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第36回 日本分子生物学会大会 ワークショップ:3PW2
「次世代シーケンサによる研究のこれからと
それを支えるインフラ/技術/制度」

NBDCヒトデータベースのルールと仕組み
平成25年12月5日
独立行政法人 科学技術振興機構(JST)
バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)

箕輪真理

http://biosciencedbc.jp
http://biosciencedbc.jp/

©2013 NBDC Licensed Under CC 表示2.1日本
本日お話すること
0.NBDCについて
1.データ共有をとりまく状況
2.NBDCヒトデータベースについて
ガイドラインの概略
データ提供に際して
データ利用に際して
http://biosciencedbc.jp/

2
JSTとNBDCのご紹介
科学技術振興機構(JST) http://www.jst.go.jp/
・ 新技術の創出に資する研究
・ 新技術の企業化開発
・ 科学技術情報の流通促進
・ 国際的な科学技術研究協力の推進・支援
・ 科学コミュニケーションの推進
バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC) http://biosciencedbc.jp/
•

JSTの中の1つのセンター
2011年4月に設立

•

生命科学分野のDBを使いやすくするミッション
データベース(DB)に関する戦略の立案
ポータルサイト・サービスの運用
ファンディング(分野ごとにデータの統合を進めるため)

•

4省間の連携
文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省/合同ポータルサイト

http://biosciencedbc.jp/

3
NBDCのポータルサイト
• 30種類以上のサービス
• 生命科学のDBに特化
• 登録不要

①DBのカタログ
②DBの一括検索(横断検索
③データの一括ダウンロード
(アーカイブ)

• 無料
• どこからでも、誰でも

ポータルサイトへは
「NBDC」で検索
http://biosciencedbc.jp/

http://biosciencedbc.jp/

4
本日お話すること
0.NBDCについて
1.データ共有をとりまく状況
2.NBDCヒトデータベースについて
ガイドラインの概略
データ提供に際して
データ利用に際して
http://biosciencedbc.jp/

5
データを共有することの意義
国などの公的資金を投じて得られたデータは
共有すべし
• 研究結果の再現性や透明性の確保
• 重複研究、投資の軽減
• 研究やイノベーションの加速
• 新しい技術(大量データのマイニング)の開発の促進
• 教育の向上
“Making Data Accessible to All” GARNet and Egenis Workshop Reportより
http://www.garnetcommunity.org.uk/reports

「NBDCヒトデータベース」
• 日本人を対象とした臨床研究、個別化医療の推進
→将来的な日本人/人類全体に関わる特に医学分野への貢献
http://biosciencedbc.jp/

© 2013 統合データベース講習会 Licensed Under CC 表示 2.1 日本

6
文部科学省におけるデータベースへの登録推進
平成24年度「再生医療の実現化プロジェクト再生医療の実現化ハイウェイ」募集要項

http://www.jst.go.jp/keytech/kouboh24-6/hwyouryou.pdf

http://biosciencedbc.jp/

7
大規模コホートにおけるデータ公開方針

http://biosciencedbc.jp/

8
本日お話すること
0.NBDCについて
1.データ共有をとりまく状況
2.NBDCヒトデータベースについて
ガイドラインの概略
データ提供に際して
データ利用に際して
http://biosciencedbc.jp/

9
ゲノム医学DBに関するNBDCの取り組み
アクセス制限の必要なヒトに関するデータを
収集・公開する仕組み

http://biosciencedbc.jp/

10
NBDCヒトデータベース
基本方針:
・ヒトに関するあらゆるデータが対象
・シンプルなガイドライン(多様なデータへの対応)
・匿名化された情報のみ
⇒より詳細な情報は共同研究で!
・データ提供/データ利用に関する審査はNBDC
提供者の要望はできる限り受け入れ(分類、公開時期、制限事項)

・社会的な理解や指針の変更に柔軟に対応
必要なツールの整備:
・ガイドライン
・ウェブサイト
http://biosciencedbc.jp/

11
NBDCヒトデータベース/データの種類

NBDC
ヒ

オープンデータ

ト
デ
ー
タ

制限公開データ

ベ

(標準レベル[Type Ⅰ]セキュリティ)
(ハイレベル[Type Ⅱ]セキュリティ)

ー
ス

公開待機データ

ウェブサイト等から制限な
く公開
・集団の統計値
・特定の個人由来では無い試料
の解析結果

ヒトデータ審査委員会
(NBDC)での審査に基づ
き利用可能
・個人ごとの情報

一定期間の後、制限公開
データ等へ移動

匿名化
匿名化前・公開留保データ他
http://biosciencedbc.jp/

各プロジェクト・実施機関
12
NBDCヒトデータベース/制限公開データの保護
標準レベル(Type I)セキュリティ
LAN内のサーバ上でのみ利用
データのコピーの原則禁止
アクセスできる人の限定・管理
セキュリティに関するチェックリストの提出

