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日本のメイカー活動とNT金沢
秋田純一
(金沢大学)
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自己紹介
本業:金沢大の教員
専門:集積回路、イメージセンサ、インタラクション
好きなプロセスはCMOS 0.35um
本業2:Maker(メイカー)、ハンダテラピスト
好きな半田はPb:Sn=37:63
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Maker?メイカー?メーカー?
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“Maker Movement”の起源
FabLab
ロングテール
Maker(メイカー)の誕生
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FabLabの源泉
「(ほぼ)なんでも作る方法」
(MITでの演習)
上流から下流まで一通りを
すべて体験する
「作りたいもの」を
「具現化する」プロセス
http://fab.cba.mit.edu/classes/MIT/863.08/
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FabLabと、その派生コミュニティ
加工機をコアにしたものづくりコミュニティ
レーザーカッター、3Dプリンタ等
DIYからDo It With Others (DIWO)へ
日本では鎌倉とつくば他
「製造技術の民主化」
→市民が「製品は買うものではなく作るもの」へ
カフェ併設、会員制施設などの派生型も
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Makeの要請:ロングテール
(昔)少数のヒット商品
→(今)多数のニッチ商品
ニッチも多数なので
総和は大きい
例:音楽販売では、
25,000位以下で売上の40%
「一部のヒット商品」がなくなる
音楽業界:△25%(’01〜’07)
ヒットアルバム:△60%(’01〜’07)
(C.アンダーソン「ロングテール」,早川書房 (2009))
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Maker(メイカー)の誕生
「21世紀の産業革命」とも呼ばれる
産業全体:130兆ドル
IT産業(bit産業):20兆ドル(15%)
残り(85%):atom産業(モノが関わる)
「IT産業革命」は限定的→本命はatom産業
ものづくりの「ロングテール」を支える技術革新
3Dプリンタ等によるプロトタイピング
クラウド・ファンディング(市場調査・資金調達)
サプライチェーン活用による
量産手段の民主化
「モノへの愛着」の重要性
(熱心なファン)
C.アンダーソン
「MAKERS」
(NHK出版,2012)
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メイカー企業
小規模製造業
数万個ロット
高い技術力
熱心なユーザ・ファン
価格勝負でないユニークな製品
「製造業におけるロングテールの具現化」
ただし「大量生産産業」を置換するものではなく、共
存するもの=「製造業・産業の多様化」
IoT時代になり、「少量多品種」の製品・サービスは
増加の一途
※製造業企業の「メーカー」と区別するために、日本
語では「メイカー」と呼ぶ(個人も含めて)
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Make:の発刊とMaker Faire
オライリーから雑誌「Make:」が刊行(2005)
雑誌から「オフ会」=展示会へ
=Maker Faire(2005)
MakerMedia社として独立
日本では
”Make Tokyo Meeting”(2008)から
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Maker Faireの現状
世界中で開催(数え切れない・・・)
理工離れ?ものづくり離れ?どこの世界の話?
学会で寄ったオランダの田舎町でもやっていた
Maker Faire, Mini Maker Faireと規模もさまざま
NT金沢のような類似イベントも
※一時期、バブルの様相だったのは事実
(Fab施設の乱立(行政主導も)、Maker美容院、・・・)
https://fabcross.jp/topics/tks/20190117_made_in_china.html
MakerFaireTokyo2015 NT金沢
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「なければつくる」という選択肢
12
西餅「ハルロック」(講談社コミック)より
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Maker Faireの現状
内容は多様化の傾向
STEAM教育寄り(香港、シンガポール等)
ビジネス・起業寄り(深圳、ベイルート等)
工芸寄り(台北、東京?等)
“MakerFaire的なイベント”の派生
バブルの様相の時期もあった(ハイプサイクル)
それが一段落し、一定範囲で着実に定着している
教育、産業、ホビー・・・
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Maker活動:派生系
MakerFaire
東京、京都、大垣、山口、つくば、仙台、・・・
NT○○
京都、名古屋、金沢、加賀、広島、熊本、鯖江、
札幌、・・・
つくると!
