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数学の(やらしい)おねえさん
※おっぱい関数は、天才的な知人作です。以下のURLにとんでください
https://twitter.com/corollary2525/status/888351380829687808
タカタ先生
え〜、次のロマンチストは…数学のやらしいおねえさん、…って、あれ、なんかタイトルが全然違うものに
なってるんですけど!?ちょっ、えっ、どゆこと?!数学のやらしいおねーさーん!
武藤 ハ〜イ♡どうも〜♡
タカタ先生
これは、どうなってるんですかね…予定してたタイトルと全然違うんですけど
武藤
いや〜〜今回MathPowerってこともあって、気合い入れてプレゼン考えてきたら、おっぱい要素が足りなく
なってしまって。数学のやらしいおねえさんとしてもっとパイパイしたネタをと思ってですね。冗談です、冗
談ですよ。こっちが本物です。
タカタ先生 も〜〜〜びっくりさせるな〜!そんな子はあとで職員室まで来なさい!!
武藤 エッッ…やだ、そんな…先生ったら…やらしい課外授業ですか?
タカタ先生
違うわーーーー!!
<楽屋裏打ち合わせ>
応用数学
純粋科学
心理学
あるいは測定の環 武藤杏里
応用数学
• ピュアマスを愛している人にとって、応用数学なんて世俗的で混沌とし
ているものは、あまり魅力的に映らないかもしれません。
• 私は応用数学の人間です。ぶっちゃけ、素数を見てもドーパミンは出ま
せん。
• 私にとって、数学というのは言語、アカデミックランゲージです。視聴
者の中のどれくらい、数学そのものでなく、数学で表せるものの意味に
ロマンティックを感じる人がいるでしょうか。
純粋科学
• 数学で表せるものの意味にロマンティックを感じるのは「応用」かもしれま
せんが、数学で表せるものの意味は「純粋」な科学といえます。
• 例えば分子生物学をとってみればDNAやRNAやたんぱく質は公理で、立派な
数学的体系ですね。公理多すぎですけどね。笑
• この世界にはたくさんの論理体系があります。数学の体系を美しいと思う人
がいるように、生物の体系を美しいと思う人もいる。私は心の体系が美しく思
えます。でも心なんて全然体系だってないじゃないか。人によって、時に
よっても全然違う。
心理学
• 私は純粋な科学として心の体系を解き明かしたいのです。
• 最も数学とのコラボが難しいが、最も数学の力を必要とする。それが心理学だと
思います。数学とのコラボとして真っ先に思い浮かぶのは、物理学でしょう。
数学とは兄弟のように発展してきました。物理学は数学が先になくとも、物理
学なりの数学体系ができていたと考えられます。
• 心に関する理論はギリシャ時代からあり、名だたる学者が心についての持論を
展開しています。こんなに歴史が長いのに物理学ほどの統一性がありません。
• 統一的でなければ科学ではないとは言いませんが、統一的でないなりに数学の
ような一意的な言語で書いていただきたい。
古典物理的な現象と、心理的な現象の違いはなんでしょう。理論のレベルに
よって違うでしょうが、物理的な現象は基準点が安定しており、普遍的ですが、
心理学的な現象は基準点が不安定で、特殊的です。すなわち、定数はなく、再
現可能性もありません。このような物理とは違う現象を、どう科学の枠組みに
載せていけばいいのでしょう。人間の心理に、普遍的な部分はないのでしょう
か。人間は全くもって非論理的なのでしょうか。
心理学
あるいは測定の環
吉野(2001)より作成
私たちの心にも、論理体系は存在するはず
です。そもそも生物は、生きるために合理
的な身体を有しているからです。体系だっ
ていないものだって、体系だった視点から
測ることで、何か見えてくることがありま
す。心理を純粋科学によって記述するため
に、普遍的、論理的な数学によって紡がれ
る測定の環についてお話しします。
心理測定論の系譜
19世紀 ヘルムホルツ、マッハ、ヘルダー
20世紀 キャンブル、メンガー、スティーブンス、クランツら
21世紀 ナーレンス、ルース
前提 ⊢ 仮定 → 結論
アプリオリ(暗黙の常識)
高等数学は身体に依らない(暗黙の常識などない)
ヘルダーのE(Extensive)-測定(現代集合論的測定理論)
◆測定対象全体の集合 𝜲
(全順序、結合の2項関係が
成立した代数系 𝒳 = Χ, ≼, ◯ )
