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スタートアップとの投資契約について

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スタートアップとの投資契約入門
Introduction to Investment Agreement with Startups

主には駆け出しのベンチャーキャピタリストを読者として想定し、スタートアップとの投資契約に関する初期的な情報を俯瞰的にまとめたものです。
スタートアップとしても、投資契約書の作成において参考いただければ幸いです。

このスライドが、ベンチャー・エコシステムの発展に少しでも貢献できたら、嬉しいです。

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スタートアップとの投資契約について

  1. 1. スタートアップとの 投資契約について Kenta Adachi 2014/11/28 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 1
  2. 2. ご注意 •本資料は、主には駆け出しのベンチャーキャピタリストを読者として想定し、ス タートアップとの投資契約に関する初期的な情報を俯瞰的にまとめたものです。 •スタートアップとしても、投資契約書の作成において参考いただければ幸いです。 •ただし本資料は自己責任でお読みいただき、契約書作成の際等には必ず弁 護士の方など、ご専門の方に確認してください。本資料に従ったために何か損 害/不測の事態が発生したとしても、一切の責任は負えません。 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 2
  3. 3. スタートアップとの投資契約について Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 3 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ 1.投資契約とは □株式投資とは □非上場企業とは □スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 □投資の基本条件 □投資の前提条件 □ガバナンスの条件 □株式移動の条件 □投資の撤退条件
  4. 4. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは □非上場企業とは □スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 □投資の基本条件 □投資の前提条件 □ガバナンスの条件 □株式移動の条件 □投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 4 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  5. 5. 株式投資とは • 企業が発行する株式を買い取ること。その企業は株式を売り出すことで事業運営に 必要な資金を集めるかわりに、企業の持分のいくらかを、その投資家に渡すことになる • その資金で企業は成長し、株価を上げて(あるいは配当を出して)投資家にリターンを 返すというWin-Winの関係が理想的。 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 5 投資家企業(株式会社) 資金+ α 株式(企業の持分) [将来的なキャピタルゲイン、インカムゲイン]
  6. 6. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは □スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 □投資の基本条件 □投資の前提条件 □ガバナンスの条件 □株式移動の条件 □投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 6 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  7. 7. 非上場企業とは • 証券取引所に上場していないため、証券取引所でその企業の株式を売買できない 企業のこと。スタートアップも(基本的には)非上場企業である。 • ただし、株価など条件面で合意があれば、当事者間(企業と投資家等)での株式の 売買が可能。投資契約は、この合意を法的に有効な書面に残すことを意味する。 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 7 投資家上場企業投資家非上場企業 証 券 取 引 所
  8. 8. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 □投資の基本条件 □投資の前提条件 □ガバナンスの条件 □株式移動の条件 □投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 8 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  9. 9. スタートアップとの投資契約の目的1/2 •一般的に投資家は、スタートアップへの投資を通じ、上場によるキャピタルゲインを狙 うが、残念ながら上場まで行かないケースもある。投資契約は、「目論見どおりでなかっ た時にどうするか」を事前に合意し、法的に有効な書面にしておき、将来的なトラブル を未然に防ぐことが重要な目的の一つ。 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 9
  10. 10. スタートアップとの投資契約の目的2/2 何を事前に合意し、書面に残しておけば、将来的なトラブルを未然に防げるのか? •投資の基本条件(例:株価、株式数、株式の種類) •投資の前提条件(例:表明保証、払込の前提条件、資金使途) •ガバナンスの条件(例:取締役指名権、事前承認権、情報請求権) •株式移動の条件(例:先買権、共同売却権、強制売却権、株式譲渡権) •投資の撤退条件(例:株式買取請求権) Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 10
