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⻑期間報道されるニュース記事を対象とした
話題推移の可視化による内容理解の⽀援
関⻄⼤学 総合情報学部
◯齋藤 藍 松下 光範
背景
あの事件やあの出来事は結局どうなったんだろう?
どんなことが起こったっけ?と思うことはありませんか
例えばコロナウイルスのニュース
緊急事態宣⾔・⾃粛警察・ステイホームなど
様々なニュースが報道される
2
背景
毎⽇新聞コロナ関連記事トップページより(https://mainichi.jp/covid19)
感染状況を報じる記事以外にも,
デマに関する注意を促す記事や
医療現場の声を報じる記事も存在する
3
問題
・観点の異なる様々なトピックのニュースが存在する
・局⾯の変化により報道内容も経時的に変化する
↓
ニュースの理解には時間がかかる
4
研究⽬的
経時的に変化する⼀連のニュースを
トピックごとに時系列で表すことで
理解しやすくしたい
5
理想とする可視化表現
6
理想とする可視化表現
ニュース記事を内容ごとにグループ分け
話題の分岐および収束についての分析
時系列に沿ったマッピング
7
提案システムの概要
ニュースの流れ
可視化
ニュース記事
表⽰
8
提案システム(可視化表現部分)
A
・横軸は時間経過+⾊分けは話題ごと
・各ノードは各⽉,各話題の記事を内包する
・各ノードに内包される記事の特徴語上位5つをノードに表⽰
9
提案システム(デモ)
10
可視化表現作成のためのデータ処理
新聞記事コーパスより使⽤するニュース記事データの抽出
⼀連のニュースに関する記事データの作成
⼀連のニュース記事データをトピックごとに分割
11
可視化表現作成のためのデータ処理
新聞記事コーパスより使⽤するニュース記事データの抽出
⼀連のニュースに関する記事データの作成
⼀連のニュース記事データをトピックごとに分割
12
①使⽤するニュース記事データの抽出
今回は2016年毎⽇新聞記事コーパスを使⽤
新聞は分野や注⽬度により記事の掲載⾯が異なる
13
①使⽤するニュース記事データの抽出
時間経過に伴って異なる観点のトピックが発⽣する記事
14
①使⽤するニュース記事データの抽出
掲載⾯を正解ラベルとし,新聞記事の記事分類モデルを作成
→5分割交差検証で正答率0.80・F値0.79
国際・経済・科学・社会の4分野に分類された1〜3 ⾯の記事
→各々1,737 件,1,377 件,66 件,2,627 件
+毎⽇新聞の4分野に掲載されていた記事をデータとする
記事ごとの分散表現から
SVMによる分類を⾏う
15
可視化表現作成のためのデータ処理
新聞記事コーパスより使⽤するニュース記事データの抽出
⼀連のニュースに関する記事データの作成
⼀連のニュース記事データをトピックごとに分割
16
②⼀連のニュース記事データの作成
使⽤する新聞記事データはどの記事がどのような事柄について
報道されているうちのひとつであるのかは判別できない.
↓
ニュース本⽂に任意のキーワードが含まれるデータの集合を
⼀連のニュースと⾒なす.
「⽢利」を含む記事群
「消費税or消費増税」を含む記事群
を使⽤する
17
可視化表現作成のためのデータ処理
新聞記事コーパスより使⽤するニュース記事データの抽出
⼀連のニュースに関する記事データの作成
⼀連のニュース記事データをトピックごとに分割
18
③記事をトピックごとに分割
⼀連のニュース記事データ
→記事ごとに分散表現化してクラスタリング
トピックごとに記事集合を作成
19
③クラスタリング処理について
・Doc2vecにより各記事を分散表現化
↓
・クラスタリングにはVBGMMを使⽤
(Variational Bayesian Gaussian Mixture Model)
・ベイズ変分により最適クラス数を決定する
・分類するクラスタ数を設定しなくても良い
20
③記事の内容によるグループ分け(例)
キーワード「⽢利」が含まれる新聞記事のクラスタリング結果
疑惑や経済
関する記事
TPP
1記事に複数の
トピック含む
経済への影響
懸念する記事
疑惑の
詳報
衆参予算
質疑
21
提案システム
概要
詳細
22
実験概要
システムを⽤いたユーザ⾏動の観察を⾏う
・システムを使⽤してレポートを記述するタスク
・実験参加者は20代男⼥14名
→7名ずつ消費税と⽢利に振り分け
・⾏動観察及び聞き取り調査を⾏った
23
可視化表現部における各ノードのクリックという⾏為に着⽬
実験結果(情報探索⾏動)
時系列に沿った
ニュースの閲覧
24
可視化表現部における各ノードのクリックという⾏為に着⽬
実験結果(情報探索⾏動)
同時期・異なるトピック
ニュースを閲覧
25
可視化表現部における各ノードのクリックという⾏為に着⽬
実験結果(情報探索⾏動)
トピックごと
時系列での閲覧
26
可視化表現部における各ノードのクリックという⾏為に着⽬
実験結果(情報探索⾏動)
⽉ごと
時系列での閲覧
27
可視化表現部における各ノードのクリックという⾏為に着⽬
実験結果(情報探索⾏動)
45.1%
時系列での閲覧
28
可視化表現部における各ノードのクリックという⾏為に着⽬
実験結果(情報探索⾏動)
28.2%
同時期で⽐較
29
実験結果(聞き取り調査)
時系列に沿ってニュースを閲覧できることに関して
「多くのニュースを時系列で⾒られる点では,た
だ順番に⾒せられるよりはよく感じた」
特徴語とトピックの関連
特徴語とそれぞれのニュースの関連
が読み取れないとの指摘
30
実験結果
システム設計時の想定通りにシステムを使⽤した
実験参加者は1名(ニュースについて知っていた)
特徴語とトピックの関連
特徴語とそれぞれのニュースの関連
31
が読み取れない問題
今後の展望
普段ニュースを⾒ない層は
特徴語とニュース中のトピックとの関係を
読み取ることが困難
→単語でなく短⽂で表現できないか検討
33
今後の展望
トピックを横断した探索が可能になるよう
トピックの分岐・収束を明らかすること検討してい
く
32
まとめ
背景
ニュースは時間変化に伴って異なる観点のトピック
が発⽣する
問題
ニュースの全容を理解するのに時間がかかる
提案⼿法
⼀連のニュースにおけるトピック変遷の視覚化,
ニュース理解⽀援システムの作成
実験結果
時系列順に探索を⾏う傾向が確認された 34

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