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透過型確率的パケットマーキング装置の
提案と開発
チーム名:筑波大学 暗号・情報セキュリティ研究室とOB
        金岡 晃(筑波大学)
     岡田雅之(OB:勤務先:JPNIC)
        日暮一太(筑波大学)
        後藤成聡(筑波大学)
最初にまとめ
                                 •      経路途中のルータが、IPv4ヘッダの
       確率的
                                        Identificationフィールドにマーキング
    パケットマーキング
(Probabilistic Packet Marking)   •      受信側で収集したマーキング情報をもとに経路
                                        情報を再構成

                                  我々のアプローチ

        方式の                             軽量            現実適用の
        効率化                          Linux実装            検討

                                        既存の稼働中ルータをPPM対応ルータに
                                        「入れ替える」のはとてもハードルが高い


                                 ルータの代わりに透過的にマーキングする
                                     「透過型マーキング装置」


                            2012/6/13          ORC 最終審査会       2
アピールポイント
とても軽量な
透過型PPMブリッジの実現
•   Linuxを搭載した1Uサーバをブリッジとし
    て採用
•   (予算がないので)研究室で使ってなかっ
    た古いサーバを使いました
     • IBM xSeries 306m (P4 3.0GHz, 2GB
         RAM)が中心

マーキングから経路再構成する
perlスクリプト

経路再構成の具合を
可視化するツール




                        2012/6/13         ORC 最終審査会   3
確率的パケットマーキング(PPM)方式の概略
(Savageらの手法)
   基本的な手法                          例
目的は                     攻撃者       中継ルータ群               被害者
「攻撃者までの経路
 (中継ルータ群のIPアドレス          X    A    B     C      D        Y
とその順序)を知る」
                              A   A B                   A +B   d=3
   確率 p
                                   B    B +C            B +C   d=2
 ・自分のIP情報を書き込む                           C     C +D     C +D   d=1
 ・距離情報0にセット
                                                D        D     d=0
   確率 1-p
                                                      Yが受け取る情報
 ・もし距離情報が0だったら
                                  順番にXORすることで
   自分のIP情報を
                                  中継ルータ群のIP情報を復元可能
   現在のIP情報にXOR
 ・距離情報++


            2012/6/13              ORC 最終審査会                     4
確率的パケットマーキング(PPM)方式の概略
(Savageらの手法)

   宛先ホストで
  受け取るデータ                  経路情報の
                             復元
    ○
   A+B   d=3
                              ○
                             C+D          ○
                                         B+C    ○
                                               A+B
    ○
   B+C   d=2                  ○
                              +           ○
                                          +    ○
                                               +
                              D           C     B
    ○
   C+D   d=1
    D    d=0           D      C           B     A



                                      グラフになぞらえ
  ルータそのものの情報ではなく、                    ノード情報ではなく
 「どのルータ間を通ったか」の情報が                エッジ情報をあつめることから
      マーキングされる                        “Edge Sampling”
                                        と言われる


               2012/6/13          ORC 最終審査会          5
【提案】透過型確率的パケットマーキング装置
既存ルータのソフトウェア/ハードウェア入れ                2つの実現形態
替えを必要とせず
既存ルータをPPM対応させる                         透過型PPMリピータ
                                    Ethernetでの中継(ヘッダ書き
 A                           B      換え)を行なわない(Ethernet
                                    レベルでも透過)

 A          TPPM装置           B           透過型PPM
                                       ブリッジ・スイッチ
      新たなルータ設置ではなく                  Ethernetでの中継(ヘッダ書き
        IPレベルで透過的に                  換え)を行なう
     代理でPPMを行なう装置を配置                (Ethernetレベルでは非透過)



  A○ B
   +     のマークを1度で行えるためEdge Samplingに適している
 ネットワーク中継機器として2台以上の代理マーキングも可能


                 2012/6/13       ORC 最終審査会           6
透過型PPMブリッジの実装                              既存ライブラリ等を
                                              利用せず
                                            フルスクラッチで
LinuxカーネルにPPM機能を実装
Ethernetフレームのプロトコル番号を見て、IPパケットの該当部分を上書き