  11. 11. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 □投資の前提条件 □ガバナンスの条件 □株式移動の条件 □投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 11 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  12. 12. 投資の基本条件1/2 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 12 項目名 記載例 ①発行会社 株式会社ももたろう ②募集株式の数(※発行会社が新株発行する場合) 5,000株(5千株) ③1株当たり価額 10,000円(1万円) ④払込金額の総額 50,000,000円(5,000万円=②×③) ⑤資本金の増加額 25,000,000円(2,500万円) ⑥資本準備金の増加額 25,000,000円(2,500万円) ⑦払込期日 2014年11月28日(金) ⑧投資者 株式会社いぬ株式会社さる株式会社きじ ⑨株式の種類 A種優先株式 •基本条件として、下記の内容を投資契約書に記しておく(あくまで一例)
  13. 13. 投資の基本条件1/2[補足] Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 13 •前ページの例で、仮に新株発行前の株式数が5万株の場合、pre-money valuation(出資受入れ前の企業価値)は5万 株×1万円=5億円、post-money valuation(出資受入れ後の企業価値)は5.5億円(=5億円+5,000万円)という。 •資本金は1,000万円、3,000万円、1億円で大きな税制面で壁があり、調達資金の最大50%まで資本準備金に計上可能。 資本金が大きいほうが信用力があがるが(業種によっては資本金での許認可制限があることも)、一方で資本金が大きいと税 制面での負担が増えるケースもあるので、資本金と資本準備金にどれだけ割り振るのか、戦略的に考えていく必要がある。 資本金:~1,000万円・・・新設法人の消費税2事業年度免除、法人住民税の均等割、等 資本金:~3,000万円・・・機械等を取得した場合などの特別控除(取得価額の7%)を法人税額から直接控除可能、等 資本金:~1億円・・・軽減税率の適用、交際費の一部損金算入、少額減価償却資産の全額損金算入、欠損金の 繰戻還付が適用、法人事業税の外形標準課税の対象外、等
  14. 14. 投資の基本条件2/2 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 14 •株式の種類(例) 普通株式 優先株式 剰余金及び残余財産の配当に関して標準的な地位が与えられた株式 剰余金又は残余財産の配当に関する地位が他の株式よりも優越する株式 その他、投資家に有利な条件設定や、逆に議決権が制限されるケースもある ベンチャーファイナンスでラウンドを刻む場合、基本的には株価が高くなる後のラウンドに参加 する投資家を惹きつけるため、後発の優先株式をより優遇することが一般的で、各々の優 先株式を区別するために「A種優先株式」「B種優先株式」といった名称がつけられる 配当の優先順位:普通株式<A種優先株式<B種優先株式<C種優先株式・・・
  15. 15. 投資の基本条件2/2 [補足] Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 15 •剰余金や残余財産の優先配当方法には、「累積型」と「非累積型」、「参加型」と「非参加型」の区別あり •累積型:ある年に支払われるべき配当が一部もしくは全部支払わられなかった場合、翌年に繰り越される(余剰 資金を事業投資に振り向けて成長を続けるベンチャーへの投資ではレアケース) •参加型:優先株主に対して優先配当がなされた後、普通株主に対する配当に優先株主が普通株主と共にあず かれる •その他、優先株式を発行する際には、転換請求権(優先株式を普通株式へ転換できる権利、基本的に転換 比率は1:1)や、強制転換条項(例えば上場申請に際して、強制的に優先株式を普通株式に転換する条 項)、そして希薄化防止条項(優先株式を発行した株価よりも低い株価で普通株式が発行された場合に、普 通株式への転換比率を調整する条項)などが付帯するのが一般的
  16. 16. ケーススタディ Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 16 •下記のケースにおいて、A種優先株主と、普通株主への剰余金の分配 額はどうなるでしょうか? 資本構成 普通株式50,000株(5万株) A種優先株式5,000株(5千株) A種優先株式への配当方法 普通株式に優先、参加型、非累積型 A種優先株式への優先配当額 1株につき500円(1株当たり払込金額1万円の5%) 剰余金の総額 ケース①200万円 ケース②360万円
  17. 17. 答え Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 17 •剰余金の総額がA種優先株主への優先配当額250万円(=5,000 株×500円)を超えるか否かで計算方法が異なる。 ケース①剰余金の総額が250万円を超えない⇒全額、A種優先株主のみへ優先的に分配 普通株主0円(0円/株) A種優先株主200万円(400円/株) ケース②剰余金の総額が250万円を超える⇒先にA種優先株主へ250万円へ優先分配された後、普通株主とA 種優先株主を同順位として株式数(全株式数は普通5万+A種0.5万=5.5万株)に応じて比例分配 普通株主100万円(20円/株) A種優先株主260万円(520円/株) ※優先分配は剰余金の配当というよりは、企業が解散などする際の残余財産の分配方法を規定する意味合いが大きい。リスクマネーの供給にあたって、「目論見通りにいかなかった時 にどう財産を分配するか」を事前に決めて投資家を保護するとともに、将来のトラブル発生を防ぐ意味合いがある。
  18. 18. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 ☑投資の前提条件 □ガバナンスの条件 □株式移動の条件 □投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 18 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  19. 19. 投資の前提条件1/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 19 •出資した後に「そんなこと聞いてなかった!」ということがないよう、「これが 満たされていなければ出資しない」という前提条件を定めておく 項目例 記載内容例(あくまで一例) ①表明保証 ・発行会社が有効に存在する株式会社であること ・授権株式総数、発行済株式数、新株予約権数 ・債務超過や支払停止等の事実がないこと ・公正妥当な企業会計基準に準拠していること ・必要な許認可や知的財産を有していること ②払込の前提 ・デューディリジェンスが完了していること ・最終契約が有効に締結されていること
