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ステーブルコインと日本法
- Tether、JPYC、MakerDAO、Terraなど-
創・佐藤法律事務所
弁護士 斎藤 創
2021年11月2日
s.saito@innovationlaw.jp
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自己紹介
(その他の経歴)
東京大学法学部卒、NY大学ロースクール卒、NYのローファーム
勤務、日本DeFiアソシエーションアドバイザー、日本ブロック
チェーン協会顧問弁護士、FinTech協会キャピタルマーツ分科会
事務局、日本STO協会監事、元bitFlyer社外取締役等
弁護士/NY州弁護士 斎藤 創
1999年4月 西村あさひ法律事務所(証券化、デリバティブ等)
2013年夏 ビットコインに仕事で出会う
2015年4月 独立して現事務所を設立
(仮想通貨・ブロックチェーン・FinTech等を専門)
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Ⅰ ステーブルコインとは
• あらかじめ定められた資産(多くは米ドル)に対
して価格が安定的に推移するように組成される
コイン
• 全世界で様々なステーブルコインが発行され、
利用増大
• メリット
– 迅速かつ安価な決済・送金(特に国際送金)
– 銀行口座のないユーザーや交換業者でも取扱可能
– BTCなどのような仮想通貨と違いボラティリティーが少な
い
– 国によっては仮想通貨と仮想通貨の交換には非課税?
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II ステーブルコインの種類と例
• ステーブルコインだから何々法の適用がある、何々
法の適用がない、という議論は正確性を欠く
• ステーブルコインにも様々な方式があり、また具体
的仕組が日本法上どうなるか一点一点分析する必要
性
IOU Models
On-chain
Collateralized
Models
Seigniorage
Models
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II ステーブルコインの種類と例2
① IOUモデル
– 発行体がトークン保有者に対してトークンを一定の金額で
償還することを約するモデル
– 通常、フィアットか別の実在資産により完全に裏付けられ
る
– 例:USD Tether、USDC、Libra(Diem)、JPY ZEN、
JPYC等
② オンチェーン担保モデル
– ETH等を担保にコイン発行
– 複雑なスマートコントラクト、異なる種類のトークン、オラクル、
外部アクターなどを使用し、コインの安定性を確保するモデル
– 例:MakerDAO
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II ステーブルコインの種類と例3
③ 通貨発行益モデル
– 何らの担保なく発行される
– 貨幣数量説に基づいて発行されるコイン。トーク
ンの価格を基準通貨や他の基準値と比較して安定
させるために、トークンの供給を需給に応じて継
続的に調整する
– 例:Basis(終了)、Terra
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Ⅲ ステーブルコインの例
USD Tether (IOUモデル)
① 香港法人であるTether Limitedが発行体
② ユーザーがTether社に通貨を預けると、同額
のTether発行
③ Tether社は預かり金を銀行預金としてリザー
ブ
④ ユーザーはTether社にてTetherを通貨に換金
可能。換金分のTetherは破壊される。
(Tether社保管の通貨リザーブ額と市場に出
回っているTetherの値が必ず一致するように
保つ。なお実際にそうしているか議論あり)
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Ⅲ ステーブルコインの例2
USD Tether
出典:同社White Paper
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Ⅲ ステーブルコインの例3
JPYC(IOUモデル)
詳細は岡部さんの発表で
前払式支払手段
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Ⅲ ステーブルコインの例
MAKER DAO(オンチェーン担保モデル)
① 発行を希望する者はETHをCollateralized Debt Position
(CDP)という仕組みに対して担保提供。担保掛目が150%以上
となる範囲でDAIを発行してもらえる。
② 発行を受けた者は、発行を受けたDAIと同数+安定化手数料と
呼ばれる手数料をCDPに返済することにより、担保の返済を受
けられる。
③ 担保価値下落等で担保掛目が150%を割った際に、追加担保を
入れられないと、一定のペナルティーを取られて担保が清算さ
れる。
④ 詳細は省略するがDAIの価格が下がった際にはCDPへの返済イ
ンセンティブが増える(市場への残高が減る)、安定化手数料
を高くする(それにより発行量が減る)、逆の場合には逆の方法、
などでマーケットメカニズムでDAIの価格を安定させる方法が
とられる
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III ステーブルコインの例4
Terra(シニョレッジモデル)
Terraトークン(ステーブルコイン)とLuna(ガバナンス
トークン)を発行
ターゲット価格に応じてTerrraを自動で売買
① Terraの価格がターゲット価格より高い場合:アル
ゴリズムは自動的にTerraを発行し売却する。その売却
益はLUNAを市場で買い戻すことに当てられ、そのLUNA
はバーンされる。
② Terraの価格がターゲット価格より安い場合:アル
ゴリズムは自動的にLUNAを発行・売却して、その売却
した資金でTerraを買い上げる。買い上げた資金でTerra