 マーキング後のIPヘッダチェックサム再計算の効率化
カーネル上でIPレイヤ処理での計算を呼び出さず、Ethernetフレーム処理
部分にIPヘッダのチェックサム再計算を記載することで効率化

     マーキング設定の柔軟性向上

sysfsを用いることでユーザランド                   •   リピータ/ブリッジ・スイッチ
                           機能切り替え    •   マーキングタイプ
(ユーザが設定できるエリア)か
                            (未実装)    •   マーキングアルゴリズム
らカーネルパラメータを設定でき
るように変更                                   (Savage, Goodrich, 金岡)

  ARP観測による自動設定に向けた対応
EthernetフレームのみにPPM対応するよう、分岐命令を用いた実装
        分岐を増やすことによりARP対応が容易に可能



               2012/6/13            ORC 最終審査会                7
透過型PPMブリッジの性能評価
パケット     透過型         パケット
受信器    PPMブリッジ        送信器

                                     スループット       評価はいずれも
                                     (Mbps)
                                                  Apacheのabを使用
                             PPMなし   890.5715
                                                  IBM xSeries 306m
    送受信器の間に                  PPMあり   891.6879
                                                  CPU   Pentium4 531
  透過型PPMブリッジが1台
                                                        (3.0GHz)

                                有意な差はない           RAM   2GB

                                                  OS    Debian GNU/Linux
                                                        (6.0.1)
                                     スループット
                                     (Mbps)       NIC   Broadcom 5721
    送受信器の間に                  PPMなし   890.5112
  透過型PPMブリッジが2台
                             PPMあり   891.7197



                 2012/6/13            ORC 最終審査会                        8
透過型PPMブリッジの性能評価(+α)

10Gbpsカードでの性能評価                     9,238,122,764 bps = 8.6Gbps
          10,000,000,000
           9,000,000,000
           8,000,000,000
           7,000,000,000
           6,000,000,000
スループット
           5,000,000,000
  (bps)
           4,000,000,000
           3,000,000,000
           2,000,000,000
           1,000,000,000
                      0
              -300            200         700         1200    1700

                              パケットサイズ (byte)



                       2012/6/13                ORC 最終審査会            9
本日のマーキングスループット
一番トポロジの根っこの部分の透過型ブリッジにおけるスループット




                                    881Mbps
                                    でました




            2012/6/13   ORC 最終審査会             10
本日のトポロジ
                7+1台の
             透過型PPMブリッジ




      パケット
       受信器

                        Data Flow                 5台の
                                                 パケット
                                                  送信器
                      Trace back!!

                             *仮想環境を利用せずすべて実機で構成

          2012/6/13                  ORC 最終審査会      11
経路情報再構成スクリプト




       2012/6/13   ORC 最終審査会   12
経路情報再構成可視化ツール




       2012/6/13   ORC 最終審査会   13
透過型PPMブリッジの本質と応用シーン

          • PPM研究自体は「DoS対策」
  透過型     • PPMそのものの本質は「直近で流れていたパ
PPMブリッジ     ケットの経路を明らかにする」
             • 経路情報を復元するトリガはDoS攻撃でな
               くて良い
             • トリガ自身は本システムはスコープ外


   応用シーン
 • 仮想環境等の複雑化した組織内ネットワークでの
   経路やネットワーク機器管理
 • 特定ASやAS群におけるボットネットの活性化


           2012/6/13   ORC 最終審査会   14
おまけ:@SRCHACK.ORGさま
 チーム@SRCHACK.ORGの方が
     6/7の2次審査で
  我々の実装に興味を持ち…



 カーネルパッチをこちらから
  提供さしあげたところ…



  なんと、透過型PPMが動く
   WHR-HP-AG300Hが
  できあがってしまった!!


 今現在、動いています!!

              2012/6/13   ORC 最終審査会   15
これは、
  われわれを@SRCHACK.ORGさんへと
    導く暗示だったのか!!!?


