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1 de 13
1
開発のよいやり方を
形式知にして共有しよう!
~ パターンマイニングワークショップ
鷲崎 弘宜
早稲田大学、国立情報学研究所
2013 年 8 月 20 日(火)
Rev. 1.0
2
パターン(パタン)とは
 特定の「文脈」で繰り返し起きる「問題」とその「解
決」の記述
 経験的なコツや暗黙知を、言語化して形式知にしたもの
 問題の発見と解決のための再利用可能な道具
 建築のパタンランゲージに端を発す [Alexander77]: 活動の拠点
、小さな広場、路上のカフェ、街路への開口・・・
 概ね一定の形式で記述
 ソフトウェア開発のマネジメントパターン ⇒ アジャイル
開発へ
 組織構造(チーム編成)最適化の指針、パターン
 生産性の高い開発プロセスに共通する優れたプロセスのパターン
 例 : 開発工程の生成的パターンランゲージ(作業の分割 ・・・)
、エピソード(顧客を引きこめ ・・・) [PLoPD01]
[Alexander77] C. Alexander 他著 , 平田翰那訳 , “ パタン・ランゲージ” , 鹿島出版 , 1977
Alexander, Christopher, et al. A Pattern Language. Oxford University Press, 1977.
[PLoPD01] PLoPD Editors, “ ”プログラムデザインのためのパターン言語 , ソフトバンクパブリッシング ,
(文脈)の状態において対象が(フォース・影響力)を持っ
た(問題)に直面しているとき、(解決)によって文脈は(結
果)へと変わっていく。
3
例 : ペアで開発せよ [PLoPD01]
 文脈: コード所有権が確認され、開発が進行している
 問題:人は一人での問題解決を怖がる
 フォース:
 人は誰かの援助により問題を解決できると感じるときがある
 あまりに多くの人々がいてもだめである
 解決: 気の会う設計者をペアにして一緒に作業させる。そ
のほうが生産性が高まり、死角も減る
 結果: より効率的な実装工程となる
(文脈)の状態において対象が(フォース・影響力)を持っ
た(問題)に直面しているとき、(解決)によって文脈は(結
果)へと変わっていく。
パターン候補の簡易マイニン
グ
1. 個人 : 良かったこと、上手くいったこと、大切にしたい
ことを書く
2. 集団 : 書いた結果を説明しながらブレーンストーミング
 くくり(グルーピング)、関連付け
 追加、修正
 否定しない
1. 集団 : 重要性の高いくくりから順に、パターン形式で書
く
 名前 : ひとことでいうと
 文脈 : こういうときに
 問題 : こういうことで困るので
 フォース : こういうことを考慮して
 解決 : こうすると
 結果 : こうなる
4
井庭崇 , パターン・ランゲージによる経験のマイニングと共有 (2012)
Linda Rising: Patterns Mining, in Handbook of Object Technology, CRC Press (1999)
深澤良彰監修 , 鷲崎弘宜ほか著 , “ ”ソフトウェアパターン , 近代科学社 (2007)
例えば「自己研鑽のコツ」
5
通勤時間は誰にも
邪魔されないから
、好きな勉強がで
きる。
ちょっとした時間
に読める論文をい
つも持ち歩く。
空き時間に
スマホ
で・・・
夜はコミュニティ
の集まりに出
て・・・
早起きし
て・・・
社内で勉強会
を企画・・・
1,5,10 年後にこ
うなりたいとい
う目標を持つ。
行き帰りの積み重ね
・文脈 : 業務で忙しくしてい
る。知識の範囲が狭く広げたい
と思っている。
・問題 : 忙しく対象外の学習
に時間を割きにくい。
・フォース : 余分な時間は取
れないが、行き帰りのちょっと
した時間はある。
・解決 : 通勤のちょっとした
時間に本を読むなどして知識を
無理なく積み重ねる。
・結果 : 忙しい中でも知識の
範囲が無理なく広がっている。
通勤の
一工夫
みんなで成長
6
パターンからパターンランゲー
ジへ
 関連するパターンをつなげよう