  20. 20. 投資の前提条件2/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 20 •出資した後に「そんなこと聞いてなかった!」ということがないよう、「これが 満たされていなければ出資しない」という前提条件を定めておく 項目例 概要 ③資金使途 ・投資家と合意した内容に調達資金の使途を限定する ④上場努力 ・いつまでに上場する努力をするのかというコミットメントを記す ⑤競業避止 ・経営者は発行会社と競合する事業を行わないことを記す ⑥ストックオプション上限 ・ストックオプションの発行可能上限を記す ⑦補償及び連帯保証 ・損害が生じた際の補償方法を記す ⑧費用の負担 ・資金調達に要した費用の負担方法を記す
  21. 21. 投資の前提条件3/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 21 •出資した後に「そんなこと聞いてなかった!」ということがないよう、「これが 満たされていなければ出資しない」という前提条件を定めておく 項目例 概要 ⑨他の契約の制限 ・今回締結する投資契約のいずれかの条項を妨げる契約の締結または 合意は行わないことを記す ⑩契約の終了 ・どういう状況になれば本投資契約が終了するのかを記す (本投資家が発行会社の株主でなくなった日、株式公開の日、等) ⑪準拠法、合意管轄 ・どこの国や地域の法律に準拠するのかを記す ・紛争が起こった際にはどの裁判所に服するのかを記す
  22. 22. ケーススタディ Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 22 •あなたは、株式会社きんたろうの決算書類を調査した上で、素晴らしい業績 であると判断し、出資を決めました。 •ところが、出資した直後に、あなたが調べた決算書類が過去のものであり、直 近業績は、思ったほどよくないことが判明しました。これだったら出資しなかったの に、と後悔しています。 •こういった事態を防ぐために、投資契約書にどういった条項を入れておくことが考 えられるでしょうか?
  23. 23. 答え(例) Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 23 •表明保証に、「発行会社が投資家に交付している決算書類は最新の ものであり、発行会社の現状を適切に示していること。」といった条項を入 れておくことが考えられる。
  24. 24. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 ☑投資の前提条件 ☑ガバナンスの条件 □株式移動の条件 □投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 24 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  25. 25. ガバナンスの条件1/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 25 •発行会社の経営がうまくいっているかモニタリングしたり、定期的に助言す る場を設けたり、不正を行わないよう監視する、等 項目例 概要 ①取締役指名権 ・投資家が発行会社の取締役を指名する権利 ・取締役は善管注意義務、忠実義務(競業避止義務、利益相反取 引の制限)等を負い、株主から訴訟されるリスクもあるため、責任限定 契約を別途締結することもあり ②オブザーバー指名権 ・発行会社の取締役会や週次の経営会議等に派遣するオブザーバー (議決権を持たないが意見を述べることができる)を指名する権利
  26. 26. ガバナンスの条件2/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 26 •発行会社の経営がうまくいっているかモニタリングしたり、定期的に助言す る場を設けたり、不正を行わないよう監視する、等 項目例 概要 ③事前承認権 ・以下の事項を決定する場合には事前に投資家の承認を得ること (例)定款の変更 破産、会社更生手続、特別清算等の開始 経営株主による発行会社の株式の譲渡 株式併合、合併、株式交換、株式無償割当等 ●●万円以上の借入、債務保証等 経営に重大な影響を与え得る契約の締結等
  27. 27. ガバナンスの条件3/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 27 •発行会社の経営がうまくいっているかモニタリングしたり、定期的に助言す る場を設けたり、不正を行わないよう監視する、等 項目例 概要 ④情報請求権 ・発行会社の財務諸表等を開示される権利 (例)事業年度末90日以内に財務諸表と法人税申告書を開示 各事業年度末30日前までに時期事業年度の予算を開示 投資家が事業所に立ち入って帳簿等を検査する権利 ⑤経営株主の辞任 ・事前承認権と似ているが、特に重要なこととして、経営株主が自らの意 志で自由に取締役を辞めたり、再選を拒否したりすることを防ぐ
  28. 28. ガバナンスの条件[補足] Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 28 •ガバナンスの条件の例として列挙した取締役指名権、オブザーバー指名権、事前承認権、情報請求権等は、全 株主に対して付与していると発行会社として管理コストが大きくなりすぎるため、一定の株式数を超える株主(特 定株主といったりする)にのみ付与する、ということがある
  29. 29. ケーススタディ Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 29 •あなたは、ユーザーの30年後の姿を映し出してくれる不思議な鏡「たまて ばこ」を製造販売する株式会社うらしまたろうに投資をした投資家です。 •ところが、あなたが知らないうちに株式会社うらしまたろうは、ペットフード 「きびだんご」の販売を開始し、その販売不振で業績が低迷しています。 •こういった事態を未然に防ぐために、投資契約書にどういった条項を入れ ておくことが考えられるでしょうか?