            Tシャツ謹呈の図


2012/6/13        ORC 最終審査会   16
まとめ

 透過型確率的パケットマーキング(PPM)              本会場にて
  装置の提案
  • 透過型PPMブリッジ
  • 透過型PPMリピータ                       実機による
                                    ネットワーク
                                       環境
 透過型PPMブリッジの開発
  • Linuxカーネルを修正することで
    軽量に実現


                                    経路情報復元
 周辺機能の充実化
                                    可視化ツール
  • マーキングデータから
                                     ライブデモ
    経路情報を復元するperlスクリプト
  • 経路情報の復元状況を可視化するツール


            2012/6/13   ORC 最終審査会           17

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透過型確率的パケットマーキング装置の提案と開発(オープンルータコンペティション発表資料)

  • 1. 透過型確率的パケットマーキング装置の 提案と開発 チーム名:筑波大学 暗号・情報セキュリティ研究室とOB 金岡 晃(筑波大学) 岡田雅之(OB:勤務先:JPNIC) 日暮一太(筑波大学) 後藤成聡(筑波大学)
  • 2. 最初にまとめ • 経路途中のルータが、IPv4ヘッダの 確率的 Identificationフィールドにマーキング パケットマーキング (Probabilistic Packet Marking) • 受信側で収集したマーキング情報をもとに経路 情報を再構成 我々のアプローチ 方式の 軽量 現実適用の 効率化 Linux実装 検討 既存の稼働中ルータをPPM対応ルータに 「入れ替える」のはとてもハードルが高い ルータの代わりに透過的にマーキングする 「透過型マーキング装置」 2012/6/13 ORC 最終審査会 2
  • 3. アピールポイント とても軽量な 透過型PPMブリッジの実現 • Linuxを搭載した1Uサーバをブリッジとし て採用 • (予算がないので)研究室で使ってなかっ た古いサーバを使いました • IBM xSeries 306m (P4 3.0GHz, 2GB RAM)が中心 マーキングから経路再構成する perlスクリプト 経路再構成の具合を 可視化するツール 2012/6/13 ORC 最終審査会 3
  • 4. 確率的パケットマーキング(PPM)方式の概略 (Savageらの手法) 基本的な手法 例 目的は 攻撃者 中継ルータ群 被害者 「攻撃者までの経路 (中継ルータ群のIPアドレス X A B C D Y とその順序)を知る」 A A B A +B d=3 確率 p B B +C B +C d=2 ・自分のIP情報を書き込む C C +D C +D d=1 ・距離情報0にセット D D d=0 確率 1-p Yが受け取る情報 ・もし距離情報が0だったら 順番にXORすることで 自分のIP情報を 中継ルータ群のIP情報を復元可能 現在のIP情報にXOR ・距離情報++ 2012/6/13 ORC 最終審査会 4
  • 5. 確率的パケットマーキング(PPM)方式の概略 (Savageらの手法) 宛先ホストで 受け取るデータ 経路情報の 復元 ○ A+B d=3 ○ C+D ○ B+C ○ A+B ○ B+C d=2 ○ + ○ + ○ + D C B ○ C+D d=1 D d=0 D C B A グラフになぞらえ ルータそのものの情報ではなく、 ノード情報ではなく 「どのルータ間を通ったか」の情報が エッジ情報をあつめることから マーキングされる “Edge Sampling” と言われる 2012/6/13 ORC 最終審査会 5
  • 6. 【提案】透過型確率的パケットマーキング装置 既存ルータのソフトウェア/ハードウェア入れ 2つの実現形態 替えを必要とせず 既存ルータをPPM対応させる 透過型PPMリピータ Ethernetでの中継(ヘッダ書き A B 換え)を行なわない(Ethernet レベルでも透過) A TPPM装置 B 透過型PPM ブリッジ・スイッチ 新たなルータ設置ではなく Ethernetでの中継(ヘッダ書き IPレベルで透過的に 換え)を行なう 代理でPPMを行なう装置を配置 (Ethernetレベルでは非透過) A○ B + のマークを1度で行えるためEdge Samplingに適している ネットワーク中継機器として2台以上の代理マーキングも可能 2012/6/13 ORC 最終審査会 6