つくろか!、つくるけえ!、・・・
伊勢ギークフェア、メイカーズバザール、・・・
「MakerFaireTokyoは行きたいが遠くて・・・」
という声をよく聞く
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NT金沢:始まり
MiniMakerFaireをやりたいと画策(2013年)
NT京都をみて、NT金沢を始めていた人がいた
合流して、拡張してみた
「作ってみたは正義」(byメーヴェの八谷さん)
会場:金沢市芸術村(~2013年)
→金沢駅前地下広場(2014年~)
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NT金沢:現状
 「すごいもの」も「しょぼいもの」から
 「すごい」かは、やってみないと判断できない(by高須さん)
 「見にいってみた」<<「出展してみた」
 約120ブース(抽選・セレクションなし、まだキャパはなんとか大丈夫)
 NT=「なんかつくってみた」と再定義して裾野拡大へ
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NT金沢:運営の実際
中の人=ほぼ二人
ルーチンワークが多い(会場予約、参加募集、当日)
「主催者」ではない(自称)
みんなが主役、それに場所を提供しているだけ
「主催者」がいると、みんながそれに頼ってしまう(ゴ
ミ捨てなど)
ブースの机運搬、片付けも、みんな(当事者)で
譲れないポリシー
「やりたいものは何か」を忘れない
NT金沢では「遊び場」
「やること」が目的にならないように
そのために必要なことが何かを考え、無理をしない
Webページ、チラシ:作りたい人がいたら頼む
幸い、安くてよい会場が予約できている(1万円/日:抽選)
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NT○○をやってみる
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Makerの背景:技術の民主化
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技術の進歩と独裁化
科学技術の進歩=社会水準の向上
科学技術の進歩=技術の高度化・複雑化
「製造者」と「利用者」の分離
製造者の「特権」:
原材料の入手(原油、電子部品、・・・)
工場・製造装置
販売チャンネル
利用者の「意識」
「ものは買う物」
大量生産・大量消費の時代が長く続いた
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技術の民主化へ
技術を、市民の手に「取り戻す」流れ
大量生産→ロングテールへ
「技術の民主化」を可能にする技術革新
実はルネッサンス時代への回帰でもある
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技術の「民主化」がもたらすもの
(以前)プロのみ
音楽、映画、・・・
我々は「消費者」
(現在)アマチュアでもコンテンツを
作ることができる
DTM, Vocaloid, …
YouTube, …
我々は「制作者」にもなれる
(可能性・裾野が広がった) 宮下芳明「コンテンツは民主化をめざす
―表現のためのメディア技術」
(明治大学出版会, 2015)
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技術の「民主化」がもたらすもの
プログラミング
(以前)PCもプログラミングツールも高価
「遊び」から始められない
(現在)PCもプログラミングツールも安価orタダ
「遊び」などから始められる
=敷居の低下=裾野の広がり
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技術の「民主化」がもたらすもの
裾野が広がる=イノベータの多様化
「アツい思い」を具現化する
道具がある
多様性=イノベーションの土壌
小川進「ユーザーイノベーション:
消費者から始まるものづくりの未来」
(東洋経済新報社, 2013)
(L.Fleming, Harvard Business Review,
8(9), pp.22-24 (2004))
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技術が「道具」になるとは
技術が「道具」になるステップ
開発/発明される
お店で買えるようになる
使い方が知られるようになる
みんなが使うようになる
それが「道具」となって、次のステップへ
プロのみ マニア(ハイレベルアマチュア)向け だれでも
プロ(詳しい人)しか使えない
アマ(詳しくない人)でも使える
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技術の民主化の結果:深圳の華強北
26
山寨(ShanZhai)の例(“iPhone nano”)
※FakeCopyではなく、プロダクトの
進化系。これが2週間で量産される
無限に続くパーツ屋
“Used Mobile Phone Shop”の実体
パーツに分解
(BGAも)
路上で解体
店頭でリペア
新製品の試作に流用
ShenZhen HuaQiangBei
基板製造
+
部品(サプライチェーン)
+
起業(ハードウエアスタートアップ)
+
資本(VC/アクセラレータ)
深圳の生態系
謎の起業・新製品が続々(ときどきアタる)
世界中から頭脳と資金が集まり、
イノベーションを生み出している
「ハードウエアのシリコンバレー」とも
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技術が生まれて「道具」になるまで
エリンギの例
1993年に日本へ
2003年ごろから一般化
↑10年かかって「道具」に
料理番組、調理例・・・
農林水産省「平成20年度 農林水産物貿易円滑化推進事業
台湾・香港・シンガポール・タイにおける品目別市場実態調査
(生鮮きのこ)報告書」(林野庁経営課特用林産対策室 )より
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技術の民主化:半導体での例
ref: http://www.intel.com/jp/intel/museum/processor/index.htm
傾き:×約1.5/年
年を追って、複雑・高機能な集積回路がつくられるようになった
※G.Moore (インテルの創業者の一人)
G.Mooreが1965年に論文[1]で述べる→C.Meadが「法則」と命名→「予測」→「指針(目標)」へ
G.E.Moore, "Cramming more components onto integrated circuits," IEEE Solid-State Circuit Newsletter, Vol.11, No.5, pp.33-35, 1965.