◆数値を対応させる写像 𝝋
1) 𝜑 nx = n𝜑 x
2) 𝑥 ≼ 𝑦 𝑖𝑓𝑓 𝜑 x ≤ 𝜑 y
◆アルキメデス性
∀x, y ∈ Χ, ∃𝑛 ∈ 𝑁, 𝑛𝑥 ≽ 𝑦
(帰納的に定義した𝑛𝑥
1𝑥 = 𝑥, 𝑛 + 1 𝑥 = 𝑛𝑥 ◯ 𝑥)
◆測定の単位量
∀𝑢 ∈ Χ, 𝜑 u = 1
(この場合𝜑 𝑢と書くべき)
スティーブンスの尺度論 心理的量を測定する「尺度」
とても経験的
尺度名称 基本となる経験的操作 数学的な群の構造 武藤的理解
名義尺度 等しさの決定
置換群
𝑥′ = 𝑓(𝑥) 1対1置換
同等=
順序尺度 大小関係の決定
単調群
𝑥′ = 𝑓(𝑥) 単調増加関数
弱順序≼
間隔尺度 間隔、差の等しさの決定
線形・アフィン変換群
𝑥′
= 𝑎𝑥 + 𝑏, 𝑎 > 0
距離𝑑( ∙ ,∙ )
(アフィン空間)
比例尺度 比(ratio)の等しさの決定
相似群
𝑥′ = 𝑐𝑥, 𝑐 > 0
基準点(原点)
表は、高田(1987)より引用(一部改変)
クランツらの測定における表現定理(外延量用)
1)𝒳 = Χ, ≼, ◯ から𝒩 = 𝑅𝑒+
, ≤, + への
中への準同型写像集合𝒴がある
2)𝒴 = ∅
3)∀𝜑, 𝜓 ∈ 𝒴のとき、 𝜑 = r𝜓となる∃𝑟 ∈ 𝑅𝑒+
がある
4)∀𝜑 ∈ 𝒴, ∀𝑟 ∈ 𝑅𝑒+
のとき、 r𝜑 ∈ 𝒴である
ナレンスの公理的尺度論
𝒳 = Χ, ≼, 𝑅1, 𝑅2, ⋯ から𝒩 = 𝑅𝑒+
, ≤, 𝑆1, 𝑆2, ⋯
への空でない準同型写像集合𝒴がある
(𝑅𝑛, 𝑆𝑛 𝑛 = 1,2,3, ⋯ のそれぞれは𝑛項関係をあらわす)
<名義尺度>
そもそも順序構造を持つ集合への準同型写像がない
<順序尺度>
1)∀𝜑, 𝜓 ∈ 𝒴に対し𝑅𝑒+
から𝑅𝑒+
への上への単調増加関数f
が存在し、𝜑 = f ∗ 𝜓が成り立つ
2)f ∗ 𝜑 ∈ 𝒴
ナレンスの公理的尺度論
<間隔尺度>
1)各𝑟 ∈ 𝑅𝑒+
, 𝑠 ∈ 𝑅𝑒, 𝜑 ∈ 𝒴から𝑅𝑒+
に対しr𝜑 + 𝑠 ∈ 𝒴が存在
2) ∀ 𝜑, 𝜓 ∈ 𝒴に対し𝜓 = 𝑟𝜑 + 𝑠となる𝑟 ∈ 𝑅𝑒+
, 𝑠 ∈ 𝑅𝑒が存在
<比例尺度>
1)各𝜑, ∈ 𝒴, 𝑟 ∈ 𝑅𝑒+
に対し r𝜑 ∈ 𝒴 となる
2)各𝜑, 𝜓 ∈ 𝒴に対し𝜓 = s𝜑となるs ∈ 𝑅𝑒+
が存在
心理量の測定の基盤が
数学的によって形作られた!
あるいは、
流転する無限の真理。
引用文献
Krantz, D., Luce, D., Suppes, P., & Tversky, A. (1971). Foundations of
measurement, Vol. I:
Additive and polynomial representations. Academic Press.
Narens, L. (1985). Abstract measurement theory. MIT Press.
Stevens, S. S. (1946). On the theory of scales of measurement.
高田誠二. (1987). 計測の科学的基礎 コロナ社 p.92
von Helmholtz, H. (1887) Z¨ahlen und
Messen :erkenntnisstheoretisch betrachtet. Philosophische Aufs¨atze.
(Love, M.F. (interpreted) (1977). Numbering and measuring from an
epistemological viewpoint. In Epistemological Writings (pp. 72-114).
Springer Netherlands.)
吉野 諒三, 千野 直仁, & 山岸 侯彦. (2007). 数理心理学(心理学の世界
専門編16) 培風館
Narens先生のホームページ http://www.imbs.uci.edu/~lnarens/narens.html
Luce先生のホームページ http://www.imbs.uci.edu/files/personnel/luce/luce.html
みんな大好きダニエル・カーネマンもいいけれど、Tversky先生も忘れないでね!

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