XP祭り関西2013基調講演「チケット駆動開発をパターン言語で読み解く」 XP祭り関西2013 - XPJUG関西wiki http://www.xpjug.jp/cgi-bin/main_wiki/wiki.cgi?page=XP%BA%D7%A4%EA%B4%D8%C0%BE20132013

1. akipii@XPJUG関西2013 1
あきぴーあきぴーあきぴーあきぴー
XPJUGXPJUGXPJUGXPJUG関西関西関西関西
チケット駆動開発を
パターン言語で読み解く
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2. akipii@XPJUG関西2013 2
チケット駆動でよく聞かれる質問
似たような質問が多い
チケットの粒度
複数チームのタスク管理
判断基準が暗黙知なので明確でない
現場のノウハウが形式知として共有されていない
チケット駆動開発(TiDD)はAgile開発なのか？
日本の開発現場で生まれたアジャイルな実践技法
人によって説明がバラバラ

3. akipii@XPJUG関西2013 3
体系化の方針
1. ツールの説明を排除
TiDDはツールに依存しない
RedmineでもPostItでもチケット駆動は運用可能
2. プラクティスをパターン言語の形式で表現
現場の経験知を再利用できる形式にする
特定の状況の問題に対して有効な解決法を提示
3. 原則・価値観・プラクティスでまとめる
開発フレームワークの作業仮説として提示
コミュニティで議論した結果を反映して補強したい

4. akipii@XPJUG関西2013 4
TiDDの原則、
価値観、
プラクティス

5. akipii@XPJUG関西2013 5
TiDDの原則
原則とは
価値とプラクティスの領域における不変のルール
1. 最初にチケットありき (Ticket First)
SW開発の作業も課題も障害もチケットへ
チケット無しの作業不可 (No Ticket, No Work)
2. 成果物は構成管理に従う
プログラムや仕様書は構成管理へ
議事録や報告書はWikiやチケット集計へ

6. akipii@XPJUG関西2013 6
チケットとは
製品の変更時に管理すべき対象プロセス(チケットは製品に従うチケットは製品に従うチケットは製品に従うチケットは製品に従う)
チケットはワークフローで制御される(チケットはワークフローに従うチケットはワークフローに従うチケットはワークフローに従うチケットはワークフローに従う)
チケットは成果物や仕様ではない(成果物は構成管理に従う成果物は構成管理に従う成果物は構成管理に従う成果物は構成管理に従う)

7. akipii@XPJUG関西2013 7
構成管理とは
ソフトウェア資産を記録する仕組み (成果物は構成管理に従う成果物は構成管理に従う成果物は構成管理に従う成果物は構成管理に従う)
バージョンは、ソフトウェア資産を確定させる締日
チケットはリリースに至るまでのコミット履歴というメタ情報

8. akipii@XPJUG関西2013 8
TiDDの価値観とは
何が望ましく何がふさわしくないのかという基準
価値を実現するためにプラクティスを実践する

9. akipii@XPJUG関西2013 9
プラクティスとは
現場で実証された実践技法
プラクティスは価値観に基づく行動を促す
パターン言語で表現してみる
特定の状況の問題における解決法
問題が発生し、価値が妨害される状況問題が発生し、価値が妨害される状況問題が発生し、価値が妨害される状況問題が発生し、価値が妨害される状況(context)状況状況状況状況(文脈文脈文脈文脈)
問題を取り除くための解決方法問題を取り除くための解決方法問題を取り除くための解決方法問題を取り除くための解決方法(solution)解決法解決法解決法解決法
プラクティスプラクティスプラクティスプラクティスで解決した後に変化した状況。で解決した後に変化した状況。で解決した後に変化した状況。で解決した後に変化した状況。
別の価値を促進する副次的な効果。別の価値を促進する副次的な効果。別の価値を促進する副次的な効果。別の価値を促進する副次的な効果。
結果文脈結果文脈結果文脈結果文脈
プラクティスプラクティスプラクティスプラクティスで解決しようとする問題で解決しようとする問題で解決しようとする問題で解決しようとする問題(problem)問題問題問題問題
プラクティスが出現する工程、作業プラクティスが出現する工程、作業プラクティスが出現する工程、作業プラクティスが出現する工程、作業頻出場所頻出場所頻出場所頻出場所
プラクティス名。別の名称。プラクティス名。別の名称。プラクティス名。別の名称。プラクティス名。別の名称。名前・別名名前・別名名前・別名名前・別名