 周辺のパターンを出そう
 関連
 文脈や問題の共有
 結果が新たな問題
 解決の一部
行き帰りの積み重ね
・文脈
・問題
・解決
・結果
厚い本はぶった切る
・文脈
・問題
・解決
・結果
本を持ち歩く
・文脈
・問題
・解決
・結果
電子書籍を持ち歩く
・文脈
・問題
・解決
・結果
自炊する
・文脈
・問題
・解決
・結果
日々楽しく成長するためには、業務以外の行き帰りの積み重ね が大切である。
リーダを所有していれば電子書籍を持ち歩く とよい。なければ、本を持ち歩
く とよいが、厚い本の場合は大変である。そういうときは本をぶった切る
続いて・・・
 パターンの洗練、活用
 書いたパターンを、見直してみよう
 書いたパターンで、自身の体験を振り返ってみよう
 書いたパターンを、周囲に伝えてみよう
 パターンランゲージの構築
 周辺の新パターンを検討してみよう
 体験から新パターンを発掘してみよう
 外へ
 組織外の他のパターン、パターンランゲージを見てみよう
 書いたパターン、パターンランゲージを組織外で発表しよ
う
7
PLoP
Chili PLoP
Euro PLoP
Sugarloaf PLoP
Viking PLoP
Asian PLoP
参考 : Pattern Languages of Programs
( PLoP )
 パターンおよびパターンランゲージの国際会議
 Hillside Group 主催 http://www.hillside.net/
 シェファーディングによる事前改訂
 ライターズワークショップによる集団推敲
 PLoP, EuroPLoP, ChiliPLoP
 特定ドメイン : ScrumPLoP, ParaPLoP
 アジア・国内
 2002 MensorePLoP
 2010 1st AsianPLoP: 40 名、パターン 16
 2011 2nd AsianPLoP: 55 名、パターン 22
 2013 3rd AsianPLoP (仮) 9 月上旬
 http://patterns-wg.fuka.info.waseda.ac.jp/asianplop/
8
MensorePLoP2001 (撮影 : 瀬戸川
氏)
9
参考 : 学習を深めるために
 パターンの原典をあたる
 C. Alexander 他著 , 平田翰那訳 , “ パタン・ランゲージ” , 鹿島
出版 , 1977
 ソフトウェアパターンの広がり全体を掴む
 深澤監修 , 鷲崎 , 丸山 , 山本 , 久保 , “ ソフトウェアパターン” ,
近代科学社 , 2007.
 羽生田栄一 監修 , パターンワーキンググループ著 , " ソフト
ウェアパターン入門~基礎から応用へ~ ", ソフトリサーチセ
ンター , 2005.
 ソフトウェアパターンとパターンランゲージの最先端
を知る
 鷲崎 , 江渡 , 吉岡 , 位野木 , 本橋 , 羽生田 , 懸田 , 井庭 , “ ソ
フトウェアパターン - 時を超えるソフトウェアの道 ", 情報処
理 , 情報処理学会 , Vol.52, No.9, 2011.
10
補足資料 : より形式的な
パターンマイニングワークショップ
パターンのマイニング手順
 (1) 発掘ドメインの決定
 (2) 各個人が具体的な成功体験
談を項目別に付箋紙に記述
 初期状況 : 実現する背景,妨げる
環境や問題
 アプローチ : 解決の方法や手段
 結果 : 得られた結果
 (3) 体験談を集団内で説明し,
類似のものを近くに配置
11
I1
初期状況 アプローチ 結果
I2
A1
A2
R1
R2
I3
I4
A3
A4
R3
R4
I5 A5 R5
成功体験談
 成果や経験に含まれるノウハウをパターンとして発
掘
 インタビュー、自身、講義、ワークショップ
Linda Rising: Patterns Mining, in Handbook of Object Technology, CRC Press (1999)
深澤良彰監修 , 鷲崎弘宜ほか著 , “ ”ソフトウェアパターン , 近代科学社 (2007)
マイニングの手順(つづき)
 (4) 抽象化して一定の具体性を持って下記の項目を合
致させられるか分析(単一体験談も可),付箋紙に記
述.
