Más contenido relacionado
La actualidad más candente (20)
2オセロプレゼンテーション
- 2. オセロの基礎知識
ありがちな誤解 :オセロの勝敗は運で決まる?
⇒ オセロは将棋や囲碁やチェスなどと同じ二人零和有限確定
完全情報ゲームであり、偶然(運)には左右されない。
オセロの歴史
○ 故・長谷川五郎氏が考案 ⇒ 1973年に商品化され、空前の大ヒット
○ 1973年 第1回全日本オセロ選手権開催(~現在まで)
○ 1977年 世界オセロ選手権大会開催(~現在まで)
○ 2006年 従来の全日本選手権と名人戦に加えて、王座戦の創始
⇒以後は三大タイトル制となり、各優勝者が世界選手権の代表に
○ 過去から現在にいたるオセロが最も強い国は日本(競技人口の桁が違う)
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 2
- 4. 私はオセロがそれなりに強かった
主な戦績
○ ネットでオセロを始めたのは2002年頃、初めて大会に出たのが2004
年
○ 2009年度王座戦準優勝(あと1回勝てば世界戦に行けたのに…)
○ 公式レーティング(日本ランキングのようなもの)最高4位
○ 2007,2010,2011年度オセロ近畿・北陸名人
○ 全日本選手権最高4位(2006年)、名人戦最高3位(2013年)
○ 最近も関西選手権優勝(2015年)、レート最高10位(2016年)など
しかし現在は69位…
そんな私がedax(現在最強と言われているオセロプログラ
ム)と対局すると…
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 4
- 6. オセロのソフトとは
代表的なソフト
○ Logistello:初期の最強ソフト。1997年に村上九段に圧勝した。
○ Wzebra:90年代から00年代頃まで広く普及し、研究に使われた。
○ Edax:現在最強と謳われるソフト。現在、多くの人間のトッププレイ
ヤーも研究に使用している。
なぜオセロでは早い時期に人間がソフトに敗北したのか
○ オセロにはプロ制度がなかったので、人間のレベルが低かった
○ 盤面が8×8と狭く、手数も決まっているため、ソフトが解析しやす
かった(それに対して囲碁や将棋は分岐が多い)。
○ 特に、終盤(ソフトや設定にもよるが、ラスト20手~30手ぐらいま
で)は全ての手を読み切ることができるため、絶対に間違わない。
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 6
- 9. BenSeeley vs 為則九段
Ben Seeley選手の出現
○ ソフトの研究による序盤の知識と、変化された後の対応力や終盤力と
いった自力の両方を兼ね備えたアメリカ人プレイヤー
○ Seelyに日本の高段者は苦戦(Seelyは2003・04年と世界戦を連覇)
為則九段がソフトを活かす
○ 為則英司:現在でも歴代最強と言われているオセロプレイヤー。
○ 為則九段は、1990年代の時点で世界戦を五度制するなど、すでにレ
ジェンドプレイヤーだったが、久々にオセロに復帰して出場した2004
年の世界戦で、Seelyの強さに衝撃を受ける。
○ 後に為則九段は、Seelyと同じくソフトによる研究を取り入れ、
2005・06年の世界戦を連覇する。Seelyへのリベンジに成功。
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 9
- 10. 為則九段の与えた影響
為則九段のソフトによる研究を活かした打ち回し
為則 vs Kashiwabara(世界戦2005準決)
柏原はこの進行を終局まで調べて把握して
いたが、為則も終局まで最善進行でついて
いった(為則もソフトでかなり研究して
いたと思われる)。結果は引き分け。
○ 最強のベテラン高段者が、ソフトを用いた序盤研究を駆使して世界戦
を連覇したことは、他の日本人プレイヤーたちにも、ソフトを使用し
た研究の重要性を知らしめることになった。
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 10
- 12. 2000年代後半~現在のオセロ界
高梨九段の出現
○ 過去10年で世界戦を4回制覇している、近年最強の天才プレイヤー。
○ おそらく日本初の、コンピューターの研究による緻密な序盤知識と、
あらゆる変化に対応する自力(中盤力+終盤力)を持ったオンライン
オセロ出身のプレイヤー。
○ 高梨九段の出現以降、インターネット出身のプレイヤー全体のレベル
が飛躍的に向上し、同様の傾向を持ったプレイヤーが次々と生まれる。
○ 高梨九段を旗手とした新世代のオンラインオセロ出身のプレイヤーた
ちは、旧世代のオンラインオセロ出身のプレイヤー(暗記オセラー)
たちが為しえなかった、ソフトをあまり使用しないベテラン高段者た
ちの打倒を果たしてゆくことになる。
○ 背景には、携帯電話端末のオセロソフト(アプリ)の普及があった。
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 12
- 14. ソフトによるオセロ戦術の変化③
最善手と変化
○ ソフトによってどんどん最善手の研究が進めば、プレイヤーたちは最
善手しか打たなくなる??
