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2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
オンコロジストになるための 
必要なスキルとは? 
日本医科大学武蔵小杉病院 
腫瘍内科 
勝俣範之 
nkatsuma@nms.ac.jp
2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
本日のトピック 
• 近藤理論への反証 
• 誰も教えてくれなかった化学療法のやり方 
• オンコロジストのやってはいけない掟
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
近藤誠先生の主張 
1. がんは、「がんもどき」と「本物のがん」に分類される 
• がんもどきは、転移しないので治療する必要はない。 
• 本物のがんは、転移がんで、必ず死ぬ。治療しても無駄。 
2. 抗がん剤は効かない。これまでの抗がん剤のデータ 
は皆ねつ造。 
3. ゆえにがんになったら放置療法を勧める!
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
抗がん剤のデータはねつ造された? 
乳がんのトラスツズマブ 
この曲線が上に凸になっている 
のでインチキ?? 
胃がん術後のS1 
N Engl J Med 2007;357:1810 
腎臓がんのソラフェニブ 
N Engl J Med 2007;356:125 
• がん患者の生存曲線は下に凸にな 
るのが絶対Cancer 1986;57:925 
• 抗がん剤群の生存曲線の形が上に 
凸であり、ねつ造された可能性あり 
New Engle J Med 2001; 344: 783
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
医学的・科学的にはどうなのか? 
1. 近藤先生の主張は一部は正しいが、医学 
的・科学的な間違いがたくさんある。 
2. 抗がん剤は効く人もいれば効かない人も 
いる。抗がん剤のデータがねつ造というの 
は嘘。 
3. がんの治療法をするなとか、しなさいとか 
患者さんに押し付けるのは乱暴。患者さん 
と一緒によく話し合うことが大切。
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
ステージ0(非浸潤がん、上皮内がん)は 
がんもどきか? 
• 乳房の非浸潤がん2612人中、490人(18%)が乳房内再発。 
そのうち、約半数が、浸潤がんだった。最終的に、乳がんで死亡 
した患者は、約3%(J Natl Cancer Inst. 2011;103(6):478.) 
• 子宮頸がん上皮内がんを、無治療で経過観察した報告で、40~ 
58%は自然縮小、3~5%で浸潤がんになった(J Natl Cancer Inst 
Monogr. 1996, Int J Gynecol Pathol. 1993;12(2):186., Br J Cancer. 
2003;89(6):1062., Obstet Gynecol. 2009;113(1):18.)
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
乳がんトラスツズマブ(ハーセプチン)のデータは 
ねつ造された!? 
化学療法+トラスツズマブ 
化学療法単独 
Slamon et al. New Engle J Med 344: 783, 2001 
• がん患者の生存曲線は下に凸にな 
るのが絶対Cancer 1986;57:925 
• トラスツズマブ群の生存曲線の形が 
上に凸であり、ねつ造された可能性 
あり 
• この臨床試験は、米国を中心に行わ 
れた治験でFDAで承認(1998)後、全 
世界で承認。 
• ねつ造だったとしたら、世界的スキャ 
ンダルだが本当か?
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
なぜ日本で臨床試験不正事件が起きたのか? 
治験 
医師主導 
企業主導 
臨床試験 
臨床研究 
薬事法・GCPで規制: 
未承認薬を対象 
臨床試験倫理指針で 
規制: 
承認済みの薬を対象 
日本の臨床研究・臨床試験はGCP準拠でない!
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
治験医師主導臨床試験 
規制薬事法(GCP) 臨床試験倫理指針 
政府への届出必須必須でない 
インフォームドコンセント文書文書 
審査治験審査委員会倫理審査委員会 
補償必須必要 
監査・モニタリング・査察必須記載なし 
重篤有害事象報告施設長 
PMDA 
厚生労働省医薬局 
施設長 
厚生労働省医政局 
治験と医師主導臨床試験の違い 
罰則規定なし 
薬剤承認のための治験は薬事法で厳しく規制されているため、不正ができにくい
1 
0.9 
0.8 
0.7 
0.6 
0.5 
0.4 
0.3 
0.2 
0.1 
0 
年間死亡率(ハザード率)が一定の場合の生存曲線 
100.0 
90.0 
80.0 
70.0 
60.0 
50.0 
40.0 
30.0 
20.0 
10.0 
0.0 
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 
年 
生存率 
年間死亡率 
生存率 
年間死亡率 
経過 
(年) 
全体数死亡数 
年間死亡率 
(死亡数÷全体数) 
1 100.0 25.0 0.25 
2 75.0 18.8 0.25 
3 56.3 14.1 0.25 
4 42.2 10.5 0.25 
5 31.6 7.9 0.25 
6 23.7 5.9 0.25 
7 17.8 4.4 0.25 
8 13.3 3.3 0.25 
9 10.0 2.5 0.25 
10 7.5 1.9 0.25 
下に凸のグラフ 
近藤先生が引用したCancer 1986;57:925の論文は 
死亡率(ハザード率)が一定であると仮定すると、治 
療効果を解釈しやすいと言っているだけ
年間死亡率(ハザード率)が減少する場合の生存曲線 
年 
生存率 
年間死亡率 
生存率 
年間死亡率 
1 
0.9 
0.8 
0.7 
0.6 
0.5 
0.4 
0.3 
0.2 
0.1 
0 
100.0 
90.0 
80.0 
70.0 
60.0 
50.0 
40.0 
30.0 
20.0 
10.0 
0.0 
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 
経過 
(年) 
全体数死亡数 
年間死亡率 
(死亡数÷全体数) 
1 100.0 25.0 0.25 
2 75.0 17.3 0.23 
3 57.8 12.1 0.21 
4 45.6 8.7 0.19 
5 37.0 6.3 0.17 
6 30.7 4.6 0.15 
7 26.1 3.4 0.13 
8 22.7 2.5 0.11 
9 20.2 1.8 0.09 
10 18.4 1.3 0.07
年間死亡率(ハザード率)が最初少なく後に増加する場 
合の生存曲線 
年 
生存率 
年間死亡率 
生存率 
年間死亡率 
1 
0.9 
0.8 
0.7 
0.6 
0.5 
0.4 
0.3 
0.2 
0.1 
0 
100.0 
90.0 
80.0 
70.0 
60.0 
50.0 
40.0 
30.0 
20.0 
10.0 
0.0 
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 
経過 
(年) 
全体数死亡数 
年間死亡率 
(死亡数÷全体数) 
1 100.0 0.0 0 
2 100.0 2.0 0.02 
3 98.0 3.9 0.04 
4 94.1 5.6 0.06 
5 88.4 7.1 0.08 
6 81.4 8.1 0.1 
7 73.2 8.8 0.12 
8 64.4 9.0 0.14 
9 55.4 8.9 0.16 
10 46.5 8.4 0.18 
上に凸のグラフ
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
カプランマイヤー生存曲線とは? 