10. akipii@XPJUG関西2013 10
TiDDが目指す世界

11. akipii@XPJUG関西2013 11
パターンの適用例
～チケットの粒度に関する問題

12. akipii@XPJUG関西2013 12
「チケットの粒度」に関する問題
あいまいなチケット
チケットがタスクではなく仕様書になっている
作業内容がよく分からない
肥満児チケット
タスク分割が不十分
当初の見積りよりも倍以上の工数がかかる
放置されたチケット
チケットを細かくすれば、チケットは乱発されやすい
期日やリリースバージョンが未定の「今すぐ」チケット

13. akipii@XPJUG関西2013 13
No Ticket, No Work
担当者の作業が公開されていない担当者の作業が公開されていない担当者の作業が公開されていない担当者の作業が公開されていない
→→→→オープンオープンオープンオープンを妨害を妨害を妨害を妨害
状況状況状況状況
チケットを起票してから作業を開始するチケットを起票してから作業を開始するチケットを起票してから作業を開始するチケットを起票してから作業を開始する解決法解決法解決法解決法
・日々のタスク管理はメンバー自身で行うようになる・日々のタスク管理はメンバー自身で行うようになる・日々のタスク管理はメンバー自身で行うようになる・日々のタスク管理はメンバー自身で行うようになる
→→→→コミットメント、勇気コミットメント、勇気コミットメント、勇気コミットメント、勇気の効果の効果の効果の効果
・チーム内で情報共有が促進される・チーム内で情報共有が促進される・チーム内で情報共有が促進される・チーム内で情報共有が促進される
→→→→コミュニケーションコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーションの効果の効果の効果の効果
結果文脈結果文脈結果文脈結果文脈
作業がチケットに記録されていない作業がチケットに記録されていない作業がチケットに記録されていない作業がチケットに記録されていない問題問題問題問題
チケットの作り方チケットの作り方チケットの作り方チケットの作り方頻出場所頻出場所頻出場所頻出場所
チケット無しの作業不可チケット無しの作業不可チケット無しの作業不可チケット無しの作業不可名前名前名前名前

14. akipii@XPJUG関西2013 14
TiDDによるパラダイムシフト
チケットの取捨選択でスコープ管理する
変化に強いタスク管理が運用可能

15. akipii@XPJUG関西2013 15
No Ticket, No Commit
ソース修正が意図された修正なのか判別できないソース修正が意図された修正なのか判別できないソース修正が意図された修正なのか判別できないソース修正が意図された修正なのか判別できない
→→→→コミットメントコミットメントコミットメントコミットメントを妨害を妨害を妨害を妨害
状況状況状況状況
ソースをコミットする時、チケットに変更理由を残してソースをコミットする時、チケットに変更理由を残してソースをコミットする時、チケットに変更理由を残してソースをコミットする時、チケットに変更理由を残して
CloseCloseCloseCloseするするするする
解決法解決法解決法解決法
トレーサビリティの実現によって保守作業で役立つトレーサビリティの実現によって保守作業で役立つトレーサビリティの実現によって保守作業で役立つトレーサビリティの実現によって保守作業で役立つ
→→→→フィードバックフィードバックフィードバックフィードバックの効果の効果の効果の効果
結果文脈結果文脈結果文脈結果文脈
障害の記録と、成果物の作業履歴が同期されてな障害の記録と、成果物の作業履歴が同期されてな障害の記録と、成果物の作業履歴が同期されてな障害の記録と、成果物の作業履歴が同期されてな
いいいい
問題問題問題問題
チケットの閉じ方チケットの閉じ方チケットの閉じ方チケットの閉じ方頻出場所頻出場所頻出場所頻出場所
チケット無しのコミット不可チケット無しのコミット不可チケット無しのコミット不可チケット無しのコミット不可名前名前名前名前

16. akipii@XPJUG関西2013 16
TiDDの運用サイクル

17. akipii@XPJUG関西2013 17
Iteration is Version
リリース計画が現実と合致していないリリース計画が現実と合致していないリリース計画が現実と合致していないリリース計画が現実と合致していない
→→→→オープンオープンオープンオープンを妨害を妨害を妨害を妨害
状況状況状況状況
イテレーションをリリースバージョンとして定期的にイテレーションをリリースバージョンとして定期的にイテレーションをリリースバージョンとして定期的にイテレーションをリリースバージョンとして定期的に
リリースするリリースするリリースするリリースする
解決法解決法解決法解決法
・マイルストーンごとにリリースできるようになる・マイルストーンごとにリリースできるようになる・マイルストーンごとにリリースできるようになる・マイルストーンごとにリリースできるようになる
→→→→コミットメント、勇気コミットメント、勇気コミットメント、勇気コミットメント、勇気の効果の効果の効果の効果
・開発中の経験知がフィードバックされて蓄積される・開発中の経験知がフィードバックされて蓄積される・開発中の経験知がフィードバックされて蓄積される・開発中の経験知がフィードバックされて蓄積される
→→→→フィードバックフィードバックフィードバックフィードバックの効果の効果の効果の効果
結果文脈結果文脈結果文脈結果文脈
リリースが１回だけなので学生症候群になりやすいリリースが１回だけなので学生症候群になりやすいリリースが１回だけなので学生症候群になりやすいリリースが１回だけなので学生症候群になりやすい問題問題問題問題
バージョンの登録・終了、チケットの分類バージョンの登録・終了、チケットの分類バージョンの登録・終了、チケットの分類バージョンの登録・終了、チケットの分類頻出場所頻出場所頻出場所頻出場所
イテレーションはバージョンに同一視イテレーションはバージョンに同一視イテレーションはバージョンに同一視イテレーションはバージョンに同一視名前名前名前名前

