本稿では,視覚障害者の歩行訓練時や事前歩行経路学習時に利用する地図作りの新たな枠組みを提案する.これまで,視覚障害者用の地図はマッピングパーティとよばれるイベントで現地に地図製作協力者が集まって作成されてきたが,このような地理的・時間的な制約も多い人海戦術的方法では,視覚障害者が求める多くの現場の地図を作成するのは困難であった.本稿では,あらかじめ地図製作対象現場において全方位動画像や音声を収録しておくことで仮想的に現場を再現し,仮想空間内での共創的な地図作りを行うバーチャルマッピングパーティを提案する.バーチャルマッピングパーティは,現地に行かずとも協力者の所望のタイミングで地図作りに参加でき,より多くの協力者が少ない負担で地図作りに協力できる利点がある.