• 対象者を死亡または打ち切り(生存)時間の小さい順に 
並べ、死亡発生ごとに生存率を計算した曲線 
• 生存曲線の凹凸は、死亡速度(ハザード率)によって変 
わる 
• 打ち切り例(追跡不能を含む生存例)を考慮するため、 
追跡調査の質(フォローアップ期間、打ち切り例の数)に 
よって変化する
カプランマイヤー生存曲線の例 
100 
90 
80 
70 
60 
50 
40 
30 
20 
10 
0 
曲線A 10名中、死亡例:5名、生存例(追跡不能例):5名 
0 10 20 30 40 50 60 
生 
存 
率 
( 
% 
) 
生存期間(月) 
患者 
番号 
生存期間 
(月) 
生存の 
有無 
1 3 生存 
2 7 生存 
3 8 死亡 
4 12 生存 
5 16 死亡 
6 18 生存 
7 23 死亡 
8 24 死亡 
9 36 死亡 
10 48 生存 
3ヶ月生存7ヶ月生存 
8ヶ月死亡 
縦の棒は、ヒゲ・censored case などと呼ばれる 
この時点で生存していた(追跡不能を含む)になったことを示す
カプランマイヤー生存曲線:追跡調査後の曲線 
100 
90 
80 
70 
60 
50 
40 
30 
20 
10 
0 
曲線A 10名中、死亡例:5名、生存例(追跡不能例):5名 
曲線B 10名中、死亡例:5名、追跡不能例がその後48ヶ月まで生存 
曲線C 10名中、死亡例:5名、追跡不能例がその後すぐに死亡 
0 10 20 30 40 50 60 
生 
存 
率 
( 
% 
) 
生存期間(月)
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
近藤先生の間違った論文の読み方 
生存率曲線が急落している。 
たくさんの患者が命を落としたので 
はないか? 
卵巣がんの臨床試験 
N Engl J Med 1996;334:1 
近藤誠 
週刊文春平成10年11月7日号 
文春文庫抗がん剤だけはやめなさい95P 
パクリタキセル+ シスプラチン 
エンドキサン+ シスプラチン
カプランマイヤー曲線の信頼区間 
曲線B:曲線Aの95%信頼区間上限 
曲線A:カプランマイヤー生存曲線 
曲線C:曲線Aの95%信頼区間下限 
SAS Survival Analysis Techniques for Medical Research, 
SAS Publishing 1997より
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
悪性黒色腫に対するベムラフェニブの生存曲線 
の推移 
フォローアップ期間中央値:3.8ヶ月フォローアップ期間中央値:12.5ヶ月 
曲線はまだ上に凸 
曲線は上に凸 
生存率曲線が急落? 急落するように見えた線は消失 
たくさんの患者が亡くなった? 
NEJM 364;26, 2011 
Lancet Oncol; 15: 323, 2014 
フォローアップ期間が長くなると生存曲線の形が変わる。
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
Moving Beyond the Hazard Ratio in Quantifying the 
Between-Group Difference in Survival Analysis 
HR=0.87 (95%CI, 0.6-1.27) 
log-rank P = 0.47 
ハザード比は一定でなく、比例 
ハザード性が成り立たない! 
Uno et al. J Clin Oncol. 2014;32(22):2380-5.
2014/10/4 
誰も教えてくれなかった化学療法のやり方 
• ケモやるときはしっかりやる。むやみな減量・延期は 
止めましょう 
• 無駄なG-CSFは止めましょう 
• 生もの禁はそろそろ止めにしない? 
Division of 
Medical 
Oncology, 
Nippon 
Medical
よく見られる非標準治療例 
1コース目は、80%の投与量でやり、副作用が軽け 
れば2コース目は100%投与量をやる 
1コース目入院でやり、2コース目から外来で 
好中球減少<500になるとすぐG-CSFを使う 
好中球減少<500で、次コース減量 
Nadirすぎるまで退院させない
2014/10/4 
腫瘍内科医不足の現状 
Division of 
Medical 
Oncology, 
ブラックジャックによろしく漫画on Webより 
Nippon 
Medical
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
がん診療~日米比較~ 
がんセンター1937 国立癌研究所1962 国立がんセンター 
がん対策法1971 国家がん法2006 がん対策基本法 
学会1964 ASCO 2002 臨床腫瘍学会 
がん研究費3,200億円61億円 
腫瘍内科医(2013) 14,158人978人 
放射線治療医(2004) 4,000人960人 
がんセンター61 30 
がん拠点病院1,425 280
2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
がん化学療法の目的 
• 固形がんの補助化学療法 
• 化学療法高感受性がんの初回化学療法 
→できるだけDose intensity (治療強度)を保つため、む 
やみに、減量・延期をしない 
• 進行がんの化学療法 
• 再発がんの化学療法 
→患者さんのQOL(生活の質)を保つため、毒性に応じ 
て投与規準変更を行う
Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
薬物療法の効果別にみた臓器疾患分類 
A 治癒が期待できる 
絨毛がん、胚細胞腫瘍、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血 
病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(中・高悪性度) 
B 延命が期待できる 
乳がん、卵巣がん、多発性骨髄腫、小細胞肺がん、慢性骨髄性白 
血病非ホジキンリンパ腫(低悪性度)、骨肉腫、悪性黒色腫 
C 症状緩和、QOL改善が期待できる 
非小細胞肺がん、前立腺がん、軟部組織肉腫、頭頚部がん、膀胱 
がん、食道がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、膵がん、脳腫瘍、 
肝がん、腎がん、胆道がん、膵がん、甲状腺髄様がん 
D 効果はあまり期待できない 
甲状腺がん 
がん診療レジデントマニュアル(第6版) 医学書院2013
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
抗がん剤投与量(減量)と生命予後 
乳がん患者における術後補助療法(CMF療法)の抗がん剤投与量と生命予後との関連 
100 
80 
60 
40 
0 
5 10 15 20 
20 
0 
推奨用量に対する割合 
Control 
<65% 
65–84% 
≧85% 全生存率 
(%) 
100 
80 
60 
40 
20 
0 
5 10 15 20 
0 
乳房切除後の期間(年) 
無再発生存率 
(%) 
(n=179) 
(n=71) 
(n=94) 
(n=42) 
乳房切除後の期間(年) 
Bonadonna G et al. N Engl J Med, 332 : 901-906, 1995
Average dose intensity (DI) v MST 
for ovarian chemotherapy regimens. 
r=0.44 (p 0.01) 
JCO 5:756-767, 1987 
40 
30 
20 
10 
0 
P 
○ 
P P 
C 
C 
C 
C 
C 
○ 
□ 
C C 
C C 
C 
□ 
C 
C 
▲ 
△ 
▲ ▲ 
● 
▲ 
▲ 
■ 
▲ ▲ 
● ● 
C 
△ 
△ 
● 
□ □ □ 
▲ 
□ 
C 
C 
■ 
C 
C 
● 
● 
● 
● 
□ 
◇ 
0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 
average DI 
M S T (m o s.) 
