25. 筋肉の萎縮と肥大 ~サルコペニア~
骨格筋減少症
加齢により同化より異化が亢進している状態。
混合した因子(テロメア消失によるDNA自体の寿命、酸
化、フリーラジカル・活性酸素による細胞破壊、アポトー
シスだけでなく、ユビキチンプロテアソーム系、オートファ
ジー、ミオスタチン-Smad3系等)が混在している状態。
Nutritional recommendations for the management of sarcopenia.J Am Med Dir Assoc. 2010 ;11:391-6.
廃用症候群とは、疾患のために活動性や運動量の低下した安静状態が続く事で、全身の臓器に生じる二次的障害の総称です。診療報酬上は、外科手術や肺炎等の治療時の安静があり、治療開始時にFIM115点以下、BI85点以下の状態を廃用症候群としています。また、重症状態の治療後、たとえば多臓器不全や急性増悪、鎮静剤投与などの治療後に、ICU無力症(Insentive集中的 care unit acquireケアユニットにより獲得される後天性の、無力症)というものがあり、実際には安静臥床のみで廃用症候群が生じることは少ないとされ、安静臥床に加えて低栄養やサルコペニアを合併することが多いとされます。よって、高齢者の廃用症候群に対して栄養を考慮せずに機能訓練だけをガンガン行うことは、かえって低栄養やサルコペニアを増悪させる可能性もあります。横浜市立大学の若林先生の調査報告によると、入院中に廃用症候群と診断された者の9割に低栄養状態を認め、そうでない者に対してBMIの低下、総たんぱく、アルブミン、ヘモグロビンが有意に低く、廃用症候群の程度が重い者ほど総たんぱくやアルブミンの低下が見られたという報告があります。
そして廃用症候群の4割にエネルギーバランスの崩れた飢餓状態を認め、8割に侵襲があり、3割に悪液質を認めるとの事です。
三銃士の言葉でone for all,all for oneという言葉がありますが、リハ栄養という切り口から見たリハビリテーションだけでも、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、セラピスト、歯科衛生士、ケアワーカーなど、それぞれが専門的に関わらないといけない部分が多々存在します。そして、それぞれが自分の専門領域だけしか見ません、そして個々に動きますという視点ではなかなかリハ栄養を取っても進まず、それは結果的に患者さんへ不利益が来てしまうなと常々感じます。リハビリテーションが資格の文言に明記された資格なんてリハ医師くらいのものであって、じゃあリハビリテーションは誰がするのとなっちゃうわけですが、実は「リハビリテーション」とは皆でやらないといけない事なのだと思います。各職種が互いの事へ興味を持ち、理解しようとし、そして一緒に他職種協働で関わる視点が、このリハ栄養という視点ひとつにしても大事だなと感じています。そしてそれらは患者さまのために。