 文脈 : 集合中の体験談に共通の背景や環境
 問題 : 共通に扱われる問題
 フォース群 : 考慮する制約や影響力.「Aである.しかし,
Bである」
 解決 : 共通の解決策
 結果 : 結果に共通する状況や効果
 (5) 扱う範囲と効果のバランスを集団でレビュー,修
正.
 (6) 名前を付けてパターン候補
12
I1
初期状況 アプローチ 結果
I2
A1
A2
R1
R2 Ca Pa
Ra
・ Fa1
・ Fa2
Sa
文脈 問題 フォース群 解決 結果
Rb
・ Fb1
・ Fb2
Sb
成功体験談 パターン候補
13
マイニングの「コツ」
 手順や道具立て
 体験談、続いて、パターン化。問題やフォースの見極めは最初
困難。
 記述形式が定まっていれば、マイニングしやすい
 ”アプローチ “のみ 似た体験談群をパターン化するのは誤り!
 使えるパターンの条件
 適度に具体的であること。
 「 A ならば B 」というルール規則ではないこと。
 そうそう!
 周辺パターン候補に気付き、パターンランゲージ(言
語)へ
 文脈やフォースを変える。残った問題の解決を考える。
 パターンを言葉として、異なる立場間の議論・アイディア交換
可能に
 言葉が言葉を生む(創造性)
街の中心部には 活動の拠点 として 小さな広場 を設けよう。その広場に
は、訪問者や近隣の人々が気軽に集い落ち着けるように、いくつかの 路上
のカフェ が集まってひらかれるように奨励しよう。それぞれのカフェは
、オープンエアで楽しめるように 街路への開口 を持たせられるとよい
・・・

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パターンマイニング参考資料

  • 2. 2 パターン(パタン)とは  特定の「文脈」で繰り返し起きる「問題」とその「解 決」の記述  経験的なコツや暗黙知を、言語化して形式知にしたもの  問題の発見と解決のための再利用可能な道具  建築のパタンランゲージに端を発す [Alexander77]: 活動の拠点 、小さな広場、路上のカフェ、街路への開口・・・  概ね一定の形式で記述  ソフトウェア開発のマネジメントパターン ⇒ アジャイル 開発へ  組織構造(チーム編成)最適化の指針、パターン  生産性の高い開発プロセスに共通する優れたプロセスのパターン  例 : 開発工程の生成的パターンランゲージ(作業の分割 ・・・) 、エピソード(顧客を引きこめ ・・・) [PLoPD01] [Alexander77] C. Alexander 他著 , 平田翰那訳 , “ パタン・ランゲージ” , 鹿島出版 , 1977 Alexander, Christopher, et al. A Pattern Language. Oxford University Press, 1977. [PLoPD01] PLoPD Editors, “ ”プログラムデザインのためのパターン言語 , ソフトバンクパブリッシング , (文脈)の状態において対象が(フォース・影響力)を持っ た(問題)に直面しているとき、(解決)によって文脈は(結 果)へと変わっていく。
  • 3. 3 例 : ペアで開発せよ [PLoPD01]  文脈: コード所有権が確認され、開発が進行している  問題:人は一人での問題解決を怖がる  フォース:  人は誰かの援助により問題を解決できると感じるときがある  あまりに多くの人々がいてもだめである  解決: 気の会う設計者をペアにして一緒に作業させる。そ のほうが生産性が高まり、死角も減る  結果: より効率的な実装工程となる (文脈)の状態において対象が(フォース・影響力)を持っ た(問題)に直面しているとき、(解決)によって文脈は(結 果)へと変わっていく。
  • 4. パターン候補の簡易マイニン グ 1. 個人 : 良かったこと、上手くいったこと、大切にしたい ことを書く 2. 集団 : 書いた結果を説明しながらブレーンストーミング  くくり(グルーピング)、関連付け  追加、修正  否定しない 1. 集団 : 重要性の高いくくりから順に、パターン形式で書 く  名前 : ひとことでいうと  文脈 : こういうときに  問題 : こういうことで困るので  フォース : こういうことを考慮して  解決 : こうすると  結果 : こうなる 4 井庭崇 , パターン・ランゲージによる経験のマイニングと共有 (2012) Linda Rising: Patterns Mining, in Handbook of Object Technology, CRC Press (1999) 深澤良彰監修 , 鷲崎弘宜ほか著 , “ ”ソフトウェアパターン , 近代科学社 (2007)