▲ CHAP 
● CAP 
■ CHA 
◇ CH 
□ CA 
○ CP 
△ AP
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
• 35歳男性 
• 頭痛にて、脳神経外科受診。蝶形骨洞腫 
瘍指摘。手術施行。嗅神経芽細胞腫 
(olfactory neuroblastoma)と診断。残存 
腫瘍に対して、放射線、化学療法 
(CDDP+VP-16)施行するも腫瘍増大、多 
発骨転移も出現したため、腫瘍内科紹 
介。 
興味深い症例1 
• 横紋筋肉腫(RMS)と診断。VAC療法を施 
行。
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
• 80歳女性 
• 腹部膨満感にて、某都内がん拠点病院受 
診。癌性腹膜炎、原発不明癌と診断。担 
当医から、末期がんと言われ、ホスピスに 
行くように言われた。 
興味深い症例2 
• 当科受診、原発性腹膜がん(卵巣がんの 
亜型)と診断。Dose-dense TC療法施行。 
PRとなり、2013年1月、婦人科にて手術 
施行。
見逃してはいけない癌その1 
23才男性主訴: 上肢、顔の浮腫 
某大学病院呼吸器内科受診。SVC症候群と診断。 
AFP 27360と高値。 
生検にて、縦隔原発胚細胞性腫瘍(yolk sac 
tumor)と診断。標準的BEP 
(Bleomycin/Etoposide/Cisplatin)療法にて、AFP正 
常化。手術施行。術後再発なし。
胚細胞性腫瘍の初回化学療法 
BEP療法 
・Bleomycin (BLM) 30 単位/body (Day 2, 9,16) 
・Etoposide (VP-16) 100 mg/m2 (Day 1 – 5) 
・Cisplatin (CDDP) 20 mg/m2 (Day 1 – 5) 
21日ごと3~4サイクル 
NEJM 316: 1435: 1987
ヨーロッパの治療ガイドラインにおける記載 
(EGCCCG guideline) 
• 化学療法は減量なしに22日間隔で投与しなければならない 
• 治療開始延期は、次コース開始日に発熱を認める+好中球<500/μL、血小板 
数<100,000/μLのいずれかを認めるときのみ3日を限度に考慮される 
Ann Oncol 15: 1377: 2004
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
造血因子製剤の使用に関してのガイドライン 
(ASCO, ESMO, IDSA, NCCN) 
予防投与 
• 発熱性好中球減少20%以上が予想される化学療法を行う場合 
に5μg/kg/日を投与 
• 前治療で、発熱性好中球減少が出現した場合 
治療的投与 
• 発熱の有無に関わらずCSFの投与はルーチンに行わない(高リ 
スクの場合を除く)。 
J Clin Oncol. 2006;24(19):3187, Eur J Cancer. 2011;47(1):8
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
化学療法後の発熱のない好中球減少患者への 
G-CSF投与の臨床試験 
N Engl J Med 1997; 336:1776-1780 
R 
A 
N 
D 
O 
M 
I 
Z 
E 
G-CSF 5ug/kg SC 
プラセーボSC 
固形がん 
リンパ腫 
ANC<500 
発熱なし 
138 pts 
感染症/ 入院率 
7% / 11% 
有意差なし 
7% / 13%
G-CSFの過剰投与の実態 
Taxol/CBDCA 療法中のG-CSF使用頻度 
P<0.001 
(JGOG3016, Lancet 2009; 374: 1331のデータより) 
8 
70 
92 
30 
100% 
80% 
60% 
40% 
20% 
0% 
国立がんセンター中央病院 
n=64 
その他の施設 
n=567 
FN率9.1% 
Grade3,4 好中球減少89.8% 
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
ASCO Guideline for outpatient FN 
• 環境因子として、履物の交換、個室隔離、マスク、生もの 
禁、などはエビデンスが乏しく勧められない 
• 予防的抗菌剤は、好中球減少<100/uLが1週間以上継 
続、または、感染リスクが高い患者に勧められる 
• 低リスクFN患者には、キノロンとオーグメンチンが外来治 
療として勧められる 
J Clin Oncol 31. 2013
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
化学療法時の生もの摂取に関するRCT 
J Clin Oncol 26:5684, 2008 
R 
A 
N 
D 
O 
M 
I 
Z 
E 
生もの摂取禁止 
生もの摂取可 
急性白血病 
導入化学療法 
153pts 
感染症/ 不明熱 
29% / 51% 
P = 0.6 / 0.07 
有意差なし 
35% / 36%
2014/10/4 
オンコロジストのやってはいけない掟 
1. 最後の最後まで抗がん剤をやってしまうこと 
2. もう治療法はありません。ここでやることはありません 
3. どうしようもなくなってから、緩和ケアの話をすること 
4. 断定的な余命告知
2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
がん治療医にとって必要なものは? 
ブラックジャックによろしく漫画on Webより
2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
あなたはいつまで抗がん剤をやりますか?
最後の最後まで抗がん剤をやると…… 
• QOLが低下する 
• 在宅・ホスピスで亡くなる率が低下する 
• ICUで亡くなる率が高くなる 
• 最後に心肺蘇生をされてしまう 
• 生存期間が短くなる 
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
BMJ. 2014 Mar 4;348:g1219. 
NEJM 2010;363:8
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
標準治療終了後の化学療法が死亡場所に及ぼ 
す影響 
化学療法あり 
N=216 (56%) 
全米8つのがんセンターでのコホート研究 
化学療法なし 
N=170 (44%) 
P value 
ICU 11% 2% 0.02 
病院25% 15% 0.4 
在宅47% 66% 0.03 
ホスピス13% 11% 0.6 
ナーシングホーム3% 5% 0.6 
希望した場所で亡く 
65% 80% 0.03 
なったか? 
BMJ. 2014 Mar 4;348:g1219.