+
入室管理

http://biosciencedbc.jp/

ハイレベル(Type II)セキュリティ ICにおける制限事項などによる

13
NBDCヒトデータベース/データ共有の仕組み
N B D C
策定・見直し

運営委員会
データ共有分科会

NBDCヒトデータ
共有ガイドライン

③データ送付
提供者

NBDCヒトデータベース

NBDCヒトデータ取扱い
セキュリティガイドライン
①申請
②承認

制限公開データ

ヒトデータ審査委員会
NBDC外部の有識者を含む
審査機関
NBDC/提供者間の協議内容
・データの分類
・データの提供日
・データの公開について、他
http://biosciencedbc.jp/

オープンデータ
(利用申請不要)

①申請
②承認

③アクセス
利用者

14
NBDCヒトデータベース/DDBJとの協力
NBDCヒトデータベース

制限公開データ

NGS等

他

JGA

DRA
DDBJ

オープンデータ
(利用申請不要)

NGS

NHA

他

JGAに登録できるデータ

• Run: 次世代シークエンサからの配列デー
タ (fastq) とアライメントデータ (BAM)
• Array: アレイデータ
• Analysis: variation データ (VCF),Run と
Array のサマリーデータ,各種の解析した
データ, Sample の表現型情報

NHA
JST/NBDC

DRA(DDBJ Sequence Read Archive)
次世代シークエンサー(NGS)出力データのオープンDB

JGA(Japanese Genotype-phenotype Archive)
制限公開データ用のDB。NGS以外から出力されたデータにも一部対応

NHA(NBDC Human Data Archive )
DRAやJGAの対象外データ(例:画像データ、コホートデータ)を格納するDB。オープ
ン、制限公開どちらも格納
http://biosciencedbc.jp/

15
15
データ提供申請の流れ
①申請
内容確認
審査委員会による審議
②承認
データの詳細・メタ情報の提供
③データ提供

データ公開

http://biosciencedbc.jp/

・ICの中に“データの共有”について示さ
れている(ガイドライン中に例文あり)
・倫理審査委員会で“データの共有” が承
認されている(ICの再取得が困難と判
断される場合等)
*IC等で記載された制限がある場合には、
利用申請の審査時にその条件を適用
・データ特有の情報の提供
・提供時に新たに匿名化を実施
*成果発表に必要なIDを発行
・論文等の発表まで公開は保留

16
インフォームド・コンセントや倫理審査での留意点
NBDCヒトデータ共有ガイドラインでの要求事項
○データを“共有”することについての明確な記載(必須)
○公開用データベースについて(推奨)
・NBDCヒトデータベースについて
・データ共有の意義
○参加者に対して守られる権利についての説明(推奨)
・個人に直結する情報は開示されないこと
・公開に関する同意撤回への対応の制限について
(統計処理などが施されたデータ、すでに研究に利用され、論文等で公開
されたデータから、個別のデータだけを取り除くことは難しいことなどを説明)

http://biosciencedbc.jp/

17
データ利用申請の流れ
①申請
内容確認
審査委員会による審議

・研究経験のあるPIからの利用申請
・研究が倫理審査委員会で承認済み
・レベルに応じたセキュリティ対策を実施
(チェックリスト)

②承認
③アクセス

利用状況報告

http://biosciencedbc.jp/

・毎年8月には利用状況の報告
・成果公開時には提供元(および本DBの
利用)をAcknowledge

18
今後の予定
多様なデータ(画像、コホート、他)への対応
メタデータの充実、精度の向上
英語版の作成(海外からの利用者への対応)
・提供者・利用者からのご意見
・社会的理解や指針の変更
→使いやすいガイドラインへ、柔軟に対応

http://biosciencedbc.jp/

19
NBDCポータルサイト(http://biosciencedbc.jp/)からNBDCヒトデータベースを選択

データ利用申請サイトへ
データ提供申請サイトへ
ガイドラインへ

ヒトDB
http://biosciencedbc.jp/

http://humandbs.biosciencedbc.jp/

20
データを提供することのメリット お願い
・提供者が望む限り、データは保全される
・他の研究者から参照される機会が増える
・論文発表等に必要なID番号を取得できる
dbGapじゃなく、EGAじゃなく、NBDC(JGA)へ!
ID発行には『審査』が必要
発行までには少なくとも2週間
データの速やかな格納にご協力を
http://biosciencedbc.jp/

21
Acknowledgement
NBDC運営委員会 データ共有分科会 委員(平成25年5月1日現在)
主査

高木 利久

国立大学法人東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授
委員(五十音順)
春日 雅人 独立行政法人国立国際医療研究センター 総長

末松 誠 慶應義塾大学医学部 医学部長
辰井 聡子 学校法人立教学院立教大学 法務研究科 教授
玉起 美恵子 アステラス製薬株式会社 研究本部 研究推進部 課長
武藤 香織 国立大学法人東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野 教授
山本 隆一 一般財団法人医療情報システム開発センター 理事長
兼:国立大学法人東京大学大学院 医学系研究科医療経営政策学講座 特任准教授(医療情報学)

NBDCヒトDB事務局
日本DNAデータバンク(DDBJ)

http://biosciencedbc.jp/

22
ヒト研究を支えるデータベースの充実に向け、
ご協力よろしくお願いします
独立行政法人 科学技術振興機構(JST)
バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)

箕輪真理
humandbs@biosciencedbc.jp

http://biosciencedbc.jp/

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