  30. 30. 答え(例) Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 30 •発行会社が「きびだんご」の発売を開始する意思決定をした場に居合わ せることができるよう、取締役指名権や、オブザーバー指名権を投資契約 書に入れておくことが考えられる。 •発行会社が「経営に重大な影響を与え得る新事業の開始」する際には 投資家の事前承認を必要とする、事前承認権を投資契約書に入れて おくことが考えられる。
  31. 31. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 ☑投資の前提条件 ☑ガバナンスの条件 ☑株式移動の条件 □投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 31 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  32. 32. 株式移動の条件1/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 32 •株式の移動に関する有利な条件を保持することで、持分比率を維持し たり、株式売却に乗り遅れないようにする、等 項目例 概要 ①先買権(FRR) 別名:優先買取権 ・先買権に服する既存株主が株式を第三者に売却しようとする場合、そ の売却条件を先買権保有者に告げて、同一の条件で購入する意思が ある先買権保有者がいた場合、当初予定していた第三者ではなく、先 買権を行使した者が当該株式をその条件で購入できる権利 ②共同売却権(TAR) 別名:譲渡参加権 ・先買権が行使されない場合、上記の既存株主による第三者への株式 売却につき、同一の条件で当該第三者に、投資家も自己が保有する 株式を、(保有株式数に比例按分した割合で)売却できる権利
  33. 33. 株式移動の条件1/3 [補足] Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 33 •FRR=First Refusal Rights ・・・既存株主内部に株式の移動を留める側面もあり、譲渡制限に類似するコ ンセプト •TAR=Tag Along Rights ・・・大株主が株式売却する際に少数株主が取り残されないようにするための権利
  34. 34. 株式移動の条件2/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 34 •株式の移動に関する有利な条件を保持することで、持分比率を維持し たり、株式売却に取り残されないようにする、等 項目例 概要 ③強制売却権(DAR) ・大株主(例えば過半数の株式を保有)が第三者に株式を売却する 際、他の少数株主に、この株式売却に賛同し、同条件で売却させるこ とを強制できる権利 ④株式譲渡権 ・投資家が保有する株式の全部または一部を第三者に売却することがで きる権利、ただし売却に際しては、事前に必要な手続き(経営株主か らの承認、取締役会における承認、等)が必要とされるケースが一般的 ・譲渡に際して、株主地位の継承をできる権利を盛り込むケースもある
  35. 35. 株式移動の条件2/3[補足] Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 35 •DAR=Drag Along Rights ・・・少数株主との利害調整をせずに大株主がExitしやすくなるための権利、少 数株主としても取り残されずに済むが、経営株主が少数株主である場合には注意が必要 •株式譲渡権・・・例えば持ち株会社/ホールディングカンパニーといった、下部組織が流動的な形態をとる企業に おいて株式譲渡に際しての地位の継承が認められていないと、事業シナジー上、適するエンティティに株式を譲渡し たいのに有効にできない、といった問題が発生する可能性がある
  36. 36. 株式移動の条件3/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 36 •株式の移動に関する有利な条件を保持することで、持分比率を維持し たり、株式売却に取り残されないようにする、等 項目例 概要 ⑤新株引受権 ・発行会社が新たに発行する株式について、投資家が、その時点の投資 家の持分割合に応じて、株式の引受けを請求することができる権利 ※Pay-to-Play条項 ・一定の条件を満たしたファイナンス(主にはダウンラウンド)に対して、既 存株主が持分割合ベースで参加しない場合には、以後、当該既存株 主に与えられている優遇権が喪失するという条項
  37. 37. 株式移動の条件3/3 [補足] Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 37 •新株引受権・・・既存株主の希薄化を防止するために有効 •Pay-to-Play条項・・・ダウンラウンドは基本的に投資したくないもの、それなのに優先株主の希釈化防止条項が 発動してしまうと、優先株主が有利になり、新規株主を獲得しにくい。その利害調整をするための条項という意味 合いが強い
  38. 38. ケーススタディ Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 38 •株式会社ちからたろうの株主構成は 右記のとおりとなっています。 •A社が保有株式を全部、第三者のD社に売却すると言い出し、それに 対してC社がFRRを発動し50株を買い取り、次いでB社がTARを発動す ると言い出しました。株主構成はどうなるでしょうか? 株主 株数 経営株主 700 A社 150 B社 100 C社 50
  39. 39. 答え(現実的にこういったケースが発生することはないと思いますが) Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 39 •下表のとおり。まずC社がA社からFRRを発動して50株を買い取り、第 三者のD社へ売却については、B社がTARを発動して、従来のA社とB社 の持分比率3:2に応じて、各々90株と60株を売却することになる。 株主 株数(移動前) 株数(C社FRR) 株数(B社TAR) 経営株主 700 700 700 A社 150 100 10 B社 100 100 40 C社 50 100 100 D社 0 0 150