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
日本のがん患者の死亡場所 
一般人に対するアンケート調査結果(平成16年) 実際の死亡場所(平成14年) 
がんセン 
ターなど 
3.2% 
自宅 
58.8% 
一般病院 
9.5% 
その他 
5.6% 
緩和ケア 
病棟 
49.6% 
自宅 
6.2% 
緩和ケア 
病棟 
3.4% 
老人福祉 
施設0.8% 
一般病院 
87.3% 
診療所 
1.4% 
厚生労働省終末期医療に関する調査検討会厚生労働省人口動態調査
緩和ケアという「第4の治療」 
化学療法 
+ 緩和ケアチーム(緩和ケア医、専門看護 
師)による月1度以上のサポート 
化学療法のみ 
手術適応のない肺がん患者n=151 
結果: 
• QOL (FACT-L)の向上(P=0.03) 
• うつ症状の軽減(38% vs. 16%, P=0.01) 
• 末期状態での積極治療(死亡の4日以内の化学療 
法、ホスピスケアなし、3日以内のホスピス入院)の 
減少(54%vs.33%, P=0.05) 
• 生存期間の向上(8.9 vs. 11.6 mos. P=0.02) 
NEJM 2010;363:8 
Early Palliative Care
2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
亡くなる2ヶ月以内に化学療法していた患者の割合 
早期緩和ケア群(n=32) 対照群(n=25) 
P=0.02 
亡くなる2ヶ月以内の化学療法 
亡くなる2ヶ月以内に化学療法なし 
J Clin Oncol 29:2319-2326: 2011
2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
亡くなる3ヶ月以内に化学療法していた患者の割合 
(国立がん研究センター中央病院) 
n=255 
P<0.01 
53 % 47% 
41% 51% 
亡くなる3ヶ月以内の化学療法 
亡くなる3ヶ月以内に化学療法なし 
The Oncologist 2009;14:752–759 
医師A(n=22) 
医師B(n=24) 
医師C(n=123) 
医師D(n=68) 
医師E(n=12) 
医師F(n=6) 
50% 50% 
33% 
67% 
60% 
40% 
83% 
17% 
50% 50%
2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
どうやって抗がん剤を止めることを伝えるか?
誤ったインフォームドコンセント 
• 裁判で訴えられないようにするため、医療者の防衛 
の手段として使う 
• 医療者は情報提供のみを行い、後は患者が決める 
• ICします!?(ムンテラをICにしただけ)
インフォームド・コンセントの理念 
• 医療者と患者の相互の尊重と参加に基づいた意思決定を 
協力して行う過程 
1982 米国大統領委員会報告書(A report on ethical and legal 
implications of informed consent in the patient-practitioner 
relationship 1-3.1982)より 
インフォームド・コンセントとは、 
「医師と患者の共同作業」であり、 
「医療者と患者の意思決定の共有」が大切!
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
Shared Decision Making (意思決定の共有) 
適切なインフォームド・コンセントとは? 
に基づくインフォームド・コンセント 
医師が情報を持ち、 
医師が決める 
オレが決める型 
医師と患者が情報を 
共有し、決定も 
共有する 
共有型 
患者が情報をもら 
い、患者が決定 
する 
患者が決めな型
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
Shared Decision Makingの実際 
情報を提供する 
目的・内容・リスク・利益他 
治療との比較 
質問・自分の希望を 
伝える 
提案する、意見を調 
整する 
納得する 
→満足する 
双方向のコミュニケーション
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
患者とのコミュニケーション技術 
(わが国における患者の意向を基に作成) 
悪いニュースを伝える方法-SHARE-Supportive 
environment (支持的な場の設定) 
How to deliver the bad news (悪い知らせの伝え方) 
Additional information (付加的な情報) 
Reassurance and Emotional support (安心感と情緒的 
サポート) 
Fujimori et al. (2007) Psychoncology 16:573-81 
内富庸介, がん医療におけるコミュニケーション・スキル悪い知らせをどう伝えるか. 医学書院, 2007
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
コミュニケーション技術による患者への精神状態への影響 
30名のオンコロジストをコミュニケーション技術研修を受ける群と、受けない群に 
ランダムに割り付け患者の精神状態を評価: 国立がん研究センターで施行 
研修を受けた 
介入群 
(n=292) 
平均値±標準偏差 
研修を受けて 
いない対照群 
(n=309) 
平均値±標準偏差 
P値 
不安* 4.83±3.75 5.17±3.42 0.333 
抑うつ* 4.59±3.75 5.32±4.04 0.027 
満足度** 8.58±1.62 8.35±1.74 0.095 
信頼感** 9.15±1.28 8.87±1.54 0.009 
*HADS:不安、抑うつを評価する尺度、数値が高いと悪い傾向 
**数値が高いと良い傾向 
Fujimori, Kubota, Katsumata et al. J Clin Oncol 32, 2014
2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
早期の緩和ケアを実践するために 
転移・再発した時点で以下の、話し合いを繰り返しすること 
1. がんを治すことは困難であること 
2. 大切にしたいことは?楽しみにしていることは?(生活の質について) 
3. 緩和ケア・緩和療法という治療オプションがあること(治療選択肢) 
4. 身の回りのことができなくなってきた場合、どこで(在宅・入院・ホスピス)ど 
のように過ごしたいか?(End of Life Discussion) 
5. 余命宣告をしない(Hope the Best, Prepare the Worst) 
6. どんな状況になっても見放さないこと(孤独にさせないこと、将来の約束)
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
余命告知でなく、予後について話し合うこと 
Telling prognosis(余命告知) 
• 医師から患者への一方通行 
• 「あなたの余命は○ヶ月です」 
End of life discussion(予後に 
ついて話し合う) 
• 医師患者のコミュニケーション 
• 緩和ケアの重要性 
• 「身の回りのことができなくなった 
場合に、どこでどのように過ごし 
たいですか?」
「あなたの余命は1年です」と言ってはいけない 
~生存期間中央値は余命ではない?~ 
ヒストグラム(度数分布表) 
6 
5 
4 
3 
2 
1 
国立がん研究センターで治療を受けた再発卵巣がん112名の予後 
中央値1.5年(範囲0ヶ月~10.5年) 
累積生存率 
生存期間(年) 
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
累積生存率 
0 2 4 6 8 10 12 
1 
.8 
.6 
.4 
.2 
0 
1.5年 
カプランマイヤー曲線 
半分の患者さんが亡くなるまでの期間 
患者数 
生存期間(年) 
0 
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 
がん患者の予後データは 
正規分布をなさないので 
平均値ではなく、中央値で示す!
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
がん患者が医師から言われる最も傷つく言葉 
• もう何も治療法がない 
• 可能性・範囲を言わない断定的な余命告知 
• 感情への配慮がない 
全国19施設ホスピスへ入院した630名の家族へのアンケート調査より 
Morita et al. Ann Oncol 15:1551, 2004
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
SHAREプログラムがすすめるコミュニケーション 
「もう死んでしまうのですか?」 
「あとどのくらい生きられますか?」 
などの言葉への対処方法 
Reassurance and Emotional support (安心感と情緒的サポート) 
言葉の背景にある感情を探索し、共感すること 
ほとんどの場合、不安な気持ちの表れであることが多い。 
• 「今後のことで、何か気がかりなことがありますか?」 
• 「どなたでも不安な気持ちになると思います」
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
Hope the Best, and Prepare the Worst 
(最善を期待し、最悪に備えましょう) 
患者 
 私は少しでも長く生きたいんです。 
 治療がうまくいってほしいんです。 
 最悪を考えるということは、あきらめて 
しまうような気がするのです。 
 今後は、妻や子供のことが心配なので 
す。 
Ann Intern Med. 2003;138:439-443. 