18. akipii@XPJUG関西2013 18
小規模リリース
小刻みに機能拡張しながら定期的にリリースしていく
Velocity(開発速度開発速度開発速度開発速度)＝イテレーション単位の平均消化チケット数

19. akipii@XPJUG関西2013 19
開発のリズム
チケットの作業に集中 (Scrumの集中の集中の集中の集中)
割り込み作業はしない
コミットのリズム
コミットと同時にチケットをCloseする (No Ticket, No Commit)
定期的なリリース
持続可能な開発ペース (Velocity)
定期的なイベントで検査 (Scrumの透明性の透明性の透明性の透明性)
毎日の朝会
リリースごとにふりかえり

20. akipii@XPJUG関西2013 20
TiDDは自発的行動を促す
開発者に自己管理する勇気の基盤を与える
作業の見える化がメンバー間の信頼関係を強化する
リーダーは管理者から支援者へ変わる

21. akipii@XPJUG関西2013 21
その他のプラクティス(作成中)
適用可能なプラクティス、概念適用可能なプラクティス、概念適用可能なプラクティス、概念適用可能なプラクティス、概念チケット管理の観点チケット管理の観点チケット管理の観点チケット管理の観点
バックログバックログバックログバックログ etc.etc.etc.etc.チケットの並べ方チケットの並べ方チケットの並べ方チケットの並べ方
Iteration is VersionIteration is VersionIteration is VersionIteration is Versionバージョンの作り方バージョンの作り方バージョンの作り方バージョンの作り方
チケットは製品に従うチケットは製品に従うチケットは製品に従うチケットは製品に従うプロジェクトの作り方プロジェクトの作り方プロジェクトの作り方プロジェクトの作り方
No Ticket, No CommitNo Ticket, No CommitNo Ticket, No CommitNo Ticket, No Commitチケットの閉じ方チケットの閉じ方チケットの閉じ方チケットの閉じ方
分割統治、分割統治、分割統治、分割統治、 チケットはワークフローに従うチケットはワークフローに従うチケットはワークフローに従うチケットはワークフローに従うチケットの分類チケットの分類チケットの分類チケットの分類
・チケット集計もワークフローに従う・チケット集計もワークフローに従う・チケット集計もワークフローに従う・チケット集計もワークフローに従う
・ロールでビューを切り替える・ロールでビューを切り替える・ロールでビューを切り替える・ロールでビューを切り替える etc.etc.etc.etc.
チケットの集計チケットの集計チケットの集計チケットの集計
私に聞くな、チケットに聞け私に聞くな、チケットに聞け私に聞くな、チケットに聞け私に聞くな、チケットに聞け((((TiDDTiDDTiDDTiDD版ハリウッドの原則版ハリウッドの原則版ハリウッドの原則版ハリウッドの原則))))チケットの通知チケットの通知チケットの通知チケットの通知
ペア作業ペア作業ペア作業ペア作業チケットの渡し方チケットの渡し方チケットの渡し方チケットの渡し方
チケットの棚卸しチケットの棚卸しチケットの棚卸しチケットの棚卸しチケットの整理チケットの整理チケットの整理チケットの整理
No Ticket, No WorkNo Ticket, No WorkNo Ticket, No WorkNo Ticket, No Workチケットの作り方チケットの作り方チケットの作り方チケットの作り方

22. akipii@XPJUG関西2013 22
まとめ

23. akipii@XPJUG関西2013 23
まとめ
パターン言語で現場の経験知を表現できそう
状況と問題によってプラクティスを使い分ける
パターンで経験知の本質を取り出したい
TiDDとAgile開発の親和性を説明できそう
透明性、小規模リリース、持続可能な開発ペース etc.
TiDDは価値観に基づく行動を促す
プラクティスが生成的生成的生成的生成的(generative)な特徴を表現したい
単独のプラクティスから「品質」「効率」は出現しない
プラクティスの相乗効果として「計画」「品質」「リズム」が現れる

24. akipii@XPJUG関西2013 24
ご清聴
ありがとう
ございました