おそらく、500通りほど60手(初手~最終手)の最善進行のパターンを記憶で
きていたら、あらゆる最善進行には対応可能である。
それはトッププレイヤーにとっては不可能ではないが、その場合、結果は引き
分けばかりになる(オセロは双方最善で引き分けと言われている)
○ そこで、特に2000年代半ば以降に進んだのが、対人戦における変化の
研究である。
以前の変化は、最善手とされる展開をとりあえず外すだけだった。
2000年代半ばからは、事前に最善進行ではない-2や-4の変化をソフトで深く
研究しておいて、実戦で武器として使用する選手が増えた。
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 14
- 15. ソフトによるオセロ戦術の変化③
「変化の研究」という戦略の有効性
○ なぜ、あえて最善進行ではない展開をソフトで研究するのか
ソフトによる研究がトッププレイヤーの間に浸透すると、有名なソフトの最善
進行は彼らにとっては知っていて当然になってくる。
そこで、有名な最善進行をわざと外し、少しだけ自分が不利になる代わりに、
相手の知らない展開に誘導する。
すると、僅かに不利ではあるが、一時的に「自分だけがソフトで研究していた
展開」になるので、相手にソフトと打つような状況を強いることができる。
変化の有限性(≒「オセロの有限性」?)という問題
○ 「ベテラン高段者vs暗記オセラー」から、「最善派vs変化派」の構図
に変化。
○ しかし、有効な変化のバリエーションには限界がある。
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 15
- 16. ソフトによるオセロ戦術の変化③
変化の有限性(≒「オセロの有限性」?)という問題
○ 変化の「有効期限」の短さ
良い変化が見つかっても、一度ソフトによって解析・対策されれば、最善手によっ
て対応されてしまう。変化を発見⇒ソフトで対策のいたちごっこ。
その結果、自らの棋譜の公開を拒むトッププレイヤーが増加した。
○ 三大タイトル戦後に作成されていた「棋譜集」の成立が困難に。
○ 全ての最善進行が記憶され、かつ良い変化が枯渇してしまったとき、それで
もオセロの競技性は保たれるのだろうか?
携帯端末へのオセロアプリの普及
○ 大会中にも誰でも棋譜の解析が可能に
変化が一日ももたないことも(準決勝の変化が決勝で対策されているとか)
○ 大会での、ソフトを使った不正の恐れ(中座問題など)
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 16
- 18. オセロとコンピューター
コンピューターによる人間のレベルの向上
○ たしかにソフトは、従来のオセロの「面白さ」をかなり失わせた。
高段者の権威、棋譜の価値、無限性、最善手の追求、ネット対局の面白さ
○ しかし、ソフトは同時に、人類のオセロレベルを飛躍的に向上させた。
まるでコンピューターのようなプレイヤーの出現
ソフトに敗北して20年を経た今、人類とソフトの表面上の差はむしろ縮まった
○ 最善手と変化をめぐる人間同士の駆け引きの出現
暫定的な結論
○ ソフトの出現による、ゲームが行われる位相の変化
真理(最善手)をめぐる戦いから、真理(最善手)を資源として用いる戦いへ
○ 人工知能の台頭は、単に人類の行いを減らすだけではない。
環境の変化に応じて、新たにイシューを作り出してしまう(良くも悪くも)が資本
主義的な、あるいは近代的な人間のあり方である。
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 18
- 19. 他のボードゲームについて
他のボードゲームとの比較
○ オセロでの出来事(とそこから得た知見)は、他のボードゲームにも
適用可能か。 ⇒どこまで一般化して考えることができるか
オセロで起きる問題は、囲碁や将棋でも後で起きる(by オセロの谷田七段)
○ おそらく、特にこれまでの経緯が似ているのは、チェス
○ しかし、囲碁や将棋は、同じ二人零和有限確定完全情報ゲームであり
ながら、ゲームの中身も置かれている環境もオセロとはかなり異なる。
プロ制度の有無
○ それにともなう、人間のレベルの高さ
ゲームの<深さ>
○ 選択肢が多いゲームは、コンピューターが人間を追い抜くのに時間がかかる。
○ しかし、ひとたびコンピューターが人間を追い抜くと、今度はその<深さ>ゆえに、
人間がコンピューターと勝敗を争うことが困難になる恐れがある。
2016/11/27 人類は人工知能にいかに立ち向かうのか 19