医師 
 私もそう期待したいです。○○さんにとって一番大切 
なことは何でしょうか? 
 私も治療がうまくいってほしいと思います。もし治療 
がうまくいったら何を大切にしたいですか?また、治 
療がうまくいかなかったらどうするかということにつ 
いて話したいのです。 
 ○○さんの心配するお気持ちは理解できます。準備 
をする、ということはあきらめてしまう、ということでは 
ありませんよ。 
 大切なことを話してくださってありがとうございます。 
奥様や子供さんのことについて、一緒に考えていき 
ましょう。
Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 
末期がん患者のQOLに影響する要素 
~末期がんで亡くなった396名の患者をプロスペクティブに調査~ 
マイナスの要素 
Arch Intern Med. 2012;172(15):1133 
• ICUに入院していた 
• 病院で亡くなった 
• 不安が強かった 
• 栄養チューブを入れていた 
• 最期の週まで化学療法をやっていた 
プラスの要素 
• 宗教をもっていた 
• 心のケアを受けていた 
• 治療医(オンコロジスト)との良好なコミュニケーションがあった
ご静聴ありがとうございました。 
がん患者さんの笑顔と 
希望のために 
医局員募集中です!! 
勝俣nkatsuma@nms.ac.jp

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  • 2. 2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 本日のトピック • 近藤理論への反証 • 誰も教えてくれなかった化学療法のやり方 • オンコロジストのやってはいけない掟
  • 3. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  • 4. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 近藤誠先生の主張 1. がんは、「がんもどき」と「本物のがん」に分類される • がんもどきは、転移しないので治療する必要はない。 • 本物のがんは、転移がんで、必ず死ぬ。治療しても無駄。 2. 抗がん剤は効かない。これまでの抗がん剤のデータ は皆ねつ造。 3. ゆえにがんになったら放置療法を勧める!
  • 5. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 抗がん剤のデータはねつ造された? 乳がんのトラスツズマブ この曲線が上に凸になっている のでインチキ?? 胃がん術後のS1 N Engl J Med 2007;357:1810 腎臓がんのソラフェニブ N Engl J Med 2007;356:125 • がん患者の生存曲線は下に凸にな るのが絶対Cancer 1986;57:925 • 抗がん剤群の生存曲線の形が上に 凸であり、ねつ造された可能性あり New Engle J Med 2001; 344: 783
  • 6. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 医学的・科学的にはどうなのか? 1. 近藤先生の主張は一部は正しいが、医学 的・科学的な間違いがたくさんある。 2. 抗がん剤は効く人もいれば効かない人も いる。抗がん剤のデータがねつ造というの は嘘。 3. がんの治療法をするなとか、しなさいとか 患者さんに押し付けるのは乱暴。患者さん と一緒によく話し合うことが大切。
  • 7. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital ステージ0(非浸潤がん、上皮内がん)は がんもどきか? • 乳房の非浸潤がん2612人中、490人(18%)が乳房内再発。 そのうち、約半数が、浸潤がんだった。最終的に、乳がんで死亡 した患者は、約3%(J Natl Cancer Inst. 2011;103(6):478.) • 子宮頸がん上皮内がんを、無治療で経過観察した報告で、40~ 58%は自然縮小、3~5%で浸潤がんになった(J Natl Cancer Inst Monogr. 1996, Int J Gynecol Pathol. 1993;12(2):186., Br J Cancer. 2003;89(6):1062., Obstet Gynecol. 2009;113(1):18.)
  • 8. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 乳がんトラスツズマブ(ハーセプチン)のデータは ねつ造された!? 化学療法+トラスツズマブ 化学療法単独 Slamon et al. New Engle J Med 344: 783, 2001 • がん患者の生存曲線は下に凸にな るのが絶対Cancer 1986;57:925 • トラスツズマブ群の生存曲線の形が 上に凸であり、ねつ造された可能性 あり • この臨床試験は、米国を中心に行わ れた治験でFDAで承認(1998)後、全 世界で承認。 • ねつ造だったとしたら、世界的スキャ ンダルだが本当か?
  • 9. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  • 10. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital なぜ日本で臨床試験不正事件が起きたのか? 治験 医師主導 企業主導 臨床試験 臨床研究 薬事法・GCPで規制: 未承認薬を対象 臨床試験倫理指針で 規制: 承認済みの薬を対象 日本の臨床研究・臨床試験はGCP準拠でない!
  • 11. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 治験医師主導臨床試験 規制薬事法(GCP) 臨床試験倫理指針 政府への届出必須必須でない インフォームドコンセント文書文書 審査治験審査委員会倫理審査委員会 補償必須必要 監査・モニタリング・査察必須記載なし 重篤有害事象報告施設長 PMDA 厚生労働省医薬局 施設長 厚生労働省医政局 治験と医師主導臨床試験の違い 罰則規定なし 薬剤承認のための治験は薬事法で厳しく規制されているため、不正ができにくい
  • 12. 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 年間死亡率(ハザード率)が一定の場合の生存曲線 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 年 生存率 年間死亡率 生存率 年間死亡率 経過 (年) 全体数死亡数 年間死亡率 (死亡数÷全体数) 1 100.0 25.0 0.25 2 75.0 18.8 0.25 3 56.3 14.1 0.25 4 42.2 10.5 0.25 5 31.6 7.9 0.25 6 23.7 5.9 0.25 7 17.8 4.4 0.25 8 13.3 3.3 0.25 9 10.0 2.5 0.25 10 7.5 1.9 0.25 下に凸のグラフ 近藤先生が引用したCancer 1986;57:925の論文は 死亡率(ハザード率)が一定であると仮定すると、治 療効果を解釈しやすいと言っているだけ
  • 13. 年間死亡率(ハザード率)が減少する場合の生存曲線 年 生存率 年間死亡率 生存率 年間死亡率 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 経過 (年) 全体数死亡数 年間死亡率 (死亡数÷全体数) 1 100.0 25.0 0.25 2 75.0 17.3 0.23 3 57.8 12.1 0.21 4 45.6 8.7 0.19 5 37.0 6.3 0.17 6 30.7 4.6 0.15 7 26.1 3.4 0.13 8 22.7 2.5 0.11 9 20.2 1.8 0.09 10 18.4 1.3 0.07
  • 14. 年間死亡率(ハザード率)が最初少なく後に増加する場 合の生存曲線 年 生存率 年間死亡率 生存率 年間死亡率 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 経過 (年) 全体数死亡数 年間死亡率 (死亡数÷全体数) 1 100.0 0.0 0 2 100.0 2.0 0.02 3 98.0 3.9 0.04 4 94.1 5.6 0.06 5 88.4 7.1 0.08 6 81.4 8.1 0.1 7 73.2 8.8 0.12 8 64.4 9.0 0.14 9 55.4 8.9 0.16 10 46.5 8.4 0.18 上に凸のグラフ