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Mooreの法則のカラクリ:スケーリング
集積回路の部品(MOSトランジスタ)を、同じ形状で、
より小さく作ると・・・?
寸法: 1/α
不純物濃度: α
電源電圧: 1/α
効果:いいことばかり
速度↑
消費電力↓
集積度(機能)↑
技術が進むべき方向性が極めて明確なまれなケース
p-Si
S DG
n-Sin-Si
p-Si
S DG
n-Sin-Si
L
R.H.Dennard et al., "Design of ion-implanted MOSFET's with very small physical dimensions," IEEE J.of SSC, Vol.9, No.5, pp.256-268, 1974.
MOSトランジスタの断面構造
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MOSトランジスタの微細化の歴史
微細化するほど
メリットがある
=がんばって微細化
そろそろ「原子」が
見えてきている
「お金がからむと
技術は進む」
ref: 日経BP Tech-On! 2009/03/30の記事
L=20nm(いま)
L=5nm(2020年ごろ予定)
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コンピュータの歴史の2つの側面
DEC VAX(1976)
1MIPS
Cray-1 (1978)
100MIPS
MIPS:Million Instruction Per Second (1秒間に実行できる命令数)
(世界最初のスーパーコンピュータ)
「世界トップの高速化」+「身近なものにも高速化の恩恵」の2つの側面がある
20000MIPS
10MIPS
100MIPS
20MIPS
20000MIPS
109MFLOPS
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コンピュータの「使い方」の変化
国に1台/会社に1台 個人で1台(PC) 一人で何台も
仕事・勉強の道具国・会社のプロジェクト
コミュニケーション
・遊びの道具
>1億円 10〜100万円 数万円
身の回りに無数
存在に
気づかない
〜100円
大昔のコンピュータ 一昔前のコンピュータ 今どきのコンピュータ
コンピュータの利用場面(アプリケーション)が広がった
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コンピュータが「頭脳」から「部品」に
出典:ARM
機器の頭脳
関節ごとに小さい脳(神経節)
コンピュータが、システムの「主役」から「構成要素(部品)」になった
※基本的には「コンピュータ」だが、小型で安価
CPU=Central Processing Unit
(中央演算装置)
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マイコン使用
部品点数=1
コスト:100円
発振回路(555)
部品点数=4
コスト:150円
「Lチカ」のパラダイムシフト
コスト面:マイコン○(「もったいなくない」)
機能面:マイコン○(多機能・仕様変更も容易)
while(1){
a = 1;
sleep(1);
a = 0;
sleep(1);
}
※さすがにPCではちょっと・・・
Mooreの法則の結果、コンピュータが「部品」になった例
昔のLチカ
今どきのLチカ
※マイコン=Micro Controller(小さなコンピュータ)
※Lチカ=LEDチカチカ(LEDを点滅させる。英語ではBlink)
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価格が起こしたパラダイムシフト
シリアル制御フルカラーLED “NeoPixel”
中国・深圳の会社の製品
電源+1本のシリアル制御線で複数制御
超安価 (~3円/pcs)
普通のLEDより安い
LEDディスプレイなど大量に使われるようになった
制御チップは1umルール程度(かなり安い)
Ref: https://news.nicovideo.jp/watch/nw4240213
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まとめ
Maker(メイカー)活動の誕生
MakerFaireと派生イベント
実は「作りたい」人はたくさんいる
地方分散は良い傾向?
