭・行末の配置例3 顧 客 又 は ク ラ イ ア ン ト 顧 客 又 は ク ラ イ ア ン ト 行頭 の 後 顧 客 ク ラ イ ア ン ト の 後 顧 客 ク ラ イ ア ン ト 行末