  • 15. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital カプランマイヤー生存曲線とは? • 対象者を死亡または打ち切り(生存)時間の小さい順に 並べ、死亡発生ごとに生存率を計算した曲線 • 生存曲線の凹凸は、死亡速度(ハザード率)によって変 わる • 打ち切り例(追跡不能を含む生存例)を考慮するため、 追跡調査の質(フォローアップ期間、打ち切り例の数)に よって変化する
  • 16. カプランマイヤー生存曲線の例 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 曲線A 10名中、死亡例:5名、生存例(追跡不能例):5名 0 10 20 30 40 50 60 生 存 率 ( % ) 生存期間(月) 患者 番号 生存期間 (月) 生存の 有無 1 3 生存 2 7 生存 3 8 死亡 4 12 生存 5 16 死亡 6 18 生存 7 23 死亡 8 24 死亡 9 36 死亡 10 48 生存 3ヶ月生存7ヶ月生存 8ヶ月死亡 縦の棒は、ヒゲ・censored case などと呼ばれる この時点で生存していた(追跡不能を含む)になったことを示す
  • 17. カプランマイヤー生存曲線:追跡調査後の曲線 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 曲線A 10名中、死亡例:5名、生存例(追跡不能例):5名 曲線B 10名中、死亡例:5名、追跡不能例がその後48ヶ月まで生存 曲線C 10名中、死亡例:5名、追跡不能例がその後すぐに死亡 0 10 20 30 40 50 60 生 存 率 ( % ) 生存期間(月)
  • 18. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 近藤先生の間違った論文の読み方 生存率曲線が急落している。 たくさんの患者が命を落としたので はないか? 卵巣がんの臨床試験 N Engl J Med 1996;334:1 近藤誠 週刊文春平成10年11月7日号 文春文庫抗がん剤だけはやめなさい95P パクリタキセル+ シスプラチン エンドキサン+ シスプラチン
  • 19. カプランマイヤー曲線の信頼区間 曲線B:曲線Aの95%信頼区間上限 曲線A:カプランマイヤー生存曲線 曲線C:曲線Aの95%信頼区間下限 SAS Survival Analysis Techniques for Medical Research, SAS Publishing 1997より
  • 20. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 悪性黒色腫に対するベムラフェニブの生存曲線 の推移 フォローアップ期間中央値:3.8ヶ月フォローアップ期間中央値:12.5ヶ月 曲線はまだ上に凸 曲線は上に凸 生存率曲線が急落? 急落するように見えた線は消失 たくさんの患者が亡くなった? NEJM 364;26, 2011 Lancet Oncol; 15: 323, 2014 フォローアップ期間が長くなると生存曲線の形が変わる。
  • 21. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital Moving Beyond the Hazard Ratio in Quantifying the Between-Group Difference in Survival Analysis HR=0.87 (95%CI, 0.6-1.27) log-rank P = 0.47 ハザード比は一定でなく、比例 ハザード性が成り立たない! Uno et al. J Clin Oncol. 2014;32(22):2380-5.
  • 22. 2014/10/4 誰も教えてくれなかった化学療法のやり方 • ケモやるときはしっかりやる。むやみな減量・延期は 止めましょう • 無駄なG-CSFは止めましょう • 生もの禁はそろそろ止めにしない? Division of Medical Oncology, Nippon Medical
  • 23. よく見られる非標準治療例 1コース目は、80%の投与量でやり、副作用が軽け れば2コース目は100%投与量をやる 1コース目入院でやり、2コース目から外来で 好中球減少<500になるとすぐG-CSFを使う 好中球減少<500で、次コース減量 Nadirすぎるまで退院させない
  • 24. 2014/10/4 腫瘍内科医不足の現状 Division of Medical Oncology, ブラックジャックによろしく漫画on Webより Nippon Medical
  • 25. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital がん診療~日米比較~ がんセンター1937 国立癌研究所1962 国立がんセンター がん対策法1971 国家がん法2006 がん対策基本法 学会1964 ASCO 2002 臨床腫瘍学会 がん研究費3,200億円61億円 腫瘍内科医(2013) 14,158人978人 放射線治療医(2004) 4,000人960人 がんセンター61 30 がん拠点病院1,425 280
  • 26. 2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital がん化学療法の目的 • 固形がんの補助化学療法 • 化学療法高感受性がんの初回化学療法 →できるだけDose intensity (治療強度)を保つため、む やみに、減量・延期をしない • 進行がんの化学療法 • 再発がんの化学療法 →患者さんのQOL(生活の質)を保つため、毒性に応じ て投与規準変更を行う
  • 27. Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 薬物療法の効果別にみた臓器疾患分類 A 治癒が期待できる 絨毛がん、胚細胞腫瘍、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血 病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(中・高悪性度) B 延命が期待できる 乳がん、卵巣がん、多発性骨髄腫、小細胞肺がん、慢性骨髄性白 血病非ホジキンリンパ腫(低悪性度)、骨肉腫、悪性黒色腫 C 症状緩和、QOL改善が期待できる 非小細胞肺がん、前立腺がん、軟部組織肉腫、頭頚部がん、膀胱 がん、食道がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、膵がん、脳腫瘍、 肝がん、腎がん、胆道がん、膵がん、甲状腺髄様がん D 効果はあまり期待できない 甲状腺がん がん診療レジデントマニュアル(第6版) 医学書院2013
  • 28. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 抗がん剤投与量(減量)と生命予後 乳がん患者における術後補助療法(CMF療法)の抗がん剤投与量と生命予後との関連 100 80 60 40 0 5 10 15 20 20 0 推奨用量に対する割合 Control <65% 65–84% ≧85% 全生存率 (%) 100 80 60 40 20 0 5 10 15 20 0 乳房切除後の期間(年) 無再発生存率 (%) (n=179) (n=71) (n=94) (n=42) 乳房切除後の期間(年) Bonadonna G et al. N Engl J Med, 332 : 901-906, 1995
  • 29. Average dose intensity (DI) v MST for ovarian chemotherapy regimens. r=0.44 (p 0.01) JCO 5:756-767, 1987 40 30 20 10 0 P ○ P P C C C C C ○ □ C C C C C □ C C ▲ △ ▲ ▲ ● ▲ ▲ ■ ▲ ▲ ● ● C △ △ ● □ □ □ ▲ □ C C ■ C C ● ● ● ● □ ◇ 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 average DI M S T (m o s.) ▲ CHAP ● CAP ■ CHA ◇ CH □ CA ○ CP △ AP
  • 30. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital • 35歳男性 • 頭痛にて、脳神経外科受診。蝶形骨洞腫 瘍指摘。手術施行。嗅神経芽細胞腫 (olfactory neuroblastoma)と診断。残存 腫瘍に対して、放射線、化学療法 (CDDP+VP-16)施行するも腫瘍増大、多 発骨転移も出現したため、腫瘍内科紹 介。 興味深い症例1 • 横紋筋肉腫(RMS)と診断。VAC療法を施 行。