Makerの背景:技術の民主化
技術の高度化が生んだ、技術の市民回帰

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日本のメイカー活動とNT金沢

  • 1. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 日本のメイカー活動とNT金沢 秋田純一 (金沢大学)
  • 2. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 自己紹介 本業:金沢大の教員 専門:集積回路、イメージセンサ、インタラクション 好きなプロセスはCMOS 0.35um 本業2:Maker(メイカー)、ハンダテラピスト 好きな半田はPb:Sn=37:63
  • 3. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Maker?メイカー?メーカー?
  • 4. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ “Maker Movement”の起源 FabLab ロングテール Maker(メイカー)の誕生
  • 5. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ FabLabの源泉 「(ほぼ)なんでも作る方法」 (MITでの演習) 上流から下流まで一通りを すべて体験する 「作りたいもの」を 「具現化する」プロセス http://fab.cba.mit.edu/classes/MIT/863.08/
  • 6. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ FabLabと、その派生コミュニティ 加工機をコアにしたものづくりコミュニティ レーザーカッター、3Dプリンタ等 DIYからDo It With Others (DIWO)へ 日本では鎌倉とつくば他 「製造技術の民主化」 →市民が「製品は買うものではなく作るもの」へ カフェ併設、会員制施設などの派生型も
  • 7. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Makeの要請:ロングテール (昔)少数のヒット商品 →(今)多数のニッチ商品 ニッチも多数なので 総和は大きい 例:音楽販売では、 25,000位以下で売上の40% 「一部のヒット商品」がなくなる 音楽業界:△25%(’01〜’07) ヒットアルバム:△60%(’01〜’07) (C.アンダーソン「ロングテール」,早川書房 (2009))
  • 8. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Maker(メイカー)の誕生 「21世紀の産業革命」とも呼ばれる 産業全体:130兆ドル IT産業(bit産業):20兆ドル(15%) 残り(85%):atom産業(モノが関わる) 「IT産業革命」は限定的→本命はatom産業 ものづくりの「ロングテール」を支える技術革新 3Dプリンタ等によるプロトタイピング クラウド・ファンディング(市場調査・資金調達) サプライチェーン活用による 量産手段の民主化 「モノへの愛着」の重要性 (熱心なファン) C.アンダーソン 「MAKERS」 (NHK出版,2012)
  • 9. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ メイカー企業 小規模製造業 数万個ロット 高い技術力 熱心なユーザ・ファン 価格勝負でないユニークな製品 「製造業におけるロングテールの具現化」 ただし「大量生産産業」を置換するものではなく、共 存するもの=「製造業・産業の多様化」 IoT時代になり、「少量多品種」の製品・サービスは 増加の一途 ※製造業企業の「メーカー」と区別するために、日本 語では「メイカー」と呼ぶ(個人も含めて)
  • 10. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Make:の発刊とMaker Faire オライリーから雑誌「Make:」が刊行(2005) 雑誌から「オフ会」=展示会へ =Maker Faire(2005) MakerMedia社として独立 日本では ”Make Tokyo Meeting”(2008)から
  • 11. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Maker Faireの現状 世界中で開催(数え切れない・・・) 理工離れ?ものづくり離れ?どこの世界の話? 学会で寄ったオランダの田舎町でもやっていた Maker Faire, Mini Maker Faireと規模もさまざま NT金沢のような類似イベントも ※一時期、バブルの様相だったのは事実 (Fab施設の乱立(行政主導も)、Maker美容院、・・・) https://fabcross.jp/topics/tks/20190117_made_in_china.html MakerFaireTokyo2015 NT金沢
  • 12. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 「なければつくる」という選択肢 12 西餅「ハルロック」(講談社コミック)より
  • 13. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Maker Faireの現状 内容は多様化の傾向 STEAM教育寄り(香港、シンガポール等) ビジネス・起業寄り(深圳、ベイルート等) 工芸寄り(台北、東京?等) “MakerFaire的なイベント”の派生 バブルの様相の時期もあった(ハイプサイクル) それが一段落し、一定範囲で着実に定着している 教育、産業、ホビー・・・
  • 14. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Maker活動:派生系 MakerFaire 東京、京都、大垣、山口、つくば、仙台、・・・ NT○○ 京都、名古屋、金沢、加賀、広島、熊本、鯖江、 札幌、・・・ つくると! つくろか!、つくるけえ!、・・・ 伊勢ギークフェア、メイカーズバザール、・・・ 「MakerFaireTokyoは行きたいが遠くて・・・」 という声をよく聞く
  • 15. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ NT金沢:始まり MiniMakerFaireをやりたいと画策(2013年) NT京都をみて、NT金沢を始めていた人がいた 合流して、拡張してみた 「作ってみたは正義」(byメーヴェの八谷さん) 会場:金沢市芸術村(~2013年) →金沢駅前地下広場(2014年~)