  • 5. 例えば「自己研鑽のコツ」 5 通勤時間は誰にも 邪魔されないから 、好きな勉強がで きる。 ちょっとした時間 に読める論文をい つも持ち歩く。 空き時間に スマホ で・・・ 夜はコミュニティ の集まりに出 て・・・ 早起きし て・・・ 社内で勉強会 を企画・・・ 1,5,10 年後にこ うなりたいとい う目標を持つ。 行き帰りの積み重ね ・文脈 : 業務で忙しくしてい る。知識の範囲が狭く広げたい と思っている。 ・問題 : 忙しく対象外の学習 に時間を割きにくい。 ・フォース : 余分な時間は取 れないが、行き帰りのちょっと した時間はある。 ・解決 : 通勤のちょっとした 時間に本を読むなどして知識を 無理なく積み重ねる。 ・結果 : 忙しい中でも知識の 範囲が無理なく広がっている。 通勤の 一工夫 みんなで成長
  • 6. 6 パターンからパターンランゲー ジへ  関連するパターンをつなげよう  周辺のパターンを出そう  関連  文脈や問題の共有  結果が新たな問題  解決の一部 行き帰りの積み重ね ・文脈 ・問題 ・解決 ・結果 厚い本はぶった切る ・文脈 ・問題 ・解決 ・結果 本を持ち歩く ・文脈 ・問題 ・解決 ・結果 電子書籍を持ち歩く ・文脈 ・問題 ・解決 ・結果 自炊する ・文脈 ・問題 ・解決 ・結果 日々楽しく成長するためには、業務以外の行き帰りの積み重ね が大切である。 リーダを所有していれば電子書籍を持ち歩く とよい。なければ、本を持ち歩 く とよいが、厚い本の場合は大変である。そういうときは本をぶった切る
  • 7. 続いて・・・  パターンの洗練、活用  書いたパターンを、見直してみよう  書いたパターンで、自身の体験を振り返ってみよう  書いたパターンを、周囲に伝えてみよう  パターンランゲージの構築  周辺の新パターンを検討してみよう  体験から新パターンを発掘してみよう  外へ  組織外の他のパターン、パターンランゲージを見てみよう  書いたパターン、パターンランゲージを組織外で発表しよ う 7
  • 8. PLoP Chili PLoP Euro PLoP Sugarloaf PLoP Viking PLoP Asian PLoP 参考 : Pattern Languages of Programs ( PLoP )  パターンおよびパターンランゲージの国際会議  Hillside Group 主催 http://www.hillside.net/  シェファーディングによる事前改訂  ライターズワークショップによる集団推敲  PLoP, EuroPLoP, ChiliPLoP  特定ドメイン : ScrumPLoP, ParaPLoP  アジア・国内  2002 MensorePLoP  2010 1st AsianPLoP: 40 名、パターン 16  2011 2nd AsianPLoP: 55 名、パターン 22  2013 3rd AsianPLoP (仮) 9 月上旬  http://patterns-wg.fuka.info.waseda.ac.jp/asianplop/ 8 MensorePLoP2001 (撮影 : 瀬戸川 氏)
  • 9. 9 参考 : 学習を深めるために  パターンの原典をあたる  C. Alexander 他著 , 平田翰那訳 , “ パタン・ランゲージ” , 鹿島 出版 , 1977  ソフトウェアパターンの広がり全体を掴む  深澤監修 , 鷲崎 , 丸山 , 山本 , 久保 , “ ソフトウェアパターン” , 近代科学社 , 2007.  羽生田栄一 監修 , パターンワーキンググループ著 , " ソフト ウェアパターン入門~基礎から応用へ~ ", ソフトリサーチセ ンター , 2005.  ソフトウェアパターンとパターンランゲージの最先端 を知る  鷲崎 , 江渡 , 吉岡 , 位野木 , 本橋 , 羽生田 , 懸田 , 井庭 , “ ソ フトウェアパターン - 時を超えるソフトウェアの道 ", 情報処 理 , 情報処理学会 , Vol.52, No.9, 2011.