  • 31. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital • 80歳女性 • 腹部膨満感にて、某都内がん拠点病院受 診。癌性腹膜炎、原発不明癌と診断。担 当医から、末期がんと言われ、ホスピスに 行くように言われた。 興味深い症例2 • 当科受診、原発性腹膜がん(卵巣がんの 亜型)と診断。Dose-dense TC療法施行。 PRとなり、2013年1月、婦人科にて手術 施行。
  • 32. 見逃してはいけない癌その1 23才男性主訴: 上肢、顔の浮腫 某大学病院呼吸器内科受診。SVC症候群と診断。 AFP 27360と高値。 生検にて、縦隔原発胚細胞性腫瘍(yolk sac tumor)と診断。標準的BEP (Bleomycin/Etoposide/Cisplatin)療法にて、AFP正 常化。手術施行。術後再発なし。
  • 33. 胚細胞性腫瘍の初回化学療法 BEP療法 ・Bleomycin (BLM) 30 単位/body (Day 2, 9,16) ・Etoposide (VP-16) 100 mg/m2 (Day 1 – 5) ・Cisplatin (CDDP) 20 mg/m2 (Day 1 – 5) 21日ごと3~4サイクル NEJM 316: 1435: 1987
  • 34. ヨーロッパの治療ガイドラインにおける記載 (EGCCCG guideline) • 化学療法は減量なしに22日間隔で投与しなければならない • 治療開始延期は、次コース開始日に発熱を認める+好中球<500/μL、血小板 数<100,000/μLのいずれかを認めるときのみ3日を限度に考慮される Ann Oncol 15: 1377: 2004
  • 35. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 造血因子製剤の使用に関してのガイドライン (ASCO, ESMO, IDSA, NCCN) 予防投与 • 発熱性好中球減少20%以上が予想される化学療法を行う場合 に5μg/kg/日を投与 • 前治療で、発熱性好中球減少が出現した場合 治療的投与 • 発熱の有無に関わらずCSFの投与はルーチンに行わない(高リ スクの場合を除く)。 J Clin Oncol. 2006;24(19):3187, Eur J Cancer. 2011;47(1):8
  • 36. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 化学療法後の発熱のない好中球減少患者への G-CSF投与の臨床試験 N Engl J Med 1997; 336:1776-1780 R A N D O M I Z E G-CSF 5ug/kg SC プラセーボSC 固形がん リンパ腫 ANC<500 発熱なし 138 pts 感染症/ 入院率 7% / 11% 有意差なし 7% / 13%
  • 37. G-CSFの過剰投与の実態 Taxol/CBDCA 療法中のG-CSF使用頻度 P<0.001 (JGOG3016, Lancet 2009; 374: 1331のデータより) 8 70 92 30 100% 80% 60% 40% 20% 0% 国立がんセンター中央病院 n=64 その他の施設 n=567 FN率9.1% Grade3,4 好中球減少89.8% Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital
  • 38. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital ASCO Guideline for outpatient FN • 環境因子として、履物の交換、個室隔離、マスク、生もの 禁、などはエビデンスが乏しく勧められない • 予防的抗菌剤は、好中球減少<100/uLが1週間以上継 続、または、感染リスクが高い患者に勧められる • 低リスクFN患者には、キノロンとオーグメンチンが外来治 療として勧められる J Clin Oncol 31. 2013
  • 39. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 化学療法時の生もの摂取に関するRCT J Clin Oncol 26:5684, 2008 R A N D O M I Z E 生もの摂取禁止 生もの摂取可 急性白血病 導入化学療法 153pts 感染症/ 不明熱 29% / 51% P = 0.6 / 0.07 有意差なし 35% / 36%
  • 40. 2014/10/4 オンコロジストのやってはいけない掟 1. 最後の最後まで抗がん剤をやってしまうこと 2. もう治療法はありません。ここでやることはありません 3. どうしようもなくなってから、緩和ケアの話をすること 4. 断定的な余命告知
  • 41. 2014/10/4 Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital がん治療医にとって必要なものは? ブラックジャックによろしく漫画on Webより
  • 42. 2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital あなたはいつまで抗がん剤をやりますか?
  • 43. 最後の最後まで抗がん剤をやると…… • QOLが低下する • 在宅・ホスピスで亡くなる率が低下する • ICUで亡くなる率が高くなる • 最後に心肺蘇生をされてしまう • 生存期間が短くなる Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital BMJ. 2014 Mar 4;348:g1219. NEJM 2010;363:8
  • 44. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 標準治療終了後の化学療法が死亡場所に及ぼ す影響 化学療法あり N=216 (56%) 全米8つのがんセンターでのコホート研究 化学療法なし N=170 (44%) P value ICU 11% 2% 0.02 病院25% 15% 0.4 在宅47% 66% 0.03 ホスピス13% 11% 0.6 ナーシングホーム3% 5% 0.6 希望した場所で亡く 65% 80% 0.03 なったか? BMJ. 2014 Mar 4;348:g1219.
  • 45. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 日本のがん患者の死亡場所 一般人に対するアンケート調査結果(平成16年) 実際の死亡場所(平成14年) がんセン ターなど 3.2% 自宅 58.8% 一般病院 9.5% その他 5.6% 緩和ケア 病棟 49.6% 自宅 6.2% 緩和ケア 病棟 3.4% 老人福祉 施設0.8% 一般病院 87.3% 診療所 1.4% 厚生労働省終末期医療に関する調査検討会厚生労働省人口動態調査
  • 46. 緩和ケアという「第4の治療」 化学療法 + 緩和ケアチーム(緩和ケア医、専門看護 師)による月1度以上のサポート 化学療法のみ 手術適応のない肺がん患者n=151 結果: • QOL (FACT-L)の向上(P=0.03) • うつ症状の軽減(38% vs. 16%, P=0.01) • 末期状態での積極治療(死亡の4日以内の化学療 法、ホスピスケアなし、3日以内のホスピス入院)の 減少(54%vs.33%, P=0.05) • 生存期間の向上(8.9 vs. 11.6 mos. P=0.02) NEJM 2010;363:8 Early Palliative Care
  • 47. 2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 亡くなる2ヶ月以内に化学療法していた患者の割合 早期緩和ケア群(n=32) 対照群(n=25) P=0.02 亡くなる2ヶ月以内の化学療法 亡くなる2ヶ月以内に化学療法なし J Clin Oncol 29:2319-2326: 2011
  • 48. 2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 亡くなる3ヶ月以内に化学療法していた患者の割合 (国立がん研究センター中央病院) n=255 P<0.01 53 % 47% 41% 51% 亡くなる3ヶ月以内の化学療法 亡くなる3ヶ月以内に化学療法なし The Oncologist 2009;14:752–759 医師A(n=22) 医師B(n=24) 医師C(n=123) 医師D(n=68) 医師E(n=12) 医師F(n=6) 50% 50% 33% 67% 60% 40% 83% 17% 50% 50%
  • 49. 2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital どうやって抗がん剤を止めることを伝えるか?