  • 16. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ NT金沢:現状  「すごいもの」も「しょぼいもの」から  「すごい」かは、やってみないと判断できない(by高須さん)  「見にいってみた」<<「出展してみた」  約120ブース(抽選・セレクションなし、まだキャパはなんとか大丈夫)  NT=「なんかつくってみた」と再定義して裾野拡大へ
  • 17. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ NT金沢:運営の実際 中の人=ほぼ二人 ルーチンワークが多い(会場予約、参加募集、当日) 「主催者」ではない(自称) みんなが主役、それに場所を提供しているだけ 「主催者」がいると、みんながそれに頼ってしまう(ゴ ミ捨てなど) ブースの机運搬、片付けも、みんな(当事者)で 譲れないポリシー 「やりたいものは何か」を忘れない NT金沢では「遊び場」 「やること」が目的にならないように そのために必要なことが何かを考え、無理をしない Webページ、チラシ:作りたい人がいたら頼む 幸い、安くてよい会場が予約できている(1万円/日:抽選)
  • 18. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ NT○○をやってみる
  • 19. Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Makerの背景:技術の民主化
  • 20. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の進歩と独裁化 科学技術の進歩=社会水準の向上 科学技術の進歩=技術の高度化・複雑化 「製造者」と「利用者」の分離 製造者の「特権」: 原材料の入手(原油、電子部品、・・・) 工場・製造装置 販売チャンネル 利用者の「意識」 「ものは買う物」 大量生産・大量消費の時代が長く続いた
  • 21. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の民主化へ 技術を、市民の手に「取り戻す」流れ 大量生産→ロングテールへ 「技術の民主化」を可能にする技術革新 実はルネッサンス時代への回帰でもある
  • 22. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの (以前)プロのみ 音楽、映画、・・・ 我々は「消費者」 (現在)アマチュアでもコンテンツを 作ることができる DTM, Vocaloid, … YouTube, … 我々は「制作者」にもなれる (可能性・裾野が広がった) 宮下芳明「コンテンツは民主化をめざす ―表現のためのメディア技術」 (明治大学出版会, 2015)
  • 23. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの プログラミング (以前)PCもプログラミングツールも高価 「遊び」から始められない (現在)PCもプログラミングツールも安価orタダ 「遊び」などから始められる =敷居の低下=裾野の広がり
  • 24. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の「民主化」がもたらすもの 裾野が広がる=イノベータの多様化 「アツい思い」を具現化する 道具がある 多様性=イノベーションの土壌 小川進「ユーザーイノベーション: 消費者から始まるものづくりの未来」 (東洋経済新報社, 2013) (L.Fleming, Harvard Business Review, 8(9), pp.22-24 (2004))
  • 25. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術が「道具」になるとは 技術が「道具」になるステップ 開発/発明される お店で買えるようになる 使い方が知られるようになる みんなが使うようになる それが「道具」となって、次のステップへ プロのみ マニア(ハイレベルアマチュア)向け だれでも プロ(詳しい人)しか使えない アマ(詳しくない人)でも使える
  • 26. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の民主化の結果:深圳の華強北 26 山寨(ShanZhai)の例(“iPhone nano”) ※FakeCopyではなく、プロダクトの 進化系。これが2週間で量産される 無限に続くパーツ屋 “Used Mobile Phone Shop”の実体 パーツに分解 (BGAも) 路上で解体 店頭でリペア 新製品の試作に流用 ShenZhen HuaQiangBei 基板製造 + 部品(サプライチェーン) + 起業(ハードウエアスタートアップ) + 資本(VC/アクセラレータ) 深圳の生態系 謎の起業・新製品が続々(ときどきアタる) 世界中から頭脳と資金が集まり、 イノベーションを生み出している 「ハードウエアのシリコンバレー」とも
  • 27. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術が生まれて「道具」になるまで エリンギの例 1993年に日本へ 2003年ごろから一般化 ↑10年かかって「道具」に 料理番組、調理例・・・ 農林水産省「平成20年度 農林水産物貿易円滑化推進事業 台湾・香港・シンガポール・タイにおける品目別市場実態調査 (生鮮きのこ)報告書」(林野庁経営課特用林産対策室 )より
  • 28. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 技術の民主化:半導体での例 ref: http://www.intel.com/jp/intel/museum/processor/index.htm 傾き:×約1.5/年 年を追って、複雑・高機能な集積回路がつくられるようになった ※G.Moore (インテルの創業者の一人) G.Mooreが1965年に論文[1]で述べる→C.Meadが「法則」と命名→「予測」→「指針(目標)」へ G.E.Moore, "Cramming more components onto integrated circuits," IEEE Solid-State Circuit Newsletter, Vol.11, No.5, pp.33-35, 1965.