  • 7. 透過型PPMブリッジの実装 既存ライブラリ等を 利用せず フルスクラッチで LinuxカーネルにPPM機能を実装 Ethernetフレームのプロトコル番号を見て、IPパケットの該当部分を上書き マーキング後のIPヘッダチェックサム再計算の効率化 カーネル上でIPレイヤ処理での計算を呼び出さず、Ethernetフレーム処理 部分にIPヘッダのチェックサム再計算を記載することで効率化 マーキング設定の柔軟性向上 sysfsを用いることでユーザランド • リピータ/ブリッジ・スイッチ 機能切り替え • マーキングタイプ (ユーザが設定できるエリア)か (未実装) • マーキングアルゴリズム らカーネルパラメータを設定でき るように変更 (Savage, Goodrich, 金岡) ARP観測による自動設定に向けた対応 EthernetフレームのみにPPM対応するよう、分岐命令を用いた実装 分岐を増やすことによりARP対応が容易に可能 2012/6/13 ORC 最終審査会 7
  • 8. 透過型PPMブリッジの性能評価 パケット 透過型 パケット 受信器 PPMブリッジ 送信器 スループット 評価はいずれも (Mbps) Apacheのabを使用 PPMなし 890.5715 IBM xSeries 306m 送受信器の間に PPMあり 891.6879 CPU Pentium4 531 透過型PPMブリッジが1台 (3.0GHz) 有意な差はない RAM 2GB OS Debian GNU/Linux (6.0.1) スループット (Mbps) NIC Broadcom 5721 送受信器の間に PPMなし 890.5112 透過型PPMブリッジが2台 PPMあり 891.7197 2012/6/13 ORC 最終審査会 8
  • 9. 透過型PPMブリッジの性能評価(+α) 10Gbpsカードでの性能評価 9,238,122,764 bps = 8.6Gbps 10,000,000,000 9,000,000,000 8,000,000,000 7,000,000,000 6,000,000,000 スループット 5,000,000,000 (bps) 4,000,000,000 3,000,000,000 2,000,000,000 1,000,000,000 0 -300 200 700 1200 1700 パケットサイズ (byte) 2012/6/13 ORC 最終審査会 9
  • 11. 本日のトポロジ 7+1台の 透過型PPMブリッジ パケット 受信器 Data Flow 5台の パケット 送信器 Trace back!! *仮想環境を利用せずすべて実機で構成 2012/6/13 ORC 最終審査会 11
  • 12. 経路情報再構成スクリプト 2012/6/13 ORC 最終審査会 12
  • 13. 経路情報再構成可視化ツール 2012/6/13 ORC 最終審査会 13
  • 14. 透過型PPMブリッジの本質と応用シーン • PPM研究自体は「DoS対策」 透過型 • PPMそのものの本質は「直近で流れていたパ PPMブリッジ ケットの経路を明らかにする」 • 経路情報を復元するトリガはDoS攻撃でな くて良い • トリガ自身は本システムはスコープ外 応用シーン • 仮想環境等の複雑化した組織内ネットワークでの 経路やネットワーク機器管理 • 特定ASやAS群におけるボットネットの活性化 2012/6/13 ORC 最終審査会 14
  • 15. おまけ:@SRCHACK.ORGさま チーム@SRCHACK.ORGの方が 6/7の2次審査で 我々の実装に興味を持ち… カーネルパッチをこちらから 提供さしあげたところ… なんと、透過型PPMが動く WHR-HP-AG300Hが できあがってしまった!! 今現在、動いています!! 2012/6/13 ORC 最終審査会 15
  • 16. これは、 われわれを@SRCHACK.ORGさんへと 導く暗示だったのか!!!? Tシャツ謹呈の図 2012/6/13 ORC 最終審査会 16
  • 17. まとめ  透過型確率的パケットマーキング(PPM) 本会場にて 装置の提案 • 透過型PPMブリッジ • 透過型PPMリピータ 実機による ネットワーク 環境  透過型PPMブリッジの開発 • Linuxカーネルを修正することで 軽量に実現 経路情報復元  周辺機能の充実化 可視化ツール • マーキングデータから ライブデモ 経路情報を復元するperlスクリプト • 経路情報の復元状況を可視化するツール 2012/6/13 ORC 最終審査会 17