  • 11. パターンのマイニング手順  (1) 発掘ドメインの決定  (2) 各個人が具体的な成功体験 談を項目別に付箋紙に記述  初期状況 : 実現する背景,妨げる 環境や問題  アプローチ : 解決の方法や手段  結果 : 得られた結果  (3) 体験談を集団内で説明し, 類似のものを近くに配置 11 I1 初期状況 アプローチ 結果 I2 A1 A2 R1 R2 I3 I4 A3 A4 R3 R4 I5 A5 R5 成功体験談  成果や経験に含まれるノウハウをパターンとして発 掘  インタビュー、自身、講義、ワークショップ Linda Rising: Patterns Mining, in Handbook of Object Technology, CRC Press (1999) 深澤良彰監修 , 鷲崎弘宜ほか著 , “ ”ソフトウェアパターン , 近代科学社 (2007)
  • 12. マイニングの手順(つづき)  (4) 抽象化して一定の具体性を持って下記の項目を合 致させられるか分析(単一体験談も可),付箋紙に記 述.  文脈 : 集合中の体験談に共通の背景や環境  問題 : 共通に扱われる問題  フォース群 : 考慮する制約や影響力.「Aである.しかし, Bである」  解決 : 共通の解決策  結果 : 結果に共通する状況や効果  (5) 扱う範囲と効果のバランスを集団でレビュー,修 正.  (6) 名前を付けてパターン候補 12 I1 初期状況 アプローチ 結果 I2 A1 A2 R1 R2 Ca Pa Ra ・ Fa1 ・ Fa2 Sa 文脈 問題 フォース群 解決 結果 Rb ・ Fb1 ・ Fb2 Sb 成功体験談 パターン候補
  • 13. 13 マイニングの「コツ」  手順や道具立て  体験談、続いて、パターン化。問題やフォースの見極めは最初 困難。  記述形式が定まっていれば、マイニングしやすい  ”アプローチ “のみ 似た体験談群をパターン化するのは誤り!  使えるパターンの条件  適度に具体的であること。  「 A ならば B 」というルール規則ではないこと。  そうそう!  周辺パターン候補に気付き、パターンランゲージ(言 語)へ  文脈やフォースを変える。残った問題の解決を考える。  パターンを言葉として、異なる立場間の議論・アイディア交換 可能に  言葉が言葉を生む(創造性) 街の中心部には 活動の拠点 として 小さな広場 を設けよう。その広場に は、訪問者や近隣の人々が気軽に集い落ち着けるように、いくつかの 路上 のカフェ が集まってひらかれるように奨励しよう。それぞれのカフェは 、オープンエアで楽しめるように 街路への開口 を持たせられるとよい ・・・

Notas del editor

  1. 07/31/13
  2. 07/31/13