  • 29. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ Mooreの法則のカラクリ:スケーリング 集積回路の部品(MOSトランジスタ)を、同じ形状で、 より小さく作ると・・・? 寸法: 1/α 不純物濃度: α 電源電圧: 1/α 効果:いいことばかり 速度↑ 消費電力↓ 集積度(機能)↑ 技術が進むべき方向性が極めて明確なまれなケース p-Si S DG n-Sin-Si p-Si S DG n-Sin-Si L R.H.Dennard et al., "Design of ion-implanted MOSFET's with very small physical dimensions," IEEE J.of SSC, Vol.9, No.5, pp.256-268, 1974. MOSトランジスタの断面構造
  • 30. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ MOSトランジスタの微細化の歴史 微細化するほど メリットがある =がんばって微細化 そろそろ「原子」が 見えてきている 「お金がからむと 技術は進む」 ref: 日経BP Tech-On! 2009/03/30の記事 L=20nm(いま) L=5nm(2020年ごろ予定)
  • 31. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの歴史の2つの側面 DEC VAX(1976) 1MIPS Cray-1 (1978) 100MIPS MIPS:Million Instruction Per Second (1秒間に実行できる命令数) (世界最初のスーパーコンピュータ) 「世界トップの高速化」+「身近なものにも高速化の恩恵」の2つの側面がある 20000MIPS 10MIPS 100MIPS 20MIPS 20000MIPS 109MFLOPS
  • 32. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータの「使い方」の変化 国に1台/会社に1台 個人で1台(PC) 一人で何台も 仕事・勉強の道具国・会社のプロジェクト コミュニケーション ・遊びの道具 >1億円 10〜100万円 数万円 身の回りに無数 存在に 気づかない 〜100円 大昔のコンピュータ 一昔前のコンピュータ 今どきのコンピュータ コンピュータの利用場面(アプリケーション)が広がった
  • 33. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ コンピュータが「頭脳」から「部品」に 出典:ARM 機器の頭脳 関節ごとに小さい脳(神経節) コンピュータが、システムの「主役」から「構成要素(部品)」になった ※基本的には「コンピュータ」だが、小型で安価 CPU=Central Processing Unit (中央演算装置)
  • 34. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ マイコン使用 部品点数=1 コスト:100円 発振回路(555) 部品点数=4 コスト:150円 「Lチカ」のパラダイムシフト コスト面:マイコン○(「もったいなくない」) 機能面:マイコン○(多機能・仕様変更も容易) while(1){ a = 1; sleep(1); a = 0; sleep(1); } ※さすがにPCではちょっと・・・ Mooreの法則の結果、コンピュータが「部品」になった例 昔のLチカ 今どきのLチカ ※マイコン=Micro Controller(小さなコンピュータ) ※Lチカ=LEDチカチカ(LEDを点滅させる。英語ではBlink)
  • 35. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ 価格が起こしたパラダイムシフト シリアル制御フルカラーLED “NeoPixel” 中国・深圳の会社の製品 電源+1本のシリアル制御線で複数制御 超安価 (~3円/pcs) 普通のLEDより安い LEDディスプレイなど大量に使われるようになった 制御チップは1umルール程度(かなり安い) Ref: https://news.nicovideo.jp/watch/nw4240213
  • 36. 2020/1/6 Interface Device Laboratory, Kanazawa University http://ifdl.jp/ まとめ Maker(メイカー)活動の誕生 MakerFaireと派生イベント 実は「作りたい」人はたくさんいる 地方分散は良い傾向? Makerの背景:技術の民主化 技術の高度化が生んだ、技術の市民回帰