  40. 40. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 ☑投資の前提条件 ☑ガバナンスの条件 ☑株式移動の条件 ☑投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 40 3.補足 □タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  41. 41. 投資の撤退条件1/2 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 41 •発行会社や経営株主が投資契約に違反した場合(例えば表明保証 違反)、投資を引き上げることができる権利を定める 項目例 記載内容例 ①買取請求権 ・発行会社又は経営株主が投資契約に違反し(例:表明保証違 反)当該違反の治癒を求める投資家からの通知を受領後●日以内に 違反当事者がかかる違反を治癒しない場合、投資家は発行会社及び 経営株主に対して、投資家が保有する株式の全部又は一部を買い取 ることを請求することができる権利 ・買取価格は、投資家の取得価格や、1株当たり純資産額、第三者の 鑑定による公正な時価等の中から最高値が選択されることが一般的
  42. 42. 投資の撤退条件2/2 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 42 •発行会社が上場した際でも、株価安定化のためにすぐには売却できな いという制約が加わることあり 項目例 記載内容例 ※ ロックアップ条項 ・株式の割当を受けた日からその上場後●日間を経過する日までの間は、 本件株式の全部又は一部を譲渡しないものとする。 ・ただし、下記のような例外事項が設けられることもある。 (例)投資家の経営又は資産の状態が著しく悪化した場合 社会通念上、やむを得ないと判断された場合 市場取引株価が、IPO時の発行価格の●倍以上となった場合
  43. 43. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 ☑投資の前提条件 ☑ガバナンスの条件 ☑株式移動の条件 ☑投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 43 3.補足 ☑タームシート □株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  44. 44. タームシート Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 44 •これまで述べてきたような条項を全て、何十ページにもわたる契約書ベー スで行っていては、手間がかかる。そのため、重要な条項だけを抜き出し 端的にまとめ、当事者間での調整をスムーズに進めやすくしたものがターム シート。
  45. 45. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 ☑投資の前提条件 ☑ガバナンスの条件 ☑株式移動の条件 ☑投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 45 3.補足 ☑タームシート ☑株主間契約 □転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  46. 46. 株主間契約 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 46 • 発行会社が特定の株主の間だけで特定の条件について契約締結する 場合や、新規株主と既存株主との間の利害調整をする際に用いられる。 発行会社 普通株主優先株主 投資契約A 投資契約B 株主間契約C 普通株主よりも有利な 条件について、発行会 社のみならず、普通株 主にも法的に有効な 形で認めてもらう意味 株主間契約C 株主間契約C [例]
  47. 47. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 ☑投資の前提条件 ☑ガバナンスの条件 ☑株式移動の条件 ☑投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 47 3.補足 ☑タームシート ☑株主間契約 ☑転換社債 □投資額の払込までの主な流れ
  48. 48. 転換社債1/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 48 •特に創業間もない企業は高いValuationがつけにくく、一方で創業時から大きな資金調達 が必要な場合、資金調達を株式ではなく社債で行い、その社債に将来的に株式に転換する 条件をあらかじめ定めておく(これが転換社債、英語ではConvertible Bond、略して CB)。創業者の持分比率を高く維持しながら、創業時から資金調達をしやすくなる。 •投資家としては、当該企業がうまくいかずに清算等する場合、出資と融資の性質の違い上、 株式よりも貸付のほうが投資資金を回収しやすいというメリットもある。ただし、創業間もない 企業がうまくいかずに清算する場合、十分な資金が残っていないことがほとんどで、現実的には 社債としての回収には難しさが残る。 •また、株式よりも社債のほうが契約書がシンプルであるというメリットもある。
  49. 49. ケーススタディ Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 49 •シンデレラは自己資金100万円を元手に株式会社ガラスの靴を設立し、 ガラス細工の製造販売事業を開始しようとしています。しかしそのためには、 専用のガラス加工工場が必要で、今すぐ2,000万円の資金が必要です。 •この2,000万円を普通株式で調達した場合と、転換社債(1年後に pre-money valuation1.8億円で普通株式に転換される条件付) で調達した場合の、シンデレラの持分比率はどうなるでしょうか?