を購入し、ターゲット価格に引き戻す。
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Ⅳ DeFiとステーブルコイン
• Maker DAOやTerraはDecentralizedに発
行されている
• USD TetherやJPYCはそれ自体は中央集権
的な組織で発行
• しかし中央集権的なコインもDeFiでよく
使用されており重要
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Ⅴ 現行法のまとめ
• Fiatにリンクしていないコイン(DAIや
Terra)は暗号資産
• 販売や取扱には暗号資産交換業とコインの
届出が必要
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Ⅴ 現行法のまとめ2
• Fiatにリンクしているコイン(USD Tether
やJPYC)は為替取引か前払式支払手段
• 簡単にいうと発行体が償還を約束している
と為替取引、償還せず店舗等で使えるのみ
の場合には前払式支払手段
• 為替取引は銀行免許又は資金移動業登録、
後者は自家型又は第三者型前払式支払手段
発行の登録
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Ⅴ 現行法-暗号資産法
• 暗号資産の定義
①電磁的な財産的価値 + ②電磁的に移転可能
+ ③(a)不特定多数に対して使用可能又は(b)不
特定多数間で他の仮想通貨と交換可能ー ④通貨
建資産=⑤暗号資産
通貨建資産は明示で除かれており、ステーブル
コイン分析の関係では通貨建資産か否かが大事
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Ⅴ 現行法-暗号資産法2
• 通貨建資産の定義
通貨建資産=本邦通貨若しくは外国通貨で表示され、
又は本邦通貨若しくは外国通貨で債務の履行、払戻
しその他これらに準ずるものが行われる資産
→ USD TetherやJPYCは、発行体が1USD=1コイン
での償還を約束しており、通貨建資産に該当
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Ⅴ 現行法-暗号資産法3
• 新規暗号資産の発行
暗号資産交換業の登録とコインの金融庁
の届出(実質は承認)が必要
2018年1月のコインチェック事件以降、
新規コイン取扱いは厳しくなった。上場は
可能だが要コスト
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Ⅴ 現行法-為替取引
• 通貨建資産で発行体が償還も約束する場合、
「為替取引」となる
• 銀行免許(金額に限度なし)か資金移動業
(原則100万円上限)
– 銀行免許取得は容易ではない
– 資金移動業は難易度は低いが、1回100万円の制限を
どう確保するか等の問題(なお、一種資金移動業は金
額上限ないが、使用後即座に償還しないといけない等
でステーブルコインには使えない)
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Ⅴ 現行法 - 前払式支払手段
• 前払式支払手段 = Suicaや図書券
• ①金額又は数量の記録 + ②それに応じた
対価の支払い + ③発行体又は発行体の加
盟店で商品購入等に使用可能
• 何らかの商品購入のために発行されるもので
あり資金移動ではない
• 但し、資金移動ではないとするために「償還」
が原則として認められない等の制限
(JPYCはAmazonギフト券購入可能等で対
処?)
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Ⅴ 現行法のまとめ
• ステーブルトークンの中にも各種種
類
– MakerDAO、Terra → 暗号資産
– USD Tether → 為替取引
– JPYC → 前払式支払手段
• 一つ一つ分析する必要性
• 発行する際にはどの方法でいくか検
討
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Ⅷ 今後の考えられる規制
• 現在、金融庁の「デジタル・分散型金融へ
の対応のあり方等に関する研究会」で議論
中
• 第4回の金融庁資料によると、発行者に関
する規制と仲介者に関する規制を分ける方
向性?
• 発行者には償還を確保するための仕組み -
例えば、銀行預金の仲介者による移転、銀
行預金の信託
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Ⅷ 今後の考えられる規制2
• 仲介者には暗号資産交換業者類似の規制、
また、外国発行のものを含め顧客保護上問
題あるステーブルコインは取り扱わない
• 暗号資産型や有価証券型は現行規制のまま
か
• いずれにせよ検討中で未確定
• 法改正なら、来年に法律、再来年施行?
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留保事項
• 本稿の内容は、関係当局の確認を経たもので
はなく、法令上、合理的に考えられる議論を
記載したものにすぎません。
• 本稿に記載の見解は、当職の現状の見解に過
ぎず、当職の見解に変更が生じる可能性があ
ります。
• 本稿は一般的な情報提供であり法的助言では
ありません。具体的な案件については、当該
案件の個別状況に応じ、日本法または他国法
弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があり
ます。
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最後に
創・佐藤法律事務所のHPでは、他にもステーブルコインや暗号資産に関す
る資料(和・英)を提供しています。
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住所 〒107-0052
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