  • 50. 誤ったインフォームドコンセント • 裁判で訴えられないようにするため、医療者の防衛 の手段として使う • 医療者は情報提供のみを行い、後は患者が決める • ICします!?(ムンテラをICにしただけ)
  • 51. インフォームド・コンセントの理念 • 医療者と患者の相互の尊重と参加に基づいた意思決定を 協力して行う過程 1982 米国大統領委員会報告書(A report on ethical and legal implications of informed consent in the patient-practitioner relationship 1-3.1982)より インフォームド・コンセントとは、 「医師と患者の共同作業」であり、 「医療者と患者の意思決定の共有」が大切!
  • 52. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital Shared Decision Making (意思決定の共有) 適切なインフォームド・コンセントとは? に基づくインフォームド・コンセント 医師が情報を持ち、 医師が決める オレが決める型 医師と患者が情報を 共有し、決定も 共有する 共有型 患者が情報をもら い、患者が決定 する 患者が決めな型
  • 53. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital Shared Decision Makingの実際 情報を提供する 目的・内容・リスク・利益他 治療との比較 質問・自分の希望を 伝える 提案する、意見を調 整する 納得する →満足する 双方向のコミュニケーション
  • 54. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 患者とのコミュニケーション技術 (わが国における患者の意向を基に作成) 悪いニュースを伝える方法-SHARE-Supportive environment (支持的な場の設定) How to deliver the bad news (悪い知らせの伝え方) Additional information (付加的な情報) Reassurance and Emotional support (安心感と情緒的 サポート) Fujimori et al. (2007) Psychoncology 16:573-81 内富庸介, がん医療におけるコミュニケーション・スキル悪い知らせをどう伝えるか. 医学書院, 2007
  • 55. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital コミュニケーション技術による患者への精神状態への影響 30名のオンコロジストをコミュニケーション技術研修を受ける群と、受けない群に ランダムに割り付け患者の精神状態を評価: 国立がん研究センターで施行 研修を受けた 介入群 (n=292) 平均値±標準偏差 研修を受けて いない対照群 (n=309) 平均値±標準偏差 P値 不安* 4.83±3.75 5.17±3.42 0.333 抑うつ* 4.59±3.75 5.32±4.04 0.027 満足度** 8.58±1.62 8.35±1.74 0.095 信頼感** 9.15±1.28 8.87±1.54 0.009 *HADS:不安、抑うつを評価する尺度、数値が高いと悪い傾向 **数値が高いと良い傾向 Fujimori, Kubota, Katsumata et al. J Clin Oncol 32, 2014
  • 56. 2014/10/4 Department of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 早期の緩和ケアを実践するために 転移・再発した時点で以下の、話し合いを繰り返しすること 1. がんを治すことは困難であること 2. 大切にしたいことは?楽しみにしていることは?(生活の質について) 3. 緩和ケア・緩和療法という治療オプションがあること(治療選択肢) 4. 身の回りのことができなくなってきた場合、どこで(在宅・入院・ホスピス)ど のように過ごしたいか?(End of Life Discussion) 5. 余命宣告をしない(Hope the Best, Prepare the Worst) 6. どんな状況になっても見放さないこと(孤独にさせないこと、将来の約束)
  • 57. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 余命告知でなく、予後について話し合うこと Telling prognosis(余命告知) • 医師から患者への一方通行 • 「あなたの余命は○ヶ月です」 End of life discussion(予後に ついて話し合う) • 医師患者のコミュニケーション • 緩和ケアの重要性 • 「身の回りのことができなくなった 場合に、どこでどのように過ごし たいですか?」
  • 58. 「あなたの余命は1年です」と言ってはいけない ~生存期間中央値は余命ではない?~ ヒストグラム(度数分布表) 6 5 4 3 2 1 国立がん研究センターで治療を受けた再発卵巣がん112名の予後 中央値1.5年(範囲0ヶ月~10.5年) 累積生存率 生存期間(年) Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 累積生存率 0 2 4 6 8 10 12 1 .8 .6 .4 .2 0 1.5年 カプランマイヤー曲線 半分の患者さんが亡くなるまでの期間 患者数 生存期間(年) 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 がん患者の予後データは 正規分布をなさないので 平均値ではなく、中央値で示す!
  • 59. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital がん患者が医師から言われる最も傷つく言葉 • もう何も治療法がない • 可能性・範囲を言わない断定的な余命告知 • 感情への配慮がない 全国19施設ホスピスへ入院した630名の家族へのアンケート調査より Morita et al. Ann Oncol 15:1551, 2004
  • 60. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital SHAREプログラムがすすめるコミュニケーション 「もう死んでしまうのですか?」 「あとどのくらい生きられますか?」 などの言葉への対処方法 Reassurance and Emotional support (安心感と情緒的サポート) 言葉の背景にある感情を探索し、共感すること ほとんどの場合、不安な気持ちの表れであることが多い。 • 「今後のことで、何か気がかりなことがありますか?」 • 「どなたでも不安な気持ちになると思います」
  • 61. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital Hope the Best, and Prepare the Worst (最善を期待し、最悪に備えましょう) 患者  私は少しでも長く生きたいんです。  治療がうまくいってほしいんです。  最悪を考えるということは、あきらめて しまうような気がするのです。  今後は、妻や子供のことが心配なので す。 Ann Intern Med. 2003;138:439-443. 医師  私もそう期待したいです。○○さんにとって一番大切 なことは何でしょうか?  私も治療がうまくいってほしいと思います。もし治療 がうまくいったら何を大切にしたいですか?また、治 療がうまくいかなかったらどうするかということにつ いて話したいのです。  ○○さんの心配するお気持ちは理解できます。準備 をする、ということはあきらめてしまう、ということでは ありませんよ。  大切なことを話してくださってありがとうございます。 奥様や子供さんのことについて、一緒に考えていき ましょう。
  • 62. Division of Medical Oncology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital 末期がん患者のQOLに影響する要素 ~末期がんで亡くなった396名の患者をプロスペクティブに調査~ マイナスの要素 Arch Intern Med. 2012;172(15):1133 • ICUに入院していた • 病院で亡くなった • 不安が強かった • 栄養チューブを入れていた • 最期の週まで化学療法をやっていた プラスの要素 • 宗教をもっていた • 心のケアを受けていた • 治療医(オンコロジスト)との良好なコミュニケーションがあった