  50. 50. 答え Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 50 •株式で調達した場合、シンデレラの持分は約4.7%となる。2,100万円 (=100万円+2,000万円)分の株式総数に対して、シンデレラは 100万円分しか保有していないためである。 •転換社債で調達した場合、転換前はシンデレラの持分は100%のまま、 転換後は90%となる。転換後、2億円(=1.8億円+2,000万円) 分の株式総数に対して、シンデレラは1.8億円分を保有しているため。
  51. 51. 転換社債2/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 51 •スタートアップの資金調達方法として転換社債を流行らせたきっかけを作ったの がY Combinator(以下、YC)。転換社債はあくまで負債であり、利息と満 期日(通常は短期負債として発行されるので満期は1年)がネック。 •そこでYCは新たにSAFE(Simple Agreement for Future Equity)を 提唱、利息や満期日がないが、出資した額が一定の条件で株式になるもの。 •株式なのか負債なのか曖昧で、日本ではシンプルに登記できないというケース もある点に注意(2014年現在)
  52. 52. 転換社債3/3 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 52 •SAFEは、例えばスタートアップがSeries A投資を受けたら、そのSeries Aと同等の優先株に変わる、といった条件がついている。 •優先株に転換する際の条件によって、大別して4パターンあり(下表) Valuation上限:あり Valuation上限:なし Discount:あり 最も投資家に有利 Discount:なし 最もスタートアップに有利
  53. 53. 転換社債3/3 [補足] Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 53 •例えば、Valuation上限がある場合、それより高いValuationでSeries Aが起こって も、あらかじめ設定された上限金額でSAFEは優先株に転換される •また、Discountがある場合、Series Aでの株価から、そのDiscount分だけ割安に SAFEは優先株に転換される •SAFEは、Convertible Equityや、みなし優先株といった表現をされる場合もあるよ う •YCでは、2014年の冬バッヂ以降、全員がSAFEを使っているとのことで、今後、転換 社債のようにスタンダードになる可能性あり
  54. 54. スタートアップとの投資契約について 1.投資契約とは ☑株式投資とは ☑非上場企業とは ☑スタートアップとの投資契約の目的 2.投資契約の概要 ☑投資の基本条件 ☑投資の前提条件 ☑ガバナンスの条件 ☑株式移動の条件 ☑投資の撤退条件 Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 54 3.補足 ☑タームシート ☑株主間契約 ☑転換社債 ☑投資額の払込までの主な流れ
  55. 55. 投資額の払込までの主な流れ Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 55 • NDA締結、デューディリジェンス実施、タームシートの内容合意、契約書 の内容合意、契約書への署名/捺印、投資額の払込 発行会社 投資家 NDA 締結 DD資料 開示 DD実施タームシート 内容合意 契約書 内容合意 契約書 署名/捺印 投資額 払込
  56. 56. 投資額の払込までの主な流れ[補足] Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 56 •状況に応じて、スキップされるものもあれば、順序が入れ替わるステップも ある •NDA = Non Disclosure Agreement 守秘義務契約 •他に、LOI(Letter of Intent:仮合意書)やMOU(Memorandum of Understanding:了解覚書)をNDA前後等で締結することもある
  57. 57. Copyright © 2014 Kenta Adachi - All rights reserved. 57 完

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